宮ヶ迫ナンシー理沙・関恵里沙・岡村兵衛 2016 年 4 月 22 日 ミックスルーツな人々の経験を理解するための書籍・映像リスト このリストについて ミックスルーツ(Mixed-roots/routes)な人々をテーマにした小説、自叙伝、エッセ イ、映画やドキュメンタリーを集めてみました。書籍は、中学生や高校生くらいから 読めるものを選んでいます。 小説 阿蘭ヒサコ 2011 「ジョアンくん、待ってるよ」 『いつだって、そばにいるよ。 』NTT 出版、pp.91-170 有吉佐和子 1967 『非色』 角川書店(角川文庫) 温 又柔 2011 『来福の家』集英社 金城一紀 2000 『GO』 講談社 金 史良 1999 『光の中に』講談社(講談社文芸文庫) 鷺沢 萠 1997 『君はこの国を好きか』新潮社 ―――― 2006 『ビューティフル・ネーム』新潮社 タン、エイミ 1990 『ジョイ・ラック・クラブ』小沢瑞穂訳 角川書店 (原語:Tan, Amy. 1989, The Joy Luck Club New York: Ivy Books) 華恵(hanae*)2003 『小学生日記』角川書店 深沢 潮 2013 『ハンサラン:愛する人びと』新潮社 ―――― 2015a 『ひとかどの父へ』朝日新聞出版 ―――― 2015b 『緑と赤』実業之日本社 李 良枝 1997 『由煕/ナビ・タリョン』講談社(講談社文芸文庫) リービ英雄 2004 『星条旗の聞こえない部屋』講談社(講談社文芸文庫) 自伝・伝記・エッセイ 秋元才加 2013 『1st Photobook ありのまま。 』徳間書店 岩井成昭 2002 『What’s in a name?』P3 art and environment 大谷 勲 1980 『他人の国、自分の国:日系アメリカ人オザキ家三代の記録』角川書店 温 又柔 2016 『台湾生まれ 日本語育ち』白水社 姜 尚中 2008 『在日』集英社(集英社文庫) 姜 信子 1987 『ごく普通の在日韓国人』朝日新聞社 金 時鐘 1986 『「在日」のはざまで』立風書房 ケリー 2011 『モデル・ケリーの「だから、あなたもがんばって」』宝島社 1 Copyright (C) 2016, Miyagasako, Seki, Okamura 宮ヶ迫ナンシー理沙・関恵里沙・岡村兵衛 2016 年 4 月 22 日 小貫大輔 2002 『ブラジルから来た娘タイナ:十五歳の自分探し』小学館 鷺沢 萠 1997 『ケナリも花、サクラも花』 新潮社 陳 天璽 2005 『無国籍(STATELESS)』新潮社 ドウス昌代 2003 『イサム・ノグチ:宿命の越境者(上・下)』講談社(講談社文庫) 華恵 2006 『本を読むわたし:My Book Report』筑摩書房 堀田世紀アントニー 2015 『アイ・アム・ジャパニーズ:これがハーフ芸人の生き る道』 ワニブックス マーフィ重松、スティーヴン 2002 『アメラジアンの子供たち:知られざるマイノ リティ問題』坂井純子訳、集英社 山口淑子・藤原作弥 1987 『李香蘭:私の半生』新潮社 李 青若 1997 『在日韓国人三世の胸のうち』草思社 インタビュー集 江崎泰子・森口秀志編 1988 『「在日」外国人:35 ヵ国 100 人が語る「日本と私」』 晶文社 小熊英二・姜尚中編 川上郁雄 2010 2008 『在日一世の記憶』集英社(集英社新書) 『私も「移動する子ども」だった:異なる言語の間で育った子ども たちのライフストーリー』くろしお出版 福岡安則・辻山ゆき子 1991 『ほんとうの私を求めて: 「在日」二世三世の女性たち』 新幹社 対談 ゴウ、リサ 鄭暎惠 1999 『私という旅:ジェンダーとレイシズムを超えて』青土社 映画 『ジョイ・ラック・クラブ』1994 年公開〔DVD 有〕言語:日本語、英語 字幕有 原作:タン、エイミ(Tan, Amy. 1989. The Joy Luck Club. New York: Ivy Books) 監督:ワン、ウェイン 配給:ブエナ・ビスタ 