「つながる経済」がもたらす 産業の新潮流と日本製造業 の生き残り策

2016年12月2日
BCN IoTフォーラム 【B-2(IoT×産業の地殻変動)】資料
「つながる経済」がもたらす
産業の新潮流と日本製造業
の生き残り策
東 レ 経 営 研 究 所
理事 産業経済調査部長 チーフエコノミスト
増 田 貴 司
1.産業の新潮流を読み解くキーワード
- 「つながる経済」関連のキーワードに
注目して「IoT時代到来」の意味を
理解する
本日取り上げるキーワードの相関図
■ 「IoT時代の到来」とは、「“つながる経済”時代の到来」と理解すると分かりやすい。
「つながる経済」関連の産業潮流 を理解するキーワード群
【 新興国の台頭 】
新興国 (市場・企業)の存在感アップ
【 IT(情報技術)の発達 】
デジタルものづくり革命
コモディティ化の高速化
〇 製造業への参入障壁が低下
〇 従来不可能だったビジネスモデルが実現可能に
〇 起業や異業種参入が容易に
IoT / 第4次産業革命
つながる経済
クルマ×IoT = 次世代自動車
シェアリングエコノミー
(コネクテッド・カー/自動運転車)
モノからコトへ /
製造業のサービス化
ロボット×IoT = 次世代ロボット
物流×IoT = 物流の進化
人工知能(AI)
ユーザー体験
出所 : 演者作成
異業種間競争の頻発
( 注)
© Toray Corporate Business Research, Inc.
:本資料で主に解説するキーワード
3
異業種間競争 (1)
- 誰もが知っている象徴的事例:デジカメ
■ スマホの侵食を受けるデジタルカメラ市場
- コンパクトデジカメの世界販売台数は、ピーク時(2010年)の5分の1以下に縮小
- 海外の同業他社にシェアを奪われたのではない。 世界のデジカメ市場自体が収縮した。
■ 同様の現象は、他の業種・製品分野にもじわじわと広がっている
デジカメ レンズ交換機出荷台数(左)
(百万台)
スマートフォン世界出荷台数(右)
140
1,600
1,400
120
100
(百万台)
デジカメ コンパクト機出荷台数(左)
12.9
15.7
9.9
1,200
20.2
1,000
80
800
108.6
60
40
99.8
17.1
96.0
78.0
600
13.8
13.1
45.7
20
29.6
400
12.4
200
22.3
18.6
2015
2016
0
0
2009
2010
2011
2012
2013
2014
(年)
(注) デジタルカメラは日系メーカーの国内出荷(海外での生産分を含む)の合計。
出所 : デジタルカメラは一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)統計。2016年は同会見通し
(2016.2.1発表)。 スマートフォンは米調査会社のIDC調べ(2016年は3月3日発表の予測)。
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異業種間競争 (2)
- 広範な業種・業態で頻発している
最近の異業種間競争の事例
コンパクト型デジカメ
電子辞書
⇔
スマートフォン
タクシー会社
⇔
米ウーバー(スマホの専用アプリを活用
したタクシー配車サービス)
ゲーム専用機
⇔
携帯端末における交流ゲーム
スマートフォン向けゲームアプリ
人力翻訳サービス
⇔
ロボット翻訳ソフトの定額利用サービス
カーナビ専用機
⇔
スマートフォン向けカーナビアプリ
金融機関・証券会社
⇔
人工知能(AI)が資産運用の手伝い
をするロボアドバイザー業者
音楽CDの販売・レンタル
⇔
音楽配信サービス
(ダウンロード型)
予備校・学習塾・語学学校
⇔
オンライン学習サービス(スカイプ利用等)
音楽配信サービス
(ダウンロード型)
⇔
音楽配信サービス
(ストリーミング型)
学習塾
⇔
タブレットで生徒の学習の理解度を解析
しオーダーメードで最適問題を出す
人工知能教材を学習塾に提供する業者
カード決済用の
電子決済端末
⇔
書店・家電量販店・スーパー
⇔
ネット通販事業者
お寺の法事・法要
⇔
ネット販売「お坊さん便」サービス
(法事法要に僧侶を手配、お布施定額)
POS(販売時点情報管理)
レジスター
自動車メーカー
⇔
⇔
「スマホ決済」の電子装置(スマホを
アプリでクレジット端末にする仕組み
タブレット端末を活用してPOSレジ機能
を提供するサービス)
ソフトウェアのアップデートで賢くなる
コネクテッドカー(米テスラ、米グーグル
や米アップルの車載OS搭載車)
出所 : 東レ経営研究所作成
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異業種間競争 (3)
- 増加・激化してきた理由
■ 多くの分野で、これまで競合相手と考えもしなかった
異なる業種の企業との間の競争が増えている
他業界のライバル台頭が増加
他業界からの競合の台頭
業界内での競合の台頭
<なぜか?>
①国内市場の縮小・成熟化
→ 活路を求めて新規領域に参入
0%
20%
40%
60%
43%
2013年
39%
②グローバル化の進展で、異質なビジネスモデルが流入
③ITの発達で模倣が容易になり、新規参入のハードルが低下
(デジタル化、モジュール化、知識の「形式知」化)
54%
2015年
29%
出所 : IBM 「グローバル経営層スタディ2015」 より作成
④ITの進化(1) - 「つながる経済」のインパクト
誰でも、低コストかつ短時間で自分のアイデアを事業化できるように
→ 新規参入のハードルが下がり、従来不可能だったビジネスモデルが実現可能に
⑤ITの進化(2) - ITが「汎用技術」として世の中を変える局面に入った
※ 「汎用技術」とは、既存の技術・製品を陳腐化させ、新しい製品への置き換えを大規模に
もたらすような技術のこと(かつての産業革命時の汎用技術は、電気、自動車、鉄道など)
今、コンピュータとインターネットが新たな汎用技術となり、第4次産業革命が進行中で、
広範な業界に地殻変動をもたらしつつある
⇒ 「IoT」「インダストリー4.0」は、④、⑤の動きをとらえた言葉
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コモディティ化
- 21世紀ものづくりの最重要キーワード
■ コモディティ化(汎用品化)とは
ある製品が機能や品質などで差別化を図ることができなくなり、
あたかも日用品のように低価格をもってしか差別化できなくなる現象
■ 近年、コモディティ化のスピードが高速化
・どんな製品でもコモディティ化するのは、今に始まったことではない
・しかし最近は、ハイテク製品でも、ごく短期間でコモディティ化するようになった
〈理由〉 ITの発達とデジタル化、部品のモジュール化の進展、新興国メーカーの台頭などを
背景に、日本メーカーが高付加価値製品を開発しても、すぐにライバル企業(新興国
メーカー等)が、似たような製品を大量生産することが可能に
・この結果、日本企業は、従来の戦い方(モノ単品売りの高付加価値路線)では、
