介護保険の利用実態と介護サービスの公平性 に関する研究

1
4
7
論文
介護保険の利用実態と介護サービスの公平性
に関する研究
遠 藤 久 夫 *1
山 田 篤 裕 *2
抄 録
介護保険制度と類似の形態をもっ公的医療保険制度の機能は、i)医療サービス需要の不確実性の回避、 i
i
) 所得に拠ら
ない医療サービスへのアクセス公平性の確保、のニつに大別できる。医療保険制度にこのような機能をもたせた根拠は、
医療サービスは健康や生命に直結する極めて必需性が高いサービスだからである。一方、介護サービスすべてが必需性の
高いサービスとは限らない。また、介護サービスは医療サービス以上に本人が利用量の決定権をもっている。介護保険制
度下では支給限度額以下であれば利用者自己負担の 10倍の介護サービスを利用できるので必需性が高くないサービスの場
合には、需要の所得弾力は大きく、所得の高い人ほど 9割引の介護サービスを多く利用しているということも予想される。
この場合には、高所得者は低所得者より介護保険制度からより多くの恩恵を受けていることになる。このように介護保険
は、実際の介護サービス利用の公平性を保障することが容易でない制度であるにも関わらず、その公平性に介護保険が及
ぼす影響についてはほとんど研究が進んでいない。本研究では「国民生活基礎調査(平成 13年 )
Jの介護票を用い、i)介
護ニーズの充足が所得階級聞でどれほど相違しているか、そして i
i
) 介護保険制度が要介護者の介護サービスの利用に所得
再分配の面でどれほど寄与しているのかについて明らかにした。またこれらの分析過程で、 ii)介護サービス利用の公平
性に大きな影響をもっ支給限度額の整合性についても検討した。
分析結果は以下のようにまとめられる。
i)介護ニーズに対する介護サービス利用による充足という点では所得階級聞の格差はきわめて小さく、ほぼ公平だと
いえる。ただし介護ニーズおよびサービス利用量の対所得比率は、両方とも低所得者の方で高くなっており、所得
に関わりなく自己負担率が一律であることの妥当性について検討の余地がある。
i
i
) 介護保険制度による所得再分配機能は低所得者の介護サービスの購買力を大幅に高めている。これにより低所得者
は介護ニーズに対応したサービス量を購入することが可能となっている。
i
i
i
) 支給限度額の設定は要介護度 1で高すぎることを除けばほぼ適正と考えられる。また(平成 13年度時点では)認知
症の程度を要介護度判定に反映させる必要が、あった。
キーワード:国民生活基礎調査、介護保険、アクセスの公平性、自己負担、支給限度額、要介護度、集中度係数、ジニ係
数、カクワニ指数、低所得者
回避、ii)所得に拠らない医療サービスへのアク
1.はじめに
セス公平性の確保、の二つに大別できる。医療保
険制度にこのような機能をもたせた根拠は、医療
介護保険制度と類似の形態をもっ公的医療保険
制度の機能は、i)医療サービス需要の不確実性の
*1
学習院大学経済学部
*2 慶慮義塾大学経済学部
サ}ピスは健康や生命に直結する極めて必需性が
高いサ}ピスだからである。
一方、介護サービスすべてが必需性の高いサー
ビスとは限らない。また、介護サ}ピスは医療サ
1
4
8
医療経済研究
Vo
1
.
19N
O
.
22
0
0
7
ーピス以上に本人が利用量の決定権をもってい
ピス利用の公平性に及ぼした影響について検討す
る 介護保険制度下では支給限度額以下であれば
V節でいくつかの政策合意について述べる。
る。第 I
0倍の介護サービスを利用でき
利用者自己負担の 1
なお本研究で用いたデータは、医療経済研究機
るので必需性が高くないサービスの場合には、需
構において行われた、「国民生活基礎調査を利用
要の所得弾力は大きく、ケアマネージヤ}の適切
した高齢者の医療費・介護費の関係に関する研究
な介入があったとしても所得の高い人ほど 9割引
(平成 1
6年度厚生労働科学研究費補助金・政策科
の介護サービスを多く利用しているということも
J での再集計結果を引用・活用
学推進研究事業 )
予想される。この場合には、高所得者は低所得者
している。再集計におけるサンプルは「国民生活
より介護保険制度から多くの,恩恵、を受けているこ
3年)
J の介護票の個票サンプル
基礎調査(平成 1
とになる。
(N=約4
,
5
0
0
) から、 6
5歳以上(第 1号被保険者)
O
このように介護保険は、実際の介護サービス利
を抽出し、さらに要介護度、世帯所得階級、介護
用の公平性を保障することが容易でない制度にも
サービス自己負担額(以下自己負担額)などが不詳
関わらず、その公平性に介護保険が及ぼす影響に
,
7
0
0サンプルを分析
でないサンプルを抽出し、約 3
ついてはほとんど研究が進んでいない。本研究で
対象とした。また、本稿では断りのない限り、介護
は、i)介護ニーズの充足が所得階級間でどれほど
サービスとは居宅介護サービスを意味している。
相違しているか、そして i
i
) 介護保険制度が要介
護者の介護サービス利用に所得再分配の面でどれ
ほど寄与しているのかについて明らかにすること
i 支給限度額を超過した介護ザーピス利
用に関する分析
i)介
を目的とする。またこれらの分析過程で、 i
護サービス利用の公平性に大きな影響をもっ支給
限度額の整合性についても検討する。
(1)支給限度額と実際の介護サービス利用額
との聞の訴離要因
本稿の構成は以下の通りである。まず第 E節で、
本節では次の第 3節における介護ニーズの充足
支給限度額を超過して介護サービスを利用してい
度の分析のためにこの支給限度額を介護ニーズの
る人々の属性に関して検討する。具体的には、ク
代理指標として用いることができるかを検討する。
ロス集計によって要介護度および所得階級別に自
先に述べたように、制度的に介護保険が医療保
己負担額の実態を観察した上で、支給限度額を超
険と異なるのは支給限度額が設定されている点に
過して介護サービスを利用する人々の特徴(所得、
ある。介護保険制度下、支給限度額は要介護度に
ADL等)についてプロピット分析を行
応じて定められている。その要介護度認定には、
う。それにより、介護サービス利用の公平性に大
介護の手間を表すモノサシとして要介護認定等基
きな影響をもっ支給限度額設定の適正性について
準時間(分/日)が 5分野(直接・間接生活介助、
まず検討する。この分析が必要なのは次節でこの
問題行動関連行為、機能訓練関連行為、医療関連
支給限度額を介護ニ}ズの代理指標として使用す
行為)について算定され、さらに認知症に関する
るためである。続く皿節では介護ニーズに対する
指標を加味して行われる。その意味で、要介護認
介護サービスの充足が所得によってどれほど相違
定等基準時間を媒介して決定される要介護度は、
しているか、さらに(介護)保険給付額による所
事業者密度や家庭の介護力等の介護環境を考慮し
得再分配機能を分析し、介護保険制度が介護サ}
ない、要介護者にとっての純粋な介護ニーズを示
介護環境、
介護保険の利用実態と介護サービスの公平性に関する研究
1
4
9
すものとみなすことができる。介護の手間のモノ
所得要因)。第 3節で詳細に分析されるが、所得
サシとなる介護認定等基準時聞から要介護度は決
要因は介護サービス利用の公平性に密接に関連し
められているので、要介護度毎に設定されている
ており特に重要である。先述の通り、介護サービ
支給限度額は、金銭換算された介護ニーズの代理
スは医療サ}ビス以上に本人が利用量の決定権を
指標という意味をもっ。
もっている。介護保険制度では支給限度額以下で
しかし、以下の 3要因により、この金銭換算さ
0倍の介護サ}ピスを利
あれば利用者自己負担の 1
れた介護ニ}ズ(すなわち支給限度額)は実際の
用できる。したがって、必需性が高くないサ}ビ
介護サ}ピス利用(にかかる費用)と必ずしも一
スの場合、需要の所得弾力は大きく、所得の高い
致しない。第 1に、事業者密度や家庭での介護力
人ほど 9割引の介護サービスを多く利用し、その
など個々の要介護者を取り巻く介護環境により、
結果、支給限度額以上(すなわち必要以上)に市
実際に市場から調達される介護サービス量は各々
場から介護サービスを調達する可能性がある注
o
に異なる可能性がある(1:介護環境要因)。た
以上、支給限度額は介護ニーズの代理指標とみ
とえば、世帯内において介護サ}ピスが十分に提
なすことができる一方で、 3要因(すなわち介護
供される場合には、実際には市場からは支給限度
環境要因、限度額設定要因、所得要因)から実際
額以下の介護サ}ピスしか利用されない。この希
の介護サ}ピス利用とは個々人で希離が出てくる
離は、要介護認定等基準時間が介護の手間の代理
可能性があることを指摘した。
変数であり、事業者密度や家族の介護力など、現
政策的に問題だと考えられるのは支給限度額を
実に要介護者を取り巻く介護環境とは独立して決
超過してしまうような君主離、すなわち全額自己負
められていることから生じている。実際に、支給
担で一部の介護サービスを市場から調達している
限度額を超過した介護サービス利用の要因とし
ケースである。そこで、本節では支給限度額を超
て、塚原 (
2
0
0
5
)注lは要介護者が単身、主な介護
過する場合に焦点を絞り、その要因を探ることで
者が男性で不健康という家族内介護能力の不十分
支給限度額を介護ニ}ズとみなして良いかについ
さをあげている。
て検討する。次項で、要介護度および所得階級別
より根本的な要因としで、第 2に、介護の手間
に自己負担額の実態をクロス集計によって観察
(要介護認定等基準時間)から支給限度額(保険
し、さらに支給限度額を超過して介護サ}ピスを
給付として市場から調達可能なサ}ピスの上限
利用する要因についてプロピット分析を行う。
額)への換算が適切でない場合には、支給限度額
以下(あるいは超過)での介護サ}ピス利用が行
(
2
)所得階級別の自己負担額の観察
2:限度額設定要因)。たとえば、介護の
われる (
表 1は介護サ}ピス自己負担額を所得五分位別
手間と支給限度額の真に適切な関係は、要介護認
に記したものである。なお、支給限度額は個々の
定等基準時間(分/日)あたり月額 2
8
0
0円であっ
要介護度・地域に応じて計算されており、また所
3
0
0円と設定し
たとする。ところが、それを月額 3
得額は世帯所得を世帯員数の 0
.
