1 ネットバブルを乗り越えたeビジネス A1p21183 渡辺 俊彰 a1p21183 渡辺 俊彰 2 目次 z z z z 第1章 研究動機・研究目標 第2章 e ビジネス年表 第3章 ネットバブル崩壊とは 第4章 事例研究 第1節 YAHOO 第2節 アスクル 第3節 松井証券 第4節 まぐまぐ 第5節 楽天 z 第5章 第1章 まとめ・研究結果 研究動機・研究目標 e ビジネスという分野は、歴史的に見れば、新しい分野であるにもかかわらず、 国内はもちろん、世界的にビジネスには無くてはならない分野になっている。 これは、e ビジネスが、インターネットを用いて行われる事により、時間や地理 的な距離を乗り越えるのが容易であったためこんなにも短い時間で、世界のビ ジネスの中心になったと思われる。しかし、e ビジネスの短い歴史の中でも様々 な形態のビジネスが生まれ、数多くの失敗があった。これからの社会はどんど んデジタル化が進み、経営の舞台は国内から世界に広がるチャンスが多くなり、 大きく言えば、今の日本の不景気を脱出させられるリーディング産業になる可 能性が高い e ビジネスという分野を研究することが重要だと考え、過去の e ビ ジネスの成功事例から共通点を探し出し、将来、成功するであろう e ビジネス とはどんなものなのかという答えを出すことを研究目標とする。 まずは、第2章の年表から大枠の e ビジネスの発展過程を読み取っていただ きたい。そして、第3章、第4章で e ビジネス産業が活発に変化したネットバ ブルといわれる多くのネット企業の株価が下がった時期を中心にその前後を研 究していく。第5章で、その研究結果とこれから先、成功するであろう e ビジ ネスというものを考察していこうと思う。 a1p21183 渡辺 俊彰 3 ビ E ジネス年表 「 」 国鉄が座席予約システム みどりの窓口 導入。 ♦ 渡辺 俊彰 a1p21183 第 章 2 1964 日本航空が ♦ で VAN 日経、日本初の本格的パソコン向け商用オンライン情報サービス ♦ ﹂サービス開始。 ﹁ NIKKEI TELCOM 商用キャプテンシステム、首都圏と京阪神地区で運営開始。キャプテン ♦ 運用会社として、キャプテンサービス発足。 ヤマトシステム開発・運用開始。運輸関係企業で宅配便情報を ♦ の第1号になる。 むすんだ。中小企業 VAN 日 本 経 済 新 聞 社 、 商 品 市 況 に 関 す る デ ー タ ベ ー ス ♦ ﹂のオンライン提供開始。 ﹁ NEES-COMMODITY 提供。 経済文献研究会、経済・産業関連の雑誌記事索引誌﹁ JOINT ﹂の内容を ♦ ﹂を通じてオンラインで 日本経済新聞社の記事検索システム﹁ NEED-IR 日本航空が Ⅲによる国際線航空券自動発見システム運用開始。 JALCOM ♦ 日本経済新聞社 NEES-IR の全国オンラインサービスを開始。 ♦ Ⅲによる国内線航空券自動発見システム運用開始。 JALCOM 1980 1981 1982 1983 1984 1985 「 アスキー、新パソコン・ワープロ通信 アスキーネット ♦ 始。 」 を有料で開 ACS 電気通信事業法等施行。これに伴い VAN 業務等が自由化。 ♦ 全国の農協オンラインネットワーク完成、稼動開始。 ♦ 1987 サービス開始。 VAN ネット64﹂東京、名古屋、大阪間で開 INS が ♦ NTT 始。 インターネット、日本電子工業会規格の受発注 ♦ サービス﹁ ISDN 1988 1989 日本サテライトネットワークが民間通信衛星を利用し、国内初の企業向 ♦ サービス﹂実施。 け﹁衛星 ISDN 懐胎期 4 1989 富士通、富士通 FIP 、富士通アメリカが共同で、機械翻訳利用のオンラ ♦ ﹂を世界初の開発成功。 イン・データベース・システム﹁ SCANFAIL ゲーム機等を利用したホームバンキン TV サービスの一環として、 ﹁ファイル伝送サービス﹂を VAN データ通信、銀行向けに ♦ NTT グサービス開始。 富士通、国際 ♦ 開始。 バブル崩壊。 ♦ ・電子メールシステム導入の日米 EDI 日本 IBM が、日本コダックの情報システム運用管理を前面受諾するアウ ♦ トソーシングの10年契約締結 1990 三菱商事、総合商社としては初の ♦ 欧国際通信ネットワーク構築。 1992 ホームページ閲覧ソフト﹁モザイク﹂発売。 ♦ ﹁ TWIN'ET ﹂サービス開始。異機種端末に VAN 1993 データ通信、汎用 ♦ NTT データ伝送が可能 1994 ﹂ InfoWeb コミュニケーションズとアトソンが商用インターネット接続サ ♦ NTTPC ービス開始。 シャープ、形態情報ツール﹁液晶ペンコム・ザウルス﹂でパソコン通信 ♦ を利用するための接続ソフト開発・販売。 電通、電子新聞向け双方向型広告システムの試作品開発。動画・静止画 ♦ を組み合わせたカタログ検索可能。 富士通、全国8カ所拠点に商用インターネット接続サービス﹁ ♦ 開始。 インターネットイニシアティブ、国内初の個人を対象としたインターネ ♦ サービス﹂開始。 ット接続サービス﹁ダイヤルアップ IP サービス﹂開始。パソコン通信﹁アスキーネ ットを利用できる﹁ telnet ット﹂からインターネットを利用。 アスキーネットが、国内大手パソコンサービスとしては初のインターネ ♦ ョッピング大手企業と提携し、試験的にホームショッピング番組開始。 大手商社、マルチメディア関連事業を積極展開。日商岩井がマルチメデ ♦ ィア中古車オークション事業95年開始を発表。三井物産が米ホームシ 1995 ﹁ウィンドウズ95﹂発売。 ♦ 懐胎期 誕生期 渡辺 俊彰 a1p21183 5 1995 野村総合研究所、日本交通公社、東京放送など異業種9社がインターネ ♦ ットを活用した情報提供事業の共同実験プロジェクト﹁サイバービジネ 渡辺 俊彰 a1p21183 スパーク1995﹂を開始。 が キ ャ プ テ ン の 共 同 利 用 型 情 報 セ ン ター﹁ キ ャ プ テ ン 情 報 セ ン タ ♦ NTT ー﹂の廃止を決定。キャプテン事業から事実上撤退。 日本開発銀行がベンチャー企業を対象に﹁新規事業支援融資制度﹂を開 ♦ 始。コンピュータソフトのプログラム著作権を担保とした融資にも対応。 商用インターネット接続サービスの開始が相次ぐ。東京インターネット ♦ が先行他社の約半額でインターネット接続サービス開始など。 日本電気のパソコン通信サービス﹁ PC-VAN ﹂、ニフティのインターネッ ♦ ﹂の会員数が共に100万人を突破。 トサービス﹁ NIFTY-Serve CD-ROMを 使 っ た 情 報 配 布 サ ー ビ ス ♦ NTTテ レ マ ー ケ テ ィ ン グ が ﹂を開始。情報を暗号処理して に収録。解読に ﹁ miTaKaTTa CD-ROM と米 Microsoft の技術提携第 は有償の鍵をオンラインで入手する。 NTT 1弾。 第一勧業銀行がインターネットメールを使った顧客サービスを実験的に ♦ 開始。 ケイネットが、複数のパソコン通信ネットにまたがり広告やプロモーシ ♦ ョン情報を提供するサービス﹁インターサイト﹂を開始。 日本電気、インターネットで情報や物品の流通・販売などを行う仮想電 ♦ ﹂を開始。 子広場﹁ The Cyber Plaza 富士通がインターネットのオンラインマガジン﹁ teleparc ﹂を開始。 ♦ が、インターネットで国内初のクレジットカード番号による電子決 ♦ CSK ﹂を開始。 済機能を備えた情報発信サービス﹁ COMMERCE ZIP 情報通信総合研究所がネットワーク上の商取引を実験するプロジェクト ♦ ﹁エレクトロニック・コマース・ネットワーク﹂を設立。製造、金融な ど異業種民間企業87社が参加し、ネットワーク商取引を実験では日本 最大規模に。 野村総合研究所がインターネット上のショッピングモールサービス﹁電 ♦ 活クラブ﹂を開始。 ﹂、 COPERNICUS 富士通がパソコンの不具合をオンラインで診断する﹁リモート・サーポ ♦ ート・サービス﹂を開始。 ケイネットが、ケイネットのパソコン通信サービス﹁ ♦ ﹂、日本電気の﹁ PC-VAN ﹂を横断的につな ニフティの﹁ NIFUTY-Serve ぐネットワーク﹁インターサイト﹂事業開始。 第1次成長期 6 1996 1997 毎日新聞社、シャープ、 NTT 、ニフティが、シャープの携帯情報端末﹁ザ ♦ ウルス﹂を使って毎日新聞のニュースを取り込めるサービス﹁毎日ザウ 渡辺 俊彰 a1p21183 ルス電子新聞﹂を開始。 日本経済新聞社、三井物産、米 America Online が合弁会社﹁ AOL ジャ ♦ パン﹂を設立。マルチメディア型オンラインサービスを開始。 と米 Microsoft がインターネットを使った電子商取引で提携。 ♦ JCB 三 菱 電 機 が イ ン タ ー ネ ッ ト 準 拠 の 通 信 手段 を 用 い た 物 流 業 務 の実 EDI ♦ 用実験に国内初の成功。 ﹂とインターネット接続 PC-VAN 宇 宙 通 信 が 衛星 回 線 を 使 って イ ン タ ー ネ ッ ト な ど が で き る﹁ デ ィ レ ク ♦ ﹂のサービス開始。 PC が同社のパソコン通信サービス﹁ ♦ NEC としてサービス開始。 サービスを統合し、 BIGLOBE ホワイト ・ベアー ファミリー と 住友クレ ジットが提 携 し 、 イン ター ネ ッ ♦ トを利用したホテルの予約・決済業務を開始。同種のサービスで決済ま でできるのは初。 ニフティの﹁ NIFTY-Serve ﹂会員が200万人突破。 ♦ 日本電信電話とコニカがデジタル化した写真をインターネット上のサー ♦ バーに蓄積し、パソコンで写真を見たり、焼き増しの注文を出すことが できるサービスを開始。 富士通がインターネット経由で、ソフトウェアをオンラインで入手でき ♦ るサービスを﹁リモート・インストール・サービス﹂を開始。有料ソフ トの販売チャネルにするため、課金システムの整備も。 米 Infoseek が日本語のインターネット検索サービスに参入。 ♦ 凸版印刷がインターネット上でクレジットカードを使い、商品を購入で ♦ きる電子決済・認証システム﹁トッパン・セキュア・モール﹂を﹁サイ バー・パブリック・ジャパン﹂内に構築。カードの不正利用を排除する 電子認証を取り入れた日本発の電子商取引。 ダイエー、マイカル、西武百貨店など大手流通各社がインターネット技 ♦ 術を利用したビジネス専用ネットワーク﹁オープンビジネスネットワー ク﹂を構築。 を開始。 OCN がインターネット上の広告事業に本格参入。 BIGLOBE 関連ホーム ♦ NEC ページに掲載する各種企業広告に関し、回数や露出度に応じたきめ細か い料金体系を策定。 ビ E ジネスを提唱。 がプロバイダ事業に参入。 ♦ NTT が ♦ IBM 第1次成長期 7 1997 1998 ソフマップ、パソナなどベンチャー企業がインターネット上のバーチャ ♦ ルモール事業展開に向け共同出資会社﹁アットマーク・ベンチャー﹂を ﹂ へのイ SERVE 渡辺 俊彰 a1p21183 設立。 住友銀行、日本電気、住友商事がインターネットを使い企業同士で資金 ♦ をやり取りする実験を開始。 住友銀行、国内初の﹁インターネットバンキング﹂サービス開始。 ♦ 国内でインターネットサービス始まる。 ♦ 東京三菱銀行が カード使ったインターネット取引を開始。 IC ♦ アドがサーチエンジン﹁ goo ﹂のサービスを開始。 ♦ NTT 富士銀行と日立製作所が共同でインターネット上の買い物代金を預金口 ♦ デビット﹂の実験を開 座から自動的に引き落とす電子決済サービス﹁ E 始。 ジャパンが日本でのオンラインサービスを開始。 ♦ AOL エレクトロニック・マーケット・プレース推進協議会がインターネット ♦ カードを使った電子マネーの実証実験﹁エレクトロ ショッピングと IC ニック・マーケット・プレイス﹂を開始。 ミュージック・シーオー・ジェーピーがインターネットを通じた音楽配 ♦ 信のサービスを開始。 ベッコアメ・インターネットとデジコンがインターネットを使ったビデ ♦ ﹂を開始。 オ高速配信サービス﹁ BTV 第二電電︵ DDI ︶が DION サービスを提供開始。 ♦ 1985年から開始されたアスキーのパソコン通信﹁アスキーネット﹂ ♦ がサービス終了。 NIFTY メディアエクスチェンジが国内初の商用インターネットエクスチェンジ ♦ サービス開始。 ニ フ ティ が 同 社 の オ ン ラ イ ン 情 報 サ ー ビ ス ﹁ ♦ ンターネットからの接続サービスを開始。 ぴあがインターネットでチケット販売を行う﹁インターネットチケット ♦ ぴあ﹂サービス開始。 が設立後1年9ヶ月で株式を店頭公開、初値は200万円。 ♦ Yahoo ソフトバンクの株式が東京証券取引所第一部に上場。店頭銘柄が二部を ♦ 経由せず一部に上場された初のケース。 東京証券取引所が株式売買注文のオンライン入力規制を撤廃。すべての ♦ 株式売買注文が証券会社とのオンラインで可能に。 第 1 次淘汰期 8 1998 1999 渡辺 俊彰 a1p21183 日本のインターネット人口が1000万人を突破。 ♦ 国内のインターネットプロバイダー数が3000社を突破。 ♦ シャープ、日本シリコングラフィックス・クレイ、日本高速通信、ブイ ♦ シンクテクノロジーなど6社が﹁インターネット冷蔵庫﹂を開発。 ライコスジャパンが、インターネットの情報検索サービスの本格提供を ♦ 開始。 ソフトバンクが米 ONSALE との合弁子会社オンセールのシステム利用 ♦ し、インターネットオークションによる企業間電子商取引を開始。 を開 i-mode 大阪証券取引所が電子取引市場の﹁ J-NET ﹂を創設。 ♦ ぴあが2001年に、イベントの予約チケットを電子化してインターネ ♦ ットで販売することを発表。 ネット関連株好調。 ♦ ドコモが携帯電話によるインターネット接続サービス ♦ NTT 始。 郵政省は企業がインターネット上に開設するバーチャルモールの代金決 ♦ 済で、富士通、大日本印刷、全日空など16社と提携。 セガ・エンタープライズの家庭用ゲーム機﹁ドリームキャスト﹂のイン ♦ ターネットユーザー数が10万人突破。 バーチャル店舗・リアル店舗双方で、併行して展開される世界初の大規 ♦ 模な 電 子 マ ネ ー 実 用 実 験 ﹁ 新 宿 ス ー パ ー キ ャ ッ シ ュ ・ プ ロ ジ ェ ク ト ﹂ ス タート。 と セルラーグループが WAP 対応のインターネット接続サービ DDI ♦ IDO ﹂、﹁ EZaccess ﹂を開始。 ス﹁ EZweb を運営する全米証券会社とソフトバンクが﹁ナスダック・ジャ ♦ NASDAQ パン﹂創設を発表。 シ ャ ー プ が 世 界 初 の イ ン タ ー ネ ッ ト の レ シ ピ 集 か ら デ ー タ を ダウ ン ロ ー ♦ ドし、自動過熱で調理できるインターネット対応の電子レンジを発表。 株式売買委託手数料が自由化され、インターネット証券取引サービスが ♦ 活況へ。 アスクルが国内で初めて オークションサービスを開始。 MRO ♦ 富士通が、 Info Web と NIFTY SERVE を@ nifty として統合。 ♦ 東京証券取引所がベンチャー市場の﹁マザーズ﹂を設立。 ♦ 三洋電機と 日立 製作所 、 富士通が 携 帯電話を 利用した音 楽配信事業で提 ♦ 携。 第 2 次成長期 9 1999 2000 全米証券業者協会、ソフトバンク、大阪証券取引所が創設した﹁ナスダ ♦ ック・ジャパン﹂が取引開始。 ソニー・ミュージックエンタテイメントが音楽のネット配信事業を開始。 ♦ グループがインターネット接続サービス﹁ ス J カイウェブ﹂を ♦ J-phone 開始。 渡辺 俊彰 の本サービスを開始。 