発表02:ドラッカーのキャリア開発理論

第7回
ドラッカー「マネジメント」研究会(2009.1.20)発表(02)
市川
和臣
ドラッカーのキャリア開発理論
キャリア開発(働き方・生き方・会社や仕事の選び方)についての理論は、すでにドラッカーが体系化していた
第Ⅰ部 ドラッカーはどんなことを書いていたか
◆『非営利組織の経営』(90 年) 何によって憶えられたいか
シュンペーターの答え:ヨーロッパ一の馬術家、美人の愛人、世界一の経済学者
→
インフレの危機を最初に指摘した者、一人でも多くの優秀な学生を一流の経済学者に育てた者
◆『明日を支配するもの』
(99 年)
「強み、仕事の仕方、価値観という三つの問題に答えが出さえすれば、うるべき所も明らかになるはずである」(P212)
①強み
「誰でも自分の強みはわかっていると思う。たいていが間違いである。何事かを成し遂げられるのは、強みによってで
ある。
」(P194)
・唯一の方法としての「フィードバック分析」
(期待と結果の照合)
ある営業マンの例:提案力、市場調査力、課題分析力 → 人と仲良くなる力
・人に聞くこと
②仕事の仕方
「強みと同じように、仕事の仕方も、人それぞれである。それは個性である。生まれつきのものか、育ちのものかは別
として、それらの個性は、仕事につくはるか前に形成される。」
(P200)
・読む人間か、聞く人間か 得意な学び方な何か(読む、聞く、自ら書く、話す)
人と組むか、
一人でやるか 大きな組織か、小さな組織か ストレスはあったほうがよいのか、ないほうがよいか
③価値観
「組織には価値観がある。そこに働く者にも価値観がある。組織において成果を上げるためには、働く者の価値観が組
織の価値観になじむものでなければならない。
」(P210)
・倫理観を知るための「ミラーテスト」
(鏡の中の自分は、見たい自分かどうか)
第Ⅱ部 最近の研究でわかってきたこと
①強み
・MBTI(ユングのタイプ論をもとにした性格検査)
外向⇔内向〔エネルギー〕 感覚⇔直観〔情報〕 思考⇔感情〔意思決定〕 判断⇔知覚〔スタイル〕
私のタイプ=内向、感覚、思考、判断
②仕事の仕方
ほとんど注目されていない(キャリア開発理論の盲点)
③価値観
・シャインの「キャリア・アンカー」1(動機、価値、強み〔コンピタンス〕に関する自己認識の複合体)
ⅰ専門/職能
ⅱ全般管理
ⅲ自律/独立
ⅳ保障/安定
ⅴ企業家的創造性
ⅵ奉仕貢献
ⅶ純粋な兆戦
ⅷ生活様式
・バレットの「意識(動機)の階層」2
ⅰ安全 ⅱ健康
ⅲ人間関係 ⅳ自負/自尊 ⅴ達成 ⅵ自己成長 ⅶ意義 ⅷ貢献
ⅸ奉仕
Edgar H. Schein, Career Anchors: Discovering Your Real Values (Jossey-bass/Pheiffer, 1990). 〔金井壽宏訳『キャリ
ア・アンカー』2003 年, 白桃書房 pp.21-26〕
2 Richard Barrett, Liberating the Corporate Soul: Building a Visionary Organization (Butterworth-Heinemann,
1998).〔斎藤彰悟・駒沢康子訳『バリュー・マネジメント』2005 年, 春秋社p.69〕
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