リグニン - 岐阜県生活技術研究所

リグニン
天然の接着剤を活用
植物系素材の主成分 リグニン
どんな植物系素材にもあります
木や草は主にセルロース、ヘミセルロース、リグニンの成分で構成されており、リ
グニンは約 3 割を占めています。リグニンはフェノール系高分子で、植物細胞の接
着や水分シールド機能の役割を持っており、どんな植物(木くず、もみ殻、雑木・雑
草など)や植物を加工した素材(段ボールなど)にも含まれています。しかし、こうし
た植物や素材はほとんどが廃棄処分され、熱源として利用されているのが現状で
す。そこで、こうした植物などからリグニンを分離・加工し、その活用を考案しました。
リグニンを取り出す
植物資源からの単離
パルプ製造過程で除去されるリグニンは変質したクラフトパルプリグニンと呼ばれ、黒液として排出されます
が、その用途は燃料などに限られています。植物資源からリグニンを単離する方法として三重大学の船岡教授
が考案された相分離変換システムがあります。木粉を化学処理することでフェノール誘導体を付加させたリグ
ニン(リグノフェール)を取り出すことができます。
リグニン誘導体の特性
木材から分離したリグニン(リグノフェノールやクラフトリグニンなど)
は粉末状にして得られます。このリグニンをさらに化学修飾(カルボキシ
アルキル化やハイドロキシアルキル化など)させ、様々なリグニン誘導
体を作製することに成功しました。
高吸水・保水素材の誕生
緑化に、オムツ素材に
これらリグニンとカボキシメチルセルロース(CMC)などと化学処理によって架橋
させると、粉末がゲル状の吸水素材になりました。このゲル状素材は吸水性が
数十倍から数百倍あり、高い吸水・保水特性を持っていることがわかりました。従
来の吸水素材と比較すると食塩水の吸水性が非常に高く、紙オムツや土壌保水
剤などへの応用が想定されます。リグニンは植物の成分なので、循環型環境素
材として期待されています。
岐阜県生活技術研究所(試験研究部:伊藤)
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