アセスメントと 支援提供の基本姿勢 - 国立障害者リハビリテーションセンター

サービス管理責任者等研修テキスト
講 義
「アセスメントと
支援提供の基本姿勢」
<児童発達支援管理責任者>
平成28年9月15日
国指導者研修:講義の進行表
(9月15日(木))
9:00
2
3
4
児童発達支援管理責任者に係る事業概要
(20分)
総論(30分)
入所支援特有の機能及び児童発達支援管理
責任者に求められる役割(20分)
放課後等デイサービス(障害児通所支援)に
おける児童発達支援管理責任者の役割(20分)
10:40
休憩( 分)
1
10:30
10
5 支援提供の基本姿勢
6 支援提供のポイントとその評価 (35分)
7 アセスメントのポイント
8 発達障害の理解とその対応
(35分)
9
児童発達支援管理責任者と
障害児相談支援専門員の関係と役割
10 支援提供プロセスの実際
【内 容】
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
12:30
児童発達支援管理責任者に係る事業概要
総論
入所支援特有の機能及び児童発達支援管理責任者に求められる役割
放課後等デイサービス(障害児通所支援)における児童発達支援管理責任者の役割
支援提供の基本姿勢
支援提供のポイントとその評価
アセスメントのポイント
発達障害の理解とその対応
児童発達支援管理責任者と障害児相談支援専門員の関係と役割
支援提供プロセスの実際
(40分)
1.児童発達支援管理管責任者に係る
事業概要
厚生労働省 社会援護局
障害保健福祉部 障害福祉課
障害児・発達障害者支援室
(1)研修目標の確認
児童発達支援管理責任者の役割を理解する。
・アセスメント(ニーズの把握)と課題の整理
・個別支援計画の作成とプロセス管理(モニタリング、
計画修正)
・終了後を意識した取り組み(関係機関との連携)等に
ついて演習を行いながら理解するとともに、
「模擬支援会議」等を通じて、会議運営や児童の支援に従
事する職員に対する指導・助言等についても理解する。
(2)児童発達支援管理責任者の役割
• 発達状況、心理状態を踏まえた上で、的確にニーズを把握する。
• アセスメント全体を把握した上で、最終ゴールを想定することが重要。
• 情報が少ない場合こそ、あらゆる可能性を視野に入れることが重要。
• 障害のある子どもや家族が、まだ具体化できていないニーズを推測する。(真の
ニーズを把握することが重要。)
• 利用者の真のニーズを含めた個別支援計画を策定し、支援プロセスの全体を
管理する。
• 個別支援計画の策定に当たっては、訓練担当職員、保育士等のチームで取り
組むよう、支援会議を開催し意見調整の上、方針の統一を図る。
• 地域の社会資源を理解し関係機関と連携調整を行う。
• 以上の支援全般に渡って、児童の支援に従事する職員に対し、適宜、指導・助
言を行う。
(3)児童発達支援管理責任者研修のポイント
【児童福祉法に関する知識】
○ 平成24年4月以降の児童分野の制度改革について認識を深め、障害種別の一元化への対応の他、保育
所等訪問支援などの地域生活支援、障害児相談支援事業との連携について認識を深める。
【アセスメント、支援等に関する知識】
○ 適切な発達支援を行うために必要な発達評価(成育歴を含む)について認識を深める必要がある。
また、増加する発達障害児の療育ニーズに対応できるよう発達障害のアセスメント、支援等につい
て、事例を通じながら認識を深める必要がある。 → 発達の評価方法、活用等について理解を
深める。
【発達支援・家族支援・地域支援】
○ 療育は、子どもの発達支援だけでなく家族支援、地域(生活)支援も重要である。障害受容等保護者の心
情に寄り添ったサポート、子どもや家庭のある地域資源へ支援について認識を深める必要がある。 →
障害受容など家族の心理機制について学習するとともに、家族のエンパワメント支援について理解を深める。
また、地域支援の支援も押さえる。の3視点を押さえる。
【関係機関との連携】
○ 児童期は、短期間でライフステージが交代し、関係機関も多岐にわたる。切れ目のない継続的な支援を行
うためには、相談支援専門員をはじめ医療・保健・教育などの多くの関係機関との連携が必要である。 →
切れ目のない継続した支援の必要について、理解を深める。また、連携のカギとなる個別支援会議(移行会
議等)の開催・運営について認識を深める。また、地域の発達支援システム構築について検討する自立支援
協議会への参画の重要性について認識を深める。
○ 必要に応じて、児童相談所との連携が必要である。 → 被虐待児童の支援に当たって共通認識を持って
児童の権利擁護を図ることの重要性について理解を深める。
(4)障害児支援の概要・最近の動向
障害児支援の強化~児童福祉法改正のポイント~
○ 障害のある児童が身近な地域で適切な支援が受けられるようにするとともに、併せて、年齢や障害特性に
応じた専門的な支援が提供されるよう質の確保を図る。
■障害児施設の一元化
障害種別で分かれている現行の障害児施設を、通所による支援を「障害児通所支援(児童発達支援等)」、
入所による支援を「障害児入所支援(障害児入所施設)」にそれぞれ一元化
■障害児通所支援の実施主体を市町村へ移行
通所サービスの実施主体は身近な市町村に変更。これにより障害者自立支援法の居宅サービスと通所サー
ビスの一体的な提供が可能。
■放課後等デイサービス、保育所等訪問支援の創設
学齢児を対象としたサービスを創設し、放課後支援を充実。また、障害があっても保育所等の利用ができる
よう訪問サービスを創設。
■在園期間の延長措置の見直し
18歳以上の障害児施設入所者に対し障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを提供し、年齢に応じた
適切な支援を提供。
*現に入所していた者が退所させられないようにする。
障害児支援の制度
平成24年度の児童福祉法改正による障害児施設・事業の一元化
○ 障害児支援の強化を図るため、従来の障害種別で分かれていた施設体系について、通所・入所の利用
形態の別により一元化。
<< 障害者自立支援法 >>
【市町村】
<< 児童福祉法 >>
【市町村】
児童デイサービス
<< 児童福祉法 >>
障害児通所支援
【都道府県】
難聴幼児通園施設
肢体不自由児通園施設(医)
通所サービス
知的障害児通園施設
・児童発達支援
・医療型児童発達支援
・放課後等デイサービス
・保育所等訪問支援
重症心身障害児(者)通園事業(補助事業)
盲児施設
ろうあ児施設
肢体不自由児施設(医)
肢体不自由児療護施設
重症心身障害児施設(医)
【都道府県】
入所サービス
知的障害児施設
第一種自閉症児施設(医)
第二種自閉症児施設
(医)とあるのは医療の提供を
行っているもの
障害児入所支援
・福祉型障害児入所施設
・医療型障害児入所施設
障害児が利用可能な支援の体系
(注)利用者数及び施設・事業所数は平成28年3月現在の国保連データ
サービス名
訪 問 系
居宅介護(ホームヘルプ)
自宅で、入浴、排せつ、食事の介護等を行う
同行援護
重度の視覚障害のある人が外出する時、必要な情報提供や介護
を行う
行動援護
自己判断能力が制限されている人が行動するときに、危険を回
避するために必要な支援、外出支援を行う
重度障害者等包括支援
介護の必要性がとても高い人に、居宅介護等複数のサービスを
包括的に行う
日中
活動系
短期入所(ショートステイ)
自宅で介護する人が病気の場合などに、短期間、夜間も含め
施設で、入浴、排せつ、食事の介護等を行う
利用児童数
障
害
者
総
合
支
援
法
施設・事業所数
9,267
19,324
156
6,063
2,627
1,521
0
9
7,242
4,174
障害児通所系
障害児入所系
相談支援系
児童発達支援
日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、
集団生活への適応訓練などの支援を行う。
83,678
3,931
医療型児童発達支援
日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、
集団生活への適応訓練などの支援及び治療を行う。
2,611
99
放課後等デイサービス
授業の終了後又は休校日に、児童発達支援センター等の施設に通わせ、生活
能力向上のための必要な訓練、社会との交流促進などの支援を行う
120,052
7,835
保育所等訪問支援
保育所等を訪問し、障害児に対して、障害児以外の児童との
集団生活への適応のための専門的な支援などを行う。
2,358
412
福祉型障害児入所施設
施設に入所している障害児に対して、保護、日常生活の指導
及び知識技能の付与を行う。
1,731
190
医療型障害児入所施設
施設に入所又は指定医療機関に入院している障害児に対して、
保護、日常生活の指導及び知識技能の付与並びに治療を行う。
2,118
186
計画相談支援
【サービス利用支援】
・サービス申請に係る支給決定前にサービス等利用計画案を作成
・支給決定後、事業者等と連絡調整等を行い、サービス等利用計画を作成
【継続利用支援】
・サービス等の利用状況等の検証(モニタリング)
・事業所等と連絡調整、必要に応じて新たな支給決定等に係る申請の勧奨
支
援
法
1,047
6,966
障害児相談支援
【障害児利用援助】
・障害児通所支援の申請に係る給付決定の前に利用計画案を作成
・給付決定後、事業者等と連絡調整等を行うとともに利用計画を作成
【継続障害児支援利用援助】
児
福
法
36,503
3,381
児
童
福
祉
法
障害児支援の体系①~児童発達支援~
○事業の概要
・ 日常生活の基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練、その他必要な支援を行う(通所)
・ 事業の担い手
①児童発達支援センター(児童福祉法第43条)
通所利用障害児への療育やその家族に対する支援を行うとともに、その有する専門機能を活かし、地域の障害児やそ
の家族の相談支援、障害児を預かる施設への援助・助言を行う。(地域の中核的な支援施設)
②それ以外の事業所
もっぱら、通所利用障害児への療育やその家族に対する支援を行う。
○ 対象児童
集団療育及び個別療育を行う必要があると認められる未就学の障害児
○ 提供するサービス
児童発達支援
児童発達
支援センター
身近な地域における通所支援
通所利用障害児への療育や
その家族 に対する支援
地域支援
保育所等訪問
支援などの実施
相談支援
障害児支援利用計
画の作成
【ワンストップ対応】
◇ センターは3障害に総合的に対応すること
が望ましいが、専門機能に特化したものも可
児童発達
支援事業
例 知的障害、難聴、肢体
不自由、重症心身障害、
発達障害等
医療機能
利用者の利便性を考慮
◆ センターで行う地域支援(相談
支援等)は3障害対応を基本
◆対応困難な場合は、適切な機
関等を紹介・あっせん
※医療型の場合
障害児支援の体系②~放課後等デイサービス~
○ 事業の概要
・ 学校通学中の障害児に対して、放課後や夏休み等の長期休暇中において、生活能力向上の
ための訓練等を継続的に提供することにより、学校教育と相まって障害児の自立を促進するとと
もに、放課後等の居場所づくりを推進。
○ 対象児童
○ 利用定員
学校教育法に規定する学校(幼稚園、大学を除く)に就学している障害児
(*引き続き、放課後等デイサービスを受けなければその福祉を損なうおそれが
あると認めるときは満20歳に達するまで利用することが可能)
D特別支援学校
A特別支援学校
○ 提供するサービス
◆ 学校授業終了後又は休業日において、生活
能力の向上のために必要な訓練、社会との交
流の促進等
放課後等デイサービス
事業所
①自立した日常生活を営むために必要な訓練
②創作的活動、作業活動
③地域交流の機会の提供
④余暇の提供
◎放課後利用
◎夏休み等の長期休暇利用
・ 午前・午後クラスなど、プロ
グラムの工夫
◆ 学校との連携・協働による支援(学校と放課後
等デイサービスのサービスの一貫性)
◎学校と事業所間の送迎
B小学校
10人以上
C中学校
障害児支援の体系③~保育所等訪問支援~
○ 事業の概要
・ 保育所等を現在利用中の障害児、又は今後利用する予定の障害児が、保育所等における集
団生活の適応のための専門的な支援を必要とする場合に、訪問支援を実施することにより、保
育所等の安定した利用を促進。
○ 対象児童
保育所や、児童が集団生活を営む施設に通う障害児
相談支援事業や、スタッフ支援を行う障
害児等療育支援事業等の役割が重要
*「集団生活への適応度」から支援の必要性を判断
*発達障害児、その他の気になる児童を対象
○ 訪問先の範囲
集団生活への
適応支援
集団生活への
適応支援
A幼稚園
・ 小学校、特別支援学校
A保育所
児童発達支援センター
事業
集団生活への
適応支援
保育所等訪問支援
B幼稚園
・ 保育所、幼稚園、認定こども園
集団生活への
適応支援
・ その他児童が集団生活を営む施
設として、地方自治体が認めたも
の
B保育所
○ 提供するサービス
◆ 障害児が集団生活を営む施設を訪問し、当該施設における障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な
①障害児本人に対する支援(集団生活適応のための訓練等)
支援等
②訪問先施設のスタッフに対する支援(支援方法等の指導等)
◆ 支援は2週に1回程度を目安。障害児の状況、時期によって頻度は変化。
◆ 訪問支援員は、障害児施設で障害児に対する指導経験のある児童指導員・保育士(障害の特性に応じ専門的な支援が
必要な場合は、専門職)を想定。
障害児支援の体系④~障害児入所支援~
○ 平成23年度まで各障害別に分かれていた障害児入所施設については、平成24年度から「障害児入所
施設」として一元化し、重複障害等への対応の強化を図るとともに、自立に向けた計画的な支援を提供。
○ 従来の事業形態等を踏まえて、①福祉型障害児入所施設、②医療を併せて提供する医療型障害児入所
施設の2類型。
1.対象者
・ 身体に障害のある児童、知的障害のある児童又は精神に障害のある児童(発達障害児を含む)
*手帳の有無は問わず、児童相談所、医師等により療育の必要性が認められた児童も対象
*3障害対応を原則とするが、障害の特性に応じた支援の提供も可能(ただし、医療型の対象は、知的障害児、肢体不自由児、重症心身障害児)
2.様々な障害や重複障害等に対応
・ 「障害児入所施設」として一元化される前の障害種別の施設と同等の支援を確保するとともに、主たる対象とする障害児
以外の障害児を受け入れた場合に、その障害に応じた適切な支援を提供。
・ 18歳以上の障害児施設入所者は、障害者施策(障害者総合支援法の障害福祉サービス)で対応することを踏まえ、自
立(地域生活への移行等)を目指した支援を提供。
3.18歳以上の障害児施設入所者への対応
・ 障害者総合支援法の障害福祉サービスにより年齢に応じた適切な支援を提供。
*引き続き、入所支援を受けなければその福祉を損なうおそれがあると認めるときは、満20歳に達するまで利用することが可能。
平成26年7月16日
障害児支援の在り方に関する検討会
今後の障害児支援の在り方について
(報告書のポイント)
~「発達支援」が必要な子どもの支援はどうあるべきか~
基本理念
○ 地域社会への参加・包容(インクルージョン)の推進と合理的配慮
○ 障害児の地域社会への参加・包容を子育て支援において推進するため
の後方支援としての専門的役割の発揮
障害児本人の最善の利益の保障
家族支援の重視
地 域 に お け る 「縦 横 連 携」 の 推 進
○ ライフステージに応じた切れ目の無い支援(縦の連携)
○ 保健、医療、福祉、保育、教育、就労支援等とも連携した地域支援体制
の確立(横の連携)
相談支援の推進
支援に関する
情報の共有化
児童相談所等との
連携
支援者の専門性
の向上等
地域における「縦横連携」のイメージ
本人
人
本
人
本
(
家族
族)
)
(
家
族
)
(
家
計画相談
支援
就労
支援
関係者間の共通理解・情報共有
→ 途切れない支援の調整
障害福祉
医療
地域保健
職場・地域生活
成年期
本人 ・
家族
障害児
支 援
社会的
養 護
障害児
相談支援
卒業
医療
学校保健
後方支援
学校等
学齢期
乳幼児期
後方支援
本人 ・
家族
障害児
支 援
社会的
養 護
障害児
相談支援
入学
医療
保育所等
「気づきの段階」からの支援
母子保健
<報告書提言の主な内容(1)>
① 地域における「縦横連携」を進めるための体制づくり
〇 児童発達支援センターを中心とした重層的な支援体制(各センターによる
保育所等訪問支援・障害児相談支援の実施等)
○ 保育所等訪問支援等の充実、入所施設への有期・有目的入所の検討
〇 障害児相談支援の役割の拡充、ワンストップ対応を目指した
子ども・子育て支援新制度の「利用者支援事業」との連携
〇 (自立支援)協議会の活性化、支援に関する情報の共有化を目的とした
「サポートファイル」の活用
〇 障害福祉計画における障害児支援の記載義務の法定化
② 「縦横連携」によるライフステージごとの個別の支援の充実
○ ライフステージごとの支援(乳幼児期、小学校入学前、学齢期、卒業後)
〇 保護者の「気づき」の段階からの支援、保育所等での丁寧なフォローによる
専門的な支援へのつなぎ、障害児等療育支援事業等の活用
〇 教育支援委員会や学校等との連携、卒業後を見据えた就労移行支援事業
所等との連携
障害児の地域支援体制の整備の方向性のイメージ
各地域の実情に応じて、関係機関の役割分担を明確にし、重層的な支援体制を構築する必要。
都
道
府
県
障
害
保
健
福
祉
圏
域
・高度な専門的支援・
バックアップ
・(自立支援)協議会
拠点病院
発達障害者
支援センター
(子どもの心の診療ネットワーク等)
児童相談所
*都道府県
指定都市
医療機関
・関係機関等と連携
協力による支援
機能の強化
・障害児への入所
支援を提供
・(自立支援)協議会
*都道府県
指定都市
児相設置市
障害児入所施設
※一定程度高度な対応が可能なところ
*人口規模等に応じて各圏域
に複数の拠点が必要
保健所
集団生活への
適応等を支援
(アウトリーチ)
児童発達支援
センター
(*医療型含む)
保育所等
訪問支援
障害児
相談支援等
障害児支援等
の利用援助
その他の支援
直接支援
市
町
村
域
・障害児への通所
支援を提供
・地域支援の提供
(保育所等訪問支援、
障害児相談支援等)
・(自立支援)協議会
児童発達
支援事業
保育所
等
障害児・家族
学校
放課後等デイ
サービス
障害福祉サービス
市町村保健センター、
地域の医療機関 等
児童福祉法等の改正による教育と福祉の連携の一層の推進について(概要)
(平成24年4月18日付厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課連名通知)
◆ 趣旨
学校と障害児通所支援を提供する事業所や障害児入所施設、居宅サービスを提供する事業所(以下「障害児
通所支援事業所等」という。)が緊密な連携を図るとともに、学校等で作成する個別の教育支援計画及び個別の
指導計画(以下「個別の教育支援計画等」という。)と障害児相談支援事業所で作成する障害児支援利用計画及
び障害児通所支援事業所等で作成する個別支援計画(以下「障害児支援利用計画等」という。)が、個人情報に
留意しつつ連携していくことが望ましい。
◆ 留意事項
1 相談支援
障害児支援利用計画等の作成を担当する相談支援事業所と個別の教育支援計画等の作成を担当する学校
等が密接に連絡調整を行い、就学前の福祉サービス利用から就学への移行、学齢期に利用する福祉サービス
との連携、さらには学校卒業に当たって地域生活に向けた福祉サービス利用への移行が円滑に進むよう、保護
者の了解を得つつ、特段の配慮をお願いする。
2 障害児支援の強化
(1) 保育所等訪問支援の創設
このサービスが効果的に行われるためには、保育所等訪問支援の訪問先施設の理解と協力が不可欠であ
り、該当する障害児の状況の把握や支援方法等について、訪問先施設と保育所等訪問支援事業所、保護者
との間で情報共有するとともに、十分調整した上で、必要な対応がなされるよう配慮をお願いする。
(2) 個別支援計画の作成
障害児通所支援事業所等の児童発達支援管理責任者と教員等が連携し、障害児通所支援等における個
別支援計画と学校における個別の教育支援計画等との連携を保護者の了解を得つつ確保し、相乗的な効
果が得られるよう、必要な配慮をお願いする。
事務連絡
平成2 5 年1 0 月1 8 日
各 都道府県
障害児支援担当課 御中
指定都市
児童相談所設置市
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課
障害児・発達障害者支援室障害児支援係
障害児に対する支援に係る教育機関との連携について
平素より、障害保健福祉行政の推進に、格段の御高配を賜り厚く御礼を申し上げます。
10月4日付で各都道府県・指定都市教育委員会委員長、都道府県知事等宛てに、文部科学省
初等中等教育局長通知「障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について」が
通知されております。
また、同省のホームページでは「教育支援資料~障害のある子供の就学手続と早期からの一貫
した支援の充実~」が公表されております。これらの資料は、主に障害児の就学手続等について
記載されておりますが、福祉などとの連携について、その重要性に触れられている部分も多く記載
されております。
つきましては、貴都道府県市の障害児支援担当課におかれましても、これらの内容についてご
了知いただき、教育部局と連携をしながら障害児支援の施策をさらに進めていただきますよう、よろ
しくお願いいたします。
また、各都道府県におかれましては、貴管内市町村の障害児支援担当課にも周知いただきます
ようご配慮願います。
<参考:教育支援資料掲載ページ(文部科学省)>
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1340250.htm
添付資料(以下略)
<報告書提言の主な内容(2)>
③ 特別に配慮された支援が必要な障害児のための医療・福祉の連携
〇 福祉の専門家だけでは適切に対応できないことを念頭に置いた医療・福祉
の連携、医療機関や入所施設の専門性を活用した研修の実施
○ 強度行動障害支援者養成研修の推進、重症心身障害児者の地域支援の
コーディネート機能を持つ中核機関の整備に向けた検討
④ 家族支援の充実
〇 ペアレント・トレーニングの推進、精神面のケア、ケアを一時的に代行する支
援、保護者の就労のための支援、家族の活動、障害児のきょうだい支援
⑤ 個々のサービスの質のさらなる確保
〇 一元化を踏まえた職員配置等の検討、放課後等デイサービス等の障害児支
援に関するガイドラインの策定
○ 児童養護施設等の対応を踏まえた障害児入所施設の環境改善及び措置入
所を含めた障害児入所支援の在り方の検討
→ 子ども・子育て支援及び障害児支援の計画的進展のための関連部門の連携
「放課後等デイサービスガイドライン」の概要
◆ ガイドラインの趣旨
総
