2009年 アニュアル・レビュー 2010 / 2011 年財務カレンダー 財務カレンダー 2010年 2010年4月27日 2010年3月31日時点中間報告 2010年5月27日 年次株主総会 フランクフルト・アム・マイン フェストハレ(エキシビション・センター)にて 2010年5月28日 配当金支払 2010年7月28日 2010年6月30日時点中間報告 2010年10月28日 2010年9月30日時点中間報告 2011年 2011年2月3日 2010年決算発表(暫定) 2011年3月15日 2010年年次報告書および様式20-F 2011年4月28日 2011年3月31日時点中間報告 2011年5月26日 年次株主総会 フランクフルト・アム・マイン フェストハレ(エキシビション・センター)にて 2011年5月27日 配当金支払 2011年7月27日 2011年6月30日時点中間報告 2011年10月26日 2011年9月30日時点中間報告 Deutsche Bank ドイツ銀行 2009 年 アニュアル・レビュー アイデンティティー ドイツ銀行グループは、グローバル市場で主導的な地位を占める金融機関 として、お客さま、株主、従業員、そしてビジネスを展開するすべての地域 において、持続的な価値を提供します。 新しい時代における強さ ブランド ドイツ銀行グループの目的は明確です。本業をはじめ幅広い活動を通じて 責務を果たすこと。私たちは情熱と精確さをもって、これに取り組みます。 こうした姿勢が枠組みにとらわれない発想力を支える自信となり、多様な 価値の創造につながるのです。 新しい時代における強さ 深刻な金融危機により、新しい方向性を模索する必要性が 生まれました。金融システムを揺るがしかねない事態は回避 できるのでしょうか? リスクを事前に察知することは可能 なのでしょうか? 市場の困難に立ち向かうことはできるので しょうか? 私たちは、今、何をすべきでしょうか? 金融サービス業界は、今、大きな構造上の課題に直面して います。私たちは、最近の経験から学び、本質的な価値とは 何かについて再考する必要があります。効果的で革新的、 しかも実行可能な解決策を模索し、遂行しなければなりません。 特に、一貫した規制の枠組みや効果的な監視システム、 厳格なリスク管理は重要な課題となっています。 価値 パフォーマンス。信頼。チームワーク。革新性。顧客重視。 約束 エクセレンス。最適な解決策の提供。責任。 ドイツ銀行は、こうした再考の動きのなかで、精力的かつ 建設的な役割を果たしてきました。強さは、 責任を伴います。 私たちは、経済や社会に対する責任を負っています。 私たちは、株主、顧客、従業員にとって現在だけでなく 将来にわたる信頼できるパートナーとして、これからも 全力で取り組んでまいります。 ドイツ銀行 本年のテーマである「新しい時代における強さ」と題して議論しました。 株主―ジャビエル・ロドリゲス・エグイア、ビルバオ(10 / 11頁) 、顧客―マルセラ・ドレマー ファイナンス・ディレクター、 ブラスケム社、サンパウロ(24 / 25頁) 、従業員―メアリー・ヴィク・トゥバン ドイチェ・ナレッジ・サービス、マニラ (48 / 49頁) 、アンソニー・ヘイワード、ニューヨーク(54 / 55頁) 2009年 アニュアル・レビュー 2010 / 2011 年財務カレンダー 財務カレンダー 2010年 2010年4月27日 2010年3月31日時点中間報告 2010年5月27日 年次株主総会 フランクフルト・アム・マイン フェストハレ(エキシビション・センター)にて 2010年5月28日 配当金支払 2010年7月28日 2010年6月30日時点中間報告 2010年10月28日 2010年9月30日時点中間報告 2011年 2011年2月3日 2010年決算発表(暫定) 2011年3月15日 2010年年次報告書および様式20-F 2011年4月28日 2011年3月31日時点中間報告 2011年5月26日 年次株主総会 フランクフルト・アム・マイン フェストハレ(エキシビション・センター)にて 2011年5月27日 配当金支払 2011年7月27日 2011年6月30日時点中間報告 2011年10月26日 2011年9月30日時点中間報告 Deutsche Bank ドイツ銀行 2009 年 アニュアル・レビュー アイデンティティー ドイツ銀行グループは、グローバル市場で主導的な地位を占める金融機関 として、お客さま、株主、従業員、そしてビジネスを展開するすべての地域 において、持続的な価値を提供します。 新しい時代における強さ ブランド ドイツ銀行グループの目的は明確です。本業をはじめ幅広い活動を通じて 責務を果たすこと。私たちは情熱と精確さをもって、これに取り組みます。 こうした姿勢が枠組みにとらわれない発想力を支える自信となり、多様な 価値の創造につながるのです。 新しい時代における強さ 深刻な金融危機により、新しい方向性を模索する必要性が 生まれました。金融システムを揺るがしかねない事態は回避 できるのでしょうか? リスクを事前に察知することは可能 なのでしょうか? 市場の困難に立ち向かうことはできるので しょうか? 私たちは、今、何をすべきでしょうか? 金融サービス業界は、今、大きな構造上の課題に直面して います。私たちは、最近の経験から学び、本質的な価値とは 何かについて再考する必要があります。効果的で革新的、 しかも実行可能な解決策を模索し、遂行しなければなりません。 特に、一貫した規制の枠組みや効果的な監視システム、 厳格なリスク管理は重要な課題となっています。 価値 パフォーマンス。信頼。チームワーク。革新性。顧客重視。 約束 エクセレンス。最適な解決策の提供。責任。 ドイツ銀行は、こうした再考の動きのなかで、精力的かつ 建設的な役割を果たしてきました。強さは、 責任を伴います。 私たちは、経済や社会に対する責任を負っています。 私たちは、株主、顧客、従業員にとって現在だけでなく 将来にわたる信頼できるパートナーとして、これからも 全力で取り組んでまいります。 ドイツ銀行 本年のテーマである「新しい時代における強さ」と題して議論しました。 株主―ジャビエル・ロドリゲス・エグイア、ビルバオ(10 / 11頁) 、顧客―マルセラ・ドレマー ファイナンス・ディレクター、 ブラスケム社、サンパウロ(24 / 25頁) 、従業員―メアリー・ヴィク・トゥバン ドイチェ・ナレッジ・サービス、マニラ (48 / 49頁) 、アンソニー・ヘイワード、ニューヨーク(54 / 55頁) 基本情報 ドイツ銀行グループ ドイツ銀行株式 グローバルな ネットワーク グローバルなネットワーク ドイツ銀行株式に関する情報 主要データ 基本的1株当たり利益(損失) 希薄化後1株当たり利益(損失) 平均流通普通株式数(基本的、百万株) 平均流通普通株式数(希簿化後、百万株) 平均株主持分合計利益率(税引後) 税引前平均株主持分合計利益率 税引前平均アクティブ資本利益率 1 基本的流通株式1株当たり資産 2 費用 / 収益比率 3 報酬比率 4 非報酬比率 5 2009年度 € 7.92 € 7.59 628 655 14.6 % 15.3 % 15.1 % € 57.81 72.0 % 40.5 % 31.5 % 2008年度 € ( 7.61) € ( 7.61) 504 504 ( 11.1 ) % ( 16.5 ) % ( 17.7 ) % € 52.59 134.3 % 70.6 % 63.7 % 単位:百万ユーロ 純収益合計 信用リスク引当金繰入額 利息以外の費用合計 税引前利益(損失) 当期純利益(損失) 2009年度 27,952 2,630 20,120 5,202 4,958 2008年度 13,613 1,076 18,278 ( 5,741) ( 3,896 ) 単位:十億ユーロ 資産合計 株主持分合計 Tier 1自己資本比率 6 2009年12月31日現在 1,501 36.6 12.6 % 2008年12月31日現在 2,202 30.7 10.1 % 支店数 内ドイツ国内 従業員数(常勤相当) 内ドイツ国内 2009年12月31日現在 1,964 961 77,053 27,321 2008年12月31日現在 1,950 961 80,456 27,942 長期格付 ムーディーズ・インベスターズ・サービス スタンダード・アンド・プアーズ フィッチ・レーティングス 2009年12月31日現在 2008年12月31日現在 Aa1 Aa1 A+ A+ AA– AA– 2009年 投資収益の変化 1 ドイツ株式市場(Xetra)の出来高に占める比率 1日当たりの平均出来高 2 株価 高値 株価 安値 1株当たり配当金(2009年度については予定) 2009年12月31日現在 発行済株式数 流通株式数(社外株式数) 株式資本 時価総額 株価 3 DAX株価指数に占める比率 ダウ・ジョーンズ・ストックス50株価指数に占める比率 有価証券識別コード ドイツ取引所 種類 記号 WKN ISIN ロイター 記名株式 DBK 514 000 DE0005140008 DBKGn.DE 79.4 % 5.8 % 760万株 € 58.29 € 15.38 € 0.75 620,859,015 620,175,320 € 1,589,399,078.40 € 306.8億 € 49.42 5.8 % 1.2 % ニューヨーク証券取引所 種類 グローバル・レジスタード・シェア 通貨 U.S.$ 記号 DB CINS D 18190898 ブルームバーグ DBK GR Xetraの株価による。 オーダーブック統計(Xetra) 。 3 Xetraの終値。 1 2 競合他社との比較を容易にするために、平均株主持分合計利益率に関しては調整を加えた尺度を算出しており、これを「税引前平均アクティブ 資本利益率(Pre-tax return on average active equity) 」と称している。但し、IFRSによる実績尺度ではないため、算定方法の違いを考慮せず に他社との比較を行うべきではない。平均株主持分(2009 年度:34,016 百万ユーロ、2008 年度:34,442 百万ユーロ)に調整を加える項目は、 売却可能有価証券に係る平均未実現純利益(損失)/ キャッシュ・フロー・ヘッジに係る平均公正価値修正(適用される税効果考慮後) (2009年度: (884)百万ユーロ、2008 年度:619 百万ユーロ)および平均未払配当金(2009 年度:287 百万ユーロ、2008 年度:1,743 百万ユーロ)である。 配当金は、株主総会の承認後、年に一度支払われる。 2 基本的流通株式 1 株当たり資産は、株主持分を流通株式数で除したものとして定義される(共に年度末現在) 。 3 利息以外の費用合計が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。 4 報酬が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。 5 利息以外の費用合計から報酬を差し引いた額として定義される報酬を除く利息以外の費用が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に 利息以外の収益を加えた額に占める比率。 6 Tier 1自己資本比率は、ドイツ銀行法セクション 64h (3)に従い過渡的項目を除外している。 1 個人・中堅企業向け支店 支店 / 子会社 駐在員事務所 各地域の主要拠点 ニューヨーク ロンドン フランクフルト・アム・マイン ドバイ シンガポール 東京 基本情報 ドイツ銀行グループ ドイツ銀行株式 グローバルな ネットワーク グローバルなネットワーク ドイツ銀行株式に関する情報 主要データ 基本的1株当たり利益(損失) 希薄化後1株当たり利益(損失) 平均流通普通株式数(基本的、百万株) 平均流通普通株式数(希簿化後、百万株) 平均株主持分合計利益率(税引後) 税引前平均株主持分合計利益率 税引前平均アクティブ資本利益率 1 基本的流通株式1株当たり資産 2 費用 / 収益比率 3 報酬比率 4 非報酬比率 5 2009年度 € 7.92 € 7.59 628 655 14.6 % 15.3 % 15.1 % € 57.81 72.0 % 40.5 % 31.5 % 2008年度 € ( 7.61) € ( 7.61) 504 504 ( 11.1 ) % ( 16.5 ) % ( 17.7 ) % € 52.59 134.3 % 70.6 % 63.7 % 単位:百万ユーロ 純収益合計 信用リスク引当金繰入額 利息以外の費用合計 税引前利益(損失) 当期純利益(損失) 2009年度 27,952 2,630 20,120 5,202 4,958 2008年度 13,613 1,076 18,278 ( 5,741) ( 3,896 ) 単位:十億ユーロ 資産合計 株主持分合計 Tier 1自己資本比率 6 2009年12月31日現在 1,501 36.6 12.6 % 2008年12月31日現在 2,202 30.7 10.1 % 支店数 内ドイツ国内 従業員数(常勤相当) 内ドイツ国内 2009年12月31日現在 1,964 961 77,053 27,321 2008年12月31日現在 1,950 961 80,456 27,942 長期格付 ムーディーズ・インベスターズ・サービス スタンダード・アンド・プアーズ フィッチ・レーティングス 2009年12月31日現在 2008年12月31日現在 Aa1 Aa1 A+ A+ AA– AA– 2009年 投資収益の変化 1 ドイツ株式市場(Xetra)の出来高に占める比率 1日当たりの平均出来高 2 株価 高値 株価 安値 1株当たり配当金(2009年度については予定) 2009年12月31日現在 発行済株式数 流通株式数(社外株式数) 株式資本 時価総額 株価 3 DAX株価指数に占める比率 ダウ・ジョーンズ・ストックス50株価指数に占める比率 有価証券識別コード ドイツ取引所 種類 記号 WKN ISIN ロイター 記名株式 DBK 514 000 DE0005140008 DBKGn.DE 79.4 % 5.8 % 760万株 € 58.29 € 15.38 € 0.75 620,859,015 620,175,320 € 1,589,399,078.40 € 306.8億 € 49.42 5.8 % 1.2 % ニューヨーク証券取引所 種類 グローバル・レジスタード・シェア 通貨 U.S.$ 記号 DB CINS D 18190898 ブルームバーグ DBK GR Xetraの株価による。 オーダーブック統計(Xetra) 。 3 Xetraの終値。 1 2 競合他社との比較を容易にするために、平均株主持分合計利益率に関しては調整を加えた尺度を算出しており、これを「税引前平均アクティブ 資本利益率(Pre-tax return on average active equity) 」と称している。但し、IFRSによる実績尺度ではないため、算定方法の違いを考慮せず に他社との比較を行うべきではない。平均株主持分(2009 年度:34,016 百万ユーロ、2008 年度:34,442 百万ユーロ)に調整を加える項目は、 売却可能有価証券に係る平均未実現純利益(損失)/ キャッシュ・フロー・ヘッジに係る平均公正価値修正(適用される税効果考慮後) (2009年度: (884)百万ユーロ、2008 年度:619 百万ユーロ)および平均未払配当金(2009 年度:287 百万ユーロ、2008 年度:1,743 百万ユーロ)である。 配当金は、株主総会の承認後、年に一度支払われる。 2 基本的流通株式 1 株当たり資産は、株主持分を流通株式数で除したものとして定義される(共に年度末現在) 。 3 利息以外の費用合計が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。 4 報酬が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。 5 利息以外の費用合計から報酬を差し引いた額として定義される報酬を除く利息以外の費用が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に 利息以外の収益を加えた額に占める比率。 6 Tier 1自己資本比率は、ドイツ銀行法セクション 64h (3)に従い過渡的項目を除外している。 1 個人・中堅企業向け支店 支店 / 子会社 駐在員事務所 各地域の主要拠点 ニューヨーク ロンドン フランクフルト・アム・マイン ドバイ シンガポール 東京 目 次 取締役会会長からのメッセージ ドイツ銀行グループ経営執行委員会 02 08 01 ドイツ銀行グループ 会社概要 コーポレート・ガバナンス ステークホルダーの利益のために 13 17 19 02 ステークホルダー 株主 株価の著しい回復 27 顧客 法人・機関投資家向けビジネス 個人・資産運用ビジネス コーポレート・インベストメンツ コーポレート・センター 31 36 41 42 従業員 多様性を重視する企業文化 43 社会 社会資本の創出 46 03 連結決算書 損益計算書 貸借対照表 キャッシュ・フロー計算書 51 52 53 04 追加情報 監査役会報告書 監査役会 グループ4年間の記録 用語解説 連絡先 / 刊行物 57 64 66 67 71 取締役会会長からのメッセージ 会長からのメッセージ 株主の皆さまへ ドイツ銀行にとって2009 年は、大きな成果を挙げた年となりました。財務面では 前例のないほど厳しい状況であった2008年から大幅な転換を図る一方、戦略面では 金融危機後の成功に向け、確固とした事業基盤の構築に取り組みました。 世界経済にとって 2009 年は、2008 年最後の数カ月の前例のない乱高下を経て、 安定へと向かった年となりました。2009年第1四半期、 金融市場は高いボラティリティ や取引高、マージンの拡大にさらされましたが、第 2四半期以降はこれらが正常化 へと向かい、市場も安定しました。時の経過に伴って、先進国経済は回復の兆しを 示し、アジアを含む新興国経済は再び健全な成長率を回復しました。株式市場は 世界的規模で上昇を遂げました。こうした状況にもかかわらず、2009年の先進国を 取り巻く経済環境は依然として不安定で、高い失業率と、金融危機後の政府による 外部刺激策に依存する構図に変化はありませんでした。 こうしたなか、ドイツ銀行の2009年の業績は、事業再構築に向けた取り組みの成果 を示すものとなりました。税引前損益では、2008 年には57 億ユーロの損失を計上 したのに対し、2009 年には52 億ユーロの利益となりました。また、純損益におい ても、2008年には39 億ユーロの損失であったのに対し、2009年には50 億ユーロの 利益を計上しました。希薄化後1株当たり利益は、2008年のマイナス7.61ユーロから 2009 年には7.59 ユーロとなりました。当行の定義に基づく税引前平均アクティブ 資本利益率は15 % でした。さらに 2009 年には、金融危機の影響を受け、過去の ポジションに対する多額の償却やトレーディング損失を計上したにもかかわらず、利益 を計上しました。また、バランスシートの大幅な圧縮を進め、リスク・ウェイティッド・ アセットは 2009 年第1四半期末のピークから大幅に減少するなか、大きな利益を 計上しました。その結果、当行は資本基盤を強化し、Tier 1自己資本比率は10.1 % から、バーゼルによる自己資本フレームワークを導入以来最高水準の12.6 %にまで 改善しました。コア Tier 1自己資本(ハイブリッドを除く)比率は、7.0 %から8.7 % に改善しました。当行の定義によるレバレッジレシオ(負債比率)は、前年の28 倍、 ピーク時の37 倍と比べ、2009年末までに23 倍まで低下しました。 02 ヨゼフ・アッカーマン ドイツ銀行取締役会会長兼 グループ経営執行委員会会長 取締役会会長からのメッセージ このように当行は、収益性、資本基盤、リスク・プロファイルの 3 つの重要な点に おいて、1年前と比べ遥かに強固な基盤を持つ金融機関へと変化しました。2009年 中に当行株価は 78 % 上昇しました。これはDAX 指数、STOXX 銀行指数の各々、 24 %と47 %の上昇を大きく上回っています。 取締役会と監査役会は、2010 年 5月27日に開催予定の年次株主総会で、1 株当たり 配当を2008 年の 50 セントから75 セントに増配する提案を行う予定です。これは、 当行の将来に対する自信の表れであり、とりわけ現在の環境下では、資本基盤の さらなる強化が株主の皆さまの利益に繫がるという信念の表れでもあります。 法人・機関投資家向けビジネス(CIB)は、2008 年の 74 億ユーロの税引前損失に 対し、2009 年には 43 億ユーロの税引前利益を計上しました。投資銀行ビジネスの コーポレート・バンキング・アンド・セキュリティーズは、前年の 85 億ユーロの税引 前損失に対し、35 億ユーロの税引前利益を計上しました。これは、2009 年前半の 市場動向を追い風としたことに加え、セールス /トレーディングの基盤を、より流動性 があり、顧客取引が主体の「フロー」ビジネスへと円滑に移行したことを反映した ものです。外国為替 / 金利 / マネーマーケット・トレーディング・ビジネスでは金融 危機前の水準を上回る収益を上げ、コモディティやエマージング・マーケッツ・デット・ トレーディングなどの注力分野では過去最高の業績を達成しました。株式デリバティブ も業務基盤の見直しによる恩恵を享受したほか、債券、株式の双方は米国のすべて の主要市場でシェアを拡大しました。その一方で、リスクの低減にも取り組み、 バランスシートやリスク・ウェイティッド・アセット、バリュー・アット・リスクは すべてピーク時から大幅に削減され、自己勘定によるトレーディング業務においても 大幅縮小や撤廃を断行しました。コーポレート・ファイナンスは、市場の乱高下後 の市場活動の低迷の影響を依然として受ける結果となりました。グローバル・ トランザクション・バンキングの税引前利益は、引き続き歴史的な低金利と金融 危機前より株価が低い水準だったことが影響し、過去最高だった 2008 年を大幅 に下回り、7 億 7,600 万ユーロとなりました。 03 取締役会会長からのメッセージ 個人・資産運用ビジネス(PCAM)は、2008 年の 4 億 2,000 万ユーロを上回り、 6 億6,000 万ユーロの税引前利益を計上しました。この増益は、主に資産運用および ウェルス・マネージメントにおける好転を反映したものです。資産運用およびウェルス・ マネージメントは、一時的な特別損失の計上と、利息以外の費用の大幅な低下を 主な要因として、2008 年に 5 億 2,500 万ユーロの税引前損失を計上しましたが、 2009 年には 2 億 200 万ユーロの税引前利益を計上しました。さらに、資産運用 およびウェルス・マネージメントは、2008年に130 億ユーロの純資金の流出に対し、 2009年には160億ユーロの新規純資金を獲得しました。個人顧客および中堅企業は、 効率性向上の施策の実施による退職金費用の増加や低金利を反映した預金商品の 減収、個人投資家の警戒心の高まりを受けた投資商品からの減収を反映して、 2008 年を大きく下回る4 億 5,800 万ユーロの利益を計上しました。 2009年は、ドイツ銀行の戦略を定義づける年となりました。金融危機時においては 相対的な業績を重視していたのに対し、金融危機後は株主価値を考慮した収益拡大 に視点を移し、詳細な戦略を練りました。2009年12月にフランクフルトで開催された 「インベスター・デイ」では、第 4 段階の経営戦略を公表しました。 「インベスター・ デイ」で提示した前提条件に基づくと、第4 段階の経営戦略の実践によって、2011年 には中核ビジネスから100 億ユーロの税引前利益を上げる一方、Tier 1自己資本比率 は目標とする10 % 前後を維持し、当行定義によるレバレッジレシオ(負債比率)は 25 倍を維持できるものと考えています。当行の戦略上の目標は明確です。それは、 世界の市場をリードするグローバルな投資銀行であり、ホームマーケットで圧倒的な 強みを持つ個人顧客ビジネスと成長を遂げるアジアにおいて強固な基盤を持つこと です。当行は、以下に述べる4つを注力分野として掲げています。 04 取締役会会長からのメッセージ 第 1は、危機後に再構築したリスク / バランスシート管理のもとで、CIBにおいて増収 を達成することです。当行は、金融危機を通じて、投資銀行業務における主導的 地位をグローバルに強化しました。2009年には、リスク・プロファイルの低減を図った 上で大幅な収益拡大を達成するという幸先の良いスタートを切りました。こうした 動きを受け、また、世界中の政府・規制当局が金融システムの強化に取り組んで いることを背景として、今後はリスクやレバレッジ、資本の効率的な活用が重要 になるでしょう。