ADSL ジェイデータなど3社とハビネットが携帯電話をコンサートのチッケト ♦ として利用する技術を開発。 象印マホービンが電気ポットの使用状況のモニターにより、自宅にいる ♦ 高齢者の安否を確認するシステム﹁みまもりホットライン﹂を開発。 セルラーグループ7社が合併して au 誕生。 ♦ DDI 楽天がインフォシークを買収。100%子会社へ。 ♦ ヤマト運輸が個人間のネットオークションを対象に商品配達・集金代行 ♦ サービス﹁宅急便エクスクローサービス﹂を開始。 と KDD 、 IDO が合併し、 KDDI を発足。 ♦ DDI が日本で書籍販売サービス開始。 ♦ Amazon.com 日本初のインターネット専業銀行﹁ジャパンネット銀行﹂が開業。 ♦ 文庫パブリ﹂を開設。 角川書店、講談社、光文社、集英社、新潮社、中央公論新社、徳間書店、 ♦ 文藝春秋が電子書籍をネット経由でダウンロード販売するサイト﹁電子 マネックス証券がベンチャー企業向け新市場﹁マザーズ﹂に上場。 ♦ ソフトバンクグループの音楽配信会社﹁イーズミュージック﹂が1曲1 ♦ 00円でサービス開始。 大手レコード会社16社が出資した音楽配信会社﹁レーベルゲート﹂が ♦ 1曲350円でサービス開始。 日本信販が携帯電話を活用した世界初の電子決済システム開発。 ♦ 東日本が EC 事業に参入。駅を基点にした情報サービス事業の足がか ♦ JR りとなるショッピングモール﹁えきネット﹂のサービス開始。 始。 富士通ビジネスシステムが売り手と買い手の情報を仲介し、業種別に企 ♦ を支援するポータルサイト﹁ FJB インファミディアリー﹂を開 業間 EC の加入者が@ニフティを追い抜き﹁国内最大﹂のプロバイダーに。 ♦ i-mode ソフトバンク、光通信など東証マザーズ上場銘柄の株が大幅下落、日本 ♦ の未成熟ネットバブル崩壊。 の株価が日本の株式市場初の1億円台に到達。 ♦ Yahoo a1p21183 東西地域会社が ♦ NTT 第 2 次淘汰期 10 2001 2002 2003 の開始を発表。 Yhoo!BB 渡辺 俊彰 a1p21183 ぴあと KDDI がライブ映像のインターネット配信実験を実施。 ♦ ドコモが、 Java 対応サービス﹁ ア i プリ﹂を開始。 ♦ NTT 東芝 が、新譜の有料音楽配信サービス開始。 EMI ♦ 近畿日本鉄道がインターネットと による特急券の予約受付サー i-mode ♦ ビスを開始。 を利用した ADSL 産経新聞社が新聞紙面をインターネットを通じて電子配信するサービス ♦ を開始。 が ♦ Yahoo 自動車部品の マーケットプレイス﹁コビシント・ジャパン﹂が設立。 e ♦ 電子部品の マ ジャパン﹂が設立・営業開 e ーケットプレイス﹁ E2open ♦ 始。 小田急電 鉄が携帯電 話 へ送信した座席情報を 特急券と して利用で きる ♦ ﹁特急チケットレス乗車サービス﹂開始。 東海が東海道新幹線のネット予約サービス﹁エクスプレス予約﹂開始。 ♦ JR オムロンとぴあが、駅の自動改札機を利用して携帯電話に地域型コンテ ♦ ﹂を開始。 ンツを配信するサービス﹁ goopas カードを使った電子マネー﹁ Edy ﹂の本格的運用開始。 IC 非接触型 ♦ 東芝、冷蔵庫などネットワーク家電発売。 ♦ ぴあが、携帯電話機や カードによる電子チケットサービスを開始。 IC ♦ ドコモが27社と、非接触 IC チップ﹁ Felica ﹂を搭載した携帯電 ♦ NTT 話の実証実験を開始。 参 考 文 献 情報化白書・通信白書 第 2 次淘汰期 11 1964 年に国鉄が座席予約システム「みどりの窓口」を導入したのが、日本の e ビジネス のきっかけと言えるだろう。これは、パソコンに電気通信回線を接続して、データの伝送 と処理を一体的に行うデータ通信で、まだまだ e ビジネスと呼べるものではなかった。1985 年に電気通信事業法等が施行され、NTT が誕生した。通信業務が自由化された、いわゆる、 通信業務自由化元年である。しかし、通信業務が自由化されたのにも関わらず、完全にと は言えないが、NTT が通信事業を独走する時期が 1992 年まで続く。ここまでの時期を、 まだ生まれる前の状態として、懐胎期と呼ぶ。 その懐胎期を終わらせ、誕生期へと変えたきっかけは、1993 年にホームページ閲覧ソフ ト「モザイク」発売、1994 年にインターネットイニシアティブが、国内初の個人を対象と したインターネット接続サービス「ダイヤルアップ IP サービス」開始、1995 年発売の「ウ ィンドウズ 95」で、これらにより、パソコンの普及が飛躍的に高まったことで、一般のユ ーザーが増え、ネットでビジネスができる状態が整った。 誕生期とほぼ重なって、第 1 次成長期が始まる。この時期はアスキー、ソフトバンク、 NEC、ベッコアメ・インターネット、リムネット、インターキューなど、インターネット 接続サービスのプロバイダ事業が相次ぐ。これにより、ホワイト・ベアーファミリーと住 友クレジットが提携し、インターネットを利用した初のホテルの予約・決済業務を開始や、 JCB と米 Microsoft がインターネットを使った電子商取引で提携、カードの不正利用を排 除する電子認証を取り入れた日本発の電子商取引として、凸版印刷がインターネット上で クレジットカードを使い、商品を購入できる電子決済・認証システム「トッパン・セキュ ア・モール」を「サイバー・パブリック・ジャパン」内に構築、第一勧業銀行が、インタ ーネットメールを使った顧客サービスを実施するなど e ビジネスが本格的に行われ始めた。 しかし、NTT がプロバイダ事業に参入し OCN を開始したことにより、第 1 次成長期は 終わり、第 1 次淘汰期を迎える。この第 1 次淘汰期では、直接、e ビジネスを展開していた 企業が淘汰されたわけではなく、ハイパーネットが破綻したり、PSI ネットによって、リム ネットや先行他社の約半額で事業していた、東京ネットなどが買収されたりと、主に第 1 次成長期で多くなりすぎたプロバイダ事業者が特に影響を受け淘汰された。 そして、東京証券取引所が株式売買注文のオンライン入力規制を撤廃したことにより、 すべての株式売買注文が証券会社とのオンラインで可能になったことや、ソフトバンクの 店頭銘柄が二部を経由せず東京証券取引所第一部に上場されたことをきっかけに、第 2 次 成長期へと発展していく。第2次成長期では、NTT ドコモが携帯電話によるインターネッ ト接続サービス i-mode を、IDO と DDI セルラーグループが WAP 対応のインターネット 接続サービス「EZweb」 、 「EZaccess」を、J-phone グループがインターネット接続サービ ス「J スカイウェブ」を次々に開始したことにより、モバイルコマースが始まったり、東 京証券取引所がベンチャー市場の「マザーズ」を設立、NASDAQ を運営する全米証券会 社とソフトバンクが「ナスダック・ジャパン」を創設したり、株式売買委託手数料が自由 化されたことで、e ビジネス事業者はもちろん、ネットに少しでも関連している企業は有 a1p21183 渡辺 俊彰 12 望だと思い込まれ、株を買う投資家が多く、資金を集めやすかった。この時期には、ソフ トバンクが米 ONSALE との合弁子会社オンセールのシステム利用し、インターネットオ ークションによる企業間電子商取引を、アスクルが国内で初めて MRO オークションサー ビスを開始。Yahoo の株価が日本の株式市場初の1億円台に到達等、資金を集めやすかっ ただけあり、e ビジネスを行う企業も目立ち、この時期に新規参入してくる企業も多かっ た。いわゆる、ネットバブルとよばれるものだ。 このネットバブルは2年という本当に短い期間で崩壊し、第2次淘汰期を迎えることに なる。この原因や、この時期については後述する。