GS1 ヘルスケア ソウル国際会議概要 - 一般財団法人流通システム開発

GS1 ヘルスケア
ソウル国際会議概要
一般財団法人 流通システム開発センター
会
期
:
2014 年 4 月 1 日(火) ~ 4 月 3 日(木)
会
場
:
大韓民国ソウル市 ミレニアム・ソウル・ヒルトン会議場
主
催
:
GS1 ヘルスケア本部
ホスト
:
GS1 韓国
参加登録数
:
177 名
スポンサー
:
KRPIA(韓国製薬工業会: Korean Research-based Pharma. Industry Association)、ハンミ薬品、
COESIA グループ、ドミノ社
計 4 組織
日本からの参加者:NTT 東日本関東病院薬剤部長 折井孝男先生
(一財)流通システム開発センター 濱野径雄
(一財)流通システム開発センター 星野仁志
(一財)流通システム開発センター 黒澤康雄
会場:ミレニアム・ソウル・ヒルトン
計4名
ワーキング・ランチ(前 FDA ジェイ・クローリー氏講演)
グローバル UDI データベースへの登録手順説明
病院関係者によるパネル討論
1
会議のトピックス
(1)GS1Healthcare 会議は年 2 回春と秋に開催され、欧・米・その他地域をローテーションで開催地としている。今回
のソウルは 2012 年春のシドニー開催以来のアジアパシフィック地域での開催となった。参加登録者数は 177 名(登
録リストによる) とやや少ない印象であったが、日本をはじめ、台湾、中国、タイ、マレーシア、香港、シンガポール、
マカオ、ベトナム、モンゴルといった多くのアジア諸国からの参加があった。
(2)3 月 28 日に東京で海外講師 7 名を招聘し、「医療機器 UDI 規制・医薬品トレーサビリティ進捗国際セミナー」を開
催したことも影響したのか、日本からの参加は流開センター3 名であったが(他に NTT 東日本関東病院の折井薬剤
部長が 4/2 のみ参加)、武田薬品工業の韓国子会社及び欧州子会社(?) から計 3 名の参加登録があった。
(3)今回の国際会議は米国 FDA の「医療機器 UDI 規制 」(2014 年 9 月からクラスⅢ医療機器を対象に義務化適用)
及び「米国医薬品サプライチェーン安全保障法」の公示(2015 年 1 月 1 日から義務化適用)、また、韓国国内向けに
医家向け医薬品へのシリアルナンバー表示義務(2015 年 1 月から適用)などを踏まえ、実ビジネスに関係する実務
的なセッションが多く用意され発表された。
(4)また、各国の規制当局の参加についても韓国厚生省の他、豪、中国、シンガポール、マカオ、ウクライナ、サウジ
アラビアの規制当局が参加し、また米国 FDA Regulatory Council (規制協議機関)の担当官が電話会議で参加し、さ
らにアジア地域を対象として医療機器のハーモナイゼイションを協議する政府間会議(Asian Harmonization Working
Party: AHWP)の代表も参加するなど、規制当局の当 GS1 ヘルスケア会議に対する関心の高まりを感じさせた。
(5)今回も企業による併設展示コーナーが会議場の脇に設けられ、休憩時には病院、メーカー関係者へのプレゼン、
製品デモが行われた。米国「医薬品サプライチェーン安全保障法」に対応するための薬剤パッケージ(中箱)への製
造工程でのオンライン非接触インクジェット印字システム(ドミノ社・Lautus 社)、スマートフォンに搭載された二次元デ
ータマトリックスの読取りデータ確認システム(GL テクノロジー社)、ハンミ薬品で薬剤パッケージ(中箱)に実装してい
る電子タグのデモ展示(ハンミ IT 社)等が紹介されていた。
(6)次回は、2014 年 10 月 21 日~23 日にデンマーク・コペンハーゲンで開催される予定。
4月1日(第 1 日)
オープニング・プレナリー・セッション
「開会あいさつ」
・GS1 本部 ウルリケ・クレイサ女史 Ms. Ulrike Kreysa, Vice President, Healthcare, GS1 Global Office
韓国厚生省 コゥ氏 Mr. Koh, Korean Ministry of Health & Welfare
GS1 韓国 CEO クンヨン・キム氏 Mr. Kyung Jong Kim, CEO, GS1 Korea
GS1 本部ウルリケ女史による開会挨拶に続き、韓国厚生省のコゥ氏が韓国での医薬品への標準バーコード/RFID
貼付義務化の経緯を簡単に紹介した。また GS1 韓国 CEO のクンヨン・キム氏の歓迎挨拶があった。
2
「米国 FDA 医療機器規則について―――新規に設定された FDA 規則の詳細」
資料掲載 P.