『フリーダム・ライターズ』2007 年公開〔DVD 有〕 原作:グルーウェル、エリン フリーダム・ライターズ(The Freedom Writers, Gruwell, Erin. 1999. The Freedom Writers Diary: How a Teacher and 150 Teens Used Writing to Change Themselves and the World Around Them. New York: Broadway Books) 2 Copyright (C) 2016, Miyagasako, Seki, Okamura 宮ヶ迫ナンシー理沙・関恵里沙・岡村兵衛 2016 年 4 月 22 日 監督:ラグラベネーズ、リチャード 言語:日本語、英語 配給:パラマウント 字幕有 ドキュメンタリー 『移民の記憶:マグレブの遺産』2009 年発売〔DVD 有〕 販売:ビデオプレス (原題:Mémoires d'immigrés: l'héritage maghrébin (1997)) 監督:ベンギギ、ヤミナ(Benguigui, Yamina) 言語:フランス語 日本語字幕 『ハーフ(HAFU)』2013 年公開〔DVD 有〕 監督:西倉めぐみ、高木ララ 配給・販売:ユナイテッドピープル 言語:英語、日本語 字幕有 『孤独なツバメたち:デカセギの子供に生まれて』2011 年公開〔DVD 有〕 監督:津村公博、中村真夕 言語:日本語、ポルトガル語 配給:アルゴ・ピクチャーズ 販売:TO ブックス 字幕有 〔解説・コメント・評価など〕 小説 阿蘭ヒサコ 2011 「ジョアンくん、待ってるよ」 『いつだって、そばにいるよ。 』 NTT 出版、pp.91-170 ※「外国にルーツをもつ子どもたち」が勉強する補習教室で起こるさまざまなストー リーを描いている。フィクションの短編小説だけど、外国にルーツのある人にとっ ての「あるある話」が盛り込まれている。 (宮ヶ迫) 有吉佐和子 1967 『非色』 角川書店(角川文庫) ※主人公は終戦直後の日本でアフリカ系アメリカ人兵士と結婚し、子どもを産み、そ の後、家族でニューヨークのハーレムに移り住む。主人公を通してアメリカの「人 種差別」を描いている。戦後直後の「混血児」と、その母への眼差しの一端が垣間 見える作品。 (岡村) 温 又柔 2011 『来福の家』集英社 ※「好去好来歌」 「来福の家」の 2 作品が収められている。作者の温又柔(Wen Yu ju) は 1980 年台湾生まれの「日本語」育ちで人生の大部分を日本で過ごしている。居 住国の言語と両親の言語( 「継承語」)をめぐる考察を小説にしている。(岡村) 3 Copyright (C) 2016, Miyagasako, Seki, Okamura 宮ヶ迫ナンシー理沙・関恵里沙・岡村兵衛 2016 年 4 月 22 日 金城一紀 2000 『GO』 講談社 ※作者は、初版の自己紹介で自らを「コリアン・ジャパニーズ」と位置づけていた、 1968 年生まれ。「在日朝鮮人」「在日韓国人」など、自身に向けられる様々なカテ ゴリー名をめぐる考察は興味深い。映画化もされているが、書籍版の方が作者の考 えが理解できる。 (岡村) 金 史良 1999 『光の中に』講談社(講談社学芸文庫) ※短編集。金史良(Kim Sa ryang)は 1914 年、「朝鮮平壌」生まれの作家。近年出 版されている、いわゆる「在日文学」とは異なる作風だが、収録されている小説が 書かれた時代背景がわかる。 (岡村) 鷺沢 萠 1997 『君はこの国を好きか』新潮社 ※「ほんとうの夏」 「君はこの国を好きか」の 2 編が収められている。1968 年生まれ の作者による小説。 「在日韓国人」の主人公たちの日常を通して、 「在日」であるこ とについて考え、表現した作品集。 (岡村) 鷺沢 萠 2006 『ビューティフル・ネーム』新潮社 ※小説。「在日コリアン」の名前の話しを中心に織りなされる物語。短編集。