当行の戦略はこうした点をすべて考慮に入れています。 第2に、中核となるPCAMビジネスならびにホームマーケットにおける主導的な地位 をさらに強化します。この目標を達成するために、断固とした決断を行いました。 独ポストバンクAGに対する少数株主持分ならびに過半数株式の優先買取権の取得に より、ドイツ国内リテール市場における圧倒的な基盤強化に向け、体制を整えてい ます。2009年には、独ポストバンクAGとの戦略的協力体制を開始し、当行の予想を 上回る成果を挙げています。10月には、ドイツで長い伝統を持ち、個人富裕層向け 資産運用会社として名を馳せているサル・オッペンハイムの買収に合意し、これにより ホームマーケットにおける富裕層向けサービスで主導的な地歩を固めました。さらに、 グローバル規模で資産運用ビジネスにおける注力分野への取り組みを精力的に推進 することで、大幅なコスト削減を実現しました。 第 3 に、収益拡大の牽引役として、アジアへの注力を図ることです。金融危機を 通じて、アジア地域はグローバル経済においてますます重要な地位を占めるように なりました。当行の目標は、アジアにおけるこれまでの投資から成果を挙げること にあり、既に中国においては手ごたえを感じています。当行は、中国で第10 位の 規模にある華夏銀行の少数株主持分を保有し、またハーベスト・ファンド・マネジメ ントの株式を 30 % 保有することで、中国で最も大規模な中国 / 欧米企業間の資産 運用ジョイントベンチャーのパートナーとなっています。さらに、Zhong Deジョイント ベンチャーを通じて、中国株式市場で債券の発行やIPO(株式新規公開)の支援を 行うことが可能になっています。今後 2年間で、アジアにおける収益の倍増を目指 しています。 05 取締役会会長からのメッセージ 第 4に、実績を重視する企業文化の再活性化です。コスト削減に注力し、効率性の 改善を図ります。株主価値により緊密にリンクするよう、実績の評価手法を大幅に 拡充しました。非中核資産への資本活用の削減や、成長のための投資を決定する際 の資本需要を積極的に評価することで、引き続き資本効率の向上に取り組みます。 さらに、報酬計画を株主価値の持続的創出という観点から見直しました。この報酬 計画の原則ならびに厳格さは、主要規制当局との議論を受けたものです。当行は、 株主価値を高めるため、優秀な人材を正当に評価し、維持する報酬体制を取ってい ますが、それは実績を重視すると同時に、責任を伴うものでもあります。 今後を展望しますと、困難と同時にチャンスも存在します。経済の回復は依然として 不安定であり、失業と米国およびいくつかの欧州経済における住宅市場の回復が、 来年にかけての大きな課題と言えるでしょう。また、ソブリンリスクと経済・財政 刺激策として投入された公的資金の引き揚げのタイミングは、金融危機後の重要な 要因として注視すべき点です。このような環境下、当行は、こうした課題に挑戦 するだけでなく、 新たなチャンスを活かす上でも万全の体制を整えています。当行は、 迅速にしかも断固とした態度で業務基盤の見直しを実施し、ターゲットを絞った投資 を行うことで極めて重要な戦略上の強みを獲得し、収益性と強い資本基盤、厳格な リスク管理を維持しています。当行の戦略は明確です。そして、戦略の達成に必要な 経営資源を確保しています。 私たちを取り巻く環境は、今後大きく変化するかもしれません。しかし、私たちの コミットメントには何ら変わりはありません。当行は、事業を展開するすべての地域に おいて、今後も引き続き企業市民としての責務を果たしていく考えです。昨今の金融 危機のなかにあっても、当行は、寄附などを通じた資金的支援や専門知識を活かした 幅広い活動に取り組んできました。 06 取締役会会長からのメッセージ 当行の長期的な成功は、顧客にいかに卓越したサービスを提供できるかにかかって います。今後も、多様な文化的背景を持つ従業員の専門性や能力の開発に力を入れ、 真の意味で実力を発揮できる職場環境を整えていきたいと考えています。さらに、 株主の皆さまへの持続的な価値の提供にも全力で取り組んでいく所存です。 引き続きご支援ご鞭撻をお願いいたします。 ヨゼフ・アッカーマン ドイツ銀行取締役会会長兼グループ経営執行委員会会長 2010 年 3月 フランクフルト・アム・マイン 07 ドイツ銀行グループ経営執行委員会 ドイツ銀行グループ経営執行委員会 1 2 7 1 ステファン・クラウス Stefan Krause 1962 年生まれ。 2008 年取締役就任。 チーフ・ファイナンシャル・オフィサー。ファイナンス、 税務、 コーポレート・インシュアランス、 インベスター・ リレーションズ、監査、グループ戦略・プランニング 統括責任者。 7 ヒューゴ・バンチガー Hugo Bänziger 1956 年生まれ。 2006 年取締役就任。 チーフ・リスク・オフィサー。リスク管理、法務、 コンプライアンス、コーポレート・セキュリティ、 財務、コーポレート・ガバナンス統括責任者。 08 3 9 8 2 レイナー・ネスケ Rainer Neske 1964 年生まれ。 2009 年取締役就任。 個人顧客および中堅企業統括責任者。 8 ヴェルナー・スタインミューラー Werner Steinmüller 1954 年生まれ。 グローバル・トランザクション・バンキング 統括責任者。 3 ヨゼフ・アッカーマン Josef Ackermann 1948 年生まれ。 1996 年取締役就任。 取締役会会長兼グループ経営執行委員会会長。 資産運用およびウェルス・マネージメント、コーポ レート・インベストメンツ、広報 &CSR、経済 統括責任者。 9 アンシュー・ジェイン Anshu Jain 1963 年生まれ。 2009 年取締役就任。 グローバル・マーケッツ統括責任者。 3 4 9 5 10 4 ヘルマン- ヨゼフ・ランベルティ Hermann-Josef Lamberti 1956 年生まれ。 1999 年取締役就任。 チーフ・オペレーティング・オフィサー。人事、 情報技術(IT)、オペレーション / プロセス 管理、購買および建物・設備などの不動産 管理統括責任者。 10 マイケル・コアーズ Michael Cohrs 1956 年生まれ。 2009 年取締役就任。 グローバル・バンキング統括責任者。 6 11 12 5 6 11 12 ケビン・パーカー Kevin Parker 1959 年生まれ。 資産運用統括責任者。 ピエール・ド・ウェック Pierre de Weck 1950 年生まれ。 プライベート・ウェルス・マネージメント統括責任者。 セス・ウォー Seth Waugh 1958 年生まれ。 米州統括責任者。 ユルゲン・フィッチェン Jürgen Fitschen 1948 年生まれ。 2009 年取締役就任。 リージョナル・マネジメント(地域運営)統括 責任者。ドイツ国内マネジメント・コミッティー (ドイツ国内運営委員会)会長。 ドイツ銀行AG 取締役会メンバー 09 新しい時代における強さ Javier Rodríguez Eguía 10 成功するためには、物事を正しく行うだけでなく、常によりよいものを目指して取り組む ことが重要である─父が繰り返し言っていたことを思い出します。ドイツ銀行が実践 しているのは、まさにそこにあります。ドイツ銀行は、何をなすべきかだけでなく、 いかになすべきかを知っており、それを実践しているのです。 ジャビエル・ロドリゲス・エグイア Javier Rodríguez Eguía、ビルバオ 11 ドイツ銀行グループ 01 12 01 ドイツ銀行グループ 会社概要 将来に向け万全の体制 ドイツ銀行は、グローバル市場で主導的な地位を占める投資銀行であり、個人顧客ビジネス においても利益を生む強固な事業基盤を持っている。当行のビジネスは互いに補完し、過去 数十年で最も深刻な金融危機においても、その多様なビジネスモデルは強さと底固さを示した。 2009 年、当行は、多数の市場で競争力を強化した。 経営機構 ドイツ銀行 AG 取締役会は、ドイツ銀行グループの経営戦略や資源配分、財務 / 経理、リスク 管理、コーポレート・コントロールを主な職務とする。また、コーポレート・センターや取締役会 メンバーが運営する各管理部門別委員会の支援のもとで、経営・監督機能を遂行している。 取締役会は 2009 年 4 月、各ビジネスや地域を代表する 4 人の新たなメンバーの参加により 増強された。監査役会は、グローバル・バンキング統括責任者のマイケル・コアーズ、リー ジョナル・マネジメント(地域運営)統括責任者のユルゲン・フィッチェン、グローバル・ マーケッツ統括責任者のアンシュー・ジェイン、そして個人顧客および中堅企業統括責任者 のレイナー・ネスケを取締役会メンバーに任命し、取締役会は合計 8 人に増強された。 グループ経営執行委員会(GEC)もまた、4月に新たに 2 人が加わり、合計 12 人に拡充された。 GEC は、取締役会メンバー、取締役会メンバー以外の中核ビジネス統括責任者、米州統括 責任者で構成される。定例会議では、各ビジネス部門の進捗状況の分析やグループ戦略に 係る課題を討議し、取締役会が決定する事項の提起・提案を行う。ヨゼフ・アッカーマンが 取締役会とGEC の会長を兼務する。 管理部門別委員会 グループ経営執行委員会 取締役会 グローバル・ビジネス統括責任者 / 地域統括責任者 法人・機関投資家向け ビジネス コーポレート・インベストメンツ 個人・資産運用 ビジネス リージョナル・コミッティー(地域運営委員会) 13 01 ドイツ銀行グループ 会社概要 グループ部門 ドイツ銀行のグループ部門は、法人・機関投資家向けビジネス(CIB) 、個人・資産運用ビジネス (PCAM) 、コーポレート・インベストメンツ(CI)で構成される。 法人・機関投資家向けビジネス CIBは、オリジネーションや債券、株式、その他証券を含む各種資本市場商品のセールス /トレー ディング、アドバイザリー、貸出し、トランザクション・バンキングなどの各資本市場業務 を担っている。対象となる顧客は、公的機関(国や政府関連機関、国際機関を含む)および 民間の中堅企業から大規模な多国籍企業まで多岐にわたる。CIBはさらに、コーポレート・ バンキング・アンド・セキュリティーズ(CB & S)とグローバル・トランザクション・バンキング (GTB)の 2 つのコーポレート部門に分かれる。 コーポレート・バンキング・アンド・セキュリティーズは、グローバル・マーケッツとコーポレート・ ファイナンスの2つのビジネス部門で構成され、オリジネーション、証券のセールス / トレー ディング、アドバイザリー、M & A(企業買収・合併) 、その他のコーポレート・ファイナンス 業務を担っている。グローバル・トランザクション・バンキングは、金融機関や法人顧客に対 するキャッシュ・マネジメント、貿易金融、法人信託サービスを提供している。コーポレート・ ファイナンスとグローバル・トランザクション・バンキングは合わせてグローバル・バンキング と呼ばれる。 個人・資産運用ビジネス PCAMは、資産運用およびウェルス・マネージメント(AWM)と個人顧客および中堅企業 (PBC)の 2 つのコーポレート部門で構成される。 資産運用およびウェルス・マネージメントは、資産運用(AM)とプライベート・ウェルス・ マネージメント(PWM)の 2 つのビジネス部門で構成される。資産運用は、DWSインベスト メンツの事業基盤を活用して、 世界中の個人投資家を対象に投資信託を提供している。また、 年金基金や保険会社などの機関投資家向けには、伝統的運用商品からオルタナティブ投資 商品まで幅広いサービスを提供している。一方、プライベート・ウェルス・マネージメントでは、 世界中の個人富裕層やその家族を対象に、相続プラン、社会貢献活動に関するアドバイス などを含む包括的な資産運用サービスを提供している。 個人顧客および中堅企業は、主に個人顧客と中小企業の顧客を対象に、当座預金から普通預金、 融資、資産運用商品に至る一連の伝統的な銀行サービスを提供している。ドイツ以外では、 イタリア、スペイン、ベルギー、ポルトガルで既に数年にわたり実績を積んでいるほか、 最近ではポーランドでも実績を挙げている。また、中国、インドを含む成長著しいアジア市場 においても注力分野に絞って投資を行っている。 14 01 ドイツ銀行グループ 会社概要 コーポレート・インベストメンツ CI は、当行のグローバルな自己投資事業を統括している。そのなかには、事業会社の株式 保有、その他株式投資、特定の不動産と信用リスクを含む非中核資産が含まれている。 経営戦略:第 4 段階 金融危機は、資本市場の一部や金融業界を大きく変貌させた。新たな課題が浮上する一方、 時の経過に応じて当行は経営戦略やビジネスモデルを順応させる必要性を認識した。 こうした なか、2009 年 12 月には、2011 年末までを視野に入れた第 4 段階の経営戦略を公表した。 その概要は以下の通りである。 — CIB においては、リスク / バランスシート管理規律の見直しを伴った、収益力の向上と 収益の質の改善を図る。グローバル・マーケッツでは、グローバル株式、コモディティ、 電子取引の基盤を強化する。コーポレート・ファイナンスは、グローバルで上位 5 位 以内の地位を目指す。グローバル・トランザクション・バンキングでは、組織の拡大と 選択的買収を通じて収益拡大の維持に注力する。選択的買収の例としては、オランダ におけるABNアムロの企業・商業銀行業務の一部買収が挙げられる。 — PCAMにおいては、中核ビジネスならびにホームマーケットでの主導的な地位の強化に 注力する。資産運用では、中核商品に注力し、効率の改善を図る。個人顧客および中堅 企業と資産運用およびウェルス・マネージメントでは、独ポストバンク AG との協力 体制やサル・オッペンハイムの買収でもたらされたビジネスチャンスを活用し、ドイツ 国内市場における主導的な地位をさらに強化する。 — アジア地域への注力。これは、金融業界における収益拡大の鍵を握る。当行は、この 意味で良好な地位を築いている。今後もさらなる成長の可能性を目指して、同地域へ の投資を継続し、CIBや GTBでの競争上の優位性をさらに高めていく。同時に、PWM においても、アジア地域でのビジネス規模の倍増を目指す。 15 01 — ドイツ銀行グループ 会社概要 実績を重視する企業文化の再確認を行う。特に、コスト管理の徹底と管理部門(インフ ラストラクチャー)のプロセスの最適化を図ることで、すべてのビジネスにおいて効率 性の見直しを推進する。その一環として、また管理体制の向上を目指すために、新たな 業績評価手法を導入し、価値の創造を重視した経営システムの拡充を行う。 今後、さらなる規制の強化が予想されるものの、当行は引き続き成功を収めていくことが できるものと確信している。 グローバルなネットワーク ニューヨーク フランクフルト・ ドバイ アム・マイン ロンドン 主要拠点 ビジネスを展開する国の首都 16 シンガポール 東京 01 ドイツ銀行グループ コーポレート・ガバナンス 長期的な成功の基盤 国際的に最も高い基準に従った、効果的なコーポレート・ガバナンス(企業統治)は、当行 のアイデンティティーの重要な一部となっている。当行コーポレート・ガバナンスの主要 な枠組みは、主としてドイツ株式会社法と2009 年 6月に改正されたドイツ・コーポレート・ ガバナンス法を踏襲している。当行は、ニューヨーク証券取引所に上場していることから、 米国の資本市場に関連する諸法規や証券取引委員会(SEC)の規制、ニューヨーク証券取引所 (NYSE)の規則にも従っている。 当行のコーポレート・ガバナンスは、責任ある実績重視の経営と、持続的価値の創出を追求 する当行の内部管理の基盤となっている。当行のコーポレート・ガバナンスは、株主との 良好な関係、取締役会と監査役会の効果的な協力関係、業績に連動した報酬制度、透明性の 高い適時報告の 4 つの重要な要素により構成されている。 株主 株主は、法律に従い、基本定款の変更や年間配当の決定、新規株式の発行、重要な組織変更 など、当行にとって最も重要な意思決定に関わっている。株主はまた、取締役の報酬システム に対し、拘束力を持たない形で投票を行うことができる。当行株式は 1 種類であり、それ ぞれに同等の議決権が付与されている。さらに、株主による議決権行使を容易にするため、 インターネットを通じて議決権行使の指示書を送付できるなど、株主総会での電子媒体の 活用を推進している。 取締役会 取締役会は経営に責任を負っており、グループ企業全体を管理する。また、グループ企業が あらゆる法規制や社内規則を遵守しているかを確認する。取締役会メンバーと中核ビジネス の統括責任者(取締役会メンバー以外) 、 米州統括責任者は、 グループ経営執行委員会(GEC) を構成する。グループ経営執行委員会は、各ビジネス部門の進捗状況の分析やグループ戦略 に係る課題を討議し、取締役会による最終決定のための諸事項の提起・提案を行う。 監査役会 監査役会は経営について取締役会を監視し、助言する。さらに、取締役会メンバーの任命や 長期的な事業の継承について、取締役会と協力して検討する。当行に影響を与える重要案件 には、監査役会の承認が必要となる。監査役会は、取締役会の情報・報告義務を規定する。 監査役会では、法律によって求められている仲裁委員会に加えて、会長統括委員会、監査 委員会、リスク委員会、指名委員会を設置している。 17 01 ドイツ銀行グループ コーポレート・ガバナンス 業績連動型の報酬 取締役会メンバーの報酬は、主として、当行の業績、当行の株主利益率と複数の競合他社 の過去 2 年間の平均株主利益率との比較、場合により部門別の業績および取締役会メンバー 個人の実績によって決定される。変動報酬の大半は一定期間繰り延べられる形で与えられ、 後に撤回の可能性があり、 合理的な範囲で当行の持続的な業績に応じて決定される。これに より変動報酬は、当行のその後のプラスとマイナスの業績をいずれも考慮に入れることが できる。 監査役会メンバーの報酬は、固定報酬、当行の長期的な業績に基づく変動報酬および配当に 基づく賞与で構成されている。監査役会の各委員会会長および委員、監査役会会長および 副会長には、追加的な報酬が支給される。また監査役会メンバーは、会議手数料が支給 されるほか、当行が契約する役員責任賠償保険の被保険者にもなっている。 取締役会および監査役会の各メンバーの報酬ならびに当行の報酬システムの構造につい ては、報酬リポート(2009 年ファイナンシャル・リポート、116 頁以降)で公表されている。 国際基準に従った財務報告 当行は、株主ならびに一般の人々に対して、特に連結財務報告書を含む年次報告書や四半期 報告書を通じて、定期的に最新の情報を提供している。当行の報告は、国際財務報告基準 (IFRS)に従っている。よって、報告内容は透明性が高く、また、国際的にビジネスを展開する 競合他社との比較も容易となっている。 適合宣言 取締役会および監査役会は、2010年1月5日、ドイツ株式会社法第161条に基づく適合宣言を 改訂した。これは、 役員責任賠償保険に監査役会メンバーについて免責金額(自己負担額)を 設けたことを受けたものである。その結果、現在、当行はドイツ・コーポレート・ガバナンス法 の勧告に例外なくすべて従っている。 当行の 2009 年コーポレート・ガバナンス報告書(完全版)および年次コーポレート・ガバ ナンス・ステートメントは、取締役会、監査役会および監査役会各委員会の参照事項など、 コーポレート・ガバナンス関連のその他書類と合わせて、インターネット(www.deutschebank.com/corporate-governance)から入手できる。 当行は、新規発生事項や法律上の要請、国内および国際基準の進展に照らして、コーポレート・ ガバナンスを定期的に見直し、それらに従って修正を行っている。 18 01 ドイツ銀行グループ ステークホルダーの利益のために 株主、顧客、従業員、地域社会のために、 勇気と情熱をもって対応 当行は 2009 年、過去数十年で最も深刻な金融危機のなかで底固さを示し、株主や顧客、 従業員、そして事業を展開するすべての地域に貢献した。しかし、経済環境は依然として 不安定であり、多くの課題が残されている。 株主 株主 顧客 当行の株式価値は金融危機の直後には減少したものの、2009 年の収益と株価の力強い回復 により著しく改善した。また、継続的なコスト効率の改善と、顧客ニーズに適した商品の提供 に注力することで、競争上の優位を強化している。持続的な成功を目指す当行のビジネス モデルにおいて、強固な資本基盤と、株主資本と評価を維持している広範なリスク管理は、 不可欠な要素となっている。 顧客 従業員 社会 困難な状況下にあっても、当行は、顧客にとって信頼できるパートナーとして行動し、一人 ひとりの顧客の財務状況に応じた建設的な解決策を提案する能力があることを示した。これ まで以上に顧客との対話を重ねることで、解りやすく、透明性の高い商品を求める顧客ニーズ を把握した。当行の顧客は、昨今の金融危機を克服するなかで得られた経験からの恩恵を享受 している。信頼や専門性の高いアドバイス、顧客ニーズを把握するだけでなく最高水準の 解決策を提供する能力は、顧客のみならず当行にも恩恵を与えている。顧客の成功は、当行 自身の成功の重要な基盤となっている。 従業員 当行が危機以前と比べて強固な基盤を確立したとするなら、それは、なによりも高い専門性 を持つ献身的な従業員と業績を重視する企業文化がもたらしたものである。従業員の多様性は、 幅広い顧客基盤とグローバル化した世界のリスクや傾向を、より迅速で正確に把握する上で 役に立っている。当行は職場での機会均等を確保するために、旧態依然とした方式の排除に 努めている。 地域社会 当行は自らを地域社会の一員と考えるだけでなく、社会からもそう認識されることを重視して いる。従って、社会的責任を果たすことに真摯に取り組み、社会問題の解決に貢献することは、 当行自身の利益に繋がっている。これは、雇用主や納税者、そして文化・社会問題への 伝統的な取り組みといった役割を遥かに超えるものである。また、気候変動の脅威や金融 危機に対し、具体的な解決策を提案・実行し、自らの考えを表明することを意味している。 19 01 ドイツ銀行グループ ステークホルダーの利益のために 株主 配当を増配。 株主構成 2009年 2008年 2007年 株主数 586,295 581,938 360,785 機関投資家(銀行を含む) 個人投資家 74 26 71 29 86 14 ドイツ 46 55 45 EU(ドイツを除く) 31 25 31 6 7 9 16 11 13 1 2 2 2009年 2008年 2007年 79.4 % ( 66.8 ) % ( 8.6 ) % 7.6 9.1 6.1 0.754 0.50 4.50 株主別内訳 株式資本に占める比率 1(%) 地域別内訳 株式資本に占める比率 1(%) スイス 米国 その他 主要数値 ドイツ銀行株式の投資収益の変化 2 1日当たりの平均出来高 3(単位:百万株) 1株当たり配当(単位:ユーロ) 特別プロジェクト 増資 独ポストバンクAGの少数株主持分取得に関連して、3月に5,000万株を増資。 インベスター・デイ 新段階の経営戦略を議論するため、取締役会メンバーおよびグループ経営執行委員会メンバーと 投資家が12月に会議を開催。 投資家調査 当行株式の投資対象としての魅力を調べるため、機関投資家を対象に定例の認識調査を実施。 株主への要望 年次株主総会の書類を電子媒体で送付することを株主に要望(受賞を目指す) 。 数値は四捨五入。 Xetraの株価による。 3 オーダーブック統計(Xetra) 。 4 2010年5月27日開催予定の年次株主総会で提案。 1 2 20 01 ドイツ銀行グループ ステークホルダーの利益のために 顧客 これまで以上に重要な顧客との強固な関係。 部門別顧客数 2009年 2008年 2007年 55,100 14,600,000 53,100 14,600,000 56,900 13,800,000 4,150,000 3,410,000 2,926,000 2,300 2,300 2, 400 78,0003 92,000 92,000 2008年 2007年 2 1 顧客数(概数) 法人・機関投資家向けビジネス 個人・資産運用ビジネス 個人顧客および中堅企業 資産運用およびウェルス・マネージメント 個人顧客向け資産運用 1 (ドイツ / ルクセンブルク) 法人顧客向け資産運用 プライベート・ウェルス・マネージメント 2 主要数値 法人・機関投資家向けビジネス 2009年 ユーロマネー誌での「ポール・オブ・ポールズ」の順位 4 ユーロマネー誌での「債券資本市場ポール」の順位 3 1 2 ユーロマネー誌での「外国為替ポール」の順位 1 1 1 15 21 31 2 3 – ドイツ – 2 2 オーストリア – – 1 スイス – – 1 1 1 – ユーロマネー誌での「アワード・フォー・エクセレンス」 の受賞数 リスク誌での受賞数 個人・資産運用ビジネス 資産運用におけるファンド・アワードの受賞数 DWSインベストメンツがグループとして獲得した受賞数 5 ドイチェ・インシュアランス・ アセット・マネジメント 6 ベスト・グローバル・インシュアランス・ アセット・マネジャー 特別プロジェクト 法人・機関投資家向けビジネス 中国における証券ビジネスで、Shanxi Securities Co.