ビアトリクス・ポターについて 教育心理 新村 (1) ビアトリクス・ポターの生涯 1866 年:ビアトリクス・ポターは 7 月 28 日にロンドンの ケンジトン、ボルトン・ガーデンズ 2 番で生ま れる。 1872 年:3 月 14 日、ビアトリクスの弟、ウオルター・バ ートラムが誕生。 1878 年:キャメロン女史がビアトリクスの絵画教育のために雇われる。 1880 年:モデル描写で、サウスケンジントン博物館の美術科学部門美術学生 賞を受賞。 1882 年:ポター家はウィンダミア近郊のレイ城で避暑。ビ アトリクスにとって初めての湖水地方訪問。 1885 年:リュウマチ熱におかされ重体になり、腰まで届く 長い髪を短く切る。 1890 年:ペットショップでウサギを買い、ベンジャミン・ パウンサーと名付ける。 1892 年:ベンジャミンをモデルにした絵が売れる。 1892 年:自然愛好家チャールズ・マッキントッシュに出会う。 1893 年:ベンジャミンの死後、新しいウサギを買い、ピー ターと名付ける。 1893 年:アニー・ムーアの息子ノエルに宛て、はじめて 「ピーターラビットのおはなし」を絵手紙にし て送る。 1901 年:モノクロの絵本「ピーターラビットのおはなし」 の私家版を発行。 1902 年:商業版「ピーターラビットのおはなし」がフレデ リック・ウォーン社から初めて出版される。 1905 年:編集者であったノーマン・ウォーンが 7 月にプロポーズをする。し かし 8 月 25 日、ノーマンは白血病により亡くな る。 1905 年:ウィンダミア近郊のニア・ソーリーにあるヒルト ップ農場を購入。 1913 年:弁護士のウィリアム・ヒーリスと結婚。 1943 年:12 月 22 日、カッスル・コテージにて 77 歳で亡くなる。所有地を すべてナショナル・トラストに遺贈。 (2) 自然と動物との関わり ポターは幼いころからウサギ、ハツカネズミ、リス、カエル、カメ、コウモ リなど、ちょっと変わったものまでペットとして飼い、よく観察しスケッチに 残している。動物たちへの愛情とは別に農場経営者の顔も持ち、動物たちを出 荷する時期が来ると、非情ともいうべき態度で動物たちの選別を行ったという。 親しくしていたローンズリーが共同設立者であったことから、設立間もない ナショナル・トラストには生前から積極的に支援を行っている。ニア・ソーリ ーは生前にポターによって多くの土地が購入されており、死後ナショナル・ト ラストに寄贈されたため、当時の風景が保存されている。ポターの自然保護運 動は、幸せな結婚生活と創作活動を支えたかけがえのない場所を守る行動であ った。 (3) ビアトリクスと湖水地方との出会い 夏になると、父親が避暑のためにスコットランドに 3 か月間大きな家を借り て住むため、夏はビアトリクスにとって一年で一番楽しみにしていた季節でし た。ウサギやネズミなど、ビアトリクスの小さなペットたちも箱に入れられ、 一緒に旅立ちました。 一家がよく訪れたのは、パースシャーのテイ川沿いにある「ダルギーズ」と いう家です。そこでは子供たちは自由に田舎を探索し、ビアトリクスは、細部 を見つめる画家の目で、植物や昆虫を観察することを覚えました。 ビアトリクスが 16 歳の夏、「ダルギーズ」の家が空いていなかったため、一 家はイングランドの湖水地方に家を借りました。これがビアトリクスにとって の初めての湖水地方訪問です。彼女はこの土地の美しさに一瞬にして魅せられ、 その後生涯を通じて魅了され続けることになります。 (4) 湖水地方での暮らし 若いころ、ビアトリクスは何度も避暑として湖水地方を訪れたが、中でもウ ィンダミア近郊にあるニア・ソーリー村が一番のお気に入りでした。 1905 年、ビアトリクスは本の印税と叔母の遺産を使って、「ヒルトップ」と 呼ばれるニア・ソーリーにある湖水地方の伝統的な農場を購入します。自分の 絵の背景のモチーフとしても「ヒルトップ」を描いています。 「あひるのジマイマのおはなし」(1908 年)はヒルトップが舞台で、あひるの ジマイマと犬のケップは、実際にヒルトップ農場にいた動物がモデルです。 「こぶたのピグリン・ブランドのおはなし」(1913 年)では、ビアトリクスが ペットとして飼っていた小さな黒ぶたの「ピグウィグ」も含め、ヒルトップ農 場で飼育されていたぶた達が登場します。 (5) 自然保護とナショナル・トラスト 湖水地方を初めて訪れた 16 歳の時からビアトリクスの自然保護への関心が芽 生えました。ビアトリクスは生涯を通じてナショナル・トラストを支持しまし た。彼女はナショナル・トラストの原則に従って自分の土地を管理し、伝統的 な建造物や農業方法を維持しました。美しい景観と田舎の文化の保全の必要性 を理解していたためです。自分の土地では、絶滅の危機に瀕していた在来種の ハードウィックシープを飼育したりもしました。 1943 年にビアトリクスが亡くなった時、15 の農場と 4000 エーカー以上の土 地がナショナル・トラストに寄贈されました。彼女の望みどおり、ヒルトップ 農場は当時ビアトリクスが住んでいたそのままの姿で保存されており、現在で も年に何千人もの観光客が訪れています。 http://www.peterrabbit-japan.com/beatrix_potter/beatrixs_life.html (6) 感想 ビアトリクス・ポターが描く世界はとても繊細で、魅了される。絵を見るだ けでも楽しめるので、小さな子供から大人まで楽しむことができる。実際に自 分も読みたくなり図書館で借りた。予想以上にサイズが小さく、手のひらに乗 った。どのページにも一つひとつ細かく絵が描かれていて、色づかいもとても きれいだった。物語の中ではどの動物も二本足で歩き、服を着ていて、まるで 人間であるかのように生活をしている。これは、他の作家の物語にはなかなか ない発想なので、昔から今に至るまでずっと愛され続けられているのだと思う。 ポターが作り出す物語は、動物を擬人化したものであるため、物語の中に私た ち人間に対してたくさんのメッセージがちりばめ られている気がする。 湖水地方について調べていて、その美しさに感動した。ポターが湖水地方を 愛したわけがわかるような気がした。一度でいいからこの目で見てみたいと思 うほど美しい風景だった。 ビアトリクスがナショナル・トラストにした行動を知ったことにより、本当 に心から自然や動物を愛していることが伝わってきた。ビアトリクスは偉大な 人物であると私は思った。
© Copyright 2024 Paperzz