「技術で勝って事業で負ける」パターンに陥りやすくなった
■ コモディティ化に縁遠い商品と思われていた自動車にも忍び寄るコモディティ化の影
・自動車部品に占める電子部品の比率の高まり : 2004年19% → 2015年 40%
→ 機械部品と違って電子部品はモジュール化しやすい
・独フォルクスワーゲン(VW)は、2012年頃からモジュール生産方式を本格的に推進
・・・「レゴ」方式を採用、部品の約7割を共通化
どこで誰が作っても同じクルマが作れるようにすることが目的
・電気自動車では、設計思想が「擦り合わせ」型から「組み合わせ」型に変化
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つながる経済 (1) - 背景と意味
■ ITの発展で、世界がつながりやすくなった
・移動通信システムの規格の統合が進み、各地の通信規格を合わせるのが容易に
→ 新興国を含む、より広い世界で商品を販売できるようになった
・クラウドがあらゆる情報を結合し、ヒトやモノがつながる時代に
■ 「IoT(インターネット・オブ・シングス)」の時代の到来で、「つながる経済」 が活性化
→ 最近よく言われる 「IoT時代の到来」とは、「“つながる経済”時代の到来」と同義と
考えるのが一番正確
■ 「つながる経済」では、分断されていた時には不可能だったビジネスモデルが成立する
- いつ、どこで誰が商品を使ったかを細かく管理して、使用分のみ課金する形態など
- 売り切り(所有権移転)型だけでなく、多様な貸与、利用許型ビジネスが登場
→ モノからコトへ
■ つながっていなかったものが、つながるだけで、これまで単独で存在していた商品の
市場がそれに代替され、縮小・消滅してしまう
→ 異業種間競争が頻発・拡大
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つながる経済 (2) - つながることで何が起こるか
■ 携帯電話などICTが途上国の暮らしやビジネスを変える
★事例: コンゴの女性漁師
・最低限の機能しかない携帯電話が、コンゴの女性漁師の暮らしに革命的な変化をもたらした。
・かつては女性漁師は釣った魚を市場に持ちこんで販売。時間が経つと、魚の鮮度が低下。
・携帯電話の普及により、漁師は釣った魚を川で生かしたまま保管し、電話で注文を待ち、注文
を受けてから、魚を川から引き揚げ、顧客のために下処理するように。
・メリット : 高価な冷蔵庫を買う必要がなく、夜の市場で見張りをする必要もない。
魚の鮮度低下による価格下落や、食中毒の発生も避けられる。
★事例: ケニアのモバイル決済
・銀行サービスも銀行口座も普及していないケニアにおいて、携帯電話のIDとSMSを活用して
送金等の決済を実現するサービスが2007年に登場。
・銀行口座を持っていない(持てない)人も簡単に送金等が可能になるため、利用者が増加。
・この仕組みはタンザニア、アフガニスタン等にも輸出されていった。
■ デジタルネットワーク拡大に伴い、人間の行動・市場・システムが変化する
→ 新ビジネスの誕生が促進される
<例> フィンテック、クラウドソーシングサービス 等
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IoT (1) - IoTとは何か
■ 「IoT(Internet of Things)」 - デジタル革命による「つながる経済」化を総称する言葉
- 「モノのインターネット」という直訳では意味不明
- 機器などの「モノ」にセンサーを埋め込み、インターネットにつなげることで、様々なサービス、機能、利便性を
提供すること
■ IoTが普及した最大の要因は、高性能センサーが安く、小さくなり、様々なモノ・場所にセンサーが
搭載されるようになったこと
IoTの全体像
モノをネットにつないで何をするのか?
「 モノ」に関するデータをセンサーで取得
★ IoTがこれほど騒がれる理由
・IoTによって人々の生活に革新が起こる
・すべての業種にわたり、既存の産業構造
を変化させる力をもっている
= 産業にパラダイムシフトが起こる
データをインターネット経由で クラウドに蓄積
IoTの罠
データを分析(必要に応じAIを使用)
こんな人はIoTの本質を見逃す
分析結果をヒトにフィードバック(価値創出、課題解決)
「コト」の変化 をもたらす
( 生活の革新、産業構造の変化)
出所:各種資料をもとに東レ経営研究所作成
○ 技術的な側面にばかり注目する人
○ 既存の固定観念や常識をもとに、
「そんなモノ、ネットにつないでも
意味ないじゃん」と決めつける人
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IoT (2) - 得られる効果と本質
■ IoTビジネスで重要なのは、つながっている「モノ」ではなく、それによって起こる「コト」
- モノがつながることで様々な現象が起こり、新しい価値が生まれてくる
- つながることがコトの変化を巻き起こし、産業・ビジネス・商品・社会のあり方が変わる
- 自動車もロボットもドローンも、「IoTのデバイス」になる
■ IoTで得られる効果は、省人化などコスト削減だけではない
- 必ずしも、つないだモノ自体がたくさん売れて恩恵にあずかれるわけではない
→ だから、頭の固い人にはIoTの本質が見えていない
IoTで得られる効果
【 思考トレーニング 】
IoTで変わる冷蔵庫
冷蔵庫が、体重計、ウエアラブル端末、TVなど
ともにネットワークにつながると、
冷蔵庫の役割が変わる
<従来の役割>
「食品を冷やすために使うもの」
<新たな役割>
「ユーザーのビッグデータをもとに次なる消費を
喚起する広告端末」
(主人の健康状態や運動状況、不足栄養素等
を考えた食品を提案・勧奨するなど)
⇒ こうなると、冷蔵庫はネット通販業者などから
家庭に無料で提供されるものになる可能性も
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IoT (3) - IoT導入事例(製造業、建設業)
■ 製造業のIoT導入事例
・日本で導入事例が多いのが、「遠隔状態監視」(遠隔の機械等にセンサーを埋め込み、状態を監視
監視して効率的に保守点検し、故障を未然に防止する)
・工場内をつなぐ事例、製品をつなぐ事例は数多い
・工場間・サプライチェーンをつないで「見える化」する事例、受注情報をデジタル化してつなぐ事例も
■ 建設業のIoT導入事例 …人手不足問題の解決のため、自動化・省力化ニーズが大きい業界
・スマート・コンストラクション
国土交通省は建設現場にIoTを導入する「i-Constructin」プロジェクトを推進
・IoTによる「遠隔状態監視」を活用した老朽インフラ保全
製造業のIoTの先進事例の類型
供給サイド
工場内の「見える化」
複数工場をつなぐ「システム・オブ・システムズ」
○ 製品・サービスの
生産・供給の効率化
サプライチェーンの「見える化」
サイバー空間上における共同研究開発
受注情報のデジタル化
○ 販売後サービスの
収益源化
需要サイド
・・・仮想世界と現実世界の融合