とジョイントベンチャーを設立。 当行の新規株式公開(IPO)や追加的な株式発行案件に対し、フィデリティが個人投資家へのアクセスを提供。 グローバル・トランザクション・バンキングが、キエフ / ウクライナ / 天津(中国)にオフィスを開設。 ドレスナー銀行AGのグローバル証券貸出ビジネスを買収。 個人・資産運用ビジネス プライベート・ウェルス・マネージメントがサンモリッツ(スイス)にオフィスを開設。 独ポストバンクAGとの協力開始。 大気中の温室効果ガスを表示する、世界初のリアルタイム・カーボンカウンターをニューヨークに設置。 口座数 リレーションシップ数。米国プライベート・クライアント・サービスを除いた数字。 3 集計方法の変更による減少。 4 2009年を除く。 5 モーニングスターとリッパー。2007年:スタンダード・アンド・プアーズ 6 リアクションズ誌 1 2 21 01 ドイツ銀行グループ ステークホルダーの利益のために 従業員 混乱期においても安定した雇用主。 項目別データ 2009年 2008年 2007年 77,053 80,456 78,291 個人・資産運用ビジネス 39.8 % 40.2 % 39.9 % 法人・機関投資家向けビジネス 2 18.4 % 18.7 % 21.1 % インフラ / リージョナル・マネジメント 41.8 % 41.1 % 39.0 % ドイツ国内 35.5 % 34.7 % 35.5 % 欧州(ドイツを除く)/ 中東 / アフリカ 28.6 % 28.7 % 28.1 % 米州(北 / 中南米) 14.5 % 15.3 % 17.2 % アジア太平洋 21.4 % 21.3 % 19.2 % 大学卒 63.5 % 64.0 % 64.4 % 高等学校卒 その他 19.1 % 17.4 % 17.3 % 18.7 % 17.4 % 18.2 % 従業員(常勤相当)1 部門別 地域別 最終学歴別 3 年齢別 3 24歳以下 8.4 % 9.9 % 10.0 % 25 – 34歳 35.0 % 35.5 % 35.2 % 35 – 44歳 32.2 % 31.7 % 32.3 % 45 – 54歳 19.0 % 17.9 % 17.9 % 55歳以上 5.4 % 5.0 % 4.6 % 2009年 2008年 2007年 77 74 71 4.8 % 7.3 % 8.4 % 研修費用(単位:百万ユーロ)4 86 114 115 職業訓練費用(単位:百万ユーロ) 41 41 41 主要数値 従業員コミットメント指数 転職により当行を離職する従業員の割合 特別プロジェクト ATLASプログラム「Accomplished Top Leaders Advancement Strategy」 ヨゼフ・アッカーマンの提唱のもと、グループ経営執行委員会による 女性幹部候補の拡大を目的とした施策。 db worldwide cover 海外出張における、医療および安全に関連した24時間グローバルサービス。 従業員数(常勤相当)は、パート従業員(研修生、インターンを除く)を比例調整した人員数。 コーポレート・インベストメンツを含む。 3 従業員数(人員数)を基に算出。 4 計算基準調整後。 1 2 22 01 ドイツ銀行グループ ステークホルダーの利益のために 社会 社会資本の創出。 構成上のデータ 2009年 2008年 2007年 72 72 76 2009年 2008年 2007年 74.8 75.9 86.2 ドイツ銀行アメリカ基金 9.5 8.8 10.0 ドイツ銀行CSR(企業の社会的責任)英国 4.7 4.3 5.0 ドイツ銀行アジア基金 3.7 3.7 2.6 6.3 6.4 6.6 ドイツ銀行基金 4.9 5.0 5.4 その他基金 1.4 1.4 1.2 81.1 82.3 92.8 ドイツ銀行がビジネスを展開している国の数(オフショアを含む) 主要数値(単位:百万ユーロ) ドイツ銀行による社会的責任活動への支出 内訳: ドイツ銀行の基金による支出 合計 特別プロジェクト 太陽エネルギー 革新的な太陽熱プロジェクト「デザーテック(Desertec)」の実現を推進する有限会社「DII GmbH」の設立に、 13企業の1社として参画。 教育支援 ドイツにおける「金融リテラシー」プログラムの拡大(新規講師数:1,000人) 。 マイクロファイナンス基金 マイクロファイナンス機関単体による初の劣後債案件となった「FINCA マイクロファイナンス・ファンド B.V.」 (2,120万米ドル)の発行を支援。 インターネット上のコンサート ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の革新的な「デジタル・コンサート・ホール」を支援。 演劇プロジェクト ドイツ銀行と共にシェイクスピアを:学生を対象に、学内ワークショップの開催や学習教材、1万枚の無料チケットを 提供。 23 新しい時代における強さ Marcela Drehmer 24 ドイツ銀行から独創的な財務上の解決策を提案されたことを契機に、ドイツ銀行との 関係はさらに強くなりました。 マルセラ・ドレマー Marcela Drehmer ファイナンス・ディレクター、ブラスケム社、サンパウロ 25 ステークホルダー 02 ドイツ銀行の競合他社との比較や市場シェア、ランキングに関わる記述は、主に金融専門誌(ユーロマネーなど)や 専門情報会社(トムソン・ロイター、ディーロジックなど)の外部情報に基づく。 02 ステークホルダー 株主 株価の著しい回復 当行株価は著しく回復 2009 年は、一定の不確実性は残ったものの、金融市場は顕著な回復を示した。年初は極端に 軟調なスタートを切ったが、その後は安定・回復へと向かった。代表的なドイツ株価指数で あるDAX 指数は、2009年を通して23.9 %上昇し、5,957ポイントの終値で2009年を終了した。 DJ STOXX50指数においても同様の上昇率(24 %)を記録した。前年の急激な株価下落の後、 銀行株の価格は平均を上回る上昇率となった。DJ STOXX銀行セクターの株価指数は2009年 を通して46.9 %の上昇率となった。 ドイツ銀行株価も回復 当行株価は2009年を通して78 %上昇し、年末時点では49.42ユーロの終値を付けた。これは、 DAX 指数採用銘柄のなかでは第 2 位となる上昇率となった。ドイツの金融株では、当行を 超える上昇率の銘柄はなく、欧州の金融株においても当行を上回るのは数行のみであった。 当行株価は1月21日に年間最安値となる15.38ユーロを付けてからは回復に向かい、 10月15日 に年間最高値となる58.29ユーロを付けた。同時に、市場における神経質な動きが減少する に従って、当行株価の大きな日中変動幅も縮小に向かった。 配当 2009 年の困難な環境においても、当行は好業績を達成した。当行は2010 年年次株主総会に おいて、1株当たり配当を0.75ユーロとする提案を行う予定である。前年より25セントという 比較的少額の増配は、資本基盤の強化を優先課題として取り組む当行の姿勢の表れであり、 当行株主、特に個人株主にも受け入れてもらえるものと考えている。 長期リターンは改善 2009 年、株式市場は上昇に転じたものの、前年度の深刻な株価下落は当行株式の長期に わたる投資収益に引き続き影響を与えた。当行株式を 1980 年年初に 10,000 ユーロ相当 購入し、現金配当をすべて株式購入に充て、無償増資に応じたと想定した場合、2009年末には 90,208ユーロ相当の株式を保有していると想定される。これは、 年間平均で7.6 %の投資収益 に相当し、同期間のDAX 指数の年間平均収益率 8.6 %を若干下回る水準となっている。 株主構成はわずかに変化 株主資本に占める比率(単位:%、年末時点) 100 86 84 86 74 71 60 29 16 05 14 06 26 2009 年末時点の当行株主資本は、2008 年末より5,000 万株増加し、620,859,015 株の無額面 株式で構成されている。この増加は、2009年春の独ポストバンクAGの買収のための株式交換 に関連した資本の増加を反映したものである。当行株価が 2009 年末の終値で高値を付けた ことを主な要因として、2009 年末時点の時価総額は、2008 年末時点の159 億ユーロに対し、 そのほぼ2倍の307億ユーロとなった。さらに、株価の上昇は、当行株式のDAX指数に占める 比率も大幅に増加させ、前年末の3.6 %に対し2009 年末には5.8 %となった。 20 14 07 時価総額の増加 当行株式の Xetraでの取引高は、2009 年に 600 億ユーロ強増加し、1,910 億ユーロとなり、 DAX 指数採用銘柄のなかで過去最高を記録した。これは、株価上昇の影響を受けたもので あるが、その影響は実際の売買高の減少を相殺して余りあるものであった。 08 09 ニューヨーク証券取引所における当行株式の売買高は、2009 年に平均で 48 % 増加した。 2009 年前半の売買高は通常の3 倍超となった後、後半には通常の水準に戻った。 機関投資家(銀行を含む) 個人投資家 27 02 ステークホルダー 株主 株価の著しい回復 外国人株主の増加 当行株主数は、2009 年 3 月に過去最高となる 630,033 人を記録した後減少し、年末には 586,295 人となった。これは、2008 年末時点と比較して、4,357 人の増加であった。依然と して個人投資家が全株主数の 99 %を占め、株主資本 1,589,399,078 ユーロのうちの 26 % (2008年は29 %)を保有している。一方、機関投資家の株主資本に対する保有比率は、2008 年の71 %から増加し、2009 年末時点で74 %となった。この増加はすべて海外機関投資家に よるもので、ドイツ国内機関投資家は、総じて当行株式売却を行った。一例を挙げると、米国 投資家の当行株式保有比率は過去最高の16 %に達し、特に銀行を含む機関投資家による保有 が増加した。全体としては、外国人投資家の保有比率が 2009 年末には54 %(2008 年末は 45 %)にまで増加した一方、 ドイツ国内投資家の保有比率は46 %(2008年末は55 %)に低下 した。 当行株式は、 引き続きほぼ100 %浮動株式である。保有株式数3 %以上の報告義務に従って、 当行が認識している大株主は、2009 年 12 月 31日時点で AXA S.A.(フランス) (4.64 %) 、 クレディ・スイス・グループ(チューリヒ) (3.86 %)およびブラックロック・インク(ニューヨーク) (4.72 %)である。 年次株主総会への関心の高まり 2009 年5月26日にフランクフルト・アム・マインのフェストハレで開催した年次株主総会には、 前年より700人以上多い6,700人の株主が出席した。取締役会会長が通常の事業報告を行った後、 株主と経営陣の間で、当行の現状と今後の見通しについて活発な質疑応答が行われた。 長期的な投資収益 1,900 1,600 1,300 1,000 700 400 100 81 83 85 87 89 91 1980年を100とした投資収益の指数(四半期) 。 ̶ ドイツ銀行 ̶ DAX株価指数 出典:データストリーム 28 93 95 97 99 01 03 05 07 09 株主数のさらなる増加 (単位:千人、年末時点) 700 412 350 348 05 06 582 586 08 09 361 07 02 年次株主総会において 前年より高い議決権行使 ステークホルダー 株主 株価の著しい回復 2008 年は議決権株式の33.2 %にあたる株主が議決権を行使したのに対して、2009 年はこれ を大幅に上回る41.94 %が議決権を行使し、すべての議題が賛成多数によって可決された。 株主資本に占める比率(単位:%) 小規模の自社株買戻しを実施 45 43 42 41 33 30 25 15 05 06 07 08 09 2009 年 5月26日の年次株主総会において、当行は、株主資本の最大10 %に相当する自社株を 2010 年10月31日までに買戻すことに関し、株主から再度承認を得た。これにより、新たに 承認されたプログラムが 2008 年のプログラムにとって代わることとなった。2009 年 7 月、 取締役会は、従業員に対する株式ベースの報酬支払いのために、1,170 万株の自社株買戻し を承認した。当行は、2009 年 8 月12日までの間に、株主資本の約 1.9 % に相当する合計 11,672,726 株の自社株を総額 5 億 4,200 万ユーロで買戻した。 2009 年12月31日時点において、当行は60 万株の自社株を保有していた。これは、2009 年 年初の810万株に2009年の自社株買戻しで1,170万株が加わったのに対し、株式ベースの報酬 として1,920 万株が減少したことを反映している。2009 年に、当行は自己株の消却を行わな かった。 当行は、2002年半ばの自社株買戻しプログラム開始時点から2009年8月末までの期間に、 合計2億3,500万株、額にして153 億ユーロを買戻し、そのうち1億1,800万株、額にして72億 ユーロを消却した。 買収に向けた資本強化 当行は、ドイチェポストAGから独ポストバンクAGの少数株主持分を取得するため、2009 年 3月に、5,000万株、額にして9億5,800万ユーロの現物出資による新株発行を行った。その結果、 ドイチェポストAGは、2009 年 7月初旬に全株を売却するまでの期間、当行株式の約 8 %を 保有した。 2009 年も当行は公的資金の注入を受けなかったが、当行自身の資金により、年末には Tier 1 自己資本比率を2.5 %ポイント上昇させ、過去最高の12.6 %とすることができた。 様々な方法で投資家との対話を継続 当行インベスター・リレーションズ・チームは、金融市場の乱高下を受け、投資家やアナリスト からの情報提供の要望に様々な方法で応えた。2009 年を通して、386回の個別ミーティング やグループ・ディスカッション(2007年:230回、2008 年:495回)に加え、14回におよぶ 国際証券コンファレンスを開催し、その大半に当行経営陣が出席した。アナリストとの会議や 電話会議を通じ、当行の事業や戦略の進展について定期的に報告した。さらに、債券投資家や 持続性への取り組みを投資判断に加味している投資家との議論を強化した。2009 年12月に フランクフルト・アム・マインで開催した「インベスター・デイ」には、グループ経営執行 委員会のほぼすべてのメンバーが出席した。80 以上の国際金融アナリストや機関投資家が 出席したその様子は、すべてインターネットを通じて配信された。 29 02 ステークホルダー 株主 株価の著しい回復 インターネット活用の拡大 当行は、個人株主からの質問や提案に対し、主に無料の投資家ホットラインやインターネット を活用して対応を行っている。ホームページを通じて、最新の包括的な情報を提供するだけ でなく、例えば当行株価の比較が可能な双方向の分析ツールも提供している。すべてのイン ベスター・リレーションズ関連のイベントは、広く一般の人々がアクセスできるインターネット を通じて事前に公表されるだけでなく、リアルタイムで配信されてすべての情報の入手が 可能となっている。さらに、年に2回は、インターネットのチャットラインを通じて、業績や 経営戦略について議論を行っている。 2009 年の年次株主総会では、前年を約14,500 通上回るおよそ35,000 通の招集通知を、電子 媒体を通じて送付した。これは、費用を削減するだけでなく、環境保護にも繋がっている。 当行の利便性の高いインターネット・サービスを利用したり、年次株主総会への入場チケット の送付依頼や当行指定代理人への委任、議決権行使の指示をオンラインで行う株主の数は 大幅に増加し、12,300 人に達した。 格付けは維持 金融危機の発生によるリスクの増大やこれに起因する様々な困難を受けて、格付機関は 2009 年に、世界中の金融機関の格付けを見直した。2009 年、当行は、ムーディーズによる Aa1、スタンダード・アンド・プアーズによるA+、フィッチによるAA-の長期格付けを維持 した数少ないグローバルな大手金融機関であった。 30 株主資本の地域分布 2009 年末時点 46 % ドイツ 31 % 欧州(ドイツを除く) 16 % 米国 6% スイス 1% その他 02 ステークホルダー 顧客 法人・機関投資家向けビジネス 新たな強みに向けて前進 グローバル・マーケッツ: クレジット・デリバティブ * において 主導的地位を維持 市場シェア(単位:%) 14.6 11.8 15 法人・機関投資家向けビジネス(CIB) ・グループ部門は、2008 年第 4 四半期における前例の ない市場の混乱を経て、2009 年は著しい回復を遂げた一年となった。この回復を主に牽引し たのは、いくつかの業務分野において金融危機以前の水準を大きく上回る増収を達成した セールス / トレーディングであった。当行は、主要な地域や商品において、競争上の優位性を 強化した。アドバイザリー・ビジネスは、引き続き市場活動の低迷の影響を受けた。さらに、 金利の低下によってトランザクション・バンキングの収益は打撃を受けた。 11.4 7.8 3 5 1 1 06 07 08 09 5 * 投資適格フロー・クレジット・デリバティブ 業界内における順位。 出典:グリニッチ・アソシエイツ CIBは、コーポレート・バンキング・アンド・セキュリティーズとグローバル・トランザクション・ バンキングの2つのコーポレート部門で構成されている。このうち、コーポレート・バンキング・ アンド・セキュリティーズは、グローバル・マーケッツとコーポレート・ファイナンスのビジネス 部門で構成されている。なお、コーポレート・ファイナンスとグローバル・トランザクション・ バンキングは、合わせてグローバル・バンキングと呼ばれている。 コーポレート・バンキング・アンド・セキュリティーズ グローバル・マーケッツは、債券、株式、株式関連商品、デリバティブ / 店頭デリバティブ、 外国為替、マネー・マーケット、証券化商品、コモディティを含むあらゆる金融商品のセールス、 トレーディング、 ストラクチャリング業務で構成される。法人・機関投資家向け顧客カバレッジは、 グローバル・キャピタル・マーケッツおよび金融法人グループが担当している。グローバル・ マーケッツ・リサーチは、市場、商品およびトレーディング戦略に関し、卓越した調査・分析 を提供している。債券および株式のオリジネーションや引受け、シンジケーションは、 グローバル・マーケッツおよびコーポレート・ファイナンスが共同で運営している。 部門別決算報告からの抜粋(法人・機関投資家向けビジネス1 ) 2009 年の CIB の税引前利益は、43 億ユーロを計上した。コーポレート・バンキング・アンド・セキュリティーズの税引前損 益は、2008 年に 85 億ユーロの税引前損失を計上したのに対し、2009 年は 35 億ユーロの税引前利益を計上した。収益回復の 主な要因としては、 「フロー」のトレーディング商品における好調と信用市場関連資産の評価減が大幅に改善したことが挙げ られる。こうした 2 つの要因は、共に、セールス / トレーディングにおける顧客ビジネスや流動性のある「フロー」商品への 注力が奏功したことを反映している。一方、グローバル・トランザクション・バンキングの2009 年の税引前利益は、2008 年の 11 億ユーロから減少し、7 億 7,600 万ユーロを計上した。この減益の主な要因としては、低金利環境や資産価値の低下、 預託証券関連ビジネスの減少を背景とした減収が挙げられる。 単位:百万ユーロ 2009年 2008年 純収益 18,804 3,201 信用リスク引当金繰入額合計 利息以外の費用 税引前損益 株主資本利益率(税引前、%) リスク・ウェイティッド・アセット 資産 1 1,816 408 12,678 10,213 4,321 ( 7,371) ( 36 ) 23 203,962 249,744 1,343,824 2,047,181 部門別決算報告から抜粋。注記その他詳細については、2009年ファイナンシャル・リポート(マネジメント・リポート)を参照。 31 02 ステークホルダー 顧客 法人・機関投資家向けビジネス 2009 年前半の主要国政府による大規模な協調介入により、投資家の信頼は回復し、取引は 活発化した。ボラティリティは低下し、クレジット・スプレッドは縮小したほか、市場の流動性 は改善し、各資産クラス間の相関はより標準的な水準にまで戻った。しかしながら、証券化 市場は依然として全般的に低迷し、各資産クラスの相関は高水準で推移した。2009年も後半 になるにつれて、マージンや売買高、オリジネーションの取扱高は、年初の異例な水準から 徐々に低下した。 2 ユ 「 「 イ 「 「 イ ア 「 リ 「 こうした状況にもかかわらず、グローバル・マーケッツは成功裡に再編を進め、リスクや レバレッジを低減する一方、市場シェアを拡大し、過去最高の収益を達成した。また、経営 資源の活用を抜本的に見直し、ピーク時と比較してほぼ 3 分の1にまで従業員数を削減する という痛みを伴うが必要な施策を実施したほか、リスク・テイクやバランスシートの活用を 半分以下の水準にまで減少させた。 特に、過去 2 年間にわたる金融危機によって最も大きな影響を受けた資産クラスである、 クレジットと株式においては、 業務への取り組みを根本的に変更した。自己勘定トレーディングや 非流動的リスクの保有を廃止・削減する一方、優良な機関投資家顧客とのリレーション シップや、顧客ニーズに適した効果的な解決策の組成能力を活かして、流動性が高く、取引 規模の大きなビジネスに注力した。また、世界でも有数の商品組成体制を確立し、大口顧客 との関係強化に努めた。 こうした再編は功を奏し、外国為替、マネー・マーケッツ、金利トレーディングにおける主導的 地位をより強固なものとした。特に、コモディティやエマージング・マーケット・デット・トレー ディング、電子取引において成功を収め、8年連続して、ほぼすべての主要競合他社を上回る 業績を達成した。 外国為替セールス / トレーディングは、引き続き最も収益に貢献した業務の一つであり、ユーロ マネー誌より、5 年連続して最優秀外国為替銀行に選ばれ、その地位を強固なものとした。 マネー・マーケッツも、2009 年前半の変動の激しい市場環境のなかで機会を活かし、収益に 大きく貢献した。金利トレーディングは、顧客を重視したテクノロジーや革新的ソリュー ションに投資を行ったことが奏功し、過去最高の業績を収めた。 グローバル・マーケッツ: 外国為替で世界の市場をリード クレジット・ビジネスは、従来からの保有資産を大幅に削減する一方、高い収益を達成した。 クレジット自己勘定取引部門を閉鎖することで、機関投資家顧客向けのフロービジネス内で 資源の再配置が可能となった。エマージング・マーケット債券ビジネスにおいても、予想より 良好であった市場環境のなかで、地域に根差した業務基盤の構築が奏功し、目覚しい回復 を遂げた。 市場シェア(単位:%) コモディティーズ・トレーディングは、引き続き経営戦略上の重点分野であったが、カルガリー に新設したオフィスを通じて業容を拡充し、好業績を達成した。一方、株式ビジネスは、 現物およびプライム・ブローカレッジにおいて市場シェアを獲得し、グローバル・カストディ アン誌から2 年連続で世界最優秀プライム・ブローカーに選出された。株式デリバティブに おいては、機関投資家を対象としたフロー・デリバティブに注力先を変更する一方、株式自己 勘定取引部門を縮小し、収益性を改善した。 10 32 20 21.7 21.0 1 1 1 07 08 09 19.3 19.3 1 1 05 06 16.7 業界内における順位。 出典:ユーロマネー誌外国為替サーベイ 02 2009 年の受賞 ユーロマネー: 「最優秀外国為替銀行」 「最優秀リスク・マネジメント・ハウス」 インターナショナル・ファイナンシング・レビュー(IFR) : 「最優秀デリバティブ・ハウス」 「最優秀投資適格コーポレート・ボンド・ハウス」 インターナショナル・ファイナンシング・レビュー・ アジア(IFRアジア) : 「最優秀ボンド・ハウス」 リスク2009: 「最優秀銀行(総合) 」 ステークホルダー 顧客 法人・機関投資家向けビジネス 2010年には、金融機関への規制が強化されるなか、マージンや取引高はより通常の水準に戻る と予想される。