・USDM 社副社長ジェイ・クローリー氏(前 FDA 放射線医療機器管理センター患者安全シニアアドバイザー)
Jay Clowley,
USDM Vice President, formerly US Food & Drug Administration, CDRH
直前の 3 月 28 日に東京明治記念館で開催された「医療機器 UDI 規制・医薬品トレーサビリティ進捗国際セミナー」
での講演とほぼ同一内容であったが、全体を通じてやや詳細な説明があった。セミナーで強調していたと思われる
点は以下の通りである。
①UDI 規則では誰がラベラー(ラベル貼付者)になるべきか規定しておらず、最もふさわしい者が、ラベルを貼りデー
タ登録を行うことになる(メーカーとは限らない)。
②UDI には多くの例外規定がある。例えば、キット製品を構成する個々の製品(中身)には、個別に UD 表示 I が必要
ないという点は大きな例外である。
③単回使用機器(SUD:Single Use Device)については、単回使用機器から見てその上位階層の包装に対して UDI
表示を行なえば良い。
④また、シッピングコンテナ Shipping Container(輸送のために一時的にまとめられた集合包装)には UDI 表示が要求
されない。
⑤ダイレクトマーキング(略称:DM)もメーカーとして技術的に表示が困難な場合等は例外が認められている。
⑥UDI データベースセンターに登録するデータ項目は、ラベラーが入力する項目が 55 項目、FDA のグローパル UDI
データベースシステム(略称:GUDID)によって入力する項目が 7 項目ある。
⑦GUDID への具体的な入力方法は WEB インターフェイス、SaaS 利用、Outsourced Service(登録作業代行組織:
GDSN グローバル・データシンクロナイゼーション・ネットワーク等)に依頼する方法などいくつかあるが、特にクラス
Ⅲ機器についてはできるだけ早くラベラーがデータ登録を開始することが望ましい。
UDI 規則制定までの経緯
UDI 規制のメリットは不具合医療機器のリコール
のためだけでなく、それ以外の多くのメリットがある
3
「中国の医療機器 UDI 規制について」
・中国 FDA 医療機器登録部第Ⅱ登録部門長ヤン・リンチョン氏
Yang Lianchun, Director of Division II of Registration, Department of Medical Device Registration, China FDA
中国では数年前から UDI システムの実証研究を重ねてきている。2006 年から上海地区でインプラント機器にコー
ディングし、それを追跡モニタリングする実験を行った。また、ハイリスク医療機器についての電子モニタリング実験
を 2011 年から 2015 年にかけて行っている。このために中央政府レベルである State FDA の組織体制も整備した。
また中国は IMDRF(国際医療機器規制当局者フォーラム)の活動にも積極的に参加しており、UDI の業界への導入
に向けた検討を進めている。
「オーストラリア・サプライチェーンの再構築の現在と将来」
資料掲載 P.
・オーストラリア国立イーヘルス移行機構サプライチェーンマネージャー マーク・ブロムメーヤー氏
Mark Brommeyer, Manager, Supply Chain, NEHTA
オーストラリアでは個人診療記録の電子化や情報技術によるヘルスケア・サプライチェーンの革新を強力に推進
するため、2005 年に各州および連邦政府の出資による事業会社であるオーストラリア国立イーヘルス移行機構
(NEHTA:National E-Health Transition Authority)を設立した。GTIN、GLN の利用をベースに NPC(National Product
Catalogue 国家製品カタログデータベース)の構築、e-Procurement(電子的購買)の実施などにより、ヘルスケア・サ
プライチェーンの効率化、医療コストの低減などに対してその成果を上げている。
今年 2014 年 3 月 6 日にはデータ・クランチ(危機)レポートを公表し、ヘルスケア分野における製品情報精度の重
要性について関係者への注意喚起を行っている。
「医療機器コントロールにおける整合化手順について」
資料掲載 P.
・アジア整合化ワーキングパーティ 技術委員会議長 ジョアンナ・コゥ女史(兼シンガポール医療科学局)
Joanna Koh, Chair, Technical Committee, Asian Harmonization Working Party (Health Sciences Authority,
Singapore)
Asian Harmonization Working Party (AHWP:アジア医療機器規制整合化会議)(注)は、アジアおよびその他の地
域における医療機器規制の整合化について検討する組織として 1996 年に設立され、現在 23 の国・地域が参加し
ている(日本は GHTF の枠組みに参加出席していたため、AHWP には参加していない)。AHWP の実質的活動は
Technical Committee において実施されている。現在その Technical Committee の傘下に 8 つの WG と 1 つの Special
Task Group(医療機器製品分類コード:Medical Device Nomenclature を審議する)が置かれている。8 つの WG のう
ち、WG7(Standard)は IMDRF(国際医療機器規制当局者フォーラム)の活動にも参加し、IMDRF の医療機器最終ガイ
ダンスの普及広報についてのワークショップを開催する等、アジア地域における医療機器の UDI に係わる標準の国
際整合化のための活動を行っている。
(注) Asian Harmonization Working Party (AHWP)とは?
GHTF(Global Harmonization Task Force:国際医療機器整合化会議)とは別組織。GHTF 参加メンバーである日米欧
以外のアジア新興国は、自国の医療機器の法規制を整備するために GHTF 活動主旨に準拠し、GHTF ガイダンスの
吸収習得を目的として、ASEAN 諸国を中核に AHWP(Asian Harmonization Working Party)を設立し活動している。現
在 10 ヵ国を中心に 23 拠点が参加。インドネシア、タイ、ベトナム、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガ
ポール、カンボジア、ブルネイ、中国、香港、台湾、韓国、インド、パキスタン、サウジアラビア、アブダビ、ヨルダン、ク
ウェート、イエメン、南アフリカ、チリ
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23 拠点をメンバーエコノミーと呼称
技術委員会議長(TC Chair)がジョアンナ・コゥ女史
昼食&GS1 組織によるポスターセッション
昼食時間を利用して、GS1 各国組織(アルゼンチン、オーストラリア、アイルランド、GS1 本部)による GS1 標準シス
テム利用推進ポスター展示と展示内容説明が会議場ロビーで開催された。
・「具体的な導入のために・・・ラウンド 1」
資料掲載 P.