5乗で割った等価
てしまった場合には、当然ながら支給限度額は過
所得制で示している(以下、本稿における「所得」
大となり、支給限度額以下の介護サ}ピスしか利
は全てこの「等価所得 Jのことである)。要介護
用されない可能性がある。
a
)、介護サ}ピ
認定者をサンプルとしたケース (
3:
さらに第 3の要因として所得が挙げられる (
b
)、上
スを利用した人をサンプルとしたケ}ス (
1
5
0
表
Vo
1
.
19 N
O
.
22
0
0
7
医療経済研究
1 居宅介護サービス自己負担額と支給限度額との関係(所得五分位別)
5歳以上・要介護者(居宅)
a
) サンプル:6
所得五分位
介護サービス
自己負担(円)
平均
I
I
I
I
I
I
IV
V
計
対限度額利用比率:
介護サービス自己負担一
(介護サービス自己負担
支給限度額 x0
.
1 (円)
0
) +支給限度額
x1
中央値
平均
8
,
8
3
1
8
,
6
0
5
ー7
,
2
3
3
,
9
3
4
5
4
,
2
8
7
7
,
0
9
5
4
,
4
0
0
4
,
9
3
6
5
,
3
8
6
5
,
2
0
3
9
,
2
8
0
5
,
0
9
6
1
1,
6
9
7
1
1,
7
8
4
1
4
,
6
3
7
1
5
,
2
2
9
1
8
,
0
1
5
1
4
,
0
7
4
幽
開
中央値
平均
中央値
1
3
,
3
5
4
1
2
,
2
2
1
ー1
3
,
7
0
2
1
1,
5
3
3
9
,
4
8
6
0
.
6
3
0
.
5
6
0
.
6
8
0
.
6
7
0
.
8
2
0
.
6
7
0
.
2
5
0
.
2
5
0
.
2
8
0
.
3
1
.
41
0
0
.
2
9
綱
同
司
,
3
0
4
1
2
介護
サービス
利用者の
割合
支給限度を
超えた介護
サービス利
用者の割合
.
12
0
.
17
0
0
.
1
5
0
.
2
0
0
.
2
1
.
17
0
0
.
7
0
0
.
7
3
0
.
7
2
0
.
7
3
0
.
7
1
0
.
7
2
b
) サンプル:介護サービスを利用した人
所得五分位
介護サービス
自己負担(円)
平均
I
I
I
I
I
I
IV
V
計
中央値
1
6
,
7
9
2
1
6
,
2
2
1
2
0
,
2
8
5
2
0
,
8
1
9
2
5
,
2
2
9
1
9
,
6
1
4
8
,
0
0
0
8
,
13
7
1
0
,
0
4
4
9
,
6
0
0
1
3
,
7
0
4
1
0
,
0
0
0
対限度額利用比率:
介護サービス自己負担一
(介護サービス自己負担
支給限度額 x0
.
1 (円)
0
) +支給限度額
x1
平均
4
,
2
0
3
5
,
16
3
2
,
3
9
0
5
9
9
司
,
2
3
5
2
2
,
2
0
3
ー
中央値
1
0
,
6
5
3
9
,
3
8
0
1
0
,
9
3
0
,
15
6
7
6
,
8
5
4
8
,
7
6
1
同
平均
中央値
0
.
9
1
0
.
7
7
0
.
9
4
0
.
9
2
1
.
15
0
.
9
3
0
.
4
4
.
4
5
0
.
4
9
0
0
.
5
5
0
.
6
7
0
.
5
1
介護
サービス
利用者の
割合
支給限度を
超えた介護
サービス利
用者の割合
1
.
0
0
1
.
0
0
1
.
0
0
1
.
0
0
1
.
0
0
1
.
0
0
.
18
0
0
.
2
3
0
.
2
0
0
.
2
8
0
.
2
9
0
.
2
4
注)厚生労働省『平成 1
3年国民生活基礎調査・介護票 (
N=3
,
6
7
4
)Jに基づく筆者ら推計結果。計算はすべて母集団を反映
.
5乗で割った等価(総)所得に基づく。
するよう Weight付けされている。所得五分位は世帯総所得を世帯人員数の 0
下 2パ ネ ル に 分 け て 示 し て い る 。 自 己 負 担 額 ×
ルを限定した場合、支給限度額を超過したサ
1
0+支給限度額(以下、「対限度額利用比率 j と
ービス利用者の比率は平均で 24%であるが、
称す)は、支給限度額の何%の介護サ}ピスを実
所得階級が高いほど支給限度額を超過してサ
際に利用したかという指標である。
ービスを利用する傾向が見られる。
表
1から所得五分位別の自己負担額に関して以
下の特徴を読みとることができる。
i)介護サ}ピスの利用率はどの所得階級でも、
i
v
) 要介護者全体でも実際のサービス利用者で
も、対限度額利用比率の中央値は所得階級が
高いほど大きい傾向が見られる(表 1a
,b
)。
ほぽ7
割である(表 1a
)。
i
i)要介護者全体・実際のサービス利用者とも
(
3
)要 介 護 度 別 の 自 己 負 担 額 の 観 察
に、介護サ}ピス自己負担額の中央値は平均
同様に表 2は介護サ}ピス自己負担額を要介護
値よりかなり小さく、右裾野の広い分布とな
度別に示したものであり、以下の特徴を読み取る
,b
)。
っている(表 1a
こと治宝できる。
ii)実際に介護サービスを利用した人にサンプ
i)要介護認定者全体で約 7割が介護サービス
介護保険の利用実態と介護サービスの公平性に関する研究
1
5
1
表 2 居宅介護サービス自己負担額と支給限度額との関係(要介護度別)
a
) サンプル:6
5歳以上・要介護者(居宅)
要介護度別
介護サービス
自己負担(円)
平均
要支援
要介護 1
要介護 2
要介護 3
要介護 4
要介護 5
計
4
,
15
6
,
7
0
0
9
,
7
8
1
1
5
,
14
1
1
8
2
1,
6
2
3
,
18
2
21
1
4
,
0
7
4
対限度額利用比率:
介護サ}ピス自己負担一
(介護サービス自己負担
.
1 (円)
支給限度額 x0
x1
0
) -:-支給限度額
平均
中央値
8
7
4
3
,
9
3
8
6
,
5
0
0
9
,
0
0
0
1
2
,
2
2
4
1
1,
3
2
0
5
,
0
9
6
中央値
2
,
0
4
5
7
,
0
6
4
3
,
9
1
7
8
,
8
9
0
,
3
4
3
9
1
5
,
0
3
8
7
,
0
9
5
,
3
5
0
5
1
2
,
7
8
0
1
2
,
9
8
0
1
8
,
17
3
ー1
9
,
2
1
4
2
4
,
8
3
0
1
2
,
3
0
4
回
平均
中央値
0
.
6
7
0
.
5
8
0
.
8
0
0
.
6
7
0
.
7
0
0
.
5
9
0
.
6
7
0
.
1
4
0
.
2
4
0
.
3
3
0
.
3
3
0
.
3
9
0
.
3
1
0
.
2
9
介護
サ}ピス
利用者の
割合
0
.
5
6
0
.
7
3
.
7
3
0
0
.
7
6
0
.
7
5
0
.
7
7
0
.
7
2
支給限度を
超えた介護
サービス利
用者の割合
0
.
14
0
.
12
0
.
19
0
.
2
1
0
.
2
3
0
.
17
0
.
17
b
) サンプル:介護サービスを利用した人
要介護度別
介護サービス
自己負担(円)
平均
要支援
要介護 1
要介護 2
要介護 3
要介護 4
要介護 5
計
7
,
4
1
4
1
3
,
2
9
2
5
0
6
2
1,
,
9
7
9
2
3
2
8
,
7
5
2
,
5
9
3
2
7
1
9
,
6
1
4
中央値
4
,
1
0
0
6
,
0
4
0
1
2
,
0
0
0
1
4
,
4
5
6
1
6
,
6
9
0
1
7
,
5
8
1
1
0
,
0
0
0
対限度額利用比率:
介護サービス自己負担一
(介護サービス自己負担
.
