目 次 はしがき 研究組織・報告一覧 緒言 ・・・ 3 2. 針葉樹人工林における生物多様性の実態とその保全 2.1. 針葉樹人工林における木本植物の出現とその規定要因 2.2. 森林資源モニタリング調査データを用いた 九州地方のスギ人工林における種多様性の評価 2.3. スギ人工林における木本植物の種多様性 2.4. 過去の土地利用が人工林の植物種多様性に及ぼす影響 2.5. ヒノキ壮齢人工林と照葉樹壮齢二次林の植物種多様性の比較 2.6. 諸塚村の帯状複層林施業地における下層植生の多様性 2.7. 大分県湯布院町における帯状複層林の下層植生の多様性 2.8. ヒノキ人工林における帯状伐採が林床の物理環境と種多様性に与える影響 2.9. ヒノキ人工林における埋土種子の発芽量と種構成 2.10. 湯布院の小面積皆伐施業林分の下層植生タイプと機能類型 2.11. 宮崎大学田野演習林のスギ人工林下層における 絶滅危惧種ハナガガシの出現傾向 2.12. 土地利用履歴の異なるスギ人工林 および照葉樹二次林における土壌微生物群集 2.13. 人工林景観における野生動物の空間利用に関する 林分構造と景観構造の影響 ・・・ ・・・ 5 7 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ 19 23 33 47 55 67 81 93 97 ・・・ 103 ・・・ 107 ・・・ 119 3. 人工林の下層植生の意義 −とくに森林再生に関連して− 3.1. 再造林放棄地での森林再生に対する地形と管理履歴の影響 3.2. 壮齢ヒノキ人工林伐採後の発生起源の異なる更新個体が 自然林再生に果たす役割 3.3. 下層植生の発達度合いと伐採時の下刈りがその後の森林再生に及ぼす影響 3.4. スギ人工林の前生樹および伐採後の森林再生に及ぼす 隣接照葉樹林の林縁効果 ・・・ ・・・ 123 125 ・・・ ・・・ 133 141 ・・・ 145 4. 修復目標としての自然林の多様性とその分布解析 4.1. 暖温帯渓畔域における微地形構造と森林群落の多様性 4.2. 人工林景観における渓畔希少種の保全戦略 4.3. 九州のブナ林の分布に関する立地解析 -気象・地質・地形および植生データを用いた解析4.4. 九州東・南部における常緑カシの生態分布 -潜在植生の指標として- ・・・ ・・・ ・・・ 157 159 167 ・・・ ・・・ 175 181 1. はしがき 本報告は日本学術振興会科学研究費補助金(基盤研究(B)(1) 平成 15∼17 年度)による「針葉樹人工林 の生物多様性の維持・修復に関する研究」の成果を取りまとめたものである。 「持続的な森林経営」が世界的に合意されて以降,生態系としての森林の健全性と生産力の維持や生 物多様性の保全を実現するための生態系管理の視点が重要視されている。日本の森林では人工造林地が 1千万 ha におよび,そのほとんどが針葉樹の単純一斉林であって、わが国の森林における生物多様性低 下の要因として位置づけられる。人工林の生物多様性は、林齢・立地環境・隣接林分などの複合要因に 影響を受け、各要因の重要度は地域的・立地的に異なるが、多くの研究は特定地点でのケーススタディ にとどまることが多く、結果として汎用性のある多様性管理の指針が得にくかった。また、生物多様性 は単に「種数」で評価できるものではなく、人為撹乱に対する反応に基づいた生物の機能タイプによる 評価が重要であるが、現状ではこれに耐える植物種のタイプ分類がなく、そのため多様性評価の基準や 保全・修復のレベル設定のための知見が欠落している。 本研究の目的は、九州の暖温帯・および冷温帯のスギ人工林を対象に、(1)既存資料の解析に よる機能タイプ分類、 (2)現地調査による多様性制限要因解析と、指標の有効性の検証、 (3)物 理的・生物的要因を考慮した施業試験による生物多様性誘導実験を、行い、それぞれの結果の相互 チェックを通して、持続的な森林管理のための生物多様性の評価基準、および施業によるスギ人工 林の生物多様性誘導指針を提示することである。 研究組織 研究代表者 伊藤 哲 (宮崎大学農学部 助教授) 研究分担者 溝上 展也 (九州大学大学院農学研究院 助教授) 研究分担者 吉田 茂二郎 (九州大学大学院農学研究院 教授) 研究分担者 作田 耕太郎 (九州大学大学院農学研究院 助手) 交付決定額(配分額) 直接経費 間接経費 合 計 平成 15 年度 8,700 0 8,700 平成 16 年度 2,200 0 2,200 平成 17 年度 2,800 0 2,800 13,700 0 13,700 総 計 研究発表 A.