千葉大学環境リモートセンシング 研究センターニュース 2012 年 12 月 CEReS Newsletter No. 85 Center for Environmental Remote Sensing,, Chiba University, Japan 発行:環境リモートセンシング研究センター (本号の編集担当:樋口篤志) 住所:〒263-8522 千葉市稲毛区弥生町 1-33 Tel: 043-290-3832 Fax: 043-290-3857 URL: http://www.cr.chiba-u.jp/ AGU Fall Meeting 2012 参加報告(12 月 3∼7 日) 日本では広い範囲で冬の寒さを感じ始めた 12 月の初 に、千葉大学に異動したことも伝えることができ、千葉 旬に、カリフォルニア州サンフランシスコにおいて 2012 大学の宣伝に少しは貢献できたものと期待していま 年の AGU(American Geophysical Union; アメリカ地球 す。 物理連合)の秋季大会が開催されました。今年で 45 回 ただ、本質的に広く宣伝を行うためには、我が国にお 目を数える本学会では、例年同様に、地球物理学に関 いては取り組み方に少し工夫の余地があると改めて感 する幅広い分野(大気科学、地球電磁気学、生物地球 じました。図 1 の Exhibitors の数字から分かるように、 化学、陸水学、海洋学、地理学、地質学、火山学、…) 欧米では大学や研究機関、企業がブース展示を積極 の最新の研究成果が発表され、口頭・ポスターの発表 的に行っていたことがとても印象的です。NASA のブー 会場いずれにおいても大変活発な議論がなされました。 スでは毎年それを楽しみにしている人が大勢おり、特 最終日に報告された合計参加者数は 22,000 人を超え に数量限定の NASA カレンダーは今年も早々に品切 たようです(写真 1)。こういった地球物理学の勢いの中 れとなっていました。我が国では、筆者の前の職場であ で、リモートセンシング、特に人工衛星を利用した研究 る海洋研究開発機構が初めてブースを出していました。 を含むセッションが重要な位置を占め始めてきたように 場所代や配布物等の輸送費などで合計 100 万円程度 感じました。 の費用がかかったとのことです。この額をどうみるかは さておき、広く宣伝する必要性を強く感じた 5 日間でし た。 サンフランシスコのケーブルカーはこの時期、クリスマ スバージョンになっており、おもわず写真を撮ってしま いました(写真 2)。学会における他の研究者からの刺激 とともに、こういった経験を次回はぜひとも千葉大学の 学生と一緒に味わえたらと思う今日この頃です。 写真 1 最終日に報告された参加者数 Emissions Understanding, Constraints, and Changes の セッションにおいて、筆者は Quantitative bias estimates for tropospheric NO2 columns retrieved from SCIAMACHY, OMI, and GOME-2 using a common standard for East Asia というタイトルで口頭発表を行い ました。衛星と地上からのリモートセンシング観測を複 合利用した研究です。口頭発表に選ばれたのは 2 年連 続 3 回目であり、大勢の参加者がいる中で大変光栄に 思っています。発表後は興味を持っていただいた方々 写真 2 クリスマスバージョンのケーブルカー (文責:入江仁士) マレーシア人研究者 15 名が CEReS を訪問 現在実施されているマレーシアとの国際共同研究プ 短期研究員受入概要 ロジェクトの招へい外国人研究員として、2012 年 12 月 期間:2012 年 12 月 3 日∼12 月 15 日 に 15 名のマレーシア人研究者が当センターに訪問し、 参加者: University Sains Malaysia 2名 SAR 画像解析講習会の受講および研究施設の見学を Malaysia Multimedia University 3 名 行いました。 Universiti Tenaga Nasional 10 名 プロジェクト概要 プロジェクト名:マレーシアにおける地すべり災害および 水害による被災低減に関する研究(地球規模課題 対応国際科学技術協力(SATREPS)) プロジェクト代表者:東京大学 登坂博行教授 千葉大学(共同研究機関)研究代表者:ヨサファット准 教授 研修内容: 日付 訪問先 12/3 活動内容 来日 12/4 株式会社ビジョンテック(つくば) プロジェクト研究活動の打合せ 12/5 産業技術総合研究所(つくば) 研究施設見学:地質標本館など 12/6 日本工営株式会社(つくば) 12/7 株式会社ビジョンテック(つくば) 研究施設見学:災害リスク評価、水利模型実験、 遠心実験装置など LANDSAT 画像解析講習会:土地被覆分類 プロジェクト研究活動の打合せ 12/8 資料整理 12/9 資料整理 SAR 画 像 解 析 講 習 会 : 12/10 12/11 1) Basic SAR image processing 千 葉 大 学 CEReS 2) Advanced SAR image processing 3) SAR image analysis 12/12 CEReS 施 設 見 学 12/13 東京大学 CSIS(柏) 研究施設見学:3-D スキャナー 12/14 応用地質株式会社(つくば) 研究施設見学:斜面観測システム 12/15 帰国 CEReS における SAR 画像解析講習会は、今年完成し 後の活用等に関する講義が行われ、続く 2-3 日目には たマルチメディアルームにおいて、ヨサファット准教授お 実際にパソコンを用いた SAR 画像解析の実習が行わ よびバユアジ研究員を講師に迎え、3 日間にわたり実 れました。衛星技術の急速な発展に伴い詳細な DEM 施されました。