1 (円)
支給限度額 x0
x1
0
) -:-支給限度額
平均
中央値
1
,
2
3
0
3
,
4
8
2
,
17
9
6
,
0
5
2
3
2
,
2
1
3
8
,
6
3
5
2
,
2
0
3
開
同
2
,
0
9
9
,
5
4
0
1
0
7
,
8
3
4
1
2
,
2
9
4
,
9
4
3
1
3
ー1
8
,
8
6
9
8
,
7
6
1
幽
平均
中央値
1
.
2
0
0
.
7
9
1
.
0
9
0
.
8
9
0
.
9
3
0
.
7
6
0
.
9
3
0
.
6
7
0
.
3
6
0
.
6
0
0
.
5
4
0
.
5
5
0
.
4
9
0
.
5
1
介護
サ}ピス
利用者の
割合
1
.
0
0
1
.
0
0
1
.
0
0
1
.
0
0
1
.
0
0
1
.
0
0
1
.
0
0
支給限度を
超えた介護
サービス利
用者の割合
024
.
17
0
0
.
2
6
0
.
2
8
0
.
3
0
0
.
2
3
0
.
2
4
注)厚生労働省『平成 1
3年国民生活基礎調査・介護票 (
N=3
,
6
7
4
)
j に基づく筆者ら推計結果。計算はすべて母集団を反映
e
i
g
h
t付けされている。 W
e
i
g
h
t付けされていない要支援、要介護 1
、2
、3
、4
、5のサンプル比率は各々 16%
、
するよう W
29%、20%、13%、11%、11%である。
を利用しているが、要支援に限って見ると利
は、要支援で大きく、要介護度 1と要介護度
用率は 56%と明らかに低い。また要介護 5で
5で小さいという傾向が見られた(表 2b)。
あっても 23%の人は介護サービスを利用して
いなかった(表 2
8)。
日)実際に介護サ}ビスを利用した人にサンプル
を限定した場合、支給限度額を超過したサ}
(
4
)介 護 サ ー ビ ス の 超 過 利 用 に 関 す る 分 析
①被説明変数および説明変数の選択
先に述べたように、要介護認定等基準時間の概
ピス利用者の比率は平均で 24%である。要介
念を勘案すると支給限度額は介護ニーズを金銭で
護度別には要介護度 1でその比率は 17%と最
評価した代理指標とみなすことができる O 一方、
も低い(表 2
b)。
要因(すなわち介護環境要因、限
前項で述べた 3
i
i
i
) 同じく実際に介護サービスを利用した人に
度額設定要因、所得要因)により、支給限度額と
サンプルを限定した場合、対限度額利用比率
実際の介護サービス利用額との聞には講離が出て
1
5
2
医療経済研究
V
o
1
.
19N
o
.
22
0
0
7
ット分析を行う。
くる可能性がある。
前項の予備的分析では高所得者ほど超過利用率
表 3は被説明変数および説明変数一覧を示して
が高いこと(所得要因の存在)を示唆している。
いる。被説明変数に支給限度超過の有無、説明変
一方で要介護度と超過利用との関係(限度額設定
数として支給限度額と実際の介護サービス利用と
要因の存在)は不明瞭であった。そこで以下では、
の聞には希離をもたらす 3要因に対応する変数を
これら 2要因にもう Iつ の 要 因 ( 介 護 環 境 要 因 )
選択した。具体的には、「所得要因」として世帯
を加えて 3要因を同時にコントロールし、支給限
人員調整済み所得(等価所得)、「限度額設定要因 J
度額を超過した介護サービス利用に関するプロピ
として要介護の程度に関する変数(要介護度、要
表 3 変数名一覧
変数
被説明変数
所得要因
限度額設定要因
変数説明
変数名
支給限度額超過
限度額超過した場合を 1とおくダミー変数。
世帯員数調整済所得(月額・万円)
経済的属性:等価所得=世帯所得を世帯人員の 0
.
5乗
で、割った値(月額・万円)。
要介護度(要支援が基準)
要支援を基準とし、要介護 1
、2、3、4、5に該当する
場合、各々 1とおくダミー変数。
要介護期間(月数)
要介護者の要介護になってからの期間(月数)。
ADL関係
歩行、移乗、食事摂取、職下、排便の後始末、便意有
り、一般家庭浴槽の出入札ズボンの着脱、洗顔、が
自立している場合を各々 1とおくダミー変数。
認知症関係
俳掴無し、ほぽ生活自立、見守りにより自立可、介護必
要、常時介護必要、著しい精神症状・問題行動・重篤な
身体疾患に該当する場合を各々 Iとおくダミー変数。
世帯員数
要介護者が属する世帯の世帯員数。
主な介護者
主な介護者がその他の親族を基準とし、主な介護者が
要介護者の配偶者、事業者である場合を各々 1とおく
ダミー変数。
要介護者のための専用室有り
自宅に要介護者のための専用室がある場合を 1とおく
ダミー変数。
必要な時に手をかす程度を基準とし、介護時間が、ほ
介護時間
とんど終日、半日程度、 2~3 時間程度の場合を各々 1
施設定員率
厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査 (
2
0
0
1年)
J
および総務省 r
2
0
0
1年 1
0月1日現在推計人口」より算出
した、 6
5歳以上人口一人当たりの施設(介護老人福祉施
設+介護老人保健施設+介護療養型医療施設)定員率
で、居宅介護サービスとの競合環境を示す変数。
事業者密度
訪問介護、訪問看護、通所介護、通所リハビリテ}ショ
ン、短期入所生活介護、短期入所療養介護、痴呆対応
型共同生活介護、福祉用具貸与、介護支援事業の各サ
}ピスに関する都道府県別 6
5歳以上人口 1
0
0
0対介護事
業者数。居宅介護サ}ピスの利用可能性の代理変数。
年齢
要介護者の年齢。
要介護者本人女性
要介護者が女性である場合1とおくダミー変数。
とおくダミー変数。
介護環境要因
その他の属性
介護保険の利用実態と介護サ}ピスの公平性に関する研究
介護期間、
ADL、認知症関係)、さらに「介護環
境要因j として居宅介護サービスの提供環境に関
1
5
3
共線性を生じさせる可能性がある。
しかし、 I次判定における調査項目には直接介
(
A
D
L関連項目)以外に 4分野(間接生活
する変数(主な介護者の属性、要介護者のための
助分野
専用室の有無、介護時間、介護サ}ビス事業者の
介助、問題行動関連行為、機能訓練関連行為、医
対人口密度、家族規模)を選択した。その他のコ
療関連行為)があり、さらに 2次判定では医師の
ントロール変数として年齢、性別を加え、プロピ
意見書や特記事項を考躍するため、最終的に認定
ットモデルにより推計を行った。
変数や認知症ダ
された要介護度とこれらの ADL
ミーとの関係は制度上それほど直接的とはいえな
DL変数・認知症ダミーの意義
②A
U当。
限度額設定要因として選択した ADL
変数(歩
実際に相関係数をとってみても要介護度とこれ
行自立、移乗自立、食事摂取自立、腕下自立、排
変数や認知症ダミ}との関係はそれほ
らの ADL
便の後始末自立、ズボンの着脱自立、洗顔)は要
ど密接でない。表 4(1)は A
DL変数と各要介護
介護認定の 1次判定に含まれる直接介助分野に関
2
)は認知症ダミーと
度との聞の相関係数、表 4(
する調査対象項目である。同様に認知症関連の項
各要介護度との聞の相関係数を示している。最も
目も I次判定の調査対象項目と重複している。し
相関係数(絶対値)が大きいものでも、
たがって、これらの ADL
変数および認知症ダミ
.
41
、認知症ダミ}と各
と各要介護度については 0
ーを要介護度と同時に説明変数とすることは多重
要介護度については高くても 0
.
2
2に過ぎない。
表 4(1)
要介護度と A
DL変数に関する相関係数
要支援
0
.
2
7
0
.
3
3
0
.
2
7
0
.
2
0
0
.
3
4
0
.
2
1
0
.
41
0
.
3
6
0
.
2
9
歩行自立
移乗自立
食事摂取自立
礁下自立
排便の後始末自立
便意有り
一般家庭用浴槽の出入り自立
ズボンの着脱自立
洗顔自立
表 4(2)
ADL変数
要介護 1 要介護 2 要介護 3 要介護 4 要介護 5
0
.
15
0
.
2
3
0
.
2
9
0
.
2
1
0
.
3
6
0
.
2
2
0
.
2
4
0
.
3
3
0
.
3
6
0
.
0
1
0
.
0
5
0
.
0
2
0
.
0
4
0
.
0
1
0
.
0
4
0
.
13
0
.
0
6
0
.
0
5
開
0.
12
0
.
15
.
10
0
0
.
0
7
0
.
2
2
ー0
.
0
6
ー0
.
2
0
0
.
2
2
0
.
18
胴
回
.
18
0
0
.
2
3
0
.
2
5
0
.
17
0
.
3
2
ー0
.
2
0
0
.
2
2
0
.
2
9
0
.
3
4
圃
圃
同
0
.
2
1
0
.
2
6
0
.
4
1
0
.
3
3
0
.
3
5
0
.
3
4
0
.
2
2
0
.
3
1
0
.
3
9
圃
開
要介護度と認知症ダミーに関する相関係数
要支援
俳個無し
認知症 1(ほぼ生活自立)
認知症 2 (見守りにより自立可)
認知症 3 (介護必要)
認知症 4 (常時介護必要)
認知症 5(著しい精神症状・問題行動・重篤な身体疾患)
0
.
