マルチメディア通信教育利用研究プロジェクト発表会の計画と実施

マルチメディア通信教育利用研究プロジェクト発表会の計画と実施
―「「マメ de がんす」プロジェクト中間研究発表会」報告―
前田真理
玉井基宏
広島市立白島小学校
広島市立鈴張小学校
[email protected]
[email protected]
上野優香
前田香織
広島市立比治山小学校
広島市立大学情報処理センター
[email protected]
[email protected]
去る平成 13(2001)年 12 月 25 日(火)広島市中区紙屋町「メルパルク HIROSHIMA」
に於いて,
「広島地域における高度マルチメディア通信の教育利用に関する実験プロジェクト」
(略称「マメ de がんす」プロジェクト)の研究発表会として「「マメ de がんす」プロジェク
ト中間研究発表会」が開催され,広島地域を中心に約 120 名の初等中等教育関係者や各種研
究機関および行政関係者,ネットワーク事業関係者が参集した.本稿では,本研究発表会開催
に至る経緯・組織・準備内容及び実施内容等について報告する.
1.はじめに
平成 13(2001)年 12 月 25 日(火)広島市中区紙屋町の「メルパルク HIROSHIMA」に
於いて,「広島地域における高度マルチメディア通信の教育利用に関する実験プロジェクト」,
(略称「マメ de がんす」プロジェクト,以下本プロジェクトと記す)の研究発表会として「「マ
メ de がんす」プロジェクト中間研究発表会」(以下,本研究発表会と記す)が開催された.
本研究発表会では,1つの基調講演と,4つの報告(うち本プロジェクト概要解説1件,実
験参加の広島市立小学校における実践報告3件)があった.県内外から 112 名(スタッフを
含む)の初等中等教育関係者や各種研究機関および行政関係者,民間企業従事者が参集した.
本研究発表会は,特定非営利活動法人中国・四国インターネット協議会(CSI)主催,財団法
人コンピュータ教育開発センター(CEC)が共催した.本稿では,本研究発表会開催に至る
経緯・組織・準備内容及び実施内容等について報告する.
なお,本プロジェクトの Web サイトは http://www.csi.ad.jp/activity/MAMEdeGansu/
本研究発表会の Web サイトは http://www.csi.ad.jp/wg/pub/mame2001/である.
2.開催に至る経緯
2−1.特定非営利活動法人中国・四国インターネット協議会(CSI)について
本研究発表会の主催は「特定非営利活動法人中国・四国インターネット協議会」(以下 CSI
と記す)である.CSI は平成 5(1993)年 3 月に学術系地域インターネット運営組織(任意団
1
体)として設立された.CSI は,主として大学や研究機関を対象として,学術・研究・教育及
びその支援を目的としたコンピュータネットワーク利用のためのインターネット接続を提供
するかたわら,インターネットの技術および利用に関する啓発・普及,インターネット接続技
術および利用技術に関する研究・開発およびその支援や学校教育へのインターネット利用の支
援など,当地域におけるネットワークコミュニティの健全な発展への努力を通じて地域社会へ
貢献してきた.学校のインターネット利用に関しては,平成7(1995)年の 100 校プロジェクト
によって,研究者と初等中等教育機関の教職員が直接交流する機会が生まれ,その後も研究活
動を継続している.このあたりの経緯は本研究発表会予稿集を参照いただきたい.
平成 11(1999)年,CSI はこれまでの諸活動をより一層強化・充実するために,特定非営
利活動法人(NPO)として新たなスタートを切った.CSI では,学術研究機関や自治体等の
非営利組織を対象としたインターネット接続サービスに加え,新たに当地域における情報流通
の円滑化・効率化を図るインターネット相互接続サービスを提供している.また,従来行って
きた研究・開発,啓発・普及活動に加え,社会教育や他の NPO の支援など活動をさらに拡大
し,当地域における情報通信基盤の一層の発展に貢献することをめざしている.
2−2.「「マメ de がんす」プロジェクト」について
学校におけるインターネット利用環境は急速に整備され,より高速な通信環境が普及しつつ
あるが,その有効な利活用に関する課題は多い.CSI 運営委員会は,高速回線を日常的に利用
し,学校における映像や音声を用いた遠隔会議等の利用活性方法模索,マルチメディアコンテ
ンツの制作や活用に向けた課題の洗い出し,利用支援技術の開発を進めるとともにマルチメデ
ィア通信リテラシーの向上を図ることを目的として,本プロジェクトを企画した.