則
◆ 放課後等デイサービスの基本的役割
子どもの最善の利益の保障/共生社会の実現に向けた後方支援/保護者支援
◆ 放課後等デイサービスの提供に当たっての基本的姿勢と基本活動
基本活動: 自立支援と日常生活の充実のための活動/創作活動/地域交流/余暇の提供 等
◆ 事業所が適切な放課後等デイサービスを提供するために必要な組織運営管理
設置者・管理者向け
ガイドライン
児童発達支援管理責任者
向けガイドライン
従業者向け
ガイドライン
◆ 子どものニーズに応じた適切な支援の提供と支援の質の向上
環境・体制整備/PDCAサイクルによる適切な事業所の管理
従業者等の知識・技術の向上/関係機関・団体や保護者との連携 等
◆ 子どもと保護者に対する説明責任等
運営規程の周知/子どもと保護者に対する支援利用申込時の説明/保護者に対する相談支援等
苦情解決対応/適切な情報伝達手段の確保/地域に開かれた事業運営 等
◆ 緊急時の対応と法令遵守等
緊急時対応/非常災害・防犯対策/虐待防止/身体拘束への対応
衛生・健康管理/安全確保/秘密保持等 等
放課後等デイサービスガイドラインに基づく自己評価等
「事業所は、本ガイドラインに基づく自己評価を実施
し、その結果を事業運営に反映させ、自己評価結
果については公表するよう努めるものとする。」
○ そのためのチェックリストが必要との意見
○ ユーザー評価にも使えるように、との意見
「事業者向け放課後等デイサービス自己評価表」と、
より簡素な「保護者等向け放課後等デイサービス評
価表」を作成
想定される自己評価の流れ
①
②
③
④
⑤
保護者へのアンケート調査
事業所職員による自己評価
事業所全体としての自己評価
自己評価結果の公表
保護者のアンケート調査結果のフィードバック
【厚生労働省ホームページ】
トップページの分野別施策「福祉・介護 障害者福祉」→障害者福祉の「施策情報 障害児支援施策」→障害児支援施策の「3.放課後等デイサービスガイドライン」
障害者総合支援法施行3年後の見直しについて(障害児支援関係)
~社会保障審議会 障害者部会 報告書~(平成27年12月14日)
(1)現状・課題
(障害児支援の現状と課題)
○ 障害児支援については、平成24 年児童福祉法改正において、障害児や家族にとって身近な地域で必要な発達支援を受けられるよ
う、障害種別ごとに分かれていた障害児の給付体系が通所・入所の利用形態別に一元化されるとともに、放課後等デイサービスや
保育所等訪問支援が創設された。
○ 保育所や放課後児童クラブにおける障害児の受入れについては、例えば、障害児を受け入れる放課後児童クラブに対して、専門
的知識等を有する放課後児童支援員等を配置するために必要な経費について補助を行うことなどにより、年々着実に進んでおり
(約2万8千人(平成26 年5月))、また、乳児院や児童養護施設等の児童福祉施設に入所する障害児数が増加するなど、一般
施策等における対応が拡大している。
○ 乳児院や児童養護施設等の児童福祉施設に虐待等により入所している障害児や、重度の障害や疾病等により外出が困難であるた
めに在宅で生活する障害児に対する発達支援については、必ずしも十分に届いていない状況にあるとの指摘がある。
○ 在宅で生活している障害児の支援については、保育等の他制度との連携や、入所支援の機能の活用についても留意する必要がある。
(医療的ケア児への支援)
○ 医療技術の進歩等を背景として、NICU 等に長期間入院した後、人工呼吸器等を使用し、たんの吸引などの医療的ケアが必要な障
害児(医療的ケア児)が増加している。
このような医療的ケア児が在宅生活を継続していこうとする場合、障害児に関する制度の中で医療的ケア児の位置付けが明確では
ないこと等から、必要な福祉サービスが受けにくいほか、医療、福祉、教育等の関係機関との連携が十分ではないこと等から、家
庭に大きな負担がかかっているとの指摘がある。
(適切なサービスの確保と質の向上)
○ 放課後等デイサービスについては、量的な拡大が著しく、その費用額は1,024 億円(平成26 年度)で対前年比5割近くの伸び、
その事業所数及び利用者数は対前年比で3割近くの伸びとなっており、特に営利法人が数多く参入している。
さらに、単なる居場所となっている事例や、発達支援の技術が十分ではない事業所が軽度の障害児を集めている事例があるとの指
摘がある。
○ 障害福祉計画については、障害児支援に関するサービスの必要量の見込み等について記載するよう努めることとされている。
(2)今後の取組
(基本的な考え方)
○ ライフステージに応じた切れ目の無い支援と保健、医療、福祉、保育、教育、就労支援等と連携した地域支援体制の構築を図る
観点から、個々の障害児やその家族の状況及びニーズに応じて、気づきの段階からきめ細かく対応するとともに、障害児支援のう
ち特に放課後等デイサービスなどの障害児通所支援の質の向上を図るため、以下のような取組を実施すべきである。
(発達支援のきめ細かな提供)
○ 乳児院や児童養護施設等に入所している障害児に対して必要な支援を提供するため、乳児院や児童養護施設等を訪問して実施す
る発達支援を推進する方策を講じるべきである。
○ 重度の障害等のために外出が困難な障害児に対して必要な支援を提供するため、自宅を訪問して発達支援を実施する方策を講じ
るべきである。
(医療的ケア児への支援)
○ 重症心身障害児に当たらない医療的ケア児について、障害児に関する制度の中で明確に位置付け、必要な支援を推進すべきである。
○ 医療的ケア児等について、医療・福祉の連携が求められる重症心身障害児等の地域支援に関するモデル事業の実施状況等も踏まえ、
その家族の負担も勘案し、医療、福祉、教育等の必要な支援を円滑に受けることができるよう、都道府県・市町村や関係機関の連
携に向けた方策や、相談支援事業所等の相談支援に早期につなげる方策を講じるべきである。
(適切なサービスの確保と質の向上)
○ 障害児の放課後等の支援については、子ども・子育て支援施策である放課後児童クラブや教育施策である放課後子供教室等におけ
る受入れを引き続き推進すべきである。その際、保育所等訪問支援などを活用して、必要に応じて専門的なバックアップを行うべ
きである。
○ 放課後等デイサービスなどの障害児通所支援については、発達支援を必要とする障害児のニーズに的確に対応するため、質の向上
と支援内容の適正化を図る観点から、放課後等デイサービスガイドラインの活用を徹底するとともに、発達支援等の子どもに関す
る支援の専門的な知識・経験を有する者の配置を求めるほか、障害児本人の発達支援のためのサービス提供を徹底するなど、制度
面・運用面の見直しを行うべきである。
○ 障害児のニーズに的確に応える観点から、障害福祉サービスと同様に、都道府県・市町村において、障害児支援のニーズ等の把
握・分析等を踏まえ、障害児支援に関するサービスの必要量の見込み等について、計画に記載すべきである。
○ 放課後等デイサービス等の適切なサービスの提供について
○ 放課後等デイサービスについては、社会保障審議会障害者部会等において、単なる居場所となっている
事例や発達支援の技術が十分ではない事業所が軽度の障害児だけを集めている事例など障害児本人に
とって適切な支援がされていないケースがあるとの指摘がある。
(参考)適切とはいえない事業所の例
・テレビを見せているだけ、ゲーム等を渡して遊ばせているだけ。
・送迎に時間をかけ、営業時間のほとんどを車内で過ごさせる。
・利益を上げるために必要以上の頻度で通わせる(支給決定日数の多い自治体を探して参入している)。
・重度の障害児の受入れを実質的に拒否している(支援の不十分さを伝え保護者側から断らせる等)。
・指導員が支援経験の無い(乏しい)バイト(非常勤職員)のみ。
○ このため、放課後等デイサービス等の障害児通所支援について、質の向上と支援内容の適正化を図る観点
から、平成28年3月に、自治体に対し、以下の留意事項通知を発出
「障害児通所支援の質の向上及び障害児通所給付費等の通所給付決定に係る留意事項について」
(平成28年3月7日障障発0307第1号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長通知)
1.障害児通所支援の質の向上に向けた留意事項について
(1)指定障害児通所支援事業者の指導の徹底について
指定障害児通所支援事業者の指導に当たっては、法及び児童福祉法に基づく指定通所支援の事業所等の人員、設備及び運営に関する
基準(平成24年厚生労働省令第15号。以下「基準省令」という。)等により行われているが、障害児通所支援のより一層の支援の質の向上
を図るため、指定障害児通所支援事業者の指定、指導監査、会議等の情報伝達の場など、あらゆる機会を通じて、特に以下の法令の規定
について指導の徹底を図られたい。
① 指定障害児事業者等は、その提供する障害児通所支援の質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、障害児通所支援の質
の向上に努めなければならない。 (法第21条の5の17第2項)
② 指定児童発達支援事業者は、正当な理由がなく、指定児童発達支援の提供を拒んではならない。
(基準省令第14条。第54条の5(基準該当児童発達支援)、第64条(指定医療型発達支援)、第71条(指定放課後等デイサービス)、第71
条の4(基準該当放課後等デイサービス)及び第79条(指定保育所等訪問支援)の規定により準用する場合を含む。)
③ 指定児童発達支援事業者は、その提供する指定児童発達支援の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならない。
(基準省令第26条第3項。第54条の5、第64条、第71条、第71条の4及び第79条の規定により準用する場合を含む。)
(2)放課後等デイサービスガイドラインの活用の徹底等について
指定放課後等デイサービス事業者の支援の質の向上と支援内容の適正化を図るため、以下により、放課後等デイサービスガイドライン
(以下「ガイドライン」という。)の活用の徹底等を図られたい。
① 指定放課後等デイサービス事業者の指定、指導監査、会議等の情報伝達の場などのあらゆる機会を通じて、指定放課後等デイサービ
ス事業者に対し、ガイドラインの周知徹底を図ること。その際、指定放課後等デイサービス事業者がガイドライン別添の自己評価表を活用
して適切に自己評価を行うこと、改善目標に沿って支援内容を改善すること、自己評価結果を公表すること等を促すように努めること。
② 指定放課後等デイサービス事業者によるガイドラインの自己評価結果の公表状況の把握に努めること。
③ 指定放課後等デイサービス事業者への指導・助言にあたっては、ガイドラインを活用すること。
2.障害児通所給付費等の通所給付決定の留意事項について
市町村による障害児通所給付費等の通所給付決定については、障害児通所給付費等の通所給付決定等について(平成24年3月30日障
発0330第14厚生労働省障害保健福祉部長通知)においてその取扱いを示しているところであるが、障害児本人の発達支援のためのサービ
ス提供を徹底するため、以下のとおり平成28年4月1日以降分の障害児通所給付費等の通所給付決定における留意事項をまとめたので、適
切な運用に努めていただきたい。
① 障害児通所支援は、障害児の心身の状況に応じ、障害児の自立の支援と日常生活の充実に資するよう、適切な技術をもって指導、訓練
等を行うものである。障害児通所給付費等の通所給付決定にあたっては、障害児本人の最善の利益を図り、その健全な発達のために必
要な支援を適切に提供する観点から、支給の要否及び必要な支給量について適切に判断し、決定すること。
② 主として障害児の家族の就労支援又は障害児を日常的に介護している家族の一時的な休息を目的とする場合には、地域生活支援事業
の日中一時支援等を活用すること。
支給量は、通所給付決定を行おうとする者の勘案事項を踏まえて、適切な一月当たりの利用必要日数を定めることとしているが、原則と
して、各月の日数から8日を控除した日数(以下「原則の日数」という。)を上限とすること。ただし、障害児の状態等に鑑み、市町村が必要
と判断した場合には、原則の日数を超えて利用することができるものとするが、その場合には支給決定前にその支援の必要性(支援の内
容とそれに要する時間等)について申請者、事業所等に十分確認した上で、必要な日数を決定すること。
③ 障害児についても、保育所、放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)等の一般施策を利用(併行利用を含む。)する機会が確保さ
れるよう、例えば保育所等訪問支援の活用など、適切な配慮及び環境整備に努めること。
[通知の趣旨]
○ 放課後等デイサービスの質の確保のため、平成27年4月に「放課後等デイサービスガイドライン」を策定・
公表したところであり、各自治体においては、事業者の指定、指導監督、会議等の情報伝達の場などのあら
ゆる機会を通じてガイドラインの周知を図り、事業所に活用をしていただくよう努めていただきたい。
○ 平成28年4月1日以降分の障害児通所給付費等の通所給付決定において、①保育所などの一般施策も
含め、障害児本人にとって最良のサービスを利用する機会が確保されるよう、適切な配慮及び環境整備を
図ること、②障害児通所支援について支給決定日数の目安を示すことにより、地方自治体において障害児
支援利用計画案に示された支援内容の必要性を確認することや、事業所において支援内容の見直しの契機
とすることを促すものである。
(参考)自治体における確認等の例
・保育所や放課後児童クラブ等の一般施策の利用の可能性を確認し、支給量に反映させる。
(市町村の障害児支援部局と子育て支援部局で十分な連携を図る。)
・障害児支援利用計画案を作成した障害児相談事業者等に利用予定の事業所、事業所における専門職種等の
人員配置や支援内容とその効果を確認し、障害児本人の発達に必要な支援かどうかを判断した上で支給決定
する。
(発達支援に必要のないものは支給決定しない。)
・発達支援の技術が不十分な事業所に漫然と通うことがないよう、支援の質や効果が担保されると判断した場合
に支給決定する。
(発達支援ではなく単なる預かりである場合は日中一時支援を活用する。)
○ なお、支給日数の目安については、例えば集中的にまとまった期間、発達支援が必要となる状況にある場
合等についてまで支給量を制限する趣旨ではなく、障害児本人の発達支援に必要な支給量を制限する趣旨で
はなく、障害児本人の発達支援に必要な支給量については確保される必要がある。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の
一部を改正する法律(概要)
趣 旨
障害者が自らの望む地域生活を営むことができるよう、「生活」と「就労」に対する支援の一層の充実や高齢障害者による介護保険サー
ビスの円滑な利用を促進するための見直しを行うとともに、障害児支援のニーズの多様化にきめ細かく対応するための支援の拡充を図るほ
か、サービスの質の確保・向上を図るための環境整備等を行う。
概 要
1.障害者の望む地域生活の支援
(1) 施設入所支援や共同生活援助を利用していた者等を対象として、定期的な巡回訪問や随時の対応により、円滑な地域生活に向けた相
談・助言等を行うサービスを新設する(自立生活援助)
(2) 就業に伴う生活面の課題に対応できるよう、事業所・家族との連絡調整等の支援を行うサービスを新設する(就労定着支援)
(3) 重度訪問介護について、医療機関への入院時も一定の支援を可能とする
(4) 65歳に至るまで相当の長期間にわたり障害福祉サービスを利用してきた低所得の高齢障害者が引き続き障害福祉サービスに相当する
介護保険サービスを利用する場合に、障害者の所得の状況や障害の程度等の事情を勘案し、当該介護保険サービスの利用者負担を
障害福祉制度により軽減(償還)できる仕組みを設ける
2.障害児支援のニーズの多様化へのきめ細かな対応
(1)
(2)
(3)
(4)
重度の障害等により外出が著しく困難な障害児に対し、居宅を訪問して発達支援を提供するサービスを新設する
保育所等の障害児に発達支援を提供する保育所等訪問支援について、乳児院・児童養護施設の障害児に対象を拡大する
医療的ケアを要する障害児が適切な支援を受けられるよう、自治体において保健・医療・福祉等の連携促進に努めるものとする
障害児のサービスに係る提供体制の計画的な構築を推進するため、自治体において障害児福祉計画を策定するものとする
3.サービスの質の確保・向上に向けた環境整備
(1) 補装具費について、成長に伴い短期間で取り替える必要のある障害児の場合等に貸与の活用も可能とする
(2) 都道府県がサービス事業所の事業内容等の情報を公表する制度を設けるとともに、自治体の事務の効率化を図るため、所要の規定を
整備する
施行期日
平成30年4月1日(2.(3)については平成28年6月3日施行)
居宅訪問により児童発達支援を提供するサービスの創設
○ 障害児支援については、一般的には複数の児童が集まる通所による支援が成長にとって望ましいと考えられるため、これまで通
所支援の充実を図ってきたが、現状では、重度の障害等のために外出が著しく困難な障害児に発達支援を受ける機会が提供さ
れていない。
○ このため、重度の障害等の状態にある障害児であって、障害児通所支援を利用するために外出することが著しく困難な障害児
に発達支援が提供できるよう、障害児の居宅を訪問して発達支援を行うサービスを新たに創設する(「居宅訪問型児童発達支
援」)。
対象者
訪問教育
○ 重症心身障害児などの重度の障害児等であって、児
童発達支援等の障害児通所支援を受けるために外出す
ることが著しく困難な障害児
支援内容
児童発達支援センター 等
居宅訪問型
児童発達支援(新設)
居宅訪問型保育
訪問診療・訪問看護
○ 障害児の居宅を訪問し、日常生活における基本的な
動作の指導、知識技能の付与等の支援を実施
【具体的な支援内容の例】
・手先の感覚と脳の認識のずれを埋めるための活動
・絵カードや写真を利用した言葉の理解のための活動
居宅
・在宅の障害児の発達支援の機会の確保
・訪問支援から通所支援への社会生活の移行を推進
保育所等訪問支援の支援対象の拡大
○ 乳児院や児童養護施設の入所者に占める障害児の割合は3割程度となっており、職員による支援に加えて、発達支援に関する
専門的な支援が求められている。(乳児院:28.2%、児童養護施設:28.5%/平成24年度)
○ このため、保育所等訪問支援の対象を乳児院や児童養護施設に入所している障害児に拡大し、障害児本人に対して他の児童
との集団生活への適応のための専門的な支援を行うとともに、当該施設の職員に対して障害児の特性に応じた支援内容や関わり
方についての助言等を行うことができることとする。
訪問先
対象者の拡大
○ 乳児院、児童養護施設に入所している障害児を対象者として追加
※現在の対象者は、以下の施設に通う障害児
・保育所、幼稚園、小学校 等
・その他児童が集団生活を営む施設として、地方自治体が認めるもの
(例:放課後児童クラブ)
保育所・幼稚園
保育所等訪問支援
放課後児童クラブ
小学校
支援内容
○ 児童が集団生活を営む施設を訪問し、他の児童との集団生活へ
の適応のための専門的な支援等を行う。
①障害児本人に対する支援(集団生活適応のための訓練等)
②訪問先施設のスタッフに対する支援(支援方法等の指導等)
児童発達支援
センター等
集団生活への
適応のための
支援
等
訪問対象
の拡大
改正後
乳児院
児童養護施設
医療的ケアを要する障害児に対する支援
○ 医療技術の進歩等を背景として、NICU等に長期間入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管
栄養などの医療的ケアが必要な障害児(医療的ケア児)が増加している。
○ このため、医療的ケア児が、地域において必要な支援を円滑に受けることができるよう、地方公共団体は保健、医療、福祉その
他の各関連分野の支援を行う機関との連絡調整を行うための体制の整備について必要な措置を講ずるよう努めることとする。
※ 施策例: 都道府県や市町村による関係機関の連携の場の設置、技術・知識の共有等を通じた医療・福祉等の連携体制の構築
◆ 在宅人工呼吸指導管理料算定件数
(0~19歳)の推移
◆ 特別支援学校及び小中学校における
医療的ケアが必要な幼児児童生徒数
12,000
(人)
8,000
4,000
小中学校(通常の学級
及び特別支援学級)
特別支援学校
5,901
2500
976
2344 2126
2000
1500
1735
1403
1230
1000
0
平成18年度
平成22年度
平成26年度
出典:文部科学省「特別支援学校等の医療的ケアに関する
調査結果」(※小中学校は平成24年度から調査)
500
0
812
615
288
264
2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
出典:社会医療診療行為別調査
関係機関による連携イメージ図
福
祉
相談支援事業所
児童発達支援
センター等
自治体
担当課
連携
医
療
訪問看護
ステーション
相談先
人
%
医療機関の職員(医師、看護師、MSW等)
692
77.4
訪問看護事業所等の職員(看護師等)
福祉サービス事業所等の職員
行政機関の職員(保健師等)
学校・保育所等の職員
知人・友人
405
292
216
317
412
45.3
32.7
24.2
35.5
46.1
患者団体・支援団体
46
5.1
その他
32
3.6
相談先がない・分からない
31
3.5
(件)
8,750
7,774
7,306
◆ 育児や療育、在宅での生活等の全般に
関する相談先
小児科診療所
在宅療養支援診療所
平成27年度厚生労働省社会・援護局委託事業「在宅医療
ケアが必要な子どもに関する調査」速報値
(N=797(複数回答)
障害福祉サービス
事業所
教 ・特別支援学校
育 ・訪問教育
(自立支援)協議会
子ども関係の専門部会等
地域中核病院
地域小児科センター
保 ・保健所
健 ・保健センター
障害児のサービス提供体制の計画的な構築
○ 児童福祉法に基づく障害児通所・入所支援などについて、サービスの提供体制を計画的に確保するため、都道府県及び市町
村において障害児福祉計画を策定する等の見直しを行う。
※ 現在、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスについては、サービスの提供体制を計画的に確保するため、都道府県及び市町村が障害福
祉計画を策定し、サービスの種類ごとの必要な量の見込みや提供体制の確保に係る目標等を策定。
具体的内容
【基本指針】
○ 厚生労働大臣は、障害児通所・入所支援、障害児相談支援の提供体制の整備や円滑な実施を確保するための基本的な
指針を定める。
【障害児福祉計画】
○ 市町村・都道府県は、基本指針に即して、障害児福祉計画を策定する。
(市町村障害児福祉計画)
・障害児通所支援や障害児相談支援の提供体制の確保に係る目標に関する事項
・各年度の自治体が指定する障害児通所支援や障害児相談支援の種類ごとの必要な量の見込み
(都道府県障害児福祉計画)