10
0
.
0
2
ー0
.
0
5
0
.
10
0
.
11
0
.
0
4
副
要介護 1 要介護 2 要介護 3 要介護 4 要介護 5
0
.
0
7
0
.
0
5
0
.
0
0
0
.
10
0
.
15
0
.
0
6
0
.
0
8
0
.
0
1
0
.
0
9
0
.
0
4
0
.
0
4
0
.
0
3
司
0
.
0
7
0
.
0
2
0
.
0
3
0
.
13
0
.
0
2
0
.
0
1
ー
0
.
0
6
0
.
0
4
0
.
0
2
0
.
0
8
0
.
16
0
.
0
4
0
.
0
3
0
.
0
3
0
.
0
7
0
.
0
2
0
.
2
2
0
.
14
1
5
4
医療経済研究
Vo
1
.
19N
O
.
22
0
0
7
また我々の推計目的の一つは、先にも述べたよ
は過大)評価していることになる。したがって要
うに限度額設定要因の代理変数であるこれらの
介護認定に判定項目の一部であるこれらの変数を
ADL変数および認知症ダミ}の係数が有意である
あえて採用した。
かどうか確認し、介護の手間(要介護認定等基準
③全変数聞の相関のチェック
時間)から支給限度額(保険給付として市場から
調達可能なサービスの上限額)への換算の適切さ
多重共線性の可能性をさらに検討するため全変
を吟味することにある。より具体的には、これら
変数聞と
数間で相関係数を計測したところ、 ADL
の変数の係数が支給限度額を超過した介護サービ
.
5を超えるケース
施設密度変数間で、それぞれ 0
ス利用に関するプロピット分析において有意であ
が散見された(表 5(1)、表 5(
2
)
)。具体的には、
れば、換算の際に当該変数に関して過小(あるい
「一般家庭用浴槽の出入り自由」は「移乗自立」
1) ADL
変数間の相関係数
表 5(
歩行自立 移乗自立
移乗自立
食事摂取
排便の後
l
照下自立
便意有り
始末自立
自立
一般家庭用
ズボンの
浴槽の出
着脱自立
入り自立
0
.
4
9
0
.
3
3
0
.
2
4
0
.
3
7
0
.
2
4
0
.
3
8
0
.
3
9
0
.
3
7
0
.
4
8
0
.
3
8
0
.
5
5
排便の後始末自立
0
.
4
8
0
.
5
2
0
.
5
9
便意有り
0
.
3
5
.
4
4
0
.
41
0
.
4
8
0
一般家庭用浴槽の出入り自立
0
.
3
3
0
0
.
5
3
.
4
4
0
.
5
4
0
.
3
3
ズボンの着脱自立
.
4
0
0
.
4
0
0
0
.
6
7
0
.
5
6
0
.
5
5
.
4
9
0
.
4
7
0
.
6
7
0
洗顔自立
0
.
4
9
0
.
6
0
注)厚生労働省『平成 1
3
年国民生活基礎調査・介護票 (
N=3
,
6
7
4
).lに基づく筆者ら推計結果。
食事摂取自立
職下自立
表 5(2)
0
.
6
2
0
.
5
0
0
.
6
7
施設密度変数聞の相関係数
施設
定員率
(県毎)
訪問介護
訪問入浴介護
訪問看護ステーション
通所介護
通所リハビリテーション
短期入所生活介護
短期入所療養介護
痴呆対応型共同生活介護
福祉用具貸与
居宅介護支援事業
0
.
2
7
0
.
19
0
.
18
0
.
3
0
0
.
6
6
0
.
3
7
0
.
7
0
0
.
3
3
ー0
.
13
0
.
3
3
訪問
介護
0
.
3
2
0
.
6
7
0
.
6
2
0
.
6
6
0
.
5
4
0
.
6
1
0
.
3
2
0
.
6
2
0
.
7
9
訪問
入浴
介護
0
.
3
3
0
.
5
2
0
.
3
4
.
4
4
0
.
4
3
0
0
.
4
6
0
.
2
1
0
.
4
5
訪問
看護
ステー
ション
0
.
5
5
0
.
5
7
0
.
5
1
0
.
4
5
0
.
18
0
.
3
3
0
.
7
4
通所
介護
0
.
5
2
0
.
6
2
.
4
7
0
.
4
9
0
0
.
2
8
0
.
7
7
通所
リ
ノ
、
ピ
リ
アー
ション
0
.
4
9
0
.
8
7
0
.
5
4
0
.
2
6
0
.
7
0
短期
入所
生活
介護
短期
入所
療養
介護
0
.
4
9
0
.
3
7
0
.
2
4
0
.
6
3
0
.
5
0
0
.
2
4
0
.
6
7
注)厚生労働省『平成 1
3
年国民生活基礎調査・介護票 (
N=3
,
6
7
4
).lに基づく筆者ら推計結果。
痴呆
対応型
共同生
活介護
0
.
11
.
4
7
0
福祉
用具
貸与
0
.
4
8
介護保険の利用実態と介護サ}ビスの公平性に関する研究
「排便の後始末 JI
ズボンの着脱自立Jとの相闘が
1
5
5
は低くなっている。
高く、また「食事摂取自立」は「眼下自立 JI
ズ
要介護度が高いほど超過利用確率が低くなって
ボンの着脱自立 JI
洗顔自立」との相闘が高いた
いるのは、要介護度が高いほど支給限度額が高く
め、「移乗自立 JI
排便の後始末 JI
ズボンの着脱
設定されていることが主な理由と考えられる。す
自立JI
鴨下自立 JI
洗顔自立」の各変数を除去し
なわちこの結果はより高度な介護ニーズがある要
たモデル(後述の計測式 2
) も推計した。そこで
介護者ほど支給限度額の範聞内で実際に介護サ}
は ADL変数として、他変数との相関の低い「便
ビスを利用していることを示しており、そうした
意あり」と、「一般家庭用浴槽の出入り自由 JI
食
観点からは要介護度別の支給限度額の設定は妥当
事摂取自立」を採用した。また、認知症ダミ}は
といえよう。
他変数との相闘がいずれも低いためすべて説明変
しかし、要介護 1については支給限度額の設定
数として採用した。同様にして施設密度変数間の
が介護ニーズに比して高すぎる可能性がある。表
高い相関に関しでも、計測式 2では「訪問介護」
「訪問入浴介護JI
痴呆対応型共同生活介護」のみ
7はその可能性を別の角度から確認している。
表 7は要介護度と要介護認定等基準時間および
を説明変数として採用することで対応した。
支給限度額との関係を示している注 5。たとえば、
0分以
要介護 3の場合、要介護認定等基準時間は 7
④プ口ビット分析結果
上9
0分未満であり、支給限度額は 2
6万 7
5
0
0円と
表 6はプロピットモデルによる推計結果(限界
なっている。第 4・5列で、要介護認定等基準時
効果)を示している。計測式 Iは全ての変数を用
間 1分あたりの支給限度額を下限と上限について
いた結果であり、計測式 2は上述の多重共線性を
計算している。括弧[ ]内には、要介護 5の要
考慮し、相関係数の高い一部変数を除去したモデ
介護認定等基準時間 1分あたりの支給限度額を
ルである。以下の考察は主に計測式 2の結果に基
1
.
0
0と置いた場合の、各要介護度の要介護認定等
づく。
基準時間 1分あたりの支給限度額の大きさを示し
(
a
) 所得要因
ている。
クロス集計では所得が高いほど支給限度額を超
表 7の要介護認定等基準時間 1
分あたりの上限の
過して介護サービスを利用する比率が高いことが
比率(第 5列)に注目すると、要介護 1は要介護 5の
示されたが、他の要因を調整しても所得が高いほ
1
.
2倍で、最も大きい値である。また下限の比率に注
ど支給限度額を超過して介護サービスを利用する
目しても、要介護 1は要介護 5の1.6倍で、やはり最
確率(以下、「超過利用確率」と称する)を有意
も大きい値をとっている。このように、要介護 1につ
に上昇させる。ただし、月額 1万円の所得上昇に
いては支給限度額の設定が実際の介護ニ}ズに比
対して、 0
.1%ほど超過利用確率が上昇する程度で
し高すぎる可能性がある注6。平成 1
8年度の介護報
あり、所得要因はそれほど大きくない。
酬改定では要支援や要介護 1の軽い要介護度認定
(
b
) 限度額設定要因
者が急増したことを背景に、要支援(支給限度額
超過利用確率は、要支援の者より要介護 Iの者
6
1
5
0単位)を要支援 1(支給限度額 4
9
7
0単位)と要支
は8%
低く、要介護 2
、3、4
、5では各々 5%
、7%
、
援2
(支給限度額 1
0
4
0
0単位)に分け、同時に介護予
8%、同 8%低くなっている注4。すなわち要介護 1
防の概念を導入した。しかし要介護 1の支給限度額
を例外として、要介護度が高いほど超過利用確率
はそのままである。したがってこの結果は要介護度
1
5
6
医療経済研究
V
o
1
.
19N
o
.
