分野 会計 キャッシュバランスプランの特徴と制度運用の留意点 Q 企業

分野
会計
キャッシュバランスプランの特徴と制度運用の留意点
Q
企業年金制度の 1 形態である「キャッシュバランスプラン」について教えて
ください。
A
キャッシュバランスプラン(以下「CBプラン」と略)は、確定給付型企業
年金と確定拠出型企業年金の両方の特徴を有する制度です。
CBプランによる退職金額は次のように計算されます。
退 職 金 額 = 当 年 度 末 の 仮 想 口 座 残 高 ×退 職 事 由 別 支 給 率
当 年 度 末 の 仮 想 口 座 残 高 = 前 年 度 末 仮 想 口 座 残 高 + 当 年 度 基 準 給 与 ×拠 出 率
+ 前 年 度 末 仮 想 口 座 残 高 ×当 年 度 再 評 価 率
こ の 算 式 は 、基 準 給 与 に 一 定 の 拠 出 率( 例 え ば 60% )を 乗 じ て 当 年 度 の 仮 想
口座への積立額を算出し、さらに前年度の仮想口座残高を再評価率で運用(複
利計算)した結果を加えたものを当年度の仮想口座残高とするものです。この
残高に退職事由別支給率を乗じたものが退職金額となります。
再評価率には国債の利回りを利用するケースが多く、金利が低下した場合は
退職金額が低くなるという特徴があります。
現在、適格退職年金を採用している企業の場合、CBプランの採用に際して
確定給付型企業年金等への移行が必要となりますので、積立不足の解消等の厳
しい条件が設定されることになります。
CBプランには次のような特徴があります。
① 退職給付債務に対する金利変動リスクが軽減されます。
② 仮想口座残高を通じて個人の退職金額が明確になります。
③ 確 定 拠 出 型 年 金 の 場 合 、資 産 運 用 は 個 人 の 責 任 で 行 い ま す が 、C B プ ラ ン の
場合は会社が運用当事者となり、運用リスクは会社に発生します。
④ 中途退職時の受け取りも可能です。
CBプランは従来の確定給付型適格退職年金に近いものですが、①のように
金利変動リスクを軽減できる点に大きな特徴があります。
CBプランを導入する場合、現状の退職金規定(支給額カーブ)を大きく変
更することは難しいため、従業員の同意が得られる範囲内での条件設定が必要
となります。
CBプランは計算式が示すように、基準給与と再評価率の影響を受けます。
ただし、基準給与は現状では年功的な要素が高く、再評価率も急激に変動する
環境下にありません。そのため、CBプランの支給額カーブは一般的な退職金
制度に見られる「S 字カーブ」と比べ、なだらかな上昇曲線を描くことが想定
されます。
従来型では長期勤務者に多額の退職金を支払い短期勤務者には少額の退職金
し か 支 給 し ま せ ん が 、 CB プ ラ ン で は 長 期 勤 続 を 促 す 機 能 は 小 さ く な り ま す 。
この場合、中途退職者への支給水準等が人事制度と整合性が取れるかどうか
が問題となってきますので、その検証が必要になります。また、既存従業員に
は 退 職 金 の 「 既 得 権 」( 制 度 移 転 直 前 の 退 職 金 額 ) や 「 期 待 権 」( 制 度 移 行 後 の
退職金の積上げ額)がありますので十分留意することが必要です。