(関) タン、エイミ 1990 『ジョイ・ラック・クラブ』小沢瑞穂訳 角川書店 (原語:Tan, Amy. 1989, The Joy Luck Club New York: Ivy Books) ※アメリカの中国移民 1 世と 2 世のギャップ、お互いを理解することの難しさを親(母) と子(娘)両方の視点から描いたもの。アメリカの移民の話ではあるものの、日本 で子育てをする外国人家庭の親子や、国際結婚家庭の外国人の親と子の葛藤と共通 するところもあり、親子がお互いの立場を想像するのに、また、支援者がその家族 を理解するのに役立つ1冊。映画にもなっている。(関) 華恵(hanae*)2003 『小学生日記』角川書店 ※作文コンクールの入賞作品が収録されている。父はアメリカ人、母は日本人、「移 動する子ども」としても位置づけられる作者の心境が上手く表現されている。「ミ ックス」や「ハーフ」として位置づけられる作者による小説風の文章。(岡村) 深沢 潮 2013 『ハンサラン:愛する人びと』新潮社 ※「在日」社会のお見合いを取り仕切る「お見合いおばさん」の周りで起こる 6 つの ストーリーからなる連作長編小説。家族を中心とした「在日コリアン」の日常の話 とともに、「帰化」の問題や、自分の国籍を友達に言えずに悩む中高生の姿も描か 4 Copyright (C) 2016, Miyagasako, Seki, Okamura 宮ヶ迫ナンシー理沙・関恵里沙・岡村兵衛 2016 年 4 月 22 日 れている。当事者でない人にとっては日本の中にある自分とは違う日常を垣間見る ことのできる一冊。(関) 深沢 潮 2015a 『ひとかどの父へ』朝日新聞出版 ※親子 3 代のそれぞれの「韓国/在日コリアン」との関わりが描かれた作品。韓国人 と恋に落ちた母、大人になってから父親が韓国人と知った娘、そして、何も知らず に韓流にはまる孫。それぞれの世代の「韓国/在日コリアン」像の変化も興味深い。 日本の一場面として、サラリと「在日コリアン」を登場させるのがこの作者の魅力。 (関) 深沢 潮 2015b 『緑と赤』実業之日本社 ※表題の「緑」は韓国のパスポート、 「赤」は日本のパスポート(成人 10 年)を意味 している。新大久保、K-POP、ヘイトスピーチなど、現代のキーワードを扱って 「在日コリアン」を主軸に、5 人の男女の人生模様を描く連作小説。(岡村) 山崎豊子 1983 『二つの祖国(上・中・下) 』新潮社(新潮文庫) ※日系アメリカ人二世を通して太平洋戦争を描いた大作。NHK の大河ドラマ『山河 燃ゆ』 (1984)の原作になった作品。しかし、その描写はアメリカの日系人社会か ら批判されている。 「日系アメリカ人」のイメージを形成した作品と言える。 (岡村) 李 良枝 1997 『由煕/ナビ・タリヨン』講談社(講談社文芸文庫) ※1955 年生まれの「在日朝鮮人」、李良枝(Lee Yangji)の作品集。表題作の一つ、 『由煕(ユヒ) 』は 1989 年、第 100 回芥川賞受賞作品となっている。(岡村) リービ英雄 2004 『星条旗の聞こえない部屋』講談社(講談社学芸文庫) ※「星条旗の聞こえない部屋」ほか 3 篇が収められている。「「日本人の血を一滴も 持たない」アメリカ生まれの著者が、母語を離れ、日本語で書いた鮮烈なデビュー 作」として宣伝されていた。1960 年代の東京・横浜で「白人」であること「ユダ ヤ人」であること、「アメリカ人」であることについて描いている。(岡村) 自伝・伝記・エッセイ 秋元才加 2013 『1st Photobook ありのまま。 』徳間書店 ※元 AKB48 メンバー、フィリピン人の母親と日本人の父親を持つ秋元才加のフォト エッセイ集。デビュー当初は語ることのなかった自身のルーツについて、フィリピ ンに対する想いについて書かれている。(岡村) 5 Copyright (C) 2016, Miyagasako, Seki, Okamura 宮ヶ迫ナンシー理沙・関恵里沙・岡村兵衛 2016 年 4 月 22 日 岩井成昭 2002 『What’s in a name?』P3 art and environment ※著者が世界各国で人々にそれぞれの名前のエピソードを聞き取ったもの。