第 2 次淘汰期では、第2次成長期に集 まってきていた投資家たちは、蜘蛛の子を散らすように去っていってしまい、いわゆる e ビジネス関連企業は資金を集めるのが困難になり、倒産する企業が相次いだ。しかし、こ の時期は投資家とは逆に、インターネットユーザーは増え続けており、象印マホービンの 電気ポットの使用状況のモニターにより、自宅にいる高齢者の安否を確認するシステム 「みまもりホットライン」を開発、大手レコード会社16社が出資した音楽配信会社「レ ーベルゲート」が1曲350円でサービス開始・ソフトバンクグループの音楽配信会社「イ ーズミュージック」が1曲100円でサービス開始、自動車部品の e マーケットプレイス 「コビシント・ジャパン」が設立、電子部品の e マーケットプレイス「E2open ジャパン」 が設立などから、e ビジネスは、少しずつではあるが成長しているのが分かるだろう。 ADSL や、電子マネー、インターネット接続料の定額制などがこれから普及しようとし ている将来、成功する e ビジネスとはどういうものなのかを次の章以降で考察していこう と思う。 第3章 ネットバブル崩壊 1993 年に「モザイク」が発明されてから、アメリカでは、ヤフー、アマゾン、e ベイと いった従来の伝統を打ち破る斬新な e ビジネスが次々と開始された。そして、1996 年ご ろからインターネット関連産業がバブル化し始め、ニューヨーク・マンハッタンのミッド タウンからダウンタウンにかけて広がる「シリコンアレー」と呼ばれる地域が注目を浴び た。この地域は、ニューヨークの再開発地域に指定されていて、オフィス賃貸料や、税制 に関する優遇措置がとられていたことに加え、高速の光ファイバー網が張り巡らされたハ イテクビルがあったこともあり、新興企業がビジネスを構えやすかった。しかし、こうし たハイテクビルを利用したのはビジネスの経験の乏しい、アイデアだけを携えた若者たち で、IPO を果たし、大金持ちになることが狙いで、会社を興した後でビジネスプランを練 るということも珍しくなかった。しかし、当時は、機関投資家たちも企業の内容を見ずに、 「インターネットに関連しているから」という安易な姿勢で投資していたのと、ネットバ a1p21183 渡辺 俊彰 13 ブルの勢いに乗せられた個人の投資家たちもデイトレードに手を染め始めたこともあり、 ネットバブルに拍車をかけた。このころ、インターネット関連として注目された企業の若 い社員たちはストックオプションを保有し巨額の富を得た。時を同じくして日本では、国 家のインターネットに対しての整備の遅れもあり、まだ、プロバイダが乱立している段階 だった。そして、前の章で述べたように日本でもネットバブル化が始まる。 当時のドットコム企業の間では「利益を出すぐらいなら、それを追加投資して市場シェ アの拡大にまわせ」というモットーが語られていた。利益を出さない企業に投資していて も投資家は配当金をもらえないのはもちろん、株の売買により儲けを出せなくなるのは時 間の問題だ。それに、市場シェアの拡大ができた企業はまだ、ましで、ほとんどの企業は、 ビジネスモデルも確定できていないで利益も出せずにいた。そこに投資家たちが気づいた のが 2000 年のネットバブル崩壊というわけだ。これにより、インターネット企業の株価 は 90∼99%下落し、若い企業家たちが保有していたストックオプションは紙切れ同然に なってしまった。これは、日本でも同様で、やはり 2000 年に業績の悪化が知れ渡り、投 資家たちが投資をやめてしまった。さらに、マザーズに第 1 号企業として登録されたリキ ッドオーディオの社長が警視庁に逮捕され、ネットバブル崩壊に追い討ちをかけた。 これまで、パソコン産業バブルやバイオバブルに見られるように、革新的な技術革新が あるたびに、バブルは起こるもので、このネットバブルも必然的に生じた。いずれも、お 祭り気分のような投資熱が冷め、企業淘汰が終わった後で、地に足が着いたビジネスが始 まった。つまりは、ネットバブル崩壊が起こってからが本当のスタートラインで、崩壊後 から成長できる期待性はかなり高いということだ。 第4章 第1節 事例研究 YAHOO(ポータルサイト運営) Yahoo は、インターネットのビジネス活用に伴って新たに登場したポータルビジネス で、インターネットのプラットフォームと言えるものである。ポータルサイトとは、イ ンターネットユー ザーを商品やサー ビスの情報を提供 Yahoo ビジネスモデル アクセス 誘導 する各サイトへと 誘導して、トラフィ Yahoo ックと経済活動を ポータルから 発生させる。 ハブへの転換 ウェブサイト 当時、Yahoo 以外 にポータルビジネ スを行っている企 広告掲載料 インターネットユーザ 業は、マイクロソフ 広告掲載希望企業 a1p21183 渡辺 俊彰 14 ト、エキサイト、ディズニー、AOL、インフォシーク、ライコス、シオンティーズな どをあげることができるが、利益を計上していたのは、yahoo と AOL だけであった。 Yahoo の特徴的なのは、他のポータルビジネスが再編・統合がさかんに行われたのに対 し、独立路線を志向していたことだ。そして、この生き残りを賭けた戦略が、単なるネ ットの入り口であるポータルから、ハブへの転換戦略なのである。つまり、ネットユー ザーができる限り yahoo のサイトに留まってくれるようにしていこうということであ る。この戦略の具体的な例としては、ユーザーの欲する全ての情報を取り揃えようとい う観点から、 「yahoo!自動車」、 「yahoo!就職・転職」、「yahoo!ゲーム」など8種類の情報 サイトを新設や刷新を行ったことだ。これら一連の情報サイト充実策の中で、もっとも 注目を浴びたのが、 「yahoo!ファイナンス」という情報サイトである。これは、当時、 金融ポータルにおいては、検索サービスだけでなく外資系ベンチャーや国内金融機関な どの新規参入計画が多かったことから、インターネット利用の金融サービス事業のシナ ジー効果を追求しようという狙いからで、ここに集まった顧客を多くの合弁会社が手が ける金融商品やサービスのサイトへと誘導する仕掛けなのである。 Yahoo などのポータルサイトビジネスに期待される代表的なものとしては、ネット広 告をあげることができる。集客のあるポータルサイトにおいては広告効果が大きいこと が想定できるため、広告市場の開拓が可能になり、ポータルサイト側にとっても広告掲 載料の入手が可能になってくる。前述した通り、yahoo は、8種類の情報サイトの新設・ 刷新を行った。この情報サイトに集まる人々は、そこにある情報を欲しているのは言う までもないので、そこに広告を載せれば、ターゲットに的確に広告を届けられる為、広 告効果が大きいだろうと考えられる。 Yahoo は、1997 年に株式を公開することができ、そのおかげで広告以外の収入源とし て、1999 年に、「yahoo!ショッピング」や「yahoo!オークション」といった E コマー ス分野へと事業を広げられた。 そして、ネットバブルが崩壊した 2000 年、株価は下がったが、ページビュー数は1億 を突破。この年から始められた、i-mode 対応携帯電話向けサービス「yahoo!モバイル」 の開始や、性別や年齢など、ユーザーの属性に従いターゲットを絞って広告配信する「デ モグラフィック・ターゲティング広告」の開始、「yahoo!オークション」にエスクロー サービスを導入するなど、ネットバブル崩壊前よりも、yahoo を使う全ての人に効果的 なサービスが開始された。ネットバブル前に株式公開できたことや、ポータルからハブ へ転換してきたことにより、ネットバブル崩壊直後もビジネスの拡大ができたし、崩壊 してからすぐに投資家たちの信頼を回復することができた。ネットバブル崩壊前がビジ ネスの拡大だったのが、崩壊後は、yahoo ブランドの魅力を上げることに力を注いだと 言っても良いだろう。