名古屋銀行様 新CRM基盤システム構築事例 −新世代データベース SQL

個別論文
名古屋銀行様 新CRM基盤システム構築事例
−新世代データベース SQL Server 2005の導入−
Case Study with Structuring of New CRM Basic System of the Nagoya Bank
- New Generation Data Base SQL Server 2005 Introduction -
清水 俊勝 中村 健也 後藤 光治 清水 充
SHIMIZU Toshikatsu NAKAMURA Kenya GOTO Mitsuharu SHIMIZU Mitsuru
概要
名古屋銀行様は、既存のMCIFシステムで蓄積したデータを、より戦略的に有効活用できるCRM基盤シ
ステムとして新たに再構築するプロジェクトを発足した。新CRM基盤システムでは、SQL Server2005
をベースとして開発した。当社は、このプロジェクトのソフトウェア開発を担当した。
本稿では、技術的観点から新世代データベースSQL Server 2005の強化点について説明する。次に今
回のプロジェクトが発足した背景、構築したシステムの概要、ソフトウェア開発時に発生した問題点と
その対応について説明する。
1. はじめに
(開発コードネーム「Yukon」)の繰り返されるビルドアップ
を適時適用しながらシステムを構築した。
2006年2月、Microsoft社より新世代データベースSQL
Server 2005の日本語版が発売された。名古屋銀行様(以下、
お客さま)では、昨今の急激なビジネス変化に迅速に対応する
2. SQL Sever 2005
ため、過去に蓄積したデータを事業戦略策定に有効活用と、
SQL Sever 2005では、これまでのSQL Sever 2000よ
TCO (Total Cost of Ownership) の大幅削減とを目指して
り多くの機能が強化され、生産性、安定性、保守性が向上して
新CRM基盤システムを構築した。この新CRM (Customer
いる。本章では、今回のプロジェクトで実際に利用したSQL
Relationship Management) 基盤システムの統合データマ
Server 2005の強化された機能について説明する。
ネジメント・分析プラットフォームとしてSQL Server 2005
の採用を決定し、正式出荷の1年以上前に開発プロジェクトが
2.1 Microsoft TAPプロジェクト
発足した。
TAP(Technology Adoption Program)は、正式出荷前の
今回のプロジェクトは、お客さまの既存MCIF(Marketing
“早期導入”プログラムのひとつで、Microsoft社が早期導入
Customer Information File)システムを刷新すべくSQL
パートナー・顧客に開発途中の製品、技術を実際のシステムに
Server 2005をベースとした新CRM基盤システムの再構築プ
導入することを支援し、その中から大小さまざまなフィード
ロジェクトである。
バック情報により、製品・技術の品質を向上させていくという
プロジェクトは、お客さまがプロジェクトマネージメント、
ものである。
SQL Server 2005に関するコンサルティングをMicrosoft社、
お客さまのプロジェクトは、Microsoft社の正式出荷前の
ハードウェア導入を日本電気社、業務アプリケーションの実装
製品である64bit版のSQL Server 2005を利用するため、
を当社という4社体制を組み、開発途中のSQL Server 2005
Microsoft社よりTAPプロジェクトとして選定された。SQL
当社は、
このプロジェクトにおいて「Microsoft Partner Program JAPAN AWARD 2005」の「BIソリューション最優秀賞」を受賞しました。
42
INTEC TECHNICAL JOURNAL
2006
第6号
Server 2005に関してTAPプロジェクトに選定されたのは、
ムからSSISパッケージを実行することができる。
全世界で15社、アジア太平洋地区では今回のお客さまのプロ
(3) 実行状況監視ツール:SQL Server Management Studio
ジェクト1社だけであった。
SQL Server 2005には、実行状況監視ツールとして
「SQL Server Management Studio」が提供される。これは、
2.2 SQL Server 2005の特徴
SQL Server 2000で提供された EnterpriseManagerの
SQL Server 2005は、SQL Server 2000から5年ぶりと
後継にあたるツールである。このツールを利用することに
