ツロブテロールテープ「アメル」 皮膚刺激性に関する資料 (抜粋)

ツロブテロールテープ「アメル」
皮膚刺激性に関する資料
(抜粋)
共和薬品工業株式会社
作成年月日:2011.06.08
TUL-D-5 (1)
Ⅰ.ウサギにおける皮膚一次刺激性試験
はじめに
ツロブテロール製剤であるツロブテロールテープ「アメル」の医薬品製造販売承認申
請を行うに当たり、安全性評価の一環として、ウサギの皮膚に閉塞貼付し、一次刺激性
について検証した。
1.試験方法
(1)治験薬
試験製剤:ツロブテロールテープ「アメル」
LOT No.H2931
ツロブテロールテープ「アメル」保存品(60℃、1 ヵ月保存)
LOT No.H2531 (共和薬品工業㈱製造)
試験製剤基剤:ツロブテロールテープ「アメル」 LOT No.H2932
(共和薬品工業㈱製造)
標準製剤:ホクナリンテープ 2mg
LOT No.3DB1
(アボットジャパン㈱製造)
(2)治験デザイン
「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令(厚生省令第 21
号)
」を遵守し実施した。
皮膚の状態が良好で健康なウサギ 12 匹を選抜し、総無作為化により 2 群に振り分け
た。群分け後は、左耳介内側に黒色の油性フェルトペンを用いて動物番号を記入し
て固体識別するとともに、各ケージには試験番号、動物番号、群番号及び性別を記
入したケージラベルを付けた。
群
投与物質
投与量
(cm2/site)
ツロブテロールテープ
Ⅰ
6.25
「アメル」
投与
動物数
6
♂
ツロブテロールテープ
「アメル」基剤
ツロブテロールテープ
Ⅱ
性別
「アメル」保存品
6.25
6
6.25
6
♂
ホクナリンテープ 2mg
6.25
1
6
(3)試験方法
除毛したウサギの背部に 2.5×2.5cm の区画を 2 列 2 段の 4 ヵ所作り、そのうち 2 区
画に 23G の注射針で井桁状の損傷を入れた。無傷(健常)及び有傷(損傷)部位の
2 区画を 1 組とし、そこを試験製剤及び標準製剤の貼付部位に割り当てた。投与物質
を各区画に貼付し、その上から脱脂綿で被い、更に、約 4×4cm の不織布粘着包帯(ニ
チバン・メッシュポア、No.50)で固定した後、粘着性布伸縮包帯(ニチバン・エラ
ストポア、No.50)を巻き、胴体にネット包帯(ネットホータイ 4 号、ナビス、
AO-2424-04)で被覆させて約 24 時間閉塞した。また、動物にはエリザベスカラー
を装着させた。24 時間閉塞終了後に各投与物質を除去及びエリザベスカラーを取り
外し、貼付部位については微温湯で拭いた。
(4)検査項目・判定基準
1)皮膚反応の判定
貼付 24 時間後(除去後 30 分)
、48 時間後及び 72 時間後に貼付部位の紅斑と痂皮
形成及び浮腫形成の状態を観察し、Draize の評価基準に従って判定した。
2)刺激性の評価
個体で投与物質ごとに貼付 24 時間後及び 72 時間後における健常及び損傷部位の
評点(紅斑と痂皮形成及び浮腫形成)を合計し、その値を 4 で割り平均評点を算
出した。次に投与物質ごとに全動物での平均評点を算出し、これを一次刺激指数
として刺激性の程度を評価した。
2.試験結果
(1)皮膚反応結果
ツロブテロールテープ「アメル」、ツロブテロールテープ「アメル」保存品及びツ
ロブテロールテープ「アメル」基剤の閉塞貼付では、いずれも各観察時間におい
て全例の健常皮膚及び損傷皮膚に皮膚反応は認められなかった。ホクナリンテー
プ 2mg の閉塞貼付では、24 時間後の観察において 6 例中 2 例の損傷皮膚にごく軽
度の紅斑(評点 1)が認められた。48 時間後の観察においても 2 例の損傷皮膚に
24 時間後と同様の皮膚反応が認められたが、この皮膚反応は、貼付 72 時間後の観
察で消失した。
(2)刺激性評価
貼付 24 及び 72 時間後の評点を基に算出したツロブテロールテープ「アメル」ツ
ロブテロールテープ「アメル」保存品及びツロブテロールテープ「アメル」基剤の