「医家向け医薬品の法規制 Pharmaceuticals: Public Policy についてのブレークアウト・セッション」
欧州連合 EU :
医家向け医薬品規制の運用細則法(Delegated Act)が、2014 年末か 2015 年初めに出される見込みで、規制(バーコ
ード表示)施行実施は 2018 年(?)から予定されている。医薬品包装のうちの Second Level(販売包装単位、中箱、
第二レベル)の偽造医薬品流通防止対策のみを念頭においており、Primary Level(調剤包装単位、使用単位、第一
レベル)は法規制として考慮されていない。
フランス :
2011 年 1 月から二次元データマトリックスシンボルを表示して NTIN(フランス国内医薬品コード体系による製品コー
ド、GTINコード体系は異なる)、ロット番号、有効期限の表示が義務付けられている(シリアル番号表示義務は範囲
外)。
インド :
インドから輸出される医薬品について、調剤包装単位・販売包装単位・元梱包装単位(Primary Level, Second Level,
Tertiary Level)の 3 レベルに対して、データマトリックス又は GS1-128 バーコードで、GTIN、ロット番号、シリアル番
号、有効期限表示を義務付けている。規制適用日は
Tertiary Level
2011 年 10 月
Secondary Level
2012 年
7月
Primary Level
2014 年
7月
となっている。
5
中国 :
2015 年末までにすべてのメーカーの医薬品属性情報を e-coding system(電子コーディングシステム)にデータ登録
させ、14 桁の National Code(GTINコード体系と異なる)を、1 次元バーコードの Code-128 バーコード(GS1-128 バー
コードと異なり、FUNCTION 1 をシンボル表示しない技術仕様)で表示することを義務付けている。
韓国 :
2015 年 1 月から医薬品の販売包装単位(Second Level)について、NTIN(韓国国内医薬品コード体系による製品コー
ド、GTINとコード体系は異なる)、ロット番号、シリアル番号、有効期限をデータマトリックス又は電子タグ RFID で表
示することを義務付けている。
ブラジル :
医薬品の Secondary Level(販売包装単位、中箱、第二レベル)と Tertiary Level(元梱包装単位、外箱、第三レベル)
について、
・GTIN
・国家保険償還番号 National Healthcare Reimbursement Number :略称 NHRN)、
・ロット番号
・シリアル番号
・有効期限
をデータマトリックスで表示することを義務付けている。規制適用日は 2015 年 12 月 10 日から一部が適用され、2016
年 12 月 10 日から全ての医薬品が適用対象となっている。
米国 :
「医薬品サプライチェーン安全保障法」(Drug Supply Chain Security Act)によって、NDC/NTIN(National Drug Code
国家医薬品コード 12 桁および National Trade Item Number(米国内医薬品コード体系による製品コード 14 桁、GTI
Nとコード体系が異なる))、ロット番号、シリアル番号、有効期限をデータマトリックスで表示する。2017 年 11 月より
規制が適用される予定。
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・「具体的な導入のために・・・ラウンド 2」
資料掲載 P.
「医療機器グローバル UDI データベース(GUDID)へのデータ登録準備についてのブレークアウト・セッション」
司 会:マイク・ウォラス氏 アボット・ラボラトリーズ社
パネリスト: ダン・ウィルキンソン氏 ワンワールドシンク社 1WorldSync
マーゴット・ドレース女史 GHX 社
マーク・ワスマース氏 GMDN: Global Medical Device Nomenclature エージェンシー CEO
アボット・ラボラトリー社のマイク・ウォラス氏が司会進行をつとめ、1WorldSync 社のダン・ウィルキンソン氏、GHX
社のマーゴット・ドレース女史、GMDN のマーク・ワスマース氏らがプレゼンを行なった。FDA の医療機器グローバル
UDI データベース(略称:GUDID)への製品情報の登録についての手法(GDSN 利用を主体とした説明)、注意点等が
解説された。各企業における情報登録事務が軌道に乗るまでには、相当の準備期間が必要と見込まれることから、
早めの対応が必要であり、また(GS1 組織としては当然のことながら)GDSN の利用が最も効率的とのアピールがあ
った。
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米国 ROI 社が推進中の UDI 導入プロジェクト図
ヘルスケアシステムでの改善項目
4月2日(第 2 日)
プレナリー・セッション・・・・トレーサビリティ
「医薬品 追跡&遡及管理のための米国連邦規制」
資料掲載 P.
