京都女子大学家政学部児童学科 平成 17 年度卒業論文 卒論題目:現代アニメにおけるジェンダーの変化 ―2000 年代のテレビ・アニメ番組分析より― 02-8122 平塚奈央子 指導教授 川勝 泰介 目次: はじめに 本稿の研究目的 第 1 章 メディア研究における先行研究 第 1 節 メディアにおけるジェンダーや男性観・女性観について 第 2 節 藤田由美子による「テレビ・アニメ番組にあらわれた女性像・男性像の分析」 第 2 章 2000 年代のテレビ・アニメ番組における分析のための仮説 第 1 節 登場人物数の男女比について 第 2 節 登場人物の性役割分業について 第 3 節 人物の性格・行動の特徴について 第4節 男女それぞれの関係性について 第 3 章 2000 年代のテレビ・アニメ番組における分析 第1節 分析対象 第2節 分析方法 第3節 分析結果 第 4 章 「テレビ・アニメ番組にあらわれた女性像・男性像の分析」との比較 第 1 節 登場人物数の男女比について 第 2 節 登場人物の性役割分業について 第 3 節 人物の性格・行動の特徴について 第 4 節 男女それぞれの関係性について おわりに 研究の現状と今後の課題 1 はじめに 一般に、ジェンダーとは社会的・文化的に形成される性別とされている。すなわちジェ ンダーは、 「社会のなかで男性として・女性としてこうあるべき」という性別に基づいた規 範として作用しているのである。 1960 年代以降高度経済成長期頃より「女性の高学歴化」や「女性の職業進出」が顕著に なり、それにともない 1970 年代にかけ日本国内でも女性が社会的・政治的・法律的・性 的な自己決定権を主張し、男性支配的な文明と社会を批判し組み替えようとする「フェミ ニズム」の思想や運動が広まった。この「フェミニズム」は、性差をセックスとジェンダ ーという 2 つの次元に分けた。さらに 1975 年から 1985 年までの「国連婦人の 10 年」や 1980 年に日本も署名した「女性差別撤廃条約」 、そして 1985 年に成立した「男女雇用機 会均等法」など、公的事実や公的運動によってもたらされた国際的・国内的な「公的施策」 もジェンダーという言葉を社会的に広め、またジェンダー研究の促進にも作用したのであ る。 では具体的に、ジェンダー形成に影響を与えるものとはどのようなものがあるのだろう か。堀内かおるは、 「ジェンダーとは、文化的に生産された性別概念であり、子ども達の生 活世界において、顕在的に、そして多くの場合は潜在的に子どもの文化のなかにあって、 一人ひとりの子どもの育ちに影響を及ぼしている」1)と述べている。同時に「ジェンダー は、子どもと対峙する大人のまなざしのなかに存在し、子どもに対する大人の言動や無意 識のうちの期待によって、子どもへと伝播していく」とされている。 たとえば「もっと女らしくしなさい」 、 「女の子なのに(男の遊びなんて) 」 、 「男まさりで 困る」などや、男性であれば「男なら泣くな」 「おまえは女か」などの「男らしさ」や「女 らしさ」の規範を押付ける言葉に囲まれて育つことや、生まれたときから女の子にはピン クの服、男の子にはブルーの服など、子どもの性別によって与えるものが異なってくるこ となどがあげられる。 また、幼児期というのは、家族や親族以外の集団、すなわち幼稚園や保育園などの集団 において、意図的・組織的な教育を受けはじめる時期である。 「認知発達理論において「性 の一貫性(gender consistency) 」を獲得する時期はおよそ 3 歳頃である」2)といわれてい ることもあり、この時期の経験は、子どものジェンダー形成においても非常に重要だと考 えられている。 では、この時期、子どもたちはどのようなものに触れて育つのだろうか。 2 先程も述べたように、周囲の大人たちをはじめとして、幼稚園や保育園といった集団、 加えてさまざまなメディアにも多く触れていると考えられる。 2001 年 3 月に藤田が行なった幼稚園・保育園での保護者調査(「子ども向けマス・メデ ィアに描かれたジェンダー」)によると、子どもは一日のうち 1.70 時間テレビを視聴して いたという。このように、子どもはメディア、それもテレビに日常的によくふれているの だ。 では、子どもたちがよく見るテレビ、すなわちテレビ・アニメ番組の中にどのようなジ ェンダーがあらわれているのだろうか。 ここにテレビ・アニメ番組における男性観や女性観が具体的にどのように表れているか を研究したものがある。作り手のジェンダー意識が作品にどのように表れているのか、そ して子ども向けメディアに表れた種々のジェンダーの問題について考察を行なった藤田由 美子の研究である。 本研究では、藤田の研究をもとに 2000 年以降のテレビ・アニメ番組を取り上げ、その 男性観、女性観を検討する。何故なら「文化は、その時代・社会によってつくられるもの でもある」1)と言われるように、ジェンダーは時代によって変化していくものだからであ る。先に挙げた藤田による研究は 90 年代までのアニメの分析であり、必ずしもその結果 が今のテレビ・アニメ番組におけるジェンダーの実態であるとは言い切れない。それゆえ にこそ、藤田の研究と比較することにより、テレビ・アニメ番組が作り手のジェンダー意 識や、社会におけるジェンダー意識をどのように反映し、そして変化してきているのか研 究する。 3 第一章 メディア研究における先行研究および仮説 第 1 節 メディアにおけるジェンダー、男性観・女性観について テレビをはじめメディアの中に現れたジェンダーや性に関する研究や書籍は、これまで にも多くみることができる。 大日向雅美はその著『メディアにひそむ母性愛神話』(草土文化 2003)において、アニ メやドラマ、 映画、 絵本などのメディアの主人公や登場人物のなにげないセリフや所作に、 あるいは筋書きの中に、巧みに織り込まれた形で、母性愛神話のメッセージが流れている ことや、テレビドラマや映画、漫画などでは、画一的な母親像が描かれていることを指摘 した。 また、黒田慶子は、映画「プリティ・ウーマン」と「エリン・ブロコビッチ」をとりあ 「プリティ・ げ、男女がどのように描かれているのかを分析している3)。その中において、 ウーマン」では男性の力で女性が男性の所属する世界、いわば権力を持つ側の規範や思想 にあった形に変わり、美しく変身する姿が描かれているとされ、 「エリン・ブロコビッチ」 では男女の関係は変わらないものとして描かれているとされている。そして日本では徹底 的に自己主張して生きていく「エリン・ブロコビッチ」の主人公よりも白馬の騎士を待っ ている「プリティ・ウーマン」の主人公のほうが圧倒的に受け入れられているという現状 を指摘し、日本のジェンダー観のありかたについて疑問を投げかけた。 