つな がるスマート製品
顧客の製品利用状況の「見える化」(遠隔状態監視)
・・・顧客の利便性向上、顧客の問題解決・成功支援、社会的課題の解決
出所 : 東レ経営研究所作成
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IoT (4) - IoTの取り組み自体は昔からある
■ 製造業企業がIoTに取り組んで高度製造業へと進化している事例として、
GEの「インタストリアル・インターネット」が有名だが・・・
■ 日本にはGEよりも早くから、「インタストリアル・インターネット」と同様なIoT活用型の
事業モデルを実践している企業が存在する(コマツ、シスメックス、三浦工業など)。
先進国製造業企業のIoT取り組み事例
社名
内容
米 GE
「製造業シフト」を強化し、「インタストリアル・インターネット」戦略を推進中。例えば、航空機エン
ジンや医療機器などの産業機器に多数のセンサーを搭載し、ネット経由でビッグデータを収集・
解析・活用することで、運用効率の向上、新たな価値の創出、新製品の改良等につなげようとし
ている。
米トレイン
米国の老舗企業で世界100ヵ国以上で事業展開する業務用空調設備会社。M2M(IoT)を活用し
て事業モデルを転換。以前は空調設備というハードウエアを売るビジネスモデルだったが、今
は納入した空調設備にセンサーを埋め込み、通信可能にし、稼働状態をインターネット上で管
理できる状態にし、使い方支援や保守・管理などのサービス料を得るビジネスモデルに転換。
コマツ
自社の建設機械の中に埋め込まれたGPSやセンサーによって車両の稼働状況などのデータを
収集・送信する「コムトラックス」と呼ばれるシステムを導入し、顧客のコスト削減や生産性向上
につなげている。
シスメックス
血球計数検査分野で世界トップの医療機器メーカー。顧客の分析装置とカスタマーサポートセ
ンターをネットでつなぎ、装置の状態をリアルタイムで監視し、顧客が気づく前に装置の異常を
察知し対応する、独自のネットワークサービスを提供。
出所 : 各種資料をもとに筆者作成
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IoT (5) - 「IoT時代到来」の製造業にとっての意味
■ モノがつながると、製造業の競争軸はモノの製造・販売だけでなく、モノを介した顧客価値の提供全般へと広がる
■ 製造業は、デジタルデータを使って人々や企業が何を欲しがっているのかを知り、ハードとソフト・サービスを融合
させて、顧客や社会の課題解決に貢献するというビジネスモデルに移行
⇒ ☆高品質なモノを作る技術力のない企業でも、サービスを加えた総合力で顧客のニーズを満たせば、勝てる時代
☆ ハードウェアのばらつきをソフトウェアで吸収できるため、競争力の源泉がハードウェアからソフトウェアに移行
IoTが製造業にもたらす変化
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IoT (6) - 「製造業のサービス化」を加速
■ 以前から、製造業の事業定義の「モノからコトへ」が進行中
■ 製造業企業が単なるモノ売りではなく、サービス分野(保守・管理、リース等)に乗り出し、
「コトを売る」ことで、継続的な利益獲得を生み出す事例が増加
- IoTビジネスはこの延長線上の動き (IoTは「モノからコトへ」を加速する)
<例> ・米GEは民間航空機エンジンで圧倒的なシェアを握るが、顧客のビッグデータを分析・活用
して燃費の改善等に役立てる「情報販売業」
・ヤマハ発動機は、米国で無人ヘリと農薬散布サービスを一体提供する事業を展開
製造業企業がサービス分野に展開している事例
社名
内容
三浦工業
・産業小型ボイラーで国内シェア40%超。 メンテナンス(保守管理)で独自の事業モデルを構築。 ボイラー販売と同時に、顧客
と3年間のメンテナンス契約を結び、最初に3年分の料金を一括でもらう仕組み。
・1989年から「故障予知」サービスを展開。顧客が使用しているボイラーに埋め込んだセンサーから得られるデータ収集し、同社
オンラインセンターで稼働状態を遠隔監視し、異常を感知すれば、ユーザーに対処方法を伝達し、メンテナンス要員を派遣。
リコー
・ハード(事務機の単品売り)からサービス事業へ舵を切り、運用・管理受託サービス事業を強化。機器の再配置や印刷業務
の最適化などを継続的に提案するサービスなど。
・中小企業向けITサービス(ネット接続機器の提供から設置、保守までを丸ごと請け負う)に注力。
ブリヂストン
・トラック、バス用タイヤ市場で、リトレッド(タイヤの貼リ替え再生)事業を本格的に推進。 タイヤ単品売りから、「新品タイヤ、
リトレッドタイヤ、メンテナンス」をパッケージで提供するソリューションビジネスに転換。 顧客のトータル経費の削減、
環境対応、安全運行を実現するビジネスモデル。
堀場製作所
・分析・計測機器大手。 エンジン排ガス測定・分析装置で世界トップシェア。 測定・分析器を作って売るだけではなく、工場など
の施設の設計・建設まで受注し、そこに測定・分析器を設置するというトータルサポートシステムのビジネスを展開。
日立造船
・事業構造改革で、全売上高に占めるアフターサービスなど継続的な事業の比率を2016年度に50%に引き上げる。機器や
プラントの納入後にメンテナンスやオペレーションを有償で請け負って長期・安定的に収益を上げていくのが狙い。
出所 : 各社リリース資料、各種新聞記事より作成
© Toray Corporate Business Research, Inc.
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【閑話休題】
「製造業のサービス化」のメリットと意味
■ 「製造業のサービス化」のメリット
①コモディティ化した製品分野で価格競争から脱却できる可能性
②景気変動の影響を受けにくい
(フローの新規販売が伸びない中でも、中古ストックのさらなる活用を促すサービスは伸びる)
③サービス事業は手離れが悪く、比較的模倣困難なので、参入障壁が高い
④サービス事業には人を育てる効果がある
■ 「製造業のサービス化」は 脱工業化ではない。本質は「発想の転換」
・日本企業は得意なものづくりを捨てる必要はない。しかし、新潮流の中で成長するには、
「まずモノありき」から「まずコトありき」への発想転換が必要。
・コトの需要拡大によってモノの需要が拡大する。 → メーカーもコトづくりを仕掛ける必要。
[例] 自動運転が普及すれば、自動車はレンタルやシェアリングが普通になる
→ 自動車は移動という価値を生む生産財に
■ 顧客はモノに価値があるからそれを買うのではない
モノを消費し利用することによって価値が生まれる
= マーケティングの教科書でお馴染みの話を実践すべき時代がやってきた
〇「ドリルを買う顧客はドリルが欲しいのではなく、欲しいのは穴である」
〇 製造業を含むすべてのビジネスを、顧客への「サービス」として捉え直すべき
© Toray Corporate Business Research, Inc.