学会誌等 1. Ito, S., Nakagawa, M., Buckley, G. P. and Nogami, K. , 2003 , Species richness in sugi (Cryptomeria japonica D. Don) plantations in southeastern Kyushu, Japan. The effects of stand type and age on understory trees and shrubs , Journal of Forest Research , 8 , 49-57 2. Ito, S., R. Nakayama, R. and G. P. Buckley, 2004, Effects of previous land-use on plant species diversity in semi-natural and plantation forests in a warm-temperate region in southeastern Kyushu, Japan. Forest Ecology and Management. 196, 213-225. 3. 伊藤 哲, 光田 靖, G. P. Buckley, 2004, 絶滅危惧腫ハナガガシの個体群再生を目的とした森林 タイプの再配置 ,景観生態学 , 9(1) , 18-25 4. 伊藤 哲, 藤井奈津子, 西脇亜也, 光田 靖, 2005, 数値地図 50mメッシュ(標高)を用いた地 形解析に基づく林畜複合生産システムの適地選定手法―宮崎県諸塚村を事例として−, 景観生 態学, 10(1), 37-44 5. 伊藤 哲, 野上寛五郎, 2005, 屋久島低地におけるヤクシマサルスベリを含む渓畔林の種組成 と立地環境 , 植生学会誌 , 22,15-23 6. Yamagawa, H., Ito, S., Mitsuda, Y. and Fukuzato, K., 2006, Effects of topography and management history on natural forest recovery in abandoned forest after clear-cutting in Miyazaki, Japan , Journal of Forest Research , 11, 99-106 7. 谷口 奨, 作田耕太郎, 井上昭夫, 溝上展也, 2006, ヒノキ人工林における埋土種子の発芽量と 種構成, 九州森林研究, 59, 162-164 8. Ito, S., Ishigami, S., Mitsuda, Y. and. Buckley, G. P., 2006, Functional type tree species of warm temperate region in Kyushu in relation to the responses to establishment of sugi plantations. Journal of Forest Research, in press. 9. Ito, S., Ishigami, S., Mizoue, N. and Buckley, G.P., 2006, Maintaining plant species composition and diversity of understory vegetation under strip-clearcutting forestry in conifer plantations in Kyushu, southern Japan. Forest Ecology and Management, in press B.口頭発表 1. 伊藤 哲・光田 靖, 2005 年 6 月,絶滅危惧腫ハナガガシの個体群再生を目的とした森林タイ プの再配置. 第 13 回景観生態学会, 北九州 2. Ito, S., Mitsuda, Y. and G. P. Buckley, 2003 年 7 月, Reallocation strategy of semi-natural forest patches for conservation of endangered tree species. International Association of Landscape Ecology, Darwin, Australia 3. Ito, S., Ohtsuka, K. and Yamashita, T., 2003 年 9 月, Ecological distribution of evergreen oaks in Kyushu, southwestern Japan. Joint Meeting of IUFRO Working Groups, Genetics of Quercus & Improvement and Silviculture of Oaks , Tsukuba , Japan 4. 