このように、メディアの中に多くのメッセージが流れている状況から、メディア・リテ ラシーという考えも生まれ、それへの取り組みがなされるようにもなってきた。メディア・ リテラシーとは、 「市民がメディアを社会的文脈でクリティカルに分析し、評価し、メディ アにアクセスし、多様な形態でコミュニケーションを作りだす力」4)のことであり、その ような力の獲得をめざす取り組みも含めてメディア・リテラシーともいわれる。 すなわち、 メディアにはさまざまなステレオタイプ的な価値観や特定の視点が含まれており、女らし さとは何か、男らしさとは何か、幸せな家族のあり方、社会とは何かなどを常に私たちに 問いかけているのである。またそれにより、私たちの社会観や価値観、そしてジェンダー 形成にも深いかかわりを持つようになっている。メディア・リテラシーは、だからこそメ ディアを批判的に「読む」ことで、メディアにどう関わりながら生きていくのかを考えよ うというものである。鈴木みどり編の『StudyGuide メディア・リテラシー【ジェンダ ー編】 』(リベルタ出版 2003)では、このようなメディア・リテラシーの取り組みが、日 本各地で急速に浸透、展開しており、学校や地域の市民センターや女性センターなどの生 4 涯学習の場でも、メディア・リテラシーを学ぶワークショップ形式の講座が全国各地で企 画されるようになっていると述べられている。 そんな中、メディアにおけるジェンダーや性についての研究のひとつとして藤田由美子 の「テレビ・アニメ番組にあらわれた女性像・男性像の分析」 (以下、藤田の研究とする) がある。 本研究ではこの先行研究をもとに研究を進めていくため、ここではまず藤田の研究を詳 しく見ていくことにする。 第 2 節 藤田由美子による「テレビ・アニメ番組にあらわれた女性像・男性像の分析」 藤田の研究が行ったことは、以下のようなことである。 (1)分析対象 <1960 年代> ひみつのアッコちゃん 魔法使いサリー <1980 年代> アンパンマン うる星やつら <1990 年代> 美少女戦士セーラームーンSS 忍玉乱太郎 ちびまる子ちゃん クレヨンしんちゃん 伝説の勇者ダ・ガーン とんでぶーりん 少年アシベ2 ドラえもん キテレツ大百科 (2)分析方法 各話ごとに物語展開やセリフなどの特徴を具体的に記録した上で、次の三つの分析が行 われている。 5 第一に、登場人物の男女別人数、大人の職業分析が行われている。そしてその際、セリ フのある登場人物を、大人、子どもを含めてすべてカウントしている。 第二に、登場人物の外見的特徴、性格特性、行動の分析が行われている。 外見的特徴をみるため、登場人物の服装および髪型の特徴が書き出されている。 また性格特性については、他の登場人物または本人のセリフの中に含まれている登場人 物の性格をあらわす言葉を抜き出している。 行動についても、その登場人物に典型的にあらわれる行動が挙げられている。 第三に、物語展開にあらわれた「関係性」としてのジェンダーの分析が行われている。 各話の物語展開においてみられる女性と男性の関係性を、攻撃行動および恋愛関係に注 目して検討している。 (3)結果 ①登場人物の男女比について 藤田の研究では、登場人物の男女比は男性 66%女性 34%と、男性のほうが多く登場する 傾向が見られた。また、主人公を含む子どもの登場人物だけをみると、ほとんどの番組に おいて男の子の方が多く登場していた。 ②大人の登場人物の職業および家庭での性役割分業について 藤田の研究では、男性は何らかの職業を持つものが多く、職種も多様であった。 一方、女性は、主婦・母親として登場するものが多かった。しかしながら 1990 年代の 番組と 1960、80 年代の番組を比べると 60 年代は 5 種類。80 年代は 4 種類であったのに 対して 90 年代は 17 種類であった。女性の職種は多様になっていたことから、社会におけ る女性の就労が増加したこと、社会において期待される性役割が変化しつつあることと関 連があるのではないだろうかと述べられている。 ③人物の性格・行動についての特徴 藤田の研究では、外見的特徴として、女の子はほとんど全員がスカートを身につけ、長 い髪であり、ズボンを身につけた女の子は 1990 年代の番組の中でしか見られず、それら は研究対象 13 番組中「くの一 3 人組」 (忍玉乱太郎) 、 「ひかる」 (伝説の勇者ダ・ガーン) 、 「うさぎ」 (セーラームーン SS)の 5 人だけであった。 性格的特徴として、1960 年代の番組では「優しい」 「まじめ」 「しっかりしている」女の 子が多く、1990 年代の番組では「気が強い」 「明るい」 「元気」な性格の女の子が登場して くる。 6 一方、男の子は背が高い、ハンサム、優しい、スポーツが出来るなど、女の子のあこが れの対象として描かれている「二枚目」タイプ( 「セーラームーン」の「衛」や「とんでぶ ーりん」の「光一」 ) 。外見はそれほど目立たず、性格や行動が個性的で「ドジ」 「まぬけ」 「ダメ」 「アホ」などと番組内で形容されるタイプ( 「ドラえもん」の「のび太」 、 「うる星 やつら」の「あたる」など) 。腕力やいたずらなどで主人公の男の子や女の子を困らせる存 在として登場する「ガキ大将」タイプ( 「ドラえもん」の「ジャイアン」 、 「ひみつのアッコ ちゃん」の「大将」など)があった。 行動的特徴としては、1990 年代の番組では自ら戦う女の子や、男の子よりも強い女の子 などが登場していた。しかしながら、このような女の子も、好きな男の子の前では「かわ いい」存在であり、力は男の子より強くても、好きな男の子のためになにかをしてあげた りする存在であることが示されていた。 ④男女それぞれの関係性について テレビ・アニメ番組に描かれた男女それぞれの関係を見るために、藤田の研究では会話 分析を通し、質的な分析が行なわれている。何故なら、会話の中には無意識のうちにジェ ンダーが反映されるからである。そして、会話分析を通して、性別による会話パターンに どのような違いがあるのかが検討されている。 藤田の研究では、どの年代の番組にも男の子が強く、女の子が優しい、または弱いとい った関係が見られ、また、女の子が男の子を陰で助けたり、かばったりするという行動が 見られた。 7 第 2 章 2000 年代のテレビ・アニメ番組における分析のための仮説 前章であげた藤田の先行研究の結果をふまえ、本研究では次のような仮説を設定する。 第 1 節 登場人物数の男女比について 藤田の研究では登場人物の男女すべての合計の比を出し、 「男女比は6:4である」と記 されている。しかしながら、注目すべき点はその他にもあるのではないだろうか。 藤田の研究による「各番組の登場人物数」が〈表1〉である。まずここで、一つ一つの 番組における男女数を比較する。 