主たる研究目的は次の通りである.
•
•
•
•
学校におけるマルチメディアコンテンツの制作活性化
マルチメディアヘルプデスクによるネットワーク管理支援システムの開発
教員のマルチメディアネットワークリテラシー向上支援
学校における次世代ネットワーク(IPv6)構築における課題検証
実施期間は平成 13 年 4 月から平成 14 年 3 月の単年度.実施形態としては,プロジェクト
推進委員会(以下,推進委員会)を組織し,本研究プロジェクトを推進している.プロジェク
トの詳細および実験ネットワーク構成図は参考資料1を参照いただきたい.
本研究プロジェクトでは研究協力員(小学校教諭)からなる研究実施グループを構成し,推
進委員会とともに本研究プロジェクトを遂行している.研究実施にあたっては,推進委員会が
中心となり研究支援グループを編成し,ネットワークの接続や利用に関する指導・助言を行っ
ている.研究協力員は推進委員会の支援のもとに,
•
•
高速回線網上のマルチメディア通信を用いた教育利用,管理技術に関する企画
マルチメディア通信にふさわしいコンテンツの提供
2
•
音声/映像を用いたビデオ会議システムの積極的利用
等実験環境を活用した教育実践を行っている.
2−3.本研究発表会開催に至った経緯
本プロジェクトにおける成果は,すでにマスコミで報道されている.例えば平成 13(2001)
年 6 月 21 日の「高品位伝送システムによるアフリカの3地点からの皆既日食生中継実施」は
新聞やテレビのニュースで取り上げられた.しかし,報道においてはイベント的内容が強調さ
れがちである.本プロジェクトでは,マルチメディア通信を日常的に活用した多様な教育実践
を行っていることや,教育機関と研究機関やネットワーク提供事業者が連携して技術開発や管
理支援を行うあり方を実践を通して研究していること等,プロジェクトの全体像を広く地域社
会に投げかける機会をもちたいと考えていた.
そこに,CEC による地域研究組織支援事業を受ける機会が得られ,本プロジェクトの研究
発表会をプロジェクトの半ばで実施できることになった. CSI の活動を地域社会全体に広報
するとともに,地域のネットワークの教育利用に興味関心を寄せる人材が出会う場を提供し,
実験プロジェクトそのものの一層の活性化を計るものとして,本研究発表会は企画された.
3.開催までの流れ
本研究発表会開催に向けての準備の流れを時系列にそった表で示すと表1の通りである.こ
の準備での重要なポイントとなったのは,次の通りである.
3−1.開催日と開催場所の選定.
開催が決定したので以下の要件に見合う場所を探した.
•
•
•
•
100 人(以上の)規模の会議室があること.
交通の便が良く,はじめての参加者にもわかりやすいこと.
開催日は初等中等教育機関(以下,学校と記す)の冬季休業中(課業日出張は学校関係
者には負担となりやすい).
できれば宿泊施設を併設していること(休業中なので遠方からの参加者も考えられる).
開催日は,学校の2学期の終業式後で集まりやすい日程を検討し,3連休( 22~24 日)あけ
の 25 日(火)と決定した.
開催場所は4カ所ほど候補に挙がっていたのだが,上記の条件すべてに見合う場所が,「メル
パルク HIROSHIMA」(広島市中区基町 6-36)であった.会場の仮押え申請は,開催日から
約 2 ヶ月前の平成 13(2001)年 10 月 18 日である.この時点での申請内容は,
•
•
100 人規模の会議室1とスタッフ用控え室1を終日借用(9:00∼17:00).
現地での第 1 回打合せを 11 月 1 日に行うので,その際に正式に発注する予定.
であった.