・米国 FDA 規制協議機関マーク・パクストン氏代理コニー・ユング女史(電話による講演)
Connie Jung, Pharmacologist, USFDA (on behalf of Mark Paxton, Regulatory Council, U.S. FDA)
2014 年 11 月に DSCSA(Drug Supply Chain Security Act)が成立し、2015 年 1 月から順次規制が適用される。法
律の対象者はメーカーから卸、リパッケージャー、サードパーティ・ロジステックス業者(3PL)、調剤薬局に至るサプラ
イチェーン全体の関係者であり、対象物は投与される処方薬である。輸血用血液、造影剤などは対象外である。法
律は医薬品の所有権の移転、つまり所有者の変更(Exchange of Owner)に際して、
TH: Transaction History (取引履歴)、
TI: Transaction Information (取引情報)、
TS: Transaction Statement (取引明細)
の提供、保存を 2015 年 1 月から義務付ける。2017 年 11 月からはメーカーに対し NDC(National Drug Code 国家医
薬品コード)、ロット番号、シリアル番号、有効期限を二次元シンボルのデータマトリックスで表示することを義務付け
る。その 1 年後から卸売業、2 年後から調剤薬局等は、規制に合致した表示の医薬品しか扱ってはならないこととな
る。流通業者およびサードパーティ・ロジステックス業者(3PL)も州政府医薬品局または連邦政府のライセンスが必
要となる。法律施行 10 年後(2023 年.11 月)までに、パッケージ・レベル(販売包装単位=中箱単位、調剤包装単位で
はない)での電子的なトレースや検証(verification)が可能なシステムを構築することが要求されている。
2013 年 11 月 27 日
連邦議会が「医薬品サプライチェーン安全保障法」を制定
2015 年 1 月 1 日から
メーカーが TH, TI, TS を卸売業者に送付し、メーカーは直接購買履歴を管理
2015 年 7 月 1 日から
流通業者が TH, TI, TS を受領する
2016 年中
流通業者およびサードパーティ・ロジステックス業者の連邦ライセンスの取得
2017 年 11 月 27 日から
メーカーが製品に NDC、ロット番号、有効期限、そしてシリアル番号を表示
2018 年 11 月 27 日から
リ・パッケージャーが NDC、ロット番号、有効期限、そしてシリアル番号を表示
2019 年 11 月 27 日から
流通業者がロットレベルのトレーサビリティ管理を開始
2020 年 11 月 27 日から
調剤薬局がロットレベルのトレーサビリティ管理を開始
2023 年 11 月 27 日から
パッケージ・レベル(販売包装単位)のトレーサビリティを開始
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医薬品サプライチェーン安全保障法の施行日程
「医薬品追跡管理・遡及管理のための APEC プロジェクト紹介」
・GS1 米国 シニアバイスプレジデントシボーン・オバラ女史
資料掲載 P.
Siobhan O’bara, GS1US, Senior Vice President
アジア太平洋経済協力会議(Asia-Pacific Economic Cooperation:APEC)では、2013年1月からの5年計画でAPEC
Roadmap for Global Medical Product Integrity and Supply Chain Securityというプロジェクトを実施している。APECと
非APECのいくつかの規制当局が参加して、当局向けのリコメンデーションやトレーニング・プログラムの策定を目指
している。この中で9つのWGが活動しており、そのうち医薬品を対象としたTrack and Trace Systems WG(略称:
T&TWG)のファシリテータとしてGS1本部が参加している。現在、各国の規制の現状把握・分析を終え、ベストプラクテ
ィス(最適実施手法)の策定作業を行っている。T&TWGは、2014年5月5~8日に中国チンタオで開催されるAPECの第
2回SOM(高級実務者会合)の際に会合を持ち、2014年10月に開催されるGS1ヘルスケア・コペンハーゲン会議の際
にも、フェース・ツー・フェースの実質会合を行って、年内にベストプラクティスに基づく、リコメンデーション等を作成す
る予定である。
APEC プロジェクト概要
APEC プロジェクトへの参加企業・規制当局
「サウジアラビアにおける医薬品トレーサビリティ」
資料掲載 P.
・サウジアラビア FDA 医薬品規制バイスプレジデント サレー・バワジィ教授
Prof. Saleh A. Bawazir, VP for Drug Affairs, Saudi FDA
サウジアラビア政府FDAは2004年に設立され、製品評価/ライセンス、医薬品メーカー認定、その他監視業務等を
9
行っている。医薬品のサウジアラビア国内での製造率は17~20%に過ぎず、大半は欧米から輸入されている。このた
め、偽造薬流通防止の観点からTrack & Trace Systemを導入することとし、Each Pharmaceutical Unitを対象にメーカ
ー(輸入者)、卸売業、調剤薬局、病院から患者まで追跡できるようにする。各医薬品にはデータマトリックスにより
GTIN、ロット番号、有効期限を表示することが、2015年3月から義務化される。さらに
2016年3月からシリアルも義務化される。
メーカーへの義務と合わせて、輸入者にはImport and Batch Release Clearance System (IBRCS)という制度によって、
GS1 標準製品コード体系のGTINをベースとする輸入許可や登録を義務付け、卸売業、調剤薬局等にもTrack &
Trace の確保に係わる義務を課すこととする。医薬品の登録はSaudi Drug Registration Systemとして国家一元的に
データベース登録を行い、この製品データベースはGTINを検索コードとして管理される。
データマトリックスによるGTIN、有効期限、バッチ番号、
輸入医薬品への申請登録管理システム
シリアル番号の表示
「ヨーロッパ医薬品利害関係者モデル」
資料掲載 P.