なるバージョンアップ版であり、さまざまな新機能の追加や機
より、データベースの管理を一元化することが可能となる。
能強化が行われている。ここでは、Windowsシステム管理者
ローカルサーバだけでなくリモートサーバのSQL Server
の視点から見て強化されたデータベース管理機能と、開発者の
2005で実行されるSSISパッケージの実行状況を監視する
視点から見たBusiness Intelligence(以下BI)システム構
ことができる。
築のための開発環境、そしてデータベースエンジンとして強化
(4) 複数のアクティブな結果セット:Multiple Active Results
された特徴的なツール・機能について説明する。
Sets (MARS)
(1) ETLツール:SQL Server 2005
SQL Server 2000では、1つの接続で1つの結果セッ
Integration Services (SSIS)
トしか同時にアクティブ化できない。複数の結果セットを
SQL Server 2000のETL開発ツールであるDTSデザ
同時にアクティブ化したい場合は複数の接続に分ける
イナでは、ETL処理を実装する際、処理全体の大きな流れ
ため、トランザクション制御が煩雑になっていた。
と細かなデータ制御の流れを分離することができず、プロ
SQL Server 2005では、1つの接続で複数のアクティ
グラムソースの可読性が低いという課題があった。
ブな結果セットを同時にアクティブ化することが可能に
SSISでは、この課題を改善している。条件分岐や繰り返
なった。この機能をMARSと呼ぶ (図1)。MARSの実現
し、プロセスの実行、ログの書き込みといったETLの大きな
により、トランザクション制御が容易になった。
流れを記述する「制御フロー」エリアと、ファイルやデータ
SQL Server 2000
ベースの細かなデータ処理を記述する「データフロー」エリ
アが用意されている。メインである「制御フロー」からサ
ブルーチン化した「データフロー」を呼び出すことにより、
クエリー
接続
クエリー
接続
クエリー
接続
データフローで複雑な処理を記述しても、ETL全体の流れ
を見失うことなく簡潔に設計できる。
結果セット
結果セット
結果セット
1つの接続で可能なクエリーは1つだけ
SQL Server 2005
(2) BI システム開発ツール:BI Development Studio
SQL Server 2005には、BI システム開発ツールとし
て「BI Development Studio」が提供される。これは、
SQL Server 2005に標準搭載されるETL機能のSSIS、
分析機能のSQL Server 2005 Analysis Service、分析
結果表示機能のSQL Server 2005 Reporting Serviceを
利用するシステムを構築するときに使用する。
BI Development Studioは、Visual Studioと同様の
クエリー
クエリー
クエリー
MARSによる
接続
結果セット
結果セット
結果セット
1つの接続で複数のクエリーを実行可能
出典:文献[1] p.13 の図12 を引用、一部加筆
図1 MARS機能イメージ
3. 新CRM基盤システム再構築の背景
ユーザーインターフェイスを実現した統合開発環境で、
3.1 旧MCIFシステムの問題
プロジェクトの管理やステップ実行などのデバッグも可
お客さまが1999年より運用されてきた旧MCIFシステムは、
能である。
UNIX・Oracle構成で構築されていた。お客さまでは多くの自
GUI ツールであるBI Development Studioに加えて、
社システムを独自に開発している。しかし、そのほとんどが
コマンドラインツールも用意されている。パッケージ実行
Windows系のシステムであるため、Windows系エンジニア
用ツールを使えば、独自に作成したスクリプトやプログラ
は多く存在するがUNIX系のエンジニアは少数である。そのた
43
個
別
論
文
表1 再構築基本方針
め新たなシステムの機能拡張やメンテナンスを行う場合、トラ
ブル発生時などにはほとんどSIerベンダー任せの状況である。
運用上、中核システムがブラックボックス化されていたためビ
観点 更改方針
システムの役割
各種システムのデータハブとしての役割を担うデータ
ベース指向の統合システム
プラットフォーム
Windowsで統一
ジネス変化に柔軟に対応できず、スピーディーな対応が困難な
システムであった。
Windows系で作られた他システムとのデータ連携やBI シス
運用
テムの実現のためにミドルウエア製品が必要になることで、多
保持データ量
数の製品の保守費がかさむようになっていた。また、運用開始
