20 Readers TECAN JOURNAL 2/2012 セリアック病と闘う 真の勝者 Tecan Award 2011 は、昨年の成果に対して授与している。お客様から は、Tecan の検出装置についての革新的なアプリケーションが数多く寄せら れた。独創的なエントリが多く、選考は白熱した。第 3 位には、穀物のグル テンタンパク質成分であるグリアジンの検出についての研究で、Universitat Autònoma de Barcelona の Maria Isabel Pividori 氏を選出した。 Third place セリアック病は、穀物のグルテンタンパク質成分 Universitat Autònoma de Barcelona(スペイ 「最近の技術的進歩によって、免疫測定用担 であるグリアジンの過敏症であり、完全にグルテ ン)の Sensors and Biosensors Group の 研 体として磁気ビーズを使用できるようになりました。 ンフリーの食生活を生涯続ける必要がある。グル 究者たちは、テカンの Sunrise™ 吸光リーダー 表面積が拡大し、磁場を使用してビーズを容易 テンフリーの食品のグリアジンのレベルを慎重に および Magellan™ V4.0 ソフトウェアを使用し に操作できるため、免疫反応の性能が大幅に向 管理し、安全性を保証する必要があるため、グリ て、光学検出に基づくグリアジンの革新的な 上しました。ビーズが浮遊状態にあるため、アッ アジンフリーの食品メーカーには、グリアジンの分 magneto-ELISA を構築した。Maria Isabel 氏 セイの変化がより迅速になります。洗浄と分離の 析を高い信頼性で簡単に実施できる方法が欠か は、次のように述べている。「分散した分析環 手順が改善され、複雑なサンプルでのマトリクス せない。 食品に対するセリアック病患者の拒絶 境で食品を正確に分析するための迅速かつシン 効果を最小限にすることができます。さらに、磁 反応を防ぐため、グルテンの内包量は食品ラベ プルで低コストな手法に対するニーズが増してい 気ビーズをマイクロ流体デバイスとカートリッジに ルに関する規制の対象となっている。EC 規則で ます。それを受けて、これらのアプリケーションに 容易に統合できます。これを利用して、スキムミ は、グルテンフリー食品は 20 mg/kgを超えない 対する、感度や特異性に優れたバイオセンサー ルクやグルテンフリーのビールなど、自然食品や ことが義務付けられている。業者は食品の製造 の開発への関心が高まっています。特に免疫セ 前処理済み食品におけるグリアジンおよび微細グ 全工程でグルテンの混入をチェックする必要があ ンサーは、生産現場から食卓に至るまでの食品 リアジン フラグメントを感度検出するための電気 り、その主要な部分は、仕入れた原材料の迅速 の安全性を保証する既存の免疫テストに対する、 化学的磁気免疫センサーを開発しました。免疫 なテストが占めている。 有望な代替法であることが実証されています。」 反応は磁気ビーズに対して固相担体として実施さ Biosensors and Bioanalysis チーム、 (左から)Susana Liébana 氏、Tamara Laube 氏、Delfina Brandao 氏、Soledad Carinelli 氏、Daniela Santos 氏、Rey Bundalian 氏、 Isabel Pividori 氏 Readers TECAN JOURNAL 2/2012 (A) magneto-ELISA マグネット 実験手順 (B) 電気化学的磁気免疫センサー 電流測定ユニット Abs(λ=450 nm) マグネット m-GEC 電極 (A) magneto-ELISA および (B) 電極磁気免疫センサーの実験手順の略図 れ、グリアジンを固定化して磁気ビーズに向ける Maria Isabel 氏は最後に、次のように述べた。 Sensors and Biosensors Group の ことができます。この生物学的手法は、西洋わ 「特に Sunriseリーダーの多用途性が気に入っ Maria Isabel Pividori 氏の詳細については、 さびペルオキシダーゼ(HRP)で標識された市 ています。磁気ビーズおよびナノ粒子へのタンパ webs2002.uab.es/ipividori/ を参照して 販の抗体競合アッセイに基づいており、変化し ク質共役の評価やバイオセンシング用のトランス ください。 た磁気ビーズは、電気化学的検出用のグラファ デューサ物質の評価など、磁気免疫測定をさまざ イトエポキシ複合材(m-GEC)を基に磁気電極 まなアプリケーション向けに異なる形式で実行で の表面で捕捉されます。この低コストのバイオセ きます。溶液やアッセイのパラメータを容易に最 ンサーで、フードチェーンを通じてグリアジンの分 適化することもでき、研究用に理想的です。」 析を簡単に実行し、製造プロセスの各ステージ で管理することができます。」 この研究の詳細については、Laube T et al. Biosens Bioelectron, 2011, 27, 46-52を参 Maria Isabel 氏は続けた。「このアッセイの性 照してください。 能を評価するため、Sunrise プレート リーダーに 対する光学検出を使用して、新しい magneto- Tecan の Sunrise 吸光リーダーについては、 ELISA と比較しました。 免疫センサーの場合 www.tecan.co.jp/sunrise を参照してくだ と同様に、直接および間接競合アッセイを最 さい。 適 化して、 磁 気ビーズにグリアジンを固 定 化 し、酵素反応用の標識として HRP を使用しまし た。ELISA は 96 ウェル マイクロプレートで実施 しました。Sunriseリーダーで吸光度を測定する 前に、磁気分離プレートを使用して上清を分離し ます。両方の方法を使用した回復値は良好でし た。magneto-ELISA の検出限界は優れており、 磁気免疫センサーの場合と同様、20 μg/kg の レベルで食品から検出できました。これは、EC が規定するグルテンフリー食品の検出限界 20 mg/kg の 1,000 分の 1 です。」 「この低コストのバイオセンサーで、 フー ドチェーンを通じてグリアジンの分析を 容易に実行し、製造プロセスの各ス テージで管理することができます。」 Sunrise リーダーにプレートを挿入する Tamara Laube 氏 ■この記事は2012年6月発行 Tecan Journal 2/2012 に掲載されているユーザーストーリーを抜粋、翻訳し たものです。ご質問、ご要望は下記までお願いします。 テカンジャパン株式会社 TEL. 044-556-7311/FAX. 044-556-7312 E-mail: [email protected] 21
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