それぞれ の国の言語で直筆された名前の横に、その名前に対する思いや、由来が書いてある。 周囲の多くの人と異なる名前を持つことで、学校などでいろいろな思いをしてきた 人が、自分の名前を大切にしようと思えるようになる一冊。 (宮ヶ迫) 大谷 勲 1980『他人の国、自分の国:日系アメリカ人オザキ家三代の記録』角川書店 ※アメリカへ移民として渡った尾崎家三代の記録。当時のパスポートの写真や、家族 の写真が掲載されており、資料としての価値が高い。ここでは「一世」、 「二世」、 「三世」の区分は、明治生まれの人を一世、大正・昭和前・中期生まれの人を二世、 太平洋戦争の前後に生まれた人を三世と区分し、家族三代の歴史を記録している。 (岡村) 温 又柔 2015 『台湾生まれ 日本語育ち』白水社 ※『来福の家』 (2011)の作者のエッセイ集。インターネット上に公開されていた「失 われた〝母国語〟を求めて」 (2011 年 9 月~2015 年 5 月)をもとにしたもの。コ トバをめぐるエッセイが中心。家族の歴史を通して台湾・日本・中国の歴史につい ても考えをめぐらしている。 (岡村) 姜 尚中 2008 『在日』集英社(集英社文庫) ※1950 年生まれの「在日韓国・朝鮮人」、姜尚中(Kang Sang-jung)の自伝。テレ ビのコメンテーターとして 90 年代にメディアに頻繁に露出していた。二世という 立場から見た著作。(岡村) 姜 信子 1987 『ごく普通の在日韓国人』朝日新聞社 ※1961 年うまれの著者、姜信子(きょう・のぶこ)のエッセイ。著者は「在日韓国 人」を「日本人でもない。朝鮮半島に生きる韓国人と同じでもない」もの、「明ら かに新しい種類の人間なのである」と考える。生れ育った場所である日本で生きや すくなることを目指した考察を展開している。(岡村) 金 時鐘 1986 『「在日」のはざまで』立風書房 ※1929 年に「朝鮮元山市」(朝鮮半島東海岸中部)生まれ、「一、二世」世代にあ たる金時鐘(キム・シジョン)のエッセイ集。「皇民化教育」により「日本語を生 き」ることになった著者の経験は、歴史の記録として読むことができる。著者は自 らを「朝鮮人」と位置づける。(岡村) 6 Copyright (C) 2016, Miyagasako, Seki, Okamura 宮ヶ迫ナンシー理沙・関恵里沙・岡村兵衛 2016 年 4 月 22 日 ケリー 2011 『モデル・ケリーの「だから、あなたもがんばって」』宝島社 ※メジャーな女性ファッション雑誌などでモデルとしての地位を築いているケリー。 14 歳で日本に来た彼女が、その理由やデカセギ一般のこと、またその前の時代の 日本からブラジルへ渡った移民のこと、日本で工場労働をしたことなど飾り気なく シンプルに語っている。(宮ヶ迫) 小貫大輔 2002 『ブラジルから来た娘タイナ:十五歳の自分探し』小学館 ※日本とブラジルを行き来する著者が、家族と日本で暮らし始めたときの話。15 歳 で中学校に転入したタイナが、「学校に行きたくない」と言い始めたことから見え てきた日本の教育の問題を指摘する。(宮ヶ迫) 鷺沢 萠 1997 『ケナリも花、サクラも花』 新潮社 ※大人になってから祖母が韓国人であったことを知った著者が、祖母の国の言葉を学 ぼうとソウルへ留学した時のことを書いたエッセイ。(関) 陳 天璽 2005 『無国籍:STATELESS』新潮社 ※1971 年生まれの「在日中国人(中華民国〔台湾〕)」陳天璽(Chen Tien-shi)の自 伝。「無国籍」であることによって生じる「問題」、「無国籍者」の置かれた境遇を 理解するのに役立つ一冊。 (岡村) ドウス昌代 2003 『イサム・ノグチ:宿命の越境者(上・下)』講談社(講談社文庫) ※1904 年生まれ。父は詩人・野口米次郎、母はレオニー・ギルモア。漢字名は野口 勇。