オークション事業においては、より信頼性・安全性の高いサービ ス提供を目的とした、本人確認のための月額 280 円の有料の ID 発行や出品システム・ 落札システム利用料の導入、広告事業においては、ナショナルクライアント獲得を目的 a1p21183 渡辺 俊彰 15 とした「yahoo!ビルボード」の販売、そのほか、インターネットを手軽に利用できる ようになるブロードバンド事業を個人用・商用で開始、それの宣伝のためにブロードバ ンド無料体験スペース「yahoo!Cafe」を原宿にオープンなど、底力をあげようという 姿勢が見て取れる。しかし、ネットバブル崩壊後も事業の拡大をやめたわけではなく、 様々な会社を子会社化し、事業の拡大を図ってきた。主要なものとしては、2001 年に、 インターネットを利用した書籍類の販売、及びサービスの提供をするイー・ショッピン グ・ブックス(株)、2002 年に結婚に関するサービスを行うブライダル・コンシェルジ ェ(株)、インターネット事業に関するコンサルティング、及び各種サービスの企画・開 発運用するユニセプト(株)、オンラインでの決済事業を行う(株)ネットラスト、2003 年 にインターネットを利用した結婚仲介業を行う(株)ブライダルネットなどを M&A する ことで yahoo のコンテンツの幅を広げてきた。これらの事から分かるように、ポータ ルからハブへの転換を狙う態度はネットバブル崩壊前から一貫している。 そして、yahoo は現在、ユーザーの ID 取得に懸命になっている。ID を取得したユー ザーと、そうでないユーザーとを比べると、アクセス数は4倍差が出るという。ID を 取得したユーザーはチャットやゲームなど数多くの無料サービスを受けられるので、 yahoo に愛着を持つようになり、視聴率を維持する意味で大きく貢献する。さらに、無 料サービスに飽き足りなくなったユーザーには有料の「yahoo!プレミアム」が用意され ており、「yahoo!オークション」などの有料サービスが利用できるようになっている。 これは、有料といっても月額税抜 280 円と気軽に参加できる金額である。こうして、 ブランド力を高め、集客力を利益へと変える仕組みを築いているのである。2003 年 10 月に東京証券取引所市場第 1 部へ上場してからは、週刊東洋経済 2004/11/6 特大号で yahoo 社長 井上雅博氏は、 「東証 1 部へ上場したことにより、周囲からの期待値が高ま っているので、売り上げをもう 1 桁、2桁伸ばすために今は土台作りの時期」と述べる。 今後は、土台作りをし、yahoo ブランドや、インターネット利用者への高いリーチ率・ 利用者のロイヤリティ、高い技術力をもとに、広告事業、インターネット接続事業、オ ークション事業、コマース事業、企業サービス事業をビジネスの柱にして、収益の多様 化・各事業での No.1 プレイヤーを目指す。 第2節 アスクル(通信販売業) 出典:アスクルホームページ アスクルは、もともと企業の1事業 部が独立した企業で、オフィス用品を カタログから選んでもらい、ファクシ ミリで注文を受ける企業であった。こ のアスクルが注文を受ける新しい手 段として1997年にウェブサイト a1p21183 渡辺 俊彰 16 を開設し、インターネットの受注を始めた。これは、サイトを開設した当初からインタ ーネットによる受注を目的としていた訳ではなく、1996年初頭から、アンケートで 顧客から「インターネットで注文したい」という要望が急増したことと、ウェブサイト においても同じ意見が増えてきていたからである。そもそも、アスクルの名前の由来は、 「明日、来る」からきており、その名の通り、受注をした翌日に商品が配達される。さ らに、インターネットによる注文では、大都市圏であれば当日の配送も行う。これらは、 すべてアスクルの企業理念である「お客様のために、進化するアスクル」と言うところ からきており、また、これに基づいて、従来の業界の常識ではタブーとされていた、親 会社以外の他社製品の取り扱いや、価格の引き下げなどを行い大成功してきた。さらに、 コールセンターや、e メールで寄せられる顧客からの意見・要望、またはクレームとい った情報を会社全体で、データベースを利用して共有し、顧客への対応を迅速化してい る。特に、クレームに関しては、お客様に出来る限り早く満足していただけるように「コ ンシェルジュ」という専門チームを用意している。このチームは、ホテルのコンシェル ジュと同様に、可能な限りお客様に満足していただくことを目的としている。このよう に、アスクルは、インターネットの導入により、それまで複雑でコストのかかり、思う ように実現できなかった「1to1」の対応が容易に実現できたのだ。 1998 年よりインターネットによる受注限定で、東京 23 区のみだが、当日の配送を開 始するのと同時に、インターネットカタログを配布するなど、e ビジネスに力を注ぐよ うになってきた。そして、1999 年に、東京と大阪に物流センターを置き、配送サービ ス体制強化を狙った。この物流センターでは、デジタルピッキング設備(お客様用の箱 が流れてくると、 「この商品をいくつとりなさい」という指示が表示される仕組み)、駆 動ライン設備、重量・バーコードによる検品システム、出荷仕分けソーターなどの設備 を導入し、ピッキング作業の大幅なスピードアップを計っている。これは、流れが速い と人は判断を誤ってしまうので、 「どの棚の何がいくつ必要か」という判断の部分を IT 化した。 メーカーと違って商品の形状を一定に決められないため、物を取る作業は人 の手でやらざるを得ないし、すべてを IT 化してしまうと、新しい商品が入ってきたと きに対応できないという理由から、ピッキング作業自体は、2004 年現在も人の手で行 っている。また、首都圏での取扱量の増加にあわせて東京のセンターでは、入荷のスピ ードアップを計るため、コンテナから直接荷下ろしすることができるよう建物の設計か ら手を加えたり、2000 年に新設された、仙台と福岡の物流センターでは、WCS(ウェア ハウス・コントロール・システム)を導入し、受注からピッキングラインへと至る流れ を効率化したりと、物流センターの IT 化を進めてきた。また、一方で、翌日配送を厳 守するため、トラブルに備えた対策も講じてきた。ファックス、インターネットの受注 システムをそれぞれ二重化し、エリアごとに設置場所を分散するのはもちろん、物流セ ンター内でもインスタントコーヒーや付箋紙など、出荷頻度の高い商品はラインを二重 化している。二重化することで出荷までのスピードアップを図るとともに、万が一のト a1p21183 渡辺 俊彰 17 ラブル時にも止まることのないシステムを確立している。 ネットバブル崩壊は、アスクルにとって影響は無かった。それは、アスクルがネット 企業ではなく通信販売業で、かつ、インターネットも顧客からの強い要望から始まった ということ、そして、お客様第一主義の企業理念で、それまでに顧客と良い関係を築い てこれたことが関係していると思われる。そして、2001 年からは、顧客数や取り扱い 点数の増加に伴って、在庫をいかに管理するかが大きな課題となってきたため、SCM を 取り入れた。品切れさせないために在庫量を増やせば、それが経営を圧迫することにな る。しかし、細かい単位でメーカーに発注すれば物流コストが上がり、結果的に商品の 値段に跳ね返ってしまう。この問題を解決するために取り入れられたのが、SCM とそれ を土台にした受注予測システムだ。これらを取り入れた結果、経営を圧迫していた在庫 問題が解決したことで、経営利益も 2002 年 5 月期には前年比 123%増の 39 億円となっ た。アスクルは自社内での SCM システムを軌道に乗せると、今度はサプライヤー、つま りメーカーに対しても情報共有を可能にするシステム「シンクロマート」を用い、需要 予測データを公開するサービスの提供を始めた。