便利な配達システムを構築する ソフトウエアアドバイザー 山 本 邦 彦 一般 家庭では昼間の在宅率が低く、商品の受け取りが非常に困難になっている。こ のように状況をふまえて、インターネットショップで受注した商品を、購入者にどの ように引き渡したらよいかを検討してみよう。 (1)手軽に利用できる郵便局の「ゆうパック」 郵便局は全国津々浦々どこにでもあり身近である。料金の面からも民間宅配便サ ービスに比較し最も安く、確実に届けてくれるという安心感、信頼感も高い。特に 個人商店などがインターネットショップを開業する場合、取り扱い規模が少なくて も「ゆうパック」は手軽に利用できる配送方法である。 「ゆうパック」には電話一本で荷物を取りにきてくれる集荷サービス、翌日配達 (または翌々日)、配達日指定サービス、配達済通知サービス、転居先への転送(転 居届を出している場合)、荷物の追跡サービス(インターネットの画面からも確認 可能)などがある。生鮮食品などの「チルドゆうパック」、差出個数に応じた割引、 月間差出個数に応じた月間割引、差出個数10個ごとの回数割引などの各種割引サ ービスも利用できる。 (2)物流会社の配達サービスを有効活用する ヤマト運輸が始めた小口宅配業務「クロネコヤマトの宅急便」はその利便性から 大きく伸張した。その後、日通が「ペリカン便」、西濃運輸が「カンガルー便」な ど大手物流会社が参入している。料金面では高いものの納得のいく高いサービスで ユーザーに支持されている。提供しているサービス内容も、競争の激化から多様化 している。インターネットショップ事業者も、これらの物流会社のサービスをうま く活用することを検討するとよい。主たるサービスには、次のようなものがある。 ①自宅集荷サービス 民間の宅配業者が基本的に電話1本でいつでもどこでも対応してくれるサービス である。しかし、地域によって荷物の収集回数が異なっている場合もあり、回数の 少ないところは、収集時間によっては当日受付に間にあわず配達が遅れてしまうこ ともある。配達リードタイムをできるだけ短縮するためには、集荷のスケジュール について、利用する物流会社とよく相談することが必要となる。 ②持ち込み割引サービス 一部の物流会社は、集荷ではなく、営業者や代理店に直接持ち込む場合は持ち込 み割引サービスを提供している。このサービスを利用すると一荷物あたり100円 程度の割引を受けることができる。 ③届け日指定サービス 届ける日時を指定できるサービスで、指定したい日時に届けたい場合は、利用す るとよい。タイムサービスには、オプション料金が別途必要になる。 ④届け時間指定サービス このサービスは、基本的に無料で利用できる。午前、午後、夜間といった3種類 の時間帯指定や、業者によっては「10時∼12時」など、もう少し細かい時間帯 指定ができるところもある。状況に応じて活用するとよい。 ⑤着払いサービス 着払いは、商品の送料を送り先の受取人から直接受け取り時に支払ってもらうも ので、送料は物流会社の配達担当者が回収するものである。送料を送り先の負担と いう条件で販売している場合などは、送料の回収を気にせず商品発送できる利便性 がある。 ⑥代金回収(代引き)サービス 代金回収サービスは、商品を配達したときに、受取人から商品代金を商品引き渡 しと引き替えに物流会社の配達担当者が代行回収してくれるサービスである。回収 した商品代金は指定した金融機関に手数料を差し引いて振り込まれる。 ⑦荷物保証 民間物流会社の宅配サービスでは、荷物保証が30万円までついている。「ゆう パック」の6000円の保証(書留扱いは別)に比較して高額保証である。一般的 な商品販売時では、この30万円の保証額で事足りるであろう。 ⑧クール便 鮮魚、エビ、カニ、貝類、生ハム、生肉等生鮮食料品を送るとき、引受から配達 まで冷蔵温度帯(おおむね0∼5度)で取り扱ってくれる配送サービスである。 ⑨荷物追跡サービス 荷物の追跡サービスは物流会社が提供するサービスとして定着してきている。注 文した商品が今どの状況にあるか、「配送車中」、「不在により持ち帰り保管中」 といったような情報を、インターネットショップの注文者である消費者が、インタ ーネットの画面で伝票番号を入力することで確認できるサービスである。インター ネットショップ事業者も、「まだ配送中」、「配送完了」などの配達状況を簡単に 確認できるので、利便性は高い。また、このサービスは、電話でも業者に問い合わ せすることができるが、インターネットのホームページからの確認のほうが手間が かからず、利用者が多い。 図表 ECの商品配達に関する消費者の要望事項 ・在庫の有無確認と出荷までの日数の短縮。 ・配達方法や日数が選べる。 ・商品の受け渡しが面倒である。この点の改善を求む。独身者な ど一人暮らしでは宅急便が日昼では受け取れない。発注時に最 寄りのコンビニを指定。その店に到着の日時をホームページや電 子メールで確認できたら取りに行く。こうすれば、帰りが遅い一人 暮らしでも荷物を受け取り可能。 ・代金決済の仕組みと商品配達時の仕組みを安心かつ便利なも のとすることを切望する。商品配達時に不在だった場合に、例え ば近くにコンビニで受け取ることができるような仕組みを確立して ほしい。 図表 郵便局「ゆうパック」(http://www.postal.mpt.go.jp/) 図表 西濃運輸「お荷物照会サービス」 (http://track.seino.co.jp/cgi-bin/gnpquery.pgm)
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