3
日程
研究会開催までの流れ ローカルアレンジ分担
2ヶ月前 開催決定
プログラムコミッティ分担
講師選定・依頼
会場下見・仮押え
プログラム原案作成
予算案作成
広報文書原案作成
後援依頼書作成・提出
発表者依頼
開催準備会第一回会合(プログラムと会場決定,会場オプション発注,
予算決定,広報文書確定,DM概要検討)
予稿集印刷予約
予稿集原稿雛形作成
昼食・懇親会手配
原稿依頼
予稿集係募集アナウンス
広報用Webページ作成
DM作成開始(支援)1
巻頭言と挨拶依頼
原稿督促
1ヶ月前 予稿集原稿締切
原稿校正
連絡用ML設置
看板発注
執筆者に確認
対外アナウンス開始
教育関連MLへの投げ込み
教育関連MLへの投げ込み
全後援確定
仕事分担原案作成
仕事分担原案調整
発表用機材調達先確認
看板校正
参加受付開始(支援)
2週間前 スタッフ出欠確定
司会者打診
印刷所へ入稿
DM発送(支援)
仕事分担確定
仕事分担案提示
司会原稿作成
司会原稿校正
開催準備会第二回会合(会場し構え詳細決定,経費分配調整,当日日程詳細検討)
1週間前 申し込み受付締切
昼食・懇親会出欠確認
参加者名札作成(支援)
1
(支援)は共催団体の支援スタッフによって行われた作業の意味である.
4
参加申し込み名簿作成(支援)
ポスター作成(支援)
当日タイムテーブル作成
前々日 予稿集納入
当日タイムテーブル校正
発表用機材確定
配布資料搬入
スタッフ表示・掲示物作成
前日
昼食・懇親会人数最終確認
会場・機材・資料等最終確認
当日販売書籍搬入
表 1 研究発表会開催までのタイムテーブル
3−2.開催のための組織作りと役割分担
開催が決定直後から本研究発表会のための組織作りが行われた.本プロジェクトの概要を広
報するという趣旨から,開催準備メンバーは本プロジェクト推進委員会と研究協力者の中から
選定することになった.
役割分担としては,方針の決定やプログラムの策定から経費の管理等,全体を把握して運営
全般を管理するプログラムコミッティ(以下 PC と記す)に広島市立鈴張小学校教諭玉井基宏,
主として会場手配・環境整備等を担当するローカルアレンジ(以下 LA と記す)に広島市立白
島小学校教諭前田真理があたった.その仕事分担は表1の通りである.役割からみると入れ替
わっている仕事もある(例えば予算案作成)が,状況から判断して効率よく進行できる方が作
業にあたり,その都度綿密に報告連絡相談を行って進めていった.予稿集作成は広島市立比治
山小学校教諭上野優香があたった.上野ははじめての作業であったので,PC と LA がサポー
トして予稿集作成を行った.
3−3.メーリングリストの立ち上げ
このような研究発表会のスタッフではメーリングリストを連絡と議論の場とすることが多
い.その際よく設置されるメーリングリストを分類すると,以下の通りになる.
•
•
•
スタッフ一般用(スタッフ全体への研究会運営に関する情報提供,打合せ)
参加申し込み者用(参加者管理と研究会情報の最新版アナウンス)
実行委員会用(研究会運営の詳細な議論,原案作成)
今回はすでに稼動している本プロジェクトのメーリングリストをそのままスタッフ一般用
として活用した.また実行委員会も少数であったので同報メールでの議論で十分であると判断
し設置しなかったので,特設したのは参加申し込み用の電子メールアドレスのみであった.こ
れについては参加者管理の項で詳細を述べる.
3−4.オフラインでの研究発表会打合せ会
オフラインでの研究発表会準備打合せ会は,2度行った(いずれも場所はメルパルク
HIROSHIMA).主な議論や作業は,メーリングリストなどといったネットワーク上(オンラ
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イン)で充分行え,実際に行われていた.しかし,会場設営や当日の人の流れやスタッフ配置
に関する議論を行うには現地に集合する必要がある.
このオフラインで話し合った議論の内容は,本プロジェクトのメーリングリストに報告され,
全体での共通認識を確認して,オンラインでの議論がすすんでいった.
3−5.後援名義取得
参加者の負担を軽くするためには,出張扱いでの参加が望まれる.そのために教育委員会後
援名義取得が重要である.CSI は任意団体時代から初等中等教育関係者を対象としたシンポジ
ウム等を3回ほど開催しており,その都度広島県教育委員会および広島市教育委員会での後援
名義を取得している.今回もその実績から県,市ともに後援名義取得が出来た.