同時に、これまでのような多額のリスク資産の処分やトレーディング関連の 損失計上が繰り返される可能性は少ないと考えられる。財務基盤の強化を求める顧客ニーズ は大きなビジネスチャンスに繫がる。当行は、2010 年の成功に向けて体制を整えていると 確信している。 コーポレート・ファイナンスは、M & A アドバイザリー(M & A) 、株式資本市場(ECM) 、 レバレッジド債券資本市場(LDCM) 、商業用不動産(CRE) 、アセット・ファイナンス & リー シング(AFL) 、 企業貸付けの各業務で構成される。コーポレート・ファイナンスの商品とサー ビスはすべて、各地域で産業別に編成している顧客カバレッジ・チームによって提供されて いる。 コーポレート・ファイナンスは、主要な地域や産業に対する戦略的な投資を通じて、各地域 への展開と顧客重視の姿勢を引き続き強化した。その結果、主要地域における市場シェアは 拡大し、引受けランキングの順位も改善した。 M & A(企業買収・合併)は、2009 年に大幅に減少したが、第 4 四半期においては回復の兆 しがみられた。2009 年には、スペインおよびフランスでの躍進を背景に、欧州において上位 5 位以内(公表案件、金額ベース)の地位を維持したほか、アジアや日本における地位を 大きく改善した。コーポレート・ファイナンスは、カナダで最大規模のエネルギー企業および 世界最大規模の製菓企業の設立に携わったほか、有数の自動車製造グループの形成を目指す 案件においてドイツのスポーツ車製造企業のアドバイザーを務めるなど、2009 年に最も注目 されたM & A 案件のいくつかに関与した。 コーポレート・ファイナンス: * アジア太平洋地域 市場シェアは着実に拡大 市場シェア(単位:%) 6 4.9 3.7 3.8 2 07 08 09 株式資本市場(ECM)は、2009 年、株式市場が回復基調となるなかで、競合他社と比べ 好業績を達成し、過去にない成長力を示した。市場シェアを拡大し、グローバルで第 9 位の 地位を維持した。また、EMEA(東欧 / 中東 / アフリカ)地域で最大となる株式発行案件に 携わった。米国では、IPO(株式新規公開) 、追加株式売出し、転換社債を含むECM 全般に おいて、市場シェアおよびランキング(手数料ベース)で過去最高の成果を収め、全体で 前年の第10 位から2009 年は第 7 位に上昇した。さらに、最大規模の転換社債案件にも関与 したほか、不動産関連でも地位を強化し、第 3 位に上昇した。オーストラリアにおいては、 市場シェアを改善し、第 3 位となった。不動産セクターにおいては第 1 位、金融セクターに おいては第 3 位を占めた。 レバレッジド債券資本市場(LDCM)にとって2009 年は、復調したハイ・イールド債券発行 市場において主導的役割を果たすなど、良好な年となった。銀行借入れの返済期限を迎える 企業が、借換え資金の調達手段としてハイ・イールド債券の発行を検討するようになり、 レバレッジド・ファイナンスにおいて強固な基盤を持つ当行はその恩恵を受けて、グローバルで 第 3 位、EMEA 地域で第1位を占めた。しかしながら、債券引受けにとっては、引き続き困難 な状況が続いた。こうした状況にあっても、当行は、リスク / リターンが妥当な水準にある新規 案件の引受けを継続した。さらに、非常に活発であったセカンダリー・ローン・トレーディング 市場においては、主要マーケットメーカーの一つとしての地位を維持した。 * 日本を除く。 出典:ディーロジック、手数料ベース 33 02 ステークホルダー 顧客 法人・機関投資家向けビジネス 商業用不動産ローンおよび証券市場は、2009 年、引き続き金融危機の影響を受けた。その 結果、商業用不動産(CRE)では、ローンに関連したリスクの軽減や市場リスクの管理、 適切な保証が得られる場合には個別の状況に応じてローンの条件変更交渉を行うことに 注力した。さらに、困難な市場環境にもかかわらず、当行にとって欧州において初めてのファンド ブリーフ債(Pfandbrief)発行やマルチ・ファミリー・ローンCMBS 証券化プログラムに関し フレディマック(米連邦住宅金融抵当金庫)にアドバイスを提供するなど、多数の成果を 収めた。さらに、CREは、北米における商業用不動産ローン担保証券のセカンダリー・マー ケット・メイキングの地位を強化した。主導的なマルチ・ファミリー・GSE(政府系住宅金融 機関:Government sponsored enterprises)ローンのオリジネーション・サービス機関の一つ であるドイツ銀行バークシャー・モーゲージは、ローン・オリジネーション取扱高とサービシング・ ポートフォリオの成長で好業績を達成した。2009 年を通して、CREは、不動産会社、REIT、 金融機関、保険会社、政府機関および規制当局に対し、専門的なアドバイスを提供した。 2009 年の受賞 ディールメーカーズ: 「10年間における最優秀ディール・メーカー(南アフリカ) 」 ユーロマネー アワード・フォー・エクセレンス: 「最優秀銀行(ドイツ) 」 「最優秀投資銀行(英国) 」 「最優秀投資銀行(インド) 」 「最優秀エクイティ・ハウス(北米) 」 ユーロマネー 不動産アワード: 「最優秀銀行(総合) 」 「最優秀銀行(株式関連発行) 」 インターナショナル・ファイナンシング・レビュー: 「最優秀欧州ローン・ハウス」 ザ・アセット: 「最優秀外国投資銀行(豪州) 」 「最優秀M&A ハウス(中国) 」 アセット・ファイナンス & リーシング(AFL)は、困難な市場環境のなかでも安定を維持した。 インフラストラクチャーやプロジェクト・ファイナンスに関連したアドバイザリーでは、 グローバル規模で市場が大幅に下落したにもかかわらず、AFLは、欧州におけるインフラス トラクチャー・セクターの大型案件に関与したことから、アドバイザリーの市場シェアを拡大 した。また、AFL は、再生可能エネルギーやインフラストラクチャーに注力したマルチ・ アセット・クラス・アプローチを継続し、北米やアジアでの展開を続けた。2009年の注目案件 としては、米国における集光型太陽熱発電(CSP:concentrated solar power)プロジェクト に対する60 億米ドルの資金調達で、アドバイザリーを獲得したことが挙げられる。さらに、 AFLは、欧州、アジア、中東における数多くの航空機案件を完了し、同分野で強みを発揮した。 グローバル・トランザクション・バンキング グローバル・トランザクション・バンキング(GTB)は、国内およびクロスボーダー決済、海外 貿易に関わる高度なリスク軽減および資金調達、ならびに信託、取次ぎ、預託、カストディ (証券保管)およびこれらの関連サービスをはじめ、法人顧客および金融機関を対象とした 商業銀行商品およびサービスを提供している。GTBは、事業法人および金融機関を対象とした キャッシュ・マネジメント、貿易金融、法人信託の各業務で構成されている。 2009 年、GTB は、低金利環境や資産価値の低下、顧客取引の減少により影響を受けた。 しかしながら、重要なビジネス・セグメントにおいて市場シェアを拡大し、新たなソリュー ションへの投資を継続したほか、重要な買収について合意した。 グローバル・トランザクション・バンキング: ユーロ建て決済における市場シェア 市場シェア(単位:%) 21.1 20 17.0 16.6 05 06 17.4 18.7 10 07 08 09 出典:ドイツ連邦銀行「Target2 Germany」 34 2 ア 「 機 ユ 「 「 「 「 プ ユ 「 グ 「 ( グ ア 「 ト 「 「 ) 」 02 2009 年の受賞 アジアマネー: 「最優秀キャッシュ・マネジメント・バンク(アジア、金融 機関による投票) 」 ユーロマネー: 「最優秀キャッシュ・マネジメント・プロバイダー(西欧) 」 「最優秀トレード・ファイナンス・プロバイダー(西 / 中 / 東欧) 」 「第2位トレード・ファイナンス・プロバイダー(北 / 中 / 南米) 」 「世界主要市場における米ドル / ユーロ建て決済上位 3 位 プロバイダー」 ユーロウィーク: 「最優秀MTN発行および支払代理人」 グローバル・カストディアン・エージェント・バンク・レビュー: 「最優秀グローバル・エマージング・マーケッツ・プロバイダー (クロスボーダー顧客による投票) 」 グローバル・カストディアン 2009 ヘッジファンド・ アドミニストレーション・サーベイ: 「第2 位ヘッジファンド・アドミニストレーター」 トレジャリー・マネジメント・インターナショナル: 「最優秀グローバル・キャッシュ・マネジメント・プロバイダー」 「最優秀グローバル・リスク・マネジメント・バンク」 ステークホルダー 顧客 法人・機関投資家向けビジネス キャッシュ・マネジメントは、引き続き「質への逃避」からの恩恵を享受し、過去12カ月に わたり市場シェアを拡大したほか、ユーロ建て決済機関としての主導的地位をさらに強固な ものとした。SEPA(単一ユーロ支払地域)業務基盤への投資や、クロスカレンシー決済を 行うFX4Cashの拡充を継続した。さらに、携帯電話からの指示で送金や決済が可能となる サービスを開始するため、モバイル決済で主導的地位にある企業と連携するなど、将来の 決済業務の基盤となる投資も行った。2009 年は、事業法人を対象としたSEPA 戦略の遂行に よって、引き続き成果を収めたほか、SEPA への取り組みにおいて主導的金融機関として市場 から評価を受けた。2009 年 11月に導入した低額送金向けの SEPA 互換システムも、幅広く 活用されている。 貿易金融は、グローバルに市場シェアを拡大し、商品およびサービスの拡充に向けた投資を 行った。景気低迷による取引量の低下にもかかわらず、国際・国内取引におけるリスク回避 の動きから、リスクを軽減した貿易金融商品やサービスに対し強い需要が示された。また、 輸出信用機関や民間保険会社と協力し、いくつかの注目される貿易金融ファシリティの組成 を重点的に行った。さらに、特に東欧や中東、ラテンアメリカにおいて、大規模シンジケート・ ローンの組成に主導的役割を果たした。 法人信託サービスは、引き続き提供商品の拡充を図った。コメルツ銀行 AGからドレスナー銀行 AG の第三者証券貸出ビジネスを買収したほか、主要な人材を複数採用することで、サブ・ カストディ業務をさらに強化した。証券決済業務の基盤を引き続き拡充し、第三者オルタナ ティブ・ファンド管理サービスの預かり資産は、前年比で2 倍以上となった。また、主要事業 法人の米国預託証券(ADR)や株式登録に関わる案件も獲得した。伝統的な社債管理業務 およびストラクチャード・ファイナンス・サービスは、市場取引高の低下にもかかわらず 主導的地位を維持し、ディストレスト資産の管理・処分などの分野で顧客に効率的な解決策を 提案するなど、いくつかの新しいサービスを開始した。 35 02 ステークホルダー 顧客 個人・資産運用ビジネス 回復基調を続ける 個人・資産運用ビジネス(PCAM) ・グループ部門は、個人および法人顧客を対象とする資産 運用ビジネスと、個人顧客および中堅企業を対象とする銀行業務で構成されている。 2009 年はPCAMにとって戦略上、非常に重要な年となった。特に、ホームマーケットである ドイツ国内の個人顧客ビジネスで、主導的地位を強化する施策を講じ、金融危機後の環境に 適した基盤の再編を継続した。困難な状況が続いたにもかかわらず、PCAMの業績は大幅に 改善した。運用資産総額は、増加傾向を取り戻し、前年比 640 億ユーロ増加して 8,800 億 ユーロとなった。この増加要因としては、主に、2009 年を通じて市場心理が改善したことに 加え、前年は30 億ユーロに過ぎなかった新規純資金の流入が、130 億ユーロとなったことが 挙げられる。 資産運用: 運用資産の地域分布 合計 4,960 億ユーロ (単位:十億ユーロ、2009 年末時点) 214 ドイツ 210 米州 29 欧州(ドイツ、英国を除く) 22 アジア太平洋 21 英国 PCAMは、資産運用およびウェルス・マネージメント(AWM)と個人顧客および中堅企業 (PBC)の、2つのコーポレート部門により構成されている。 資産運用およびウェルス・マネージメント 資産運用およびウェルス・マネージメント(AWM) ・コーポレート部門は、資産運用とプラ イベート・ウェルス・マネージメントの2つのビジネス部門で構成されている。資産運用では、 個人投資家に対して幅広い投資信託商品とオルタナティブ投資商品を提供する一方、機関 投資家には、幅広い運用商品を包括的に提供している。プライベート・ウェルス・マネージ メントは、世界中の個人富裕層やその家族を対象にサービスを提供している。 資産運用(AM)ビジネス部門は、2009 年、金融危機を背景とした顧客取引の減少の影響を 受けたが、この影響は年間を通して徐々に弱まり、第 3四半期には利益を計上するに至った。 2009 年、AM は、中核業務への注力体制を見直し、費用の削減、主要ビジネスの規模の 適正化、業務リスクの軽減、特に不動産やインフラストラクチャーにおける一部資産の評価 減といったビジネスモデルの再編を実施した。 部門別決算報告からの抜粋(個人・資産運用ビジネス 1 ) 2009年のPCAMの税引前利益は、 2008年の4 億2,000万ユーロに対し、 6 億6,000万ユーロとなった。資産運用およびウェルス・ マネージメント・コーポレート部門は、2008 年には 5 億 2,500 万ユーロの税引前損失を計上したが、2009 年には 2 億 200 万 ユーロの税引前利益を計上した。こうした改善は、特に、減損費用の戻入れや、2008 年に発生した特殊要因による費用の 影響がなくなったことに起因している。2009 年の個人顧客および中堅企業・コーポレート部門の税引前利益は、2008 年の 9 億 4,500 万ユーロに対し、4 億 5,800 万ユーロとなった。この減益は、2008 年第 4 四半期に生じた市場の混乱を背景に、個人 投資家の活動が慎重となったことを受けた減収に起因している。また、信用リスク引当金繰入額や退職費用の増加も影響した。 単位:百万ユーロ 純収益 信用リスク引当金繰入額合計 利息以外の費用 税引前利益 株主資本利益率(税引前、%) リスク・ウェイティッド・アセット 資産 1 2009年 2008年 8,264 9,041 806 668 6,804 7,972 660 420 8 5 49,073 53,533 174,738 188,785 部門別決算報告から抜粋。注記その他詳細については、2009年ファイナンシャル・リポート(マネジメント・リポート)を参照。 36 02 DWS:ドイツにおける 主導的な投資信託会社 運用資産総額 (単位:十億ユーロ、2009 年末時点) 150 137.9* ステークホルダー 顧客 個人・資産運用ビジネス 資産運用(AM)ビジネス部門は、 個人顧客向け投資信託ビジネス(DWSインベストメンツ) 、 オルタナティブ資産運用(RREEF)、法人顧客向け資産運用(DB アドバイザーズ)、保険 資産運用(ドイチェ・インシュアランス・アセット・マネジメント)の 4 つの業務で構成され ている。AM の 2009 年 12 月31日時点の運用資産残高は、2008 年末時点から 330 億ユーロ 増加し、4,960 億ユーロとなった。この増加の要因としては、2009年下半期以降の90 億ユーロ の新規純資金の流入が挙げられる。 個人顧客向け投資信託 100 50 * ドイツ銀行の投資信託商品を含む。 DWS 競合他社 出典:BVI 個人顧客向け投資信託ビジネスのグローバルな運用資産残高は、2009 年末時点で1,660 億 ユーロとなり、 前年比で190億ユーロの増加となった。ホームマーケットであるドイツ国内では、 投資信託会社として主導的地位を維持した。欧州では、 投資信託の提供会社として上位10 位 以内を占めている。こうした実績は、多数の受賞に繫がった。DWSは、2009 年、中核商品 に注力したほか、商品開発の基盤のフランクフルトへの一元化を進めた。 米国市場において地位を維持する一方、特にインドや韓国、台湾、中国といったアジアへの 注力を強めた。アジアにおける中核戦略プロジェクトには、中国で第 4 位に位置する投資信託 運用会社であり、当行が 30 %を出資するハーベスト・ファンド・マネジメントとの連携拡大 が含まれる。 オルタナティブ資産運用 RREEFの運用資産残高は、 2009年末時点で410億ユーロ(2008年末は500億ユーロ)となった。 金融危機や資産価値下落の影響を受け、RREEFは、業務リスクの大幅軽減や、不動産管理業務 の外部委託などのいくつかの施策を実施した。インスティテューショナル・インベスター誌 の年次調査では、RREEF は、運用資産残高で世界第 5 位の不動産資産運用会社であった (2008年末時点) 。RREEFアジア太平洋不動産証券ファンドは、2009年、最優秀パフォーマンス・ ファンドに選ばれた。 RREEF は、コンソーシアムを組むパートナー企業と共に、2009 年に欧州最大規模となった 不動産関連案件に参加し、3 棟のランドマーク・オフィスと 944 の銀行支店で構成される、 スペインの不動産ポートフォリオを取得した。 法人顧客向け資産運用 DB アドバイザーズの運用資産残高は、2009 年末時点では、2008 年末時点から 90 億ユーロ 増加し、1,730 億ユーロになった。顧客サービスや販売、特にコンサルタントとの関係強化に 注力した結果、当行の商品はコンサルタントから積極的な推奨を得て、80 億ユーロにおよぶ 新規資金を獲得した。DB アドバイザーズは、ドイツにおける強固な地位を維持し、法人 顧客からの運用資産規模で第 2 位を占めた。DB アドバイザーズは、グローバルな展開も 推進し、欧州最大の機関投資家市場を持つ英国において、特に債券投資戦略に関連した運用 資産を拡大した。ラテンアメリカでは、ペルーやコロンビアで新たにビジネスを開始した 一方、中国におけるジョイントベンチャーであるハーベスト・ファンド・マネジメントを 通じて、アジアにおけるビジネスを拡大した。 37 02 ステークホルダー 顧客 個人・資産運用ビジネス 保険資産運用 ドイチェ・インシュアランス・アセット・マネジメント(DIAM)の 2009 年 12 月31日時点 における運用資産残高は、2008 年末時点の1,020 億ユーロに対し、1,160 億ユーロとなった。 DIAMは2009 年に70 億ユーロの純資金を獲得した。DIAMは、保険会社が資産運用を外部 委託するグローバルな潮流の恩恵を引き続き享受した。大規模な保険会社へのサービスを 継続する一方で、より規模の小さな保険会社との関係も構築した。保険会社へアドバイスを 提供するコンサルタントとの良好な関係により、2009年には前年を上回る資金流入となった。 2009年、DIAMは、運用資産規模において保険資産運用会社としてトップの地位を維持した。 リアクションズ誌より、2年連続してグローバルな保険資産運用会社としてトップに選ばれた ほか、2009 年、ロンドン市場における保険資産運用会社としてもトップに選ばれた。 プライベート・ウェルス・マネージメント(PWM) ・ビジネス部門は、富裕層向けビジネス において世界でも主導的な地位を占めており、個別の顧客ニーズに適した金融サービスを グローバル規模で提供している。世界 30カ国に約 3,800人の従業員を擁し、先進国と新興国 を合わせた世界 106カ所で約 78,000 人の顧客のニーズに適したサービスを提供することで、 強固な地位を築いている。2009 年には、スイスのサンモリッツに新しい拠点を開設した。 2009 年末時点のPWMの運用資産残高は、1,900 億ユーロであった。 世界的な金融危機に直面して顧客の投資行動は大きく変化し、運用資産をリスクが低く 流動性の高い商品やサービスにシフトさせた。市場の大きな混乱からその後の安定へと向かう なかで、PWMは、当行グループの商品だけでなく、第三者金融機関が提供する選別された 商品も取り扱うことで、個人富裕層とその家族、特定機関の個別ニーズに合ったサービスの 提供を継続して行っている。さらに、PWMは変化の速い市場環境に対応し、そうした市場 環境下で恩恵を享受できる手段を提供するダイナミック・アセット・アロケーションに注力 している。また、遺産相続、芸術や社会貢献活動に関するアドバイスのほか、家族経営や金融 仲介業者を対象として、様々な解決策を提案している。 PWMは、グローバルな金融危機においても底力を発揮し、2009年には運用資産残高は前年 比15 %、額にして260 億ユーロ増加した。良好な市場環境と、70 億ユーロの新規純資金の 流入が、この増加に寄与した。しかしながら、2009 年においてPWMにも金融危機の影響は みられ、第1四半期には運用資産残高は大きな減少圧力を受けた。運用資産残高が明らかに 増加傾向を示したのは、第 2四半期になってからであった。 2009年、PWMの特筆すべき出来事としては、サル・オッペンハイム jr. & Cie. S.C.A.の所有者 との間で、サル・オッペンハイム・グループの株式を100 % 取得することで基本合意に至った ことが挙げられる。サル・オッペンハイムは、1789年以降同族経営が続く、ドイツおよび欧州 における主導的なプライベート・バンクであり、2009 年 12 月 31日時点の運用資産残高は 約1,320 億ユーロにのぼっている。この合意により、当行は、ホームマーケットであるドイツ 国内における主導的地位をさらに強化し、欧州全体における事業基盤の拡大を図ることが 可能になった。今後は、プライベート・バンクとして定評あるブランドを活かして、資産 運用およびウェルス・マネージメントの業容を維持・拡大することで、サル・オッペンハイムの アイデンティティーや文化、サービスの質を維持していく方針である。 38 プライベート・ウェルス・マネージメント: 困難な環境下での回復 運用資産総額(単位:十億ユーロ、年末時点) 200 189 194 163 190 164 100 9 15 13 10 7 05 06 07 08 09 新規の純資金流入額(単位:十億ユーロ) 02 個人顧客および中堅企業: 安定的な預金残高の推移 貯蓄 / 定期 / 要求払預金 (単位:十億ユーロ、年末時点) 150 118 116 96 66 72 50 05 06 07 08 09 ステークホルダー 顧客 個人・資産運用ビジネス PWMは、アジア太平洋地域の成長市場における基盤の強化にも注力する。PWMは、同地 域において30 億ユーロにおよぶ純資金流入を獲得し、アジアリスク誌より「最優秀プライ ベート・バンク」に選ばれたほか、アジアマネー誌のプライベート・バンキング・サーベイ では、24 部門のうち9 部門で第1位にランクされるなど、同地域における主要な富裕層向け アドバイザーとして引き続き高く評価されている。 PWMはドイツ国内においても、前年比 53 % 増の50 億ユーロにのぼる新規純資金を獲得し、 ウェルス・マネージメント・サービスの提供で広く高い評価を得ている。その結果、ユーロ マガジン誌より、2年連続で最優秀ウェルス・マネージャーに選ばれた。 超富裕層向け(UHNW)ビジネスにおいては、PWMは既にグローバルに強固な基盤を確立 しているが、特に主要地域でのさらなるシェアの拡大に取り組んでいる。その一環として、 英国において戦略的な人員強化を図った。また、米国においては引き続き利益を維持したほか、 預金残高も増加した。 PWM では、リスク管理や環境管理において金融業界で最高の水準を維持していくことを 引き続き最優先事項として、これに注力している。また、当行は、顧客重視の企業文化を推進 する一方、当行自身の評価の維持にも取り組んでいる。PWMは、グローバルに強固な事業 基盤を基に、最高水準の顧客サービスの提供に努めており、今後も持続的成長を続けていける ものと考えている。 個人顧客および中堅企業 個人顧客および中堅企業(PBC) ・コーポレート部門は、世界の各地で個人および中堅企業の 顧客に対し、支店を通じた銀行サービスや金融サービスを提供している。ホームマーケットで あるドイツ国内においては主導的地位を維持している。PBCの商品およびアドバイザリー・ サービスには、支払いや当座預金、投資信託、証券、個人顧客や事業法人への融資、資産 運用や個人退職プランなどが含まれている。 PBCは、ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギー、ポルトガル、ポーランド、インド、中国に1,821の 支店を有し、3,000人以上の独立したファイナンシャル・アドバイザーを通じてサービスを提供 している。さらに、ドイツのDVAG(Deutsche Vermögensberatung AG)やイタリア郵便事業 の金融サービス部門であるBancoPostaといった、高く評価されている外部パートナーとの 協力関係によって、さらに広い顧客基盤へのアクセスが可能になっている。