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【「IoT」「つながる経済」関連キーワード】
人工知能(AI) (1)
-第3次AIブーム到来、米IT企業が競って投資
■人工知能(AI:Artificial Intelligence)とは
「見る、聞く、話す、考える、学ぶ」など、人間が持つ様々な知的能力を、コンピューター
やロボットなど各種マシンの上で実現する技術のこと
■ 深層学習(ディープラーニング)の進化を背景に、「第3次AIブーム」が到来し、
AIの産業への活用事例が急速に拡大中
○米IBMの認知型コンピューター「ワトソン」が銀行などの店頭オペレーター業務で活躍
○ソフトバンクの人型ロボット「ペッパー」を導入する企業が増加(1000社超)
○AIを活用した自動運転車の開発が世界で業種を超えて加速
○法律事務所での訴訟資料の選定 ○人間関係の可視化 ○医療機関での治療計画の策定
○SNSにおける犯罪情報のモニタリング ○転倒リスクのケアが必要な患者の看護情報からの
シグナル発見 ・・・
■ 米IT企業(グーグル、IBM等)によるAI分野への投資競争がヒートアップ
■日本の有力企業も一斉にAI研究に注力し始めた
・トヨタやリクルートが米国に本格的なAIの研究開発拠点を設置
・日本のAI関連ベンチャーが大企業と手を組む事例も増加
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【「IoT」「つながる経済」関連キーワード】
人工知能(AI) (2) - 単なるテクノロジーではない
■ IoTとAIは単なるテクノロジーではない
・IoTにより人間の五感では感知できなかった情報を取得し、これらをAIに入力すれば、
人間には見つけることができない意味やパターンを認識することが可能に
・AIは単なる流行の技術分野ではなく、人類の生活や産業のあり方を一変させるもの
⇒ 企業は、AIを単なるテクノロジーと考えるのではなく、
AIの出現でどんな新しいビジネスモデルが出てくるかを洞察することが重要
■ AIの行き着く先はSFの世界そのもの
『Ex Machina(エクス・マキナ)』
(2015年、英国のスリラー映画)
人間プログラマーと美女の姿をした
AIアンドロイドの主従関係を巡る
ミステリアスな心理戦を描いた
■ 「IoT×AI」は、従来のあらゆる産業の姿を変質させる
<例>AIを導入した次世代ロボットは、あらゆる産業を塗り替えてしまう可能性
■ IoTと製造業の融合に日本の勝機あり
・品質管理やメンテナンスなど、もともと日本がきめ細かく管理していた部分にAIを適用
することで、世界をリードできる可能性
・ただし、AI研究の潮流が物理的側面から思考能力にシフトしていることを見逃せば、
日本のAI技術はガラパゴス化の恐れ
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【「IoT」「つながる経済」関連キーワード】
次世代自動車 (1)
- クルマのIoT化 : コネクデッドカー
■ クルマのIoT化が進む中で、コネクテッドカーと自動運転車が次世代カーの主役に
■ コネクデッドカーの登場
・コネクテッドカー(自動車が高速無線ブロードバンドで常時インターネットに接続され、OSやアプリ
で様々なサービスの提供を受けられる車)の開発が急展開
・米テスラの新型EV(コネクテッドカー)人気は、アップルのiPnone登場時のムードと似ている
■ コネクテッドカー時代には、自動車は単体としての乗り物ではなく、スマート社会の情報
端末の一つ(「走るスマホ」)となり、OSやアプリで提供されるサービスが価値を生む
⇒ 既存の自動車メーカーはソフトウエアの主導権を握るIT企業の下請け的な存在に
なり、競争力を失う可能性
- これをにらみ、自動車業界とIT業界との間で世界的な合従連衡が進む
各社のコネクテッドカーの開発状況
【アップル 】 車載用の次世代OS「CarPlay」を開発
【グーグル】 携帯端末向けOS「アンドロイド」の車載器への搭載を目指す研究協力体制
「OAA(オープン・オートモーティブ・アライアンス)」が発足
【マイクロソフト】 WindowsPhone端末を車のダッシュボードにミラーリングするシステムを発表
【GMとクライスラー】 車載器アプリ配信サービスの開始を表明
【トヨタ】 車載情報サービス(「T-Connect」)を2014年にリリースし、登録するアプリ開発企業を募る
【日立製作所】 自動運転車の電子制御ユニット(ECU)のソフトウェアを無線通信で遠隔更新できる
技術を開発、2018年上市予定
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【「IoT」「つながる経済」関連キーワード】
次世代自動車 (2)
- クルマのIoT化 : 自動運転車
■ 自動運転の実用化は、産業全体に大きなインパクト
・自動運転車がオンデマンドで配車されれば、クルマは所有するものでなく、必要な時に利用する機器に
・自動車がぶつからなくなれば、頑丈なボディは不要に → 鉄鋼業等に打撃
・タクシー(料金の約3/4が人件費)が無人タクシーになれば、利用料金が大幅に下がる
・「クルマは所有せず、必要な時だけ使う」という利用形態が一般的になる
・交通違反を取り締まる必要がなくなり、警官の数が削減される
・短距離航空市場が縮小する(自動運転なら車内を寝室にできるため、飛行機より車が選ばれる)
自動運転車開発への各社の取り組み
企業名
取り組み状況
トヨタ自動車
2014年12月、自動運転の公道実験開始。 従来は自動運転技術は「あくまで運転支援が目的」という立場
だったが、15年10月、高速道路上で車線変更や追い越しができる市販車を2020年めどに発売すると発表。
15年9月、米国に人工知能(AI)の研究開発拠点を設立、半年でAI人材100人体制に。
日産自動車
完全自動運転車を高速道路だけでなく一般道でも走らせることを目指す。米シリコンバレーに開発拠点を設立。
2013年8月に「2020年までに複数車種で自動運転技術を搭載する」と表明。15年、米カリフォルニア州で公道
実験開始。16年8月、高速道で一部自動走行できる車を発売(18年に車線変更できる車を発売予定)。
富士重工業
2016年4月、自動運転を含む運転支援システム分野で日本IBMとの協業を発表。2020年に高速道で車線
変更できる車を発売予定。
米GM
2017年に高速道の単一車線で自動運転できる車を米国と中国で発売予定。
米グーグル
2007年から自動運転車の開発に着手。米カリフォルニア州やネバダ州の公道で試験走行を重ね、14年5月、
独自開発の自動運転車(ハンドルもブレーキもなし、完全ハンズフリー)を発表、17年に何らかの自動運転
ビジネスの外販開始を目指す。
米テスラ
電気自動車の専業メーカーである同社は、2015年、日本以外の国で自動運転システムの提供を開始。日本
でも16年1月に提供開始。
独コンティネンタル
世界第4位の自動車部品メーカーの同社は独BMW社と共同で自動運転技術を開発中。 2020年までに欧州
の高速道路での高度な自動運転の実用化を目指す。
米ウーバー
スマートフォンのアプリを使った配車サービスを展開する同社は、2015年2月、カーネギーメロン大学と提携して
自動走行システムを共同開発しており、無人タクシーなどに活用していくと見られている。
出所 : 各社資料、各種新聞・雑誌記事をもとに作成
© Toray Corporate Business Research, Inc.