・障害児通所・入所支援、障害児相談支援の提供体制の確保に係る目標に関する事項
・都道府県が定める区域ごとに、当該区域における各年度の自治体が指定する障害児通所支援や障害児相談支援の種類
ごとの必要な量の見込み
・各年度の障害児入所施設の必要入所定員総数
※上記の基本指針、市町村障害児福祉計画、都道府県障害児福祉計画は、障害者総合支援法に基づく基本指針、市町村障害福祉計画、都道
府県障害福祉計画と一体のものとして策定することができる。
○ 放課後等デイサービス等の障害児通所支援や障害児入所支援については、都道府県障害児福祉計画の達成に支障を生
ずるおそれがあると認めるとき(計画に定めるサービスの必要な量に達している場合等)、都道府県は事業所等の指定をしな
いことができる。
重症心身障害児者に対する支援①
● 重症心身障害とは
「重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複」(児童福祉法第7条第2項)し、発達期に発症し、医療的ケアの必要な児者。
◇重症心身障害児者の推計値は、全国でおよそ43,000人。(うち、入所14,000人
※ 岡田喜篤氏(元川崎医療福祉大学学長)の推計(2012年4月1日現在)。
在宅29,000人)
○ 重症心身障害施策の目的
生命を守り、ひとりひとりのライフステージに応じた支援の提供
施設における支援
(障害児(原則として18歳未満)の場合)
◆ 障害児入所支援(医療型)(児童福祉法)
○ 概要: 障害児を入所させて、適切な医療及び日常生活の指導等を提供
○ 実施機関: 医療型障害児入所施設、指定発達支援医療機関
・医療型障害児入所施設: H24.4児童福祉法改正により障害種別を一元化し、重症心身障害児施設等を再編・統
合した施設(都道府県が指定する病院)
・指定発達支援医療機関:国が指定する国立病院に重症児病棟を設置
(障害者(18歳以上)の場合)
◆ 療養介護(障害者総合支援法)
○ 概要: 著しく重度の18歳以上の障害者に対し、適切な医療及び常時の介護を提供
重症心身障害児施設等に入所する重症心身障害者や筋ジストロフィー患者等を対象
○ 実施機関: 都道府県の指定を受けた病院
重症心身障害児者に対する支援②
在宅における支援
◆ 通所系サービス
(障害児(原則として18歳未満)の場合)
○ 児童発達支援事業等(児童福祉法)
・重症心身障害児(者)通園事業(H1.4~補助事業として開始)
・児童福祉法への法定化(義務的経費化)、障害種別の一元化により重症児に対応できる事業所の拡大
・療養通所介護事業所(介護保険)において重症児の受入れ(H24.4~)
(障害者(18歳以上)の場合)
○ 生活介護等(障害者総合支援法)
◆ 短期入所
○ 短期入所(障害者総合支援法)
・医療型短期入所の報酬単価の増額及び日帰り型の創設(H21.4~)
・医療ニーズの高い児者に対する特別重度支援加算を設定(H24.4~)
・緊急短期入所受入加算を増額(H27.4~)
◆ 訪問系サービス
○ 訪問看護等(医療保険)、居宅介護等(障害者総合支援法)
◆ その他
○ 介護職員等によるたんの吸引等の医療的ケアの実施
・H24.4~ 社会福祉士及び介護福祉士法の改正
医療等関係機関との連携(重症心身障害児者の地域生活モデル事業の概要)
○
重症心身障害児者及びその家族が地域で安心・安全に生活できるようにするため、医療型障害児入所施設等を中核として関係
する分野との協働による支援体制を構築すること等による総合的な地域生活支援の実現を目指し、モデル事業を実施。
○ 平成24年度から平成26年度に採択された14団体が取り組んだ実例の報告をもとに、重症心身障害児者の地域生活を支援
する体制をつくる上で特に留意すべき点をまとめると以下の通りである。
現状等の共有
① 地域の現状と課題の
把握
・地域の重症心身障害児者の実
情を把握
・利用できる地域資源の把握
・地域の資源マップの作成
➜ 課題の明確化
幅広い分野にわたる協働体制の構築
② 協議の場の設定
・目的に沿って有効な支援を図ることができる
構成員を選定〈当事者、行政、医療、福祉、
教育等関係機関等〉
・検討内容は、実情把握、地域資源の評価、
必要な支援体制の構築、運営、評価、改善
・多様な形態(障害者総合支援法に基づく協議
会の専門部会、ショートステイ連絡協議等)
③ コーディネートする者の配置
・福祉と医療に知見のある者を配置(相談支援
専門員と看護師がペアを組む、相談支援専門
員に看護師を置く等)
〈平成24年度〉
・北海道療育園
・下志津病院
・全国重症心身障害児(者)
を守る会
・甲山福祉センター
・久留米市介護福祉サービス
事業者協議会
〈平成25年度〉
・北海道療育園
・びわこ学園障害者支援セン
ター
・大阪発達総合療育センター
フェニックス
・重症児・者福祉医療施設
鈴が峰
・南愛媛療育センター
④ 協働体制を強化する工夫
・支援の届かない地域の施設等との相互交換
研修や出前研修の実施〈実技研修が有効〉
・地域の相談支援事業所の後方支援〈相談支
援専門員等に向けたセミナーの開催、調査
等〉
⑤ 地域住民への啓発
・重症心身障害児者の生活を知ってもらうた
めに、講演会やドキュメンタリー映画の上
映会の開催
・重症心身障害児者や家族のエンパワメント
を視野に入れたイベントの開催
具体的な支援の取組:好事例集
⑥ 重症心身障害児者や家族等に対する支援
・「アセスメント」「計画支援」「モニタリング」 ★ツール1
・保護者の学びの場の提供〈家族介護教室等〉
・重症心身障害児者のきょうだい支援〈きょうだいキャンプ〉
・家族のレスパイト支援〈ショートステイ〉
・重症心身障害児者のケアホーム利用
・地域の既存資源の再資源化
・中山間地域の支援〈ICTの活用、巡回相談〉
・ライフステージに応じた支援
★ツール2
・病院からの退院支援
★ツール3
<退院後の生活に関する病院と家族の意識の違いを埋める>
・病院退院後のニーズと支援<退院後の訪問看護等ニーズに対応>
・医療機関に対する医療型短期入所の新規開設支援
・併行保育に向けた支援
★ツール4
支援ツールの例
★1『重症心身障害児者のアセスメントシート』
★2『重症心身障害児者のライフサイクル別検討シート』
★3『NICUから地域移行に向けての支援ガイド』
★4『重症心身障害児の並行保育に向けたガイドライン』
(★1~3は平成24年度、★4は平成26年度の報告書に掲載)
〈平成26年度〉
・ 南京都病院
・ あきやまケアルーム
・ 長良医療センター
・ 浜松市発達医療総合福祉センター
・ あすか山訪問看護ステーション
重症心身障害児者等コーディネーター養成研修等※市町村事業(必要に応じ複数市町村による共同実施)
(項)障害保健福祉費
(目)地域生活支援事業費補助金
目
平成28年度予算案:464億円の内数
的
○
重症心身障害児者や人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児(以
下「重症心身障害児者等」という。)が地域で安心して暮らしていけるよう、重症心身障害児者等に対する支援が適切に行
える人材を養成するとともに、重症心身障害児者等の支援に携わる福祉、医療、保健、教育等の関係機関等の連携体制を構
築することにより、重症心身障害児者等の地域生活支援の向上を図ることを目的とする。
事業内容
1.重症心身障害児者等を支援する人材の養成
地域の障害児通所支援事業所や保育所等において重症心身障害児者等への支援に従事できる者を養成するための研修や、重症心身障
害児者等の支援を総合調整する者(コーディネーター)を養成するための研修を実施する。
2.支援体制の整備
地域において重症心身障害児者等の支援に携わる福祉、医療、保健、教育等の各分野の関係機関及び当事者団体等から構成される協
議の場を設置し、支援にあたっての現状把握・分析、連絡調整、支援内容の協議等を行うとともに重症心身障害児者等の支援を行う施
設の確保等を行う。
【重症児支援者】
児童発達支援センター等の職員等に対す
る研修を行い、重症心身障害児者等を支
援する者の育成の推進を行う
育成
市町村
育成
支援体制の整備
・現状把握・分析
・支援の連携
・資源の開拓
・地域住民への情報提供
など
障害福祉
サービス
事業所
訪問看護
ステーション
児童発達支援
センター等
保健
センター
相談支援事業所
コーディネーター
特別支援学校
・学校
障害児
入所施設
救命救急センター・
小児専門病院
小児科診療所
・在宅療養支援
診療所
地域中核病院
・地域小児科センター
重症心身障害支援者育成研修プログラム
在宅重症心身障害児者を支援していく者を増やしていくために、重症心身障害児者支援と多職種連携について基礎的知識の習
得を目指す人材育成プログラム。プログラム内容は、重症心身障害児者支援に関する医療的ケアや福祉に関する知識と、関係
機関との連携ついて学習できるものとなっている。
科目名
時間
数
1
1 総論
3
2 医療
3
3 福祉
内容
支援の目的
支援者としての視座
誰のための支援であるべきか
家族を理解するための視点
家族の発達段階・役割理論
セルフケア理論
支援者の主観で家族をとらえないことへの理解
障害のある子どもの成長と発達
の特徴
疾患の特徴
生理
日常生活における支援
急変・緊急時の対応・突然死
在宅医療、訪問看護
リハビリ・歯科・薬剤
支援の基本的枠組み
制度
遊び、子どもらしさ、保育
児童虐待
家族を理解する視点
重症児の親になるということ
親になることへの支援
2
4 連携
3
5 ライフス
テージにおける
支援
連携と協働の基本的概念
連携と協働の目的
あくまで子育て支援であること
子どもと家族の強みを支援する
ライフステージごとの支援について
NICUから移行支援
児童期における支援
学童期における支援
成人期における支援
医療的ケアの必要性が高い子どもへの支援
平成26年度厚生労働省障害者総合福祉推進事業「在宅重症心身障害児
者を支援するための人材育成プログラム開発事業」公益社団法人日本重
症心身障害福祉協会/平成27年度厚生労働科学研究費補助金「重症心
身障害児者の支援者・コーディネーター育成研修プログラムと普及に関す
る研究」において開発
重症心身障害児者等コーディネーター育成研修プログラム
在宅重症心身障害児者を支援していく者を増やしていくために、重症心身障害児者支援の基礎的知識の習得を目指すととも
に、多職種間連携を円滑にできるための人材育成プログラム。プログラム内容は、重症心身障害児者支援に関する医療的ケア
や福祉に関する知識と、関係機関との連携や重症心身障害児者等のためのサービス等利用計画作成について具体的手法を習
得できるものとなっている。
科目名
概要説明
総論
重症心身障害医学総
論、地域の医療連携
など
医療的ケアの実際
時間
内容
15分
研修の概要(目的、期待する成果等)を説明
2時間
コーディネーターのあり方、役割等
アドボカシー、エンパワメントの視点
多職種との連携、ネットワーク作り、資源の開発
等
ケアマネージメントの手法
子育て支援としての相談支援
2時間
1時間
ライフステージにお
ける支援の要点
1時間
福祉制度・福祉資源
1時間
重症心身障害医療の特徴、代表的な疾患の経過・
特性、地域の医療資源、医療連携の概略等
訪問看護
在宅支援関連施設の理解
2時間
在宅支援診療所等
重症心身障害児(者)の計画相談に必要な福祉制度・
福祉資源、特にその地域特有の制度など
医療機関
生活介護
(関連施設見学)
重症心身障害施設、NICUなど
医療・福祉・教育の連携
(チーム作り)
1時間
地域の中で、どのような医療・福祉・教育の資
源が存在し、連携をどう構築していくか
本人・家族の思い、ニー
ズ、QOL
1時間
当事者の思い、ニーズ、また本人・家族の
QOLをどのようにとらえるか
重症心身障害児(者)の意
思決定支援
1時間
重症心身障害児(者)のコミュニケーションの特徴、意思
伝達装置について
どのように意思決定支援を行うか。具体的な
取り組みなど
重症心身障害児(者)にお
ける計画作成のポイント
2時間
計画作成のポイントを学ぶ。演習に向けて
重症心身障害児(者)に必要な具体的な医療的ケア
NICUからの移行や、学童期、成人期それぞれの
支援の要点
介護事業所
演習
計画作成
7時間
事例をもとにした計画作成の演習。実際自分
たちで計画を作成。また模擬担当者会議によ
り、当事者の意向を反映し、また支援者間の
調整を行う
演習
事例検討
7時間
事例をもとに、意見交換・スーパーバイザー
による計画作成の指導を行う
平成27年度厚生労働科学研究費補助金末光班「重症心身障害児者の支援者・コーディネーター育成研修プログラムと普及に関する研究」において開
発
発達障害者支援法の一部を改正する法律
•障害者をめぐる国内外の動向…障害者権利条約の署名(平成19年)・批准(平成26年)
障害者基本法の改正(平成23年)等
•発達障害者支援法の施行の状況…平成17年の施行後、約10年が経過
第1
総則
⑴ 目的(第1条)
切れ目ない支援の重要性に鑑み、障害者基本
法の理念にのっとり、共生社会の実現に資する
ことを目的に規定
⑵ 発達障害者の定義(第2条)
発達障害がある者であって発達障害及び「社
会的障壁」により日常生活・社会生活に制限を
受けるもの
※ 社会的障壁:発達障害がある者にとって日常生
活・社会生活を営む上で障壁となるような社会にお
ける事物、制度、慣行、観念その他一切のもの
⑶ 基本理念(第2条の2)
発達障害者の支援は
①社会参加の機会の確保、地域社会において
他の人々と共生することを妨げられない
②社会的障壁の除去に資する
③個々の発達障害者の性別、年齢、障害の状
態及び生活の実態に応じて、関係機関等の緊密
な連携の下に、意思決定の支援に配慮しつつ、
切れ目なく行う
⑷ 国及び地方公共団体の責務(第3条)
相談に総合的に応じられるよう、関係機関等
との有機的な連携の下に必要な相談体制を整備
⑸ 国民の責務(第4条)
個々の発達障害の特性等に関する理解を深め
、発達障害者の自立及び社会参加に協力するよ
う努める
第2 発達障害者の支援のための施策
⑴ 発達障害の疑いがある場合の支援(第5条)
発達障害の疑いのある児童の保護者への継続
的な相談、情報提供及び助言
⑵ 教育(第8条)
発達障害児が発達障害児でない児童と共に教
育を受けられるよう配慮
個別の教育支援計画・個別の指導計画の作成
の推進、いじめの防止等の対策の推進
⑶ 情報の共有の促進(第9条の2)
個人情報の保護に十分配慮しつつ、支援に資
する情報共有の促進のため必要な措置を講じる
⑷ 就労の支援(第10条)
主体に国を規定、就労定着の支援を規定、事
業主は雇用の機会の確保、雇用の安定に努める
⑸ 地域での生活支援(第11条)
性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応
じた地域での生活支援
⑹ 権利利益の擁護(第12条)
差別の解消、いじめの防止等及び虐待の防止
等のための対策推進、成年後見制度が適切に行
われ又は広く利用されるようにすること
⑺ 司法手続における配慮(第12条の2)
司法手続において個々の発達障害者の特性に
応じた意思疎通の手段の確保等の適切な配慮
⑻ 発達障害者の家族等への支援(第13条)
家族その他の関係者に対し、情報提供、家族
が互いに支え合うための活動の支援等
概要
発達障害者の支援の一層の充実を図るため、
法律の全般にわたって改正
第3
発達障害者支援センター等
⑴ センター等による支援に関する配慮(第14条)
センター等の業務を行うに当たり、可能な限
り身近な場所で必要な支援が受けられるよう配
慮
⑵ 発達障害者支援地域協議会(第19条の2)
支援体制の課題共有・連携緊密化・体制整備
協議のため都道府県・指定都市に設置
第4
補則
⑴ 国民に対する普及及び啓発(第21条)
学校、地域、家庭、職域等を通じた啓発活動
⑵ 専門的知識を有する人材の確保等(第23条)
専門的知識を有する人材の確保・養成・資質
の向上を図るため、個々の発達障害の特性等に
関する理解を深めるための研修等を実施
⑶ 調査研究(第24条)
性別、年齢等を考慮しつつ、発達障害者の実
態の把握に努めるとともに、個々の発達障害の
原因の究明等に関する調査研究
第5
その他
⑴ 施行期日(附則第1項)
公布日から3月内の政令で定める日
⑵ 検討(附則第2項)
国際的動向等を勘案し、知的発達の疑いがあ
る者等について実態調査を行い、支援の在り方
について検討等
発達障害者支援法の改正内容の概要(1)
目的・基本理念(1条、2条の2)
○【個人としての尊厳に相応しい日常生活・社会生活を営むことができるように】(新)発達障害の早期発見と発達支援を行い、
【支援が切れ目なく行われる】(新)ことに関する国及び地方公共団体の責務を明らかにする。
○発達障害者の自立及び社会参加のための生活全般にわたる支援を図り、【障害の有無によって分け隔てられること無く(社会的
障壁の除去)】(新) 、【相互に人格と個性を尊重(意思決定の支援に配慮)しながら共生する社会の実現に資する。】(新)
定義(2条)
発達障害者とは、発達障害(自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害など
の脳機能の障害で、通常低年齢で発現する障害)がある者であって、発達障害及び【社会的障壁により】(新)日常生活または
社会生活に制限を受けるもの
国民・事業主等
○国民は、【個々の発達障害の特性】(新)等に対する理解を深め、発達障害者の自立及び社会参加に協力するように努める。
(国民の責務 4条)
○【事業主は、発達障害者の能力を正当に評価し、適切な雇用機会の確保、個々の発達障害者の特性に応じた雇用管理を行
うことにより雇用の安定を図るよう努める。】(新) (就労の支援 10条)
○大学及び高等専門学校は、【個々の発達障害者の特性】(新)に応じ、適切な教育上の配慮をする。(教育 8条)
※(新)は、「発達障害者支援法の一部を改正する法律」による主な改正事項
発達障害者支援法の改正内容の概要(2)
国及び地方公共団体
関係条項
改正の概要
国
都道府県
市町村
【相談体制の整備】 (新) を新設
○
○
○
関係機関間の協力部局の例示に【警察】 (新) を追加
○
○
○
責務(3条)
児童の発達障害の早期発見等(5条)
教育(8条)
情報の共有の促進(9条の2)
発達障害の疑いのある児童の【保護者への情報提供、助言】 (新) を追加
○
本条の対象に含める十八歳以上の発達障害児に、【専修学校の高等課程】(新) に在学する者を追加
○
○
○
【年齢及び能力に応じ、かつその特性を踏まえた】 (新) 十分な教育を受けられるようにするため、必
要な措置として、【他の児童と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、】 (新) 適切な教育的支援を行
うこと、【個別の教育支援計画の作成及び個別の指導に関する計画の作成の推進】 (新) 、【いじめ
の防止等のための対策の推進】 (新) を規定
○
○
○
○
○
○
○
○
【個人情報の保護に十分配慮しつつ、支援に資する情報の共有を促進】 (新) を新設
就労の支援(10条)
就労支援の主体として【国】 (新) を追加し、内容に【就労定着のための支援】 (新) を追加
地域での生活支援(11条)
地域での生活支援の視点として【性別、年齢、障害の状態、生活の実態に応じて】 (新) を追加
権利利益の擁護(12条)
権利利益の擁護支援の内容に、 【差別の解消、いじめ・虐待の防止、成年後見制度が適切に行
われ広く利用されるようにすること】 (新) を追加
○
○
○
司法手続における配慮(12条の2)
【個々の発達障害者の特性に応じた意思疎通の手段の確保のための配慮その他の適切な配慮】
(新) を新設
○
○
○
発達障害者の家族等への支援(13条)
家族への支援(家族の監護の支援)の対象に【その他の関係者】 (新) を追加し、支援の内容に【適
切な対応をすること等のため】 ( 新) 【情報の提供】 ( 新) や【家族が互いに支え合うための活動の支
援】 (新) を追加
○
○
発達障害者支援センター等(14条)
発達障害者支援センターの設置について【当事者や家族が身近な場所で支援を受けられるように
適切な配慮をする】 (新) を追加
○
発達障害者支援地域協議会(19条の2)
都道府県が置くことができる協議会として【発達障害者支援地域協議会】 (新) を新設
○
国民に対する普及及び啓発(21条)
普及、啓発の内容として【個々の発達障害の特性】 (新) を追加し、その方法として【学校、地域、家
庭、職域その他の様々な場を通じて】 (新) を追加
○
○
○
専門的知識を有する人材の確保等
(23条)
対象者に【労働、捜査及び裁判に関する業務従事者】 ( 新) を追加し、研修等の目的に【個々の発
達障害の特性に関する理解】 (新) を追加
○
○
○
調査研究(24条)
考慮事項に【性別、年齢その他の事情】 (新) を追加し、調査研究の内容として、【個々の】 (新) 発達
障害の原因の究明等を追加
○
※(新)は、「発達障害者支援法の一部を改正する法律」による主な改正事項
○
2.
総
論
乳幼児期・児童期にあって発達が気になる子どもとその
家族への効果的な支援を考える上での児童プロパ-と
して我々の支援者としての立ち位置を概観する
社会福祉法人からしだね
うめだ・あけぼの学園
一般社団法人 全国児童発達支援協議
会(CDS JAPAN)
加藤 正仁
子どもを取り巻く社会は今
●社会の変化と無縁ではあり得ない ●社会の歪みは弱者に向かう
» →核家族化と孤立化
» →少子化による子育て未経験親や育児不安
» →家族のストレス
» →共稼ぎ家族
» →離婚・シングル親
» →国籍(多文化)
» →価値観の多様化
» →子育て資源の多様化
» →子育て情報の氾濫と混乱
» →代償療法の跋扈
» →社会規範の脆弱化
» →家庭教育・社会教育・学校教育のバランス崩壊
» →児童虐待
etc.
「発達支援」を考える前提として
① 幽霊の正体見たり枯れ尾花
→frameを持たないところでは幽霊・お化けが多くなる→臆病・不安・苛立ち
② 闇夜に海図も気象予報図もなく船を漕ぐな!
→様々な文脈の中での課題を受け止めるには支援者自身が多彩な文脈を持っている
ことが必要
③「法や制度や意識の狭間に置かれている気になる子どもたち
→Minorityの極みか
④「Supermanはいない。誰もがGradationの中に生きている。
→障害観の変更
⑤ 学際的なティームアプローチの重要性
→課題の多様性と支援者の限界性
発達支援現場で今起きている事
① 子どもの発達支援と保護者の就労支援が二律背反的に混在している。
② インクルージョンとの相反、逆差別が起きている。
③ 各種連携活動のskill不足
→異質なものとの出会いによる様々な気づきの中で、人間として、職業プロとし
て築きあう。
→Staff間での等価性の確保
④ 地域の自立支援協議会・子ども部会の形骸化→行政説明の場になっている。
⑤ 子ども・子育て支援会議との非連続実態→制度的なneglectという差別事態
⑥ 同一給付によるサービス内容の質や量の格差が拡大中
⑦ ハード、ソフト両面でのハードルの低さによる支援サービスの質の低下
⑧ 人材養成の緊急性とその困難さ/定着率・利潤優先・基礎知識 etc.