また当行は、 多くの国において、個別ブランドのもとで簡潔で費用効果の高い銀行商品の標準的サービス の提供も行っている。例えば、 ドイツではノーリスバンクのブランドでもサービスを提供して いるほか、ポーランドにおいてはdb kredytブランドでもサービスを提供している。 非常に困難な経済・事業環境にもかかわらず、PBCは2009 年に良好な業績を収めた。顧客 数は1,460 万人で安定的であった。2008 年にビジネスの拡大と費用 / 収益比率の低下を目指 して導入した「成長と効率化プログラム」を2009 年も継続した。 39 02 ステークホルダー 顧客 個人・資産運用ビジネス PBCは、ホームマーケットであるドイツ国内において、2008 年に合意した独ポストバンクAG との協力を実行に移した。その範囲は、標準的アドバイザリー・サービスの提供や金融商品 の相互販売に加え、 情報技術(IT)や共同購入にまで拡大している。当行は、独ポストバンク AGとの連携を通じ、大きな相乗効果を発揮し、長期的成長に繋げることを目指している。 これまでのところ、連携は順調に推移し、予想を上回る成果を上げている。 個人顧客および中堅企業: ドイツにおける支店数の安定的推移 (年末時点) 1,000 931 930 930 07 08 09 871 2009年には、ノーリスバンクも良好に推移し、同行の顧客数は大幅に増加し、 収益性も当初の 予想を上回るものとなった。ベルリン銀行に関しては、情報技術(IT)システムのPBC 統合 プラットフォームへの移行を開始したが、今後もベルリン銀行のドイツにおける強固な ブランドは維持していく。 ドイツ国内決済業務では、プロセスや組織を再編した結果、効率性が大幅に上昇した。 イタリアでは、特に、ドイツ銀行ブランドによるアドバイザリー・ビジネスが順調に拡大した。 預金取扱高は12 % 増加し、84 億ユーロとなった一方、顧客数は 4 % 増となった。スペイン では、収益が拡大し、一連の効率化推進策を順調に実施した。ベルギーでは、一般的な個人 顧客ビジネスが回復し、同国におけるPBCは黒字に転じた。ポルトガルでは、数年間にわたる 支店ネットワークへの投資が実を結び、年間で初めての利益を計上した。ポーランドでは、 PBCはさらにその業務を拡大することができた。 アジアでは、成長路線を維持した。当行は、中国の華夏銀行への出資比率を17.1 %に引き上 げることに合意した。インドでは、 市場特有の課題に適したビジネスモデルへと調整を図った。 べトナムではHabubank(ハノイ住宅商業銀行)との協力関係を強化した。 40 770 600 200 05 06 02 ステークホルダー 顧客 コーポレート・インベストメンツ 独ポストバンクAGの 少数株主持分の取得 コーポレート・インベストメンツ: 保有事業会社株式の減少 取得価格ベース(単位:十億ユーロ、年末時点) コーポレート・インベストメンツ(CI) ・グループ部門は、当行のグローバルな自己投資事業 を統括している。これには、残存する事業会社株式の保有や、独ポストバンクAGなどその 他の株式保有、特定の不動産およびクレジット・エクスポージャーを含むその他の非中核 資産の保有が含まれる。 3 2.2 2.3 2.1 2 1.1 1 0.1 05 06 07 08 09 2009 年には、当行の長期戦略に沿って保有する事業会社株式をさらに売却し、2009 年末 時点で時価1億 5,400 万ユーロにまで削減した。これには、ダイムラー AGの株式保有比率を 2.7 %から0.04 %に削減したことに加え、リンデ AGの残る保有持分 2.4 %を売却したことも 含まれる。 2009 年末時点で、CIは、2009 年 2月に取得した独ポストバンクAGに対する少数株主持分を 含む、株式保有に関連した84 億ユーロの資産を保有していた。このほか、出資持分保有には、 港湾会社であるマハール・ターミナルやラスベガスのザ・コスモポリタン・リゾート・アンド・ カジノへの投資も含まれている。マハールとコスモポリタンは共に、中核ビジネスには含まれ ておらず、2009年に各々、資産運用とコーポレート・バンキング・アンド・セキュリティーズ からCIへ移管された。 2009 年末時点において、その他の非中核資産残高は161億ユーロとなった。2009 年12月、 ドイツ・ファンドブリーフ銀行 AG(旧ヒポ・リアル・エステート銀行 AG)に対する120 億 ユーロの流動性ファシリティは全額が返済された。しかし、同じく12月に、当行は、金融市場 安定化基金(SoFFin)によって全額保証された92 億ユーロの欧州中央銀行(ECB)適格債券 を購入することで、ドイツ・ファンドブリーフ銀行 AGに対する新たな流動性ファシリティを 供与した。さらに当行は、ドイツにおけるリーマン・ブラザーズ事業に対する債権者申立てに 関連した Sicherungseinrichtungsgesellschaft deutscher Banken mbH(SdB)への流動性 ファシリティの供与にも参加し、23 億ユーロのSoFFin 保証付きECB 適格債券を取得した。 部門別決算報告からの抜粋(コーポレート・インベストメンツ 1) 2009 年、CIの税引前利益は、前年の12 億ユーロに対し、4 億 5,600 万ユーロを計上した。収益は、主に独ポストバンク AG の 少数株主持分取得に関連している。 単位:百万ユーロ 純収益 信用リスク引当金繰入額合計 利息以外の費用 税引前利益 2009年 2008年 1,044 1,290 8 ( 1) 581 95 456 1,194 リスク・ウェイティッド・アセット 16,935 2,677 資産 28,456 18,297 1 部門別決算報告から抜粋。注記その他詳細については、2009年ファイナンシャル・リポート(マネジメント・リポート)を参照。 41 02 ステークホルダー 顧客 コーポレート・センター 取締役会を執行面で支援 コーポレート・センターは、ドイツ銀行のインフラストラクチャー部門の一部として、取締役会 が経営責任を果たす上で必要な戦略、リスク管理、経営管理機能を提供し、取締役会を支援 する。その大部分の機能は、事業を展開している地域のビジネス部門とグローバルに連携して いる。独立の報告ラインを持ちつつも、市場と緊密に連携するこうした業務モデルは、当行 のリーダーシップと組織文化の主要要素となっており、2009 年もその有効性を実証した。 コーポレート・センターは、ファイナンス、監査、税務、法務、リスク / 資本管理、インベスター・ リレーションズ、広報 & CSR、人事、グループ戦略 & プランニング、DBリサーチにより構成 されている。 ドイツ銀行: Tier 1自己資本比率の増加 (単位:%、年末時点) 15 12.6 ファイナンスは、2009年も再編を進め、包括的な目標やコントロール・システムを導入すると 同時に、 報告システムの透明性のさらなる向上に取り組んだ。グループ戦略 & プランニングは、 第4 段階の経営戦略やさらなる戦略の立案において取締役会を支援した。 金融・経済危機とそれに伴う金融市場における不透明感の強まりや、新たな規制の動きに対 する複雑な議論を背景として、法務やリスク / 資本管理、ファイナンス、税務、インベスター・ リレーションズ、 グループ戦略 & プランニングといったインフラストラクチャー部門に対する 需要が特に強まり、迅速で的確に対応できる能力がこれまで以上に重要となった。 広報& CSR は、グローバル規模でメディア・リレーションズや社内コミュニケーション、 ブランド・コミュニケーション、CSR プログラムの推進に取り組んでいる。2009 年には、 すべての市場において当行のプロフィールと評価を強化することに貢献した。 安定した流動性と資本の維持 法務、リスク / 資本管理のなかにある財務(トレジャリー)は、2009 年を通じて当行が常に 十分な流動性を保有できるようその確保を行った。極めて困難な市場環境にもかかわらず、 当行は2009 年末には、Tier 1自己資本比率をその導入以来最も高い水準である12.6 %にまで 増加させることができた。 42 8.5 8.6 051 062 073 5 課題の克服 2009年、人事は、当行がグローバルな金融業界において「選ばれる雇用主」として確固とした 地位を確立することを目指した。グローバルなマーケット・リサーチに基づき、特に新規雇用の 従業員に対応するための「雇用主の価値命題(エンプロイヤー・バリュー・プロポジション) 」 を再定義した。 8.7 10.1 US-GAAPに基づく。 IFRSに基づく。 IFRS(バーゼルI)に基づく。 4 IFRS(バーゼルII)に基づく。 1 2 3 084 094 02 ステークホルダー 従業員 多様性を重視する企業文化 多様性を重視する企業文化 従業員数の減少 * (単位:千人、年末時点) 90 78.3 80.5 77.1 68.8 63.4 60 30 05 06 07 08 09 * 常勤相当 当行のビジネスモデルは、金融危機を順調に乗り越え、持続的で底固いことを証明し、当行 従業員もこの強固なビジネスモデルから恩恵を享受した。2009 年には、危機によって継続的 に影響を受けた一部の分野では、一定の調整は避けられなかったものの、競合他社の多くが 行ったような大規模な従業員数の調整を実施する必要はなかった。2009年末時点における グローバルの総従業員数(常勤相当)は、前年末より4.2 % 減少し、77,053人となった。 市場の混乱の影響を最も受けた CIB の従業員数の減少は、2008 年に比べ遥かに小規模の 641人にとどまった。この減少の影響を最も受けたのは、ロンドン、ニューヨーク、香港の 金融センターであった。PCAMの従業員数(常勤相当)は、 2008年末の32,645人から1,997人 減少し、2009 年末には 30,648 人となった。従業員数の調整は、特定の地域や市場で実施 され、特に影響を受けたのは、米国における資産運用およびウェルス・マネージメントと、 2008 年10月に成長と効率化促進プログラムを導入したPBCであった。当行グループ全体に 社内サービスを提供するインフラストラクチャー部門では、771人の減少となった。インド、 フィリピン、バーミンガム(英国) 、ジャクソンビル(米国)に設置したサービスセンターでは、 約1,000人の増員となったものの、その他の拠点で約1,800人の減少となった。 従業員の年齢構成や平均勤続年数(10.1年)は、2009 年にほとんど変化はなかった。 有能な人材の獲得を目指す当行にとって、従業員の年齢構成の変化は大きな課題である。 2009 年には、ドイツにおいて1,429人の研修生を受け入れ、グローバル規模で771人の大卒 社員を採用した。8 週間の夏季インターンシップ・プログラムでは、グループ全体で670人の 学生に対して、日常業務の実務体験の場を提供した。当該プログラムは、有望で才能ある 若者を発掘できる機会であると同時に、大学卒業前に彼らに当行への関心を高めてもらう上 で役立っている。 選ばれる雇用主として 当行は引き続き市場で最も有能な人材を獲得・維持することに尽力し、事業を展開するいず れの地域においても金融業界において選ばれる雇用主となることを目指している。この一環 として、2009 年には、包括的なグローバル・マーケット・リサーチに基づき、 「雇用主の価値 命題(エンプロイヤー・バリュー・プロポジション) 」 (EVP)を再定義することに戦略上の重点 を置いた。新たなEVPでは、有能な応募者が当行に期待できることや、当行が応募者に期待 することが提示されている。この新たなEVPは、人材の採用活動や雇用育成のあらゆる施策 に取り入れられている。 インターネットは、当行への就職を希望する者にとって最も重要な情報源となっている。 インターネットを最大限活用し、当行に関する情報を的確に発信するために、2009年、当行は 採用ウェブサイト(www.db.com/careers)を刷新した。 43 02 ステークホルダー 従業員 多様性を重視する企業文化 国際的な調査によると、当行の雇用主としての人気は、金融危機の時期においても高水準 を維持しただけでなく、一部地域では上昇した。約 12 万人の有力大学の学生を対象とした ユニバーサム2009「世界で最も魅力ある雇用主(World’ s Most Attractive Employers) 」調査 では、19 位に選ばれた。また、ヘイ・グループによる「最も尊敬される企業(Most Admired Companies) 」上位10 社では、当行は銀行セクターで7 位に上昇した。 海外駐在従業員数 2009 年末時点:9,784人 1 30 % 英国 28 % アジア太平洋 魅力ある職場環境 当行は、従業員に、働きがいのある魅力ある職場環境を提供している。業績連動型報酬の ほかにも、医療健診や個人的事項に関するアドバイス、ストレス予防策、健康とフィットネス、 子供や家族のケア支援に至るまで、多数のベネフィットを提供している。 当行は、フレックスタイムを導入するなど、仕事と家庭のバランスをとれるよう支援を行って いる。2001年以降、当行ならびに一部子会社の従業員は、ワーキング・ライフ・タイム・ アカウント db zeitinvest のシステムを通じて、個々のワークライフに応じた勤務時間の組成 を行うことが可能になっている。さらに2009 年には、法改正を受け、従業員にさらに柔軟な 選択肢を提供できるように当該モデルの修正を行った。 新しい報酬制度 金融危機を受け報酬体系の適正化への要請が高まったが、当行が従来より導入していた業績 連動型報酬制度は、概ねこうした要請に合致したものであった。しかしながら、当行は、銀行 業界の報酬制度や慣行、とりわけ変動報酬に対する社会的批判を真摯に受け止め、速やかに 報酬制度への修正を行った。例えば、2009 年には、金融安定理事会(FSB)が設定した原則 やドイツ連邦金融サービス監督庁(BaFin)によるガイドラインの遵守に着手した。 新しい報酬制度の主要な修正点として、変動報酬部分を削減し、それに応じて固定報酬部分 が引き上げられることになる。一部従業員については、負担したリスクやそれに見合う資本 配分、利益の持続性などをより詳細に勘案して変動報酬部分が定められることになる。また、 業績好調時には賞与が支払われる一方、業績不振時には一部報酬を「 撤回 」できる選択肢 (malus system)も報酬制度に導入した。変動報酬の大半は、株式の形で付与されるが、 その権利付与は最大で3年9カ月の間繰り延べることができる。また、当行が損失を計上した 場合は、その全部または一部を付与しないことができる。取締役に対する報酬制度も同様の 原則に基づいている。 (詳細については、2009 年ファイナンシャル・リポートの116 頁以降、 報酬リポートに記載されている。 ) 44 16 % 欧州 (ドイツ、英国を除く)、 中東、アフリカ 14 % 米州 12 % ドイツ 1 二重国籍を含む、常勤相当。 02 高い従業員コミットメント指数 * 指数上限 =100 80 74 77 71 68 多様性を重視する企業文化 能力開発と継承プランの確立 2009年、当行は12,000人を超える従業員を対象に「タレント・レビュー」調査を実施し、業績 や潜在能力、昇進への心構えに基づく評価を行った。当該調査は、従業員に適した能力開発 方法を明らかにし、今後のキャリア開発の支援を可能にするものである。このほかにも、 当行は、ビジネスおよび財務、管理職研修、リーダーシップ能力開発、チームおよび対人関係 能力開発など、広範囲にわたる専門的な研修機会を従業員に提供している。 68 60 05 ステークホルダー 従業員 06 07 08 09 * 年次。当行従業員に対する独立機関による匿名調査。 当行は、特に上級管理職をはじめとする主要な人材の能力開発や維持のために、幅広い機会 を提供している。この一環として、当行全体で有望な人材を選定し、個別に設計された キャリアプランや継承プランの提供を行っている。 多様性への取り組みと推進 当行では、多様性を、当行の企業文化の根幹であり、ビジネス上も不可欠なものであると 位置付けている。当行は、国籍や宗教、人種、個人的指向、性別、年齢、民族に関わりなく、 実績を重視している。また、多様な文化的背景を持つ従業員が、国境を越えて互いに協力し て業務を遂行することが、長期的に競争力を維持していくためには必要であると確信し ている。当行は139カ国におよぶ国籍を有する従業員の雇用主として、偏見のない、刺激的で しかも包容力のある職場環境を確保することが求められている。そのために、2009 年には 経営陣の指揮のもとで、 世界の様々な拠点において多様性委員会を結成した。当該委員会は、 当行の戦略上の目標に沿ったグローバルな多様性戦略が、各地域においても遂行されること に責任を負っている。 2009年、当行はとりわけ女性管理職の活動に注目した。2009年も引き続き、長く活動してきた 女性会議や女性ネットワークの推進を支援した。さらに、ヨゼフ・アッカーマン取締役会 会長の提唱のもとで、女性上級管理職の比率増加と女性幹部候補の養成を目的とする ATLASプログラム(Accomplished Top Leaders Advancement Strategy)を開始した。 強いコミットメント 当行は、グループ全体の従業員の満足度とコミットメントに関する独立機関による匿名調査を、 1999 年以降定期的に実施している。2009 年には、従業員コミットメント指数が、調査開始 以来、最も高い水準である77(2008 年は74)に達した。これは、過去数十年で最も深刻な 金融危機を受けて、 2009年にはグローバルな投資銀行が世論の強い圧力にさらされたなかでの 結果であり、従業員と当行との強い一体感の表れであると言える。 45 02 ステークホルダー 社会 社会資本の創出 社会資本の創出 当行は、企業の社会的責任(CSR)を、社会と自らの将来への投資であると考えている。責任 ある企業市民として、 社会資本の創出を目標に置いている。当行が果たすべき社会的責任は、 国際競争力を維持し、利益を上げて企業として成長することである。 グローバルな社会的責任への取り組み: 活動分野別の投資比率 当行は、困難な経済状況下においても、企業市民としての役割を一貫して果たしてきた。2009年 にもまた、当行が注力する持続性、企業ボランティア、社会投資、芸術・音楽、教育の5つの 分野のCSR関連プログラムやプロジェクトに、総額 8,000 万ユーロ超の投資を行った。 39 % 社会投資 29 % 教育 27 % 芸術・音楽 5% 企業ボランティア 2009 年総額 8,110 万ユーロ 持続性:実現に向けて 当行は、安定した環境の確保に向けて、自ら環境への恒久的な取り組みを推進し、その責任を 果たしている。2009 年には、 「2012年までの気候変動中立化の達成」プロジェクトのために、 ドイツやイタリア、スイスにおいて再生可能エネルギーを購入したほか、ISO14001 認定手続に 基づくグローバルな持続性管理システムを各地域レベルで導入するなど、個別の施策を実施 した。また、画期的な太陽エネルギープロジェクトである「デザーテック(Desertec) 」の 実現に向け、その推進を担うDII GmbH の設立に、13 社のうちの 1 社として参画した。 2009 年以降、当行従業員は、社内イントラネット上の研修アプリケーションを活用している。 当該アプリケーションでは、数年前から当行ガイドラインに取り入れられてきた、国連グロー バルコンパクトの指針に基づくビジネス上の持続性に関する基本原則が説明され、従業員が 日々の業務を遂行する上で、環境に責任ある行動をいかに実践するかが例示されている。 企業ボランティア:コミットメント 当行の支援のもとで、自らの経験と専門能力を活かし慈善活動や取り組みに貢献する従業員 の数は、グローバル規模でこれまで以上に増加している。従業員のこうした姿勢は、社会的 責任とは当行にとってお金を超える価値を持つものであることを示している。2009 年、 グローバルで14 %の従業員が、CSRプログラムの企業ボランティアに参画し、その延べ日数は 33,422日にのぼった。 社会投資:機会の創出 当行は、社会的取り組みを通じて、人々が失業や貧困から脱却する機会を提供し、自立を可能 にする支援を行っている。当行は、過去10年以上にわたり、マイクロファイナンスを推進する 金融機関の一つとして主導的な役割を果たしており、マイクロファイナンス関連商品の開発 においても先導的役割を務めてきた。また、経済的に恵まれない地域のインフラ整備の向上 にも取り組み、ロンドンで最も経済的に困難な地域の一つであるショアディッチ地区再生 プロジェクトでは、2009 年の「地域社会におけるビジネス(Business in the Community) アワード」を受賞した。 さらに、ドイツ銀行アルフレート・ヘールハウゼン・ソサエティーは、イスタンブールにおける 地域的取り組みである、7 歳から10 歳の子供を対象とした音楽プロジェクト「平和のための 音楽(Barış İcin Müzik) 」に、 「ドイツ銀行 都市の時代(Urban Age)アワード」を授与した。 46 02 上昇するSAM持続性評価 金融機関 指数上限=100 80 73 69 67 77 69 60 52 48 48 51 48 40 05 06 07 08 09 ドイツ銀行 世界平均 出典:SAM リサーチ・インク ステークホルダー 社会 社会資本の創出 芸術・音楽:創造性の支援 芸術的な創造性は、人々の心を解き放ち、新しい視点を与え、偉業を達成する上で大きな 力となる。こうした考えのもとで、当行は、才能ある若手芸術家を支援し、より多くの人が 芸術や音楽に触れる機会を創出することに取り組んでいる。 「ドイツ銀行コレクション (Deutsche Bank Collection) 」は、世界で最大規模を誇る有数の企業アート・コレクションの 一つに数えられており、所蔵する現代作品を世界中の当行オフィスや展覧会で展示している ほか、美術館や文化施設への貸出しも行っている。2009 年の注目すべき活動としては、イス タンブールで開催したジョセフ・ボイズ(Joseph Beuys)の展覧会が挙げられる。この展覧会 の作品は、2010 年から2011年にかけて、中南米の 7 つの美術館においても展示される予定 である。当行は、2010年の「アーティスト・オブ・ザ・イヤー(Artist of the Year) 」に、当行 が支援する世界中の若手アーティストの代表として、ケニア出身のワンゲチ・ムトゥ (Wangechi Mutu)を選出した。 クラシック・オーケストラの世界最高峰の一つとされるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は、 当行の支援のもとで、クラシック音楽界で初となる「デジタル・コンサート・ホール(Digital Concert Hall) 」を立ち上げた。2009 年1月以降、世界中の多数のクラシック音楽愛好家が、 インターネットを通じ、高度な画質と音質でベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の生演奏 を聴くことが可能となった。 教育:才能の育成 教育は、社会の成長と繁栄のために極めて重要である。世界中の子供や若者を対象とした 当行の教育分野の取り組みでは、性別や人種、両親の学歴を問わず平等な機会を提供し ている。 この一環として当行では、米国で「指導者としての教師(Teachers as Leaders) 」プロジェクト を展開し、恵まれない地域における子供たちのロールモデルとして教師を支援している。 当行は多くのプロジェクトを通じて、若者が持てる能力や才能を引き出す機会の提供を目指 している。 学術面の協力としては、フランクフルトの金融研究センター(Center for Financial Studies) との連携により、 第 3回「金融経済学におけるドイツ銀行賞(Deutsche Bank Prize in Financial Economics) 」を、金融経済学における基礎研究で高い評価を得ている米国のエコノミスト、 ロバート・J. シラー(Robert J. Shiller)に授与した。 グローバルな社会的責任活動の詳細は、 「2009 年社会的責任報告書」に記載されている。 47 新しい時代における強さ Mary-Vic Tuban 48 ドイツ銀行は、競合他社と比べうまく混乱を乗り越えています。その一端を担う インフラストラクチャー部門で微力ながらも貢献できたことは大きな喜びです。 