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【「IoT」「つながる経済」関連キーワード】
次世代自動車 (3)
- グローバル競争を勝ち抜く自動車戦略
■自動運転の技術開発面では、日本が世界をリードしているが・・・
自動運転車分野における
出願人別特許出願件数ランキング
■ 自動運転車開発のアプローチは日米で違っている
【従来の日本企業の主流】
・自動運転をドバイバーの安全運転支援技術の1つ
と位置付け
順位
件数
1
トヨタ自動車
4,864
2
デンソー
2,655
3
ボッシュ(ドイツ)
2,176
4
日産自動車
1,744
5
本田技研工業
1,539
6
アイシンAW
1,141
7
GM(米国)
933
8
三菱電機
640
9
富士重工業
625
10
現代自動車(韓国)
622
【米IT企業】
・自動運転実現のための機器・デバイスとサービス
の組み合わせにより、新しいビジネスを生み出して、
自動車産業を別の産業につくり変えようとしている
- 自動車はIoTの一端末に過ぎない
■ 米テスラの事故(2016年5月)が起きたが、各社の
自動運転の開発・進化は止まらない
出願人
出所 : 特許庁 「特許出願技術動向調査等報告」 2013年度
■グローバル競争を勝ち抜く自動車戦略
・自動運転車の開発は、世界各国でIoTやインダストリー4.0の潮流の中で進行
・オープンなプラットフォームづくりや規格の標準化、制度整備などにおいて主導権を
取る競争が始まっている
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【「IoT」「つながる経済」関連キーワード】
サービスロボット市場 (1)
- 成長が期待されるサービスロボット
■ ロボット市場が急拡大する兆し - IoTとAIが後押し
・安倍政権は15年1月、「ロボット新戦略」公表
・ロボットスーツを手掛ける日本のベンチャー企業、サイバーダインが東証マザーズ上場 (14年3月)
・ソフトバンクが人工知能(AI)を搭載した人型の感情認識ロボット「ペッパー」を発売(15年2月)
・米グーグルがロボット関連企業を多数買収するなど、大手IT企業が ロボット事業を推進
■ 日本は産業ロボットではロボット大国だが、今後成長するサービスロボットでは欧米企業に劣後
■ 少子高齢化が急速に進む日本では、介護・福祉ロボットなどサービスロボットの需要が高まる
日本のロボット産業の市場規模の予測
生活サービス分野でロボット活用が増加する背景
(億円)
100,000
サービス分野
90,000
農林水産分野
80,000
ロボテク製品
70,000
製造分野
60,000
出所 : 総務省 『情報通信白書2015年版』
50,000
40,000
パートナーロボット(日常生活支援目的)の開発事例
30,000
事例名称
20,000
PALRO
開発元
富士ソフト
LIGHBOT 日本精工
10,000
0
2012実績
2015
2020
2025
2035
サービス・販
売開始時期
概要
2010年3月
人型のコミュニケーションロボット
2016年度
実用化予定
視覚障碍者の歩行を補助するためのナビゲーション
機能付きで障害物回避しながら先導するロボット
Pepper
ソフトバンク
ロボティクス
2015年2月
感情機能を持ったパーソナルロボット
Robi
ロボ・ガレージ
2013年2月
外観や動作を特徴とするコミュニケーションロボット
出所 : 経済産業省・NEDO 「平成22年度ロボット産業将来市場調査」
出所 : 総務省 『情報通信白書2015年版』
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【「IoT」「つながる経済」関連キーワード】
サービスロボット市場 (2)
- 人手不足克服 / 機械との競争
■ 日本が少子高齢化、生産年齢人口減少、人手不足問題の課題解決先進国であることは、
サービスロボット分野でイノベーションを起こすのに有利な条件 (実現には大胆な規制緩和が必要)
■ 世界的に、「“機械との競争”による失業」「人工知能は職を奪うか」の議論が不可避
・AIとロボットの目覚ましい進歩は、オフィス労働者やサービス従事者から仕事を奪っていく
・高等教育を受けた知的労働者の多くが失業する可能性
・「古来、科学技術が発展するたびになくなる仕事があるが、代わりに新しい仕事が必ずできる」
というのが従来の通説だったが・・・
⇒ 労働者が自動化される可能性の低い職業に転換できるよう、再教育を強化することが必要
機械に仕事を奪われやすい職種、奪われにくい職種
(今後10~20年以内)
【 仕事を奪われやすい職種 】
奪われやすい職種
【 仕事を奪われにくい職種 】
確率(%)
奪われにくい職種
確率(%)
電話による販売員
99.0
栄養士
0.4
データ入力者
99.0
内科医・外科医
0.4
銀行の融資担当者
98.0
小学校などの教師
0.4
簿記・会計監査
98.0
心理学者
0.4
スポーツの審判員
98.0
警察・探偵
0.4
組立ライン従業員
97.0
販売管理者
1.3
小売店のレジ係
97.0
ファッション・デザイナー
2.1
一般のオフィス事務員
96.0
エレクトロニクス技術者
2.5
料理人
96.0
ITシステム管理者
3.0
出所 : Dr. Carl Benedikt Frey & Michael A. Osborne (2013) "The Future of Employment:
How Susceptible are Jobs to Computerisation?" Oxford University
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【「IoT」「つながる経済」関連キーワード】
デジタルものづくり革命(1) - 背景
■ ものづくりの世界に新たなデジタル革命の波
・2次元の世界が中心だったIT革命の波が、3次元(ものづくり)の世界に及んできた(3D生産革命)
・この結果、ものづくりの参入障壁が下がった
■ デジタルものづくり革命の背景
・3Dプリンター、3Dスキャナー等の工作機械が安価で、
小型になった
・これら機器を個人で利用できる工作スペースが誕生
・ネットを使って、多くの人がアイデアを交換しながら共同
で機器などの試作品を開発する仕組み(オープンソース・
ハードウエア)が登場
・ネットで設計データを送れば、希望のデザイン通りに立体
造形物を作成してくれるサービスが登場
・製品開発に必要な資金を広く一般から募集する仕組み
(クラウド・ファンディング)の普及
⇒ 個人・ベンチャーでも、ものづくりに参入できる時代に
■ 現状においては日本は欧米に比べて立ち後れ
・世界の3Dプリンター累積出荷台数(1988~2012年累計)
で日本のシェアはわずか3.3%
・米国71.2%、欧州11.5%
(出所 : Wohlers Report 2013)
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3Dプリンターなど付加製造技術の
経済波及効果試算(2020年時点)
出所 : 経済産業省「新ものづくり研究会報告書」
(2014年2月)をもとに作成
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【「IoT」「つながる経済」関連キーワード】
デジタルものづくり革命(2)
- 3D革命でものづくりはどう変わるか
○ ものづくりの参入障壁が低下する
- 異業種やベンチャーが製造業に参入
○ 既存製造業でも、これまでの大量生産、製品開発の方法や常識が変わる
・金型などの版が不要で、一品一品、違うデザインのモノを低コストで製造できる
・試作の期間短縮と低コスト化が実現
・コミュニケーション・ツールとしての3D機器活用により、試作のプロセスや役割が変化
- 造形が手軽に安くできるため、何度でも気軽に試作できる(試行錯誤の回数増加)
・3Dプリンタの機能アップの結果、試作用途だけでなく、最終製品製造用途にも使えるように
◎ モノがデータ化され、ポータビリティをもつ
日本のものづくりは
まだこの発想に乏しい
- 「モノ」が通信される対象になる、バーチャルなデータを立体物に転換できる