・欧州製薬団体連合会グローバルシリアライゼーション(シリアル番号化)ロジステック代表グラント・コートニー氏
Grant Courtney, EFPIA (Global Serialization and Logistic Lead, GlaxoSmithKline)
欧州の医薬品関係業界では、EU から 2011 年 7 月に医薬品偽造対策指令 Falsified Medicines Directive(FMD)
が発出されたことを受けて、医薬品のサプライチェーンの関係者が偽造薬排除対策として実行すべきことをヨーロッ
パ医薬品利害関係者モデル(European Stakeholder Model:ESM)として取りまとめ、実証を行っている。これはサプラ
イチェーンの各段階でシリアル番号に基づく製品の認証(verification)を行うことをコンセプトにしており、欧州全域で
相互的、かつ運用可能な仕組みとする必要がある。
2014 年末か来年初頭には運用細則法(Delegated Act)を発出、
2018 年には医薬品偽造対策指令(FMD)に基づく、具体的規制の実施
が予想されることから、これに沿ったタイムスケジュールで利害関係者間の連携、準備を進めることとしている。
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医薬品処方認証システム図
各国の卸売業・調剤薬局システムは「ヨーロピアン・
ハブ」とネットワーク統合され運用される
「eTact(EDQM Traceability System)システムについて」
資料掲載 P.
・欧州評議会医薬品&ヘルスケア品質欧州規制局(EDQM)科学オフィサー フランソワ­ザビエル・リレイ氏
Francois-Xavier Lery, EDQM, Council of Europe
欧州では EU の 2011 年 7 月の医薬品偽造対策指令(Falsified Medicines Directive:FMD)によって、統一的な偽造
薬対策が欧州全体に、各国別の規制を超越して実施されようとしている。しかし一方、イタリアのボリーノをはじめ
各国独自の医薬品識別・保険償還システムがあり、欧州評議会の医薬品&ヘルスケア品質欧州規制局(EDQM:
European Directorate for the Quality of Medicines & Healthcare)では、欧州全体と各国別規制とをどのようにして調
和を図っていくべきかの検討を重ねている。その一つの対応策として、eTACT(EDQM Traceability System)というシ
ステムによって、Unique Medicine Identifier(UMI:唯一ユニークな医薬品識別)をベースとして、医薬品メーカーから
卸売業、調剤薬局、患者(利用者)個人に至るまでのトレーサビリティと検証サービスを提供する構想が考えられて
いる。この構想の中ではデータマトリックスに「国家保険償還番号 National Reimbursement Number」もデータ表示項
目の候補として検討されている。決定ではない。この eTACT システムは各国別にデータベースを持つ分散システ
ムで、別途欧州全体でのハブ機能やゲートウェイ機能も完備されていくフレキシブルなシステムづくりを想定してお
り、またスマートフォン(モバイル)を使用する個人レベルでの製品データ検証も視野に入れられている。
47ヵ国が加盟する欧州評議会
国家保険償還番号:National Reimbursement Number
もデータ表示項目の候補となっている(未決定)
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「韓国の医薬品規制について」
・韓国厚生労働省ヘルスケア政策部部長代理ゴゥン・リー氏 Goun Lee, Deputy Director, Division Office of
Healthcare Policy, Korean Ministry Of Health & Welfare
資料掲載 P.
韓国では 2000 年に医薬品に対するバーコード表示規制を導入。2009 年には 13 桁の医薬品コード、いわゆる韓
国ドラッグコード(Korean Drug コード:略称 KD コード)を標準コードとして設定した。2011 年には RFID をバーコードに
替えて利用する併用使用も規制で可能とした。さらに 2013 年には処方薬について GS1-128 バーコードによる拡張
バーコードシステムを導入して、GS1 アプリケーション識別子(AI)を使用したロット番号、シリアル番号、有効期限も
GS1-128 バーコードで表示可能とした。
2015 年 1 月から処方薬についてシリアル番号表示を義務化する。
これは、流通の効率化、偽造薬流通防止、誤用防止などを目的とするもので、minimum distribution unit(最少流通
単位=調剤包装単位および販売包装単位のいずれか、または両方)にデータマトリックス又は RFID により韓国ドラッ
グコード、ロット番号、シリアル番号、有効期限を表示する。これからも引き続き製薬業界の意見等を踏まえつつ、
医薬品サプライマネジメントのリアルタイム化に取り組む。
韓国医薬品データ項目の説明①、②、③
「韓国における医薬品トレーサビリティ実導入事例について」
ハンミ医薬品 執行役員ジョホン・リム氏 Jonghoon Lim, Executive Director, Hanmi Pharmaceutical Co. Ltd.
ハンミ薬品では、偽造薬対策、流通効率化、誤配送防止対策としてバーコードと RFID 利用について比較検証を
行った。その結果、RFID がバーコードよりも圧倒的に効率的であるとの結果を得た。このため、ハンミ薬品ではその
全製品に RFID が利用可能かをチェックすることとなり、2010 年から 14 年にかけて 7 百万米ドルの政府補助金を得
て様々な研究と実証を行った。現在ではハンミ薬品のすべての製品(の販売単位=中箱)に韓国ドラッグコード、ロット
番号、シリアル番号、有効期限情報を書き込んだ EPC 標準の RFID を貼付し、メーカーとして大きな成果を挙げてい
る。(公開データなし)
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・「具体的な導入のために・・・ラウンド 1」
資料掲載 P.
P.