メアリー・ヴィク・トゥバン Mary-Vic Tuban ドイチェ・ナレッジ・サービス、マニラ 49 連結決算書 03 50 03 連結決算書 損益計算書 損益計算書 損益計算書 単位:百万ユーロ 利息および類似収益 利息費用 純利息収益 信用リスク引当金繰入額 信用リスク引当金繰入額控除後の純利息収益 2009年度 26,953 14,494 12,459 2,630 9,829 2008年度 54,549 42,096 12,453 1,076 11,377 2007年度 64,675 55,826 8,849 612 8,237 手数料およびフィー収益 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産 / 負債に係る純利益(損失) 売却可能金融資産に係る純利益(損失) 持分法適用投資に係る純利益(損失) その他の収益(損失) 利息以外の収益合計 8,911 7,109 ( 403) 59 ( 183 ) 15,493 9,741 ( 9,992 ) 666 46 699 1,160 12,282 7,175 793 353 1,377 21,980 給与手当 一般管理費 保険業務に係る費用 無形資産の減損 再構築費用 利息以外の費用合計 11,310 8,402 542 ( 134 ) – 20,120 9,606 8,339 ( 252 ) 585 – 18,278 13,122 8,038 193 128 ( 13 ) 21,468 5,202 244 4,958 ( 15 ) 4,973 ( 5,741 ) ( 1,845 ) ( 3,896 ) ( 61) ( 3,835 ) 8,749 2,239 6,510 36 6,474 2008年度 ( 7.61 ) ( 7.61 ) 2007年度 13.65 13.05 税引前利益(損失) 法人所得税費用(ベネフィット) 当期純利益(損失) 少数株主に帰属する純利益(損失) ドイツ銀行株主に帰属する純利益(損失) 普通株式1株当たり利益 単位:ユーロ 基本的 希薄化後 1 単位:百万株 基本的1株当たり利益計算上の分母−加重平均流通株式数 希薄化後1株当たり利益計算上の分母−転換想定後の修正加重平均株式数 1 2009年度 7.92 7.59 628.1 655.4 504.1 504.2 474.2 496.1 想定される転換による分子への影響が含まれている。 51 03 連結決算書 貸借対照表 貸借対照表 資産 単位:百万ユーロ 現金および銀行預け金 利付銀行預け金 中央銀行ファンド貸出金および売戻条件付買入有価証券(逆レポ) 借入有価証券 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産 トレーディング資産 デリバティブ金融商品のプラスの時価 純損益を通じて公正価値で測定するものとして指定された金融資産 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産合計 このうち、2009年および2008年12月31日現在でそれぞれ79十億ユーロおよび69十億ユーロは、 債権者に担保として差入れたもので、売却または再担保差入れが可能 売却可能金融資産 このうち、2009年および2008年12月31日現在でそれぞれ492百万ユーロおよび464百万ユーロは、 債権者に担保として差入れたもので、売却または再担保差入れが可能 持分法適用投資 貸出金 土地建物および設備 のれんおよびその他の無形資産 その他の資産 当期税金資産 繰延税金資産 資産合計 2009年12月31日現在 9,346 47,233 6,820 43,509 2008年12月31日現在 9,826 64,739 9,267 35,022 234,910 596,410 134,000 247,462 1,224,493 151,856 965,320 1,623,811 18,819 7,788 258,105 2,777 10,169 121,538 2,090 7,150 1,500,664 24,835 2,242 269,281 3,712 9,877 137,829 3,512 8,470 2,202,423 2009年12月31日現在 344,220 45,495 5,564 2008年12月31日現在 395,553 87,117 3,216 64,501 576,973 73,522 7,278 722,274 42,897 154,281 1,307 2,141 2,157 131,782 10,577 – 1,462,695 68,168 1,181,617 78,003 5,977 1,333,765 39,115 160,598 1,418 2,354 3,784 133,856 9,729 4 2,170,509 1,589 14,830 24,056 ( 48 ) – ( 3,780 ) 36,647 1,322 37,969 1,500,664 1,461 14,961 20,074 ( 939 ) (3 ) ( 4,851) 30,703 1,211 31,914 2,202,423 負債および資本 単位:百万ユーロ 預金 中央銀行ファンド借入金および買戻条件付売却有価証券(レポ) 貸付有価証券 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債 トレーディング負債 デリバティブ金融商品のマイナスの時価 純損益を通じて公正価値で測定するものとして指定された金融負債 投資契約負債 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債合計 その他の短期借入金 その他の負債 引当金 当期税金負債 繰延税金負債 長期債務 信託優先証券 自己普通株式購入義務 負債合計 株主持分 普通株式、無額面、名目価額2.56ユーロ 資本剰余金 利益剰余金 自己普通株式、取得原価 自己普通株式購入義務振替額 損益計算書に認識されていない純利益(損失)、税引後 株主持分合計 少数株主持分 資本合計 負債および資本合計 52 03 連結決算書 キャッシュ・フロー計算書 キャッシュ・フロー計算書 単位:百万ユーロ 当期純利益(損失) 営業活動によるキャッシュ・フロー: 当期純利益を営業活動によるキャッシュ・フローに調整するための修正: 信用リスク引当金繰入額 再構築費用 売却可能金融資産、持分法適用投資およびその他の売却益 繰延法人所得税、純額 減損、減価償却およびその他の償却、および評価増 持分法適用会社の純利益に対する持分 非資金損益項目等調整後利益(損失) 営業資産および負債の純変動に関する調整: 利付定期銀行預け金 中央銀行ファンド貸出金、売戻条件付買入有価証券、借入有価証券 トレーディング資産およびデリバティブ金融商品のプラスの時価 純損益を通じて公正価値で測定するものとして指定された金融資産 貸出金 その他の資産 預金 トレーディング負債およびデリバティブ金融商品のマイナスの時価 純損益を通じて公正価値で測定するものとして指定された金融負債および投資契約負債 中央銀行ファンド借入金、買戻条件付売却有価証券、貸付有価証券 その他の短期借入金 その他の負債 優先長期債務 その他、純額 営業活動によるキャッシュ・フロー 投資活動によるキャッシュ・フロー: 収入: 売却可能金融資産の売却 売却可能金融資産の満期償還 持分法適用投資の売却 土地建物および設備の売却 購入: 売却可能金融資産 持分法適用投資 土地建物および設備 企業結合 / 事業売却による純資金支出額 その他、純額 投資活動によるキャッシュ・フロー 財務活動によるキャッシュ・フロー: 劣後長期債務の発行 劣後長期債務の返済および償還 信託優先証券の発行 信託優先証券の返済および償還 株式を基礎とした報酬制度に基づく普通株式の発行 増資 自己株式の購入 自己株式の売却 少数株主への配当の支払い 少数株主持分の純変動 現金配当の支払い 財務活動によるキャッシュ・フロー 現金および現金同等物に対する為替レート変動の純影響 現金および現金同等物の純増加(減少) 現金および現金同等物、期首残高 現金および現金同等物、期末残高 営業活動によるキャッシュ・フローは以下を含む 法人所得税支払(還付)額、純額 利息支払額 利息および配当受取額 現金および現金同等物の構成要素 現金および銀行預け金 利付要求払銀行預け金(2009年12月31日現在5,030百万ユーロ、2008年12月31日現在9,301百万 ユーロおよび2007年12月31日現在4,149百万ユーロの定期預金を含んでいない) 合計 2009年度 4,958 2008年度 ( 3,896 ) 2007年度 6,510 2,630 – ( 656 ) ( 296 ) 1,782 ( 189 ) 8,229 1,076 – ( 1,732 ) ( 1,525 ) 3,047 ( 53 ) ( 3,083 ) 612 ( 13 ) ( 1,907 ) ( 918 ) 1,731 ( 358 ) 5,657 4,583 ( 4,203 ) 726,237 24,890 17,213 21,960 ( 57,330 ) ( 686,214 ) ( 7,061 ) ( 40,644 ) 2,592 ( 15,645 ) ( 7,150 ) ( 1,243 ) ( 13,786 ) ( 3,964 ) 24,363 ( 472,203 ) 169,423 ( 37,981 ) 38,573 ( 56,918 ) 655,218 ( 159,613 ) ( 97,009 ) ( 14,216 ) ( 15,482 ) 12,769 ( 2,760 ) 37,117 7,588 5,146 ( 270,948 ) ( 75,775 ) ( 22,185 ) ( 42,674 ) 47,464 173,830 70,232 69,072 6,531 21,133 22,935 ( 1,216 ) 16,790 9,023 8,938 574 39 19,433 18,713 680 107 12,470 8,179 1,331 987 ( 12,082) ( 3,730) ( 592 ) ( 20 ) ( 1,749 ) 401 ( 37,819 ) ( 881 ) ( 939 ) ( 24 ) ( 39 ) ( 769 ) ( 25,230 ) ( 1,265 ) ( 675 ) ( 648 ) 463 ( 4,388 ) 457 ( 1,448 ) 1,303 – – – ( 19,238 ) 18,111 ( 5) 109 ( 309 ) ( 1,020 ) 690 ( 13,715 ) 65,264 51,549 523 ( 659 ) 3,404 – 19 2,200 ( 21,736 ) 21,426 ( 14 ) 331 ( 2,274 ) 3,220 ( 402 ) 39,166 26,098 65,264 429 ( 2,809 ) 1,874 ( 420 ) 389 – ( 41,128 ) 39,729 ( 13 ) 585 ( 2,005 ) ( 3,369) ( 289) 8,744 17,354 26,098 ( 520 ) 15,878 28,211 ( 2,495 ) 43,724 54,549 2,806 55,066 64,675 9,346 9,826 8,632 42,203 51,549 55,438 65,264 17,466 26,098 53 新しい時代における強さ Anthony Heyward 54 教師という仕事を選ぶことは、単に一つの職業を選択することではなく、地域社会に 投資することだと考えています。ドイツ銀行グループの「指導者としての教師 (Teachers as Leaders) 」プロジェクトは、教師としての私に投資することを通じて、 私の生涯にわたるキャリアで関わるすべての若者に恩恵を与えることに繋がります。 アンソニー・ヘイワード Anthony Heyward ニューヨーク 55 04 Further Information Confirmations and Management Bodies Report of the Supervisory Board 追加情報 04 56 ク 監 04 追加情報 監査役会報告書 監査役会報告書 各国政府ならびに中央銀行の尽力にもかかわらず、2009 年の資本市場は、経済危機にまで 発展した金融危機の大きな影響を再び受けた。金融危機と将来にわたる危機を防ぐための 諸施策が、金融機関に与えた影響は日増しに明白になっている。金融機関に対するより厳格な 規制や自己資本比率の増加、リスク管理の強化、報酬制度の見直しなどが、今後行われると 考えられる。ドイツ銀行は、こうした変化をこれまでも受け入れてきたが、今後も積極的に 対応を図っていく所存である。 クレメンス・ベルジッヒ 監査役会会長 過去数十年で最も深刻な金融危機となった2008年に続く2009年、ドイツ銀行は税引前利益を 計上し、Tier 1自己資本比率は12.6 %に上昇した。コア Tier 1自己資本比率は8.7 %となった。 資本基盤の強化は取締役会ならびに監査役会にとって、引き続き最重要課題である。また、 本年の株主配当提案の際にも資本基盤の重要性を考慮に入れた。特に、 当行の戦略とビジネス モデルは、変化する市場や規制に対応したものであった。こうした結果、 リスク・ウェイティッド・ アセットは2009年第1四半期と2009年末の間に400 億ユーロ以上削減することに成功した。 当行取締役会ならびに従業員の多大なる献身に謝意を表したい。 2009年、当行は多数の法規制上の変化に対応し、その多くの場合でコーポレート・ガバナンス の強化と監査役会のさらなる尽力が必要とされた。2009 年、監査役会は、当行の経済・財務 状況や事業環境、リスクポジション、さらには事業計画と内部管理システムについて包括的な 議論を行った。取締役会とは、事業戦略や経営課題となっている施策の遂行について、詳細な 議論を行った。取締役会から、事業方針や運営戦略、財務、収益状況、リスク / 流動性 / 資本 政策に関する基本的事項に加え、当行に重要な取引や事案について、遅滞なく定期的に報告 を受けた。監査役会は取締役会に助言を行い、取締役会による経営を監視した。また、根本的 に重要性の高い事案の決定に関与した。重要な議題や今後の決定について、監査役会会長と 取締役会会長の間で定期的な議論が行われた。定例会議のない期間も、監査役会は取締役会 より、重要事項について文書で報告を受けた。必要に応じて、文書の回覧による決議も行わ れた。 監査役会会議 監査役会は、2009 年度中に 7 回の会議を行った。 2009 年 2月4日に開催された第1回会議において、2008 年の事業展開および年次財務書類の 主要数値、2008 年の計画と実績の比較、配当の提案、2009 年から2011年までの事業計画に ついて議論した。さらに、会長統括委員会の提案に基づく主要な契約上の要因と同時に取締役 の報酬システムを承認した。 57 04 追加情報 監査役会報告書 2009 年 3月17日の財務書類に関する会議では、監査委員会の推薦と監査人との議論を経て、 2008 年度財務書類の承認、確定を行った。さらに、同会議では、コンプライアンスおよび反 マネーロンダリング報告書ならびにコーポレート・ガバナンス報告書についての議論に加え、 2009年から2011年までの事業計画についても承認が行われた。また、会長統括委員会の推薦 に基づいて、新たに4 人の取締役会メンバーを2009 年 4月1日から3 年間の任期で任命した。 さらに、主要なリスクポジションとグループ全体のリスク管理に関する広範な情報を入手した。 リージョナル・アドバイザリー・ボードとドイツ国内アドバイザリー・カウンシルの構成変更 についても報告を受け、2009 年年次株主総会の決議案に関し承認を行った。 2009 年 4月27日に開催された特別会議では、2009 年第1四半期の業務状況について報告さ れた。さらに、一般の憶測に対応するため、2009 年 7 月28日の取締役会で、アッカーマン 取締役会会長の任期を3 年間延長し、2013 年の通常株主総会終了までとする提案を行う意向 を示した。 2009 年 5 月15日に開催された特別会議においては、独立調査を依頼しているクリアリー・ ゴットリーブ・スティーン & ハミルトン法律事務所が提出した、コーポレート・セキュリティに 関わる出来事の暫定報告書について詳細な議論を行った。 年次株主総会の前日の会議では、コーポレート・セキュリティの調査状況に関する報告を 受けた。また、年次株主総会の進行と公表されている反対提案について議論を行い、必要に 応じて決議が行われた。 2009年7月28日、2009年上半期の当行の状況について報告が行われた。予定通り、アッカーマン の取締役会会長の任期を、3 年間延長し、2013 年の通常株主総会終了までとした。さらに、 コーポレート・セキュリティに関わるクリアリー・ゴットリーブ・スティーン & ハミルトン法律 事務所の最終報告書を受領し、詳細な議論を行った。グローバル・マーケッツ統括責任者で あるジェインは、ビジネスの進展と商品についての概略を説明した。2009年6月に政府委員会 が承認したドイツ・コーポレート・ガバナンス法の補遺に基づき、監査役会、会長統括委員会、 監査委員会、取締役会の参照事項について決議され、同法の新しい勧告のすべてが実行された。 ドイツ会計基準近代化法(BilMoG) 、取締役報酬の適正性に関する法律(VorstAG) 、金融市場 と保険監督強化法(GSFV)の厳格な規制に関する詳細が報告された。 2009年10月28日に開催された同年最後の会議では、サル・オッペンハイムの買収に同意した。 また、ABN アムロのオランダにおける商業銀行業務の大半を買収することに関し、買収の 修正フレームワークにも同意した。2009 年第 3 四半期の業務の進展について報告を受け、 取締役会と共に、今後の戦略の遂行や対応する目標、取るべき施策について議論した。さらに、 法規制上の変更や20カ国・地域首脳会合(G20)の決議が当行に与える影響についても議論 した。ランベルティは、人事政策や継承についての人事報告書を報告した。 58 04 追加情報 監査役会報告書 2009 年度、すべての監査役会メンバーは、監査役会会議にわずかな例外を除いて出席した。 監査役会委員会 会長統括委員会は 2009 年度中に 7 回の会議と 2 回の電話会議を行った。定例会議のない 期間も、会長統括委員会の委員長は、委員会メンバーと重要事項について定期的に議論した。 会長統括委員会は、特に、取締役の報酬システムについて、主要な契約上の要因や取締役 報酬に対する新規の法規制上の要求事項を検討したほか、新任取締役の任命準備、取締役会 による参照事項や事業配分計画に対する契約の延長や継承計画、調整について検討を行った。 さらに、監査役会決議の準備やコーポレート・セキュリティに関わる調査報告についても 議論した。必要に応じて、取締役の副次的な活動や他企業における取締役就任についても 承認した。さらに、監査役会決議に基づき、独ポストバンクAGの株式を最大 7 %まで資本 市場において取得するという取締役会における決定を承認した。最後に、ドイツ・コーポ レート・ガバナンス法の新たな勧告や提案の実行に関しても議論し、監査役会が、監査役会 メンバーの役員責任賠償保険に免責金額(自己負担額)を設けることを勧告した。 リスク委員会は、6回の会議で、ドイツ法および基本定款のもとで承認を必要とする当行の エクスポージャーについて、必要に応じて承認した。同委員会は、信用リスク、流動性リスク、 カントリーリスクおよび市場リスクとは別に、法的リスクならびに風評リスクについても議論 した。また、グローバルな金融危機の進展に伴う当行のリスクポジションとその影響について も議論した。このなかには、トレーディングに関わるリスク低減の施策やレバレッジド・ ファイナンス、商業用不動産融資、モノライン保険におけるリスクの進展についての議論が 含まれた。財務に関しては、現在および将来に法規制上要求される資本(リスク・ウェイティッド・ アセット)や当行の流動性ポジションの進展について、特に議論が集中した。さらに、特定の 計画に従ってグローバル規模の産業ポートフォリオが提示された。 監査委員会は 2009 年度中に 9 回の会議を開催し、当行監査人代表も定期的に出席した。 議題は、2008 年財務諸表および連結財務諸表の監査、四半期財務諸表、米国SEC 様式 20-F ならびに6-K、半期報告書に関するものであった。 59 04 追加情報 監査役会報告書 また、2009 年度監査人選任の提案や監査人依頼書の発行、監査対象の重点領域の特定、 監査人報酬の決議、ドイツ・コーポレート・ガバナンス法ならびに米国公開企業会計監視 委員会(PCAOB)規則に従った監査人の独立性の証明も行った。監査委員会は、前年度まで と同様に、監査人との間に利害関係がないことを確信している。さらに、内部管理システムに 関するサーベンス・オクスレー法の規定の遵守について詳細にわたり確認した。監査委員会は、 内部管理システム、リスク管理、内部監査の効率性について確信しており、財務報告や会計 プロセスについて監視した。必要に応じて、監査役会の承認を得るための決議が提案・承認 された。監査委員会は、監査人を含む会計事務所による非監査業務や監査人による内部監査 業務に関する報告書に加え、法的リスクおよび風評リスク、特別調査、規制当局による重要 な発見に関する報告書を定期的に受け取った。当年の内部監査計画は承認された。監査 委員会は、会計や内部会計システム、監査事項について、何らの苦情も受け取らなかった。 2009 年最後の会議では、取締役会と当行監査人から2009 年度財務書類に対し予定している 重点領域についての情報を入手した。そのなかには、IAS(国際会計基準)第 39 号に従った 資産の区分変更やコーポレート・インベストメンツの特定資産の評価、リスクポジション、予定 されている監査手続きに関する情報が含まれていた。さらに、 中核資本の認定の概要や業績、 バランスシート管理についての報告も受けた。 指名委員会とドイツ共同決定法(MitbestG)の規則に基づき設置された仲裁委員会は、その 必要がなかったため、2009 年には開催されなかった。 各委員会の委員長は、各委員会の業務について定期的に監査役会に報告した。 コーポレート・ガバナンス 監査役会と会長統括委員会は、2009 年 7月にドイツ・コーポレート・ガバナンス法の新たな 勧告ならびに提案の実行に関して議論した。監査役会は新たな勧告の実行を決議し、監査役会 や会長統括委員会、監査委員会、取締役会の参照事項を順次修正した。 60 04 追加情報 監査役会報告書 さらに、会長統括委員会と監査役会は、数回の会議において、取締役報酬の新たな規制に ついて議論した。監査役会は、 取締役報酬の適正性に関する法律(VorstAG)の規制に従い、 2010 年1月1日付けで、取締役会メンバーの役員責任賠償保険に免責金額(自己負担額)を 設けることを決議した。また、同日付けで、役員責任賠償保険の免責金額を、監査役会メンバー についても同様に設けることとした。その結果、取締役会および監査役会は、2010年1月1日 以降、ドイツ・コーポレート・ガバナンス法のすべての勧告を遵守していることになる。さらに、 監査役会は、取締役報酬の体系や2009年の業績連動型報酬の妥当性についての確認、必要な 調整の提案、比較データや資料の提供を行う、独立報酬コンサルタントのアドバイスを受ける ことを決議した。 2009 年 10 月の会議で、当行独自の質問票に基づく、監査役会と監査役会委員会に対する 効率性見直しの実行を決議した。この結果は、2010 年 4月から7月にかけて、各種委員会で 議論される予定である。 監査役会は、監査役会が経営陣から独立したメンバーを適切な人数有していると判断した。 監査役会はまた、2002 年サーベンス・オクスレー法第 407 条に基づき米国証券取引委員会 (SEC)が制定している規則に定義されている通り、監査委員会メンバーはすべて経営陣から 独立していると判断した。クレメンス・ベルジッヒとカール・ゲルハルト・アイックは、米国 証券取引委員会(SEC)ならびにドイツ株式会社法(AktG)第107 条 4 項と第100 条 5 項が 規定する財務専門家であると判断された。 2008年10月に発行された監査役会と取締役会によるドイツ株式会社法(AktG)第161条への 適合宣言は、2009 年10月28日に再発行され、監査役会メンバーの役員責任賠償保険に免責 金額を設けたことを受け、2010 年1月5日に更新された。 2010年1月5日に発行された適合宣言を含んだ当行コーポレート・ガバナンスの包括的な記述は、 2009 年ファイナンシャル・リポートの 320 頁以降に掲載されているが、当行ホームページ (www.deutsche-bank.de/ir/en/content/corporate_governance.htm)でも入手できる。 監査役会、監査役会委員会、取締役会の参照事項も各々、最新版が同時に入手できる。 利害関係および対処 リスク委員会は、ドイツ銀行法(KWG)第15条で規定されている融資の承認を行った。当該 決議については、借り手企業の監査役やその他の理由で利害関係を有する可能性がある当行 監査役会メンバーは、議論ならびに投票に参加しなかった。 