→ 工場の立地・モノの輸送の概念、ビジネスモデルが変わる
○ 顧客との「共創」の可能性が広がる
消費者は、自分が創造に手を貸した製品をより高く評価し、より高いお金を払う傾向(「イケア効果」)
○ 【産業立地】 先進国への国内回帰を後押し
・デジタルものづくりによって製造コストに占める人件費の割合が下がるため、
工場を労務費の安い国に置くメリットが小さくなり、先進国に工場が戻ってくる可能性
- 「アイデアとデータは世界中を駆け巡るが、モノ化するのは各地域で」 というモデルが可能に
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【「IoT」「つながる経済」関連キーワード】
シェアリングエコノミー (1) - 急拡大する共有型経済
■ 急成長するシェアリングエコノミー
・人々の間で様々なモノの共有(シェア)を仲介するビジネスが台頭
・個人の遊休資産や時間を他人のために活用して利益を得る - そんな個人間取引の橋渡しを
するプラットフォームを提供するビジネスが世界規模で成長
・その2大巨頭:
米エアービーアンドビー ・・・ 個人の空き部屋の時間貸し(民泊)をネットで仲介する
米ウーバー ・・・ スマートフォンで好きな場所に一般ドライバーが運転する車を呼んで目的地
まで乗せてもらえるサービス(ライドシェア)を仲介する
■ シェアリングエコノミーの世界市場規模は、2013年に150億ドルだったが、2025年には
3350億ドルに達する見込み(出所:PwC「The sharing economy – sizing the revenue opportunity」)。
【 Airbnb のサービスイメージ 】
【 Uber のサービスイメージ 】
出所 :総務省 「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(2015年)
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【「IoT」「つながる経済」関連キーワード】
シェアリングエコノミー (2) - 実はこれもIoTが原動力
■ シェアリングエコノミー台頭の原動力はIoT
・IoT時代が到来したことで、利用者の居場所の特定が容易になり、有効活用されて
いない資源(リソース)を共有(シェア)して使う方法が編み出され、それを選択すれば
コストを削減できる仕組みが新たに登場してきたことが、共有型経済台頭の原動力
シェアリングエコノミー事業を展開する日本企業の例
サービス名
ankaa(アンカー)
ハコベル(hacobell)
スペースマーケット
notteco(のってこ)
子育てシェア
nutte(ヌッテ)
企業名
アルファフェニックス
(広島県広島市)
ラクスル
(東京都品川区)
スペースマーケット
(東京都新宿区)
Costyle(コスタイル)
(東京都渋谷区)
AsMama(アズママ)
(神奈川県横浜市)
ステイト・オブ・マインド
(東京都渋谷区)
内容
マリンレジャーのシェアリングサービス。利用したくても購入・維持費が高いヨットやボートを1日
ごとの利用でシェアすることにより、安価な利用が可能に。オーナーにとってもコストの軽減にな
る。
パソコンやスマホアプリから最適なドライバーをマッチングして、荷物の配送予約から支払まで
を行える配送サービス。各運送会社の非稼動時間を有効活用することにより、低価格ながら高
品質な運配送を実現。
世界中のあらゆるスペースを簡単に貸し借りできるプラットフォームを提供。オフシーズンの球
場や平日の結婚式場など、国内外のユニークなスペースをワンストップで予約できるサービ
ス。
長距離移動を行うドライバーと、同じ方面・場所に移動する者(同乗者)のマッチングをサイト上
で行う。ガソリン代・高速道路代を分担することにより、安価な移動が可能になるほか、公共交
通機関では得にくい、移動時におけるリアルなコミュニケーション・人的交流が生まれる。
子どもの送迎やお預かりが必要なとき、親子共によく知る友だち・知人、「ママサポーター」の中
から都合がつく人を見つけることができるインターネットを使った仕組み。顔見知り以外とはつな
がれないから安心。
個人が縫製職人に縫製の依頼をサイト上で行える、縫製に特化したクラウドソーシングサービ
ス。職歴30年以上の職人からセミプロ層まで幅広い日本全国の縫製職人が登録しており、1点
から受注生産でオリジナル商品を制作することが可能。
開始年
2016年
2015年
2014年
2015年
(リニュー
アル)
2013年
2015年
出所 : 各種資料より東レ経営研究所作成
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【「IoT」「つながる経済」関連キーワード】
シェアリングエコノミー (3)
- 経済的メリットあり、拡大は必然
■ シェアリングエコノミー拡大は、特定世代の価値観ではなく不可逆的な流れ
・若者など特定世代の価値観や嗜好の変化というよりも、IoTによって新たに登場した
共有型の消費形態が人々に経済合理性から選ばれている結果
*米国では2015年、運転免許保有率が初めて全世帯で低下 -オンデマンドサービスの普及が背景
■ シェアリングエコノミーの経済的メリット
・シェアサービスが拡大し、空きリソースが活用されて稼働率が高まることは、社会全体の供給力
の増加につながる
・人の空いている時間と使われていないモノを有効活用するシェアリングエコノミーは、少子高齢化
で労働力が不足し、供給制約で成長できない日本経済の現状を打破する手段になりうる
■ 規制の壁により世界の潮流から取り残される日本
・米欧やアジアで急速に普及しつつあるが、現状、日本では規制の壁が厚く、産業化が
阻まれており、世界の潮流から取り残されている
・参入規制の緩和は、既存業界からの根強い抵抗があるため簡単ではないが、シェアリング
エコノミーという潮流をせき止めることはできない
→ 新ビジネス台頭の芽を摘むことのない、新たな規制の構築が急務
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【「IoT」「つながる経済」関連キーワード】
ユーザー体験
- IoT時代にはより重視される
■ ユーザー体験の魅力が重視される時代に
・顧客(ユーザー)にとって大切なのは、製品・サービスそのものよりも、それによりどのような
体験を享受できたかという「ユーザー体験」の魅力が重要視される傾向が強まっている。
・企業のマーケティング活動のゴールは、「顧客に商品・サービスを購入してもらうこと」ではなく、
「商品・サービスを使った体験で顧客に満足を感じてもらうこと」に移行
■ 今なぜユーザー体験が注目されるのか
① モノやサービスを単体で売るのでなく、「コト」を売る時代となり(= 「モノからコトへ」)、
顧客の体験という形でモノとサービスを一体として捉え、ビジネスを再定義することが必要に
→ 「○○(という商品)を売る会社」から、
「○○をきっかけにして体験というサービスを売る会社」へと事業定義を変える動き
② IoT 、AIの活用、シェアリングエコノミーの拡大により、今までの常識では想像もできなかった
機器の利用方法やサービスをユーザーに提供することが可能になり、人々に新たなライフ
スタイルを提案する商品の開発に挑む企業が増加
③ ソーシャルメディアの発達により企業と顧客の「共創」が起こりやすくなり、
ユーザー体験が特別な意義をもって集団で共有されるように → 「コト消費」拡大の原動力
- 口コミが可視化・計量化できるようになり、個人の体験が顧客同士で共有され、
企業にフィードバックされる時代に
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IoT・第4次産業改革 (1)
- 日本の取り組みの現状と課題
■ 猫も杓子も、IoTに注目し、第4次産業革命を唱えているが・・・
・今IoTと呼ばれているものの多くは、インターネットにつながっているだけ
- 「ヒトにフィードバックされる価値」でビジネス化が図れているものは少ない
・慣れ親しんだモノを別のモノに置き換え、使い方を変えたりすることで、突出した
利便性やコスト削減を訴求できる事業モデルを生み出した者が勝者になる
■ 日本のIoT・第4次産業革命は、進んでいるのか遅れているのか?