「どのように医薬品トレーサビリティを導入し実現するのかについてのブレークアウト・セッション」
How to enable/implement traceability
ペギー・スティーバ女史(ファイザー社) : ファイザー社として、シリアル番号化(=シリアライゼーション)を全社的に実
施するためには、全世界にある当社 21 の工場サイトの 160 の製造ラインの対応に加えて、100 以上の
CMO(Contract Manufacturing Organization-委託製造先企業)との調整が必要である。該当する製品数は
10,000 Stock Keeping Unit (在庫管理単位:略称 SKU)存在している。これは複雑なシステムとなっており、多大
な設備投資と情報投資が必要で、さらにソリューションプロバイダ側の対応力も課題となる。
スコット・ムーニー氏(マッケソン社) : 医薬品・医療材料卸売業として、700 以上のメーカーの製品を 20 万以上の顧
客に当社は届けており、配送業務のスループットが極めて重要と考えている。さまざまな標準とそれを利用で
きるようにした業務プロセスをどのように作り上げていくか、業界全体で共に研究し、共にアップデートしていく
ことが必要と考える。
ロイド・マギー氏(アッビィ社) : 米国で当社は、トレーサビリティ・パイロットを医薬品卸マッケソン社、ネットワーク運
用会社の GHX 社、米連邦退役軍人局などと実施した。21 週間にわたり 60 ケース、360 アイテムのシリアル化
製品(シリアル番号が表示された製品)に対して、EPCIS に基づくイベントベースド・トレーサビリティの実証を行
った。チェッキングサービスは未対応だが、ネットワーク形態を分散型にするか、または集中型にするかによっ
て、そのやり方も異なってくるので、規制への対応を踏まえて最適なシステムを構築していく必要がある。
※アッビィ社とは : 2013 年 1 月に設立されたアボットグループのバイオ製薬企業
クリスチャン・リディガー氏(バイエル社) : ドイツでは EU における医薬品シリアル化の検討を踏まえて「securPharm
Project」という実証実験を実施した。これは二次元シンボルのデータマトリックスに製品 ID(GTINと独厚生省認
定コードの二つ)、シリアル番号、ロット番号、有効期限を表示し、データベースの元情報と照合して、End to
End Verification を実現するというものであった。実験は昨年 2013 年 1 月~3 月に行われ、システムの有用性
が確認された。現在、このシステムをメーカーや卸、薬局のシステムとどのようにデータ連携させるかについて
分析作業を行っている。
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追跡、遡及、認証、履歴、返品、リコール等の医療トレーサビリティ実現のための構成要素
米国医薬品トレーサビリティ・システムの概念図
トレーサビリティ基盤システムの開発チーム:
米医薬品三大卸売業が参加し、米ヘルスケア
物流マネジメント協会(HDMA)が承認した
「香港病院管理局、GS1 香港によるブレークアウト・セッション」
資料掲載 P.
香港病院管理局薬剤部長 S. C. チャン女史 The Hong Kong Hospital Authority and GS1 Hong Kong
Hong Kong Hospital Authority (香港病院管理局)は傘下に 41 の病院を有し、1 日約 66,000 の処方箋を発行し、
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約 215,000 の処方薬を提供している。2009 年に当病院局の医薬品物流プロセスの改革実施を決定し、バーコー
ド利用、入荷自動確認、トラック&トレース・システム導入、有効期限切れ薬の排除等をめざしている。2010 年に政
府ファンドを得てオラクルの Mobile SC Application の使用を決定し、日本と中国の先進施設の視察を実施した
(2010 年 NTT 東日本関東病院と東邦薬品東京物流センターの視察を実施)。今年 2014 年中に傘下 41 すべての
病院への SCM システム導入を完了する。これによって 52%以上の発注が EDI 化されることになるが、医薬品バ
ーコードについては販売包装単位に GS1 標準バーコードが表示されていないアイテムが多く、システム上たいへ
ん苦戦している。せめて GTIN だけでも販売包装単位に表示してもらいたいが、医薬品メーカーの香港にいる担
当者はバーコードについて何も知らない場合がほとんどで、病院としての挑戦、取り組みに限界を感じており、こ
の GS1 ヘルスケア国際会議で世界の主要医薬品メーカーに GS1 標準バーコードの印刷表示を強く訴えたい。
先ずトレーサビリティ実現、次にデータ可視化、そして医療安全
トラック&トレースによる Point of Care
4月3日(第 3 日) 午前
プレナリー・セッション・・・医療機関での導入事例として
「患者安全のための情報通信技術(ICT)の有効事例・・・・・ソウル国立大学の経験」
ソウル国立大学ブンダン(盆唐)病院 医療情報センター キー・ユック・リー医師
・Dr. Kee-Hyuck Lee, Center for Medical Informatics, Seoul National University Bundang Hospital
ソウル国立大学ブンダン(盆唐)病院は、韓国初のフルデジタル化総合病院として 2003 年に開設され、ベッド数
1,400、1日あたり約 6,000 人の通院患者を受け入れている。すべての医師、看護師は iPad や iPhone などの携帯端
末を持ち、患者情報を即座に確認できると共に、投薬管理の説明や患者への病状・医療処置の説明などに利用し
ている。本病院は北米外で初めて HIMSS(注)(ヒムス:Healthcare Information and Management Systems Society 医療
情報・管理システム学会)のステージ7病院の 1 つに認定されている世界的な医療機関である。病院の医療情報シ
ステムの継続的な改良を図っていくため、ソフト開発企業を傘下に有しており、同社の HIS の国内シェアは 50%を超
えている。(公開データなし)
(注) HIMSS とは
Healthcare Information and Management Systems Society(医療情報・管理システム学会:略称 HIMSS ヒムス) 米国シカゴ
に本部を置く非営利団体で、1961 年に設立。IT 技術やマネジメントシステムの効果的な利用を促進することで、医療やヘ
ルスケア分野のレベル向上を目指す。医療 IT・ヘルスケアに関する世界最大の展示会・シンポジウムを主宰。
2014 年 2 月に開催された HIMSS14 の企画展示は、Knowledge Centers Pavilion と Intelligent Hospital Pavilion であった。
Knowledge Centers Pavilion では、モバイルヘルス、クラウドコンピューティング、クリニカル BI など医療 IT・ヘルスケア業界
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で注目を集めているトピックスを展示した。Intelligent Hospital Pavilion では、モバイル技術や端末活用などの手段を通じて
リアルタイムで患者のバイタル情報収集が可能なシームレスに統合されたモデル病院を展示した。
「医薬品の最少包装単位への表示について」
資料掲載 P.