「美少女戦士セーラームーン SS」以外の番組は、すべて男性の人数のほうが女性の人 数よりも多いことが分かる。また、その「美少女戦士セーラームーン SS」においてでさ えも、男性より女性の人数はわずか一人多いにすぎない。このことより、90 年代までの各 アニメにおいて、女性よりも男性の登場人物のほうが多い傾向にあるといえる。 しかし、 「美少女戦士セーラームーン SS」では初めて男性よりも女性の登場人物数が多 く見られたとも言える。このことは、ひとつの変化の兆しであると考えることができる。 したがって、2000 年代のテレビ・アニメ番組では 90 年代以前と同様に、全体としては女 性よりも男性の登場人物数が多いと考えられるものの、一つ一つの番組に焦点をあててみ ると、ある番組では女性の登場人物数が多く、また、ある番組では男性の登場人物数が多 いなど、各番組によって違いが出てくるのではないだろうかと考えることができる。 また、主人公を含む子どもの登場人物だけを見ると、90 年代以前のほとんどの番組にお いて男の子の方が多く登場しており、この傾向は女の子が主人公である「ひみつのアッコ ちゃん」 「魔法使いサリー」 「ちびまる子ちゃん」 「とんでぶーりん」の各番組においても同 様であったと藤田は指摘している。逆に女の子の方が多く登場している番組としては、 「伝 説の勇者ダ・ガーン」と「美少女戦士セーラームーン SS」が挙げられる。 主人公が男の子である「伝説の勇者ダ・ガーン」においては、男の子の登場人物数が 12 人に対して、女の子の登場人物数は 14 人とあまり差を見ることはできない。しかし、主 人公が女の子である「美少女戦士セーラームーン SS」では、男の子の登場人物数が 2 人 であるのに対して、女の子の登場人物数は 21 人と圧倒的に女の子の方が多く登場してい る。90 年代までの傾向として、ほとんどのテレビ・アニメ番組で、主人公の性別に関わら ず、登場人物数は男の子が上回っていたのに対し「伝説の勇者ダ・ガーン」や「美少女戦 士セーラームーン SS」で女の子の数の方が多く見られたという事はこれらがテレビ・ア ニメ番組における一つの転機となりうるという仮説を立てることができるのではないだろ 8 うか。この仮説が正しいならば、2000 年代のテレビ・アニメ番組では、女の子の登場人物 が男の子を上回る番組がより増えるであろう。そして「美少女戦士セーラームーン SS」 のような女の子が主人公の番組がより多くの女の子の登場人物がいることから、その傾向 はまず、女の子が主人公の番組に特にあらわれると考えられる。本研究では男女の登場人 物数の解析を通じてその点も検証する。 表 1 藤田の研究における各番組の登場人物数 番組名 90 年 代 男性 女性 計 全体 29 30 59 子ども 2 21 23 大人 27 9 36 全体 74 16 90 子ども 36 11 47 大人 38 5 43 全体 41 25 66 子ども 31 15 46 大人 10 10 20 全体 14 13 27 子ども 9 6 15 大人 5 7 12 全体 42 22 64 子ども 12 14 26 大人 30 8 38 全体 36 17 53 子ども 21 12 33 大人 15 5 20 全体 40 19 59 子ども 22 3 25 大人 18 16 34 全体 35 22 57 美少女戦士 セーラームーン SS 忍玉乱太郎 ちびまる子ちゃん クレヨン しんちゃん 伝説の勇者 ダ・ガーン とんでぶーりん 少年アシベ2 ドラえもん 9 キテレツ大百科 80 アンパンマン 子ども 21 7 28 大人 14 15 29 全体 22 14 36 子ども 12 5 17 大人 10 9 19 全体 20 8 28 子ども 6 1 7 大人 14 7 21 全体 68 28 96 子ども 31 16 47 大人 37 12 49 全体 34 19 53 子ども 18 13 31 大人 16 6 22 全体 24 15 39 子ども 15 8 23 大人 9 7 16 年 代 うる星やつら ひみつの 60 アッコちゃん 年代 魔法使いサリー 第 2 節 登場人物の性役割分業について 藤田の研究によると、男性には職業を持つ者が多く、女性は家庭にいる者が多いという 性役割分業の状態がどの年代にも見られたことから、2000 年以降の番組の中でも同じよう に性役割分業が見られると考えられる。しかし、女性が職業に就く割合や種類が年々増加 していることから、2000 年代のアニメの中には 1990 年代以前のものより、さらに職業に 就く割合が増加し、多様化が進んでいるのではないかとも考えられる。もし、2000 年以降 のテレビ・アニメ番組の中でも女性の職業の多様化が進んでいれば、藤田が述べていたよ うに、社会における女性の就労率が増加したことと関連性があると言えるのではないだろ うか。 第 3 節 人物の性格・行動の特徴について 藤田の研究では、外見的特徴として、女の子はほとんど全員がスカートを身につけ、長 10 い髪であり、ズボンを身につけた女の子は5人だけであったとされている。これは、ズボ ンが普及し普段着として社会でもよく履かれるようになったために、その頃のアニメ番組 においてもズボン姿の女の子が現れ始めたのだと考えることができる。 当時よりもさらにズボンが普及している現在では、2000 年以降のアニメではスカートば かりではなくズボンも多く履かれているのではないだろうかと考えられる。 髪の長さについても、藤田の研究では、外見的特徴として着眼されているのだが、これ は女の子の髪型だけに注目されていて、男の子の髪型については触れられていない。それ では、男の子の髪型はどうなのだろうか。現在の社会においては、髪の毛の長い男性や髪 をくくっている男性など様々な髪型を目にすることができる。テレビ・アニメ番組の中で も同じように男性の髪型も変化していると考えられるのではないだろうか。そこで、本研 究では女性の髪形だけではなく、男性の髪型にも注目する。 藤田の研究において、性格的特徴を見てみると、1990 年代の番組では腕力などが強い者 も登場するが、全体的に「かわいい」 「やさしい」者が多く、男性は「強い」 「たくましい」 など登場人物の特徴描写に一定の傾向が見られたとされている。しかし、藤田の研究で示 された男女の性格的特徴を比較してみると、 「やさしい」という形容詞は男性にも女性にも 使われている。これは、 「やさしい」という形容詞が、女性をあらわす性格的特徴の描写で はなくなってきているということの現れであると言えるのではないだろうか。 藤田の研究では、男性と女性との性格的特徴については比較がなされていなかった。そ こで、本研究では、男女の性格的特徴を比較することにより、2000 年以降のテレビ・アニ メ番組における男女それぞれの性格的特徴を検討する。