・技術そのものは日本が先行 -米独の取り組みに技術的な目新しさはなし
・だが、IoTの本質や市場性を見据えた「オープンなIoT」で、日本は遅れている
- 日本のIoTは、自社の系列に閉じた仕組み(横串が通っていない)
- 米独は、広くオープンなIoTシステムの構築を推進
⇒ 「そんなことはわが社は昔からやっている」という反応は危険
■ IoT時代に重要なマインドセット
・第4次産業革命が進展し、暮らしや社会システムが大きく変わることは不可避。
・この変化に対して、受け身で対応するのか、それとも積極的に新たに生まれる
デジタル社会の構築に自ら参画して、自分たちにとって都合のいい仕組みづくり
を進めるかでは、来たるべき世界での我々の「住み心地」は全く違ってくる
⇒ 独インダストリー4.0は、国ぐるみで後者を目指すという宣言である
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IoT・第4次産業改革 (2)
- ドイツの何を学ぶべきか
■ ドイツのインダストリー4.0の本質とは
- IoTが新たな産業革命とも呼ぶべき、産業世界観・産業生態系のパラダイムシフトをもたらす
との認識を前提に、この変革を主導し、生き残ろうというメッセージ性の強いビジョンの発信
■ ドイツがインダストリー 4.0を推進する真の目的は、
新たな産業革命の進展、「新しい社会」の到来という変化に直面していることを認識して、
ドイツ国民にそのための心構えをしておくように促すこと、そして大変革を早い時期に感知して
先手を打って行動できる人材を増やすこと (ドイツ工学アカデミー ヘンヒニ・カガーマン会長談)
・・・ 私たち日本人は、この現状認識と危機感をもって行動しているか?
ドイツの「インダストリー4.0」の産業世界観
第1次産業革命
(18世紀後半)
蒸気機関による工場の機械化
第2次産業革命
(20世紀初頭)
電力の活用、分業管理による大量生産
第3次産業革命
(1980年代以降)
コンピューター導入による工場のオートメーション化
第4次産業革命
(21世紀)
スマート工場を中心とした製造業のIoT化
サイバー・フィジカル・システム(CPS) *による自律化
(注)*サイバー・フィジカル・システム(CPS)とは、現実世界とサイバー(電脳)世界が緊密に結び
ついて様々な価値を生み出す仕組みのこと。
出所 : 各種資料を参考に作成
製造業のIoTをめぐる最近の業界アライアンスの動向
Industrie 4.0
独の産官学が2011年より提唱
Industrial Internet Consortium
(IIC)
米GEなどが2014年設立
AllSeen Alliance
Linux Foundationが2013年設立
Open Interconnect Consortium
米Intel、サムスン電子などが2014年設立
Thread Group
米Google傘下のNest Labsなどが2014年設立
IoT World Forum
米Cisco主催の産官学フォーラム
Hyper / CAT
英政府が支援、英ARM、BTなどが参加
新世代M2Mコンソーシアム
NECや東京エレクトロンデバイスなどが2010年設立
Industrial Value Chain Initiative
法政大学西岡教授などが2015年設立
ロボット革命イニシアティブ協議会
自動車、電機など約200の企業・団体が参加し、
2015年5月設立(事務局:日本機械工業連合会)
出所 : 日本政策投資銀行「今月のトピックス No.236-8(2015年8月21日) 「IoTでによる製造業の変革
ドイツで進むIndustrie 4.0 の取り組み」
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2.IoT時代を生き残るために日本企業に
何が必要か - 新潮流を踏まえた課題
IoT 時代の日本企業の生き残り戦略 (1)
■ 日本の製造業の強みに打撃
・日本の製造業はFAでは先行し、現場力重視のものづくりで強みを発揮しているが、
米独主導の新産業革命は、現場力に依拠した日本の製造業の強みを無力化する恐れ
・情報化の進展は、インド・中国など新興国企業のキャッチアップに有利に働く
■ 日本の製造業が目指すべき方向性
・デジタル化とネットワーク化を推進する一方で、IoT進展後の新しい世界においても
通用する新しい「匠の技」「現場力」「すり合わせ」の強みを磨いていく
・クラウド側を牛耳るIoTでは日本に勝ち目はないが、モノの側から攻め上がるIoTでは
日本にアドバンテージがある
・ハードとソフト、サービスが融合するIoTは、日本が強みとする「ぴったり/安全・安心/
かゆい所に手が届く」ものを提供する力を活用して、巻き返しを図るチャンス
■ 非製造業にとっては無限の可能性が広がっている
・IoT時代には、すべてのビジネスがサービス業に再定義される
・非製造業・ベンチャーにとって、ものづくりへの参入障壁が低下
・業種の垣根は崩壊し、アイデア一つで新しいビジネスモデルを生み出せる可能性
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IoT 時代の日本企業の生き残り戦略 (2)
■ 日本企業はIoTとどう向き合うべきか
★ 「既存事業にIoTをどう活用するか」という発想は捨てた方がいい
★ 意味のあるIoT戦略は、
〇 「IoTを使えば、今までできなかったどんな新事業ができるか」を考えること
〇 IoT進展がもたらすパラダイムシフトに対応して、自社の事業定義を見直すこと
★ 「あなたの会社が取り組むべきIoT事業、IoT戦略は何か」は誰も教えてくれない
- 自分自身で考えるしかない
★ IoTのイノベーションの担い手は、大企業より中小企業の方がチャンスがある
IoTビジネスの事業開発イメージ
モノから情報を
収集する技術
センサー
センシング
信号処理
画像処理
ハード
出所 : 東レ経営研究所作成
モノ
= IoT端末
ロボット
自動車
ドローン
ウエアラブル
…
ソフト
価値をヒトに
フィードバック
クラウド
ビッグデー
タ解析
人工知能
(AI)
サービス
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問題解決
課題解決
ビジネスモデル
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IoT 時代に大企業に求められるイノベーション戦略
■ 「IoT×AI」は破壊的イノベーションを生むが、これは大企業にとって必ずしも好ましくない
● 大企業も「イノベーションを起こせ」と叫ぶが、破壊的イノベーションを起こす確率が
高いのは伝統的大企業ではなく、小さくて新しい企業
● 破壊的イノベーションは、既存の業界秩序を破壊し、大企業の市場を奪うもの
● 自ら破壊的イノベーションを起こして新市場開拓者になれれば理想的だが、
他社がこれを起こし、自社が攻め込まれる展開になる確率の方が高い
■ 大企業にとっては、
「他社(異業種、新参企業)が不連続なイノベーションを起こした時の
既存事業の防衛戦略」 を、常に先手を打って講じることが重要
新しい価値体系
パラダイムシフトに
対する問題意識
破壊的
イノベーション
進化
変化対応
古い価値体系
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【IoT 時代を勝ち抜く作法】
仕組みづくりを重視する ①
■ IoT時代のパラダイムシフトに対応して企業が生き残るには、「仕組みづくり」がカギとなる
・モノ自体の魅力(機能と品質の向上)だけで優位性を築ける時代は終わった
・自社単独の力ではイノベーションを完遂できないケースが増えてきた
⇒ 「仕組みづくり」の勝者が持続的競争優位を手にする時代に
■ 広い視野からイノベーション・エコシステムを注意深く観察し、コントロールすることが重要
・カギとなるパートナーをいかに巻き込むか
・仕掛けるタイミングが大切
- 市場投入タイミングをあえて遅らせ、動きの遅いパートナーが追い着くのを待つ
「製品・サービスの差別化」と「事業のしくみの差別化」の違い
製品・サービスの差別化
特
徴
事業のしくみの差別化
・目立つ、わかりやすい
・目立たない
・華々しい成功
・表面に現れにくい成功
・真似しやすい
・真似するのに時間がかかる
・持続時間が短い
・持続時間が長い
出所 : 加護野忠男・井上達彦 『事業システム戦略-事業の仕組みと競争優位』(2004)
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【IoT 時代を勝ち抜く作法】
仕組みづくりを重視する ②
■ 開発の対象がプロダクトだけでいい時代は終わった
- ハードだけでなく事業モデルまで含めた広範な最適化が求められる
■ 日本企業はなぜ iPod を生み出せなかったか?