台湾彰化基督教病院薬剤部長 スーユーチェン教授(台湾医療自動化管理促進会会長)
Prof. Su-Yu Chien, Director of the Department of Pharmacy, Changhua Christian Hospital, Taiwan
台湾彰化基督教病院 Changhuan Christian Hospital(彰化市)は 1896 年設立で、ベッド数 1,700、職員数 4,000 人
の JCI(国際病院機能評価)認定病院である。バーコードスキャンの利用が医療事故防止に有効との観点から、メデ
ィケーション・バーコード・システム Medication Barcode System を在庫管理、払出し管理、投薬管理に導入している。
台湾では 2011 年に医療バーコード標準が公表されているが、台湾政府による義務化は検討段階にある。当病院で
は患者安全を確保する観点から PTP シートの 1 錠ずつに 1 次元バーコード又は 2 次元データマトリックスで GTIN
を表示するようメーカーに依頼し、多くのメーカーの協力を得て成果を上げている。台湾政府は1錠単位でのバーコ
ード表示の義務化には慎重である。世界的に見ても1錠ごとの表示を義務化している国等はまだないと思われるが、
患者安全の観点からはぜひ推進すべきと考えている。
※米連邦は 2013 年 11 月公示の「医薬品サプライチェーン安全保障法」によって、1 錠ごと表示ではないが、2014
年 11 月からの販売包装単位(中箱)への製品コード、ロット番号、有効期限、そして追跡・遡及管理のためのシリア
ル番号の二次元シンボルデータマトリックスの表示を課している。
PPT シートへのデータマトリックス表示例:品質検証をクリア
調剤包装単位へのバーコード表示は推進すべき
「良き購買、良き価値創造、良きケアのために・・・・英国 NHS は GS1 を義務化した」
資料掲載 P.
GS1 英国 クリス・ドイル氏 Chris Doyle, GS1UK
英国の NHS(National Health Service:国民保健サービス)では、職員 140 万人が働き、国家財政(税金)の 20%が投
入されるという大組織である。その効率向上は大きな課題である。各種の製品の購買手続き効率化のため e­
Procurement system(電子購買システム)を導入している。この e­Procurement system は、マスターデータの GDSN
登録(グローバル・データシンクロナイゼーション(同期化)・ネットワークへの登録)、GS1 標準バーコード利用などに
ついて、購買手続きにおける GS1 準拠を必須条件(mandate)としている。この条件に対応するか、対応しないかで病
院への保険償還において±2.5%の差がつけられることになっており、GS1 利用による効率向上のインセンティブとし
ている。
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NHS のインセンティブ制度: 病院購買での GS1 利用を必須とし、対応により保険償還に±2.5%の差がある。
ヘルスケア・プロバイダー協議会表彰
・HPAC(Healthcare Provider Advisory Council) Awards
HPAC 表彰の対象としては、米国ガイジンガー・ヘルス・システム Geisinger Health System のケビン・キャパッチ氏
Mr. Kevin Capatch が選ばれ、本人欠席のため GS1US のマイケル・ムーニー氏が代理で表彰を受けた。模範実践
例としては、香港病院管理局(Hong Kong Hospital Authority)が選出され、今回の講演者として出席している薬剤部
長の S.C.チャン女史 Ms. S.C. Chiang が表彰を受けた。
「病院サプライチェーンの変革」
資料掲載 P.