3−6.研究会開催と参加者募集のアナウンス
本研究発表会での案内と募集にあたって活用した手段は以下の通りである.
•
•
•
学校関係者を対象としたメーリングリストに案内と募集方法を送信
本研究会 Web サイトに案内と募集方法を掲載した.受け付け用に電子メールアドレス,
申し込み用紙の郵送および FAX の 3 種類を用意.
A4 版チラシを作成し,近隣地域の初等中等教育機関に DM として発送.共催団体を通
してのチラシ配布も行った.
申し込みの大半は電子メールによるものであった.これはおおむねメーリングリストの効果
だと考えられる.学校へ配布したチラシは,特定の教員にだけ届くことが多いが,今回の研究
会参加者のアンケート回答には DM による通知で開催を知ったというケースも多く,また「知
人の学校には開催通知が来たが,自分の勤務先には届いていないのでどうしたのか」という問
い合わせもあった.
3―7.参加者管理
前項に述べたように,参加申し込みは大部分が電子メールで行われた.参加者用のメーリン
グリストの立ち上げは行わなわず,受付受理と参加の案内を個人あてに返信するにとどめた.
FAX による申し込みは同様のことを FAX で行った.
しかし,どれだけの参加者があるかその実数を日々刻々と把握しておくことは準備作業上重
要である.それで,申し込み用の電子メールアドレスにメールが配送された場合,それが PC
と LA,共催団体スタッフに同報される簡易なメーリングリスト立ち上げをサーバ管理者に依
頼しておいた.これは準備スタッフにとってのメール数は増加するが,参加状況把握には非常
に有効であった.また,共催団体でこれらの受付作業と名簿作成事務を支援していただいたた
め,LA の負担は非常に軽減された.
3―8.スタッフの当日までと当日の仕事分担
当日までの開催準備の仕事は大半が PC,LA,予稿集作成担当が分担して行ったが開催3週
間前程度になると,当日の仕事と関わる事前準備がスタッフ全体で必要になる.今後のことも
考慮してメンバーが多くの仕事を経験できるよう配慮すること,はじめての仕事には支援をし
ていくこととして,LA が仕事分担案を作成した.
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出欠をプロジェクトメンバーに確認した後,仕事分担表を提示して個別の希望の有無を確認
した上で仕事を割り振った.特に記録は機材を使う仕事なので,原則として本人の使い慣れた
機器を持ち込むこととしてそのことも含めて依頼した.司会者も長時間にわたる負担の大きい
仕事なので事前に打診・内諾を得ておいた.
3―9.会場環境計画立案
本研究発表会では,基調講演に多くの時間を割り当てることで情報化による社会や教育の変
革のその延長線上に本プロジェクトの実施意図があるということを理解いただくようにプロ
グラムを作成した.したがって,会場に LAN 環境は不要と判断した.
その中でプロジェクトの成果公開のために VTR やデジタルカメラ等での記録を残すことと
と,発表者の意向を最大限反映するための機材準備と配置には工夫を行った.例えば成果の公
開としては撮影実施にあたり,後日のビデオオンデマンド(VOD)によるインターネット上
での公開について講師と発表者の承諾を得ておいた.また,参加者にはより見やすい構成,発
表者には VTR とスライドに同時対応した環境の提供のため液晶プロジェクタ 2 台と分岐シス
テムを用意した.機材提供には共催団体の支援をえて,高性能の機器を確保することが出来た.
なお,当日会場においてはスタッフが執筆した書籍の販売と,無償 CD-ROM および各種パ
ンフレット配布にとどめることにした.
4.予稿集作成
本研究発表会において,予稿集を編集・発行した.予稿集担当係として広島市立比治山小学
校教諭上野優香がとりまとめに当たった.原稿の執筆は,基調講演および報告者全員計 5 名に
依頼した.以下に,予稿集編纂の経緯を示す.なお,これらのやりとりは主にメーリングリス
ト上や個別のメールで行われ,実際に顔を合わせての打ち合わせは行わなかった.