22
0
0
7
表 6 支給限度額超過に関する P
r
o
b
i
tModelによる限界効果推計
施設定員率
世帯員数
年齢
要介護者本人女性
世帯人員調整済所得(月額・万円)
要介護 1 (要支援が基準)
要介護 2
要介護 3
要介護 4
要介護 5
要介護期間(月数)
歩行自立
移乗自立
食事摂取自立
職下自立
排便の後始末自立
便意有り
一般家庭用浴槽の出入り自立
ズボンの着脱自立
洗顔自立
俳佃無し
認知症 1:ほぽ生活自立
認知症 2:見守りにより自立可
認知症 3:介護必要
認知症 4:常時介護必要
認知症 5:著しい精神症状・問題行動・重篤な身体疾患
主な介護者:要介護者の配偶者(その他の親族が基準)
主な介護者:事業者
要介護者のための専用室有り
介護時間 1:ほとんど終日(必要な時に手をかす程度が基準)
介護時間 2:半日程度
介護時間 3:2-3時間程度
事業者密度 1:訪問介護
事業者密度 2:訪問入浴介護
事業者密度 3:訪問看護ステーション
事業者密度 4:通所介護
事業者密度 5:通所リハビリテ}ション
事業者密度 6:短期入所生活介護
事業者密度 7:短期入所療養介護
事業者密度 8:痴呆対応型共同生活介護
事業者密度 9:福祉用具貸与
事業者密度 1
0:居宅介護支援事業
Logl
i
k
e
l
i
h
o
o
d
PseudoR2
N
計測式(I)
2
)
計測式 (
d
F
/
d
x[
S
t
d
.E
r
r
.
}
d
F
/
d
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.
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1
4
7
5
.
6
4
8
0
.
0
7
8
3
6
7
4
注)厚生労働省『平成 1
3年国民生活基礎調査・介護票 (
N=3
,
6
7
4
)j に基づく筆者ら推計結果。...、料、*はそれぞれ 1%、
5%、10%水準で係数が有意であることを示す。「男性」、「要支援J
、「主な介護者が配偶者以外の親族」、「介護時間が必
要な時に手をかす程度jが基準となっている。
介護保険の利用実態と介護サービスの公平性に関する研究
1
5
7
表 7 要介護認定等基準時間と支給限度額の関係
要介護認定等基準
時間(分/日)
以上
未満
要支援
要介護 1
要介護 2
要介護 3
要介護 4
要介護 5
2
5
3
2
5
0
7
0
9
0
1
1
0
3
2
5
0
7
0
9
0
1
1
0
(
13
0
)
支給限度額÷要介護認定等基準時間
支給限度額
(月額・円)
下限
6
1
5
0
0
1
6
5
8
0
0
1
9
4
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0
2
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1
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1
.
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.
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上限
1
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2
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6
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2
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J
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1
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J
[
1
.
0
1
J
[
1
.
0
0
J
1の支給限度額についてはまだ再検討の余地がある
過利用確率を有意に 5%上昇させる。この結果は、
可能性を示唆している。
配偶者による介護と事業者による介護が代替的で
表 6に戻り、次に ADL変数ならびに認知症ダ
ミ}に注目しよう。
ある可能性を示唆している。また、介護がほとん
ど終日である場合も超過利用確率を 4%ほど上昇
排便関係の自立は、超過利用確率を 3~5% 低
させる。制度上、要介護度認定にはもともと介護
下させる。また、一般家庭用浴槽の出入りが自立
環境は考慮されていないので、この結果は当然で
している場合には、計測式 2のみ有意に超過利用
ある。
確率を 4%ほど低下させる。
事業者密度で有意な結果を得たのは訪問入浴介
俳佃が無い場合、超過利用確率を 9%低下させ
5歳以上人口 1
0
0
0人あたり訪問入浴
護のみだが、 6
ている。逆に認知症の場合には、いずれの程度に
.
3
%引
介護事業者が Iつ増えても超過利用確率を 0
おいても介護が必要な場合(認知症 2~4) には有
き下げる程度である。このことから全般的に事業
意に超過利用確率を 8~13% 上昇させている注 70
者密度が超過利用確率に与える影響は小さいか有
これらの結果は、認知症が(平成 1
3年度時点にお
意でないことが示された。
ける)支給限度額に十分反映されていないことを
示唆している。
以上の結果をまとめると、超過利用確率から見
事実、介護保険導入時から要介護認定の一次判
た場合、要介護度別の支給限度額は要介護 Iを除
定において「認知症高齢者の要介護度が低く評価
き適正と考えられるものの、認知症の程度を要介
されているのではないか」という指摘がなされ、
3
護度判定により正確に反映させる必要が(平成 1
4年度から要
その結果、技術的検討が行われ平成 1
年時点において)あったことが示された。
介護認定ソフトが改定されたが、本稿の結果はそ
の正当性を裏付けるものと言える。
(
c
) 介護環境要因
3.介護サービス利用の公平性に及ぼした
介護保険の影響
主な介護者の属性は超過利用確率に対して有意
である。すなわち主たる介護者が要介護者の配偶
者である場合は超過利用確率を有意に 5%低下さ
せるが、逆に主たる介護者が事業者の場合には超
(1)介護保険の公平性評価のための 2段階ア
ブローチ
本稿の冒頭で述べたように介護サービスは医療
1
5
8
医療経済研究
Vo
1
.
19N
o
.
22
0
0
7
サービスと異なり必ずしも必需性の高いサービス
だけとは限らないので介護サービスに対する所得
の分析において所得が高いほど自己負担額の平均
値は大きく、また係数の値は小さいとはいえ、所
得が高いほど支給限度額を超えた介護サ}ピス利
用(超過利用)確率も有意に高いことが明らかに
なった。
このことは介護サービス利用の公平性について
2つの問題を提起する。第 1に自己負担額の存在の
ために所得が低い要介護者ほど介護ニ}ズを充足
できていない可能性がある。第 2に現行制度では
日 介 護 ニlズ・介護サービス利用の相対累積度
弾力性は正の値をとる可能性がある。事実、前節
図 l 介護ニーズ (
C
n
) ・サービス利用 (
C
u
)の
集中度曲線と公平性
支給限度額以下であれば自己負担額の 1
0倍の介護
サ}ピスを利用できるので、所得が高い要介護者
所得順の人口の相対累積度
1
.
0
ほど介護保険からの給付額が大きくなってしまう
可能性がある。財源の 50%が公費負担であること、
た。彼らのアプロ}チに従えば、介護ニーズの集
および、事実上の世代間移転が背後に存在倒して
中度係数の値と、実際の介護サービス利用の集中
いることを考慮すれば、こうした可能性は公平性
度係数の値とを比較して後者の方が大きければ、
の観点からは問題である。
高所得者の方が低所得者より介護ニーズが充足さ
そこで本節では介護保険制度が介護サービス利
用の公平性に及ぽす影響について次の 2つのステ
ップで分析する。
れており、高所得者に有利な形での介護サ}ビス
利用の不公平が存在していると判断する。
具体的には図 1のように横軸に所得の昇順で並
i)所得によって介護ニーズと実際の介護サー
べた人口の累積度数、縦軸にこれらの人々の実際
ピス利用量の分布状況(後述する集中度係数
の介護ニーズとサービス利用量の累積度数をとり、
によって計測)を比較することで、介護ニー
集中度曲線を描く。ここでは、介護ニーズの集中
ズの充足に関する公平性を検討する。
度曲線が C
n
lで、示されたとする。また実際の介護サ
i
i
) 介護保険による保険給付額(支給限度額内
uで示されたとする
ービス利用量の集中度曲線が C
の介護サ}ピス利用への 9割の保険給付)に
なら、介護ニーズ分布と比べ実際の介護サービス
注目することで、介護保険の所得再分配機能
利用分布は 4
5度線により近く、したがってより平
について検討する。
等な分布となっているので、低所得層に有利な形
での介護サ}ピス利用が行われたことになる。
(
2
) 介護ニーズ充足に関する公平性
①公平性の測定方法
介護サービス利用の公平性について W
agstaff
介護サービス利用量の集中度曲線が同じく C
uで
あっても、もし介護ニーズの集中度曲線が C
n
2、
で
示されたとするなら、介護ニ}ズ分布と比べ実際
andVanD
o
o
r
s
l
a
e
r(
2
0
0
0
) が行った医療サービ
の介護サ}ピス利用分布は 4
5度娘から相対的に遠
ス利用(アクセス)の公平性の分析枠組を援用し
く(右下方)に位置し、したがってより不平等な分
介護保険の利用実態と介護サービスの公平性に関する研究
1
5
9
布となっているので、高所得層に有利な形での不
用量は具体的には以下の方法で推計した。
公正な介護ニーズの充足が行われたことになる。
i)自己負担額 xlO孟介護保険支給限度額の場合;
なお、集中度係数は幾何学的にはこれら集中度曲
線と 4
5度線に囲まれた面積の 2倍のことである。
この分析枠組は、実際の介護サ}ピス利用量が
所得に関して単に「平等」に分布しているかどう
かだけではなく、介護ニ}ズの分布を同時に考慮
することで実際の介護サービス利用量が所得に関
して「公平」であるかどうかを検討できる利点が
ある。
介護サービス需要量=自己負担額 x1
0
i
i)自己負担額 x10>
介護保険支給限度額の場合;
介護サ}ピス需要量
=支給限度額-t(自己負担額 xlOー支給限度額)
x0
.