香港病院管理局 薬剤部長 S.C.チャン女史
・S. C. Chang (Hong Kong Hospital Authority)
Hong Kong Hospital Authority(香港病院管理局)は英国の NHS に相当し、公立施設として低料金の医療を提供し
ている。傘下の 41 の病院で大量の医薬品を使用しているにもかかわらず、発注、配送、確認などを非効率な手作
業に頼っていたことから、物流システムの改革をめざし、2010 年から GS1 バーコードと EDI システムを連携した SCM
プロジェクトに取り組んでいる。昨年 2013 年 7 月からは 70%のオーダーラインが EDI 化され、事前出荷明細通知
(ASN: Advanced Ship Notice)システム(参考)とバーコードによる配送確認などが可能となり、2014 年 4 月からはさら
に 16%のオーダーラインが追加される。本来個包装レベルのバーコードの活用を図りたいが、あまりにメーカーによ
るバーコード表示率(ソースマーキング率)が低いことから、現在はロジスティックレベルに注力して SSCC(シリアル・
シッピング・コンテナ・コード連続出荷コンテナ・コード)のバーコード運用、つまり外箱単位でのバーコード読取り管
理を行っている。大手の医薬品メーカーに製品への GS1 標準バーコード表示やラベル貼付を依頼しても、香港市場
のためだけの対応は困難との返答が多いが、香港病院管理局として患者安全のためにもメーカーには製品へのバ
ーコード表示を推進していただきたい。
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バーコード表示をめぐる課題点の抜粋
システム導入を阻害する主な要因
(参考)ASN(Advanced Ship Notice)運用システム図
出典:「医薬品・医療材料情報識別ガイド P.63」
・病院関係者によるラウンドテーブル
「患者ケア実現の病院のために標準をどのように導入するのか」
台湾彰化基督教病院 Changhuan Christian Hospital のスーユーチェン教授 Su-Yu Chien、香港病院管理局
HongKong Hospital Authority の S.C.チャン女史 S. C. Chang、アイルランド・セント・ジェームズ病院 St. James’
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Hospital のファーガル・マクグローティ氏 Feargal McGroarty、オランダ・ベーンホーベン Bernhoven 病院のジャスティ
ン・ビター氏 Justin Bitter が壇上に上がり、GS1 本部のジャニス・ケイト女史の司会進行で病院としての課題や対応
等についてコメントが披露された。
メーカーへのバーコード貼付要請や医薬品ベンダー担当者への教育などサプライサイド(供給者側)の課題のほ
か、病院としてはシステム改革のための設備予算確保、院内関係者間での問題意識の共有、薬剤師(部門)だけで
なく医師、看護師、他のスタッフとの連携など、病院組織内での積極的な努力の必要性も指摘された。また、購買時
の入札でのバーコード貼付製品の優遇など、制度的インセンティブも有用である等々 のコメントが出された。
・次回 GS1Healthcare 会議
次回開催国の GS1 デンマーク CEO ラース・ケイド氏 Mr. Lars Kyed から、デンマークおよびコペンハーゲンの PR
紹介ビデオの放映の後、次回 GS1Healthcare 会議の招致プレゼンテーションが行われた。
・クロージング・スピーチ
GS1 ヘルスケア共同議長マイク・ウォラス氏(GS1Healthcare Tri-Chair)から、ソウルに参集した全ての国内外の
来場者、GS1 韓国および行政当局、GS1 ヘルスケア本部、その他関係した全スタッフへの謝辞が述べられ閉会と
なった。
4月3日(第 3 日) 午後
事例見学会: ソウル国立病院附属ブンタン(盆唐)病院
GS1 ヘルスケアソウル会議の来場者を対象に、事例見学会が(1) ソウル国立病院附属ブンタン(盆唐)病院、(2)
ハンミ薬品、(3) Taejeon Pharmaceutical Wholesale 大田医薬品卸売業の 3 ヶ所を見学先として開催された。班分け
調整によってソウル郊外のソウル国立病院附属ブンタン(盆唐)病院を見学した。
ソウル国立大学ブンダン(盆唐)病院では、完成形の電子カルテシステムが稼働していた。本部病院とは異なる
「フルデジタル化総合病院を建設する」という基本方針を元に 2003 年に開設された。ベッド数 1,400 床、1日あたり
約 6,000 人の通院患者を受け入れている。すべての医師、看護師は iPad や iPhone などの携帯端末を持ち、何時で
も、どこででも、患者情報を即座に確認できる仕組みとなっており、実稼働状況を見学した。また患者への処方薬の
説明や患者への病状・医療処置の説明などに iPad や iPhone などを利用していた。フロア別のナースステーションで
は、患者別薬剤別医療材料別のオンライン使用実績管理システムが稼働しており、参照方法のデモンストレーショ
ンがあった。薬剤管理は GS1 データバー、米 UPC コードを読取り、入荷検品、在庫管理を実施していた。保管棚に
はハンミ薬品の RFID 付き薬剤ボトルが保管されていた。RFID 読取り動向について薬剤部スタッフに質問したところ
「多数の薬剤アイテムのうち、ハンミだけ RFID が実装されていても、業務全体では使用できない、利用できない。」と
いうコメントであった。病院の医療情報システムの継続的な改良と迅速な開発スピードを維持するため、ソフト開発
は外部委託せず、開発企業を子会社化していた。同社の病院情報システム(HIS)の国内シェアは 50%を超えている
とのことである。
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韓国厚労省医薬品バーコード表示規則にもとづきデータ
院内薬局の処方受付端末
マトリックスには、GTIN、有効期限、ロット番号に
加え、シリアル番号(21)006230 も表示されている
パソコンと i­phone 搭載の患者カート
患者別薬剤別医療材料別の使用実績データ表示画面
次回の GS1 ヘルスケア国際会議
2014 年 10 月 21 日~10 月 23 日
デンマーク・コペンハーゲン
ヒルトン・コペンハーゲン・エアポートホテル
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