障害受容の二層性
1)我が子の障害の受容
・障害の原因
・障害の予後
・我が子の発達レベル
・具体的な子育ての指針
2)障害のある我が子の受容
・価値観の転換(強者の論理からの脱却)
・父親への働きかけ
具体的な支援事業
①社会自立参加支援事業(担当:障害に関する知識・技術・経験を持つ保育士)
→集団に馴染みにくい子どもの集団社会参加への支援サ-ビスは,その形態としては個別支援→小規模集団→中規模集団→健
常児集団というきめ細かなステップが必要である。また孤立しがちな保護者の社会化を促す場としての初期段階での母子参加
集団も大きな効果が期待できる。またこの支援サ-ビスが早期療育の基本的なサ-ビス形態である。
②発達支援事業(担当:各種療育士/理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・臨床発達心理士など)
→発達支援サ-ビスとしての言語・運動・認知・社会性・感覚統合など各種機能別のニ-ズのある親子を対象とした個別対応に
よるデリカシ-をもってのティ-ムアプロ-チが必要である。
③地域生活支援事業(担当:各種療育士/理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・臨床発達心理士,保育士など)
→地域の保育所や幼稚園など健常児集団でのインクル-シブな生活がより効果的に営まれる上での個別的な課題に対する専門
的・個別的な相談支援・発達支援サ-ビスや子どもの関係機関やスタッフに対する知識や技術支援を行うことが求められてい
る。
④家族・相談支援事業(担当:社会福祉士,精神保健福祉士,臨床心理士など)
→混乱期にある母親を中心とする家族への支援,心理的なバリア-の大きい地域での生活支援など彼らのニ-ズと社会資源を
タイムリに繋げるケア-マネ-ジメントやカウンセリングサ-ビスが必要である。
→被虐待児の早期発見,早期対応や早期予防のためのカウンセリングサ-ビス等によりその発生予防や被害の最小化が期待で
きる。
⑤健康・医療看護支援事業(担当:看護士・言語聴覚士・理学療法士など)
→健康面にも多くの課題を抱えることが多く,また臨床像なかなか安定しない時期である。日常の健康チェックや保護者からの健
康医療相談,さらには偏食改善,嚥下・咀嚼機能や発声・発語機能からの摂食行動の支援サ-ビスも重要な課題である。
発達支援の基本的な視点
①手帳を持たないグレイゾ-ンの子ども(発達が気になる子ども)に対する支援サ-ビスは発達支援事業の役割の一つである。
乳幼児期の発達上の課題はダウン症に代表されるような遺伝性や先天性の疾患に帰因するもの以外に,未だ障害が十分に顕在化しておら
ず確定診断には至らないことも珍しくない。従って早期診断・早期発見・早期対応への具体的行動に踏み出すことに家族も関係者も逡巡
し時期を失することもあり得る。そのための支援には特別にハイレベルな知識・技術・情報・経験とメンタリティを持つ人や機関によるデリ
ケ-トな支援が不可欠である。
②乳幼児期は発達が未分化でいろいろな機能が相互依存的であり,また医療的な課題も多く抱えていることが多い。そのために周囲の環境
に左右され易く,場合によっては命さえも大きな危機にさらされている時期であるとも言える。
発達上の各種機能の敏感期(発達の可塑性に富み,様々な機能が相互に影響しあっている)が集中しているこの時期への安定的で適切且
つタイムリ-な支援は大きな効果が期待できる。その意味では緊急性の高いサ-ビスが集中している時期である。
③家族(母親を中心に)は我が子の育ちに不安を抱え,心身共に不安定状態にあり人・社会・知識・情報からの孤立状態にある。
予
想しなかった子育て状況に,混乱・苦悩・悲哀・失望・不安の真っ直中に放り出された感じを抱く親に対する最新・最良・最適な知識・情
報・技術での対応,さらには同じ状況に置かれた者同士の仲間づくりを中心とする社会化に向けた支援と子育てや障害福祉についての
知識情報を持たない孤立状況に対する支援は重要且つ緊急なものである。
④家族が障害のある(またはリスク児)我が子の受容と前向きな養育体制づくりに向けた第一歩を踏み出す時期である。
子
どもと日々共に暮らす家族が「障害」という事実を前向きに受け止め,共に力を合わせて生きようとする姿勢を構築する過程は家族構成
メンバ-の一人ひとりに課せられる重く,長く,苦しい課題となる。この困難さから家族そのものが崩壊してしまうことも決して珍しくはない。
障害受容の取り組み(特に父親への働きかけをはずさないでの)は支援事業の必須課題である。
⑤発達上に転導性や多動性,もたつき,アンバランスさ,イレギュラさなどのある子どもは家族をはじめ周囲の人々の無理解と偏見から被虐
待児になり易い。
障害児者は人口の10%前後であるが,未だ社会の理解度や受容度は十分とは言えない。その事が彼らの社会参加や自立のバリア要因
となっているし,それらが乳幼児や学童児に向けられたものがいじめや虐待ではないか。
「発達支援」のこれから
① Passion(献身・自己犠牲)をもって自らのMissionを果たす。損得ではなく支援ニーズ
に気づいてしまったからには向き合う義務がある。
② 己の成長なくして、人の成長を願うことは難しい。人間として、プロとしての限りない向
上を目指す。現状維持は堕落である。→人材養成が喫緊の課題
③ 官制「発達支援指針」の作成
→納税者に対して事業内容についての説明責任があるのではないか
→「幼稚園教育要領」、「保育所保育指針」がそれぞれの文部科学省、厚生労働省か
ら出されているのに、何故「発達支援」分野にはないのか。
3.入所支援特有の機能及び児童発達
支援管理責任者に求められる役割
社会福祉法人落穂会
あさひが丘学園
水流 純大
○ 福祉型障害児入所施設について
福祉型障害児入所施設は、重度・重複化への対応や障害者施策に繋ぐための自立支援の機能を強化するな
ど、支援目標を明確化し、個別支援計画を踏まえた支援の提供を目指す。
【見直し前】
《法律上》保護、日常生活の指導、知識技能の付与
【24年4月】
障害の程度
軽
肢体不自由児 児
療護施設
童
※年齢の区分が
曖昧なサービス
・福祉型
児
童
福
祉
法
福
祉
法
法
18歳(20
歳※)以上
の入所者
障
害
者
自
立
支
援
法
専門機能の強化
自立(地域生活移行)のため
の支援
障害者施策に繋ぐ支援
障害児入所
施設
盲ろうあ児
施設
※昼夜分離せず
施設内完結型
サービス
重
個別支援計画の作成
知的障害児
施設
※保護を目的とし
たサービス
-支援目標を明確化-
・知的障害、盲ろうあ、
肢体不自由など、障
害の特性に応じて提
供
・重度・重複障害児、被虐
待児等への対応
居住環境の整備
○障害者施策による対応
地域生活移行
グループホーム・
ケアホームの利
用
(※)支援がなければ福祉を損なうおそれがあると認められるとき
〔例〕
昼夜分離したサービス
施設入所支援
生活介護等
年
齢
障害児入所施設の機能
①発達支援機能
発達支援とは、「障害のある子ども(またはその可能性のある子ども)
が地域で育つときに生じるさまざまな課題を解決していく努力のすべて
で、子どもの自尊心や主体性を育てながら発達上の課題を達成させ、
その結果として、成人期に豊かで充実した自分自身のための人生を送
ることができる人の育成(狭義の発達支援)、障害のある子どもの育児
や発達の基礎である家庭生活への支援(家族支援)、地域での健やか
な育ちと成人期の豊かな生活を保障できる地域の変革(地域支援)を包
含した概念」である。
(「発達支援の指針」CDS‐Japan2016改訂版)
・児童福祉法改正により、障害種別が一元化され、さまざまな種別の障
害への対応が求められることとなった。
・また、重度・重複障害、行動障害、発達障害、被虐待児等多様な状
態像の児童への専門的対応が求められている。
・多様な障害児に対応するハード面の整備や専門性のある人材の育
成、療育技術の向上が課題。
障害児入所施設の機能
②自立支援機能
・児童福祉法改正により、20歳以上の入所期間延長規定が
廃止されたため、制度の枠組み変更により支援の連続性が
分断されないように、障害児施策から障害者施策にスムー
ズにつなぐ仕組みが必要。 18歳(又は20歳)以降、利用者が
地域生活、一般就労、福祉的就労、障害者支援施設の利用
等を行えるよう自立支援を行う。
・障害者施策とのスムーズな連携を図るために、相談支援
体制の強化や行政責任の明確化、自立支援協議会の有効
活用、特別支援学校との連携等の仕組みの構築が必要。
・入所児童の「自立支援」を念頭に置いた個別支援計画の進
捗状況の管理について、児童発達支援管理責任者の役割
は極めて重要。
障害児入所施設の機能
③社会的養護機能
・環境上、保護を要する児童への生活支援(生活保
障)
・親の死亡、疾病、障害、入院、服役、貧困、養育困
難、養育放棄、虐待等により、 「家庭から離れざるを
得ない子ども、家庭から離さざるを得ない子ども」を
家庭に代わって育てる場である。
・安心、安全な環境
→虐待による入所の場合は、面会、外出、外泊、
障害児入所施設への入所理由(H26全国知的障害児施設実態調査)
理由
家
族
の
状
況
等
従たる要因
合計
在籍者(5719名)比
親の離婚・死別
444
222
666
11.9%
家庭の経済的理由
134
199
333
5.9%
保護者の疾病・出産等
338
169
507
9.0%
保護者の養育能力の欠如
1696
689
2385
42.5%
虐待・養育放棄
1245
157
1402
25.0%
142
186
328
5.8%
76
115
191
3.4%
468
196
664
11.8%
1484
928
2412
43.0%
309
347
656
11.7%
1235
636
1871
33.3%
学校での不適応・不登校
154
148
302
5.4%
学校就学・通学
392
279
671
12.0%
その他
164
49
213
3.8%
きょうだい等家族関係
住宅事情・地域でのトラブル
その他
ADL・生活習慣の確立
本
人
の
状
況
等
主たる要因
医療的ケア
行動上の課題改善
障害児入所施設の機能
④地域支援機能
・入所施設の機能を地域に展開していくことで、地域に
おける障害児支援の拠点としての役割を果たしていく。
・短期入所、日中一時支援、放課後等デイサービス、居
宅介護、行動援護等の在宅サービスを実施し、在宅障
害児及びその家族を支援する。
・在宅支援機能を地域の障害児やその家族が有効に活
用し、地域での生活を維持していくためには相談支援機
能の充実が必要。
障害児入所施設と児童相談所との関係
(措置入所の場合)
相談
調査・判定・一時保護
都道府県
負担金決定
負担金支払
入所
個別支援計画
サービス提供
障害児入所施設
報告
児童・
保護者
児童相談所
措置・援助指針・訪問・助言・指導
障害児入所施設と児童相談所との関係
(契約入所の場合)
相談
調査・判定・入所判断
支給申請
都道府県
支給決定
入所申込
契約
個別支援計画
サービス提供
利用料請求
利用料支払
障害児入所施設
相談
児童・
保護者
児童相談所
実態把握(必要に応じて調査・診断・判定等)
措置入所の判断基準
【障害児施設給付費等の支給決定について】
(平成25年障発0329第20号)
① 保護者が不在であることが認められ利用契約の締結が困難な場合
② 保護者が精神疾患等の理由により制限行為能力者又はこれに準じる状態で
ある場合
③ 保護者の虐待等により、入所が必要であるにもかかわらず利用契約の締結
が困難と認められる場合
【障害児施設の入所に係る契約及び措置の運用
について】(平成21年11月17日障障発1117第1
号)
*上記③についての具体的取り扱い(「虐待の恐れがある場合」も虐待等に含
めて柔軟に対応する等)や、保護者が利用料を滞納している場合の取扱い等に
ついて定める。
*民法上、対象児童の保護者以外の者(保護者でない祖父母など)と契約する
障害児入所施設における
児童発達支援管理責任者の役割
①個別支援計画の作成
ア.措置入所、契約入所にかかわらず、入所
児童の個別支援計画を作成する責任者です。
イ.措置入所の場合、児童相談所が作成する
「児童援助指針」と施設における独自のアセス
メントを基に個別支援計画を作成しますが、契
約入所は多くの場合、「児童援助指針」が作成
されませんので、施設のアセスメントに基づい
て個別支援計画を作成することとなります。
ウ.児童発達支援管理責任者の役割は、担当
障害児入所施設における
児童発達支援管理責任者の役割
②個別支援計画作成のポイント
ア.正確な状態像の把握
・アセスメント項目の例
生育歴、健康状態、基本的生活習慣、コミュニケー
ショ ン、社会生活スキル、障害の状況、家族の状
況、発達の状況、学習の状況、特別な行動等
イ.自立支援を目標として支援計画を作成する
・児童の年齢、発達段階(幼児期・少年期・青年期
等)に応じた支援目標、支援内容を設定する
・最終的には社会自立を目標として支援計画を作
成していく視点が重要
障害児入所施設における
児童発達支援管理責任者の役割
③職員への助言・指導・連携
ア.直接処遇職員への助言・指導
・OJT(職務を通じての研修)、OFF-JT(職
務を離れての研修)、SDS(自己啓発制度)等
を通じて直接処遇職員(児童指導員、保育士)
への助言・指導を行い、直接処遇職員の支援
能力の向上を図ることにより、入所児童支援
の質の向上に資すること。
イ.間接処遇職員との連携
・看護師、栄養士、事務職員、専門職員(PT・
OT・ST等)との連携を図り、多様なニーズのあ
障害児入所施設における
児童発達支援管理責任者の役割
④関係機関等との連携・調整
ア.児童相談所との連携
・児童及び家族の情報提供、児童援助指針
・虐待等による入所の場合は、家族との接触
については緊密な連携と慎重な判断が必要
イ.学校との連携
・児童の通学校との連携は家庭に代わる施
設としての重要な役割
ウ.自立支援に向けた関係機関との連携
障害児入所施設の将来像のイメージ図
(公財)日本知的障害者福祉協会提案
・障害児入所施設は、入所支援だけを行うのではなく、地域支援機能を明確に位置づけることにより、障害児及びその家族
を支援する地域における拠点施設としての機能を持つものとする。
・入所機能は、本体施設を小規模ケア化するとともに、グループホームやファミリーホームの開設・運営・支援、里親支援等
の機能を持つものとする。
・児童の入所にあたっては、児童相談所を中心として市町村・施設を交えた入所調整会議を実施するとともに、退所後の自
立支援に向けての自立支援会議を開催する。
幼稚園
ファミリー
ホーム
障害児入所施設
里親
連携
支援
敷地内
家庭
開設・支援
連携
復帰
市町村
移行
児童発達支援・子育て支援・親子訓練
移行
一般就労等
移行
障害者支援
施設
短期入所・日中一時支援・放課後デイ
移行
グループ
ホーム
自立支援会議
自立援助
ホーム
入所調整会議
児童発達
支援事業
敷地外
契約
開設・運営
学校
障害児
グループ
ホーム
保育所
児童相談所
措置
参
考
「障害児支援の在り方に関す
る検討会報告書」(H26.7)にお
いて障害児入所施設に言及さ
れている箇所
障害児入所施設の入所児支援の
ための児童相談所等との連携
○ 障害児入所施設には、養育困難や児童虐待等
の家庭環境が原因で行政機関の措置により入所し
ている障害児も多い。このような状況も踏まえ、障
害児入所施設に入所した障害児の支援の在り方に
ついて、「子どもの最善の利益の保障」の観点、養
育困難や児童虐待等の障害児の家族を支援する
観点から、児童相談所、市町村、福祉事務所等と
障害児入所施設との情報共有や役割分担を踏まえ
た連携の在り方について検討を進める必要がある。
(p14)
「障害児支援の在り方に関する検討会報告書」より
入所施設の機能の活用
〇 障害児入所施設が担うべき機能として、①重度・
重複障害、行動障害、発達障害等多様な状態像へ
の対応のための「発達支援機能(医療も含む)」、②
退所後の地域生活、障害者支援施設への円滑な移
行、就労へ向けた対応のための「自立支援機能」、③
被虐待児童等の対応のための「社会的養護機能」、
④在宅障害児及び家族への対応のための「地域支
援機能」が考えられる。それらを基本としつつ、今後
の入所施設の在り方について検討し、その機能の活
用を図るべきである。(p16~17)
「障害児支援の在り方に関する検討会報告書」より
入所施設の機能の活用(つづき)
〇 具体的な機能としては、短期入所等による家族支援、親子入所等
による保護者の育児能力向上への支援、医療機能を持つ施設につ
いては医療支援、児童福祉施設への専門的な支援、施設での実地
研修や出張研修による人材育成、あるいは地域住民が障害児者に
対する理解を深めるための活動等が期待できる。さらに、特に医療
支援その他専門性の高い支援を行うに当たっては、地域で生活する
障害児の支援を行う観点から、障害児の身体機能を最大限に伸ば
す、あるいは行動障害を軽減する等の一定目的をもった短期入所よ
りも長い期間の入所の制度的な裏付けを検討することも必要である。
厚生労働省においては、今後の制度見直しの検討に当たっては、そ
のような入所施設の機能の内容について整理して具体化していくべ
きである。(p17)
「障害児支援の在り方に関する検討会報告書」より
行政主体間の連携・市町村関与の
さらなる強化等
○ 都道府県は、障害児通所支援の広域的な調整及び障害
児入所支援の体制整備の双方の観点から一体的な方針を
策定することが必要である。一方、市町村については、障害
児入所支援から障害者施策への円滑な移行等の観点から、
入所者について継続的に一定の関与を行うことが求められ
ており、そのようなことが可能となるシステムの構築につい
て検討すべきである。なお、その際には児童相談所との役
割分担等について整理を行う必要がある。(p20)
「障害児支援の在り方に関する検討会報告書」より
入所施設の生活環境の改善等
〇 児童養護施設等については、「社会保障審議会
児童部会社会的養護専門委員会」及び「児童養護施
設等の社会的養護の課題に関する検討委員会」の
とりまとめた報告書の中で施設の小規模化、機能の
地域分散化等の方向性が示され、順次対応が進め
られている。障害児入所施設についても、被虐待児
等の入所が増えている状況を鑑み、同様の観点から
社会的養護機能の充実を図っていく必要がある。(p
29~30)
「障害児支援の在り方に関する検討会報告書」より
入所施設の生活環境の改善等
(つづき)
○ 具体的には、障害児入所施設については、「子どもが育
つ環境を整える子どもの施設」「子ども本人が望む暮らしを
保障する施設」といった幼児期からの子どもの育ち、発達
に係る基本的な観点から、より家庭に近い生活環境、少人
数の生活の場、普通の暮らしの環境、個々に配慮した生活
環境とすべきである。小規模グループケアを推進するとと
もに、専門里親等の活用も含めて、より家庭に近い暮らし
の場を提供する方向性の検討が必要である。(p29~30)
「障害児支援の在り方に関する検討会報告書」より
入所施設の生活環境の改善等
(つづき)
○ また、障害児入所施設が持つべき機能については、児
童養護施設等と同様に、子どもの心の傷を癒やして回復さ
せるための専門的ケアの充実、家庭復帰を目指した親子
関係の再構築支援、施設退所後のアフターケアを行う相談
支援などが考えられる。さらに、児童相談所等の関係機関
とも連携を図った上で、乳児院、児童養護施設等の社会的
養護の下で暮らす障害児について、障害児支援の観点か
ら何らかの支援ができないかについても併せて検討を進め
るべきである。(p29~30)
「障害児支援の在り方に関する検討会報告書」より
入所施設の生活環境の改善等
(つづき)
〇 さらに、重症心身障害児者への入所支援については、
成長した後でも本人をよく知る職員が継続して関われるよ
うにするなど、児者一貫した支援が望ましい。そのような重
症心身障害の特性を踏まえ、障害児入所施設と療養介護
が一体的に実施できる事業所指定の特例措置を恒久的な
制度にする必要がある。さらに、その他の障害児入所施設
についても、利用者が20 歳になった後の扱いについて、本
人に不利益が起きないようきめ細かな対応を行うべきであ
る。(p29~30)
「障害児支援の在り方に関する検討会報告書」より
4.放課後等デイサービス(障害児通所支援)に
おける児童発達支援管理責任者の役割
一般社団法人 わ・Wa・わ
訪問型発達サポートセンター Seam / そいる小郡
一般社団法人 全国児童発達支援協議会
岸
良至
子どもへの関わりに不可欠な視点(知識)
成長、発達に関する知識
成長 (年齢、体の大きさ、手足の長さ、食事の量等)
運動発達 (筋肉の緊張、動き滑らかさ、パワー等)
感覚 (好む感覚、苦手な感覚、鋭い感覚、鈍い感覚等)
疾患や障害に関する知識
疾患や状態 (診断名と一般的臨床像、特徴、禁忌、予後等)
生活環境把握と理解のための知識
知能 (その子の学習形態)
学習 (好きな遊び、得意な遊び、好きな教科、苦手な教科等)
身辺動作 (日常生活関連活動)
家庭環境 (家屋構造、親子関係、家族力動)
子どもと集団 (誰と遊ぶ、どんな友達とどのように遊ぶ、つるむ等)
発達段階と障害状況、生活状況を統合する
視点次第で見え方が変わる
知識次第で深まりが変わる
子どもが示す現状をありのままにとらえる
(知識と客観的視点)
把握
因子を分類し、それぞれに分析しながら、深める
発達段階による因子
生活年齢
年齢特徴
障害特性による因子
認知特性
発達年齢
運動特性
認知特性
学習形態
感覚特性
環境(人,場所,時間)による因子
家庭環境
友達関係
活動
活動の場
とらえた状況を障害特性、発達段階、生活環境と照合する
(情報収集と評価と想定)
分析
年齢相応の姿の想定と状況を照合し、次の段階(姿)を創造する
(創造と方針の決定)
計画
毎回の支援でも、一年間の関わりでもこのプロセスを繰り返す。
(意図をもって過ごすと
サイクル が生じる)
PDCA
子どもの支援のプロセス
障害児支援の在り方に関する検討会報告書
(平成26年7月)
※ 平成24年4月以降の状況を踏まえ、
特に放課後等デイサービスにはガイドラインが必要
 「支援の一定の質を担保するための全国共通の枠組みが必要
であるため、障害児への支援の基本的事項や職員の専門性の
確保等を定めたガイドラインの策定が必要」
 「特に、平成24年度に創設した放課後等デイサービスについて
は、早期のガイドラインの策定が望まれる」
現在の放課後等デイサービスの提供形態の多様性
 支援の多様性自体は否定されるべきものではない
 学齢期の子どもの健全な育成を図るという支援の根幹は共通
 支援の質の向上のための基本的事項も共通
(未着手)児童発達支援ガイドライン
障害児通所支援に関するガイドライン策定検討会 (未着手)保育所等訪問支援ガイドライン
「放課後等デイサービスガイドライン」の概要
◆ ガイドラインの趣旨
総
則
◆ 放課後等デイサービスの基本的役割
子どもの最善の利益の保障/共生社会の実現に向けた後方支援/保護者支援
◆ 放課後等デイサービスの提供に当たっての基本的姿勢と基本活動
基本活動: 自立支援と日常生活の充実のための活動/創作活動/地域交流/余暇の提供 等
◆ 事業所が適切な放課後等デイサービスを提供するために必要な組織運営管理
設置者・管理者向け
ガイドライン
児童発達支援管理責任者
向けガイドライン
従業者向け
ガイドライン
◆ 子どものニーズに応じた適切な支援の提供と支援の質の向上
環境・体制整備/PDCAサイクルによる適切な事業所の管理
従業者等の知識・技術の向上/関係機関・団体や保護者との連携 等
◆ 子どもと保護者に対する説明責任等
運営規程の周知/子どもと保護者に対する支援利用申込時の説明/保護者に対する相談支援等
苦情解決対応/適切な情報伝達手段の確保/地域に開かれた事業運営 等
◆ 緊急時の対応と法令遵守等
緊急時対応/非常災害・防犯対策/虐待防止/身体拘束への対応
衛生・健康管理/安全確保/秘密保持等 等
放課後等デイサービスガイドラインに基づく自己評価等
「事業所は、本ガイドラインに基づく自己評価を実施
し、その結果を事業運営に反映させ、自己評価結
果については公表するよう努めるものとする。」
○ そのためのチェックリストが必要との意見
○ ユーザー評価にも使えるように、との意見
「事業者向け放課後等デイサービス自己評価表」と、
より簡素な「保護者等向け放課後等デイサービス評
価表」を作成
想定される自己評価の流れ
①
②
③
④
⑤
保護者へのアンケート調査
事業所職員による自己評価
事業所全体としての自己評価
自己評価結果の公表
保護者のアンケート調査結果のフィードバック
放課後等デイサービス ガイドラインは
・基本的事項を示す
事業の運営上は留意すべきことを述べている
障害児通所支援全般に共通すること
放課後等デイサービス特有のこと
・事業マニュアルではない
創意工夫、支援の質の向上は事業所の意識と努力次第
児発管は、任用資格です。少なくとも、既定の講習を受け、任命を受けたものは児童発達
支援を管理する立場とその資格を有します。有資格者は、不足する知識等を自分で補填
すべきです。
※参考①:CDS Japan受託 平成25年度厚生労働省障害者総合福祉推進事業
「障害児通所支援の在り方に関する調査研究」報告書
※参考②:発達支援学
※参考③:発達支援の指針2016改訂版
※参考④:障害児通所支援ハンドブック
等々
放課後等デイサービスにおける児童発達支援管理責任者に
意識していただきこと
成長・発達の状況をとらえて 発達を促進する支援 をおこなう。
幼児期からの引継ぎを踏まえて
連続した育ちの支援 をおこなう。
その子の強みをとらえて伸ばし、将来につなぐ 自立支援 をおこなう。
貴重な学齢期、思春期をより充実できる 生活支援 をおこなう。
保護者が子どもへの託す夢や期待を育みつつ 家族を支援 する。
子どもの現実的な生活力を想定して、将来像を共有できる
家族支援
日々のこと、子どもたちの将来に向けた 地域との連携 、地域づくり。
5.支援提供の基本姿勢
社会福祉法人 幸
plusはる
こども発達さぽーとセンターるぽろ
嘉ノ海 令子
障害児支援の役割とは
【障害児支援の在り方に関する検討会報告書】
支援対象
一人の子どもとして
特別なニーズをもつ子ども
地域社会
ともに育つ
ともに学ぶ
ともに生きる
一市民として
基本理念
インクルーシブ社会の実現
障害児入所支援
児童発達支援
保育所等訪問支援
放課後等デイ
サービス
地域資源との連携
相
談
育児支援
家族支援
福祉支援
発達支援
医療的支援
自立支援
訪問巡回
育ちの場における
児への支援
スタッフへの支援
ともに育つ
ともに学ぶ
地域の中での受け入れをバックアップ
する後方支援として専門的な役割を担う
体制
◆特別なニーズへの具体的な手立て
◆環境(物的、人的、形態等)への支援
◆障害に関する知識、技術等支援スキル
づくり
ともに生きる
保育所、幼稚園
学 校
放課後児童クラブ
支援提供の基本的姿勢
①中核的機能は将来の自立に向けた発達支援
②親・家族を含めたトータルな支援
③子どものライフステージに応じた一貫した支援
④身近な地域における支援
⑤集団活動と個別プログラムの効果的な組み合わ
せによる支援
①児童期支援の中核的機能は
将来の自立に向けた発達支援
障害児通所支援、入所支援の中核的機能は、子ど
もへの発達支援とし、将来の自立に向け個々の状
態や年齢に応じて必要な支援を提供する。
発達課題のある児童に対して、できるだけ早期の段
階から将来を見通した継続的な発達支援を行うこと
を中核的機能とする。
より身近な地域で必要な時期に必要な(専門的な)
支援が提供できるよう質を確保する。
乳幼児期
自 立 への 道 筋
発達を促す
関わり
自律の芽生え
基本的信頼感
自尊感情の育ち
学齢期
自律
成人期
自己実現
自立
意思決定への参加
自主性の育ち
役割の自覚と責任意識
の育成
自己決定に基づいた
成功体験
自己肯定感の育成
自己概念の形成
社会の一員として活動
②親・家族を含めたトータルな支援
子どもの適切な発達環境を整えるために、親・家族支援
を大きな柱とする。
子どもの発達課題や障害特性への理解を深め、具体的
な手立てと見通しをもった取組みを通して、「障害受容」
を支える。
子育て支援、子育ち支援、親子関係への支援、地域資
源などとの連携・情報支援をトータルに行う。
③子どものライフステージに応じた
一貫した支援
児童期支援の特殊性を考慮し、移行期に支援が途切れ
てしまわないように、一貫性、継続性のある支援を行う。
(縦の連携)
保健・医療、福祉、保育、教育、就労支援等の関係者が
チームとなって、子どものライフステージに添って必要な
支援が提供できるようにする。(横の連携)
障害児相談支援が縦横をつなぐことによって、こどもの
個別の支援の充実と地域の中での育ちを促す。
横 の連 携
就労支援等
成 人 期 移行期支援
移行期支援
個別の支援計画、サポートファイルの活用
高 校
移行期支援
中学校
移行期支援
移行期支援
小学校
乳幼児期
幼稚園
・
保育所
学齢期
縦の連携(切れ目のない支援)
④身近な地域における支援
「気になる」段階から気軽に保護者からの相談に応じ
たり、子どもへの療育が提供できる場となる。
家族支援を含め個々の状況に応じた療育や発達へ
の支援が、地域の支援システムづくりにつながること
を意図して支援を提供する。
サービス担当者会議への参加等、より積極的な地域
連携を心がけ、発達支援の地域拠点として機能発揮
する。
地域の支援拠点としての機能
児童発達支援センター
広域カバー
施設支援
専門的機能
障害児入所支援
福祉型・医療型
セーフティネット
家族関係の再構築
短期入所(ミドルステイ)
レスパイトなど
児童発達支援事業
身近な療育の場
市町村域カバー
乳幼児期の発達支援
放課後等デイサービス
相談支援
事業所
学齢期の発達支援
余暇的支援、創作活動・作業活動支援
⑤集団活動と個別プログラムの
効果的な組み合わせによる支援
集団活動と個別プログラムの効果的な組み合わせに
より支援を提供する。
子ども、親・家族との信頼関係をつくりながら、的確な
アセスメントを行うことによって、集団活動と個別プロ
グラムの効果的な組み合わせによる支援計画を作成
する。
アセスメントは、チームアセスメント、エンパワメント、
権利擁護の視点を加えることで、効率的、効果的な計
画作成につながることが期待できる。
6.支援提供のポイントとその評価
社会福祉法人 幸
plusはる
こども発達さぽーとセンターるぽろ
嘉ノ海 令子
支援提供のポイント
(1)児童期支援の特殊性
(2)親・家族支援~障害受容を支える視点~
(3)「気になる段階」からの支援場所として
(4)ライフステージを見通した発達支援
(5)アセスメントの重要性と
児童期特有のニーズについて
(1)児童期支援の特殊性
1
支援対象が0歳から18歳までと広い年齢幅
への対応
年齢によって関わる機関(スタッフ)の変動と
多様性
2
「気になる」段階と呼ばれる時期への対応
3
「ゼロ」へのサポート、「ゼロ」からのスタート
を支援
4
子どもの自立に向けて「縦横連携」を意識した
ネットワークづくり
1
支援対象が0歳から18歳までと広い年齢幅への対応
年齢によって関わる機関(スタッフ)の変動と多様性
乳幼児期
学齢期
(学齢後期)
卒後を見据
えた支援
保健所(保健センター)、医療機関
福祉事務所(家庭児童相談室)
児童相談所
保育所、幼稚園、児童館等
児童発達支援事業、児童発達支援センター
障害児入所施設、相談支援事業所 等
小学校、中学校、高等学校、特別支援学校
福祉事務所、児童相談所
医療機関、療育機関、教育相談所、教育委員会
放課後等デイサービス、放課後児童クラブ
障害児入所施設、相談支援事業所 等
企業や障害福祉サービス等での実習、体験
地域障害者職業センター、ハローワーク
障害者就業・生活支援センター、相談支援事業所 等
2
「気になる」段階と呼ばれる時期への対応
「気になる」段階の子どもとは
① 軽度の発達遅滞はあっても知的障害のレベルではない
境界域知能(ボーダーライン)児
② その時点で障害の診断が明確にできない児(ハイリスク
児や発達障害児を含む)
③ まだ診断・告知を受けていない児
④ 客観的には障害が認められても、保護者がそのことを受
容できず申請に至らない児
将来的に支援が必要かどうか確定できない時期
障害の受容が充分にできない時期
育児不安を支える視点
子育て支援の立場での
専門的な支援の必要性
3
「ゼロ」へのサポート
「ゼロ」からのスタートを支援
親の考え方や姿勢によって、子どもの
環境は大きく変わる
・子どもの発達に必要な療育機関など
への通所やサービスの利用をしない
・子どもの障害を理解せずに、不適切
な関わりをする
・前向きな子育てができないなど、親
自身が精神的に不安定な状態になる
育児不安
育児放棄
虐待
関わりの難しい子育てを
一生懸命している親・家族
将来への見通しが
もてず不安な気持ちを
抱えている親・家族
「ゼロ」へのサポート
子どもの発達や障害に関する知識・理解
福祉サービスに関する情報
「ゼロ」からのスタート
育児面、医療面、療育面、心理面など
幅広い相談支援、情報理解のための支援
4
子どもの自立に向けて
「縦横連携」を意識したネットワークづくり
子どもの成長・発達とともに
個々がもつ発達課題、支援ニーズ変化
親・家族が抱える生活ニーズ変化
一機関だけでは支えきれない
ライフステージを見通した一貫性・継続性のある支援
◆移行期をどう繋いでいくかという視点
担任や学年が変わる小さな移行期
入園、入学、卒後などライフイベントと関連した大きな移行期
◆「縦・横」のネットワークで個々のニーズに応じた支援を展開
するという視点
(2)親・家族支援~障害受容を支える視点~
「障害告知」における支援
障害告知
「思い描いていた健康な赤ちゃんを失う」
親の心的危機
対象喪失経験
「なぜ自分の子どもが・・・」「何かの間違いだ」「子どもを育てる
自信がない」など
事実の否認、混乱、怒り、絶望感、哀しみ、拒否
不安などの心理的反応
障害受容とは
「わが子の障害の受容」と「障害のあるわが子の受容」
子どもの発達、成長とともに緩やかに子どもの姿を
受け止めていく
子どもへの発達支援の確実性、信頼性が受容過程を
側面的に支える
親の不安を受け止める、理解する
親の受容能力に合わせた具体的な助言
「障害受容」を支えるということ
告知時期
障害告知
関わるスタッフ
の対応
告知の仕方
親・家族の心理的反応
子どもの障害理解
への支援
親への心理的
サポート
子どもへの発達支援
育児への
具体的支援
(3)「気になる」段階からの支援場所として
親にとって身近で敷居の低い場所である。
障害の確定診断前からフォローできる場所
である。
発達支援のサービスを体験的に利用できる
場所である。
常にアクセスできるように、地域に事業内容など
情報発信している。
(4)ライフステージを通して発達を支援する
それぞれのステージにおける早期発見・早期対応
将来の自立に向けて、学童期、思春期・青年期の発
達支援の重要性
知的機能の水準
子どもの状況を把握
認知、行動の特性
学校、教師との連携
学習の特性
興味や関心の対象
学校での具体的な支援への対応
二次障害を防ぐ
自己理解を深めるための支援
自尊感情を高める
自分のよさに気づく
障
害
児
放
課
入
後
所
等
支
デ
イ
援
サ
ー
ビ
ス
地域における自立
児童発達支援(通所支援)
自己肯定感・
社会的行動の獲得
(5)アセスメントの重要性と
児童期特有のニーズについて
【アセスメントの過程】
子ども・親との面接
情報収集
適切な情報選択
情報量・質の検討
正確性・事実性
信頼性・偏向性
偏見・先入観
情報源・・相談者(親・家族)、関係者、相談者
(家庭)の環境、子どもに関する記録
や資料
情報収集手段・・・面接、観察、記録・資料
情報の種類・・子どもの生活史(生育歴)
環境に関する情報
検討
情報の量・質が適切か
情報の正確性、事実性、信頼性を確認
情報が偏っていないか
偏見や先入観によって歪められていないか
収集した情報の吟味
情報の分析統合
情報の判断
ニーズの確定
相談者の状況理解
ニーズ把握
問題(要因)の確認
課題の整理
計画策定
目標、支援期間、
支援内容の設定
具体的な支援方法
の確認
相談者の意思や権利が尊重されているか
児童期特有のニーズについて
自ら言葉で意思表示できない乳幼児期は親・家
族から発信されるニーズが前面に押し出されや
すい。⇒第三者のニーズ
親・家族のニーズは子ども自身のニーズと相反
することもある。
子どもの生活・子育て環境を整えるために、子
育てに不安を抱える親支援からスタートするが、
年齢が上がるにつれ子ども本人を中心にニー
ズを明確化していく。
親・家族から発信されるニーズ
親の関心事
子どもの発達の遅れを解消する
障害を治す、良くする
治療・訓練ニーズの顕在化
潜在的ニーズ
障害受容、育児に向う姿勢
夫婦、家族関係の葛藤、対立
緊張、母親の心理的葛藤など
子ども自身の特性
から生じるニーズ
子どものニーズ
子どもの生活環境
から生じるニーズ
療育、訓練、教育⇒発達支援
親・家族の特性
から生じるニーズ
親・家族のニーズ
子育て環境から
生じるニーズ
障害受容、障害認知、育児不安
⇒ 育児支援、親支援
支援の評価
支援の評価はなぜ必要か?