メーカーから流通を経て顧客に至るま でのサプライチェーンにおいて、自社内での最適化だけでは十分ではない。需要を予測 してメーカーに発注しても、メーカーの生産が追いつかないのでは意味がないのだ。こ のシンクロマートは単品別・地域別の需要予測数量や過去の受注実績、在庫数量などを インターネットを通じてリアルタイムに公開するというもので、メーカーがこれを見る ことで製造計画が立てやすくなり、メーカー側での在庫切れを防ぐことが大きな目的と なっている。 また、アスクルは、消費者向けのサービスとしては、2000 年からアスクルブックカフ ェを開始、2001 年からは中小事業向けの総合損害保険サービス、2004 年からは医療・ 介護施設向けカタログ「アスクル メディカル&ケア カタログ」を発刊し、医療・介 護施設で主に使用される消耗品(医薬品、医療用具等を除く)を扱うなど、商品の幅を 広げ、新規顧客の獲得に努めてきた。 オフィス用品の通販業者は規模の大小を問わず 100 社に及ぶといわれており、お客様 の商品やサービスに対する要望はさらに増すと思われ、競合各社との競争激化も予想さ れる。このような状況下において、アスクルは今後、IT テクノロジーを活用してお客 様とサプライヤーを繋ぎ、両者にとって効率的・ローコストな運営が可能となる流通プ ラットフォームの「e-プラットフォーム」を他社に先駆け確立することにより、競争優 位の確保を図っていく。 第3節 松井証券(金融業) 松井証券は、1998 年 5 月から、インターネット取引サービスであるネットストックの サービスを展開し始めた。その結果、わずか 1 ヶ月での獲得口座数が 1000 口を大きく a1p21183 渡辺 俊彰 18 上回ったことで話題になった。そして、松井証券はこれにより、ネット証券に自信を深 め、1990 年代に伝統的な外交営業である、店舗を完全に廃止してしまい、広告に基づ く電話による売買注文を受ける形態の通信取引に特化した体制を確立してきた。その為、 支店網や営業部隊がまったく無くなり、ネット取引によるコスト削減分を手数料削減に 振り向けることが可能になった。 松井証券は、インターネット証券への実務上での取り組み方も他の大手の証券会社と はまったく異なる形態を採用している。大手においてはサービスの一環であるアナリス トレポートや市況情報には手数料がかかっているが、松井証券では、必要最小限の情報 しか提供しないが、無料でサービスを続けている。これは、顧客の指示を受け、売買す る証券業は、いわゆる取次ぎ業務であるから可能な限り低コストでのサービスの提供を 心がけるべきであるという考え方に立脚している。この思想は、1999 年の手数料の自 由化になってから手数料を半額に下げることにもつながっている。 松井証券のインターネット取引の詳細は、取引顧客はまず、www サーバーに暗証番号 を入力してアクセスし、現物・信用・オプションを柱にする売買取引に入っていく。売 買注文は、いったん松井証券本社の証券取引所への発注サーバーで受けて、オンライン で証券取引所のホストコンピューターに逐次送信する仕組みになっていて、注文を受け る画面と注文が成立した場合には約定を知らせる画面が現れるようになっている。さら に、売買したい銘柄の株価をあらかじめ松井証券に電子メールで知らせておくと、その 価格になったときにメールで自動的に通知する「トリガー・メール・サービス」など、 新たに顧客からの要望に応じたサービスなども追加されている。さらに、1999 年末か ら、ペイオフに備えた「アカウント・プロテクション(預かり資産保障制度)」の導入も 行っており、安全面にも配慮した。 ネットバブルが崩壊した 2000 年からは、一日定額手数料の新料金体制「ボックスレー ト」の開始を行い、顧客獲得に努めた。ネットバブル崩壊の影響はほとんど感じられず、 翌 2001 年からは、携帯電話から取引できる「モバイルトレーディング」の開始、同一 約定日の乗り換え売買「ループトレード」や外国為替保障取引の開始、リアルタイム株 価自動更新サービス「ネットストックリーダー」 ・ 「松井証券ディーリングブラウザ」の 導入など、ネット専業証券としてのレベルアップを図った。この努力が実り、2001 年 の信用取引は、証券業界最大手の野村証券を抜き、この他の取引でも大手の証券会社に 肉薄するほどの成長を遂げ、2001 年 8 月に東京証券取引所市場第1部市場に上場する ことが出来た。さらに、2002 年には、新資産運用サービスとして「預株」制度を開始 した。このサービスは、眠らせている株券を有効利用してもらおうというのが狙いで、 松井証券に株券を預け、一定の条件を満たしたとき、その株券が日本証券株式会社に貸 し出され、預株料(貸出料)が受け取れるというサービスで、預株していても、いつでも 売却することができ、配当金や株主優遇も通常どうり受け取ることができる。カバード ワラントの取り扱いや、外貨建 MMF の取り扱いもこの年から始められている。しかし、 a1p21183 渡辺 俊彰 19 2003 年は、ネットによる証券業に参入する企業が増えてきて、顧客の増加が思うよう にいかなかった。これに対し、体制を見直し、株式・オプション取引をあわせた新「ボ ックスレート」の開始、信用取引発注上限の拡大、ストックオプション融資サービスの 開始、日本証券業協会が、成長意欲の高い未上場企業の株式を上場株式と同じように取 引できるよう始められた「グリーンシート」の銘柄の取り扱い開始、返済期限が無く、 6 ヶ月を超えて建玉を継続すれば返済時の手数料が無料になるという「無期限信用取 引」の開始、さらに、郵政公社と連携し、入庫する株券を無料で取りにきてくれる「株 券ゆうパック」サービスの開始。さらに、2004 年3月に中級者向けと言われていた松 井証券が始めて株式投資初級者向けの料金体制の「ミニ・ボックスレート」を開始(1 日の約定代金が 10 万円以下の場合手数料無料)、手数料が割高であるという理由で、 他のオンライン証券に流れていた顧客を松井証券に戻す目的で、日計り取引の片道分の 手数料の無料化など、さまざまなアプローチで対応した。その結果、半期ごとのネット ストック数の増加数は平均約 14.25%だったのが、約 32%増と大きく伸ばすことがで きた。 個人の株式保有 額におけるオンラ イン証券会社の預 かり資産額の比率 は未だ 5%程度で あり、ストックの 面ではオンライン 160,000 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 約32%増 ネットストック口座数 108,311 03 20 03 20 02 20 02 20 01 20 度 年 度 年 度 年 度 年 度 年 期 下 期 上 期 下 期 上 期 下 期 上 としては、成長余 63,100 約10%増 約13%増 92,087 84,018 74,106 度 年 おらず、松井証券 約17% 01 20 への移行は進んで 143,229 約17% 力が大きく残っているものと認識している。松井証券は今後も、むやみな多角化は行わ ず、ターゲット顧客を絞り込み、その顧客にあった戦略商品やサービスを提供し、顧客 の獲得を徹底的に図る。つまりは、株式委託売買を中心に、それとその関連業務に経営 資源を集中させ、他社が真似できないような斬新なサービスを提供し、顧客中心主義の 経営をしていくということだ。 第4節 まぐまぐ(電子出版) まぐまぐは、もともと、株式会社ユナイテットデジタルの一事業部で、1997 年にサー ビスが開始され、その後順調に業容が拡大し、さらなるサービスの拡充の為、株式会社 まぐまぐとして分社化し、子会社と至った。まぐまぐとは、インターネット上の本屋さ んと言われており、メールマガジンの発行者と読者を結びつけるというサービスを行っ a1p21183 渡辺 俊彰 20 ている。