サービス
から約6年が経過しサーバ機器の老朽化が目立ち始めハード
コスト
100%お客さま社内でのシステム運用
時系列データ保持期間の拡大
金融サービス、
自社内システムの利用強化
TCO大幅削減
ウェア保守運用費が増大してきたことも問題視されていた。
さらに、Active Directory上でのセキュリティ管理がで
きず、統合セキュリティ管理上の問題があった。
表2 SQL Server 2005採用理由
観点 SQL Server 2005採用理由
旧MCIFシステムは、お客さまと直接かかわるリテールバン
キングビジネスの中核となる基盤システムである。運用・保守
信頼性の高いシステムを高いコストパフォーマンスで
コストパフォーマンス 実現が期待できること。
上の多くの問題点による影響は大きく、新たな IT基盤システム
の再構築が急務であった。
3.2 再構築の基本方針
セキュリティ
暗号化機能や監査機能などセキュリティが強化されて
いるため、金融機関で取り扱う個人情報保護への対
応が可能なこと。
ETL機能
SSISなど高度な ETL (Extract/Transform/Load)
機能が標準搭載されているため、勘定系システム、新
情報系システムといった基幹系システムやその他の
関連するシステムとのデータ統合が実現できること。
分析機能
全く新しくなった SQL Server 分析サービスによって
リアルタイムのお客様分析が可能になるなど、お客様
分析機能が充実していること。
開発生産性
Visual Studio 2005 と統合されており、アプリケー
ション開発の生産性が高いこと。
前述のような、運用・保守・セキュリティ上の問題点を踏ま
えてお客さまが打ち出した更改方針は表1の6点である。
3.3 SQL Server 2005導入の理由
お客さまが、新CRM基盤システム構築の核となるデータ
ベースに SQL Server 2005 を採用した理由は、表2の5点
に集約される[2] 。
4. システム概要
3.4 プロジェクトの対象範囲
4.1 構築方針
お客さまは、以下の2つの開発ステップをとおして次期統合
旧MCIFシステムで実現していた項目移送処理やバッチ管理
顧客情報データベースを核にした「新CRM基盤システムの
の機能は、全て新CRM基盤システムの機能として実現している。
構築」を目指した。
実装方針の特徴としては、旧MCIFシステムで、ファイルベー
ステップ1:CRM基盤システム構築
スとしてデータ管理を実現していた箇所は、新CRM基盤シス
(2004年12月∼2005年8月末)
既存の「顧客情報データベース」を『Windows
というものである。具体的には、各システム間のデータ連携で
プラットフォーム』に移行
取り扱うファイルのレイアウトと同じレイアウトのテンポラリ
ステップ2:CRM活用システム構築
(2005年9月∼2005年12月末)
テーブルを用意し、一時的にデータを格納するという方針であ
る。これにより、旧MCIFシステムと同様なジョブ運用が実現
銀行の本部、各支店、渉外係が情報共有する
できている。これに関する詳細は次節以降で説明する。
システムの構築
図2は、移行前の旧MCIFシステムから今回移行した新
当社が担当した今回のプロジェクトの対象範囲はステップ1
の実装である。
44
テムではSQL Server 2005のデータベース内に全て格納する
CRM基盤システムの再構築イメージである。旧MCIFシステ
ムでは度重なる機能追加を行っていたため、サブシステムの
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2006
第6号
旧MCIFシステム
新CRMシステム
テレバン・
テレマ
営業支援
今回のリプレース範囲
勘定系システム
マーケティング支援
(SAS)
個別採算
管理
顧客・
口座データ
月々スナップ
Oracle
ショット
総合データベース
データマート
(sagent)
テレバン・
テレマ
個別採算
管理
勘定系システム
個
別
論
文
OLAP
オラップ
キューブ
マーケティング
データマート 営業支援
再構築
収益管理・
ALM
顧客・
口座データ
月々スナップ
ショット
取引ログ
ローン自動審査
収益管理・
ALM
SQL Sever 2005
総合データベース
ローン
自動審査
データベース指向によるシステム構築
システム規模
システム規模
850GB
データベースサイズ
160万口座
口座数
36ヶ月
顧客残高
2ヶ月
取引ログ
2TB
データベースサイズ
160万口座
口座数
61ヶ月
顧客残高
13ヶ月
取引ログ
ABC原価計算
ABC原価計算
SQL Server7.0から2005へ
出典:文献[3]の図と
[4]の図を引用、一部加筆