その1
発達評価や支援技法、個別支援計画の内容
など支援の質の向上及び専門的機能の提供
状況の評価と把握
親のストレスマネジメントについての対応による子育
て不安の軽減や虐待予防等が図れ
たか、子育て支援機能の提供状況の
評価と把握
支援の評価はなぜ必要か?
その2
関係機関との連携状況の把握
保育所、学校等への療育的バック
アップ機能の提供状況の把握
事業所の活動による地域貢献度の把握
評価方法
利用者満足度調査の実施
(利用者向け、事業所向け)
職員自己評価の実施
第三者評価の実施
等
支援の評価基準
視点
発達や療育の支援
家族支援
評価の項目
評価の方法
質の高い
支援の提供
①利用児童の発達度や家族の支援内容へ
の満足度
②要望・苦情解決の件数
③支援の質の第三者評価の導入
職員の質の向
上
①資格取得の促進(キャリアアップ)による有
資格者数
②OJT、OFF、JTの実施件数
③部内外研修、自主研修の実施件数(時間)
事業の推進
①利用児童数の増減
②事業所、利用者と社会資源との関係図作成
③他の関係機関、事業と連携した件数 (支援
会議)
発達や療育支援の視点による評価
・例えば、各種の発達検査による分析などを行い、児童の
発達の伸びを評価する
・児童の生活ぶりに対する家族の評価を把握する
・家族が行う事業者評価表(例えば、満足度評価、苦情処
理件数など)に発達支援の視点を加えたものを事業所で
作成し、そのチェック度を評価する
・関係機関の事業所に対する発達支援技量の評価を確認
する
家族支援の視点による評価
・家族にとって生活のしやすさという実感が生まれ見通しが
もてているか把握する
・家族、特に母親のストレスの予防マネジメントについて、
どのような対応が出来たか評価する
・家族と社会資源の結びつきがエコマップ上どのように拡が
っているか確認する
7.アセスメントのポイント
江東区こども発達センター
光真坊 浩史
発達支援におけるアセスメントの意義
• 支援に向けた対象理解・解釈(見立て)・仮説(手立て)・検証
「一つ一つの情報を自分なりに解釈し、それらを組み立て、生じている
問題の成り立ち mechanism を構成し(まとめ上げ)、支援課題を抽出
すること、あるいは、その人がどんな人で、どんな支援を必要としてい
るのかを明らかにすること」
近藤直司(2012):アセスメント技術を高めるハンドブック.明石書店)
• 包括的アセスメント:多面的な情報収集する
各情報の関連性を捉える
• 発達的変化、支援の効果を評価し、支援内容の修正、次の
支援目標・内容の作成・変更を行う
• 家族を含めた多様な関係者との共通理解を図る
アセスメントの視点
☆こどもの発達の全体像の把握(要因間の関連性も)
①生物的な要因(生理・医学的側面)
発達及び障害の特性、生来的な気質、疾患(診断、病
歴、神経・生理学的特徴、服薬等治療方針)など
②心理的な要因(心理・学習・教育的側面)
不安、葛藤、希望、自己イメージ、防衛機制など(認知
発達、言語コミュニケーション、社会・情動発達、運動発
達などの発達面を含む)、反応パタン等の行動特徴
③社会的な要因(環境・社会・文化的側面)
対人関係(家族・支援者・仲間等)、関係機関のつなが
り、環境構成(家庭・学校等)、周囲の理解・かかわり(家
族・学校・支援機関等)、周囲の期待・希望など
アセスメントのプロセス
(
3)
個別支援計画の作成
③課題の整理
<情報の整理>
<情報の収集>
②基本的ニーズの把握
①初期状態の把握
(
1)
初回面接時の状況把握
(2)アセスメント過程
①初期状態の把握
◎発達状態や行動特性の総合的分析的把握
 現在の様子の把握
・情報収集
・行動観察
・環境観察(環境面、保護者等のかかわり方含む)
・家庭での子どもの状況 + 家庭・家族の状況・意向
・地域での子どもの状況 + 地域の状況・意向
・関係機関のつながりと役割
 これまでの経過(「育ちのストーリー」としての把握)
・情報収集(○○歴等)
※ 相談支援事業所がかかわる場合は、アセスメント段階か
ら協働することが大切(役割分担、聴取済情報の共有等)
①情報収集
<発達歴>
•母親の妊娠中、出産時の状況
•運動、対人関係、言語等の発達の経過、状況
<病歴・療育歴・教育歴・社会資源活用歴>
•医学的に配慮すべき内容の把握
•これまでどのような療育や保育、教育を受けてきたか
<家族・生活状況>
•家族構成、家族の印象(父母、きょうだい、祖父母)
•生活リズム:1日、1週間、月の過ごし方
•家族観、子ども観、養育観
•家族、家庭で困っていること(具体的に)
→経済、夫婦間、他のきょうだい児であることも
・家庭機能(よい面も把握する)
<園や学校等の関係機関での状況>
• 関係機関での生活の流れ
• 関係機関での生活の様子
(できている/できていない、得意/苦手等)
(頼りにしている人、苦手な人、仲間関係等)
• 関係機関の子ども、家族の見立て
• 支援の目的・内容・方法
• 保護者の関係機関に対する思い
(満足/不満足、希望:保育・教育内容等)
• 関係機関のつながり(エコマップなど)、地域資源調査
②行動観察
•事業所における自由場面、設定場面での観察
•保育、教育、地域活動場面での観察
→環境面、本人の困難さ・うまくいっている部分当
③発達検査
◎検査の目的を明確にし、必要な情報の内容を確定する
◎態度や反応内容、一部正答等の芽生え反応も把握する
◎実施において保護者の了解と理解を得、結果を報告する
◎個人情報管理、活用範囲を明確にする
【発達・知能検査の例】
新版K式発達検査、田中ビネー知
能検査V、WPPSI、WISCーⅣ、
KーABC心理教育アセスメントバッテリー
PEPーⅢ、遠城寺式乳幼児分析的
発達検査
等
【言語・コミュニケーション検査の例】
ITPA言語学習能力診断検査 等
【その他検査の例】
フロスティッグ視知覚発達検査
JPAN感覚処理・行為機能検査
新版S‐M社会生活能力検査 等
②基本的ニーズの把握
「発達支援」に即したニーズ把握
子ども本人の発達したいというニーズ
・生活習慣、社会技能等の自立課題の把握(できる/できない)
・運動や言語発達、認知特性の把握(得意/苦手)(強み/弱み)
・社会性・行動・情緒の発達課題の把握(未学習・誤学習)
・自分の希望(やりたいこと、好きなこと、将来の夢など)
「家族支援」に即したニーズ把握
家族の希望(どう育ってほしいか)、困りごと、不安など
・家庭内または外出時に困っていることの把握
・子どもの特性に応じた家庭環境、子育て力等の把握
「地域支援」に即したニーズ把握
地域生活を送る上での課題、関係機関の困りごとなど
・園や学校、他施設で困っていること
・連携や役割分担が必要な機関の把握
③課題の整理
◎集められた初期状態の情報の評価
・発達支援/家族支援/地域支援毎に整理
・生物学的/心理的/社会的視点で整理
◎本人や家族等の意向
・本人/家族/地域の各ニーズと相互関係の整理
◎支援者が気になること(考えること)
・課題、要因の理解・解釈・仮説としてまとめる
◎支援の課題の抽出
・支援が必要な課題(育てたい、修正したい(環境含む))
◎将来の見通し
・その支援をすることで、将来何が期待されるか
◎課題の整理で大切な視点
・ 主語を明確にすること
・ 事実と思い・推測を区別すること
・ 全体と部分(生活、発達等の要素)をみること
・ 発達の順序性と非順序性(非定型)の視点
・ 学習(誤学習と未学習)の視点
・ 得意・強みと苦手・弱さの視点
⇒苦手・弱さをリフレーミングすることで、支援の視点に気づくこと
がある:必ずしも悪いことではない、できている部分もある、
支援に活用できるいい部分がある・・・)
⇒できている部分を伸ばす、活用する、発展させる
・ 多様な関係機関との役割分担と協働の視点
⇒ 事業所としてのコンセプトと照らし合わせること
⇒ アセスメントの要約をする(100~200文字程度)
8.発達障害の理解とその対応
江東区こども発達センター
光真坊 浩史
「発達障害」を取り巻く状況
○「発達障害」は誤解されやすい
・養育環境が原因ではない ⇒ 脳の機能障害
ただし、家庭養育(特性の適切な理解・必要な養育)は重要
・障害、特性がわかりにくい(例)聞こえるのにしない=無視している
・適切でない対応で二次的な問題を抱える子どもも少なくない
○「気になる子」と呼ばれる子どもたち
・保育所等の一般施策で多くの子どもたちが生活している
・発達障害未診断児、特性がある子、他要因の子(要支援家庭)など
○「発達障害」フィーバー
・発達障害をまず疑う雰囲気(発達障害だから) ⇔ 支援・環境の問題
○ひとり一人の特性に応じた支援の必要性
・保育所は、専門機関に「障害の見極め」「障害の知識」よりも
(2012:明治学院大学調査)
「専門指導」を期待
Ⅰ ねらい
発達障害者支援法の全体像
Ⅰ これまでの主な経緯
昭和55年 知的障害児施設の種類として新たに医療型自閉症児施設及び福祉型自閉症児施設を位置づけ
平成5年 強度行動障害者特別処遇事業の創設(実施主体:都道府県等)
平成14年 自閉症・発達障害者支援センター運営事業の開始(広汎性発達障害者を対象とした地域支援の拠点の整備の推進)
平成16年12月 超党派の議員立法により発達障害者支援法が成立 → 平成17年 4月 施行
平成22年12月 発達障害が障害者に含まれるものであることを障害者自立支援法、児童福祉法において明確化
平成28年5月 超党派の議員立法により「発達障害者支援法の一部を改正する法律」が成立
Ⅱ 主な趣旨
○発達障害者に対する障害の定義と発達障害への理解の促進
○発達生活全般にわたる支援の促進
○発達障害者支援を担当する部局相互の緊密な連携の確保、関係機関との協力体制の整備
等
Ⅲ 概要
定義:発達障害=自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、
注意欠陥多動性障害などの脳機能の障害で、通常低年齢で発現する障害
就学前(乳幼児期)
就学中(学童期等)
就学後(青壮年期)
○乳幼児健診等に
よる早期発見
○早期の発達支援
○就学時健康診断における発見
○適切な教育的支援・支援体制の整備
○放課後児童健全育成事業の利用
○専門的発達支援
○発達障害者の特性に応じた
適切な就労の機会の確保
○地域での生活支援
○発達障害者の権利擁護
【都道府県】 発達障害者支援センター(相談支援・情報提供・研修等)、専門的な医療機関の確保 等
【国】専門的知識を有する人材確保(研修等)、調査研究
等
【定義】(第2条関係)
◎「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広
汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他
これに類する脳機能の障害で、通常低年齢で発現
◎「発達障害者」とは、上記障害がある者であって、(発達障
害及び社会的障壁により)日常生活又は社会生活に制
限を受ける者
※カッコ内は、改正ので追加された部分
「発達障害児」とは、発達障害者のうち18歳未満の者
◎「発達支援」とは、心理機能の適正な発達を支援し、円滑な
社会生活を促進するために行う発達障害特性に応じた
医療的、福祉的及び教育的援助
【参考】
他の法律における定義
児童福祉法では、障害者手帳や医学的診
断を要件とはしておらず、障害があることが
想定され、早期の支援(いわゆる診断前支
援)が必要な児童を「障害児」としている。
◎障害者基本法:身体障害、知的障害、精神障害(発達障
害を含む)その他の心身の機能の障害がある者で、
障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は
社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの
◎児童福祉法:身体に障害のある児童、知的障害のある
児童、精神に障害のある児童(発達障害児を含む)
又は治療方法が確立していない疾病その他の特殊
の疾病のある児童
◎障害者総合支援法:身体障害、知的障害、精神障害
(発達障害児を含み、知的障害を除く)又は治療方
法が確立していない疾病その他の特殊の疾病の者
代表的な発達障害
●
●
●
●
言葉の発達の遅れ
コミュニケーションの障害
対人関係・社会性の障害
パターン化した行動、こだわり
知的な遅れ
を伴うことも
ある
自 閉 症
広汎性発達障害
● 不注意(集中できない)
● 多動・多弁(じっとしていられない)
● 衝動的に行動する(考えるよりも先に動く)
(PDD)
アスペルガー症候群
●
●
●
●
●
注意欠陥多動性障害 AD/HD
基本的に、言葉の発達の遅れはない
コミュニケーションの障害
対人関係・社会性の障害
パターン化した行動、興味・関心のかたより
不器用(言語発達に比べて)
学習障害 LD
● 「読む」、「書く」、「計算する」等の能力が、
全体的な知的発達に比べて極端に苦手
※このほか、トゥレット症候群や吃音(症)なども
発達障害に含まれる。
(参考) 発達障害に関連して使われることのある用語
・強度行動障害:激しい自傷や他害などがあり、特別な支援が必要な状態。
・高機能:知的な遅れを伴わないこと。
・自閉症スペクトラム障害(ASD):広汎性発達障害(PDD)とほぼ同義。
・発達凸凹(でこぼこ):発達の状態や能力に差異はあるが社会的不適応を示していないケースについて、 「障害」や「発達障害」という言葉を使わず、
表現するもの。
発達障害者の人数等
Ⅰ 患者調査
診断やカウンセリング等を受けるために医療機関を受診した発達障害者数
(千人)
平成14年度:3.5万人
200
平成17年度:5.3万人
100
平成20年度:8.8万人
53
35
平成23年度:11.2万人
0
14年度
17年度
平成26年度:19.5万人
195
88
20年度
112
23年度
26年度
Ⅱ 障害福祉サービス等報酬改定検証調査(平成27年9月末時点の事業所調査)
児童発達支援、放課後等デイサービス、障害児入所施設の発達障害児の利用割合
児童発達支援:46.8%
放課後等デイサービス:53.5%
障害児入所施設:10.9%
(参考) 通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調
査(平成24年度文部科学省調査)
小・中学校の通常の学級において、学習面又は行動面において著しい困難を示す児童生徒の割合
平成24年度:6.5%(推定値)
※担任教員が記入し、特別支援教育コーディネーター又は教頭による確認を経て提出した回答に基づくもので、発達障害の専門家チームによる診
断や、医師による診断によるものではない。従って、本調査の結果は、発達障害のある児童生徒の割合を示すものではなく、発達障害の可能性の
ある特別な教育的支援を必要とする児童生徒の割合を示すことに留意。
発達障害者支援法にみられる視点
○ 発達障害の特性を知ること
・現場において支援や対応の困難な人たちの中に、発達障害の方が含ま
れることを想定すること【気づき】 *M-CHAT、PARSなどの活用
・発達障害の特性を理解すること【知識】
・その上で、個々の特性(社会適応状況の評価、感覚過敏の状態など)を
把握すること【アセスメント】
・本人の困り感と要因を確認すること(将来も想定して。周囲の環境刺激
や指示・対応等を分析することが基本)【支援課題の把握】
・特性、困り感に応じた対応・支援を行うこと【支援の工夫】
○ 様々な制度、機関、人を活用すること
・本人や家族の「生活全体」を念頭においた支援を行うこと【総合支援】
・そのために、本人や家族に身近に関わる者から専門的支援を行う者
で、支援者が「一つのチーム」になること【チーム支援、支援体制】
・関係者同士の「情報共有(横連携)、引き継ぎ(縦連携)」を、強く意識
すること【情報共有】
「発達障害」とは
○「障害」の本質は、「生活のしづらさ」
・個人の特性と環境との相互作用で規定
⇒ 改正発達障害者支援法の定義にも反映された
○複数の発達障害が合併しやすい
○発達障害と発達障害特性
・特性はあるが、障害と言えるほどではない
特性はあるが、ある程度社会で適応できている
↓
「発達凸凹」(杉山登志郎)
「パステルゾーンの子どもたち」(泉川良範)
「非障害自閉スペクトラム」(本田秀夫) など
○二次的な問題も生じやすい
・ひきこもり、いじめ、適応障害、身体症状など
「発達障害」の本人支援
◎支援の目的:
①二次的な問題の予防 :生きづらさの解消
②よりよく生きていく :良さを活かす
◎支援の基本的姿勢
・発達障害、特性をなくそうとは考えない
・発達の順序性(定型発達)に必ずしも沿わない
・“この子”の困っていることを減らす
⇒“この子”の特性の理解 ← 特性の知識が必要
課題の分析(見える問題の背景:氷山モデル)
特性に応じた環境の調整(かかわり方を含む)
・「できる」、「楽しむ」ことを大切に(自己肯定感)
行動を特性から理解する(氷山モデル)
片づけない
散らかす
気が散りやすい
注意の配分や調整が苦手
段取りができない
どこに片づけるか決められない
手順が多いととりかかれない
等
目に見える問題
背景にある特性、
特性に合わない
環境等の要因
「発達障害」の認知特性(例)
情報入手
感覚
の障害
(感じる)
・五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)
・前庭覚(いわゆるバランス感覚)
・固有覚(身体イメージ)
・それらが敏感または鈍感
(過敏=嫌がる、怖がる、回避的行動)
(鈍感=強い刺激求める)
・処理仕方等(複数処理が困難、順番
に処理するので時間超過、量多いと混乱)
情報処理
情報処理
の障害
(わかる)
・全体よりも部分(部分に反応)
・視覚優位
・記憶の問題(視覚記憶の強さ、
会話等見えないものの保持が弱い)
・関係性の理解(般化を含む)
判断・企画
実行機能
の障害
(考える)
・焦点化(強い集中、切替えが苦手)
・組織化(整理が苦手、見通し、段取
り、優先順位、始終が苦手)
・作業記憶(過去の経験参照が苦手
=やるべきことが思い浮かばない)
・制御(行動、感情の制御、待てない)
行動
・環境の調整(苦手な刺激を減らす)
・強い刺激を調整するためのグッズ(イヤ
マフ、サングラスなど)
・安心するための感覚グッズの利用
・安心できるスペースの確保
など
【わかるものや得意なものを最大限活用】
・数字や色、絵、写真、文字など
・ひとつずつ順番に伝える
・処理できる速度と量で伝える
・目で見てわかるようにする
・忘れても思い出せる、同じ手がかり呈示
【成功できるように配慮・工夫】
・気が散らないような工夫
・始まりと終わりが分かるような工夫
・見通せる工夫
・手順の工夫
・待ち時間の工夫
こだわりの強さ、人を叩く、部屋から出る、指示に従わない、
抵抗するなど表面的に観察できる問題
大友愛美氏の資料から
◎幼児期の課題
①親との基本的信頼感の獲得
②自信の獲得(成功体験を中心に)
③基本的生活習慣、日常生活動作の確立(自分でできる)
④提案と合意(コミュニケーションと構造化)
⑤報告・連絡・相談の習慣(できないことは手助けする)
◎学齢期の課題
①セルフマネジメント(自分で環境を調整する)
②支援つき試行錯誤(できないことの理解と解決)
③意見表明(自分の気持ちに気づき、表現する)
④自己理解・他者理解(特性や得意・不得意を知る)
⑤様々な生活体験、社会経験、遊び・趣味、仲間
⑥思春期課題への対応
※ 一貫しているのは、「自己肯定感」を育むこと
◎具体的対応
・得意なことを伸ばし、苦手なことは補う
・生活習慣の獲得(自分でできることを増やす)
・環境を調整し、見通しを持ち安心して暮らしやすく
・「自律スキル」(自分の力を発揮する)と「ソーシャ
ルスキル」(人を頼る、社会のルールを守る)を身に
つける
(本田秀夫)
・特性に応じた具体的手段
・具体的に伝える
・視覚的に伝える
・役に立つことを習慣化する
・システムを使う
・興味を活かす
・感覚刺激の調整
・情報を整理する
※自閉症に限らず、学習障害やADHDのある子どもにも、絵カード
などを使った視覚的な対応が有効となる場合がある
視覚支援・構造化の例
「敦賀市こども発達支援センターパラレル」提供
「発達障害」の保護者支援
発達障害のある子の保護者の負担とリスク
•
•
•
•
•
育てにくさ
関わりにくさ
理解のしにくさ
行動の問題への心配
将来への心配
・子育ての辛さ・負担感
・達成感や喜びが少ない
・親としての自信の喪失
・適切に関わる回数の減少
↓
『子育てがつらい』・・・
↓
親子関係が不安定・・・
二次的な問題の併発へ
※保護者への子育て支援、ケアが重要になる
保護者支援の基本的考え方
◎家族ができることを助言する
(家庭で取り組みやすい構造化や情報の伝え方の工夫等)
◎出来るだけ正確で確かな情報を伝える
(発達障害や特性に関する適切な理解促進)
(今使えるサービス、将来的に使えるサービス等)
◎家族のがんばり、工夫を評価する
(ペアレントトレーニングなどを通して、成功場面を増やし褒める)
(無理しすぎないことも大切であることを伝える:親=非訓練者)
◎家族が、仲間と出会うことを助ける
(ペアレント・メンターなど、先輩を紹介する)
◎関係者同士が、情報の共有や引き継ぎをきちんと行う
家族ができることの助言例(場面や手順の構造化)
①情報の整理、場面の枠を作り分かりやすく
②環境の構造化;居場所の整理
・大まかな生活リズム表の作成
・物の置き場所を決める、整理する
・自分の持ち物を分かりやすくする
・手順を示す(指、表など)
・開始や終了をわかりやすく予告する
・自分の居場所(安全基地)を確保する
※現在、発達障害者の就労支援においても構造化のアイデアは引
き継ぐべき支援として捉えられていることから、構造化の支援は
なくすべきものではなく引き継ぐべきものと考える
※これらの構造化は、事業所において実践しているものをヒントとし
て提供するのが原則(実践で効果のあるもの、保護者も確認する
ことができるもの)
家族が出来ることの助言例(情報の伝え方等)
②新しいことを前もって言葉+視覚的に伝える
③これから行うことをはっきり分かりやすく伝える
見通しを持たせる
①視覚的な情報の手掛かりを用いる
絵・写真・文字を用いて、必要な場所に貼る
④伝えることをひとつにしぼる
⑤注意したいことは、感情的にならないでその場で伝える
⑥感覚に配慮(過敏/鈍感)
⑦できた、できている、できそうなことを褒める
⑧プライドと自尊感情に配慮
出来るだけ正確で確かな情報を伝える例
①地域で安心した子育てを行うための支援情報
・相談機関・支援機関の紹介
医療機関、療育機関、就学相談、教育相談など
発達障害者支援センター(ペアレントメンター、ペアトレ等)の紹介
②地域生活を安心し充実して送るための支援制度情報