11.中 予稿集表紙装丁の決定
・ 予稿集の表紙の扉絵は「CSI2001 ネットワーク研究会」のために CSI 運営委員
山崎綾子氏が作成したものをベースにすることの許諾をいただき,研究発表会用
に手直しをする作業を開始した.
11.中 予稿集巻頭言の依頼
・ CSI 理事長吉田典可氏に予稿集巻頭言を依頼.
11.中 PC より予稿集原稿執筆要綱の公布
・ 締切 11 月 25 日.
・ 原稿は PC が Web 上で予稿集用原稿雛型を公開した.作成した原稿は電子化し
たものをメールに添付し,予稿集担当の上野氏のメールアドレスに送付する.
・ 対象は巻頭言,および基調講演と全発表.
11.25 原稿締切
・ ほぼ締切通りに全員の原稿が揃う.
・ 集まった物を上野氏が誤字脱字等チェックして Web サーバにアップ.個々の執
筆者はそれを確認した.上野氏が執筆者と個別にメールをやり取りして微調整が
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行われた.図表の位置やフォント等判断が難しい事項は PC・LA への同報メー
ルによって相談して対応していった.
・ 原稿ファイルは一太郎形式と word 形式の混在.
12.06 目次とプログラム作成
・ 全原稿にページ番号を振った.
・ 確定したページ数にしたがって目次を作成.
12.12 予稿集係による最終調整終了
・ 印刷がモノクロのため,画像ファイルがカラーのものはすべてモノクロにする作
業をした.
・ 原稿の文字数とページ数の関係から,原稿のフォントおよび画像ファイルの位置
修正を執筆者の了解を得て行った.
12.14 予稿集原稿印刷所に入稿
・ 全原稿を印刷業者(インパルス広島)にデータとプリントアウトの両方を渡す.
12.21 予稿集納品.
・ 仕上がりは研究会 5 日前とした.理由は研究会直前が 3 連休で CSI 事務局が受
理不能であることと,万一の原稿差し替え等に備えるためとである.
・ 納品先はメルパルク HIROSHIMA に 150 部,基調講演の堀田氏に 5 部,CSI
事務局 145 部と分割した.理由は講師に事前に本プロジェクトと本研究発表会
の全体像を把握してもらうためと,会そのものが CSI 主催イベントのため加入
者への配布や関連組織への発送をスムーズにおこなうためである
5.研究発表会プログラム
日時:平成 13(2001) 年 12 月 25 日(火)
13:00∼16:30(受付 12:30∼)
場所:メルパルク HIROSHIMA「桜」の間(広島市中区基町 6-36)
参加費:無料
主催:特定非営利活動法人 中国・四国インターネット協議会(CSI)
共催:財団法人コンピュータ教育開発センター
後援:広島県教育委員会,広島市教育委員会
協力団体:広島市立大学
対象:初等中等教育関係者およびネットワークの教育利用に関心のある者
プログラム
13:00
開会あいさつ
CSI 理事長
13:10
吉田
典可(広島市立大学情報科学部教授)
基調講演 「これからの情報教育
講師
14:50
休憩
15:05
報告 (各 20 分)
堀田
−マルチメディアが透明になる時−」
龍也氏(静岡大学情報学部助教授)
報告 1.
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「プロジェクト概要」前田香織(広島市立大学情報処理センター 助教授)
報告 2.
「児童の意欲を喚起する総合的な学習
−日食中継を活用したアフリカの学習」
長谷 冨美(広島市立河内小学校 教諭)
報告 3.
「遠隔授業は教育をどう変えたか
−小学校理科における実践−」
杉浦 透(広島市立井口明神小学校 教諭)
報告 4.
「響き合う歌と心
−遠隔地との音楽会−」
森保 尚美(広島市立南観音小学校 教諭)
16:25
閉会あいさつ
CSI 運営委員会委員長
16:30
相原
玲二(広島大学情報メディア教育研究センター教授)
閉会
図 1 研究発表会の模様(中央は講演中の静岡大学助教授堀田龍也氏)
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6.参加者の詳細
参加者総数 112 名(スタッフを含む)
参加者一覧
教員
内訳
66 名 59%
小学校教員
37 名
中学校教員
7名
高等学校教員
10 名
大学教員
10 名
養護学校教員
1名
専門学校教員
1名
教育委員会・教育センター指導主事
4 名 4%
学生
10 名 9%
一般企業関係者
30 名 27%
行政関係者
2 名 2%
計
112 名
7.参加者アンケート
本研究発表会会場でアンケートを依頼し,52 名の方から回答を得た.回答者にスタッフは
含まれていないので,参加者側からの意見とみなすことができる.回答の詳細については参考
資料2を参照いただきたい.