一次刺激指数はいずれも 0.0 であり、刺激性の程度は「弱い刺激物」に評価された。
ホクナリンテープ 2mg の貼付 24 及び 72 時間後の評点を基に算出した一次刺激指
数は 0.1 であり、刺激性の程度は「弱い刺激物」に評価された。
2
(3)考察
ツロブテロールテープ「アメル」
、ツロブテロールテープ「アメル」保存品及びツ
ロブテロールテープ「アメル」基剤の貼付部位では、いずれも全例の健常皮膚及
び損傷皮膚に皮膚反応は認められなかった。ツロブテロールテープ「アメル」、ツ
ロブテロールテープ「アメル」保存品及びツロブテロールテープ「アメル」基剤
の一次刺激指数はいずれも 0.0 であった。一方、ホクナリンテープ 2mg の貼付部
位では、6 例中 2 例の損傷皮膚でごく軽度の紅斑が認められ、一次刺激指数は 0.1
であった。ツロブテロールテープ「アメル」、ツロブテロールテープ「アメル」保
存品及びツロブテロールテープ「アメル」基剤及びホクナリンテープ 2mg の刺激
性の程度は、いずれも「弱い刺激物」に評価された。
以上のように、ツロブテロールテープ「アメル」及びツロブテロールテープ「ア
メル」保存品の刺激性は「弱い刺激物」に評価されたが、皮膚反応は認められな
かったことから、ツロブテロールテープ「アメル」及びツロブテロールテープ「ア
メル」保存品はウサギの皮膚に対して一次刺激性は有しないものと考えられた。
参考文献
1)Draize,J.H.
(1959)
:
“Dermal toxicity”
,Appraisal of the safety of chemicals in
foods,drugs and cosmetics,p46-59,The Association of Food and Drug Officials of the
United States,Austin,Texas.
3
Ⅱ.ウサギにおける2週間皮膚累積刺激性試験
はじめに
ツロブテロール製剤であるツロブテロールテープ「アメル」の医薬品製造販売承認申
請を行うに当たり、安全性評価の一環として、ウサギの皮膚に 2 週間累積閉塞貼付し、
局所刺激性について検証した。
1.試験方法
(1)治験薬
試験製剤:ツロブテロールテープ「アメル」
LOT No.H2931
ツロブテロールテープ「アメル」保存品(60℃、1 ヵ月保存)
LOT No.H2531 (共和薬品工業㈱製造)
試験製剤基剤:ツロブテロールテープ「アメル」 LOT No.H2932
(共和薬品工業㈱製造)
標準製剤:ホクナリンテープ 2mg
LOT No.3DB1
(アボットジャパン㈱製造)
(2)治験デザイン
「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令(厚生省令第 21
号)
」を遵守し実施した。
皮膚の状態が良好で健康なウサギ 12 匹を選抜し、総無作為化により 2 群に振り分け
た。群分け後は、左耳介内側に黒色の油性フェルトペンを用いて動物番号を記入し
て固体識別するとともに、各ケージには試験番号、動物番号、群番号及び性別を記
入したケージラベルを付けた。
群
投与物質
投与量
(cm2/site)
ツロブテロールテープ
Ⅰ
6.25
「アメル」
投与
動物数
6
♂
ツロブテロールテープ
「アメル」基剤
ツロブテロールテープ
Ⅱ
性別
「アメル」保存品
6.25
6
6.25
6
♂
ホクナリンテープ 2mg
6.25
4
6
(3)試験方法
投与回数は 1 日 1 回、週 7 日の 2 週間(14 日間)連続貼付とした。
除毛したウサギの背部に 2.5×2.5cm の区画を 2 列 2 段の 4 ヵ所作り、そのうち 2 区
画に 23G の注射針で井桁状の損傷を入れた。無傷(健常)及び有傷(損傷)部位の
2 区画を 1 組とし、そこを試験製剤及び標準製剤の貼付部位に割り当てた。投与物質
を各区画に貼付し、その上から脱脂綿で被い、更に、約 4×4cm の不織布粘着包帯(ニ