また、女性の性格的特徴として、 1990 年代の番組には「気が強い」 「明るい」 「元気」という形容詞も登場していることから、 2000 年以降のテレビ・アニメ番組にはさらに様々な性格の人物が登場し、多様化していく と考えられる。 行動的特徴として、藤田の研究では、1990 年代の番組で戦う女の子や、男の子よりも強 い女の子などが登場していたことにより、2000 年代の番組ではさらにそのような女の子が 増加すると考えられる。 第 4 節 男女それぞれの関係性について 藤田の研究の中では、男性が強く、女性が弱いという関係が多く見られたが、強い女性 も描かれており、女性が男性を攻撃するという関係も見られた。しかし、男性を攻撃する 11 ような強い女性でも「女らしさ」を示す場面が見られた。それが、強い女の子の危機を男 の子が救う場面と恋愛の場面である。このような場面が、はたして 2000 年以降のテレビ・ アニメ番組の中にも見られるのだろうか。 藤田の研究では、戦う強い女の子は、恋愛場面において「かわいい」存在であり、好き な男の子のために何かをしてあげたりする存在であるとしている。また、戦う強い女の子 には全員誰か好きな男の子がいて、その人の前では「かわいい」存在でありたいと思って いると言うことであった。 先に性格的特徴の仮説で述べたように、2000 年代以降のテレビ・アニメ番組では、登場 人物の性格が多様化していくと考えられる。その中で、戦う女の子の中にも好きな男の子 がいない場合や、好きな男の子の前だからといって「かわいい」存在でありたいと思わな い場合も出てくるのではないだろうか。 一方、男女の力関係について、男性が強く能動的であり、女性が優しい、または弱く受 動的であるというパターンはどの年代の番組にも見られたことから、2000 年代にも同じよ うにそれぞれの力関係がなくなることはなく、多く見られると考えられる。 以上が本研究における仮説であるが、ここで内容分析を行なうにあたり、再度、本研究 における仮説をまとめておく。 ①テレビ・アニメ番組には、これまでの傾向を維持し、女性より男性が多くあらわれる。 ②番組ごとに女性の登場人物が多いもの、男性の登場人物が多いものがあらわれる。ま た、主人公の性別が女なら女の子の登場人物が多い。 ③テレビ・アニメ番組において、伝統的性役割分業(男性は職業を持つものが多く、女 性は家庭にいる)がみられる。一方、女性の有職率や、職種の多様化が進む。 ④テレビ・アニメ番組において、登場人物の特徴描写は多様化している。 ⑤男性が強く、 女性が弱いという関係性が見られるが、 一方では逆の力関係も見られる。 ⑥必ずしも「かわいい」存在であろうとはしない、戦う強い女性の出現。 12 第 3 章 2000 年代のテレビ・アニメ番組における分析 第1節 分析対象 より多くの人に見られているということを前提として、視聴率ベスト 10 に 5 回以上入 った作品の中から本研究における対象作品を選んだ。 その際 2000 年以降の特徴をとらえるため、サザエさんやちびまる子ちゃんなど 2000 年より以前から放送されているものや、スペシャル、アンコール作品、2000 年以前に放送 されたアニメのリメイク版は除外した。 また対象作品の中には、視聴率ベスト 10 に入った時期以前や以後にも放送が行われて いたものや現在放送中のものもある。本研究の目的は 2000 年以降のアニメの特徴をとら え、藤田の先行研究(1990 年代以前のアニメ番組)と比較することにあるため、研究対象 作品を視聴率ベスト 10 に入った時に放送されたものとは限定はせずに、放送された作品 すべての中から分析を行なった。 番組データは、すべてビデオもしくはDVD化されたものをレンタルビデオ店で入手し 分析を行った。 分析対象とした番組は下記の 17 番組である。 〈表2〉 これらの番組は、すべて一話あたり 30 分であり、各番組(30 分)を4回分、すなわち 1番組につき 120 分を分析対象とし、合計 2040 分の作品分析を行った。 13 表2 分析対象 番組名 ワンピース 放送期間 放送日時 放送局 1999 年∼2005 年 1 月 毎週日曜 19 時 30 分∼20 時 フジテレビ系 2005 年 1 月∼放送中 毎週日曜 19 時∼19 時 30 分 フジテレビ系 デジモンアドベンチャー02 2000 年 4 月∼2001 年 3 月 毎週日曜 9 時∼9 時 30 分 フジテレビ系 おジャ魔女どれみ# 2000 年 2 月∼2001 年 1 月 毎週日曜 8 時 30 分∼9 時 テレビ朝日系 遊戯王デュエルモンスターズ 2000 年 4 月∼2004 年 9 月 毎週火曜 19 時 30 分∼20 時 TV 東京系 とっとこハム太郎 2000 年 7 月∼放送中 毎週金曜 18 時 30 分∼19 時 TV 東京系 犬夜叉 2000 年 10 月∼2004 年 9 月 毎週月曜 19 時 30 分∼20 時 よみうりテレビ系 も∼っと!おジャ魔女どれみ 2001 年 2 月∼2002 年 1 月 毎週日曜 8 時 30 分∼9 時 テレビ朝日系 デジモンテイマーズ 2001 年 4 月∼2002 年 3 月 毎週日曜 9 時∼9 時 30 分 フジテレビ系 テニスの王子様 2001 年 10 月∼2005 年 3 月 毎週水曜 19 時∼19 時 30 分 TV 東京系 あたしンち 2001 年 4 月∼放送中 毎週土曜 11 時 20 分∼ テレビ朝日系 おジャ魔女どれみドッカ∼ン! 2002 年 2 月∼2003 年 1 月 毎週日曜 8 時 30 分∼9 時 テレビ朝日系 NARUTO 2002 年 10 月∼放送中 毎週水曜 19 時 25 分∼19 時 55 分 TV 東京系 明日のナージャ 2003 年 2 月∼2004 年 1 月 毎週日曜 8 時 30 分∼9 時 テレビ朝日系 金色のガッシュベル 2003 年 4 月∼放送中 毎週日曜 9 時∼9 時 30 分 フジテレビ系 ふたりはプリキュア 2004 年 2 月∼2005 年 1 月 毎週日曜 8 時 30∼9 時 テレビ朝日系 ミルモでぽん!わんだほう 2004 年 4 月∼放送中 毎週火曜 19 時 30 分∼20 時 TV 東京系 レジェンズ・甦る竜王伝説 2004 年 4 月∼2005 年 3 月 毎週日曜 9 時 30 分∼10 時 フジテレビ系 第 2 節 分析方法 各話ごとに物語の展開やセリフなどの特徴を具体的に記録し、さらに番組中の登場人物 の会話や行動を具体的に記録した。そして、記録を行なった後、次の分析を行なった。 第一に、登場人物の男女別人数の分析を行なった。 ここでは、セリフのある登場人物を大人と子ども、すべてをカウントした。また、大人 についてはどのような職業についているのか、職業分析もおこなった。 