回答には講演・発表・運営のいずれもおおむね満足できるとの意見が多かった.また今後の
マルチメディア通信の教育利用に寄せる期待も高く,本プロジェクトで行っている利用促進研
究そのものに深い関心がよせられていることもわかった.
8.開催を終えての気づき
8―1.開催日と開催場所の選定
開催場所は参加者の便を考えて,公共交通機関が集約された市内中心部に会場を確保した.
宴会施設および宿泊施設も併設する本会場は遠方からの参加者の宿泊や懇親会に利用できて
大変好評であった.会場の最大収容人員(100 名)を定員に,当日参加者も含め参加者総数は
112 名(スタッフ含む)もの参加を得た.開催日を冬季休業に設定したこと,交通の便がよい
こと,場所がわかりやすいことが集客に効果をあげたといえよう.しかし,もう少し早い時期
に決定していればという反省がある.それを次項で詳しく述べる.
8−2.研究会開催と参加者募集のアナウンス
本研究発表会では約1ヶ月前からメーリングリストによる PR,広島・岡山地域の初等中等
教育機関への DM を行った.これらが参加決定にどのような影響があったか見る.
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参加者は県内 94 名県外 18 名(県内県外ともスタッフを含む)である.このうち県外から
の参加者はすべて DM を行わなかった地域からの参加であり,各種メーリングリストへの投
稿が主たる情報源として参加した,といえる.
一方で県内には DM を行っていて,アンケートの回答からも DM を情報源としている参加
者がいるとわかった.しかし,教員の出張手続きは一般企業のそれよりも早期の申請が必要な
規約となっていることが多く,県外出張ではさらに複雑である.
したがって,もっと早期にアナウンスが行われることで,参加者はさらに拡大した可能性は
高いと言えよう.今回は出来なかったが,研究会開催決定や第一次案内 DM は3ヶ月前を一
つの目安として行っておきたいということがわかった.
8―3.行政等の後援名義
新規立ち上げ団体による研究会実施において,後援名義取得はかなりのハードルとなるであ
ろう.後援名義取得においては地域によって小異はあるが,以下のものが必須となる.
•
•
•
•
申請団体の約款および活動内容を明らかにできる資料(初回必須)
申請団体の役員名簿(初回必須,2 度目以降も場合によって提出を求められることも)
後援名義取得申請を行うイベントの詳細(2 度目以降も必須)
前回後援名義取得の際の承認番号(2 度目以降も必須)
新規立ち上げだからこそ約款等は整備されていない状況にあるわけだが,その作成には膨大
な作業と時間が必要である.今後の教育活動支援においてはこれをクリアする方法が提供され
る必要がある.
8−4.開催準備でのネットワークの活用と補完
研究会開催には情報の円滑な流通と共有が必須である.メーリングリストの活用はスタッフ
側参加者側の双方にとって今後ますます重要になるであろう.特にスタッフ側には目的に応じ
て複数のメーリングリスト立ち上げが望ましい.一つにしてしまうと情報が錯綜し,伝わるべ
き情報が伝えたい人に確実に届かなくなる恐れがあるからである.
一方では常時メールチェックできる環境にないスタッフや参加者の存在やその利便性を考
えると,それだけに頼ることは好ましくない.また,会場での看板発注や会場レイアウトの打
合せ,原稿校正といった作業にはペーパーの資料は必要であり,それを送受信する FAX も不
可欠である.これらを併用して準備作業にあたるには,準備スタッフがいつでも気兼ねなく使
える事務局の設置が望ましい.