1
=支給限度額 x0.9+自己負担額
(
b
) 介護ニーズの計測方法
以上のように使用できる変数に制限があるとは
なお以上の分析枠組では同じニーズを持つ人
いえ、介護サーピス利用量は比較的推計が容易で
が、所得に関わらず同じサービス利用をしている
ある。一方、介護ニ}ズは潜在的なものであるの
かどうかという「水平的」公平性に注目しており、
で正確に把握することは難しい。 2つの方法が考
より高いニ}ズを持つ人ほどより有利にサービス
えられる。
を利用しているかどうかという「垂直的 J公平性
(ア)支給限度額を当てはめる方法
に関しては不問に付している。言い換えれば、異
先に述べたとおり、介護保険制度下、支給限度
なるニードを持つ人が異なるサービスを受けてい
額は要介護度に応じて定められている。その要介
ることは所与として扱われ、その異なるサービス
護度認定には、介護の手聞を表すモノサシとして
利用が異なるニードに対して適切な大きさかどう
要介護認定等基準時間に認知症に関する指標を加
かは問わない (
W
a
g
s
t
a
f
fa
n
dVanD
o
o
r
s
l
a
e
r
,2
0
0
0
,
味して行われる。その意味で、要介護度毎に設定
pp.
11
7
1
8
)。
されている支給限度額は、要介護者の所得や家族
の介護力などの経済的・社会的要因とは独立し
②介護サービス利用量と介護ニーズの計測方法
た、要介護者「個人」に対する純粋な介護ニ}ズ
(
a
) 介護サービス利用量の計測方法
という意味をもっている。
介護サ}ピスの自己負担額は実際に購入した介
一方、第 2節で明らかにされたように、要介護
護サービス量を示す指標としては適当でない。
度 1について支給限度額は高めに設定されており、
(金銭換算した)実際に利用した介護サ}ビス量
また(平成 1
3年時点では)認知症の者に対する介
を把握するには、介護保険による保険給付額の部
護の手間が過小評価されているので、支給限度額
分を考慮しなければならない。すなわちi)支給
を介護ニ}ズの代理変数として使用するには適切
限度額内の利用であれば介護サービス利用量を介
でない可能性がある。そこで、この問題に対処す
護保険単位数で換算したもの、 i
i)支給限度額を
るため、要介護度が高いグループに注目すれば少
超過した利用であれば支給限度額に超過利用分の
なくとも要介護 1の支給限度額設定の問題につい
自己負担額を合算したもので推計する。
ては無視できるので、要介護者を 2グル}プに分
目的外使用申請で認められた介護サービス費用
け、各々について介護ニーズの分布を検討するこ
に関する変数は利用者の自己負担額のみであった
とで次善の策とした。
ため、(金銭換算された)実際の介護サ}ピス利
(イ)自己負担額の推計値を当てはめる方法
1
6
0
医療経済研究
V
o
1
.
19No
.
22
0
0
7
表 8 告変数の集中度係数、力クワ二指数等
全サンプル
C
u
C
n
l
C
n
2
G
G
c
Ku
K
n
l
Kム2
Hl
H2
実際の介護サービス利用
介護ニーズ 1:要介護度別支給限度額
介護ニ}ズ 2:自己負担額の推計値(山田 (
2
0
0
4
))
(等価)所得
(等価)所得+介護保険給付額
実際の介護サービス利用のカクワニ指数:C
u
G
介護ニーズ 1のカクワニ指数:c,仕
介護ニ}ズ 2のカクワニ指数:c,仕G
介護サービス利用集中度係数一介護ニ}ズ、 1集中度係数:
C
u
C
n
介護サ}ピス利用集中度係数一介護ニーズ 2集中度係数:
C
u
,
cη2
N
0
.
0
7
2
0
.
0
1
8
0
.
0
3
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9
9
0
.
3
0
9
0
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3
6
4
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3
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6
0
.
0
5
5
0
.
0
3
6
3
,
6
7
4
要支援
要介護 3
要介護
4.5
0
.
0
8
0
0
.
0
1
4
0
.
0
3
4
0
.
0
0
1
.
.
.
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0
.
3
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3
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.
3
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.
3
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.
2
5
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.
3
4
5
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.
3
7
8
.
.
0
.
0
6
6
.
.
2
,
8
7
5
同
.
.
0
.
0
3
3
.
.
7
9
9
注)厚生労働省『平成 1
3年国民生活基礎調査・介護票 (
N=3
,
6
7
4
)jに基づく筆者ら推計結果。計算はすべて母集団を反映
するよう Weight付けされている。なお山田 (
2
0
0
4
) で利用されているサンプル数は N=3
,
8
5
1となっている。
Wagsta
宜a
ndVanD
o
o
r
s
l
a
e
r(
2
0
0
0
) の実証分
ことになる。
析では、 4種の医療サービス利用指標(入院日数、
第 2節の超過利用分析の項でも明らかになった
かかりつけ医あるいは専門医への外来回数、それ
ように、確かに実際の介護サービス利用量の決定
らにかかった推定費用)を決定する要因のうち、
において家族の介護力は重要な要素ではある。し
所得以外の属性(具体的には性別、年齢、健康感、
かし、介護保険制度の導入が介護の社会化あるい
持病数)を、医療ニードを左右する要因とみなし
は介護地獄の解消を目的としていたことを勘案す
ている。これら医療ニ}ドを決定する属性が同ー
れば、介護ニーズの推計に家族の介護力を勘案す
であるにもかかわらず、医療サービス利用が所得
ることが妥当かどうかは価値判断にも絡み意見の
によって異なる場合に彼らは不公平が存在すると
分かれるところであろう。
判断している。
ただし、以下の分析においては、要介護度別の
具体的には各医療サ}ピス利用指標を被説明変
支給限度額設定の適切さに関する問題を考慮し、
数、それらに影響を及ぼす諸要因(ただし所得を
自己負担額の推計値を当てはめた山田 (
2
0
0
4
)に
除く)を説明変数とした回帰分析を行い、医療サ
よる介護ニーズ削も併用し、介護サービス利用の
ービス利用関数を推計することで、身体的要因の
公平性について検討する。
みで決定される医療ニーズの代理指標を作成する
というものである。
③介護ニーズの充足度
山田 (
2
0
0
4
) は、このアプローチを援用し、本
上記の計算方法と定義にしたがって介護サービ
稿と同じ「平成 1
3年国民生活基礎調査J介護票を
ス需要量、介護ニ}ズ 1 (支給限度額)、介護ニー
用い、介護サ}ピスの自己負担額を被説明変数と
ズ 2 (自己負担額推計値)、および等価所得の集中
した計測式を推計している。そこでは家族の介護
度係数を示したのが表 8である。
力に関する変数も入れており、これはいわば要介
Wagsta
宜a
n
dVanD
o
o
r
s
l
a
e
r(
2
0
0
0
) を援用し、
護者のいる「世帯Jの介護ニーズを推計している
所得に関する介護ニ}ズの充足度(水平的公平性)
介護保険の利用実態と介護サービスの公平性に関する研究
1
6
1
に関する指標 H =Cu-Cnの値を求めると、介護
の値 (
3
.
3
%
) は、介護ニーズ 2 (要介護者全体)
ニーズ 1 (支給限度額)で 5
.
4
% (=0
.
0
7
2-0
.
0
1
8
)、
3
.
6
%
) とほぼ等しい。
で計測した値 (
.6% (=
介護ニーズ 2 (自己負担額推計値)で 3
図 2では、介護サービス利用の集中度曲線と介護
0
.
0
7
2-0
.
0
3
6
) と正の符号をとり、高所得者にと
ニーズ Iの集中度曲糠に固まれた部分の面積はきわ
って有利ではあるが、所得の不平等度を表すジニ
めて小さく、以上のことを視覚的に表している。
G:等価所得の集中度係数) 3
8
.
2
%と比較す
係数 (
るとその値はいずれも 1桁小さい。したがって、
(
3
)介護保険制度の所得再分配機能
所得階層間で介護ニーズの充足に大きな差はな
①介護ニーズと介護サービス利用の逆進性
く、所得の不平等と比較すれば相対的に公平な状
態にあるといえる。
前項の分析より、所得の相違によって介護ニ}
ズに対するサービス利用の充足に相違はほとんど
また前節の分析で要介護 1の支給限度額が適正
ないことが明らかにされた。しかし、先にも述べ
でないことが示唆されたため、要介護者を要介護
たようにこの状況が公平な状況だと言いきれな
3以下と要介護 4以上の 2つに分けて、介護ニーズ
い。低所得者の介護ニーズが大きく、それに対応
1 (支給限度額)を計測した。介護ニーズの充足
するために低所得者にとって経済的には厳しいが
度(水平的公平性)の指標 Hは前者で 6
.
6
%、後者
何とか必要な介護サービスを利用しているという
.
3
%であり、数値の大きさは各々のジニ係数
で3
状況であれば、介護ニーズに対するサービス利用
(
3
8
.
2
%と3
7
.
9
%
) と比較してやはり 1桁小さく、要
の充足に所得階層間で差がなくとも、低所得者の
介護度の高いグループでより公平な状態にあるこ
負担は大きいので低所得者にとって「垂直的」公
とが示された。なお、要介護 4以上の介護ニ}ズ I
平性の観点、からは不利な状況ともみなせる。
この観点からの公平性を検討するためには介護
図2 介護ニーズ、介護サービス利用の集中度曲線
1
.
0
ニーズや介護サービス利用の逆進性を分析するこ
とが有効である。介護ニーズ(あるいは介護サー
0
.