・日本メーカーが開発対象と認識したのは、「ハード・周辺機器・アプリケーション」
・アップルが開発対象と考えたのは、「音楽配信サービスを提供するプラットフォーム、
お金を回収する仕組みを含めた事業全体 」
■ IoT ビジネスは、既存の規制やルールの枠内では収まらないことが多い
→ IoTで大きな新市場を創造しようと思えば、既存の制度や規制の枠内考える
「ルール追随型」ではなく、自らルールづくりを主導する側に回ることが必要
- 規制のあり方がIoT新市場創造の実現可能性に影響する
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【IoT 時代を勝ち抜く作法】
コラボレーションの推進
■ 異業種とのコラボレーション(協働)の推進
・ハードとサービスの融合、仕組みづくりが求められるIoTビジネスでは、異業種との
コラボレーションが必要不可欠
最近のコラボレーション事例 (2016年5~11月発表分)
企業名
取り組み内容
清水建設 と 米VC
日本と米シリコンバレーに本拠を持つベンチャーキャピタル(VC)、ドレイパーと連携。
ビッグデータ、AI、ロボット等の知見を取り入れ、現場の省力化につなげる狙い。
パナソニック と 米IBM
提携してAI(人工知能)を活用した住宅向けサービスを開発。欧州を皮切りに世界で展開。
タカラトミーとNTTドコモ
対話型ロボット「OHaNAS(オハナス)」を共同開発してシーテック(2016年10月)に出展。
東レ と NTT
生体情報を取得できる繊維を使った「スマート衣料」で医療分野に参入(共同開発している
「hitoe」ブランド)。2017年から病院向けに販売。
ホンダ と ソフトバンク
AI(人工知能)を使った自動車(コネクテッドカー)の運転支援システムを共同開発。
GEジャパン
米GEの日本法人、GEジャパンは、日本の企業や研究機関の技術を発掘するため技術公募
を実施。中小・ベンチャー企業との協業による新製品開発を推進。 [例] パワーシステム(現
アイオクサスジャパン)の蓄電器技術を応用したMRI(磁気共鳴断層撮影装置)の開発
NTTドコモ と DeNA
提携して自動運転技術の開発に乗り出す。路線バスでの実用化に向けた実証実験を開始。
トヨタ と 米ウーバー
トヨタ自動車は配車アプリ世界最大手の米ウーバーテクノロジーズと提携。数十億円を出資
するとみられ、米国でライドシェアのドライバーにトヨタ車をリース販売する。
パイオニア と 独ヒア
パイオニアはドイツ地図情報大手のヒアと協力して、自動運転用の地図システムを開発する。
2016年度内に実証実験を開始。
出所 : 各社リリース資料、各種新聞記事より作成
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【IoT 時代を勝ち抜く作法】
企業に求められる変革の心構え
■ IoT時代に企業が生き残るための課題
☑ あらゆる業種の境界が揺らぎつつあることを認識し、危機感をもつと同時に、
新たな自ら異業種間競争を仕掛ける
☑ 小さな失敗を恐れずリスクをとる風土を醸成する → 企業文化の刷新
☑ 顧客の立場になって、顧客が求める利益・ユーザー体験は何かを探求することが、
戦略判断の拠り所として重要になる
☑ 広い視野から世の中を観察し、異業種の動向を研究し、異業種の事例に学ぶ
・従来型の業界区分やステレオタイプの競合他社分析が意味をもたなくなった
・地殻変動を素早く認識し、俊敏に戦略を策定、実行することが重要に
・異業種の事例から自社のとるべき方策や新たな事業モデルのヒントが得られる
☑ 仕組みづくり、イノベーションは自社単独では成しえないことが多いから、自前主義を
脱却し、コラボレーションを推進する
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【IoT 時代を勝ち抜く作法】
企業文化の刷新
■ IoT時代の新市場開拓型の事業開発では、過去事例の経験や常識が当てはまらず、
事前の綿密な調査や需要予測はなじまない。何が正解かはやってみなければ分からず、
失敗する確率も高い。
■ IoT時代に求められる企業の行動様式は、「アジャイル開発」 「リーン・スタートアップ」
・・・ ソフトウェア会社やベンチャーが得意な行動
⇒ 大企業でもこれができるように、企業文化を刷新する必要 -米GE、米IBMは先行
■ IoT時代に経営者に求められる行動指針の参考資料
- 「Innovation100委員会レポート」(2016年2月、経産省ホームページ掲載)
「行動のための100の質問」が参考になる
http://www.meti.go.jp/press/2015/02/20160226002/20160226002-1.pdf
イノベーションを興すための経営陣の5つの行動指針
指針1
変革ビジョンの
変化を見定め、変革のビジョンを発信し、断行する。
発信と断行
指針2
経営の増築
効率性と創造性、2階建ての経営を実現する。
指針3
価値起点の
仕組構築
価値起点で事業を創る仕組みを構築する。
指針4
挑戦の奨励
社員が存分に試行錯誤できる環境を整備する。
指針5
越境の奨励
組織内外の壁を越えた協働を推進する。
出所 : 「Innovation100委員会レポート」 (2016年2月発表)
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