・障害者総合支援法のサービス
・子ども子育て支援制度のサービス
・様々な手帳の交付から得られる援助措置
「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の取得による援助措置
③就労を支える支援制度情報
・区市町村の就労支援事業、ハローワーク、障害者雇用支援セン
ター等
*情報の収集・整理、情報提供システムづくり
*機関連携、担当者間連携、連絡調整、地域機関ネットワーク
(法§13関係)
・ペアレントトレーニング(ペアトレ)
親が自分の子どもの行動を冷静に観察して特徴を理解したり、発達障害の特性を踏まえた褒め方や叱り方等を
学ぶことにより子どもの問題行動を減少させることを目標とする。トレーナーには専門知識が要求される。
・ペアレントプログラム(ペアプロ)
地域での普及を図るために開発された、より簡易なプログラム。子どもの行動修正までは目指さず、「親の認知
を肯定的に修正すること」に焦点を当てている。発達障害やその傾向の有無に関わらず有効とされている。
関係図
ペアトレ
専門家、習熟した職員
による実施
ペアプロ(ペアトレへの導入)
地域の保育士、
保健師等による実施
都道府県等へ
の国庫補助
発達障害児の子育て経験のある親であって、その育児経験を活かし、子どもが発達障害の診断を受けて間もない
親などに対して相談や助言を行う人。
支援の内容等
ペアレントメンター
親
●条件
・自分も発達障害者の親
・しかるべき人からの推薦
・守秘義務への同意
等
●ペアレントメンターの紹介が
必要となる状況の例
・診断を受けた後に不安や悲し
みを感じている
・支援を受けるまでの順番待ち
をしている
・経験を共有
・必要な情報を提供
都道府県等へ
の国庫補助
関係機関との連携
①発達障害者支援センターとの連携強化
・発達障害に対する支援のノウハウの普及
・通所事業の発達障害に関する専門的支援(後方支援)
・困難ケースへの対応(協働支援)
※発達障害者支援センター強化事業(H26~)
②圏域内児童発達支援センター等との連携強化
・障害児支援の中核となる児童発達支援センターの地域支援の提供
・障害児等療育支援事業による施設支援の活用
・ノウハウのある通所事業所からの助言等
③地域での支援力向上の取組み
・地域(自立支援)協議会、発達障害者地域支援協議会等における
発達障害者支援体制づくり
・地域ニーズに応じた研修会の企画等
発達障害者支援センターの地域支援機能の強化(平成26年度~)
発達障害については、支援のためのノウハウが十分普及していないため、各地域における支援体
制の確立が喫緊の課題となっている。このため、市町村・事業所等支援、医療機関との連携や困難
ケースへの対応等について、地域の中核である発達障害者支援センターの地域支援機能の強化
を図り、支援体制の整備を推進。
発達障害者支援センター
職員配置:4名程度
●相談支援(来所、訪問、電話等による相談)
●発達支援(個別支援計画の作成・実施等)
●就労支援(発達障害児(者)への就労相談)
●その他研修、普及啓発、機関支援
都道府県等
【課題】
中核機関としてセンターに求められる市町村・事業所等の
バックアップや困難事例への対応等が、センターへの直接
の相談の増加等により十分に発揮されていない。
発達障害者支援体制整備(地域生活支援事業)
●発達障害者支援地域協議会
●アセスメントツールの導入促進
地域を支援するマネジメントチーム
市町村
体制整備支援(2名)
全年代を対象とした支援体制の構築
(求められる市町村の取組)
①アセスメントツールの導入
②個別支援ファイルの活用・普及
地域支援機能の強化へ
●市町村・関係機関及び関係施設への研修
●ペアレントメンター(コーディネータ)
事業所等
発達障害者地域支援マネジャーが中心:6名程度
・原則として、センターの事業として実施
・地域の実情に応じ、その他機関等に委託可
困難ケース支援(2名)
困難事例の対応能力の向上
(求められる事業所等の取組)
対応困難ケースを含めた
支援を的確に実施
医療機関
医療機関との連携(2名)
身近な地域で発達障害に関する
適切な医療の提供
(求められる医療機関の取組)
①専門的な診断評価
②行動障害等の入院治療
発達障害者支援センターの概要
厚生労働省
相談支援・発達支援・就労支援全体の推移
実支援件数
補助
都道府県・指定都市
30,749
障害者総合支援法に基づく都道府県地域
生活支援事業として実施
38,023
45,135
51,081
57,236
63,421
67,971
68,438
68,571
H23
H24
H25
H26
15,903
(平成27年4月現在のセンターの設置)
直接実施:25カ所
委託(社会福祉法人等):53カ所
H17
H18
H19
H20
H21
H22
※医療法人,地方独立行政法人も可
発達障害者支援センター
(67都道府県、政令市で設置)
①相談支援(来所、訪問、電話等による相談)
②発達支援(個別支援計画の作成・実施等)
③就労支援(就労に向けての相談等)
発達障害児者 ・家族
支援
連携
④調整のための会議やコンサルテーション
⑤障害者総合支援法第89条協議会への参加
(体制) 職員配置:4名程度
・管理責任者
・相談支援担当職員
・発達支援担当職員
・就労支援担当職員
都道府県が別途配置する
「発達障害者地域支援マネ
ジャー」と緊密に連携する
⑥研修(関係機関、民間団体等への研修)
⑦普及啓発・研修
関係機関
児童相談所、知的障害者更生相談所、福祉事務所、
保健所、精神保健福祉センター、医療機関
障害児(者)地域療育等支援事業実施施設、
児童発達支援センター、障害児入所施設、
教育委員会、学校、幼稚園、保育所、
公共職業安定所、地域障害者職業センター、
障害者就業・生活支援センター等
地域住民、企業
発達障害者支援地域協議会(イメージ)
○発達障害者支援地域協議会の構成(都道府県、指定都市に設置)(発達障害者支援法19条の2第1項)
都道府県は、発達障害者の支援の体制の整備を図るため、発達障害者及びその家族、学識経験者その他の関係者並びに医療、保
健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体並びにこれに従事する者により構成される発達障害者支援地域協議
会を置くことができる。
○発達障害者支援地域協議会の機能(発達障害者支援法19条の2第2項)
前項の発達障害者支援地域協議会は、関係者等が相互の連絡を図ることにより、地域における発達障害者の支援体制に関する課題
について情報を共有し、関係者等の連携の緊密化を図るとともに、地域の実情に応じた体制の整備について協議を行うものとする。
都道府県・指定都市
発達障害者支援地域協議会
相談、コンサルテーションの実施
○発達障害者支援センター
・発達障害者及びその家族からの相談に応
じ、適切な指導又は助言を行う。(直接支援)
・関係機関との連携強化や各種研修の実施に
より、発達障害者に対する地域おける総合的
な支援体制の整備を推進(間接支援)
○発達障害者地域支援マネジャー
・市町村・事業所等支援、医療機関との連携
及び困難ケースへの対応等により地域支援
の機能強化を推進
※原則として、発達障害者支援センターに
配置
1)自治体内の支援ニーズや支援体制の現状
等を把握。市町村又は障害福祉圏域ごとの
支援体制の整備の状況や発達障害者支援
センターの活動状況について検証
2)センターの拡充やマネジャーの配置、その
役割の見直し等を検討
3)家族支援やアセスメントツールの普及を計画
※年2~3回程度開催
派遣・サポート
研修会等の実施
○家族支援のための人材育成
(家族の対応力向上)
・ペアレントトレーニング
・ペアレントプログラム
(当事者による助言)
・ペアレントメンター 等
○当事者の適応力向上のための人材育成
・ソーシャルスキルトレーニング 等
連携
○アセスメントツールの導入促進
・M-CHAT、PARS 等
連携
展開・普及
市町村
1)住民にわかりやすい窓口の設置
や連絡先の周知
2)関係部署との連携体制の構築
(例:個別支援ファイルの活用・普及)
3)早期発見、早期支援等(ペアレントトレーニング、ペアレントプログラム、ペアレント
メンター、ソーシャルスキルトレーニング)の推進
・人材確保/人材養成
・専門的な機関との連携
・保健センター等でアセスメントツールを活用
9.児童発達支援管理者と障害児相談
支援専門員の関係と役割
社会福祉法人柏学園
柏学園相談支援事業所
金丸 博一
支援提供プロセスの連携イメージ
-本人・家族を中心において-
終 結
モニタリング・
評価
支 援 利 用
終了時評価
中間評価と修正
個別支援計画の実施
個別支援計画の作成
個
別
支
援
会
議
支給決定後の、
ア セ ス メ ン ト
管理責任者
支
給
決
定
相談支援時の状況把握
ここは
児童発達支援 大切!
サービス担当者 会 議
Aさん
障害児支援利用計画案の作成
アセスメント
課題分析
相 談 受 付
トータル
プランの
作成
関係者による事前の連絡会議
または、各機関の子どもの評価・
方針の確
認
相談支援
専門員
障害児支援利用計画の作成
障害児相談支援専門員による「つながる」支援
①地域でサポートするための
チームを作り、ネットワークを組
織する。
②本人・家族や環境、生活全体
に関する様々な情報や知識、技
術の共有、ニーズ、支援方針を
確認して統括する
本人・家族、支援者が
混乱しないように障害
特性の理解、適切な支
援方法を共有する
①障害児支援利用計画を参考
にして、事業所内で個別支援会
議を開き、個別支援計画を作成
する。
②それぞれの支援の提供状況、
目標の達成状況、本人の状況に
ついて評価を共有する
児童発達支援管理責任者による「深める」支援
しかしながら、現実は・・・
(下記のことについては全ての地域に当てはまるわけではありません。全国的に児童の分野の
現場から、よく聞こえてくる声の内容です。)
障害児支援利用計画と
個別支援計画って、
なぜ二つも必要?
個別支援計画だけでは
だめなのかな?何だか
面倒だな~
子どものことはよくわからないしなぁ。支援会議を行っても、
二回目以降は15分くらいで話が出なくなっちゃうし…
困ったなぁ。何をどう進めたらいいのかな?
先日は、利用計画を事業所に届けたら、
「はいはい、そこに置いておいてください。」って、
顔も見られなかったなぁ・・・愚痴ばかりになっちゃう!
児童発達支援管理責任者
障害児相談支援専門員
障害児相談支援とは?
• 障害児相談支援は、児童福祉法に規定する障害児通所支援の支給決定
を受ける際に作成する障害児支援利用計画にかかる業務を行うが、本来
は障害児通所の利用相談から始まるのではなく、発達が気になるなどの
子育て相談から、保護者の障害受容に寄り添いながら、就学、進学、不登
校、就労と、必要に応じ、計画にかかること以外に多大な時間をかけてい
くものである。
• 計画に関しては、通所支援だけでなく、障害福祉サービスの利用や、保育
所・幼稚園・学校などでの支援、子育てサークルなどインフォーマルな地
域資源なども組み合わせた、①子どもの成長のため、また②家族が前向
きに子どもと向き合い、家族のきずなを深めていくため、さらに③地域の
中にその子どもの理解者を一人でも多く増やすために、様々な工夫と配
慮がなされた内容であるべきである。合わせて、地域の関係機関を結び
つけていくために、参考となる情報が盛り込まれているべきである。
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作
成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。
• 児童発達支援管理責任者として、児童期における相談支援について、そ
の役割がイメージできないまま、職務に就かれている方が少なくありませ
ん。また現実としては、相談支援専門員の作成した利用計画は、事業所
にとってあまり参考にならないものが多いと言われることがあります。研修
では、目指すべき方向を示していくことが大切ですので、4枚目のスライド
の「障害児相談支援とは?」について、しっかりと伝えてください。
• さらに、児童期の相談支援体制についてしっかりと示していただきたいと
思います。できれば、貴都道府県の先進的な市町村における児童期の相
談支援体制について、現状を示していきましょう。その中では自立支援協
議会における「こども部会」(発達支援部会、特別支援教育部会など・・・)
の活動の様子を、示していくことも大切です。
• 児童専門の相談支援専門員が地域の中で活躍しているところは少ないも
のです。今後も児童発達支援管理責任者が、地域の中で重要な役割を担
わないと、地域の児童福祉は向上しないことも研修でお伝えください。
乳幼児期における
障害児相談支援専門員は
•
•
•
•
•
•
地域の子育て支援ネットワークの一員とし
ての役割を担う
地域及び圏域の療育機関に関する情報を
細かく知る
ノーマライゼーション、インクルージョンに
ついての意識を持ち、地域のあらゆる子
育てに関する資源にも目を向ける
アセスメントに関する情報は、家族からだ
けではなく、可能な限り多くの所から得る
養育者の養育に関する価値観とその環境
を細かく観察した上で、子どもの発達の支
援として、ベターな選択肢を関係者からの
情報をもとにいくつか準備し、療育的な支
援を中心とした利用に関する計画をたてる
支援利用に関する計画を立てる際、何度
も各児童発達管理責任者等との連携を持
ち、各事業所が納得できるようなプレゼン
テーションができる力量を持つ
学齢期における
障害児相談支援専門員は
•
•
•
•
•
•
地域の療育支援・特別支援教育ネットワー
クの一員としての役割を担う
地域及び圏域の学齢期における療育機関
に関する情報を細かく知る
ノーマライゼーション、インクルージョンにつ
いての意識を持ち、地域のあらゆる社会資
源にも目を向ける
アセスメントに関する情報を、家族からだけ
でなく、可能な限り多くの所から得る
養育者の養育に関する価値観とその環境
を細かく観察した上で、子どもの発達の支
援として、ベターな選択肢を関係者からの
情報をもとにいくつか準備し、支援の利用
に関する計画を立てる
サービス利用に関する計画を立てる際、何
度も特別支援教育コーディネーター等との
連携を持ち、各関連機関が納得できるよう
なプレゼンテーションができる力量を持つ
乳幼児期における
児童発達支援管理責任者は
•
•
•
•
•
•
地域の療育支援ネットワークの一員として
重要な役割を担う。また、保健師との連携
を常に持ち、できれば健診のフォロー体制
の構築に寄与する
地域及び圏域の療育機関の中で、自事業
所の地域での役割と立ち位置を常に意識
する
ノーマライゼーション、インクルージョンに
ついての意識を持ち、退園の可能性とそ
の時期をイメージする
アセスメントに関し、自事業所のスキルを
高める
担当の作成した支援計画について、家族
への支援と子どもへの発達支援がバラン
スよく考えられているか等をチェックし、モ
ニタリングの時期が適切かを判断する
事業所の窓口であり、送り出した後のアフ
ターケアの責任者としての自覚を持ち、障
害児相談支援専門員に必要な情報を提供
していき、自らも支援会議等に出席する
学齢期における
児童発達支援管理責任者は
•
•
•
•
•
•
地域の特別支援教育ネットワークの一員と
して重要な役割を担う。また、特別支援教
育コーディネーターとの連携を重視し、特
に進級、進学の際に関係者との連携に努
める
地域及び圏域の療育機関と放課後支援機
関等の中で、自事業所の地域での役割と
立ち位置を常に意識する
ノーマライゼーション、インクルージョンに
ついての意識を持ち、将来の社会生活の
ために必要なスキルを意識する
アセスメントに関し、自事業所のスキルを
高める
担当の作成した支援計画について、保護
者のニーズだけに対応した支援計画にな
らないことと、子どもへの発達支援の視点
も組み込まれているかを等をチェックし、モ
ニタリングの時期が適切かを判断する
事業所の窓口であり、送り出した後のアフ
ターケアの責任者としての自覚を持ち、障
害児相談支援専門員に必要な情報を提供
していき、自らも支援会議等に出席する
障害児相談支援専門員と児童発達支援管理責任者
との関係を作っていくために実施したいこと
本人・家族の承諾のもとで
• 障害児相談支援専門員は、障害児支援利用計画案を
立てる時、(更新・モニタリングの際は、利用している事業所の
子どもの様子を実際に観察することは大切です。)また立てた
後で、関係者にその内容を伝え、事業所の意見を十分
に把握した上で、正式なプランを作成していきます。
• 正式な障害児支援利用計画は児童発達支援管理責任
者の手に届けていく。(もらえなければ、児童発達管理
責任者は声に出して受け取っていくこと!)
• 児童発達支援管理責任者は、障害児支援利用計画の
内容に納得をした上で、自事業所における個別支援計
画を作成し、障害児相談支援専門員に届けていく。
児童発達支援管理責任者は・・・
• 障害児相談支援専門員の示した障害児支援利用計画を
参考にして、自事業所が展開する支援を、必要なだけ、子
どもとその家族に提供することになります。(受給量に関して
事業所から直接家族に増やしていくことを勧めるということは、特
別なケースを除いて、適切ではありません。事業所以外の第三者
の視点から、受給量を提案していくという仕組みがベースであるこ
とは理解しておきましょう。)
• 事業所が提供する支援内容についての具体的な個別の
支援計画を担当に作成させ(あるいは自身が作成し)、家
族の承諾を得て、適切に支援が自事業所で提供されてい
るかをチェックし、モニタリング時などに障害児相談支援専
門員に支援提供の状況を報告していく、といった流れが、
主な児童発達支援管理責任者と、障害児相談支援専門員
の関係と理解しておきましょう。
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作
成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。
• 本講義は、当然ながら児童発達管理責任者が、相談支援専門員とどのよ
うに連携を取るか、どう連携すべきかを説明することが目的です。講義で
は、「児童発達管理責任者は」を主語とし、どう動くのか?なぜそうするべ
きなのか?を明確にして伝えることが大切です。このひとつ前のスライドを
きちんと説明するために、前後の資料があるのだと考えてください。
• 都道府県研修におきましては、本テーマについての講義について、まず、
児童期においては、専門的な視点から様々な評価や方針を、すでに持っ
ている機関もあることから、相談支援専門員が立てる利用計画の「案」が
できていく過程の、支給決定前における事前の関係者会議が大切となり
ます。その点は強調して下さい。
• ひとつ前のスライドの「必要なだけ」とは、「子どもが」を最優先として考え、
「家族が」の部分とのズレを修正していくために、根気のいる話し合いを繰
り返すことも大切です。事業所が勝手に考え、家族から言われたまま支援
を提供していく「必要なだけ」ではないことは、しっかりと伝えましょう。
• 子どもの相談支援って何のためなのかを理解して
いないと児童発達支援管理責任者からの愚痴が多
くなります!
• ①子どもの相談支援専門員が育っていない、②何
人の児童の相談支援専門員が地域に必要なのかと
いう視点で市町村行政の担当者も巻き込んで考え
ていない、③子どものための自立支援協議会が機
能していない、④障害福祉計画にこれから生まれ
てくる障害を持つ子どもや、診断を受けていく子
どもの数とその受け入れ先について、根拠を持っ
た数字を考えていない・・・ということをもっと
真剣に考えていきましょう!
障害児相談支援体制が整っていくまで・・・
• 児童畑で経験豊富な児童発達支援管理責任者は、当面の間、障害
児相談支援専門員が地域に育ってくるために、力を分けて下さい!
当面の間、できあがった個別支援計画の中身をていねいに、相談支
援専門員に説明して下さい。そして、「うちの事業所ではここからを
しっかり考えるので、この点についてあなたには頑張って考えてほし
い。」と、相談支援専門員にやさしく情報提供して下さい。また、児童
のことはわからないと言っている障害児相談支援専門員がいれば、
温かいまなざしで、子どもの中で遊ぶ機会を提案して下さい。さらに、
個別支援会議を自らが計画して実施し、ご家族の承諾を得ていき、
その会議に障害児相談支援専門員を呼びましょう!保護者の方とは、
公的サービスの利用ペースについて、今一度サービスを使いすぎて
いないかも含め、ホントに子どもはそれでいいの?子どもは疲れてい
ないかな?という問いを投げかけましょう。一方で、できれば地域の
中で児童発達支援管理責任者が集まる機会を作っていきましょう。
障害児相談支援体制が整うまでに留意したいこと
• 個別支援計画と障害児支援利用計画の間には、上下関係はもちろん、
どちらが先かということもないと考えていくことが、現実的な解釈となり
ます。どちらからの提出でも、互いに温かく受け止めていくようにした
いものです。
• 相談支援体制は何のため、誰のためなのかを何度も確認していきま
しょう!運営的に成り立たないという声は特に相談支援事業所で大き
いのですが、本人と家族はもちろんのこと、行政としても、事業所とし
ても、この体制を進めることで、先々は利になる部分があることを、何
度も確認しましょう。
• 子どもの朝の姿、ご飯を食べる姿、お風呂の時の姿、買い物に行って
いる時、床に入ってからの姿など、生活している様子を確認しながら、
一日、一週間をイメージし、関係者と共有することが、児童期における
「連携」ということではないでしょうか。(それを取りまとめ、イメージの元を
作っていくのが、障害児相談支援専門員の大切な仕事の一つです。)ていねいに
時間をかけて、その協働作業をやっていきましょう。
児童発達支援管理責任者は・・・
・ 子どもの発達上の課題とその家族がより前向きに生活していける
よう「深める」支援を展開していくための事業所の責任者です。(自
事業所を中心に、事業所内のスタッフのスキルアップを常に考え
ての活動をし、子どもに応じて地域の中に出かけます。)
障害児相談支援専門員は・・・
・ 家庭と児童期における地域の関連機関(保健師・幼稚園・学校等)
とを「つなげる」支援を展開していくための地域の責任者です。(担
当する地域全体が活動の場です)
子どものために
地域の中を
駆け回る!
1.送る
2.受けとめる
5.地域内の調整
障害児
相談支援専門員
腰を据えて、
子どもの
成長を
考えていく!