まず、メールマガジンを読みたいと考えるインターネットユーザーは、まぐま ぐのホームページにアクセスし、「ニュース」、「ファッション・美容」、「スポーツ・レ ジャー」といった多数のジャンルの中から読みたいメールマガジンを選び、自分のメー ルアドレスを登録するだけで、そのメールマガジンが配信される。一方、メールマガジ ンの発行者は、まぐまぐに所定の手続きをし、メールマガジンの内容を簡単に紹介する だけで登録され、希望者への配信はまぐまぐが代行するという仕組みになっている。つ まり、まぐまぐは、メールマガジンの「読みたい」と「読んでもらいたい」という双方 のニーズを満たす全ての作業を代行するというサービスなのである。そのうえ、まぐま ぐは、広告掲載料で収入を得ているため、読者も発行者も一部を除いて、無料でこのサ イトを利用できる。 まぐまぐは、1997 年 1 月のサービス開始時点では、マガジン数 15 誌、読者登録数の べ 1 万人だったが、1999 年 9 月時点では、マガジン数 9000 誌、読者登録数のべ 1500 万人にまで急増した。さらに、まぐまぐ自身でもメールマガジンを発行しており、発行 部数 170 万部という日本最大のメールマガジンになっている。これらのサービスを従 業員数 9 名で運営しており、事業の拡大を読み、早めにインフラ投資をし続ければ、さ らにマガジン数や読者数が増え続けても、同じコストで運営していくことが可能であり、 ますます高い収益性が望める。 サービス内容としては、ネットバブル崩壊前は、 「まぐまぐ!」の中心であるメールマ ガジンの仲介に加え、1999 年から、携帯向けの無料メールマガジンのサイトである「ミ ニまぐ」が開始された。これは、もともと i-mode が開始されたのをきっかけに、「ま ぐまぐ!」内で i-mode 向けのメールマガジンが自然発生してきたので、 これらを集め、 「ミニまぐ」という形で始められた。そしてネットバブル崩壊後、2001 年からは、 「ま ぐまぐ!」にあった有料のメールマガジンを集め有料のメールマガジンサイト「まぐま ぐ!プレミアム」が開始された。これは、購読料決済システムを備え、読者からクレジ ットカード又はジャパ ンネットバンクで購読 単位:誌 まぐまぐ登録数推移 単位:万人 料を徴収し、発行手数料 35,000 3,000 を差し引いて発行者に 30,000 2,500 支払うシステムで、まぐ 25,000 まぐ自身も広告掲載料 20,000 以外の収入を得ること 15,000 ができるようになった。 10,000 このサイトでは、2002 5,000 年からパピレスと提携 0 籍の取り扱いを開始し、 19 97 19 98 19 99 20 00 20 01 20 02 20 03 20 04 し、有料ダウンロード書 2,000 1,500 1,000 500 0 登録マガジン数 のべ読者登録数 a1p21183 渡辺 俊彰 21 さらに収入源を増やすことに努めている。 まぐまぐのサービスが拡充してきたのは、ネットバブル崩壊の衝撃が一段落ついた 2002 年から始められた、音楽が好きな人が集まり、好みのアルバムを紹介・購入でき るサイトの「recocell」や EC 事業の「お買い物まぐまぐ」 (2004 年現在は休止中)や、 2003 年から始められた、懸賞サイトを無料で紹介する「懸賞まぐまぐ」、クーポンポー タルサイトの「あじゃじゃ」など、メールマガジン以外のサービスにビジネスの幅を広 げてきた。一方で、目玉であるメールマガジン配信のほうも、子供を対象としたメール マガジンを集めた「まぐまぐ!ジュニア」、ビューティ・キャリア・トラベル&ショッ ピング関連のものを重点的に集め、紹介する女性のための「女子まぐ!」、音楽関連の メールマガジンを集めた「音楽のまぐまぐ!」などユーザーが使い勝手が良いように分 類分けされるようになった。 日本においては、ネットバブル崩壊前の時点で無料・有料合わせて 5000 誌以上のメー ルマガジンが存在していた。これは、世界的に見て得意なケースで、日本のインフラ整 備が遅れていたこともあってか web よりも電子メールに人気が集まった。この日本独 自の文化に合致させ、メディアにまで進化させ成功したのがまぐまぐである。 第5節 楽天(インターネットショッピングモール運営) 楽天は、日本最大のオンラインショッピングモールであり、1999 年 8 月時点で出店数 1000 社を突破した。楽天がショッピングモールを開設する前に、大企業を中心とした オンラインショッピングモールが開設されてきたが、無意味な画像データの掲載や、貧 弱な品揃え、低い更新頻度、決済の安全性ばかり重視して手続きが面倒になるなど、様々 な問題を抱え、ことごとく失敗してきた。楽天が大きく成長できたのは、これらの問題 点を徹底的に調べあげ、反面教師としたからである。 楽天市場の具体的な内容は、以下の 3 つの点にまとめられる。 ① 出店料金体系がシンプルで分かりやすく、かつ、リーズナブルであった。 売上に対する手数料をとらず、月々の固定料金でよく、しかも、一通りの機能を利用 しながら最低料金は 5 万円からでよい。楽天の収益源は店舗のテナント料とサイト自体 に掲載される広告掲載料のみだが、集客度が高いので、安定した収入が得られている。 ② 独自システム「RMS(Rakuten Marchant System)」の存在がある。 ブラウザの使用とワープロ書き程度の難易度で、店舗編集をはじめ、店舗管理、マー ケティング分析など、オンラインショップ運営に欠かせない業務を特別なソフトなしで、 遠隔操作ができるようになっていて、そのうえ、いつでも自由自在に書き換えられ、オ ンラインショップをオーナー自身で運営できるようになっている。それまでのオンライ ンショッピングモールは、モール自体が実権をにぎる中央集権型であったが、その点、 楽天の仕組みは自立分散型であり、市場の名の通り賑わいを表現できることができた。 a1p21183 渡辺 俊彰 22 ③ 出店者に対し、売るためのサービスが手厚い。 たとえば、マーケティング情報の提供、オフラインでのセミナーを開催するなど出店 者が売るためのサポートをしている。 また、買い物をする立場から見ても、特殊な決済方法を使わずに買い物できる点や、 一度登録した個人情報の再入力を求められない点、また、実績があるショップからの買 い物はそれだけで安心感があるなど、利便性が高くなっている。 ネットバブル崩壊前に株式を公開できたおかげで、2000 年に、共同購入サービスを開 始したり、 「ケータイ版楽天市場」の開設、アウトソーシングマーケットプレイスの「楽 天ビジネス」の開始、2002 年に宿泊予約事業「楽天トラベル」、書籍販売の「楽天ブッ クス」、コミュニティサイト「楽天広場」など、ビジネスを広げられることができた。 しかし、ゆっくりとネットバブル崩壊が影響し始め、2001 年に加盟点数が純減した。 これに、契約期間を短縮し、出店料を引き下げ、販売額に連動した従量制を取り入れた 新料金プラン「楽天ライト」を導入する形で対応させた。さらに、2002 年には、ユー ザーのホームページやメールに掲載されたリンクを通じて商品が購入された際、ユーザ ーに「楽天スーパーポイント」が貯まるアフィリエイトプログラムの導入し、ポイント の普及を試みた。同時に、楽天は 2002 年から、さらなる多角化を図る。同年 2 月から、 デリバリー業者を紹介する「楽天デリバリー」をオープン、動画コンテンツ配信サービ スの「ショウタイム」の開始、2003 年に、チケット予約販売「楽天チケット」、クーポ ンの総合サービス「楽天クーポン市場」、2004 年に個人向け金融事業サービス、と短期 間で拡大してきた。これらは、ネットバブルが崩壊した年から、様々な企業と M&A し てきたからである。2000 年にベタ ーライフテレビを完全子会社にし トラベル・エンターテイメント て以来、インフォシーク、デリナビ ドットコム、マイトリップ・ネット など実に 20 社以上を完全子会社化 楽天トラベル 楽天証券 し、楽天自身を拡大してきた。