61 04 追加情報 監査役会報告書 ベルジッヒは、コーポレート・セキュリティで起こった出来事の調査や外部コンサルタントに よる関連調査に関して、個人的に関連するものについては、監査役会、監査委員会、会長 統括委員会の決議に関する議論ならびに投票に参加しなかった。監査役会や会長統括委員会 の各会議は、副会長のルックあるいはトーデンヘーファーの主導により開催された。2009 年 4月27日に開催された会長統括委員会では、ベルジッヒはアッカーマンの継承計画に関する いくつかの議論に参加しなかった。これらの議論は、トーデンヘーファーが主導した。また、 ベルジッヒは、当行の現職ならびに前経営陣が当行を代表して行う主導的役割に関して、 コーポレート・センターが提供する支援に対する会長統括委員会の決議に参加しなかった。 さらに、ベルジッヒは、取締役会の現旧メンバーに対するDB エクイティ・ユニットとDB リストリクテッド・エクイティ・ユニットからの株式配分に関わる、会長統括委員会の協議 ならびに投票にも参加しなかった。これらの決議は、ベルジッヒの参加なしに承認された。 アイックは、利害関係の可能性があるため、サル・オッペンハイム買収に関わる議論ならびに 投票に参加しなかった。 個々の監査役会メンバーについて、潜在的な利害対立が場合により存在した。例えば、2009年 に従業員代表のフェルスターとルックは、ドイツ銀行プリヴァート・ウント・ゲシェフツクンデン AG監査役会メンバーを務めていたため、関連する議論に参加しなかったほか、各メンバーが 所属していない委員会で議論が行われたケースも存在した。潜在的な利害対立に関わる その他の特別な施策は必要なかった。 訴訟 前年までと同様に、監査役会は、重要な訴訟に関して定期的に情報提供を受け、今後の対応 について議論した。このなかには、2003 年から2009 年までの各年次株主総会に関わる取消 訴訟や情報請求訴訟、 ドイツ銀行およびブロイヤーに対するキルヒ氏の訴訟が含まれている。 2008 年 5月29日の年次株主総会における株主代表の選出手続きには、数名の株主から異議 が申し立てられたが、裁判所の判断はまだ出ていない。 2003年6月10日の年次株主総会における株主代表選出については、ドイツ最高裁の最終判決 を受け、2009 年 2月16日に地方裁判所で確定した。 さらに、重要な訴訟については、監査役会に定期的に報告され、監査委員会とリスク委員会 には詳細な報告が行われた。 62 04 追加情報 監査役会報告書 年次財務諸表 昨年の株主総会で選任された年次財務諸表の監査人であるKPMGアクツィエンゲゼルシャフト 会計監査会社(フランクフルト・アム・マイン)は、会計および 2009 年財務諸表および マネジメント・リポート、2009年連結財務諸表(注記を含む)およびマネジメント・リポートの 監査を行い、個々について適正意見を表明した。監査委員会は、年次財務諸表や連結財務諸表 (監査報告書を含む)を検討し、監査人と包括的な議論を行った。監査委員会委員長は、 本日開催された監査役会において本件を報告した。監査役会は、監査人による報告書を検討し、 包括的な議論を経た後、監査委員会による勧告に合意し、また独自の検討も行った末に反論 の必要はないとの決断を下した。 本日、監査役会は取締役会が作成した年次財務諸表を確定し、連結財務諸表を承認した。また 監査役会は、取締役会による利益配分に関わる提案に同意する。 人事 2009 年 3月17日に開催された監査役会で、取締役会メンバーを増員し、新たに4 名の任命を 決議した。2009 年 4 月1日付けで、マイケル・コアーズ、ユルゲン・フィッチェン、アン シュー・ジェイン、レイナー・ネスケが、3 年間の任期で、ドイツ銀行 AG取締役会メンバー に任命された。コアーズは、1995 年に当行に入行し、2002 年以降グループ経営執行委員会 メンバーを務めている。取締役会では、グローバル・バンキングを統括する。フィッチェンは、 1987年に入行し、 2001年から2002年初旬まで取締役会メンバーを務めた経験がある。2002年 以降、グループ経営執行委員会メンバーを務めている。リージョナル・マネジメント(地域 運営)を統括する。ジェインは、1995年に入行し、2002年にグループ経営執行委員会メンバー に就任した。グローバル・マーケッツを統括する。ネスケは、1990 年に入行し、2003 年に グループ経営執行委員会メンバーならびにドイツ銀行プリヴァート・ウント・ゲシェフツクン デン AG取締役会会長に就任した。ドイツ銀行 AG取締役会では、個人顧客および中堅企業を 統括する。 2010 年 3月12日 フランクフルト・アム・マイン 監査役会 クレメンス・ベルジッヒ 会長 63 04 追加情報 監査役会 監査役会 Dr. Clemens Börsig Suzanne Labarge – Chairman, Frankfurt am Main Toronto Maurice Lévy Karin Ruck* – Deputy Chairperson Deutsche Bank AG, Bad Soden am Taunus Chairman and Chief Executive Officer of Publicis Groupe S. A., Paris Henriette Mark* Wolfgang Böhr* Deutsche Bank AG, Dusseldorf Deutsche Bank AG, Munich Gabriele Platscher* Dr. Karl-Gerhard Eick Deputy Chairman of the Management Board of Deutsche Telekom AG until February 28, 2009; Chairman of the Management Board of Arcandor AG from March 1, 2009, until September 1, 2009, Cologne Heidrun Förster* Deutsche Bank Privat- und Geschäftskunden AG, Berlin Deutsche Bank Privat- und Geschäftskunden AG, Braunschweig Dr. Theo Siegert Managing Partner of de Haen Carstanjen & Söhne, Dusseldorf Dr. Johannes Teyssen Chief Operating Officer and Deputy Chairman of the Management Board of E.ON AG, Oberding Alfred Herling* Marlehn Thieme* Deutsche Bank AG, Wuppertal Deutsche Bank AG, Bad Soden am Taunus Gerd Herzberg* Tilman Todenhöfer Deputy Chairman of ver.di Vereinte Dienstleistungsgewerkschaft, Hamburg Managing Partner of Robert Bosch Industrietreuhand KG, Madrid Werner Wenning Sir Peter Job London Chairman of the Management Board of Bayer AG, Leverkusen Prof. Dr. Henning Kagermann Co-Chief Executive Officer of SAP AG until May 31, 2009, Königs Wusterhausen Leo Wunderlich* Deutsche Bank AG, Mannheim Martina Klee* Deutsche Bank AG, Frankfurt am Main * ドイツの従業員による選任 64 04 追加情報 監査役会 委員会 会長統括委員会 監査委員会 指名委員会 Dr. Clemens Börsig – Chairman Dr. Karl-Gerhard Eick – Chairman Dr. Clemens Börsig – Chairman Heidrun Förster * Dr. Clemens Börsig Tilman Todenhöfer Karin Ruck* Sir Peter Job Werner Wenning Tilman Todenhöfer Henriette Mark* 仲裁委員会 Karin Ruck* Dr. Clemens Börsig – Chairman Marlehn Thieme* Wolfgang Böhr * リスク委員会 Karin Ruck* Dr. Clemens Börsig – Chairman Tilman Todenhöfer Sir Peter Job Prof. Dr. Henning Kagermann Suzanne Labarge – Substitute Member Dr. Theo Siegert – Substitute Member * ドイツの従業員による選任 65 04 追加情報 グループ4 年間の記録 グループ 4 年間の記録 貸借対照表 単位:百万ユーロ 2009年12月31日現在 2008年12月31日現在 2007年12月31日現在 2006年12月31日現在 1,500,664 258,105 1,462,695 36,647 1,322 34,406 37,929 2,202,423 269,281 2,170,509 30,703 1,211 31,094 37,396 1,925,003 198,892 1,885,688 37,893 1,422 28,320 38,049 1,520,580 178,524 1,486,694 33,169 717 23,539 34,309 単位:百万ユーロ 純利息収益 信用リスク引当金繰入額 手数料およびフィー収益 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産 / 負債に係る純利益(損失) その他の利息以外の収益(損失) 利息以外の収益合計 給与手当 一般管理費 保険業務に係る費用 無形資産の減損 再構築費用 利息以外の費用合計 税引前利益(損失) 法人所得税費用(ベネフィット) 当期純利益(損失) 少数株主に帰属する純利益(損失) ドイツ銀行株主に帰属する純利益(損失) 2009年度 12,459 2,630 8,911 7,109 ( 527 ) 15,493 11,310 8,402 542 ( 134 ) 20,120 5,202 244 4,958 ( 15) 4,973 2008年度 12,453 1,076 9,741 ( 9,992 ) 1,411 1,160 9,606 8,339 ( 252 ) 585 – 18,278 ( 5,741 ) ( 1,845 ) ( 3,896 ) ( 61 ) ( 3,835 ) 2007年度 8,849 612 12,282 7,175 2,523 21,980 13,122 8,038 193 128 ( 13 ) 21,468 8,749 2,239 6,510 36 6,474 2006年度 7,008 298 11,192 8,892 1,476 21,560 12,498 7,143 67 31 192 19,931 8,339 2,260 6,079 9 6,070 主要数値 2009年度 € 7.92 € 7.59 € 0.50 14.6 % 15.3 % 72.0 % 12.6 % 13.9 % 77,053 2008年度 ( € 7.61 ) ( € 7.61 ) € 4.50 ( 11.1 ) % ( 16.5 ) % 134.3 % 10.1 % 12.2 % 80,456 2007年度 € 13.65 € 13.05 € 4.00 17.9 % 24.1 % 69.6 % 8.6 % 11.6 % 78,291 2006年度 € 12.96 € 11.48 € 2.50 20.3 % 27.9 % 69.8 % 8.5 % 12.5 % 68,849 資産合計 貸出金 負債合計 株主持分合計 少数株主持分 Tier 1自己資本 資本合計 損益計算書 基本的1株当たり利益(損失) 希薄化後1株当たり利益(損失) 期中1株当たり支払配当金 平均株主持分合計利益率(税引後) 税引前平均株主持分合計利益率 費用 / 収益比率 Tier 1自己資本比率 1 総自己資本比率 1 従業員数(常勤相当) 1 2008 年および 2009 年の比率は、ドイツ銀行法とソルベンシー規制( “Solvabilitätsverordnung” )に従っており、これは 2004 年にバーゼル銀行監督委員会が策定した バーゼル II による新しい自己資本のフレームワークをドイツ法に適用したものである。一方、2006 年および 2007 年の比率は、バーゼル I のフレームワークに基づいて おり、比較対象外となっている。 66 04 追加情報 用語解説 用語解説 アルファ (Alpha) バーゼルII キャッシュ・フロー計算書 ベンチマークを上回る投資収益。 バーゼル銀行監督委員会が従来のバーゼル I 当会計年度中に、企業による事業、投資、 に代わり導入した新たな自己資本の枠組み 財務活動の結果として発生し、支出した で、 特にリスクポジションの計算を修正した。 キャッシュ・フローの計算・提示、 ならびに オルタナティブ資産 / 投資 プライベート・エクイティ(別記参照)、 期首・期末における現金および現金等価物 ベンチャー・キャピタル、 メザニン・キャピタル BIS (現金準備) の調整。 への直接投資、不動産キャピタル投資、 国際決済銀行 (本拠はバーゼル) 。 レバレッジド・バイアウト・ファンド投資、 キャッシュ・マネジメント ベンチャー・キャピタル・ファンド、 ヘッジ ブローカー / ブローカレッジ 事業法人や金融機関が、財務活動の最適化 ファンド (別記参照) 。 ブローカーは、銀行や個人投資家から証券 を図るために行う、 ドル、ユーロ、 その他通貨 売買の注文を受け、顧客に代わって注文を 建ての流動資産管理。 執行することで、 通常、 手数料を受け取る。 米国預託証券 (ADRs) 米国銀行が発行し、米国銀行に預託した 決済 非米国株式を表す譲渡可能預かり証書。 バイアウト 支払指図に関する送金、照合および一部 手続きの簡略化やコスト削減、米国証券 企業の全体もしくは一部の買収、あるいは 確認のプロセス。 市場における売買の増加に繫がっている。 特定事業の買収。 債務担保証券 (CDOs) 資産担保証券 (ABS) バーゼルII自己資本 特定タイプの支払債権を取引可能な形態に した証券。特定の金融資産のリパッケージ により証券化 (別記参照) される。 2004年のバーゼル自己資本比率規制(金融 機関を対象)に従った自己資本。バーゼルII に従った資本構成は以下の通り。 − Tier 1資本:主に株式資本、 剰余金、 信託型 優先証券 (別記参照) の一部。 − Tier 2資本:主に参加資本、 累積優先株式、 長期劣後債、 上場証券の未実現利益。 − Tier 3資本:主に短期劣後債、Tier 2 資本 超過額。 Tier 2資本はTier 1資本の100%に限定され、 Tier 2資本の長期劣後債はTier 1資本の50% に限定される。 アセット・ファイナンス & リーシング 付加価値のある耐久資産を裏付けとした 革新的なファイナンスの組成を担う。 平均アクティブ資本 競合他社との比較を容易にするために、当行 では様々な比率にアクティブ資本を用いて いる。但し、アクティブ資本は IFRS(別記 参照) による実績尺度ではないため、算定 方法の違いを考慮せずに他社との比較を 行うべきではない。平均株主持分に調整を 加える項目としては、売却可能有価証券に 係る平均未実現純利益、 キャッシュ・フロー・ ヘッジに係る平均公正価値修正 (適用される 税効果考慮後) のほか、四半期ごとに発生し、 年次株主総会の承認により1年に一度支払 われる平均配当がある。 債券、 ローン、 デリバティブなどの資産ポート フォリオを裏付けとした投資商品。 商業用モーゲージ担保証券 (CMBS) 商業用不動産ローンを担保とするモーゲージ 担保証券 (MBS) (別記参照) 。 コンプライアンス 関連する法律 / 規制 / 社内規定を遵守し、 法規制上の違反や経済的損失、風評被害を 防ぐことを目的として適応される諸施策。 コーポレート・ファイナンス 法人顧客向け資本市場関連ビジネス、特に 個々の顧客ニーズに応じて革新的なアドバ イザリー・サービスを提供する金融ビジネス の一般的総称。 67 04 追加情報 用語解説 コリレーション ダウ・ジョーンズ持続性指数 (DJSI) 少なくとも2変数 (例:資産) 間の相互関係。 正は同方向への変化、 負は反対方向への変化 を表す。 しかし、 コリレーションは原因と結果 の関係を表すものではない。資産配分や、 リスク分散もしくはリスクヘッジの重要な ツールとして利用される。 DJSIは、環境および社会的貢献を追求する 企業によって構成されている指数であり、 当行は指数導入当初より、DJSI Worldおよび DJSI STOXXの構成銘柄となっている。 www.sustainability-index.com デット・プロダクツ フェアー・バリュー (公正価値) 単一もしくは複数の民間企業や公的機関に よる債務・債権などの売買可能商品。外国 為替やコモディティ契約を含む売買可能な 商品を広範に意味する。 十分な判断能力を備えた、独立した両者間 で交換される資産や債務の価格。市場価格 と一致することが多い。 ファイナンシャル・サプライチェーン・ マネジメント サプライチェーン・マネジメントにおける 支払いの最適化。 先物 (フューチャーズ) 数量、 質、 引渡期日が標準化された先物契約。 マネー・マーケットや資本市場、 貴金属・為替 1株当たり利益 (EPS) 国際財務報告基準(IFRS、別記参照)に 市場において、将来の一定期日に、あらかじ 費用 / 収益比率 一般的には、営業収益に対する営業費用の 従った主要数値で、平均普通株流通株式数 め合意された価格で取引が行われる。契約 割合を示し、 企業のコスト効率を表す。 に対する純利益を表す。流通株ストック・ の履行に関しては、 株価指数先物のケースに オプションや未確定の繰延べされた株式 みられるように、 (証券の引渡しではなく) 現金 賞与、転換社債、先渡契約の転換・行使に による決済が規定されている場合が多い。 クレジット・デフォルト・スワップ 当事者の一方が一定期間、特定の金利を よって株式数の増加が見込まれる場合は、 支払う一方で、デフォルト (債務不履行) など 基本的EPS に加えて、希薄化後 1 株当たり のれん の信用リスクに係る事象が発生しない限り、 利益も報告しなければならない。 企業の買い手が、対象企業の将来にわたる 相手方は支払いを行わない当事者間の合意。 利益を考慮に入れ、資産・負債価値の デフォルト発生時には、支払いが行われ、 株式資本市場 フェアー・バリュー (別記参照) を超過して (ECM) スワップ (交換) は終了する。 主に、 企業のIPO (株式新規公開) や新規株式 支払う金額。 募集に関連した業務。公的機関の民営化も 含まれる。 クレジット・トレーディング ヘッジファンド ローン(貸付)やクレジット関連商品の 空売りやレバレッジ、デリバティブ(別記 トレーディング。 参照) など、 ミューチュアル・ファンドが投資 ユーロ・コマーシャル・ペーパー・ できない投資戦略を駆使したファンドで、 プログラム 発行体が柔軟に無担保短期債券を発行する 一般的に機関投資家や個人富裕層を顧客 カストディ 証 券 の 保 管・ 事 務 管 理 、 そ の 他 証 券 ための資金調達プログラム。一定期間に とする。ヘッジファンドの投資リターンは サービス。 複数回の発行が可能である。 伝統的投資によるリターンと相関しない ケースが多い。 ファミリー・オフィス デリバティブ 株式、債券、外国為替、指数など原取引の 価格、価格変動、価格予想によって価値が 変動する商品。スワップ、オプション、先物 (すべて別記参照) などを含む。 68 複雑で多額の資産を持つ富裕層(一族)に 対して提供する金融サービス。完全に独立 した立場から、個々の資産の最適な管理 と包括的な調整を行い、 顧客の利益を守る。 IFRS (国際財務報告基準) グローバルに比較可能で透明性の高い会計 報告やディスクロージャーの確立を目指して、 国際会計基準審議会(IASB)が設定した 財務諸表に関する報告基準。主に投資家が 経済的な意思決定を行う際に役立つ情報 提供を主目的とする。 04 追加情報 用語解説 インベストメント・バンキング (投資銀行業務) モーゲージ担保証券 (MBS) プライム・サービス / ブローカレッジ モーゲージ・ローン (不動産融資) を担保とする 機関投資家の保有資産に係る決済(別記 一般に資本市場関連ビジネスを指す。主に、 証券。このサブ・カテゴリーとして、住宅 参照) 、 清算、 カストディ (別記参照) 、 報告、 証券の発行・売買、 デリバティブ (別記参照) 、 ローン担保証券(RMBS) や商業用モーゲージ 資金調達を含む一連のサービス。 金利・為替管理、 コーポレート・ファイナンス 担保証券 (CMBS) (いずれも別記参照) が (別記参照) 、M&Aアドバイザリー、ストラク ある。 プライベート・エクイティ チャード・ファイナンス、プライベート・ 未公開株式への投資。ベンチャー・キャピタル エクイティ (別記参照) などのビジネスを行う。 オプション やバイアウト・ファンドなどが主な例。 証券や外国為替などの特定資産を将来の 特定期日 (あるいは期日前) に、あらかじめ クオンツ投資 インベスター・リレーションズ 企業と現在および将来の (潜在的) 資本提供 決められた価格で、 相手方 (オプション売り手) 株式、債券、ヘッジファンド(別記参照)の 者を結ぶ、体系的・継続的な双方向の財務 から買う権利 (コール・オプション) 、 あるいは ポートフォリオ(別記参照) 。ポートフォリオの コミュニケーション。主な企業活動や業績、 相手方(オプション買い手)に売る権利 運用は、基本的な投資原則のもと、体系的・ 事業戦略、経営に関する情報を提供する。 (プット・オプション) 。 規則的に行われ、投資決定は、定量的 活動の目的の一つは、株式が市場で適正な (クオンツ)手法を駆使して大量のデータを 水準に評価されることにある。 処理し決定する。 OTCデリバティブ 証券取引所ではなく市場参加者間(店頭)に おいて直接相対で取引される金融派生商品 格付け レバレッジド・バイアウト 企業の全部もしくは一部、 または特定事業を (デリバティブ、 別記参照) 。 社外的には、発行体の信用状態と債券の デット・ファイナンス (借入金) によって買収 標準化された評価を意味する。専門の格付け すること。買収した企業の将来収益を、債務 ポートフォリオ 会社が実施。社内的には、 債務者に関連した に係る金利および元本の返済に充てる。 一般的には、資産 (証券、ローン、株式投資、 あらゆるエクスポージャーの詳細なリスク 不動産など)の一部あるいは全体を意味し、 査定を意味する。 リ ス ク 分 散 を 主 な 目 的 に 組 成 さ れ る。 マネジメント・バイアウト 経営陣による企業の発行済み株式全体の ここでは、価格リスクの観点から、証券や 記名株式 買収を意味し、 買収により上場が廃止される。 デリバティブ(別記参照)など類似した取引 特定の者の氏名により登録された株式。 のコンビネーションを意味する。 株式会社法の規定により、登録者の個人 情報や所有株式数は株式名簿に記録される。 メザニン 株式ならびに債券の混合による柔軟な資金 ポートフォリオ管理 株式名簿に記載された者だけが当該企業の 調達形態。ここでは、借り手の株主資本を 顧客向けの証券ポートフォリオ(別記参照) 株主とみなされ、例えば株主総会における 強化する一方、成長資金としても使われる の運用ならびに管理。ポートフォリオの継続 権利など、 あらゆる権利を行使できる。 長期劣後金融商品を指す。 的な見直しや顧客の合意のもとで売買を 実行することもある。 税引前平均アクティブ資本利益率 当行株主への税引前利益(年率) 。少数持分 を除いた税引前利益の平均アクティブ資本 (別記参照) に対する比率。 69 04 追加情報 用語解説 不動産投資信託 (REIT) 株主価値 法人信託サービス 不動産投資信託(REIT)は、企業の不動産 投資に係る法人所得税の優遇措置が適用 される税務上の法人。