3.事業所内の調整
4.返す
児童発達支援
管理責任者
子どものことは、初めてでして・・・
何からやったらいいのか・・・
いきなり、児童発達支援管理者になれって、
上司に言われ・・・
ホントに私にできるんでしょうか?
頭が痛い毎日です。
児童分野
あの事業所の児童発達管理責任者の方、
いつも自信たっぷりに話をして、
障害のことは何でもわかっています!
という言い方するけど、どうして
そんなに自信があるのかな~
アルアル
あのお母さんって、子どもの今の発達を
どうしてわかってあげられないのかしら。
もう少しわかってあげたら、
子どもも伸びるのにね~
重
要 このシステムが機能していくためには、多くの課題があります。
• 障害を持つ児童の支援に関しては、地域にもよりますが、保健師、総
合病院の小児科医、児童相談所心理判定員、児童発達支援センター
園長あるいは主任保育士といったスタッフが中心となっているところは
多いと思います。そうした流れの中で、これからは障害児相談専門員
と児童発達支援管理責任者が、地域のキィーマンとして活躍するよう
になってほしいものです。そのためには、様々な仕掛けが必要です。
地域の子育てネットワークに相談支援専門員は参画して自身の役割
をアピールすること、児童発達支援管理責任者同士が情報交換する
場を定期的に持つこと、相談支援専門員と児童発達管理責任者の児
童分野に特化した現任研修、または児童期の支援に関する専門研修
の実施、といったことが当面の課題としてあげられます。
• 家族と子どもと事業所だけの話し合いの中で支援が実施されている例
は多く、子どもにとって本当に必要な支援なのかが検討されていない
ケースも多いようです。個別支援会議では、地域と結びつく仕掛けを
考えていきましょう。
重
要 このシステムが機能していくためには、多くの課題があります。
• 児童発達管理責任者は、正直なところ、自事業所の運営に精いっぱい
で、直接支援の中心的役割を担い、送迎の運転もしつつ、フル稼働状
態の所が多いようです。事業所以外の地域の関係者に自らが関わりを
持つことは少なく、家族に言われるまま、必要以上にサービスを提供し
ていくことにばかり熱心な事業所をよく目にします。
• 相談支援専門員は、子どもが利用する事業所に行き、子どもの様子を
見ることは当然必要です。電話等で様子確認するだけで子どもと会っ
ていない、子どもと一緒に遊ぶ時間もない利用計画はあり得ません。
その監視を児童発達管理責任者は行いましょう。
• とても合理的な配慮とは認められない対応を行っている事業所の職員
もいます。経験不足と、障害に対する理解不足が、そうした結果を招い
ており、児童発達支援管理責任者と、地域の相談支援専門員は子ども
の権利擁護のために力を注がなければなりません。
• 本来の相談支援は、子どもの事業所と同じ系列の相談支援事業所が
作成しては意味がないということを理解しておきましょう。
10.支援提供プロセスの実際
社会福祉法人柏学園
柏学園相談支援事業所
金丸
博一
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作
成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。
• 「支援提供プロセスの実際」では、事業所のおける支援の流れを示してい
くことになりますが、大きな目的は、個別支援計画をベースとして一人一人
の子どもの支援を展開していくことにあります。内容の充実した個別支援
計画が作成されないと、支援の流れとしてはOKでも、事業所としては、ま
だまだ十分機能したことになりません。支援計画の中身の質が大切であ
ることを当然ながら強調してお伝え下さい。
• 本講義は事例を使いながら、支援提供プロセスを示していきますが、児童
発達支援管理責任者の役割と出番をしっかりと示してほしいと思います。
研修自体は、個別支援計画を立てていくことに注目が行きがちですが、支
援のプロセスの中で、児童発達管理責任者としての役目を具体的に示し
ましょう。それぞれのプロセスで、児童発達支援管理責任者の仕事はここ
だよね!とお伝えください。常にスタッフを育てることを意識し、事業所が
地域で社会的な役割を果たすことを意識していく仕事であることを、ケース
を通して示していくことが肝要です。
(6)終了時評価
* 就学・卒業等の移行期支援
* 他機関との連携
②支援計画の修正
①支援計画の中間評価
(5)中間評価と修正
(4)個別支援計画の実施
②個別支援計画の作成
①到達目標の設定
(3)個別支援計画の作成
③課題の整理
②基本的ニーズの把握
①初期状態の把握
(2)アセスメント
(1)相談支援時の状況把握
議
会
援
支
児童期は特に互い
に連携を取り合い、
情報を交換しなが
ら、同時並行して
状況把握をしてい
くというイメージの
方が現実的だと思
います。
定期的に
繰り返し!
事業所
における
障害児相談支援事業者との連携
(障害児支援利用計画案/正式な計画)
児童期の支援提供のプロセス
ケースの概要と経過-1
(注:本講義用のケースです。演習で取り上げるケースとは違います。)



ダウン氏症候群。3歳4カ月男児。(B園に入園して二カ月目)初歩は2才6カ月。
妊娠後期、地元の産科医の紹介で、総合病院に転院。出産後間もなく、診断名の告
知。生後、中隔欠損が認められたが、経過観察のまま現在に至る。運動制限が必要
な状態ではない。また同病院で発達検査、各種専門スタッフによる定期指導を受け
ることができたこともあり、3才まではその病院で、診察、療育的関わり等を受けた。
地元の保健師は年に7~8回ペースで訪問を続け、母親の話し相手となってきた。3
歳になって、児童発達支援センターB園を紹介され、すぐに外来療育等指導事業に
よる個別指導を開始。3:3には、B園に入園。通園バスを利用し、単独通園。入園を
機に母親は職場復帰。保育園と併行通園することとなり、週に三日ずつ、それぞれ
の園を利用。
初回アセスメント(生活年齢;3歳1カ月)
使用検査:新版K式発達検査
(枠内数値は、発達指数。括弧内は発達年齢)
歴年齢
全領域
姿勢・運動
認知・適応
言語・社会
3:1
39(437日)
68(761日)
39(439日)
31(347日)
*積み木の塔3個~(+)、円板回転~(+)、なぐり描き~(+)、予期的追視~(-)、
2個のコップ~対応難、釘抜状把握~(+)、紐付き輪を紐で下げること~(+)、
検者とのボール遊び~(+)、指差しについては、「手さし」の状態なので (-) とした。
ケースの概要(3歳2か月時)と事業所の状況-2
(注:本講義用のケースです。演習で取り上げるケースとは違います。)



3歳2カ月時の母親の気持ち:仕事を始めるにあたり、不安は大きい。また、歩けるよう
になって間がないので、ふらつきも多く、特に保育園に通う日は、けがをしないかと心
配。この三年間、この子にかかりきりだったので、子どもの姉(年長児)に対してすまな
い気持ちも膨らんできている。一方では、諦めかけていた仕事に就くことができ、就業
を応援してくれたB園の先生には感謝している。ただマイペースなところがある夫が、
悠然と構え、子どもとなかなか遊んでくれないのに大きなストレスを感じている。何を
尋ねても「なんとかなるさ!」と言っていることにも腹が立ててしまう様子。
入園初日より、単独での通園開始。月曜と木曜と土曜日に利用。通園バスを利用し、
10:00から14:30在園。縦割りクラス(1日定員12名)。土曜は13時まで。月・木曜日は
同じ市内ながら、少し離れたところに住む祖母宅近くに園バス停を設定し、祖母が送
迎する。
事業所では、保護者参加の個別指導(60分)を月に2~3回、クラスごとに実施する母
子通園日は月一日、クラスでは、設定場面は視覚的に楽しめる内容を中心に、集い・
運動・リトミック・造形・クッキング・感覚系の遊びを中心に実施。午後は、子どもの体
力に合わせて、遊戯室・園庭・午睡等を、当日の参加メンバーも考慮して実施。前期・
後期の二学期制。家庭訪問時に目標の設定・修正を実施、個別支援計画は年二回作
成。家庭とのやり取りは日々行い、生活リズムについても、毎日詳細にチェックを実施。
本ケースの個別指導は、土曜日に実施し、母親が参加。
ケースの概要(3歳4カ月時)-3









(注:本講義用のケースです。演習で取り上げるケースとは違います。)
発語は母音中心。このところ、「あっあ~」「おお!」と、音が二つ重なることがある。
要求は手を引いてくるか、手さしで示す段階。
体はやわらかく、椅子に座っていても、すぐにずれてきてしまうので、OTにより、本児
用のいすを先日作成してもらう。そのため座位は、かなり安定してきた。
歩行は、左右に揺れながら、膝をあまり曲げずに歩くようなレベル。階段は幼児用の
手すりを両手で持ち、主に右足から一段ずつ降りる。
入園してからは、体力を考慮し、昼食後は午睡をさせている。
食事は食べこぼしが多いものの、一人で食べる意欲があるため、本児が保持しやす
いスプーン・フォークを作成し、すくい易い食器を準備しただけで、あとは本人が椅子
から立ち上がるまで、身体的な介助はせずに、笑顔で見守っている。
5月の連休明けくらいから、少し余裕が出てきて、朝から笑顔が見られることが増え
てきた。靴箱のところから教室まで20mはあるが、一人で歩いていく。手を引こうと
すると、睨みつけてくる。
クラス以外のスタッフからの声かけで、ハイタッチを楽しめるようになっている。
ペープサートや絵本は口をあけて、じっと見ている。自由遊びの時間にペープサート
を持たせると、本人なりにイメージを再現しているような動作を見せる。
音楽遊びの時は、教室の隅に言って座り込み、嬉しそうにクラスの子が踊ったりする
姿を見ている。
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作
成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。
• ここで取り上げているケースは、3歳のケースです。都道府県研修の多く
の受講生は、学童期の支援を実施する関係者であることを理解した上で、
このケースにしています。それは乳幼児期のケースは、発達支援の視点
を色濃く示せるからであり、また、保護者の心理状態に寄り添いながら家
族支援を進めることが、大切であると強調したいからでもあります。
• 学齢期になり、さらに学齢期後半に入ってからも、幼児期のきめ細かい評
価や支援の視点が必要なくなるわけではありません。成長著しい児童期
全般において、幼児期の支援スタイルを継続してもらいたいものです。
• 説明の時には、時には学齢期のケースのエピソードも交えながら、専門家
の視点が入ると、ケースの捉え方が変わり、日常の関わり方が根本的に
違ってくることもあると伝えていただければと思います。(例えば利き手の
操作の不器用さを問題として考えていたところ、専門家の意見を取り入れ
るうち、椅子の工夫と支持する側への支援により、大きな改善がみられた
といったことがあります。)
(1)相談支援時の状況把握
実施方法
保護者の表情を注意深くくみ取り、寄り添う姿勢が大切!
必要なツール
• 保護者の主訴を、語感や言葉のニュア
ンスも含めて適切に評価し、把握する。
• 主訴に対し、事業所のできることだけを
伝えず、不安や心配事の軽減に努める。
• (相談支援専門員・保健師等、関連機
関からの情報を事前に得た上で)これ
までの経過について把握する。
• 自事業所としての、子どもの状態像に
関する見立て・所見も事前にまとめてお
く。
• 保護者の状況(心理状況、家族状況な
ど)について、失礼のない程度に把握す
る。
• 個人情報の管理については慎重に行う
•
•
•
•
相談支援専門員の作成した障害児
支援利用計画及び基本情報
相談受付表
事業所案内、事業所の利用手続き
説明書
重要事項説明書(契約時)
事例より (3歳0ヶ月)
•
•
•
•
主訴は、病院からの紹介、療育を受けた
い。
母親は就労予定でもあり、不安は大きい。
保育園にも合わせて入所予定。
大人しくずっと母親の膝の上に座ってお
り、笑顔はたくさん示していた。
できれば、初回の面接時に子どもの笑顔を引き出していきましょう!そのための知識と
子どものための環境づくりが児童発達支援管理責任者には必要です。
• 主訴を元に相談を展開していくわけですし、始めの主訴は、当然
ながら大切に受け止めていかなければなりませんが、言葉の通り
に、「主な訴え」とは受け止めない方が良いと思います。
• 「ことばの遅れ」が主訴であっても、まず遅れを指摘したのは姑で
あり、母親はそこでは心配はしておらず、危ないことを平気でやっ
てしまう子どもにどう接したらいいかで困っているということや、もう
少し子育てに参加してほしいと思う夫への不満とそのストレスが、
何より相談にのってほしいことである・・・といったことはよくあるこ
とです。
• 主訴をきっかけとして、訴えを示したご家族の方の頭の中を、緩や
かに整理していくことを、児童発達支援管理責任者は上手に行っ
てほしいものです。一番困っていること、優先度の高いことなどに
ついて、語り合う中で、主訴を示した人自身が気づいていけるよう
に、助言を急がず、温かみのある支援を実施してほしいものです。
• 「家の中ではテレビばかり見ているし、いたずらも多いので、放課
後や休日にできるだけ通わせたい!」と相談をしてきた母親に対
し、「わかりました。当事業所が、今対応可能な日は~です。他の
日も受け入れられる日があればすぐ連絡します。できるだけ通っ
てください。」などと即答している事業所もあるようです。
• 子どもの睡眠の様子、学校での状況、放課後にテレビの他に楽し
みにしていること、家族でのお出かけでの様子、普段の買い物で
の様子等々、月曜から日曜まで、朝から就寝までの様子を知らず
に支援を行って良いのでしょうか?
• 子育ては大変でも、もう少し関わることで、親としての喜びにつな
がることがあります。子どもの方は、日中の大きなストレスを、夕
方からのだらだらした時間で補っていることもあります。すぐに利
用を勧めることが支援とはならないこともあることを、十分に意識
しましょう。
(1)児童発達管理責任者として、大切にしたい視点
• 気軽で身近なアクセス先になるように、事業所の提供内容を事業所
運営者とともに地域に発信していく。
• 相談者が初めて訪れたときに、分かりやい支援内容の提示と、親し
みやすい雰囲気づくりに配慮していく。
• 相談者の基本情報、主訴、これまでの経緯を過不足なく収集するた
めに、事業所職員の後方支援を行う。その際、相談支援専門員との
連携は児童発達管理責任者が率先して行っていく。
• 事業所職員が相談者の質問や要望に適切に答えているかのチェック
を定期的に行っていく。
• 事業所の職員が必要な場合に他機関紹介ができるように、地域の情
報を整理していく。
• 個人情報保護については、児童発達管理責任者が職員に徹底して
いく。
• 紹介元への必要な連絡(結果の報告等)を、中心となって行う。
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作
成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。
• 支援プロセスの流れをイメージしていくため講義です。事例をうまく話
の中にはさみながらお話し下さい。
• 「実施方法」とは、支援プロセスの中でその事業所で行う主なことです。
児童発達支援管理責任者の役割を示しているものではありません。
• 「必要なツール」とは、事業所が実施する内容に関し、予め準備した
方が良いと考えられるものの例です。事業所として準備しておいた方
が良いものですから、担任・担当者が決まるまでは、児童発達管理責
任者による指示、助言のウェートは高いと考えられます。
• 「大切にしたい視点」は、児童発達支援管理者としての視点を示して
います。事業所が適切な支援の提供をできているかを振り返り、大切
な視点をチェックした上で、事業所のスタッフがそれぞれの役割を発
揮できるようにしていくことが、児童発達支援管理責任者の仕事であ
り、そこを怠ると職員が育っていかず、早期退職につながることを、お
伝えください。
(2)アセスメント ①初期状態の把握
実施方法
•
•
•
•
発達検査、あるいは障害に応じた適
切な評価を実施し、身体状況や心
理・発達状況など状態像の客観的な
把握に努める。
•
聴取により生育歴、発達歴などこれ
までの状況について、さらに知って
おきたいことを把握する。
必要な場合には、保護者の許可を
得て、他機関からの情報を入手する。
発達の状態を知ることにより、過剰な声かけ、
過度な介助などの関わりを避けることができま
す。少なくとも知らずに支援することの怖さを認
識しておきましょう。
必要なツール
心理検査
発達検査、知能検査など
(フォーマル検査)
発達評価表
(研究機関等によるもの、
事業所固有のもの)
事例より(3歳1ヶ月)
•
•
•
音の出る玩具、もののやり取りを繰り返す
こと、ボール投げ(投げたものを急いで取り
に行って渡すと笑顔)に興味を示した。
自ら次々と遊ぶことはない。動き回ることも
なく、他の子どもの様子を見て楽しんでいる。
慣れてからのスキンシップは抵抗なく受け
入れてくれた。
(2)ー① 児童発達管理責任者として、大切にしたい視点
検査の結果
を伝えただけ
では、保護者
の不安は増
大することが
多いものです。
検査結果か
ら見えてくる
これからの目
標や、日頃
家庭で留意
した方がよい
ことを丁寧に
説明できるよ
うになり、初
めて子どもの
成長を支援
する事業所と
してのスター
トラインに立
てるのだと考
えていきま
しょう。
• 子どもの状態に応じ、自事業所の支援に役立つ適切な評
価ツールを準備し、どの職員もそのツールが理解できるよ
うに研修の機会をつくる。
• 他機関の評価、保護者からの情報を含め、評価に必要な
情報収集ができるような職員に育て、またそのためのルー
ト、人脈、方法を職員に具体的に示す。
• 評価の結果を、保護者に分かりやすく、子どもの一人ひとり
の生活の実態に合わせて、具体的な説明できる職員を育
てていく。また評価の結果が、事業所の支援にどのように
活かしているかを、保護者に説明できる職員を育てる。
例えば、子どもがご飯を食べる時に使用するものは、
手の操作レベル、言葉の理解のレベル、姿勢の状態、
子どもの意欲、保護者の思いなどを総合的に評価し
て、決めていくことになります。
• 発達検査により、例えば聴覚系の記憶容量が2つのレベルであり、
3つになるとその情報が混乱する子どもの場合、A・B・Cの順列の
聴覚刺激の情報のうち、大きくはA・Bが入り易いタイプと、B・C、A・
Cのタイプとの三つに分かれてきます。B・Cのタイプなら、声をかけ
た時、「鉛筆とノートを片付けます。」といった内容なら、ノートだけ
を片付けたら、よく反応できたことになります。A・Cのタイプなら、
「先生にノートを渡しましょう。」の声かけで、先生にノートでないも
のを渡しても、指示が聴けなかったことにはなりません。
• 子どものことを細かく評価していないと、間違った対応になってし
まうわけですから、わからないでは済まされないのです。できない
ことには理由があり、上記の例の場合は、声かけの仕方を工夫す
るだけで、「よくできました!」と褒めることは多くなります。発達の
評価の重要性を、児童発達支援管理責任者が、改めて肝に銘じ
ていきましょう。
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作
成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。
• (2)アセスメント ①初期状態の把握 の部分で示していることは、全ての
児童発達支援センター、児童発達支援事業所、放課後等支援事業所で実
際に実施できているわけではないようです。保護者のレスパイト支援を中
心に事業を展開したり、保護者の就労支援をメインとして子どもの受け入
れを実施したりする事業所においては、示されたことをしっかり行わなくて
も、事業は成立します。しかしながら、自らが言葉で要求や希望を示せな
いことが多い児童期において、「本人のニーズ」が不明確なまま支援を行
う以上、子どもの発達段階をしっかりと把握し、発達段階に沿った関わりを
考えていくことが、子どものニーズを満たしていく支援になると考えられま
す。そこで、児童期の場合、子どもの自尊心や主体性を育てながら発達上
の課題を達成させていくことを「発達支援」とし、「子どものニーズ」につい
ては、「発達ニーズ」といった言葉に置き換えることがあります。いずれに
しても、基本としては十分に研修を重ね、初期のアセスメントで発達チェッ
クができる事業所となるよう、受講生にお伝え下さい。
(2)アセスメント ②基本的ニーズの把握
実施方法
できれば、ご親族の方々の状況、
思いも、失礼のないようにして、
聞かせていただきたいものです。
•
相談時の面談、初回アセスメントの情
報等を整理して、子ども、母親、父親、
それぞれのニーズを把握する。
•
それらのニーズにずれはないか、その
有無を把握する。
•
面談時の情報、発達評価結果
事例より(3歳2ヶ月 入園の前月)
•
保護者の思いをていねいに整理していきましょう。
また、保護者のニーズは、昨日と今日は変わると
ころもあることを、十分に理解しておきましょう。
「先日はこうおっしゃっていましたよね!?」という
言い方は好ましいものではありません。
必要なツール
•
•
週に6日間、集団生活に入っていくこと
で、体力的に持つかどうかは心配。事業
所、保育所ともに無理をさせない日課の
設定をまず考えたい。
母親の思い~自身の就労のこと、二人
の子どものこと、夫を今ひとつ頼りなく感
じることで混乱気味
父親の思い~母親の再就労は早すぎな
いか?協力はしていきたい。保育所では、
友だちを作ってほしい。
(2)ー② 児童発達管理責任者として、大切にしたい視点
• 子どもの「発達ニーズ」が適切に把握できる職員を育てていくために、研修を
充実していく。
• まずは児童発達管理責任者が、父親、母親、家族の思いを丁寧に聞き取り、
理解し、主訴として把握していく姿を、職員に見せていく機会を持つ。
• 保護者の思いを整理し、夫婦間(祖父母も含めての家族間)の思いのずれを
受けとめた上で、事業所としてできる家族支援を、ケースによっては児童発
達支援管理責任者が、職員に提案していく。
*「発達ニーズ」とは、「子どもが暮らしの中で必要とするもの」であり、「子
どもの本音」であり、「子どもが欲求しているもの」です。子どもの健全な
日々の生活と成長を保障していくために、子どもが 「快感」「喜び」「満足
感」「達成感」「活動欲求」「愛情のある関わり」 等を得られるよう、多くの知
識と情報を持ち合わせていきましょう。
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作
成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。
• この講義用のスライドの3枚目で使っている、以下の表題の図について、
児童期の支援提供のプロセス
都道府県研修の講義の際には、各プロセスを図の順に説明していくわけ
ですが、講義用のスライドとして、各プロセスの説明に入る度にこの図を
示し、「今からはここの部分を説明します」と伝えてから、説明していかれ
ることをお勧めいたします。
・ 「②基本的ニーズの把握」における事例の状況としては、子どもの状態と
して、体力的に大丈夫なのかという心配と、母親の気持ちとしては、入園
を前に不安でいっぱいなところ、父親はどうにか支えになろうとはしている
のだが、結果的には母親の気持ちに寄り添うことができていないといった
状況をお伝え下さい。こんな状況の母親にどう声をかけるべきか、時間が
あれば、受講生に尋ねてもいいですね。
(2)アセスメント ③課題の整理
必要なツール
実施方法
• 基本的ニーズの把握に基づき、課
題を整理する。
•
支援項目ごとの課題の整
理表
事例より:大まかな課題の整理
• 支援項目ごとの内容と方法は、保
護者の同意を得ながら進める。
• 併用する他の機関がある場合は、
必要に応じて、他機関と役割分担
と協働による支援を実施する。
<子どもへの支援>
・移動の時間を大切にし、自分の力でゆっくり
目的のところへ行けることを重視。
・活発に子どもの模倣をする段階ではなく、
大人が寄り添いながら、一対一の遊びを
設定。
・園生活の中に休養の時間を多めに設定。
<家族への支援>
・個別指導の時間にプラスして、当面は園で
の様子をこまめに伝えていく
・入園後に父親‐母親同堰の話し合いの機会
の設定
(2)-③ 児童発達管理責任者として、大切にしたい視点
• 子どもの担任が、列挙された発達のための課題、家族支援のため
の課題に優先順位を付けて整理した上で、支援を実施できているか
をチェックしていく。時には、緊急度、効果、般化度、家族の方の納
得状況などを勘案し、児童発達管理責任者が現実的に実施可能な
支援内容かどうかを判断していく。
• 発達支援の課題と家族支援の課題には関係性があり、どちらを優
先すると有効なのか、何から解決していくことが必要なのかを評価し
ていく
• ケースの状態に応じ、他機関との連携・役割分担を確認した上で、
子どもの担任に適切かつ実施可能な支援の方向性を示していく。
課題としては重要であることが確認されつつも、自事業所では取り組むこと
が難しいということがわかれば、直ちにそのための手立てについて、相談
支援専門員を始め、他機関へヘルプコールを出していきましょう。
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作
成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。
• 経験を積み、子どもの支援に少し慣れてきたら、課題の整理の整理を行
わずに、いきなり個別支援計画の作成から始めて良いのですが、ケース
カンファレンスなどで、時折課題の整理を行うことは大切であると強調しま
しょう。
• ニーズとして『言葉が増えてほしい』という話があったから、支援目標に
『言葉が増えるように支援します』では、子どもを大切にした支援とは考え
