知能化するプラットフォーム IoTの未来へ

知能化するプラットフォーム IoTの未来へ
2016年3月18日
国際社会経済研究所
松永 統行
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ポリモルフィック(多形構造)ネットワークキングについて
• ポリモルフィック(多形構造)とは何か
システム(全体として機能するまとまり)の
要素の一部もしくは全てが、自律化や自己組織化する環境下で
システムの構造が変化すること。
• ポリモルフィックネットワークキングとは何か
環境の変化に適応し、システムの構造が変化するための
要素間のつながりを形成すること。
ポリモルフィックネットワークキングは、通信の世界だけではなく、
技術を超えて社会的な課題にも対応する構造概念
≪構造概念:現象に潜在する構造の理解や制御のための方法論≫
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IoTに至るインターネットの産業政策
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巨大化したクラウドサービスの課題
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IoTへのインターネットの進化
【デジタル的つながりの時代】
インターネットは、デジタル的つながりという価値を創出し、仮想化(インターネットクラウド)による
アプリケーション連携が多様な価値を実現した。
【インターネットの進化】
インターネット
インターネットクラウド
仮想化
仮想化の一巡
サーバー仮想化
→端末仮想化
→ネットワーク仮想化
クラウド
アプリケーション
(アプリケーション・サーバー)
①サーバー仮想化
プラットフォーム
アプリケーションサーバー
アプリケーション連携
機構の拡充
多数の端末を効率的に管理するための機能群
<拡張性、機能追加負担の軽減>
コモディティー化
③ネットワーク仮想化
インターネット
ネットワーク
(ex.ブロードバンド+無線LAN、携帯電話網)
端末デバイス
高性能・高機能化
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端末デバイス
(スマートフォン等)
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②端末仮想化
SDN・NFV等
IoTサービス統合のビジョン
IoTという言葉がICT業界(シスコ、IBM、エリクソン等)、いわば
ICTビジネスの世界で使われるようになったのは 2010年頃からであり、
現時点でも多くは前記のアプリケーションサーバーベースの考え方になっている。
Horizon2020にみるアプリケーション連携による
ハードウェアをルール化、
固定化して使うのが旧イ
ンターネットの機構であり、
アプリケーションが連携
することで、機能全体の
拡張性や柔軟性を担っ
ている。
IoTサービス統合のビジョン
http://www.internet-of-things-research.eu/pdf/Internet%20of%20Things%20beyond%20the%20Hype%20-%20Chapter%203%20%20SRIA%20-%20IERC%202015_Cluster_%20eBook_978-87-93237-98-8_P_Web.pdf
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プラットフォームの知能化と進展
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知能とは
新しい環境に対する適応可能性 【生物学的立場】
知覚,弁別,記憶,思考などの知的な諸機能の複合
【心理的機能面】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
物事を理解したり判断したりする力
環境に適応し、問題解決をめざして思考を行うなどの
知的機能 【心理学】
デジタル大辞泉
3種類に大別。第1は,適応力とみる定義,第2は,抽象的
思考力,推理力,洞察力などの高等な知的能力とみる定義
で,言語や記号などを用いて,概念のレベルで思考を進める
能力。第3は,学習能力とみる定義,知識や技能を経験に
よって獲得することを可能にする能力 世界大百科事典 第2版
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IoTがもたらすインターネットの限界と
ポルモルフィックネットワーキングによる構造変換
インターネット仮想化の一巡
サーバー仮想化→端末仮想化→ネットワーク仮想化
インターネットにつながるIoTデバイス数
125億個(現在) → 500億個(2020年)
昨年 250億個、4年間で2倍に収斂
これをさらに拡大しようとすれば、データについては、
ビックデータ処理、ダイナミクスについては、リアルタイム性となるが
いつかどこかで破たんする可能性を秘めている。
ポリモルフィックネットワーキングでは、ICTのハードウェア・ソフトウェアも
状況に合わせて局所適応し、形や配置を変える。
SDNのマイクロセグメンテーション化や、
自動運転車やドローン等の自律システムの登場も含め、
システムがコグニティブ化や自律化をすると、
自然に、固定化したルールの上でのアーキテクチャーではなく、
ハードウェアもソフトウェアもポリモルフィックに形や配置を変える構造変換が
必要になる。
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ポリモルフィック ネットワーキング
自律・協調システムの知能化事例
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ポリモルフィックネットワーキング 構造概念の革新
インターネット網の通信機構
ルーターによる
一様なパケット通信のための
エンドノード制御システム
(経路制御を分散。DNSと経路表
によるIPフォワーティング)
キャズム
(溝)
SDNによる
ネットワーク仮想化
ルーターの制御機能と
転送機能の分離
ハードウェアと
ソフトウェアのボーダレス化
自律化するインターネット上のアプリケーションシステム
多様なエンティティ―の
自律・協調へ
飛躍が必要
クライアント・サーバ型
P2P型
ポリモルフィック
ネットワーキング
規模の拡大
作られたプラットフォームの上での振る舞い
ロボットがロボットを創り
SWがSWを創る時代
構造概念の革新
多様な性質をもつ仮想マシンの有機的接続
生みだされるプラットフォームの上での振る舞い
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統合システムから自律・協調システムへの潮流
『1対多の中央管理システムの限界』事例
多額なシステム投資が不要に。
新しいシステムレジリエンス構築の萌芽。
≪一つの要素の機能強化や多機能な要素の搭載ではなく、環境
に適応した要素の配合や発現の柔軟性(多形化)により高次化≫
自律・P2P型アプリケーションと呼ばれる
ブロックチェーン技術の採用
管理主体ではなく、利用者が相互に認証し合うこと
で記録の正しさを担保する仕組み
(従来型口座概念の不在)
取引の管理構造の多形化。
柔軟な多形連携を実現するインフラが、取引の新しいトラストを創出する進化を牽引。
中央(アプリケーション)サーバー構築周辺のビジネスモデルの成熟化と収斂
≪一様なプラットフォームの上でのサーバー・端末・NW仮想化技術の一巡。
ビックデータ解析は典型的な中央型アプリケーションの価値提供≫
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21世紀の仮想世界における自己組織化
『人工物との新しい関係性を持つ社会』
ポリモルフィック
ネットワーキング
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経済的交換の多形構造化と再定義
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提言
▌ 現状のインターネットへの対応とは別に、将来に向けたポリモルフィッ
クネットワーキングによるICT分野の研究を進める必要がある。自律
化、自己組織化したシステムが混在する環境におけるサイエンス(科
学)からエンジニアリング(工学)までの新しい体系化やリサーチクラ
スターの再編等が必要になる。
▌ 「社会のすべてに神経が通うこと」を想定したモノとヒトのつながり方
を考察する方法論の一つとして「ポリモルフィック ネットワーキング」
という構造概念が有効である。従って、今後、さらに研究を継続する。
▌ ポリモルフィックという概念は、科学を超えた社会的課題抽出にも適
応し、多形的な社会を実現する構造概念であり、新しい社会や都市
にも適用する。
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