9
4
5度 線
ビス利用)が逆進的であるとは、所得に対する介
0
.
8
ー一介護サービス
利用
護ニーズ(あるいは介護サ}ピス利用)の比率が、
0
.
7
一一一介護ニーズ 1
高所得者より低所得者で相対的に大きい状態を示
0
.
6
(支給限度額)
す。よって介護サービス利用が逆進性をもっとす
0
.
5
れば、サービス利用の費用を全額本人が負担する
0
.
4
場合、低所得者の負担感は大きいことになる。
0
.
3
逆進度(累進度)の指標にカクワニ指数
0
.
2
(Kakwani
,1
9
7
7
) がある。介護サ}ビス利用のカ
0
.
1
クワニ指数は幾何学的には、介護サ}ピス利用か
0
.
0
0
.
0 0.
10
.
20
.
30
.
40
.
50
.
60
.
70
.
80
.
91
.
0
ら描かれた集中度曲線と 4
5度線に挟まれた面積か
所得順の人口の相対累積度(%)
5度線に固
ら所得から描かれたロ}レンツ曲線と 4
注)厚生労働省『平成 1
3年国民生活基礎調査・介護票
(N=3,
6
7
4 に基づく筆者ら推計結果。
計算はすべて母集団を反映するよう W
eight付け
されている。
H
まれた面積を引いたものである。すなわち、カク
ワニ指数
(
K
) とは、介護サ}ピス利用の集中度
C
u
) から所得のジニ係数 (
G
) を引いた値
係数 (
1
6
2
医療経済研究
Vo
1
.
19N
o
.
22
0
0
7
となる。 Kが負値をとれば介護サ}ピス利用は逆
②保険給付による所得再分配の規模
しかし、現実には介護保険制度によって利用者
進性をもつことになる。
表 8では介護ニ}ズおよび介護サービス利用の
の自己負担は実際のサ}ピス利用量より少ない。
カクワニ指数も示されている。介護サ}ピス利用
そこで次に介護保険制度の所得再分配機能が低所
のカクワニ指数 (Ku) はー 3
0
.
9% (=Cu-G =
得者の介護サービス利用にどのような影響を及ぼ
0
.
0
7
2-0
.
3
8
2
)、介護ニ}ズ 1(支給限度額)のカク
しているかを検討する。
ワニ指数
(
K
n
l
) はー 36.4% (=C
n
l-G=0.018-
0
.
3
8
2
)、介護ニーズ 2 (自己負担額推計値)のカク
ワニ指数
(
K
n
2
) は -34.6% (=C
n
2-G=0.036-
具体的には、介護保険からの保険給付(保険対
象分)を低所得者と高所得者のどちらが多く受給
しているか調べた。なお支給限度額以下の、保険
0
.
3
8
2
) であった。介護ニーズ・介護サービス利用
対象分の介護サービス利用額のことを以下「保険
の集中度係数はジニ係数と比較して 1桁小さい値
給付額」と呼ぶことにする注 10。この保険給付額は
を取っていることからも既に自明なように、所得
「介護サービス利用量一自己負担額Jで推計でき
に対して逆進的となっている。つまり、低所得者
る。介護サービス利用量に関しては前記の方法で
の方で所得に対する介護サ}ピスの利用負担の大
自己負担額から算出する。
同様の問題意識で分析した研究としては遠藤・
きいことが示された。
介護保険制度がなければ介護サービスはすべて
駒村 (
1
9
9
9
) 挙げられる。彼らは「所得再分配調
利用者負担であるから、本節におけ芯これまでの
査」を用いて(公的)医療保険制度の所得再分配
分析結果から、i)所得階級聞で介護ニ}ズと介護
機能を検討するため、「所得 Jと「所得+保険給
サービス利用の議離は小さいが、一方で、ii)低
付一保険料」について各々のジニ係数を算出して
所得者ほど所得に対する介護ニーズの比率、介護
比較している。ジニ係数は値が小さいほど平等で
サービス利用の比率が高いため、低所得者は高所
あることを示す指標なので、後者の方のジニ係数
得者より所得の割に介護サービスへの負担が大き
が小さければ医療保険制度は医療サービスの購買
い、といえる。
力を公平化させていることになる。
彼らの分析手法に従えば介護保険料についても
考慮しなくてはならない。しかし、「国民生活基
表
9
介護ニーズ、サービス利用(額)、保険給付額と所得階級(単位:円/月額)
所得五分位
I
I
I
I
I
I
IV
V
計
a
) 等価所得
[シェア]
b
) 介護ニーズ I
[シェア]
6
J
6
2
,
2
5
8 [
1
2
J
1
3
0
,
7
6
1 [
1
7
J
1
8
6
,
8
5
8 [
2
3
J
2
5
3
,
5
8
9 [
4
3
J
4
7
8
,
6
8
1 [
2
1
5
,
0
0
3[
10
0
J
1
9
J
2
0
5
,
2
8
1 [
1
9
J
2
0
3
,
8
8
5 [
21
]
2
1
8
,
7
0
5 [
2
0
J
2
1
1,
6
2
5 [
2
1
J
2
2
3
,
0
1
8 [
6
9
0[
10
0
J
2
1
1,
c
) 介護サービス
利用[シェア]
1
7
J
7
6
,
5
7
4 [
[
1
8
J
8
5
,
4
7
1
2
0
J
9
3
,
13
0 [
2
1
J
9
7
,
0
8
7 [
2
4
J
0
8
9 [
1
1
1,
8
4
7[
1
0
0
J
9
1,
d
) 保険給付額
[シェア]
6
4
,
8
7
7
7
3
,
6
8
8
7
8
,
4
9
3
8
1,
8
5
8
9
3
,
0
7
4
7
7
,
7
7
3
[
1
7
J
[
1
9
J
[
2
0
J
[
2
1
J
[
2
4
J
[
1o
o
J
(
d
)/ (
a
)
1
.
0
4
0
.
5
6
0
.
4
2
0
.
3
2
0
.
19
0
.
3
6
注)厚生労働省『平成 1
3年国民生活基礎調査・介護票 (
N=3
,
6
7
4
).1に基づく筆者ら推計結果。計算はすべて母集団を反映
.
5乗で割った等価総所得に基づく。
するよう Weight付けされている。所得五分位は世・帯総所得を世帯人員数の 0
介護保険の利用実態と介護サービスの公平性に関する研究
図 3 ローレンツ曲線、(等価)所得+保険給付額の
集中度曲線
0
.
8
0
.
7
〆}
一-45度 線
一 等険価所制持額+介護
/'ノ
一一等
(
L
価
o
r
所
en
得
z曲線)
f
J
-
/y
/
,.
0
.
6
/〆シ/
0
.
5
/
;
/
〆
J
/
0
.
4
/ノ
0
.
3
0
.
2
0
.
1
0
.
0
保険給付額」の分布は r
(等価)所得」の分布よ
(等価)
り公平となっている注へまた表 9では r
所得 Jと比較した「保険給付額」の大きさが、所
1
.
0
0
.
9
1
6
3
/
〆
二
戸
/
/ノム〆
〆今必〆
0
.
0 0
.
1 0
.
2 0
.
3・
0
.
4 0
.
5 0
.
6 0
.
7 0
.
80
.
9 1
.
0
所得順の人口の相対累積度(%)
注)厚生労働省『平成 1
3
年国民生活基礎調査・介護票
,
674).1に基づく筆者ら推計結果。
(N=3
eight付け
計:算はすべて母集団を反映するよう W
されている。
得の低い方ではるかに大きくなっていることがわ
所得五分位では要介護者は
かる。たとえば、第 I
平均すると r
(等価)所得」にほぼ匹敵(=1
.04
倍)する「保険給付額」を受給している。第 E所
得五分位でも要介護者は平均すると r
(等価)所
得」の半分強(=0
.
5
6
) の大きさの「保険給付額」
を受給している。
表 8に戻ると、
r
(等価)所得」のジニ係数 (
G
)
は3
8
.
2
%、 r
(等価)所得+保険給付額」のジニ係
G
c
) は2
9
.
9
%であり、介護保険制度が介護サ
数 (
ービスの購買力を平準化させていることがわか
(等価)所得Jと r
(等価)所得+保
る。図 3は r
険給付額」の各々のローレンツ曲線を表したもの
である。 2本のローレンツ曲線は交差することな
く
、 r
(等価)所得」のローレンツ曲繰の方が明ら
4
5度線からより右下方に離れた位置)
かに外側 (
礎調査」の介護票では介護保険料注目を推計するこ
にあることを視覚的に読みとることができる。
とが困難なので、ここでは介護保険による保険給
前項の分析では介護サービス利用量は逆進性を
付額(=介護サービス利用量一自己負担額)の再
示し、所得に対する介護サービス利用量の比率は
分配機能のみに着目する。具体的には、 r
(等価)
むしろ低所得者の方で高くなっていたが、それは
所得」と r
(等価)所得+保険給付額」の各々の
介護保険制度による所得再分配機能に負うところ
ジニ係数を計算・比較し、後者の方のジニ係数が
が大きいことが明らかになった。
小さくなっていれば介護保険制度により公平性が
向上したと判断する。
本節の分析結果は以下のようにまとめられる。
前段として表 9は所得五分位ごとに(等価)所
i)介護ニ}ズに対する介護サービス利用によ
得、介護ニーズ 1 (支給限度額)、介護サ}ピス利
る充足という点では所得階層聞の格差はきわ
用量、保険給付額をシェア(完全平等なら各五分
めて小さく、ほほ公平だといえる。
位で 20%ずつの値になる)とともに記したもので
ii)ただし介護ニーズおよびサ}ピス利用量の
ある。所得五分位ごとの保険給付額のシェアは介
対所得比率は、両方とも低所得者の方で高く
護ニ}ズ 1 (支給限度額)のシェアとほぼ等しい。
なっている。これは所得分布と比較して、介
高所得者の方で保険給付額がやや多くなる傾向が
護ニーズおよびサービス利用量の分布が平等
あるが、保険給付額の所得五分位間での差は等価
であることに起因する。
(等価)所得+
所得の差より大幅に小さいため、 r
出)介護保険制度による保険給付額は低所得者の
1
6
4
医療経済研究
Vo
1
.
