2015年11月末からフランスのパリで開催されるCOP21で、すべての国が参加する、 2020年以降の新たな枠組みが合意されることになっています。この合意は、「2015年 合意」と呼ばれています。 IPCCの第5次評価報告書(AR5)は、「平均気温を2℃未満に抑制するためには、 2030~50年に大幅な削減が必要で、現行水準以上の緩和努力が2030年まで実施さ れなければ、長期的に低排出水準へ移行する困難さは大幅に増し、産業革命以前 からの気温上昇を2℃未満に抑えるための選択肢の幅を狭める」としています。 これが、COP21で採択される「2015年合意」の削減目標が決定的に重要な理由で す。2015年7月15日現在、47ヵ国から2020年以降の削減・抑制目標が条約事務局に 提出されています。 日本政府も、7月17日、「2030年度に2013年度比26.0%削減(2005年度比25.4%削 減)」の国別目標案(INDC、6-2-15参照)を提出しました。この目標は、「国際的にも遜 色のない野心的な水準」だとされています。表は、その根拠として日本政府が示した もので、政府の説明によれば、2013年比では、日本の削減目標はアメリカやEUなど より、数字が大きいというのです。これを1990年比で比較すると、日本の目標の18% はEUの40%削減に比べると、大きく見劣りしています。アメリカの目標年は2025年で すから、アメリカと比べても見劣りしていることは明らかです。 こうした違いは、日本が1990年以降、温室効果ガス(GHG)の削減を怠ってきたのに 対し、EUは削減に成功し、アメリカでも削減に向かっていることにあります。 日本は世界5番目の排出国であるにもかかわらず、2020年以降の削減目標でも大 きく立ち後れ、温暖化対策にもっとも消極的な国と評価されてもしかたがない状況で す(6-4-11参照)。 COP21までに日本政府がより野心的な削減目標を掲げるよう働きかけることが、私 たち日本の市民の、日本と世界の将来世代に対する責務だと思います。
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