伊藤 哲・光田 靖, 2003 年 10 月, 九州のブナ林の分布に関する立地解析 −気象・地質・地 形および植生データを用いた解析事例−. 第 8 回植生学会大会, 熊谷 5. 井藤宏香・伊藤 哲・ 髙木正博, 2003 年 10 月, 壮齢照葉樹林二次林における樹木個体群の構 造と動態. 第 59 回日本林学会九州支部大会, 沖縄 6. 加藤邦彦・伊藤 哲・石上智士・溝上展也, 2003 年 10 月, スギ群状択伐林の下層植生. 第 59 回日本林学会九州支部大会, 沖縄 7. 広田美能児, 伊藤 哲, 石上智士, 村本康治, 2003 年 10 月, 宮崎大学田野演習林の風倒ギャッ プを含むヒノキ壮齢人工林の下層植生. 第 59 回日本林学会九州支部大会, 沖縄 8. 石上智士・伊藤 哲・光田 靖, 2003 年 10 月, 暖温帯のスギ人工林における維管束植物の出現 傾向の解析. 第 59 回日本林学会九州支部大会, 沖縄 9. 前田勇平・吉田茂二郎・長島啓子・村上拓彦, 2003 年 10 月, 森林資源モニタリング調査データ を利用した森林タイプ分類手法の確立と各森林タイプの種多様性. 第 59 回日本林学会九州支 部大会, 沖縄 10. 伊藤 哲・桝永里沙・光田 靖, 2004 年 3 月, 哺乳動物によるスギ人工林の空間利用に関する 予備的研究−自動撮影カメラを用いた手法の検討−. 第 14 回日本景観生態学会大会, 広島 11. 伊藤 哲・石上智士・光田 靖・広田美能児, 2004 年 4 月,スギ人工林の種多様性−植物種の出 現傾向の解析−. 第 115 回日本林学会大会, 東京 12. 伊藤 哲, 大塚久美子, 山下寿之, 2004 年 10 月 , 九州東・南部におけるアカガシ亜属 7 種の生 態分布 , 第 9 回植生学会大会, 宮崎 13. 伊藤 哲, 光田 靖, 2004 年 10 月 , 立地環境解析による九州ブナ優占林の潜在的分布域の推 定 , 第 60 回日本林学会九州支部大会, 鹿児島 14. 山川博美・伊藤 哲・福里和朗, 2004 年 10 月 , 再造林放棄地の植生回復に対する微地形およ び土地利用履歴の影響―宮崎県西郷村の大面積皆伐地における解析事例―, 第 60 回日本林学 会九州支部大会, 鹿児島 15. 桝永 里沙・伊藤 哲・井藤宏香・山川博美, 2004 年 10 月 , 人工林景観における野生動物の 空間利用に関する研究−センサーカメラを用いた夏期の測定結果− , 第 60 回日本林学会九州 支部大会, 鹿児島 16. 松下美穂・伊藤 哲・目黒貞利・河内進策, 2004 年 10 月 , 森林生態系が土壌微生物の群集構 造と機能に及ぼす影響 , 第 60 回日本林学会九州支部大会, 鹿児島 17. 谷口 奨, 作田耕太郎, 溝上展也, 井上昭夫, 2004 年 10 月, 同齢ヒノキ一斉林における帯状皆 伐が林床の物理環境と植物多様性に及ぼす影響, 第 60 回日本林学会九州支部大会, 鹿児島 18. 山川博美・伊藤 哲, 2005 年 3 月 , 再造林放棄地の植生回復-80 年生ヒノキ林伐採後 1 年目の 植生- , 第 116 回日本林学会大会, 札幌 19. 伊藤 哲・山川博美・作田耕太郎・溝上展也・山下健一, 2005 年 3 月 , 小面積皆伐施業が行わ れたスギ林の下層植生 , 第 116 回日本林学会大会, 札幌 20. 光田 靖・岡野哲郎・伊藤 哲, 2005 年 3 月 , 潜在自然植生と林地生産力による北海道カラマ ツ人工林のゾーニング , 第 116 回日本林学会大会, 札幌 21. 松下美穂・伊藤 哲・目黒貞利・河内進策, 2005 年 3 月 , 森林の A0 層及び A 層の微生物群集 構造の比較 , 第 52 回日本生態学会大会, 大阪 22. 谷口 奨, 作田耕太郎, 井上昭夫, 2005 年 4 月, ヒノキ人工林における帯状間伐が上層木と林 床植生に及ぼす影響,第 116 回日本林学会大会, 東京 23. 