投資信託(ミューチュ アル・ファンド) が投資証券に対する投資の 枠組みを提供するのと同様、REITは不動産 に対する投資の枠組みを提供している。 経営・事業戦略上の意思決定を下す際に、 企業価値の着実な増大に重きを置く経営 理念。資本コストを上回るリターンだけが 株主に付加価値を創出する、という主原則 に従っている。 証券に関する幅広い管理サービス。例えば、 証券の保管(カストディ) や管理(トラスティ) 、 発行、元利支払い事務、ADRs (別記参照) の 預託業務などがある。 シャリア適格 レポ (買戻し条件付取引) 売却した証券の買戻しの合意(資産の所有 権は売り手に留保される買戻し契約) 。買い 手の立場からはリバース・レポとなる。 住宅ローン担保証券 (RMBS) 住宅ローンを担保とするモーゲージ担保 証券 (別記参照) 。 セールス・リースバック イスラム法を遵守していること。 財務会計基準審議会(FASB)および米国 公認会計士協会(AICPA)によって作成され た米国会計原則。このほかにも、 米国証券取 SPAC (特別目的買収会社) 既存企業の買収の実行を目的として、資金 引委員会(SEC)の提供する解釈や説明は、 調達を行う公開バイアウト企業。 特に証券取引所に上場している企業に とって意味を持っている。国際財務報告基準 (IFRS)と同じく、特に投資家の意思決定 サブプライム において有益な情報を提供することを主な 米国における高リスクの不動産ローン。 目的としている。 持続性 (サステイナビリティ) 不動産などの資産を売却すると同時に、 期間 将来に備えつつ、 生活・社会基盤を持続的に を限定してリースバック(貸借契約を結ぶ) 発展させることを目指した、経済、生態環境、 する取引。 および社会的責任の相互作用を意味する。 サーべンス・オクスレー法 (SOX) スワップ 企業・会計不祥事の発生を受け、 コーポレート・ ガバナンス(企業統治)の強化や投資家から の信頼回復を目的として、2002年に成立した 米国における資本市場法。取締役会の責任 の拡大から米国株式市場の上場企業を対象 とした刑罰に至るまで、幅広い規制の強化・ 新設を行った。 一般的には、 ある支払いフローを他の支払い フローと交換することを意味する。金利 スワップでは、同一通貨の金利支払いを 異なる条件(固定、変動金利など)に交換 すること。為替スワップでは、 異なる通貨間 で金利支払いおよび元本を交換すること を指す。 証券化 信託型優先証券 一般的には、株式や債券などの証券に具現さ ハイブリッド資本の一種で、利益に関連した れる権利。ここでは、 ローンや様々な債権を、 利払いを特徴とする。金融監督規制のもと 債券やコマーシャル・ペーパーなどの証券を では、損失時に利払いが累積されない 発行することにより転化することを意味する。 (非累積信託型優先証券) 場合や満期の記載 がない時、投資家のオプションにより償還 されない時に Tier 1 資本に組み入れられ、 その他の場合(例:累積信託型優先証券) には Tier 2資本に組み入れられる。 70 U.S.GAAP (米国で一般に認められている会計原則) 04 追加情報 連絡先 / 刊行物 連絡先 / 刊行物 ドイツ銀行 AG Theodor-Heuss-Allee 70 60262 Frankfurt am Main Germany 電話:+49 69 91 00 0 電子メール:[email protected] インベスター・リレーションズ 電話:+49 69 91 03 80 80 電子メール:[email protected] 財務諸表に関する刊行物 ドイツ銀行グループ2009年年次報告書は、 2009年アニュアル・レビューおよび 2009年 ファイナンシャル・リポートの 2 部により 構成されています。 2009 年アニュアル・レビュー (ドイツ語、英語、日本語) 2009 年ファイナンシャル・リポート (ドイツ語、英語) インターネット上の 2009 年アニュアル・ レビューおよび 2009 年ファイナンシャル・ 2009 年年次報告書および様式 20-F リポート(英語) (英語) www.deutsche-bank.com/09 ドイツ銀行 AG 2009 年財務諸表および マネジメント・リポート (ドイツ語、英語) マンデイト・リスト (ドイツ語、英語) 2009 年株主構成リスト (ドイツ語、英語) 諮問評議会委員リスト (ドイツ語) 2009 年社会的責任報告書 (2010 年 5月以降、ドイツ語、英語) 将来の事象に関する記述についての注意 本年次報告書には、将来の事象に関する記述が含ま れています。将来の事象に関する記述とは、歴史的 事実ではない記述であり、当行の考えや予想、その 基礎となる前提が含まれます。本報告書中の、当行 の意図、考え、予想または予測(およびその基礎と なる前提)の記述はいずれも、将来の事象に関する 記述です。これらの記述は、当行経営陣が現在入手 可能な予定、推定および計画に基づいています。 従って、将来の事象に関する記述は、あくまで当該記 述がなされた日現在のものであって、当行はこれらの 記述に関して、新しい情報や将来生起した事象が あっても、これを更新して公表する責任は負いません。 将来の事象に関する記述は、その性質上リスクおよび 不確実性を含みます。従って、いくつかの重要な要因 が作用して、現実の結果を、将来の事象に関する記述 に含まれる結果とは大きく異なるものにする可能性 があります。これらの要因には、ドイツ、欧州、米国 および当行がトレーディング収益の重要な部分を得 ているその他地域における金融市場の動向、借り手 または取引相手による将来の債務不履行、経営戦略 の実施、リスク管理の方針、手続きおよび方法への 信頼性、ならびに米国証券取引委員会(SEC)への 情報開示に関連するリスクなどが含まれます。この ような要因については、SEC に提出した当行の 2010 年 3 月 16 日付年次報告書(様式 20-F)に、 「リスク・ファクター」の表題のもとに詳しく記載さ れています。当該報告書の写しは、請求により入手 可能であり、また、www.deutsche-bank.com/irから ダウンロードすることができます。 これらの刊行物をご要望の方は、以下まで ご連絡ください。 撮影 Martin Joppen(フランクフルト) 02 / 57 頁 Andreas Pohlmann(ミュンヘン) 08 / 09 頁 Matthias Ziegler(ミュンヘン) 10 / 11、24 / 25、48 / 49、54 / 55 頁、表紙 本報告書は気候変動に中立に作成されて います。本報告書の制作・配布によって 発生した温室効果ガス排出量(二酸化炭 素換算で110 t )は、質の高い気候変動防 止プロジェクトへの投資によって相殺され ています。 – 電子メール [email protected] – インターネット www.deutsche-bank.com/09 – ファックス +49 18 05 07 08 08 – 電話 +49 18 05 80 22 00 – 郵便 arvato logistics services Bestellservice Deutsche Bank Gottlieb-Daimler-Strasse 1 33428 Harsewinkel Germany 2009 年アニュアル・レビュー(日本語)は、 www.db.com/japanからダウンロードする ことができます。 71 危機は、現実の世界におけるストレステストと言えます。 それにより、企業の強さと弱さの両面が明らかになります。 生き残るためには、先見性と持続性、果敢な行動、世界の 変化に瞬時に適応する能力が必要です。現代経済におい ては、効率的な銀行が必要であるとされていますが、その 一方で、金融サービス業界が、経済の進歩と変化に貢献 していく責務を負っていることも事実です。 ドイツ銀行は、金融危機を通じて基盤を強化し、危機以前 と比べて強固な基盤をグローバルに築いています。強さは、 チャンスを活かす可能性を高めます。当行は、将来にわたる 可能性を現実のものとして、積極的に活用していく考えです。 当行の成功は、既にその有効性が示されているビジネス モデルと、高い専門性や多様な背景を持ち実績重視の企業 文化に裏づけられた従業員に支えられています。 新しい時代における強さ。 基本情報 ドイツ銀行グループ ドイツ銀行株式 グローバルな ネットワーク グローバルなネットワーク ドイツ銀行株式に関する情報 主要データ 基本的1株当たり利益(損失) 希薄化後1株当たり利益(損失) 平均流通普通株式数(基本的、百万株) 平均流通普通株式数(希簿化後、百万株) 平均株主持分合計利益率(税引後) 税引前平均株主持分合計利益率 税引前平均アクティブ資本利益率 1 基本的流通株式1株当たり資産 2 費用 / 収益比率 3 報酬比率 4 非報酬比率 5 2009年度 € 7.92 € 7.59 628 655 14.6 % 15.3 % 15.1 % € 57.81 72.0 % 40.5 % 31.5 % 2008年度 € ( 7.61) € ( 7.61) 504 504 ( 11.1 ) % ( 16.5 ) % ( 17.7 ) % € 52.59 134.3 % 70.6 % 63.7 % 単位:百万ユーロ 純収益合計 信用リスク引当金繰入額 利息以外の費用合計 税引前利益(損失) 当期純利益(損失) 2009年度 27,952 2,630 20,120 5,202 4,958 2008年度 13,613 1,076 18,278 ( 5,741) ( 3,896 ) 単位:十億ユーロ 資産合計 株主持分合計 Tier 1自己資本比率 6 2009年12月31日現在 1,501 36.6 12.6 % 2008年12月31日現在 2,202 30.7 10.1 % 支店数 内ドイツ国内 従業員数(常勤相当) 内ドイツ国内 2009年12月31日現在 1,964 961 77,053 27,321 2008年12月31日現在 1,950 961 80,456 27,942 長期格付 ムーディーズ・インベスターズ・サービス スタンダード・アンド・プアーズ フィッチ・レーティングス 2009年12月31日現在 2008年12月31日現在 Aa1 Aa1 A+ A+ AA– AA– 2009年 投資収益の変化 1 ドイツ株式市場(Xetra)の出来高に占める比率 1日当たりの平均出来高 2 株価 高値 株価 安値 1株当たり配当金(2009年度については予定) 2009年12月31日現在 発行済株式数 流通株式数(社外株式数) 株式資本 時価総額 株価 3 DAX株価指数に占める比率 ダウ・ジョーンズ・ストックス50株価指数に占める比率 有価証券識別コード ドイツ取引所 種類 記号 WKN ISIN ロイター 記名株式 DBK 514 000 DE0005140008 DBKGn.DE 79.4 % 5.8 % 760万株 € 58.29 € 15.38 € 0.75 620,859,015 620,175,320 € 1,589,399,078.40 € 306.8億 € 49.42 5.8 % 1.2 % ニューヨーク証券取引所 種類 グローバル・レジスタード・シェア 通貨 U.S.$ 記号 DB CINS D 18190898 ブルームバーグ DBK GR Xetraの株価による。 オーダーブック統計(Xetra) 。 3 Xetraの終値。 1 2 競合他社との比較を容易にするために、平均株主持分合計利益率に関しては調整を加えた尺度を算出しており、これを「税引前平均アクティブ 資本利益率(Pre-tax return on average active equity) 」と称している。但し、IFRSによる実績尺度ではないため、算定方法の違いを考慮せず に他社との比較を行うべきではない。平均株主持分(2009 年度:34,016 百万ユーロ、2008 年度:34,442 百万ユーロ)に調整を加える項目は、 売却可能有価証券に係る平均未実現純利益(損失)/ キャッシュ・フロー・ヘッジに係る平均公正価値修正(適用される税効果考慮後) (2009年度: (884)百万ユーロ、2008 年度:619 百万ユーロ)および平均未払配当金(2009 年度:287 百万ユーロ、2008 年度:1,743 百万ユーロ)である。 配当金は、株主総会の承認後、年に一度支払われる。 2 基本的流通株式 1 株当たり資産は、株主持分を流通株式数で除したものとして定義される(共に年度末現在) 。 3 利息以外の費用合計が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。 4 報酬が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。 5 利息以外の費用合計から報酬を差し引いた額として定義される報酬を除く利息以外の費用が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に 利息以外の収益を加えた額に占める比率。 6 Tier 1自己資本比率は、ドイツ銀行法セクション 64h (3)に従い過渡的項目を除外している。 1 個人・中堅企業向け支店 支店 / 子会社 駐在員事務所 各地域の主要拠点 ニューヨーク ロンドン フランクフルト・アム・マイン ドバイ シンガポール 東京 基本情報 ドイツ銀行グループ ドイツ銀行株式 グローバルな ネットワーク グローバルなネットワーク ドイツ銀行株式に関する情報 主要データ 基本的1株当たり利益(損失) 希薄化後1株当たり利益(損失) 平均流通普通株式数(基本的、百万株) 平均流通普通株式数(希簿化後、百万株) 平均株主持分合計利益率(税引後) 税引前平均株主持分合計利益率 税引前平均アクティブ資本利益率 1 基本的流通株式1株当たり資産 2 費用 / 収益比率 3 報酬比率 4 非報酬比率 5 2009年度 € 7.92 € 7.59 628 655 14.6 % 15.3 % 15.1 % € 57.81 72.0 % 40.5 % 31.5 % 2008年度 € ( 7.61) € ( 7.61) 504 504 ( 11.1 ) % ( 16.5 ) % ( 17.7 ) % € 52.59 134.3 % 70.6 % 63.7 % 単位:百万ユーロ 純収益合計 信用リスク引当金繰入額 利息以外の費用合計 税引前利益(損失) 当期純利益(損失) 2009年度 27,952 2,630 20,120 5,202 4,958 2008年度 13,613 1,076 18,278 ( 5,741) ( 3,896 ) 単位:十億ユーロ 資産合計 株主持分合計 Tier 1自己資本比率 6 2009年12月31日現在 1,501 36.6 12.6 % 2008年12月31日現在 2,202 30.7 10.1 % 支店数 内ドイツ国内 従業員数(常勤相当) 内ドイツ国内 2009年12月31日現在 1,964 961 77,053 27,321 2008年12月31日現在 1,950 961 80,456 27,942 長期格付 ムーディーズ・インベスターズ・サービス スタンダード・アンド・プアーズ フィッチ・レーティングス 2009年12月31日現在 2008年12月31日現在 Aa1 Aa1 A+ A+ AA– AA– 2009年 投資収益の変化 1 ドイツ株式市場(Xetra)の出来高に占める比率 1日当たりの平均出来高 2 株価 高値 株価 安値 1株当たり配当金(2009年度については予定) 2009年12月31日現在 発行済株式数 流通株式数(社外株式数) 株式資本 時価総額 株価 3 DAX株価指数に占める比率 ダウ・ジョーンズ・ストックス50株価指数に占める比率 有価証券識別コード ドイツ取引所 種類 記号 WKN ISIN ロイター 記名株式 DBK 514 000 DE0005140008 DBKGn.DE 79.4 % 5.8 % 760万株 € 58.29 € 15.38 € 0.75 620,859,015 620,175,320 € 1,589,399,078.40 € 306.8億 € 49.42 5.8 % 1.2 % ニューヨーク証券取引所 種類 グローバル・レジスタード・シェア 通貨 U.S.$ 記号 DB CINS D 18190898 ブルームバーグ DBK GR Xetraの株価による。 オーダーブック統計(Xetra) 。 3 Xetraの終値。 1 2 競合他社との比較を容易にするために、平均株主持分合計利益率に関しては調整を加えた尺度を算出しており、これを「税引前平均アクティブ 資本利益率(Pre-tax return on average active equity) 」と称している。但し、IFRSによる実績尺度ではないため、算定方法の違いを考慮せず に他社との比較を行うべきではない。平均株主持分(2009 年度:34,016 百万ユーロ、2008 年度:34,442 百万ユーロ)に調整を加える項目は、 売却可能有価証券に係る平均未実現純利益(損失)/ キャッシュ・フロー・ヘッジに係る平均公正価値修正(適用される税効果考慮後) (2009年度: (884)百万ユーロ、2008 年度:619 百万ユーロ)および平均未払配当金(2009 年度:287 百万ユーロ、2008 年度:1,743 百万ユーロ)である。 配当金は、株主総会の承認後、年に一度支払われる。 2 基本的流通株式 1 株当たり資産は、株主持分を流通株式数で除したものとして定義される(共に年度末現在) 。 3 利息以外の費用合計が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。 4 報酬が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に利息以外の収益を加えた額に占める比率。 5 利息以外の費用合計から報酬を差し引いた額として定義される報酬を除く利息以外の費用が、信用リスク引当金繰入前の純利息収益合計に 利息以外の収益を加えた額に占める比率。 6 Tier 1自己資本比率は、ドイツ銀行法セクション 64h (3)に従い過渡的項目を除外している。 1 個人・中堅企業向け支店 支店 / 子会社 駐在員事務所 各地域の主要拠点 ニューヨーク ロンドン フランクフルト・アム・マイン ドバイ シンガポール 東京 2009年 アニュアル・レビュー 2010 / 2011 年財務カレンダー 財務カレンダー 2010年 2010年4月27日 2010年3月31日時点中間報告 2010年5月27日 年次株主総会 フランクフルト・アム・マイン フェストハレ(エキシビション・センター)にて 2010年5月28日 配当金支払 2010年7月28日 2010年6月30日時点中間報告 2010年10月28日 2010年9月30日時点中間報告 2011年 2011年2月3日 2010年決算発表(暫定) 2011年3月15日 2010年年次報告書および様式20-F 2011年4月28日 2011年3月31日時点中間報告 2011年5月26日 年次株主総会 フランクフルト・アム・マイン フェストハレ(エキシビション・センター)にて 2011年5月27日 配当金支払 2011年7月27日 2011年6月30日時点中間報告 2011年10月26日 2011年9月30日時点中間報告 Deutsche Bank ドイツ銀行 2009 年 アニュアル・レビュー アイデンティティー ドイツ銀行グループは、グローバル市場で主導的な地位を占める金融機関 として、お客さま、株主、従業員、そしてビジネスを展開するすべての地域 において、持続的な価値を提供します。 新しい時代における強さ ブランド ドイツ銀行グループの目的は明確です。本業をはじめ幅広い活動を通じて 責務を果たすこと。私たちは情熱と精確さをもって、これに取り組みます。 こうした姿勢が枠組みにとらわれない発想力を支える自信となり、多様な 価値の創造につながるのです。 新しい時代における強さ 深刻な金融危機により、新しい方向性を模索する必要性が 生まれました。金融システムを揺るがしかねない事態は回避 できるのでしょうか? リスクを事前に察知することは可能 なのでしょうか? 市場の困難に立ち向かうことはできるので しょうか? 私たちは、今、何をすべきでしょうか? 金融サービス業界は、今、大きな構造上の課題に直面して います。私たちは、最近の経験から学び、本質的な価値とは 何かについて再考する必要があります。効果的で革新的、 しかも実行可能な解決策を模索し、遂行しなければなりません。 特に、一貫した規制の枠組みや効果的な監視システム、 厳格なリスク管理は重要な課題となっています。 価値 パフォーマンス。信頼。チームワーク。革新性。顧客重視。 約束 エクセレンス。最適な解決策の提供。責任。 ドイツ銀行は、こうした再考の動きのなかで、精力的かつ 建設的な役割を果たしてきました。強さは、 責任を伴います。 私たちは、経済や社会に対する責任を負っています。 私たちは、株主、顧客、従業員にとって現在だけでなく 将来にわたる信頼できるパートナーとして、これからも 全力で取り組んでまいります。 ドイツ銀行 本年のテーマである「新しい時代における強さ」と題して議論しました。 株主―ジャビエル・ロドリゲス・エグイア、ビルバオ(10 / 11頁) 、顧客―マルセラ・ドレマー ファイナンス・ディレクター、 ブラスケム社、サンパウロ(24 / 25頁) 、従業員―メアリー・ヴィク・トゥバン ドイチェ・ナレッジ・サービス、マニラ (48 / 49頁) 、アンソニー・ヘイワード、ニューヨーク(54 / 55頁) 2009年 アニュアル・レビュー 2010 / 2011 年財務カレンダー 財務カレンダー 2010年 2010年4月27日 2010年3月31日時点中間報告 2010年5月27日 年次株主総会 フランクフルト・アム・マイン フェストハレ(エキシビション・センター)にて 2010年5月28日 配当金支払 2010年7月28日 2010年6月30日時点中間報告 2010年10月28日 2010年9月30日時点中間報告 2011年 2011年2月3日 2010年決算発表(暫定) 2011年3月15日 2010年年次報告書および様式20-F 2011年4月28日 2011年3月31日時点中間報告 2011年5月26日 年次株主総会 フランクフルト・アム・マイン フェストハレ(エキシビション・センター)にて 2011年5月27日 配当金支払 2011年7月27日 2011年6月30日時点中間報告 2011年10月26日 2011年9月30日時点中間報告 Deutsche Bank ドイツ銀行 2009 年 アニュアル・レビュー アイデンティティー ドイツ銀行グループは、グローバル市場で主導的な地位を占める金融機関 として、お客さま、株主、従業員、そしてビジネスを展開するすべての地域 において、持続的な価値を提供します。 新しい時代における強さ ブランド ドイツ銀行グループの目的は明確です。本業をはじめ幅広い活動を通じて 責務を果たすこと。私たちは情熱と精確さをもって、これに取り組みます。 こうした姿勢が枠組みにとらわれない発想力を支える自信となり、多様な 価値の創造につながるのです。 新しい時代における強さ 深刻な金融危機により、新しい方向性を模索する必要性が 生まれました。金融システムを揺るがしかねない事態は回避 できるのでしょうか? リスクを事前に察知することは可能 なのでしょうか? 市場の困難に立ち向かうことはできるので しょうか? 私たちは、今、何をすべきでしょうか? 金融サービス業界は、今、大きな構造上の課題に直面して います。私たちは、最近の経験から学び、本質的な価値とは 何かについて再考する必要があります。効果的で革新的、 しかも実行可能な解決策を模索し、遂行しなければなりません。 特に、一貫した規制の枠組みや効果的な監視システム、 厳格なリスク管理は重要な課題となっています。 価値 パフォーマンス。信頼。チームワーク。革新性。顧客重視。 約束 エクセレンス。最適な解決策の提供。責任。 ドイツ銀行は、こうした再考の動きのなかで、精力的かつ 建設的な役割を果たしてきました。強さは、 責任を伴います。 私たちは、経済や社会に対する責任を負っています。 私たちは、株主、顧客、従業員にとって現在だけでなく 将来にわたる信頼できるパートナーとして、これからも 全力で取り組んでまいります。 ドイツ銀行 本年のテーマである「新しい時代における強さ」と題して議論しました。 株主―ジャビエル・ロドリゲス・エグイア、ビルバオ(10 / 11頁) 、顧客―マルセラ・ドレマー ファイナンス・ディレクター、 ブラスケム社、サンパウロ(24 / 25頁) 、従業員―メアリー・ヴィク・トゥバン ドイチェ・ナレッジ・サービス、マニラ (48 / 49頁) 、アンソニー・ヘイワード、ニューヨーク(54 / 55頁)
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