Title:k_bwave_2003_03.ec6 Page:4 Date: 2003/04/03 Thu 13:44:22 最近では、 最 近では、輸入業者による 輸入業者による 本物と偽物を混ぜて売る 本物と偽物を混ぜて売る 商売が出てきました 商売が出てきました 西村和也 シヤチハタ株式会社 総務部法務課 課長 も偽物、本体が偽物で、補充インクが 本物を壊してしまう 偽物のインク 本物といった組み合わせができまして、 例えば本物(弊社)のスタンプ台に偽 流通業者が 主導権をもった模倣品 物の補充インキを入れますと、本物 弊社の海外販売商品は「アートライ (弊社)のスタンプ台の本来の品質が マーキングペンの模倣品も、当初は ン」というブランドを商標として使用 劣化したり、使えなくなったりします インクの匂いを嗅げばわかりました。 しています。スタンプ台も、主力商品 ので、この点を非常に危惧しています。 本物はアルコールを使い、甘い匂いが のマーキングペンも、この名前で売っ 偽物と偽物の組み合わせでは論外で使 するのですが、偽物はキシレン系でそ ています。 えなくなります。 の匂いがしませんでした。ところが最 弊社では、自社商品を長く使ってい 偽物と本物との違いですが、これは 近は偽物にもアルコールが少し混ぜら ただくために、昔から本体の商品とは 社内の者でも、一見しただけではわか れ、似たような匂いが出るようになり 別にインクなどの補充用品を合わせて らないほどです。印刷もそっくりです ました。偽物の寿命は本物の約3分の 販売し、ご好評いただいていますが、 し、バーコードも同じです。違いは、 1以下、中には最初から書けないもの 本体と補充インクの両方に、 「アート 蓋をあけて、嗅ぐインクの匂いやスタ もあります。そういうこともおかまい ライン」の商標をつけた模倣品が発生 ンプ台の表面にできるインクの染み具 なしに売っているようです。 しています。このため、本物(弊社) 合の違いなどです。本物の弊社商品は、 マーキングペンの偽物はわかってい の本体と、本物(弊社)の補充インク 盤面の縁のラインが、インクによって を使っていただけるなら、何の問題も 自然にできるため、まっすぐではなく、 います。勘違いされることを狙って、 ありませんが、本体が本物で補充イン 波うった線です。ところが偽物は、こ マークだけ真似した商品もあります。 クが偽物、あるいは本体も補充インク のラインが直線的になっています。な これらの偽物は、ほとんどが中国で ぜこのようなラインが偽物にでき 作られ、タイ、 マレーシア、 インドネシ るのか、中身を分解してみると、 アなどの東南アジアやオーストラリア、 ラインが出るように作為的に作っ 中近東諸国など「アートライン」ブラ るだけで5∼6種類ぐらい発見されて たためであることがわかりました。 ンドの知名度のある地域に流され売ら スタンプ台 右が模倣品。黒ずんでいる部分が直線的にな っている また偽物は匂いを嗅げばインク れています。輸入元が偽物を作らせて の匂いも異なっています。ただ、 いるというケースもあります。摘発し 買うときに、匂いを嗅いだり、中 た工場などを見ますと、非常に規模が 身を開けてみることができません 小さいため、流通業者が模倣品を作る から、販売の現場で消費者が違い 工場にオーダーを出し、できたものを を認識することはできません。 海外に出しているもようです。主導権 Title:k_bwave_2003_03.ec6 Page:5 Date: 2003/04/03 Thu 13:44:22 補充液 右が模倣品。 真正品はインクの匂いをかぐと甘い 意匠権だけでなくバリ エーションまで模倣さ れている 摘発現場 左下に模 倣アートラインの パッケージが見える 中近東のある国では輸入業者を発見 し、裁判にかけました。デッドコピー でしたから、有罪になりました。 模倣はケースバイケースで、いろい ろなデータをまとめて整理はしている のですが、ケースごとにすべてが違い ます。お国柄も違いますし、類型化で きず、日々新しい事案にぶつかってい るのが現実です。 弁護士、弁理士、代理店 などとの連携で対処する 今までは発生時点で調査やアクショ ンを起こすための予算を立てましたが、 海外の主力商品アートライン。右が模倣品 来年度は、最初からある程度の予算を は完全に売るほうが握っています。 では認められず、そのために出回った 計上し、模倣品への対処をしていこう 以前は、安いということだけで偽物 模倣商品もあります。 と考えています。これには警告のため が出回っていましたが、現在は、新し 意匠権拒絶の理由はシンプルだから に新聞に広告を載せる予算も含まれま い動きとして本物の中に、偽物をいく 認められないということでした。 す。 つか入れて、しかも本物と同じ価格で 筆記具の場合、キャップがあります、 東南アジアでは国ごとに多少異なり 売るという販売方法が見られます。 ペン芯があります、丸い本体がありま ますが、現地語の新聞と英字新聞があ 偽物は価格が安いですから、そのぶ す、これは当たり前ですと。先進国で りますので、その両方に出さなければ ん利幅が大きくなり、輸入業者がもう はキャップのアールのつけ方ですとか、 なりませんから、コストも倍かかりま かるわけです。混合組合わせ販売は完 回り止めとかで意匠権を認めてくれま す。その上で、違法行為をした輸入業 全に意識してやっていることですから、 す。が、 「それはその国のこと」と、通 者には弁護士名で、やめるように手紙 これは性質が悪い。特に小売店が混ぜ りません。台湾の意匠がそういう状態 を出すわけですが、これはすべてがう ている場合は、偽物を偽物として売る にあることを模倣業者も知っています まくいくわけではありません。調査し よりも、偽物も本物もいっしょにして から、同じ意匠のものが堂々と出てき ても誰が模倣品を輸入し販売している 販売するやり方のほうが、そのぶん ます。商標が違えば問題がなく、売り のかわからないものもあるのです。 我々のダメージは大きいです。 また、 発 放題になっています。もっともこれが 模倣品に対するアクションは、現地 見もされにくいものになってきています。 台湾の外に出れば、私どもが意匠権を の弁護士や弁理士に依頼したり、代理 持っていますので押さえることができ 店もいっしょになって動いていただい ます。 ています。当然我々自身、各部門も 偽物を発見した場合、弁護士名で手 いっしょになって動かなければなりま 紙を送り、流通国から商品を排除しま せん。どれが欠けても成功しないと思 模倣には意匠権が得られないために すが、別の筆記具の例では、中国国内 います。 起きるケースもあります。これは台湾 のアッセンブリーの工場を摘発し中国 今後も効果的な対策をいかに早く、 のケースですが、他の国では意匠権と のニュースに取り上げられたものもあ 安い費用で行うかという点が企業に して認められたにもかかわらず、同国 ります。 とって重要であろうと考えます。 台湾の意匠権について の考え
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