8−5.参加者管理
共催団体の支援によって作成された名簿を研究会当日は受付での本人確認に活用した.また,
会場で本研究発表会はプロジェクト半ばの報告会であり,参加申し込みをした際のメールアド
レスにはプロジェクトの最終報告会のアナウンスを行うことの了解を全体にお願いした.個人
情報の取り扱いに配慮すれば,研究会情報流通の円滑化や効果が期待される.
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8―6.当日までと当日の仕事分担
このような研究会開催の仕事をメンバー全体に割り振ることは,開催にむかっての士気や集
団への帰属意識を高める上に効果がある.今回は開催決定から当日までの時間が2ヶ月強と短
かったが,PC・LA をはじめ本プロジェクトメンバーの多くに各種研究会開催スタッフの経験
があったこと,機材調達と操作スタッフ確保の見通しが立っていたこと,共催団体からの作業
支援が得られたことは,準備を短時間に円滑に進める上でプラスであった.
また,メンバーが研究会開催を周囲にアナウンスすることで,メンバー個々の今後の活動へ
の期待が寄せられるであろう.イベントの開催はその集団の自己活性化の契機になるといえる.
8―7.予稿集作成
予稿集作成には集約と校正の段階にトラブルがあった.主なものは以下の通りである.
•
•
•
電子メールの添付ファイルでの提出としていたが,提出時期にウイルスメールが爆発的
に流通し,同時に提出された原稿のサイズがいずれもかなり大きかったために,ダイア
ルアップ接続の予稿集担当者がメール受信不調になり,復旧までに時間がかかった.
予稿集原稿の雛型を作成し,それに準じたレイアウトを執筆者には依頼したが,ワープ
ロソフトまでは指定しなかったので,原稿締切の時点では作成ソフトが複数であった文
章と写真を別々の版で起して印刷できデータとそうでないデータとがあり,仕上がりに
差が出てしまった.
カラー画像のまま原稿に使用してあると仕上がりが良くないので,一つ一つ変換をかけ
る作業が手間取った.
印刷・製本の良い仕上がりには,早い時期に印刷所と予稿集係が打ち合わせを詳細に行い,
執筆依頼時点で取り扱い可能なデータ形式を執筆者に知らせて厳守を依頼する必要がある.ま
た,作成された電子メールによる原稿提出を行う場合はメール受信者にかなりの負荷がかかる
ので,そのことを係にも提出者にも理解してもらう必要がある.
これらの反省から全体に統一感を持たせるには,テキストと図を別途に提出し,作成ルール
と執筆者の意図に添って係が DTP ソフトを用いて再構成する方法ではないか,という意見も
ある.技術的負荷やソフト購入・管理という問題はあるが,継続して活動する団体には一つの
解決策と考えられよう.
8―8.会場環境設営と機器操作
当日の午前に行った会場設営は予定通り 2 時間で終了し,時間設定は適切であった.ネット
ワーク構築はなかったが,撮影やプレゼンテーションのための機器調整にはゆとりある時間配
分が必須である.ネットワーク構築を伴うイベントには,さらに前日の早い時間帯から機器調
整を最優先しておくべきである.
当日のトラブルは静聴している熱心な参加者に大きくマイナスの印象を与えやすいので要
注意である.例えば,次のような対策をしておくとよい.
•
•
会場の照明機器・音響機器について事前に詳細を確認すること.緊急時の会場専属技術
者への連絡方法も確認しておくこと.
マイク,プロジェクタ,撮影用機器は予備を確保する.ケーブル類やコネクタも同様.
12
•
•
•
•
•
•
持ち込み機器の一覧を作成し,個々には提供元を明記すること.使用者と提供者が異な
る場合,使用者や提供者に確実に返却すること.
撮影は可能なら2台.撮影について会場にアナウンスを行い,了解を取ること.
VTR 撮影とプレゼンテーションとのバランスを考えて,照明を調節すること.
長時間の発表者や移動をともなう発表者にはケーブル付きマイク,もしくは会場内でマ
イクテストを十分に行ったマイクを使用すること.
VTR やパソコンからの音声出力には複数手段を確保しておく.会場音響設備との接続が
理想だが,スピーカー単体やスピーカー内臓プロジェクターなど代替機器も確認し,緊
急時の切り替え方法も確認すること.