図2 基盤システム再構築イメージ
サーバ群が散在していた。新CRM基盤システムでは理論的に
システムとして切り離す必要のないものは、全て1つの統合
データベースに集約する方針となっている。
ギガビットイーサネット
4CPU
4CPU
4CPU
4CPU
4CPU
16GBメモリ 16GBメモリ 8GBメモリ 8GBメモリ 8GBメモリ
NEC Express5600/140Rd-4×5台
4.2 ハードウェア/ソフトウェア
■ ハードウェア
SQL Server群
フ
フ
ァイバーチャンネル
ァイバーチャネル
スイッチ
● 統合DBサーバ
Windows Server 2003 x64
SQL Server 2005 x64
●
●
筐体 :日本電気社製 Express 5600/140Rd-4
CPU :4CPU
NEC iStorageS1400 140GB×45(6.3TB)
(64bitインテルXeonプロセッサMP)
出典:文献[2]の図を引用、一部加筆
図3 新CRM基盤システム SQLサーバ構成
メモリ :16GB
統合ディスク:6.3TB
4.3 新CRM基盤システムの機能
(iStorage S1400[SAN対応ストレージ])
当社が実装した新CRM基盤システムの処理フローを図4に
■ ソフトウェア
示す。
● OS :Windows Server 2003 x64 Editions ファイル受信
ファミリ日本語版
ファイル転送ソフトHULFT (Host Unix Linkage File
● データベース:SQL Server 2005 Enterprise Edition
Transfer) によりホストなどからファイルを受信する。
64bit(実装当時「Yukon」)
バルクインサート
● データ転送 :セゾン情報システムズ社製HULFT6
受信したファイルを一旦同じレイアウトのテンポラリDBに
図3は新CRM基盤システムのSQLサーバ構成イメージで
格納する。
ある。
データ項目移送
45
1
テンポラリDBに格納されているデータに対して、適切
な移送処理をしながら、機能別に分離したターゲット
DBへ、
その情報を格納
ファイル受信
HULFT
受信ファイル
ホストより受信したファイルを一旦テンポラリ
DBへ、
そのまま格納
顧客情報
2
顧客取引状況
法人拡張情報
ローディング
5
CRM
データ項目移送
(ETL)
CRMtmp
ファイル送信
HULFT
ターゲットDB群
3
バルクインサート
(ETL)
他システムとデータ連携が必要であれば、
ファイル形式のデータを作成
CRMacc
送信ファイル
4
定期明細
ファイル変換
(ETL)
ファイル出力
ローディング
融資明細
流動性明細
OTHacc
基準日付
ETC
全銀データ
図4 新CRM基盤システム処理フロー概念
そのテンポラリDBから適切な項目移送処理を施しながら機
することも可能である。
能別に分離したターゲットDB群にデータを格納する。
ファイル変換
4.5 発生した問題点とその対応
他システムに対してデータが必要であれば、そのターゲット
開発中のSQL Server 2005を利用しながらシステムを開発
DBから項目移送処理を施しながらファイルに出力する。
していたため、当初はその処理速度を懸念していた。しかし、
ファイル送信
ほとんどのケースで予想を超える処理速度を実現した。ただし、
HULFTを利用して他システムへデータを送信する。
処理ロジックが複雑であり、かつ数千万件という膨大なレコー
これらの項目移送処理をSQL Server 2005のETL機能であ
ドに対して数百万件のレコードのインサート/アップデートを
るSSISのパッケージで実現している。SSISでプログラミング
繰り返す一部のジョブについては、テスト開始当初にたてた目
されたパッケージは、その単位でバッチ化し、月次、日次、随
標値以上の時間を要するものがあった。この原因としては、
時の適切なタイミングで各バッチが連携しながら流れるよう
DBへの書き込み処理回数が膨大になっているケースが大半で
ジョブネットを構成している。
あった。
この対応としては、毎回DBに直接出力するのではなく、一連
4.4 実装の経緯
の処理結果を一旦ファイルに出力し、そのファイルをSQL
今回のシステムでは、実装の基本方針としてSSISの「データ
Serverのデータフローで用意されている「一括挿入(バルク
フロー」内の記述には、GUI ベースでロジックが実装できる各
インサート)」タスクを利用してロードすることで高速化を
種コンポーネントを利用した。しかし、移送処理として、複雑
はかった。結果として、問題となっていた対象ジョブは全て
なロジックが要求される場面では、VB.NET言語を利用して
パフォーマンス要件を満たすことができた。
プログラミング実装ができるスクリプトコンポーネントを採用