第二に、登場人物の外見的特徴、性格特性、行動的特徴の分析を行なった。 登場人物の外見的特徴を見るために、登場人物の服装および髪型の特徴を書き出した。 14 性格特性は、他の登場人物または本人のセリフに含まれている登場人物の性格をあらわ す言葉を抜き出した。また、公式HPに掲載されているキャラクター設定より、登場人物 の性格をあらわす言葉も同時に抜き出した。 第三に、物語にあらわれた「関係性」としてのジェンダーの分析を行なった。 各話の物語に出てくる会話を分析することにより、女性と男性の関係性を検討した。 最後にこれらの結果が、藤田の先行研究とどのような違いがあるのか比較を行い、時系 列的変化を検討した。 第 3 節 分析結果 (1)登場人物数の男女比について まず、アニメ番組の中に女性と男性が、どの程度描かれているのかを検討した。 そこで、各番組にセリフのある登場人物数を〈表 3〉に示した。表中の実数は、各番組 の登場人物の延べ人数を表している。 表 3 各テレビ・アニメ番組における登場人物数 番組名 ワンピース おジャ魔女どれみ# デジモンアドベンチャー02 遊戯王デュエルモンスターズ とっとこハム太郎 男性 女性 計 全体 38 5 43 子ども 10 4 14 大人 28 1 29 全体 7 34 41 子ども 7 23 30 大人 0 11 11 全体 26 15 41 子ども 24 10 34 大人 2 5 7 全体 41 6 47 子ども 27 6 33 大人 14 0 14 全体 8 17 25 子ども 2 13 15 15 犬夜叉 も∼っと!おジャ魔女どれみ デジモンテイマーズ テニスの王子様 あたしンち おジャ魔女どれみドッカ∼ン! NARUTO 明日のナージャ 金色のガッシュベル ふたりはプリキュア 大人 6 4 10 全体 30 24 54 子ども 10 10 20 大人 20 14 34 全体 15 69 84 子ども 11 35 46 大人 4 34 38 全体 30 23 53 子ども 11 10 21 大人 19 13 32 全体 44 13 57 子ども 39 7 46 大人 5 6 11 全体 14 24 38 子ども 7 11 18 大人 7 13 20 全体 9 46 55 子ども 7 30 37 大人 2 20 22 全体 51 18 69 子ども 33 16 49 大人 18 2 20 全体 39 27 66 子ども 8 12 20 大人 31 15 46 全体 25 16 41 子ども 19 12 31 大人 6 4 10 全体 13 22 35 16 ミルモでぽん!わんだほう レジェンズ・甦る竜王伝説 合 子ども 4 17 21 大人 9 5 14 全体 43 19 62 子ども 34 15 49 大人 9 4 13 全体 35 21 56 子ども 13 6 19 大人 22 15 37 468 399 867 計 全体の男女比は、男性が 54%、女性が 46%とあまり差はなかったものの、男性のほう がやや多く登場する傾向にあった。 一つ一つの番組に焦点を当ててみてみると、女性よりも男性のほうが多く登場する番組 が 11 番組、男性よりも女性が多く登場する番組が6番組あった。 また、主人公を含む子どもの登場人物だけをみると、男の子の方が多く登場するものが 9 番組、女の子の方が多く登場する番組が7番組、同数が1番組( 「犬夜叉」 )であった。 (2)登場人物の性役割分業について ①職業における男女差 大人の登場人物について、職業の比較を行なった。 〈表 4〉 この表より、職業を持つ者(有職者)の割合は男女で異なることが分かる。 男性の有職者は 91%と、ほとんどの登場人物が何らかの職業を持っていた。 一方、女性も、男性よりは少ないものの、全体の 75%もの人物が職をもっていた。また、 テレビ・アニメ番組中で母親として登場している者の中には、職場風景などは描かれてい なくても職を持っている者も多かった。おジャ魔女どれみシリーズでは、主要キャラクタ ー5 人の母親は、おんぷの母親以外は、作中では「母親」として登場し、家庭風景のみが 描かれ、職場や仕事をしている風景は描かれてはいない。しかしながら、設定として主人 公であるどれみの母親以外は、それぞれ介護福祉士、インテリアデザイナー、マネージャ ー、カメラマンなどの職をもっていた。 職業の種類も様々で、男性、女性ともに 23 種類と同数であった。 17 職種として会社員、キャスター、新聞記者、教師などは男女とも共通した職種であった。 男性だけに見られた職種としては警察官やボディーガード、工事現場での仕事などが見ら れた。また女性だけに見られた職種としては、看護師や保育士、フラワーアレンジメント の先生などがあげられる。 表 4 各番組の登場人物の職業 職業 男性 割合 教師 女性 人数 割合 計 人数 割合 人数 10% 7 18% 10 13% 17 公務員 0% 0 0% 0 0% 0 会社員 10% 7 9% 5 9% 12 店員 5% 4 7% 4 6% 8 報道 8% 6 9% 5 9% 11 管理職 * 11% 8 2% 1 7% 9 その他 47% 34 30% 17 39% 51 無職 1% 1 0% 0 1% 1 家族 8% 6 25% 14 16% 20 91% 66 75% 42 84% 108 100% 73 100% 56 100% 129 有職者合計 * 全登場人物数 注 1 同一人物は何度登場しても1人として数えた。 注 2 「管理職」とは学校長、会社社長などをさす。 注 3 「有職者合計」とは「教師」から「その他」までを足したものをさす。 ②家庭における性役割分業 家庭場面においても、性役割分業が見られた。 「とっとこハム太郎」 (例 1)や「犬夜叉」 (例 2)では女性が家事などを行い、男性は 家事以外の行動といった性役割分業が見られた。 その他にも、食事場面で母親がご飯をついだり、お茶を入れたりと家事を行なう場面が 「あたしンち」と「犬夜叉」で見られた。 一方同じ食事場面でも、男の子が一人で食事をとり、片づけを行なう場面(例3)も 18 見られた。 (例 1 「とっとこハム太郎」 ) 引越しの片付けを終え父がソファに座り、母と娘(ひろこ)がお茶の準備をする 父 :大変だね引越しって(肩を叩きながらソファに座る) (母と娘がお茶とお菓子を運ぶ) 母 :でもウキウキするわ。だって新しいお家なんだもの ひろこ:はいパパ(お茶を渡す) 父 :ありがとう(受け取り、飲む)ママの紅茶はいつも美味しいね ひろこ:それ、私が入れたのよ! 父 :え? 母 :パパったら(笑う) 父 :ごめんごめん、ろこちゃんの紅茶もとっても美味しいよ!! ひろこ:エヘヘ(笑う) (例 2 「犬夜叉」 ) 母、買い物から帰ってくると家に犬夜叉が来ているのを見つけて 母 :あら、いらっしゃい 弟 :犬の兄ちゃん遊びに来たの? 