橋本直明 - Accenture

メニュー
採用案内
Spotlight on アルムナイ
各方面で活躍中のアルムナイの今、そしてその想いにスポットを
当てて配信しています。自薦他薦を問わず、ご登場いただける方
をぜひご紹介ください。
旅はもっと楽しくなる!浅草No.1ツアー!
株式会社トラベリエンス
CEO 橋本直明
サラリーマン家庭に生まれた。「独立」なんて考えたこともなかったのに、気が付いた
ら浅草の街を舞台におもてなしのツアーを始めていた――。「フェイスブックページに4
万5千人のファン」という人気を誇る観光ツアーはどうやってできたのか。活躍する卒業
生を追い、アクセンチュアで培ったスキルとマインドセットを武器に、少しずつ歩みを
重ねる姿をレポートする「Star Alumni」第1回。(※2013年10月取材・執筆)
東京都台東区蔵前。下町風情が色濃く残り、古くからの問屋街が立ち並ぶ。その一角の
ビルに、トラベリエンスは“オフィス”を構えている。
広さ6畳。トイレや台所は共同だ。部屋には作業用の机と来客用の小さなテーブルと
イスが二脚。段ボールの上には寝袋。「家賃いくらだと思います?3万4千円です
よ」。CEOの橋本直明さん(当時34)は笑う。2013年の3月11日。夢は、この場
所から始まった。

*****
トラベリエンスは「もっと知れば、もっと旅が楽しくなる」を理念に掲げ、外国人観光
客にガイド付きツアーを提供している。海外の大手旅行評価サイト「トリップアドバイ
ザー」では、浅草アクティビティー部門で1位の評価を獲得、フェイスブックページに
は4万5千人のファンがいる。浅草を中心にツアーを組んでいるが、最近では東京全域や
日光江戸村のツアーも始めた。
“tour is completely amazing”“This tour was truly fantastic”などと評されるの
は、ガイドへのこだわりゆえ。スタッフは、日本文化のあらゆる側面に精通し、歴史や
価値観、習慣など背景情報をふんだんに交えてツアーを組み立てる。「どんな質問にも
答える」がモットーで、新しい場所を案内する際は、必ず下見をする熱のこもりようだ
浅草寺など歴史的建造物も、例えば江戸時代の生活文化や当時の人々の暮らしぶり、価
値観が加わると、2倍にも3倍にも意味深く見える。日本の大手が開催するツアーではあ
まり情報が提供されていない。もっと面白くなる。そう思えたのは、バックパッカーと
しての自身の経験からだ。
「サラリーマン家庭の普通の子」として育った。旅の醍醐味を知ったのは大学1年生の
冬。初めての海外旅行で、フィジーを訪れた時だ。「ビーチで遊ばないか」。そう言っ
て森に連れ込まれ、ナイフで脅されて持ち金を全て取られた。非日常の濃密さに、強烈
な印象を受けた。
夏と冬休み。1年に2回、海外を放浪するのが習慣に。テストが終わった翌日から始業日
の前日まで、30カ国を旅してまわった。「計画はあまり立てない」のが流儀で、一カ所
にとどまって本を読みふけることもあれば、陸と海をつたって東京からモロッコまで
行ったこともある。
流浪するのが性に合っているのだろうか。キャリアもジグザグ。起業することもまった
く考えていなかった。
「ハヤリだから」。そんな理由で入社したアクセンチュアでは、意外に仕事にはまっ
た。金融グループに所属、PMやBPR案件を手掛け、コンサルティングの楽しさを知っ
た。
今でも忘れられない思い出がある。苦楽を共にし、プライベートでもバイク旅行をする
ほどお世話になったクライアントが広島に転勤になる。カラオケボックスで肩を組んで
歌を歌った時、感極まって涙がこぼれた。
「仕事でも鳥肌が立つほどの感動を得られるんだということを経験させてもらった。
元々『一生学生でいたい』なんて思っていたのに。いくら仕事をして苦じゃなかったん
です」
コンサルティングの醍醐味も捨てがたかったが、5年目には、あっさりリクルートに転
職。好きな旅行に携わりたいと、旅行雑誌の広告営業に励んだ。2012年には会社を辞め
世界一周旅行に出る。起業を考えたのは、世界一周を共にした結婚相手から言われた、
「サラリーマンなんてつまらない。事業をやったらどう」の一言がきっかけという。
「ドバイのプールでふと、『やってみよう』と決断しました。周りのアクセンチュアの
友人が起業をしていたし、まったく抵抗感はなかったんです」。アクセンチュアで蓄え
たコンサルティングスキル、リクルートで磨いた営業力。10年かけてどこへ行っても通
じる基礎体力を身に着けていたからこそ、起業のリスクも怖くなかった。アルムナイ
ネットワークもフル活用。スタッフの一人はアクセンチュアの同期、経産省への書類提
出では、卒業生メーリングリストで知恵を借りた。
*****
そろそろ半年。これまでのところ毎月の売り上げ目標はほぼ達成できている。「来年に
は僕も給料がもらえそうです」と苦笑しながらも、頭の中では京都や広島など全国展開
を早くも模索している。浅草のレストランマップを英語で作成するプロジェクトには経
産省から助成金もついた。やることなすこと、楽しくて仕方がない。 「好きなことを仕
事にするのは良くないという人もいるけれど、今は最高に幸せ。ゲストが喜ぶ姿を見
て、一日に鳥肌が3回ぐらいたつんですよ」
一人ひとりを心からもてなし、日本を好きになってもらう。「トラベリエンスは最高
だ。また日本に来たい」と言ってくれるゲストの笑顔の先に、日本のインバウンドツー
リズムを盛り上げる未来も見える。 ただ、流浪する人生は止められないかもしれな
い。
40歳になったらまた1年間、世界一周するつもりです――。
トラベリエンス HP はこちら