まず 1 日目に SAR に関する基礎知識、 の作成や地盤変動量の抽出などが可能になり、RS 新 SAR 解析の理論、小型衛星や UAV と組み合わせた今 技術の活用を望む研究者は多いですが、それらの知 識および技術を体系的かつ詳細に学ぶことが出来る専 門書あるいは講義は極めて少なく、参加者たちは非常 に熱心に受講していました。3 日間は決して十分な時間 とは言えませんが、基礎理論を理解し、実際にデータを 用いて解析を行うことで、今後の更なる技術習得・活用 への確かな一歩となったことは間違いありません。講習 会終了後、参加者たちよりマレーシア各大学における 同様の講義の実施や、今後さらに高度な内容の講習 会開催の希望が寄せられ、本プロジェクトのスキーム において近いうちにマレーシアでも再び講習会を開催 ため(酒精の添加された味噌や醤油も NG!)、日本滞 することが約束されました。 在中の彼らの生活は決して快適なものではありません。 しかし、上記のように最新の知識や技術を学びたいと いう熱意ゆえに、彼らは日々積極的かつ活動的に楽し そうに過ごしていました。近年、ルックイースト政策の影 響も薄れてきたと言われますが、実際に接していると彼 らは日本の文化を愛し、日本人にとても親しみを持って いることが分かります。当然、文化や考えや生活リズム の違いにより思い通りにいかないことや想像もしない苦 労も多く、(正直)苛立つような出来事も多くありました。 しかしいざ帰国して彼らがいなくなると、西千葉駅の改 また、講習会終了後に久世センター長およびヨサフ 札などで何かに困ってウロウロしている彼らの姿が無 ァット准教授により、CEReS 研究施設の紹介が行われ い事を、少し寂しく感じています。 ました。大気環境の光学計測やマイクロ波リモートセン シングを用いた最新の研究事例に触れ、それらの研究 機材やシステムを見学することで、参加者たちは実際 にリモートセンシング技術が活用されている現場を実体 験しました。それらの経験は、マレーシアにおける更な るリモートセンシング技術活用の実現に繋がる、強力な 契機となることが期待されます。 一年中最高気温が 30℃を超えるマレーシアで生まれ 育った彼らにとって、10℃以下である日本の冬の寒さ は非常に厳しく、また宗教上の理由により日本ではほと んどの肉やアルコ ール添加物を食べ ることが出来ない (文責:小花和 宏之) M1 中間発表会,および懇親会(忘年会)実施(12 月 20 日) CEReS 所属の融合科学研究科および理学研究科博 れから修士学生の多くが就職活動のため,研究活動を 士前期課程 1 年生による研究成果中間発表会が例年 休止せざるを得ない状況になるかと思いますが,より良 通り 12 月 20 日に実施されました.リプレース導入され い研究が出来るよう今後も精進して下さい. たライダーシステムを用いた研究例や,日射計,MAX- 発表会の後には懇親会を行いました.久世センター DOAS 法による大気モニタリング,衛星データや再解析 長曰く CEReS 設立以来初めての忘年会 とのことで, データを用いた解析事例,野外観測での応用事例,ア 良い研究室間交流の場となったと思います. ンテナ開発等,多岐にわたる発表内容となりました.こ (高村民雄,樋口篤志) 2012 年度博士課程前期 1 年生中間発表会 研究科 所属研究室 氏名 研究題目 融合科学 久世・入江・齋藤 神谷義一 地上計測器データとミー散乱計算を用いたエアロゾル特性評価 融合科学 久世・入江・齋藤 馬渕佑作 多波長ライダーと PPI システムによる対流圏エアロゾルと雲計測 理学 高村 大森亮太 狭視野日射計による雲計測 融合科学 久世・入江・齋藤 橘 友仁 JEM/SMILES と ACE-FTS データによる北極成層圏オゾン破壊過程の 解析 融合科学 久世・入江・齋藤 倪 聞涛 融合科学 久世・入江・齋藤 陳 誠 理学 樋口 川上 聖 理学 建石 Haireti Alifu 理学 建石 Nikhil Raj Poudyal 衛星データによるネパールにおける氷河の調査手法に関する研究 融合科学 本多・梶原 安藤公義 野外観測における個葉分光反射率の簡易計測手法に関する研究 理学 本郷 四方涼平 多時期衛星データを用いた水稲の生産量推定と地域分布特性 理学 建石 Dong Xuan Phong 融合科学 ヨサファット 河合貴文 MAX-DOAS のデータ解析手法と地上観測値との比較 MAX-DOAS 法による大気微量成分濃度の短期変動観測 冬季モンゴルにおける低温現象の時空間変動性 新疆における雪氷水資源の推定に関する研究 グローバルな都市域マッピングに関する研究 無人航空機搭載 GPS-SAR 用円偏波パッチアレーアンテナの開発 各種学会日程等の情報 2012 年度 CEReS 共同利用・共同研究成果報告会 l l 2013 年 5 月 15 日 17 日,幕張セミナーハウス 2013 年 2 月 22 日(金),千葉大学けやき会館 (京葉線 新習志野駅前) Ø Ø 現在事務を通じ共同利用研究者のみなさま に参加確認を行っています.円滑な運営の l ため,早めの回答をお願いします. アブスト提出期限:2013 年 3 月 1 日 大会サイト:12 月末迄に公開予定,ISRS サイトは http://isrs.or.kr/ 日本気象学会 2013 年度春季大会 日本地球惑星科学連合 2013 年度連合大会 l l 2013 年 5 月 15 日 18 日,国立オリンピック記念 Ø 青少年総合センター Ø 講演申し込み:2013 年 1 月 8 日 2月5日 大会サイト:http://msj.visitors.jp/ International Symposium on Remote Sensing (ISRS) 2013 24 日,幕張メッセ 講演申し込み:2013 年 1 月 10 日 2月3日 (早期〆切),2 月 15 日(最終〆切) Ø 15 時 (大会 website よりエントリー) l 2013 年 5 月 19 日 l 事前参加登録:2013 年 1 月 10 日 5月7日 大会サイト:http://www.jpgu.org/meeting/ エントリー等お忘れ無いように!
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