撮影・映像機器調整・音響調整にはそれぞれ専任を置く.詳しい人が正担当となり,副
の人と 2 人体制でできると,多くの人が実践的にノウハウを学ぶ機会となる.
8−9.開催後の事務作業
研究会開催後.準備スタッフがそのまま残務処理を行うケースが多い.主な作業としては次
の通りである.
•
•
•
•
•
•
•
•
開催にあたって費用が発生した機関への清算
会場への持ち込み機器の点検と返却
開催にあたって指導・協力を得た個人や団体等への礼状発送
後援名義提供団体への終了報告書作成・提出
配布資料残部の整理
決算報告
アンケート処理,Web 作成等研究会での成果広報のための作業
実際の準備作業で作成使用した資料の整理・保存
これらのうち,対外的処理は終了後すばやくなされるのが一般である.しかし,それらを優
先させているうちに,自組織内で準備段階に活用したデータや準備段階の反省・申し送り事項
の整理等は後回しにされがちである.しかし,実施のノウハウを共有化しメンバー全体に開催
の成果を還元することは,次のスタッフ育成と活動の拡大活性化に意味がある.それをスムー
ズに行うには,準備段階からメンバーの意見を吸い上げるシステムを作り,それを活用して各
種資料の散逸を防ぐようにしておくことが望ましい.そのためにも,メーリングリストのアー
カイブやデータ保存用サーバ設置は効果的であるといえよう.
9.終わりに
この報告を作成することで,本研究発表会に関わった人々が個々に積み上げたノウハウを,
一つのドキュメントとして集約することができた.今後これを生かし,地域における研究活動
を活性化できるよう本プロジェクトのメンバーとともに努力していきたい.
最後になったが,本研究発表会開催にあたってご指導・ご助言頂いた機関・協賛の皆様方に
深くお礼を申し上げ,本稿を終える.
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参考資料1「広島地域における高度マルチメディア通信の教育利用に関する実験プロジェクト」
(出典:http://www.csi.ad.jp/activity/MAMEdeGansu/config-20010619.gif)
プロジェクト推進委員会
広島市立大学
広島大学
助教授
教授
前田 香織 (代表)
安田女子大学
相原 玲二
助教授
染岡 慎一
広島大学
助手
西村 浩二
広島大学
助手
田島 浩一
広島市立大学
助手
河野 英太郎
研究協力
広島市立大学
広島大学
NTT 西日本広島支店
研究協力員所属小学校(広島市立井口明神小学校,広島市立落合東小学校,広島市立可部小
学校,広島市立河内小学校,広島市立鈴張小学校,広島市立白島小学校,広島市立比治山小
学校,広島市立南観音小学校,広島市立安東小学校 )
あさきたネット
広島市研修センター
安田女子大学
みさと天文台
e-friends プロジェクト
佐賀大学
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参考資料2「マメ de がんすプロジェクト中間研究発表会」アンケート回答(回答者数 52)
回答者のプロフィールに関する回答
回答者内訳(年齢別)
60∼69歳
2%
20∼29歳
6%
50∼59歳
6%
30∼39歳
42%
40∼49歳
44%
回答者内訳(性別)
女性
31%
男性
69%
回答者内訳(職業別)
公務員
8%
その他
8%
一般企業
15%
教員
69%
開催情報の入手経路
その他
4%
個人の電子
メール
6%
通知文書
(
知人から聞い DM、プリン
ト、ちらし等)
て
36%
27%
メーリングリス
トのメール
27%
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研究発表会そのものに関する回答
基調講演について
とてもよい
だいたいよい
普通 やや不満
とても不満
0
5
10
15
20
25
30
35
25
30
人数(人)
報告について
とてもよい
だいたいよい
普通 とても不満
やや不満
0
5
10
15
20
人数(人)
研究会運営について
とてもよい
だいたいよい
普通 やや不満
とても不満
0
5
10
15
人数(
人)
20
25
自由記述欄より
•
•
•
•
•
画面前の人の頭で見えにくかった.
基調講演は大変わかりやすかったです.
実践例を聞けてよかったです.子供の反応等も(VTR で)見られて良かったです.
とても内容の豊かな会でした.市内の小学校の教員がもっと参加すればいいのにもった
いないと思います.
個々のもち時間が短かったので忙しく感じました.
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