にくいものです。言葉が遅い⇒初歩は二歳過ぎだった⇒手先の操作につ
いては1歳過ぎのレベル⇒言葉を発する段階ではない⇒子どもなりに自分
でやりたい気持ちは芽生えている⇒好きな遊びの中で(一歳前半のレベ
ルの玩具遊び)繰り返して一人で遊べる遊びは増やしたい・・・といったよう
な実際の姿と評価・子どもの姿から考えられること・子どもが得意とするこ
とを確認した上で、現実的に課題となることを推測し、初めて支援目標が
見えてきます。課題の整理がしっかりできないと、個別支援計画は立てら
れないはずです。そうした説明をして下さい。
個別支援計画を立てる前に整理しておきたい項目の例
(乳幼児期のケース)
<子どもへの支援>
・全体的発達支援:運動・認知・社会・言語
・子どもが力を発揮しやすい環境を再評価し検討
・短時間ながらまとまった一連の行動の習得
・遊びの中での活動の調整、子どもに合った生活リズムの検討
<家族への支援>
・子どもへの発達状況理解と関わり方の支援
・父親‐母親の育児への協力関係づくり、兄弟姉妹への関わり方
・母親の育児負担感の軽減
<地域支援>
・これまで関わってきた保健師との情報交換及び、事業所としてどう
いった支援を行っていくかの説明
・保育所との連携~まずは、一回目の連携をいつ行うか?また、保
育所等訪問支援事業をどの時点で開始していくか
*本講義での事例における課題の整理の例
課題の整理表
№
発
達
支
援
家
族
支
援
地
域
連
携
子どもの名前
○川 金タロ さん
初期状態の評価
(利用者の状況
・環境の状況)
支援者の気になること
・推測できること
(事例の強み・可能性)
解決すべき課題
*今はとにかく、B園で
も保育所でも、その生
活に慣れていってほし
い。
B園のクラスに体験で入った時は
笑顔は少し見られ、母親に抱かれ
て、子どもの様子をよく見ていた。
大人との一対一での遊びでは、反
応はよく、対人興味は良好。
体力的にはまだ1歳後半くらいの状
態。まだまだ疲れやすい状態にある。
スキンシップを求め、笑顔はさらにた
くさん引き出せていけると思う。自分
でやろうとする自我は芽生えている
集団の流れとは別に、ゆっくりと過ごせ
る時間の設定は大切ではないか。
その中でも本人なりにできることは、手
を出しすぎないようにして、見守っていけ
るよう配慮すべき。
*まだしゃべることが
できない。焦ってはい
ないが、たくさんしゃ
べるようになってほし
い
認知面、手先の操作性のレベルは
一歳前半で、口腔機能だけでなく
全般の筋力の弱さ等を考えると、
まだ発語が出てくる段階ではない。
関心があることはよく注目し、繰り返し
て何度も遊んで楽しむことができる。
何でも緊張はしやすく、慣れるまでに
時間はかかるが、気を許すと積極的
に人と関わろうとする姿も見られる。
言葉の発達に関しては、時期を見て両
親に対し、どのような発達になるのか見
通しを示していく機会を持つことは必要。
表現としては、動作模倣と日常的な生活
場面でのジェスチャーの獲得の段階。
*保育所では友だ
ちを作ってほしい
(おとうさん)
子どもが遊ぶ様子を見ていること
はある。持っているものをとられた
時は、きょとんとしていた。
個別指導を行う部屋では、大人が
行う手遊びやペープサートによく注
目していた。
机上で一つの玩具でよく集中して遊
べる子がいると、じっと見ていることが
あった。活発に遊ぶ子どもに対しては、
その動きを追いかけることが難しそう。
金タロくんが喜ぶ遊びは、少しでも多く
具体的に両親に伝えていきたいところで
ある。大人との遊びが、今は最も刺激が
あることになることも伝えたいところ。
*母親は父親に対し
もっと子どもと関わって
ほしいと感じている。ま
た長女に対し、しばらく
放任だった気がしてい
る。
父親とゆっくり話す機会はないが、
一度会った感じは、愛想のよい優
しそうなお父さんではあった。タロく
んの姉は、はきはきした口調で話
しをする。明るく元気な印象。
子どものことで頭がいっぱいになって
いる母親を、そっと見守っている父親
ではないか。母は子ども二人のことと
自分の就労のことで混乱気味なので、
寂しい思いをしつつ、今の状況を受け
とめているかもしれない。
父親の言い分をしっかりと受け止めてい
く機会は作っていきたい。タロくんの姉は
母親そっくりのタイプとも感じる。似てい
るからこそ生じる子育てに関することを、
一度話しをしていき、励ましたい。
*保育所との併行
通園となる
送迎のことを考えて選んだ保育園。
規模的にはやや大きめで、タロくん
の入るクラスは、27名で二人担任。
クラスには他に担任が気になっている
子が二人いる。その子らのことも含め
加配職員が一人つくことになった。
定期的に連携をとっていくことは、保育
園園長としては大歓迎とのこと。その頻
度と連携の仕方について、近く具体的に
決めたい。
発達ニーズ・意向等
の把握
• アセスメントに関しては、例えば「母親自身のストレスと不安が大
きいので、ひとまずできるだけ多く、放課後は当事業所で子どもに
は過ごしてもらおう。」ということもりっぱな評価です。その際に、そ
の「ひとまずできるだけ・・・」というのが、半年なのか一年なのかま
で評価してほしいものです。
• 「この子が生まれ、障害を持っていたからこそ、私は初めて親にな
れたのかもしれない。」といったことを話す親たちは多くいます。そ
して、「あの時に自分を見つめる機会ができたから、今の私がい
る。」と話す親もいます。
• 親が親としての役割を果たし、親としての喜びを少しずつ感じてい
くための支援も展開しなければなりません。そのために、他機関の
意見も聞き取りながら、必要な支援を必要なだけ提供できるよう、
課題の整理を行っていきましょう。
(3)個別支援計画の作成
実施方法
•
支援項目の課題に基づき到達すべき長
期目標と短期目標を定める。
•
時間(支援期間)と領域(支援内容)とい
う2つの観点から個別支援計画を作成
する。
•
到達目標は、時間軸を通して段階を踏
んで達成される。
•
保護者の意見や希望を確認しながら作
成し、保護者の同意を得る。
必要なツール
•
個別支援計画表
事例より(3歳4カ月時):課題の整理をもとに
・長期目標(1年)~できるだけ体調を崩さずに各園に通
えるよう、休養の取り方には十分気をつけて過ごし
ていきましょう。
・短期目標(3~6カ月)
・ 毎日午睡の時間は確保し、他の時間帯も金タロく
んの休養の取り方について、その空間と過ごし方に
ついて随時考えていきましょう
・ 大人との一対一での遊びで、金タロくんから要求を
示してくるものをいくつか見つけていきましょう
・ 言葉の成長について、B園の言語聴覚士と話し合
う機会を作り、家庭での接し方について話し合いま
しょう。
・ ご両親と保育所の先生、B園のスタッフで、話し合う
機会を5月と7月に持ちましょう。
(3) 児童発達管理責任者として、大切にしたい視点
•
提出された個別支援計画の長期目標と短期目標が適切な期間で設定されている
かをチェックする。
(短期:3か月前後~期間が長すぎる目標は具体性がないことが多い)
•
目標と課題内容は家族にとってわかり易く、具体的で、実施可能なものかをチェック
する。
•
提出された個別支援計画が、発達支援、家族支援、地域連携といった内容を意識
したものかチェックする。
•
育ちの特徴・芽生え、家庭環境における強みを活かした目標かをチェックする。
•
保護者の気持ち、状態、立場に合わせた文章の表現となっているか、必要に応じて
子どもの気持ちを代弁するような表現も意識しているのか、保護者が読んで、前向
きな気持ちになる表現なのかをチェックし、時には添削していく。
•
保護者の同意を得ていくために、選択可能な状況・条件を示しながら、話し合うこと
ができているか、職員から聞き取っていく。
(4)個別支援計画の実施
実施方法
必要なツール
ケースファイル、各記録用紙、評価記録用
紙、支援実施一覧表など
•
支援スタッフはお互いに情報交換し
ながら支援を実施する。
•
支援のペースやスケジュールにつ
いては、保護者の同意を得て実施
する。
•
設定された目標を、効率よく達成す
ることに努める。
事例より~3歳6カ月
<療育実践>
• 思いの外、ほとんど欠席なく通園できている。
• 毎朝、靴箱から教室まで、20分かけて一人で行っ
ている。各教室をのぞきこみながら楽しんでいる。
• 朝と帰りは、スタッフに会うたびに深々と頭を下げ
ている。
• 療育修了後に日々の振り返りを実施
<保護者関係>
• 個別指導時に毎回療育状況を伝えている。
• 父親はすでに二回来園。よくしゃべる!
• STとの話し合いについて、6月に実施することに
なった。保育所との話し合いはすでに二回実施。
• 母親はお疲れ気味。
(4) 児童発達管理責任者として、大切にしたい視点
• 支援内容は計画通りに実施されているかどうか、モニタリングの話し合いの機
会に時々参加する。
• 支援の記録が残されているかをチェックする。(実施した支援会議の記録も必
要)
• 支援内容と方法が目標達成に効果があり、さらに効果を高めるために必要な
教具や遊具の購入も含め、環境づくりについて検討した結果を、事業所運営者
に報告する。
• 支援スタッフのチームワークについては、日ごろから観察し、よりベターな選択
肢を考えていく。
• 支援スタッフが外部と連携しながら、支援内容の状況の評価を受ける機会を作
るなど、定期的に学ぶ機会を設けていく。
(5)中間評価と修正 ①個別支援計画の評価
必要なツール
実施方法
•
時期(段階)ごとに、到達目標達
成度を評価し、分析する。
(まずは、目標が達成か未達成か
判断し、未達成ならばその原因を
考えましょう。もちろん、達成して
いる場合も、何が良かったか、あ
るいは目標の設定が低すぎたの
かどうかも振り返りましょう。)
•
保護者からのサービス評価を取
り入れる。
•
保護者の要望や状況の変化につ
いては、常時情報を得るようにす
る。
•
•
•
中間評価記録表
療育アンケート
必要に応じて発達評価など
事例より(入園して5か月後の状態。)
<子どもの様子>
• B園の生活の流れにはほとんど沿えている。リズム
体操の時は、にこにこしながら見ている。
• 片付け、かばんかけ、連絡帳の提出などが、できる
日が増えている。
• 声を出して笑う姿が見られだした。
• 調子に乗って少しふざけることも出てきている。
<両親の思い>
• 両園にほとんど休みなく通えていることに安堵してい
る。
• 金タロくんは、実際にかなり成長しているとは思うが、
母親としてはそのことを受けとめる余裕はなさそう。
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作
成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。
• 「実施方法」のところに、(まずは、目標が達成か未達成か判断し、未達成
ならばその原因を考えましょう。もちろん、達成している場合も、何が良
かったか、あるいは目標の設定が低すぎたのかどうかも振り返りましょ
う。)と書いていますが、このことが特に大切な作業となることを伝えましょ
う。わりとできていないのが、達成した原因を探ることです。うまくいかな
かったことを反省をしていくことはできても、実践の中ではなかなか生かさ
れないものです。しかし、上手くいったこと、適切な関わりであったと振り返
ることは、殊に経験数の少ない職員にとっては、励みとなると思います。上
手くいっている要因を上手に事業所のスタッフに評価し伝えていくことは、
児童発達管理責任者の役割の一つと言える部分です。事業所のよくない
面に頭を悩ませ、修正してほしいことを伝えるばかりで、結果として職員集
団の中で孤立している児童発達支援管理責任者は少なくありません。ぜ
ひ、そうした部分も含めて、このプロセスの説明のところでお伝えください。
(5)-① 児童発達管理責任者として、大切にしたい視点
• 個別支援計画担当者が、設定した期間(短期目標)ごとに中間評価を実施
しているかを(不定期で可)確認する。
• 設定した期間以外でも、常に発達ニーズや保護者ニーズの変化に気を付
け、必要に応じて中間評価と修正を加えることができているかといった視
点で、個別支援計画を確認していく。
• 保護者の満足度、要望、苦情を知る方法を設定するために、工夫をしてい
く。
当然ながら、保護者の気持ちは日々揺れていく場合もあります。
要望や訴えに一貫性がなくても、振り回されることなく、温かく受
けとめていき続けていくことが、特に児童発達支援管理責任者
に求められることでしょう。
(5)中間評価と修正 ②個別支援計画の修正
実施方法
必要なツール
•
•
到達目標に達成できていない場合は、
その原因を分析的に考え、新たな目標
設定をしていく。
•
修正にあたっては、 担当者間で連携を
取る。必要に応じて、他の視点からの
助言を得る。
•
保護者に修正や変更の同意を得る。
個別支援計画の修正、変更記録表
事例より
<園内関係者会議での検討内容>
①欠席が少なかったのは、B園、保育所ともに、休
養時間の確保がうまくいったのではないか。
②母親の不安は、むしろ大きくなってきている。
③関心ごとが増え、子どもからの要求が出てきて
いる。
各担当者の意見
クラス担当;大人との関係を中心に、遊び方が変
わってきている。
個別指導担当;手元をみて操作することが増えて
いる
*児童発達管理責任者は、会議内容を保護者に
伝え、今後の方針について話し合った。
(5)ー② 児童発達管理責任者として、大切にしたい視点
• 適切なスタッフで検討会議を開催できる環境を整える。その会議に
時折参加して、中間評価に基づき、適正は修正を行う話し合いに
なっているかどうかを観察し、必要に応じてアドバイスしていく。
• 修正した内容をさらに検討していく時に、必要に応じて外部の識者
のアドバイスやコメントを求められるよう準備しておく。
• 個別支援計画担当者が、保護者の意見を聞き、同意を得ているか
を確認する。
いつ、どんなメンバーで、どのようなテーマのもとに検討会議を行ったのかは、記録として残して
いくことが必要です。常に一人で支援目標の評価をしている事業所は、不適切な支援が生じる可
能性が高い事業所と考えられます。
(6)他機関との連携
必要なツール
実施方法
•
併用機関について、内容、日程、
担当者等を正しく把握する。
•
電話、報告書、訪問等、必要に
応じた方法で連携を取る。
•
連携の希望の有無、その方法と
内容、時期については、保護者
と十分に話し合いながら実施す
る。
•
個人情報保護の視点と発達支
援、家族支援の視点から、伝え
るべき内容と伝えるべきでない
内容について吟味する。
•
•
•
連携希望書
他機関連携記録
報告書
事例より
<保育園との機関連携>
• 保育所等訪問支援事業について、かねてから保育
所には説明してきているが、9月あたりから開始に踏
み切ってはどうか。
• 母親の不安については、相互に確認していきたい。
• 引き続いて、無理に集団参加させることはなく、本児
のペースに合わせた生活の流れを考えていくことで
は、大いに意見が一致した。
• 保育所の担任としては、思うように金タロくんと関わ
れないことで悩んでいた。頻繁に個別の指導が必要
な子が他におり、日常的な保育で、何から優先すべ
きか混乱気味である。
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作
成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。
• 事例についての補足:母親の不安について~何故不安が解消されないの
か?疲れているのなら、移動支援や家事支援は使えないのか?短期入
所を利用することも考えてはどうか?といった議論に繋がることがありま
す。しかし、まずは家族の力、親戚・近所の方の協力といったことから考え
ていくことが基本です。このケースの場合、母親は、久しぶりの就労による
疲れと、就学を迎えている本児の姉への思い、夫への様々な不満、子ど
もの将来についての漠然とした不安などが重なっており、不安が解消され
ないのも当然とも思える状況です。こうした状況は、子どもに障害があるな
しにかかわらず、再び仕事に就いた母親には、普通に生じるものとも考え
られ、乗り越えてほしい壁にぶつかっている状態です。子育てをしながら
働いている職員を中心に、母親に寄り添い、共感しつつ、母親の話を傾聴
し続けることが、何よりも大切な支援であると考えることもできます。公的
サービスを勧めれば、それでよいというわけではなく、子育て支援の視点
を持って、母親とその家族が自分たちの力で乗り越えていく姿を見守るこ
とも、大切な支援の一つであることをどうぞお伝えください。
(6) 児童発達管理責任者として、大切にしたい視点
*相談支援専門員との連携
役割の確認
• 必要な時に、主体的に(事業所側から)、連携が実施される
体制を整える。
*連携の目的・・・誰のためなのかを確認!
*連携する機関・関係者
*連携の方法と連携の頻度
*事業所内の役割分担とキーパーソン~
• 保護者の希望、相手機関の役割と希望を把握した上で、事業所職員を後
方支援する。
• 地域ネットワークの視点で連携するための事業所としての体制を、事業所
運営者と検討する。
*ヴィジョン・アクション・フィードバック・連携ツールについては、事業計画
に盛り込んでいく。
• 連携の際、事業所職員が個人情報保護の視点を持っているかを確認する。
(7)就学・卒業等の移行期支援
実施方法
必要なツール(就学期の場合)
•
•
保護者への情報提供
•
•
•
•
保護者が悩みや考えを話し合える
場の提供。
担当者が意見や考えを伝えるの
ではなく、家族で話し合い、情報を
収集し、子どもにとって適切な場を
選択していくプロセスを支える。
このプロセスを通して、子どもの状
態と、住んでいる地域の状況をよ
り理解できるように支援する。
•
各市区町村の特別支援教育体制に関する情報
(就学相談、巡回相談、学習支援体制など)
学校情報
(学校公開日程、教育内容など)
就学支援シート(サポートファイル等)
事例より
・年長児の時は、B園には週に一度通った。
・年長児対象の保護者学習会には、両親が参加。
・学校の教職員が保育園に様子を見に行ったときに、B園児
童発達管理責任者、相談支援専門員も保育園を訪問。
以後、移行支援会議が実現した。
・教育委員会には、保護者には相談に行ってもらい、子ども
の報告書の提出、特に保護者の思いの変遷については、
直接報告した。
(7) 児童発達管理責任者として、大切にしたい視点
保護者にとって、子どもが通う所が変わる時期は、ストレスフルな時期であり、
結論を出せない状況を繰り返すものです。決してせかさず、助言を避けながら、
何度も温かく話を受けとめる機会を作っていきたいものです。
• 移行期に関する話し合いの場を関係者に呼び掛けて、実施する。
(移行期の支援会議は相談支援専門員が実施する場合もあるのですが、実
際に子どもをみている児童発達管理責任者が、どのタイミングで実施するかを
決定しましょう。)
• 保護者の主体的な行動・選択を支えているかを、児童発達管理責任者が責任
を持って確認していく。
• 地域の学校情報、最新の特別支援教育の体制やサービス、18歳以降の福祉
サービスの実態、就労支援の状況等について、事業所内の職員で、最新の情
報を共有する機会を設定する。
移行期支援のプロセス(課題解決プロセス)
•
気持ち・考えの整理・・なぜ○○学校・○○施設・○○会社に行かせたいか
•
情報の収集・・資料の集め方、見学、体験等
•
情報の整理・・子どもにとっての長所と短所
•
子ども理解の再整理と親の希望(価値観)の整理
ここが一番苦しい!!
•
選択・・選ばなかったことの補償の方法
•
希望が満たされるための交渉、関係作り
•
振り返り
•
このプロセスを支え課題解決の姿勢と方法を伝えていくことが、移行期支援
•
このプロセスに両親/家族の参加を促すことが、家族支援につながる。
•
この姿勢とスキルは、その後の選択場面に活かされていく。
•
この姿勢とスキルは、やがて子ども自身の生き方に大いに活かされていく。
移行期支援に含まれる意味
•
•
•
•
障害理解と受容
エンパワメント
カウンセリング
家族機能の育成・回復
支援する側としては、この四
つの視点をしっかりと意識し
て、実践が行えているかどう
かで、親の信頼度も違ってく
ると考えられる。
なぜ「移行期支援」が効果的か
•
•
•
•
•
•
全員が通過する課題
テーマと目標(学校等行き先を決めること)が明確
選択肢(学校等)が絞られている~現実的な視点に立たされる
日程と期間が定められている
家族全体の現実とそれぞれの方の思いを確認できるチャンス
継続的に振り返りができる(結果検証)
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作
成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。
• 数年前までは、「就学支援」としていたのを、「就学・卒業等の移行期支
援」という表現に変えています。児童期が、0~18歳ということを考えると、
この方が適切であり、都道府県の本研修を受講する方の多くが、学齢期
を支援する事業所の方であることを考慮してのものです。但し本来は、就
学を前にした5、6歳の時期はとても大切な時期であることを伝えたかった
ものであることは、ご留意ください。
• 「つなぐ支援」を定着させ、相談支援体制を進めていくためには、移行期に
おける事業所の役割は大きいと言えます。移行期がいくつもある児童期
の「つなぐ支援」が充実しないと、長い成人期の期間に、情報が不足した
まま支援を展開することになります。児童期に関心を持ったこと、得意だっ
たこと、性格的なものなのか障害なのかという見方、家族関係、社会性の
スキルに関することなどについては、大人になってからの支援を考えるに
あたり、かなり有益な情報となることがあります。児童期の移行期支援は
まだまだ多くの課題を持っていますが、改めて情報をバトンタッチすること
の重要性をお伝え下さい。
(8)終了時評価
必要なツール
実施方法
•
•
到達目標達成度を含めた個別支援計画
全体を客観的に評価。
•
支援提供はスムーズに行われたか、ま
た、行われなかった場合の原因は何かを
評価。
•
利用者の状態の変化・満足度などの観
点から評価。
•
同様のケースの個別支援計画作成に評
価を活かす。
事業所の何に満足し、何に関して期待
外れだったのかが、正直に表現できる
ような工夫はできているでしょうか?
終了時評価表
事例より(就学前の3月)
・元気に毎日通園・通所しているが、一度体調を
崩すと、なかなか完全には治りにくい面は
持っている。
・・保育園の年長の時の行事には、張り切って
参加する金タロくんの姿が見られた。他の父
兄からの声かけ、声援は絶大である。
・発語については、不明瞭ながら単語レベルで
伝えようとする。保育所では、金タロくんの言
葉を通訳できる子が3人いる。
・相談支援専門員と両親の信頼関係は良好。
・就学先の校長・特別支援Co.は、金タロくんが
周りの子どもを和ませてくれる力をかなり評
価している。特別支援学級に在籍するが、
交流の機会は多く設定したいとのこと。
(8) 児童発達管理責任者として、大切にしたい視点
できれば、第三者に、利用はじめから退所ま
での目標達成度を評価してもらう機会を作り
ましょう。
• 利用始めてからの到達目標の達成度について話し合う中で、事業
所としての役割は果たせているかという見方をしながら、事業所全
体の評価をしていく。
• 結果として適切な支援であったのかどうか、利用者自身と
家族の満足度をキャッチするための工夫をしていく。
子ども本人にも評
価してもらう方法を
考えていますか?
• 必要な時に、家族からの要請があれば、関連機関に向けて、事業
所での様子と評価を伝えられるように準備する。(年間のまとめを
事業所ごと様式で作成しておくことは必要。)
「終了時」って、次の移行先が決まる時のこと?
• 支援していくにあたり、「終了」ということは、なかなかイメージしにくいもの
です。障害の状態にもよりますが、少なくとも障害の重い・軽いにかかわら
ず、長期的に公的な支援を継続することが必要なケースは少なくありませ
ん。
• 「障害者ケアマネジメント」の考え方のもとで、「相談支援体制」を展開して
いくためには、できれば、初期のアセスメントの時に「終了時」がイメージで
きていることが大切です。《終了》とは、次の移行先が決まるまでのことで
はありません。《終了》というのは、利用始めの時の「ニーズ」「要望」「希
望」を受けとめ、事業所として、大きな目標がどこまで達成したら、支援を
引いていくかという視点です。役割を終えて、次にバトンタッチしていくイ
メージを持とうとしなければ、事業所は育ちません。個別支援計画の修正
時の会議も、長期の利用になると、慣れ合いのものとなり、「引き続いて利
用されますか?」だけの確認の会となってしまいます。子どもにとって、本
当に必要な支援なのか?という見方が薄れては、支援の効果はなくなり
注:国研修では十分な講義時間が設定できていません。本スライドは都道府県研修用に作
成した都道府県スタッフ向けのものです。都道府県研修の資料からは外して下さい。
• 事業所の地域的な役割、目指すべき方向性がはっきりしていれば、自
ずと「終了時」をイメージすることもできます。支援のゴールが見えない
と、支援スタッフが育たないということを、この項では強調していかれる
と良いと思います。二年後、三年後、五年後までに、どういう成長を目
指すのか、他の機関と連携しつつ、本人と家族に、区切りも示していく
ことの方が、適切な支援と考えられることを話してください。
• 中間評価と個別支援計画の修正がしっかりできていないと、職員間で
支援の仕方にばらつきが出やすく、結果としてやる気のある職員が支
援の方向性を見失うことにつながります。何を目的とし、どういったとこ
ろをゴールとして支援をしている事業所なのかが職員にも、家族にも
見えてこない事業所は、支援スタッフの出入りが激しく、職員がいつま
でたっても育ちません。そうした事業所では、子どもの成長は第三者
的に観察していると、予想に反して伸び悩んでいる印象を受けると
いった話も加えていきましょう。