この ほかに、業務提携や、資本参加等を 通じ、関係会社とのシナジー効果を 金融 EC 高め、楽天は「世界一のインターネ 楽天市場 ットサービス企業」を目指す。その 楽天フリマ 為に、EC 関係システムを顧客に提 GORA 供するサービスプロバイダー事業、 インフォシーク 楽天の本業ともいえる EC 事業、媒 体価値を有するメディアを3本柱 で、さらなる成長を狙う。 出典:習慣東洋経済 2004.11.6 ポータル・メディア a1p21183 渡辺 俊彰 23 第5章 まとめ・研究結果 これまで、E ビジネスの時代の流れと成功事例について記述してきた。前章で挙げた成 功企業の影で、失敗した企業は数多く存在し、倒産してきた。では、いったいどういう企 業が失敗し、または成功するのかをこの章でまとめたいと思う。 ネットバブルのころ、盛んに起業されたが、そのほとんどが失敗し倒産した。これらの 企業は、アイデアが先行し、どうしたら儲けが出せるのかという具体的なビジネスモデル がない幼稚なものばかりだった。また失敗した企業は、商品やサービスを提供した時点で 取引は終了と考え、不良品の処理や、サービスに対する不満を受け付ける窓口を設けなか った。これは、顧客を無視し、具体的な自社の短所を知る機会を逃してしまっていると言 えよう。 しかし、これらの問題を乗り越えた企業もあった。ビジネスモデルがあり、顧客を無視 したわけでもない企業が失敗した理由を①やりすぎ破滅型、②過大投資・資金繰りの悪化 型、③ワンマン裏目型、④技術過大重視型、⑤モルモット吸収型、といった5つのパター ンにまとめた。①のやりすぎ破滅型とは、広告掲載料やスポンサーから収入を得、サービ スを無料で提供し、順調に成長してきた企業が、それまで有料でサービスをしてきた既存 の企業から有料のサービスが減るという理由で警告や反対の意見書を送られてきたが、そ れをまったく無視して無料サービスを推し進めた結果、裁判所に訴えられ、敗訴するとい うパターンのこと。②の過大投資・資金繰りの悪化型とは、E ビジネスで成功し、地方の 無名子会社からナスダック上場企業となった企業が、株式上場で多額の資金が集まり、拡 大投資をしたところネットバブル崩壊のような原因で株価が急落し、追加投資を得られな くなったため拡大投資が過大投資に切り替わり、倒産に追い込まれるというパターンのこ と。③のワンマン裏目型は、 「創業社長が昼夜働いて会社を盛り立ててきた会社が成長し、 大きくなったので、社外から経営幹部をスカウトして入社させた。新しい経営幹部たちは、 創業社長の経営力を高く評価していたのだが、実際に会社に入ってみると、度重なる社長 のワンマンぶりばかりが目に付くようになった。そこで、社長に反対処を送ろうとしても 社長の周りには言いなりの部下しかおらず、却下されてしまう。耐え切れなくなった経営 幹部達がまとめて退社してしまい、大きくなった会社は社長の手腕でも手に負えなくなっ てしまった。」というパターン。④の技術過大重視型は、技術が認められ急成長した会社 が、技術者を多く採用したが、急成長してしまったため人事管理などをこなせる中堅の社 員を育てられず、人事評価の不当性・権限の乱用・責任逃れが多くなり、社内風土がみだ れ、次々に社員が退社し内部から崩壊していったというパターン。⑤のモルモット吸収型 とは、①∼④のような問題も無く、うまく会社として機能していたが、その会社のノウハ ウは、ビジネスモデル特許に認定されなかったため、他企業を排除できずに収益力が高ま るタイミングを狙われ大資本に吸収合併されたというパターンのこと。①から④に関して a1p21183 渡辺 俊彰 24 は、地理・時間が大幅に短縮でき、スピードが速い E ビジネスだからこそ起こってしまっ た原因といえよう。⑤に関しては、逆に収益を出すタイミングが遅すぎたのと参入障壁が なかったため、他企業に狙われる結果となった。以上のように、失敗企業の特徴・共通点 を挙げたが、これらは逆に言えば成功するための重要要因と受け取れる。 前章で挙げた企業の共通点としては、(1)はっきりとしたビジネスモデルがあり、製品・ サービスがしっかりしている。(2)顧客重視である。また関係各社も重要視することで、顧 客に利便性の提供を可能にしている。(3)経営のスピードを重視している。これにより、た とえ失敗したとしても早めに判断し修正することができる。(4)参入障壁がある。(5)事業の 拡大の大きさに合わせた設備投資をする。(6)経営者が常に時代の流れ・顧客の要望を読み 取り経営をしている。と 6 つのポイントにまとめることができる。これらの共通点はまさ に、前述した失敗した企業たちに無かったもので、成功してきた要因といえよう。しかし、 これらは、リアルビジネスに置き換えてみても当たり前のことばかりで、ビジネスにおけ る常識とも言えるであろう。さらに、これからの E ビジネスにおいては、これらは、最低 限の条件となり、これから成功していくためには、さらにプラスアルファが無いといけな いと考える。 そのプラスアルファを私は、人間の人柄にあるだろうと考える。その理由として、イン ターネットの世界では、どんなにインターネットが普及しても、直接対面できないため不 安が残るが、それを解消できるのは人柄であると思うのだ。文章でも人柄は表現でき、そ れは、生活の中での服装や話し方で自分を表現するということと変わらないと私は考える。 例えば、しっかりした会社をイメージづけたいなら、敬語から文の構成(前略∼かしこな ど)までに配慮し、気さくでフレンドリーな会社をイメージづけたいのなら、顔文字や音 符などの記号を用い演習するなど。これは、最低限の礼儀さえわきまえれば、直接顔を合 わせることがない E ビジネスだからこそ可能となる。人柄は、やはり、うわべだけではど う繕っても失敗する部分があるので、その人の本当の人柄というものが重要になる。これ は、顧客との間だけに効果を発揮するのではなく、企業間でも効果的であろう。人柄によ り、前述した「失敗した企業の要因」を解消することができるし、また、サプライヤーと の関係も「この人となら…」と良い関係につなげられる可能性も高い。つまり、E ビジネ スといえど、結局は人と人とがあらゆるところで関係を築きあげているので、その関係を 良好に保つためには人間の人柄が重要という結果でこの研究をまとめる。 参考文献 ♦ インターネット・ビジネス会社情報 東洋 1999.12 経済新報社 ♦ 通信白書 寺本義也,原田保,リンク総研編 昭和55年度版 郵政省編 大蔵省印刷局 1980.12 昭和56年度版 郵政省編 大蔵省印刷局 1981.12 a1p21183 渡辺 俊彰 25 ♦ 情報化白書 昭和57年度版 郵政省編 大蔵省印刷局 1982.12 昭和58年度版 郵政省編 大蔵省印刷局 1983.12 昭和59年度版 郵政省編 大蔵省印刷局 1984.12 昭和60年度版 郵政省編 大蔵省印刷局 1985.12 2003年度版 ♦ 失敗から学ぶe-ビジネスの経営戦略 矢矧晴一郎 著 ♦ IT活用成功法:55の成功事例に学ぶ ション 上村孝樹 編著 エスシーシー タスク・システムプロモー 2001.6 ♦ 中堅・中小企業のためのIT導入成功事例集 平田周著 岡山経済研究所 ♦ 潰れるネット企業 復活するリアル企業 ∼見えてきた第2次e革命の覇者∼ 著 2001.4 エイチアンドアイ 2002.3 丸尾聰 2001.4 ♦ 週刊 東洋経済 2004.11.6 特大号 ∼熱いぞ!ネット企業∼ 東洋経済新報社 編 2004.11.6 ・ ネットバブルの向こう側 クト ―EC ビジネスの未来戦略― 著書 前川徹 アスペ 2001.7 a1p21183 渡辺 俊彰
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