STEP (Standard for Exchange of Product Model Data)

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項目 STEP(Standard for Exchange of Product Model Rev.
Data)
0
年月日
作成
04.03.31
JPMF 教育部会
対象 一般
視点 基本解説
STEP(Standard for Exchange of Product Model Data)
STEP(Standard for Exchange of Product Model Data)は社団法人 日本機械工業連合会と
財団法人 エンジニアリング振興協会が平成7 年 3 月発行した「CAE/PMS 統合化に関する調査研究」
資料に同じ用語の解説があり、良く調査分析されていたので、参考文献として紹介する。
STEPは、Standard for Exchange of Product Model Dataと呼ばれているが、これは、標準
規格の愛称である。Industrial Automation system - Product data representation and exchange
(ISO10303)というのが正式規格名称である。ISO(国際標準化機構)が標準化を進
めている国際標準規格の一つで、1984年から開始された。STEPのドキュメントは、パー
トごとに分かれており、 ‘ 93年になっていくつかのパートが国際標準の( International
Standard)の一つ手前の段階のDIS( Draft International Standard)になって‘94年に国際
標準(IS)となった。
S T E P は 、 そ の 正 式 名 称 が 示 す 通 り 、「 製 品 デ ー タ ( Product Data )」 の 「 表 現
(Representation)」および「交換(Exchange)」のための標準規格である。製品データとは、
概念設計から詳細設計、試作・テスト、生産、サポートに到る一つの製品のライフサイクル全体
に渡って、必要になるすべてのデータのことである。形状データだけでなく、NCデータ、部品
表、材料、誤差、管理データなど多くの種類のデータが含まれる。
STEPでは、製品データの「表現」のためにEXPRESSと呼ぶ独自の言語を規定してい
る。このEXPRESS言語を使って、
「利用分野ごとのデータ変換の仕様(データの種類や構
造)を記述するのである。製品データの変換と言ってもデータ変換する人が何を交換したいのか
によって変換するデータの種類や構造は異なるからである。データの種類や構造をグラフィカル
に表示する方法をEXPRESS−Gとして規定している。
2次元製図やプリント基板といった利用分野ごとにアプリケーションプロトコルを記述する
のは大変であるため、具体的な要素ごとにEXPRESS記述を集めた「統合リソース」がタイ
プごとに複数個「道具箱」として用意されている。統合リソースには、「一般リソース」と「ア
プリケーション・リソース」がある。
STEPの最初のリリースでは、アプリケーションプロトコルとして、パート201「2次元
製図:AP201」および、パート203「構成管理設計:AP203」がリリースされた。A
P201は、CAD製図用のアプリケーションプロトコル。AP203は、機械部品とアセンブ
リの3次元形状および、製品構成/管理データを変換するためのアプリケーションプロトコルで
ある。
STEPの中の各アプリケーションプロトコルのドキュメントでは、まず、その利用分野にお
けるプロセス、情報の流れ、要求される機能を定義している。これをAAM(アプリケーション・
アクティビィティ・モデル)と呼ぶ。次に、機能単位とデータ要素を定義している。これをAR
M(アプリケーション・リファレンス・モデル)と呼ぶ。AAMとARMは、EXPRESSで
はなく、利用分野ごとの言葉で書かれている。こうした利用分野ごとの要求を満たすように統合
リソースの中からEXPRESSで記述された個々の要素が選ばれる。適用分野の要求を満たす
ように選ばれたこうしたEXPRESS記述の集まりは、AIM(アプリケーション・インタプ
リテッド・モデル)と呼ばれる。ここで使われる要素のEXPRRESS記述は、利用分野の要
求に合うよう変更や拘束条件、属性、関連づけの追加が施される。これもEXPRESS言語で
記述される。アプリケーションプロトコルの実態は、このAIMである。
データを交換するコンバータソフトやデータが格納されたデータベースをアクセスするソフト
は、アプリケーションプロトコルを定義したEXPRESSのソースコードを「EXPRESS
コンパイラ」に与えれば、自動的に生成される。
IGESやDXFにないSTEPの特徴は、CADシステムを含めて複数のアプリケーシ
ョンソフトが一つのデータベースを共有する方法を提供していることである。製品データのデー
タベース共有は、将来の製造業のシステムにとって非常に重要である。CAD、部品表作成、P
DM、解析、事務システムなど製造業のすべてのシステムが一つのデータベースを共有でき、真
のシステム統合が実現できる。このアクセス標準をSDAI(Standard Data Access Interface)
と呼んでいる。
<参考図書、文献>
日本設計工学会:CAD標準化とSTEP
;‘92.9
精密工学会誌:特集「プロダクトモデルとCADデータ変換国際標準STEP」;Vol.59
No.12(1993)
エンジニアリング能力の強化に関する調査研究報告書(1)CAE/PMS 統合化に関する調査研究
発行 平成7年3月 発行者 社団法人 日本機械工業連合会 財団法人 エンジニアリング振興協会