アメリカに生まれ、幼少期に日本に滞在したが、人生の多くの時間をアメリカ など日本以外で育ったため「日系人」として括られるが、「日系人強制収容所」に 自ら志願して入所したことも、そのように括られる要因だろう。「日本人」であり 「アメリカ人」でもあるその立場によって、それぞれの国から拒絶される経験をす る。後に、一時的に婚姻関係を結ぶ山口淑子(李香蘭)の自伝と共に読むと良い。 (岡村) 華恵 2006 『本を読むわたし:My Book Report』筑摩書房 ※1991 年、日本人の母とアメリカ人の父の間に、アメリカで生まれる。『小学生日 記』(2003)の著者 hanae*の小説的要素のあるエッセイ集。幼少期から呼んだ 本の思い出を語るスタイルで、家族への思い、自身の境遇について書いた書籍。 自身を「ミックス」または「ジャパニーズ・アンド・アメリカン」と位置づけて いた時期の書籍。華恵のエッセイを読むと、「移動する子ども」の心境の変遷を 理解することが出来る。(岡村) 7 Copyright (C) 2016, Miyagasako, Seki, Okamura 宮ヶ迫ナンシー理沙・関恵里沙・岡村兵衛 2016 年 4 月 22 日 堀田世紀アントニー 2015 『アイ・アム・ジャパニーズ:これがハーフ芸人の生き る道』 ワニブックス ※テレビで聞き慣れたアントニーのネタが多いけど、「ハーフと言えども、日本で生 まれ育って、英語もしゃべれない僕みたいなハーフがいたっていいと思うのだ」と メディアと世の中のハーフ像に対抗している価値ある一冊。(関) 山口淑子・藤原作弥 1987 『李香蘭:私の半生』新潮社 ※1920 年、中国東北部(旧満洲)撫順生まれの女優、山口淑子の自伝。日本軍部の 宣伝映画に出演していた時期、李香蘭を名乗っていた。彫刻家イサム・ノグチ(野 口勇)と一時婚姻関係にあり、ノグチと自身を「帰りゆくふるさとを失われたもの」 「祖国があるようでないような、さまよえる人間」だと位置づけていた。山口は映 画『東は東(Japanese War Bride) 』 (1950)にも出演している。 (岡村) マーフィ重松、スティーヴン 2002 『アメラジアンの子供たち:知られざるマイノ リティ問題』集英社 ※著者の旅の記録でもある「アメラジアン」という呼び名でくくられる人々の解説書。 日本のみならず、アメリカの「ミックス・レイス」についても触れている一冊。 「ア メラジアン問題」は、沖縄の文脈で語られることが多いが、より広い文脈で考える ことを著者は促している。 (岡村) 李 青若 1997 『在日韓国人三世の胸のうち』草思社 ※1965 年生まれの「在日韓国・朝鮮人」である李青若(Lee Seijyaku)の自伝・エ ッセイ。「日本で生まれ育った人間が、日本人のようであって、なんの不思議があ るのでしょうか」という問いかけを行っている。これは日本社会のみならず、「在 日韓国・朝鮮人」の一世、二世世代への問いかけでもある。 (岡村) インタビュー集 江崎泰子・森口秀志編 1988 『 「在日」外国人:35 ヵ国 100 人が語る「日本と私」』 晶文社 ※様々なルーツの「外国人」100 人のインタビュー集。いま読んでも参考になる意見 が収録されている。 (岡村) 小熊英二・姜尚中編 2008 『在日一世の記憶』集英社(集英社新書) ※「戦後/解放後」を生きた在日一世の 52 人の証言集。インタビューに応えた 52 人の視点から見た歴史が知れる。(岡村) 8 Copyright (C) 2016, Miyagasako, Seki, Okamura 宮ヶ迫ナンシー理沙・関恵里沙・岡村兵衛 2016 年 4 月 22 日 川上郁雄 2010 『私も「移動する子ども」だった:異なる言語の間で育った子ども たちのライフストーリー』くろしお出版 ※「移動する子ども」という括りで様々な「ルーツ(Mixed-roots/routes)」の人々 にインタビューした記録。生得的特性(「血統」)ではなく、移動経験で括っている 点が新しい。