19N
o
.
22
0
0
7
介護サービスの購買力を大幅に高めている。そ
は低所得者の方で高くなるように配分されてお
の為、所得階層間での介護サービス利用におけ
り、保険給付を通じた強力な再分配機能により介
る格差は所得格差を反映することなく、介護ニ
護サ}ビスの公平な利用が促進されていることが
ーズは比較的公平に充足されている。
明らかになった。しかし、介護ニ}ズおよび介護
サ}ピス利用量の対所得比率は低所得者の方で高
4.おわりに
くなっており、自己負担率が所得によらず一律で
あることの妥当性について検討する必要性が示唆
介護保険制度が発足して 2年目において、要介
護者のうち介護保険を利用した人は所得階級およ
び(要支援を除き)要介護度に関わりなく 7割程
度であった。そのうち 2割強が支給限度額を超え
された。
注
1 塚原 (
2
0
0
5
) では、平成 1
3年に訪問面接法によ
て介護サービスを利用していた。また支給限度を
る独自調査を行い確保した約 450サンプルを用いて
分析している。
超過してサービスを利用する要因を分析すること
2 この所得の影響に関しては大日 (
2
0
0
2
) や清水
で要介護度別の支給限度額の妥当性を検討した。
その結果、要介護度 1の支給限度額は高すぎるこ
と、要介護度判定に認知症のレベルが(平成 13年
度時点においては)適正に評価されていないこと
が分かつた。
8年度の介護報酬改定では
前者に関しては平成 1
要支援や要介護 lの軽い要介護度認定者が急増し
たことを背景に、要支援(支給限度額 6150単位)
を要支援 1 (支給限度額 4970単 位 ) と 要 支 援 2
(支給限度額 10400単位)に分け、同時に介護予防
の概念を導入した。しかし要介護 1の支給限度額
はそのままである O 本稿の分析結果は要介護度 I
の支給限度額について再検討の余地がある可能性
を示唆している。後者については平成 14年に認知
症をより反映するように要介護認定ソフトの改定
が行われており、その正当性を裏付けている。
また、介護ニ}ズに対する介護サービスの充足
について所得階層間で格差があるかどうかを検証
したところ、高所得者の方で低所得者よりやや充
足していたものの、その差はきわめて小さく、介
護サービスの充足は所得階層間で公平だといえ
る。また、介護保険制度の再分配機能について分
析した結果、所得に占める介護保険給付額の比率
谷・野口 (
2
0
0
4
) による居宅介護サービスが者修財
かどうかをめぐる分析が関連しているが、筆者らが
知る限り統ーした見解は得られていない。
3 等価所得とは、世帯に働く規模の経済性を調整し
た所得のことである。世帯内で所得が平等に分配さ
れていることを仮定している。たとえば 400万円の
世帯所得がある世帯員数 4人の世帯では各世帯員が
各々に等価所得 200万円(=400万円 +';4) を得て
いるものとする。この世帯人員の平方根で除する等
価所得の計算方法は、経済協力開発機構 (OECD)
やルクセンブルグ所得研究機構 (Luxembourg
IncomeS
t
u
d
y
) によって提案されているものであ
る
。
4 この順序は表 2a) で示した要介護度別の対限度
額利用率が 1以上の比率の順位、すなわち要介護 4
(
2
3
%
)、要介護 3 (
2
1
%
)、要介護 2 (
19%)、要介
17%)、要支援(14%)、要介護 1 (
12%) と
護5 (
かなり異なる。それはクロス集計では要介護者の所
得の影響が除かれていないためと考えられる。
5 要介護 5の場合には要介護認定等基準時間は 1
1
0
分以上となっており、実際には上限がないが、要介
護度聞の刻みが 20分ずっとなっているので仮の上
3
0分を設定した。
限として 1
6 なお、要支援の場合には、ホ}ムヘルプが中心と
分あた
なり、高度な介護技術を要しないことから 1
りの支給限度額が他の要介護度と比較して相対的に
かなり低くなっていることは問題ない。実際、表 2
で見たように、要支援者の介護サービス利用率は、
介護保険の利用実態と介護サ}ピスの公平性に関する研究
1
6
5
要介護者と比べて明らかに低く、支給限度額の設定
F
i
n
a
n
c
e
.J
o
u
r
n
a
lo
fH
e
a
l
t
hE
c
o
n
o
m
i
c
s1
9
9
7
:
1
6
:4
9
9
-
が低いとはいえない。
5
1
6
7 なお、著しい精神症状、問題行動、重篤な身体疾
託A
.andE
.VanD
o
o
r
s
l
a
e
rMeasuring
3) Wagsta
患(認知症 5
) については係数の符合は正であるが
andt
e
s
t
i
n
gf
o
rI
n
e
q
u
i
t
yi
nt
h
eD
e
l
i
v
e
r
yo
fH
e
a
l
t
h
有意で、はなかった。これは、ここまで認知症が進行
C
a
r
e
.J
o
u
r
n
a
lo
fHumanR
e
s
o
u
r
c
e
s2
0
0
0
:
3
5(
4
)
すると、多くの人は病院や介護施設に入院・入所し
7
1
6
7
3
3
.
4) 遠藤久夫,駒村康平.公的医療保険と高齢者の医
ているため、居宅の要介護者を対象としている「国
民生活基礎調査」では十分なサンプルが得られなか
療アクセスの公平性.季刊社会保障研究
ったためだと考えられる。
3
5(
2
) :1
4
11
4
8
8 介護サ}ピス利用者の大半は後期高齢者であるの
で
、 40-74歳から後期高齢者への世代間移転が存
在していることになる。
9 山田 (
2
0
0
4
) に掲載された図表に基づき、原著者
の許可を得た上、筆者らが独自に推計した。
1
0 実際には介護保険制度は現物給付であるから保険
2003:
・
5)遠藤久夫,篠崎武久.患者自己負担と医療アク
セスの公平性.季刊社会保障研究 2
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6) 大日康史.公的介護保険による実際の介護需要の
分析一世帯構造別の推定.季刊社会保障研究
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給付は利用者ではなく介護報酬としてサービス提供
7)清水谷諭,野口晴子.介護・保育サービスの価
者に支払われるが、利用者はその分自分の所得を減
格・所得弾力性.介護・保育サービス市場の経済分
らさないですむという意味において利用者に対する
析.東洋経済新報社. 2
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8) 塚原康博.介護サ}ピスの利用と金銭的価値.高
給付とみなすことが可能で、ある。
1
1 これらの情報は所得票では把握できるが、介護票
に回答している世帯は所得票には回答していないの
で、マッチングさせることは不可能である。また本
稿で用いた介護票のデータでは世帯所得は取れる
齢社会と医療・福祉政策.東京大学出版会.
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9)山田篤裕.居宅介護サ}ピスの公平性.季刊社会
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3
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保障研究. 2
が、要介護者本人の所得をそこから識別することは
できない。そのため介護保険料をそこから推計する
こともできない。
1
2 多くの自治体では低所得者に対して介護保険の自
著者連絡先
学習院大学経済学部
遠藤久夫
己負担の補助を行っているため、実際は低所得者の
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介護サ}ピス利用量および保険給付額はより大きい
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可能性がある。その場合、低所得者への再分配効果
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はより大きいことになる。
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世帯人員調整済所得(月額・万円)
要介護 1 (要支援が基準)
要介護 2
要介護 3
要介護 4
要介護 5
要介護期間(月数)
歩行自立
移乗自立
食事摂取自立
鴨下自立
排便の後始末自立
便意有り
一般家庭用浴槽の出入り自立
ズボンの着脱自立
洗顔自立
俳佃無し
認知症 1:ほほ生活自立
認知症 2:見守りにより自立可
認知症 3:介護必要
認知症 4:常時介護必要
認知症 5:著しい精神症状・問題行動・重篤な身体疾患)
主な介護者:要介護者の配偶者(その他の親族が基準)
主な介護者:事業者
要介護者のための専用室有り
介護時間 1:ほとんど終日(必要な時に手をかす程度が基準)
介護時間 2:半日程度
介護時間 3:2~3 時間程度
事業者密度 1:訪問介護
事業者密度 2:訪問入浴介護
事業者密度 3:訪問看護ステーション
事業者密度 4:通所介護
事業者密度 5:通所リハビリテーション
事業者密度 6:短期入所生活介護
事業者密度 7:短期入所療養介護
事業者密度 8:痴呆対応型共同生活介護
事業者密度 9:福祉用具貸与
事業者密度 1
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介護保険の利用実態と介護サービスの公平性に関する研究
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