犬夜叉:遊びじゃねぇ!! 母 :ご飯食べていくんでしょ?待っててね∼(キッチンへご飯の準備をしに行く) (例 3 「デジモンアドベンチャー02」 ) 一人テーブルに向かい朝食を食べているタケル タケル:ごちそうさま(食器を片付ける) 母 :ゴメンね、初登校なのに。どうしてもこの原稿今日中にあげなきゃならないのよ (パソコンの前からはなれない。 タケルが傍を通っても話はしていても振り向かず、 ずっとパソコンの画面を見ている) タケル:大丈夫だよ。一人で行けるよ。行ってきます!! (3)人物の性格・行動の特徴について 19 テレビ・アニメ番組に登場する男性と女性は、それぞれどのような特徴を持っているの かについて、外見的特徴、性格的特徴、行動的特徴に注目し、その傾向を示した。 ①外見的特徴 女性がどのような服装で登場したかを示したのが〈表 5〉である。人数は延べ人数であ るが、これは一人の登場人物がスカートもズボンも場面ごとに違う種類の洋服を着用して いるケースが多く見られたからである。 全体としては、スカートとズボンではスカートの方が多くはかれており、 「デジモンテイ マーズ」と「NARUTO」以外のテレビ・アニメ番組に登場する女性は、ズボンよりスカ ートを多くはいていた。 また、ズボン姿の登場人物も見られたが、その中で「あたしンち」(例 4)や「デジモンテ イマーズ」(例 5)では、普段ズボン姿の女の子に対して、母親(第三者)が「女の子らしい 格好」を望むという姿もみられた。 男性は皆ズボン姿だった。 (例 4 「あたしンち」 ) 母:どーよこれ?(店先に有った白いフリルのロングスカートを娘に勧める) こういうのも、たまには良いもんだね。みかんもたまには女の子っぽくすると良いも んだよ。 みかん:え、そう?買ってくれるんなら思い切ってこういうの着てみても良いかなーとか 思っちゃったりして!! (母、その場から離れて歩き出してしまう) みかん:え?どこ行くのよ? 母:お母さんが縫ってあげる!! (例 5 「デジモンテイマーズ」 ) 普段スカートは絶対にはかないと言い、母が買ってくる洋服も着ない娘。しかし娘はデジ タルワールド(違う世界)に行くことになり、母が買ってきたピンクのフリルのロン グスカート姿で登場する ルキ:ママ・・・ (フリルスカート姿で登場) ママ:ルキちゃん・・・ 20 ルキ:似合うかなぁ? ママ:えぇ、とっても。だって私の娘だもの。 ルキ、着てくれてありがとう。 ルキ:ママ、ごめん。 (デジタルワールドへ旅立つことは言えないルキの謝罪) 髪型の違いについては〈表 6〉と〈表 7〉に示した。 女性の髪形はロングヘアの登場人物が全体の 43%と半数に満たず、セミロングヘアやシ ョートヘアなど、分布が見られた。 ショートヘアの女性の中には、花などのモチーフのついたヘアピンやゴムなどで短いな がらもくくっている姿が見られた。 また、男性では圧倒的にショートヘアが多いものの、セミロングヘアやロングヘアの登 場人物も見られた。また、その中には髪の毛を束ねてくくっている者やカチューシャをし ている者など、髪に装飾物をしている者も見られた。 また、 「NARUTO」の「大蛇丸」のように、髪型がロングヘアで、一人称が「私」と言 っているものの性別不詳な人物も見られた。 表5 各番組の女性の服装 番 組 名 スカート ズボン その他 ワンピース 5 0 0 おジャ魔女どれみ# 34 13 0 デジモンアドベンチャー02 9 7 0 遊戯王デュエルモンスターズ 5 0 0 とっとこハム太郎 13 4 0 犬夜叉 10 3 12 も∼っと!おジャ魔女どれみ 77 26 0 デジモンテイマーズ 8 13 1 あたしンち 9 7 0 テニスの王子様 7 6 0 おジャ魔女どれみドッカ∼ン! 48 21 0 NARUTO 3 6 9 21 明日のナージャ 26 0 0 金色のガッシュベル 13 3 0 ふたりはプリキュア 17 10 7 レジェンズ・甦る竜王伝説 10 5 0 ミルモでぽん!わんだほう 12 7 0 注 1 登場数の延べ数を示した。 注 2「その他」とは着物や、スカートの下にズボンをはいているなど、どちらにも分類し がたいものを示した。 表 6 女性の髪形 ショート セミロング ロング 不明 合計 ワンピース 1 1 0 0 2 おジャ魔女どれみ# 4 2 7 1 14 デジモンアドベンチャー02 2 2 2 0 6 遊戯王デュエルモンスターズ 0 1 2 0 3 とっとこハム太郎 1 1 3 0 5 犬夜叉 3 4 7 0 14 も∼っと!おジャ魔女どれみ 4 5 7 2 18 デジモンテイマーズ 1 5 2 0 8 あたしンち 2 5 1 0 8 テニスの王子様 0 2 2 0 4 おジャ魔女どれみドッカ∼ン! 2 5 13 1 21 NARUTO 1 3 5 0 9 明日のナージャ 2 2 4 5 13 金色のガッシュベル 1 2 5 0 8 ふたりはプリキュア 3 3 1 0 7 レジェンズ・甦る竜王伝説 2 1 2 0 5 ミルモでぽん!わんだほう 0 4 1 0 5 合計 29 48 64 9 150 割合 19% 32% 43% 6% 100% 番組名 22 表7 男性の髪型 番組名 ショート セミロング ロング 不明 合計 ワンピース 7 1 0 0 8 おジャ魔女どれみ# 6 1 0 0 7 デジモンアドベンチャー02 6 2 0 0 8 遊戯王デュエルモンスターズ 7 2 1 0 10 とっとこハム太郎 3 0 0 0 3 犬夜叉 7 3 2 0 12 も∼っと!おジャ魔女どれみ 6 1 0 0 7 デジモンテイマーズ 8 0 0 0 8 あたしンち 3 0 0 0 3 14 2 1 0 17 5 1 0 0 6 NARUTO 12 1 1 2 16 明日のナージャ 10 5 0 0 15 金色のガッシュベル 9 3 1 0 13 ふたりはプリキュア 5 1 0 0 6 レジェンズ・甦る竜王伝説 7 1 0 2 10 ミルモでぽん!わんだほう 9 1 0 0 10 合計 124 25 6 4 159 割合 78% 16% 4% 2% 100% テニスの王子様 おジャ魔女どれみドッカ∼ン! 注1同一人物は何度登場しても一人として数えた。 注2「ショート」とは髪の長さが肩より短いものを 「セミロング」とは髪が肩にかかる程度∼胸までの長さのものを 「ロング」とは髪の長さが胸よりも下のものをさす。 注3「不明」とは帽子をかぶっている場合や、髪を結い上げており髪の長さが分からない 場合を指す。 ②性格的特徴 登場人物の中でも二人以上該当する性格的特徴を〈表 8〉にまとめた。 23 「やさしい」 「頭が良い」 「スポーツが得意」などは、男性、女性どちらにも使われてい た。