インタビュー対象者は、セイン・カミュ、一青妙、華恵、白倉キッサ ダー、響彬斗・響一真、コウケンテツ、フィフィ、長谷川 アーリア ジャスール、 NAM。 (岡村) 福岡安則・辻山ゆき子 1991 『ほんとうの私を求めて: 「在日」二世三世の女性たち』 新幹社 ※「在日韓国・朝鮮人」の女性 12 人に対して行ったインタビューの記録。同著者ら による前著『同化と異化のはざまで:在日若者世代のアイデンティティ葛藤』(新 幹社、1991)がアイデンティティを解釈・分類していたのに対し、こちらは解釈 を挟まない形で編集されている。25 年前に発行された書籍ではあるが、語られて いる内容の多くに古さを感じない。「在日韓国・朝鮮人」だけでなく、その他のル ーツの人々に有益な一冊。 (岡村) 対談 ゴウ、リサ 鄭暎惠 1999 『私という旅:ジェンダーとレイシズムを超えて』青土社 ※「在日フィリピン人女性」のリサ・ゴウと、 「在日朝鮮人」の鄭暎惠の対談集。90 年代、日本におけるフィリピン人女性がどのように捉えられていたかがわかる。母 親が「フィリピン人女性」だということで、その子どもたちが、どのような眼差し を向けられていたかを想像する手掛かりになる。 (岡村) 映画 『ジョイ・ラック・クラブ』1994 年公開〔DVD 有〕 ※母子間の葛藤は移民家庭に限らず、どの家庭でもあること。しかし、ここで描かれ る母子間の葛藤の要因は世代差のみならず文化の違いも関係している点で複雑に なっている。移民のみならず「ハーフ」と括られる人々の家庭でも生じる可能性の ある母子間の葛藤でもあるため、多くの人にとって役立つ作品。(岡村) 『フリーダム・ライターズ』2007 年公開〔DVD 有〕 ※1992 年、アメリカのロサンゼルスで起きた暴動における人種間対立、西海岸にお ける人種の葛藤が、一つの教室における生徒間の交流を通して描かれる。「白人」 「黒人」「アジア系」「ラティーノ」、人種や社会階層の差異を軸に、人種差別問 9 Copyright (C) 2016, Miyagasako, Seki, Okamura 宮ヶ迫ナンシー理沙・関恵里沙・岡村兵衛 2016 年 4 月 22 日 題などを描いている。アメリカの事例だが、日本の場合にも当てはめることが出来 る。その場合、「白人=日本人」として見ると、生徒たちの間にあった「白人教師」 への敵意が理解できる作品。(岡村) ドキュメンタリー 『移民の記憶:マグレブの遺産』2009 年発売〔DVD 有〕 ※「父」「母」「子ども」の三部で構成されている。移民家族の声のみならず、移民 政策を進めた当時のフランスの官僚のインタビューも収められている。日本のみな らず世界中の移民政策や移民問題について考えるのに有益なドキュメンタリー。移 民労働者を雇用の調整弁として使うことの問題性が想像できるようになる作品。 (岡村) 『ハーフ(HAFU)』2013 年公開 ※5 組の「ハーフ」と自称する人々とその家族を追ったドキュメンタリー映画。日本 社会の多様性について問いかけるだけでなく、ルーツも育った背景も異なる人々を 取り上げることで、ステレオタイプで見られがちな「ハーフ」と括られる人々の中 の多様性も描き出す。「ハーフ」をテーマにした作品自体も珍しいが、制作に多く の「ハーフ」当事者が関わっているという点でも貴重な作品。(関) 『孤独なツバメたち:デカセギの子供に生まれて』2011 年公開 ※ブラジルルーツの若者を追ったドキュメンタリー映画。ブラジルから来た「デカセギ の子ども」は、みんな登場人物たちのような状況にあるのだという偏見を助長する可 能性があり、議論を巻き起こした作品。 「けなげに生きる若者」というような描写には 違和感を覚えるが、ブラジルルーツの若者への日本社会の眼差しの一端が垣間見える。 たくさんの気づきを得られ、考えさせられる作品。 (宮ヶ迫) 10 Copyright (C) 2016, Miyagasako, Seki, Okamura
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