チバン・メッシュポア、No.50)で固定した後、粘着性布伸縮包帯(ニチバン・エラ
ストポア、No.50)を巻き、胴体にネット包帯(ネットホータイ 4 号、ナビス、
AO-2424-04)で被覆させて約 24 時間閉塞貼付した。2 回目以降は約 24 時間後に、
投与物質を除去し、貼付部位を微温湯で清拭し、皮膚の観察終了後に次の閉塞貼付
を行った。動物にはエリザベスカラーを貼付開始日の貼付前から最終日の投与物質
除去まで賞着した。なお、井桁状の損傷を入れる操作は週 1 回の頻度で適用皮膚の
観察後に行い、徐毛は週 1 回の頻度で適用皮膚の観察前に行った。
(4)検査項目
1)皮膚反応の判定
貼付期間中は 1 日 1 回各投与物質の貼付前(除去後 30 分)に、最終貼付後はその約
24 時間後(除去後 30 分)に貼付部位の皮膚の状態(紅斑と痂皮形成及び浮腫形成)
を Draize の評価基準に従って判定した。
2)刺激性の評価
投与物質ごとに各観察日における健常及び損傷部位の評点(紅斑と痂皮形成及び浮
腫形成)を合計し、動物数で除して観察日の平均値とした。次に各観察日の平均値
を合計して、それを観察日数で除して貼付期間の平均値を求めた。健常及び損傷部
位それぞれの貼付期間の平均値を合計し、その値を 2 で除した総平均値から刺激性
の程度を評価した。
2.試験結果
(1)皮膚反応結果
ツロブテロールテープ「アメル」、ツロブテロールテープ「アメル」保存品及びツロ
ブテロールテープ「アメル」基剤のいずれも貼付期間において全例の健常皮膚及び
損傷皮膚に皮膚反応は認められなかった。ホクナリンテープ 2mg では、貼付後 1 日
において 6 例中 2 例の健常皮膚及び 6 例中 3 例の損傷皮膚でごく軽度の紅斑(評点 1)
が認められた。貼付後 2 日では 6 例中 4 例の健常皮膚及び損傷皮膚でごく軽度の紅
斑(評点 1)が認められ、貼付後 4 日以降は全例に同程度の紅斑(評点 1)が認めら
れた。
この皮膚反応は増強することなく貼付後 14 日に 1 例の損傷皮膚で消失したが、
全例の健常皮膚及び 6 例中 5 例の損傷皮膚でごく軽度の紅斑(評点 1)が認められた。
5
(2)刺激性評価
ツロブテロールテープ「アメル」の貼付期間の総平均値は、いずれも 0.0 であり、
総平均値からみた刺激性の程度は、「弱い刺激物」に評価された。ホクナリンテー
プ 2mg では、貼付期間の総平均値は 0.9 であり、総平均値からみた刺激性の程度は、
「弱い刺激物」に評価された。
(3)考察
ツロブテロールテープ「アメル」、ツロブテロールテープ「アメル」保存品及びツ
ロブテロールテープ「アメル」基剤のいずれも貼付期間において全例の健常皮膚及
び損傷皮膚に皮膚反応は認められず、貼付期間を通した総平均値は 0.0 であり、い
ずれも「弱い刺激物」に評価された。一方、ホクナリンテープ 2mg では、全例の健
常皮膚及び損傷皮膚でごく軽度の紅斑が認められた。この皮膚反応は貼付後 1 日か
ら発現し、皮膚反応の増強は認められなかったが、貼付後 14 日まで全例の健常皮
膚、6 例中 5 例の損傷皮膚で継続して認められた。貼付期間の総平均値は 0.9 であ
り、
「弱い刺激物」に評価された。
以上のように、ツロブテロールテープ「アメル」及びツロブテロールテープ「ア
メル」保存品の刺激性は「弱い刺激物」と評価されたが、貼付期間において皮膚反
応は認められなかったことから、ツロブテロールテープ「アメル」及びツロブテロ
ールテープ「アメル」保存品はウサギの皮膚に対して累積刺激性は有しないものと
考えられた。
参考文献
1)Draize,J.H.
(19599:
“Dermal toxicity”
,Appraisal of the safety of chemicals in
foods,drugs and cosmetics,p46-59,The Association of Food and Drug Officials of the
United States,Austin,Texas.
6