その中でも「やさしい」という性格的特徴は、男女どちらの特徴としても多く使われ ていた。また、一人だけに使われていた性格的特徴もふくめて男女で比較をしてみると、 男性だけに見られた性格的特徴の多くとしては「冷静」 「クール」 「無口」が、女性だけに 見られた性格的特徴の多くとしては「天然ボケ」 「頑張り屋」 「おてんば」などがみられた。 表8 性格的特徴 男性 性格 女性 人数 性格 人数 やさしい 7 明るい 6 冷静 6 やさしい 6 頭が良い 6 天然ボケ 4 スポーツが得意 4 元気 3 マイペース 4 頭が良い 2 明るい 3 頑張り屋 2 クール 3 厳しい 2 無口 3 スポーツが得意 2 お調子者 2 おてんば 2 シャイ 2 ③行動的特徴 戦う女性は 17 番組中 8 番組に登場した。男性よりも強い女性を合わせると、17 番組中 10 番組と半数以上に登場してきたことが分かる。 戦う女性といっても、 「ワンピース」のナミや「ふたりはプリキュア」のキュアブラック やキュアホワイト、 「NARUTO」のサクラやイノのように、自らが武器や忍術などを用い ながらも肉弾戦で戦う者と、 「デジモンアドベンチャー02」のミヤコやヒカリ「デジモン テイマーズ」のルキなどのようにモンスターを使いモンスターに力を与えることにより間 接的に戦う者、そして「遊戯王」のマイのようにゲームの世界でカードゲームによって戦 う者など戦い方は様々だった。 24 (4)男女それぞれの関係性について 物語展開において男性と女性の「関係性」について、藤田の研究同様、力関係および恋 愛に関する話題に注目し、分析を行なった。 ここでは、作品中の各場面における男性と女性の会話や行動を手がかりに、具体例から 導き出されたパターンを示した。 ①男女の力関係について 分析対象としたアニメ番組の中で、男性が強く女性が弱い、守られる存在である、また はその逆など様々な力関係が見られた。また、それは「敵」や「悪者」と戦う場面や何か ピンチがあった場合の「助ける」 「助けられる」という関係で見られた。 そこで攻撃の場面を中心に、力関係の種類を具体例とともにまとめた。 a.力関係が男性>女性の場合 「敵」や「悪者」と戦う場面で男性が強い存在として戦い、女性が弱い、守られるという 関係が多く見られた。例えば「犬夜叉」では妖怪が村を襲いに来たときに、村を守るため に戦っているのは全員男性で、女性は子どもとともに家の中へ避難している姿が描かれて いた。また、 「かごめ」が「敵」にとらえられてしまった場面では、 「犬夜叉」に助けを求 め、助けにきてくれるだろうと思っていたものの、助けに来ないことに動揺し、 「敵」の妖 術にかかってしまう場面も見られた。 (例 6) 「明日のナージャ」 (例 7)や「金色のガッシュベル」 (例 8) 、 「デジモンテイマーズ」 「テ ニスの王子様」 (例 9) 、 「とっとこハム太郎」 (例 10) 、 「ワンピース」 、 「デジモンアドベン チャー02」でも、同じように男性が女性を守る、助けるといった場面が多く見られた。 (例 6 「犬夜叉」 ) 敵(赤子)に捕らわれてしまうかごめ かごめ:助けて、助けて犬夜叉!!(かごめの心の声)犬夜叉は桔梗を・・・桔梗の行方 を捜している。犬夜叉は助けに来ない・・・ 犬夜叉・・・ 赤 子:見つけた、つかんだぞ、お前の心の闇。しっかりとわしを抱け。そして魂を一つ にしてわしの目になれ かごめ:犬夜叉・・・ (犬夜叉の名を呼びながら赤子に心を捕まれ妖術にかかってしまう) 25 (例 7 「明日のナージャ」 ) ロッソ:そのブローチをよこしな!! (ナージャ走って逃げるが途中でころんでしまう) ビアンコ:そいつをよこせ!!(ナージャを押さえつけ、無理やりブローチを奪おうとする) ナージャ:嫌!! ビアンコ:こいつ ナージャ:やめて、これはお母さんの ロッソ:うるさい、よこせ!! (ブローチがはずれて飛んでいく) ナージャ:返して、返して!! (馬の蹄の音) ビアンコ:おぉ? ロッソ:なにものだ!! 謎の男:こんな綺麗な月夜に、レディの涙は見たくない。 ロッソ:ふざけるな!!(叫びながら去る) (謎の男が落ちていたブローチを取りナージャに手渡す) ナージャ:あ・・・ 謎の男:怪我は無いか?これは、絶対手放しちゃいけない ナージャ:私・・・怖かった(泣く) 謎の男:大丈夫、もう大丈夫(ナージャを落ち着かせ、おでこにキスをする) ナージャ:まぁ、なんて深い瞳。沢山の星が瞬いて。まるで、星の瞳のナイト・・・ (そのま ま気を失う) (例 8 「金色のガッシュベル」 ) 栄太:ヘイユー、俺の彼女決定 水野:離して(嫌がる水野) 栄太:俺は強いんだぞ。だから欲しいものは何でも手に入れる。 水野:いや、もうすぐ合唱部がはじまっちゃう・・・ 清麿:やめろ、水野を離せ!! 26 (例 9 「テニスの王子様」 ) 電車内、男子学生が立ちながら話をしている。前の椅子には女の子が座っている。 笹 部:バカ、お前ら自分のグリップの握り方も知らないのかよ (ラケットを取り出す。女の子の顔の前に急に出されて女の子は目を見開く。 ) 笹 部:トップスピンを打ちたいならウエスタングリップだろ。こうやってラケットの面 立てて、握手する感じで握んだよ。 (車内でラケットをふる。女の子は目の前でふられ息を飲み目を瞑る) 友 達:さすが北高テニス部のエースだけあるな (何度も素振りをし、そのたび女の子は目を瞑る) 笹 部:常識だろ? リョウマ:ねぇ 笹 部:え? リョウマ:うるさいんだけど? ―略― さくの:あの、さっきはありがとうございました。あの、電車の中で助けてもらって リョウマ:なにが? さくの:なにがって助けてもらわなかったら私ラケットにぶつかってたと思うし・・・ リョウマ:電車に乗ってたの? さくの:え? リョウマ:どこに乗ってた? さくの:どこって向かいの席に・・・ リョウマ:ふーん。あいつらがうるさかったからうるさいって言っただけだよ。 (例 10 「とっとこハム太郎」 ) ひろこ、水を汲みに行くが、バケツが重くてよろめいてしまう。 木 村:あぶない!!(助ける)大丈夫? ひろこ:き、木村君?! 木 村:あ、春名さん。スカートにかかっちゃったね、水。 ひろこ:あっ 木 村:これで拭いて(首からかけていたタオルをわたす) 27 ひろこ:でも・・・ 木 村:良いんだ、僕のはまだ有るし。じゃ!!(顔を洗い去っていく木村。ひろこ頬 をそめる) b.力関係が女性>男性の場合 強い女性が弱い男性を守る関係である。 「犬夜叉」 (例 11)のように男性が女性の後ろに隠れる場面や、 「レジェンズ甦る竜王伝説」 (例 12)で登場する「ヨウコ」と「J1」「J2」のように男性が女性の後ろに隠れ、女性がモン スターの前に立ち説得を試みる場面が見られた。 (例 11 「犬夜叉」 ) お頭が刀をふりまわすことによって住処が壊れていく 野武士:うわぁぁぁ・・・ (建物が崩れてきて下敷きになる) かごめ:大丈夫? 