このように処理方式を変更することは理論上難しくないが、
した。高度かつ複雑なロジックをすべてGUI ベースの各種コ
実際にコードを変更する場合、これまでのようなプログラミン
ンポーネントでも実装することは可能であるが、GUI ベースで
グ言語による実装方式では改修量が多く、工数や品質に対する
あるがためにロジックの可読性が低下する場合がある。今回の
影響度が大きかった。SQL Server 2005のSSISではこのよ
プロジェクトでは、メンテナンス性も重要な課題であり、これ
うな変更に対しても数多く用意されているコンポーネント群に
を重視し、一部の処理でプログラミング実装を行っている。
より柔軟かつ容易に対応できるため、リメイクによる工数や品
MARS機能のメリットは、このプログラミング言語を利用
質に対する影響はほとんどなかった。
した実装時に発揮され、プログラムコードの簡素化とそれによ
る保守性の向上につながる。また、非同期のSQL実行コマン
4.6 評価
ドと組み合わせることで複数の非同期なステートメントでの接
(1) パフォーマンス評価
続を保持し、クエリーを連携させながらスループットを最適化
旧MCIFシステムと新CRM基盤システムとでは、ハード
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第6号
DB出力
件数
■チューニング前の処理
SSIS
INSERTコマンド
(スクリプトタスク)
処理時間
チューニング前 チューニング後
10,000
2分7秒
100,000
18分46秒
500,000 1時間30分28秒
6分
36分24秒
1,000,000 測定打ち切り※ 1時間0分23秒
同一ロジック
SSIS
(スクリプトタスク) ファイル出力
37秒
中間
ファイル
SSIS
BULKINSERT
(一括挿入タスク)
コマンド
個
別
論
文
■チューニング後の処理
※表中の測定打切りは、10時間以上経過しても処理を実施していたため、測定を停止した。
図5 処理方式の変更イメージと処理結果サンプル
ウェアスペックが異なるため単純にパフォーマンス比較でき
ないが、同一処理をするジョブ単体で比較すると、平均で約
1/3の時間で処理が完了するようになった。ジョブによっ
ては約8時間から50分程度に短縮したものもあり、お客さ
まの 業務改善の役に立っている。なお、全てのジョブにお
いて旧MCIFシステムよりも高速化でき、パフォーマンス要
件を満たすことができた。
(2) 導入・運用コスト評価
お客さまからは、今回のシステム構築で、初期投資で約
4 割、年間のランニングコストで 7 割前後のコストを削減す
清水 俊勝
SHIMIZU Toshikatsu
中部地区本部
金融システム部
● 金融機関向けシステム開発に従事
●
ることができたと伝えられている。この背景には、データ
統合機能やデータ分析機能などが、SQL Server 2005の
パッケージで提供されているため、製品保守費用が圧縮され
たことと、システムのメンテナンスがお客さまでできるよ
中村 健也
NAKAMURA Kenya
うになったことによるSIerベンダーへの運用支援費が不
中部地区本部
金融システム部
開発グループリーダ
● 金融機関向けシステム開発に従事
●
要になったことが挙げられる。
5. おわりに
当社は今回のプロジェクトをとおして、他社に先駆けて
後藤 光治
GOTO Mitsuharu
SQL Server 2005を採用したシステム構築の実績をいち早く
●
確立し、多くのノウハウを蓄積することができた。開発時に蓄
●
ITプラットフォームサービス事業部
BI システム開発に従事
積したOracleからSQL Server 2005への移行方法に関する
ノウハウは、今後のシステム開発で再利用できるよう提案、開
発スタイルを標準化している。
その他、Microsoft社認定のTAPプロジェクトにより、
清水 充
SHIMIZU Mitsuru
Microsoft社との密接なチャネルを持つことができたことで、
最新技術情報を的確に入手できるようになった。
今後はこれらの強みを活かして、SQL Server 2005の優れ
た技術を適切に採用し、データを戦略的に有効活用できるシス
●
(当時所属)ITプラットフォームサービス事業部
IT基盤グループリーダ
● Microsoft製品を利用したシステム基盤コンサルティングに従事
● (現所属)北陸地区本部 ソリューション・プロダクト
・システム部
グループリーダ
● 病理・細胞診検査業務支援システム「EXpath」開発に従事
テム構築をお客さまに提案していきたい。
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