光田 靖・伊藤 哲, 2005 年 6 月 , 土地生産力と潜在自然植生の分布パターン比較, 第 5 回景 観生態学会大会, 東京 24. Ito, S., Ishigami, S., Mizoue, N. and Buckley, G.P., L. 2005 年 8 月 , Biodiversity conservation in strip and group cutting systems in conifer plantations in Japan, IUFRO XXII World Congress, Brisbane, Austlatia. 25. Ito, S., and Masunaga, L., 2005 年 8 月, Influences of stand and landscape structure on habitat use of wildlife in managed forests in southern Japan, IUFRO XXII World Congress, Brisbane, Austlatia. 26. Matsusita, M., Ito, S., Meguro, S., and Kawachi, S., 2005 年 8 月, Structure and function of soil microbial communities in sugi plantations and semi-natural broad-leaved forests with different landuse history, IUFRO XXII World Congress, Brisbane, Austlatia. 27. Mizoue, N., Ito, S., and Inoue, A., 2005 年 8 月, Implications of strip and group cutting systems in conifer plantations in Japan, IUFRO XXII World Congress, Brisbane, Austlatia. 28. 山川博美・伊藤 哲・福里和朗, 2005 年 10 月 , 人工林伐採後の森林再生に関する種組成の評 価手法の検討 , 第 10 回植生学会大会, 広島 29. 伊藤 哲, 山川博美, 作田耕太郎, 溝上展也, 2005 年 10 月 , 異齢パッチを含むスギ人工林にお ける下層植生の種組成タイプと分布−湯布院における調査事例− , 第 61 回日本林学会九州支 部大会, 熊本 30. 山川博美, 伊藤 哲, 2005 年 10 月 , 照葉樹天然生林に隣接したスギ林の下層植生における林 縁効果−田野演習林における解析事例−, 第 61 回日本林学会九州支部大会, 熊本 31. 井藤宏香, 伊藤 哲, 中尾登志雄, 2005 年 10 月 , 壮齢照葉樹林二次林における階層ごとの樹木 の分布と微地形, 第 61 回日本林学会九州支部大会, 熊本 32. 谷口 奨, 作田耕太郎, 井上昭夫, 溝上展也, 2005 年 10 月, 21 年生ヒノキ人工林における埋土種 子の発芽量と種構成, 第 61 回日本林学会九州支部大会, 熊本 33. 北原文章, 伊藤 哲, 村上拓彦, 溝上展也, 吉田茂二郎 2005 年 10 月, 森林資源モニタリング調査が とらえた九州地域における人工林内の植物多様性, 第 61 回日本林学会九州支部大会, 熊本 34. Ito, H., Ito, S., Matsui, T. and Marutani, T. 2006 年 3 月, Community structure and disturbance regime of a riparian forest established on a small alluvial fan in southern Kyushu, Japan, The Second Scientific Congress of EAFES, Niigata, Japan. 35. 山川博美, 伊藤 哲, 塚本麻衣子, 2006 年 4 月, 再造林放棄地の森林再生-伐採実験による前生樹 と下刈りの影響の把握-, 第 117 回日本森林学会大会, 東京 36. 北原文章, 溝上展也, 吉田茂二郎, 村上拓彦, 八村智明, 2006 年 4 月, 森林資源モニタリング調 査における品質保証・品質管理に関する研究, 第 117 回日本森林学会大会, 東京
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