野武士:出口がふさがっちまったぜ かごめ:さ、立てる?(建物の下敷きになった盗賊を助け肩を貸す) 野武士:ありがとうごぜぇやす・・・ ―略― かごめ:ん?(かごめ移動する。 ) (かごめの後ろについてくる) かごめ:あんた達ね!!! 野武士達:いやぁ、ははは・・・ (例 12 「レジェンズ甦る竜王伝説」 ) ジャイアントクラブ(モンスター)を前に J 1:なんか興奮してますよ? J 2:息荒くなってますよ・・・ 3 人:あ、ああ、あああ・・・ (ジャイアントクラブを恐れる3人。ヨウコの腕にJ1とJ2が腕を絡ませ、ヨウコの後 ろに隠れる。ヨウコは三角コーンを立て、メガホンで遠くからジャイアントクラブに呼び 28 かける) ヨウコ:良いこと?そのラインから出ちゃダメよ!!あなたの使命はシュウのタリスポッ トを・・・ (ジャイアントクラブに呼びかける) c.力関係が女性=男性の場合 戦う女性が増加したことにより、ある場面では女性が助け、ある場面では男性が助け返 すといった場面(例 13、14)や、女性が対等でいようとする関係(例 15)が見られた。 例 13、14 では男性が女性を助ける場面には【男性→女性】女性が男性を助ける場面には 【女性→男性】との表記を入れた。すると【女性→男性】の場面の後には【男性→女性】 の場面がみられるなど、助け合う姿が顕著に見られた。 (例 13 「ワンピース」 ) ルフィが捕まっている檻に向かい大砲を撃つようにバギー(敵)に命令されるナミ 男 :おい新顔、じらすんじゃねぇよ。点火はこうやってするんだよ(マッチに火をつ け、大砲に点火しようとする) ナ ミ: (スカートの下に隠していた武器を取り出し、男を殴る) 【女性→男性】 ルフィ:あら、あらあららららぁ・・・ ナ ミ:しまった・・・つい バギー:ナミてめえどういうつもりだ? ナ ミ:ごめんなさい バギー:何?謝ってすむかぁー!! ルフィ:何だお前、いまさら助けてくれたのか? ナ ミ:馬鹿言わないで。勢いでやっちゃったのよぉ 私は非道な海賊と同類にはなりたくなかったから。 ルフィ:何だ、勢いか ナ ミ:私の大事な人の命を奪った海賊なんかに誰が!! ルフィ:あぁ、それで・・・あ?(大砲の導火線に火がついているのを見つけ)あぁー!! 火が着いてるぞ!! バギー:人をおちょくるのも体外にしろ、小娘。派手に殺せ!! (ナミに襲い掛かる手下達。攻撃をよけながら大砲に向かって走るナミ) 29 ルフィ:水水水・・・ヤバイ (火のついている導火線を素手でつかみ、火を消しルフィを助ける) ナ ミ:あぁぁぁぁ 【女性→男性】 ルフィ:お前・・・ ナ ミ:あ、くぅ・・・ ルフィ:後ろ!! (背後からナミに海賊が襲い掛かる) 男 :派手に死ねぇー!! (動けないナミをルフィの仲間であるゾロが助ける) 【男性→女性】 ゾ ロ:おいおい、女一人にお前ら何人がかりだ? ルフィ:ゾロ!! ゾ ロ: (ナミにむかって)怪我は? ナ ミ:え? ゾ ロ:怪我はしてねぇのか? ナ ミ:えぇ・・・平気 (例 14 「ワンピース」 ) バギーとルフィが戦っているところにバギーの財宝を奪い逃走中のナミがあらわれる。 バギー:俺の財宝離さないかぁ!! ナ ミ:しまった、みつかった・・・ バギー:どこまでも俺を出し抜けると思うなよ。 (ナミに襲い掛かるバギー。しかしルフィ がバギーに攻撃をし、ナミは助かる) バギー:俺の股間・・・股間・・・ ルフィ:お前の相手はまだ俺だ!! ナ ミ:ありがとう、助かったわ。 【男性→女性】 ―略― 体のパーツをバラバラにする能力を持つバギー。ルフィに攻撃され体中バラバラになるバ ギーだが手は海図とナミに奪われた財宝を握り締めている。 ルフィ:あ、海図 ナ ミ:私の宝 30 バギー:まだ終っちゃいねえ、ゴムゴム!! ルフィ:あ、まだ生きてる バギー:やかましい!!この俺様を派手にこんな目にあわせやがって!! (ナミその場から離れる) バギー:ただじゃおかねぇ。集まれ、バラバラパーツ!! (バラバラになった体を一箇所に集めようとするが胴体が集まってこない) バギー:あれ? ナ ミ:探してるのはこれ? (バギーのバラバラになった胴体を集め、縄でしばる。そのせいでバギーは頭と手足だけ でくっついてしまい、小さくなってしまう) 【女性→男性】 バギー:あ、俺のパーツ!! (小さくなり攻撃できないバギーをルフィが攻撃する) (例 15 「ワンピース」 ) ルフィがとじ込められている檻の鍵を取り返してくる ルフィ:よ、航海士 ナ ミ:一応渡しておくわ。助けてくれたからね。 ルフィ:あ∼檻の鍵だ!!取ってきてくれたのか?わざわざ!! ナ ミ:勘違いしないで。あんたに借りを作りたくなかっただけよ。 d.その他の場合 戦いの場面などで男女関係が全く無い場面も見られた。 「二人はプリキュア」では主人公の女の子 2 人「キュアブラック」と「キュアホワイト」 が「敵」と戦う場面が毎回見られる。 「敵」として男性が現れるものの、戦うのは毎回「キ ュアブラック」と「キュアホワイト」の 2 人だけであり、キュアブラックが吹き飛ばされ たときはキュアホワイトがかばい、キュアホワイトが敵からの攻撃を受けた場合はキュア ブラックが敵の前に立ちはだかるなど、女同士お互い助け合う場面が見られた。 また、男性が男性を助ける場面も見られた。 「テニスの王子様」では、先輩から言いがかりを受けている友達(男性)を主人公(男 性)が助ける場面が見られた(例 16) 。 31 (例 16 「テニスの王子様」 ) 缶当てゲームに新入生が挑戦。一回 200 円といわれていたが、挑戦料が 200 円なだけで一 球につき 500 円払えと先輩に言われる新入生、カツオ、カチロー、堀尾の三人。それを見 ていたリョウマ。 リョウマ:普通に当てるだけじゃどっちみち倒れないよ、あの缶。 カツオ:え? 荒 井:何言ってんだよ リョウマ:石入ってるんだろ? (缶をテニスボールで打ち倒すと、中から石が出てくる) リョウマ:100 球あてたら 100 万円くれんの? 池 田:てめぇ、2 年にむかってなんだその口のききかた!! リョウマ:ちょっと一年早く生まれたからってこう言うせこいことして良いわけ? ②恋愛における男女関係 恋愛に関する場面は、17 番組中 6 番組に見られた。 戦う女性が出てくる「NARUTO」では恋愛に関する場面があり、 「二人はプリキュア」 では今回の分析データには直接恋愛に関する場面は見出されなかったものの、憧れの先輩 の存在はあった。しかし、同じ戦う女性が出てくる「ワンピース」では恋愛場面は出てこ なかった。 恋愛場面において好きな人のために・・・という思いは特に女性に多く表れ、またそれ が「女っぽい」と形容される場面もあった。例えば、好きな男の子のために料理を作るこ とに集中し、他の人の話はちゃんと聞いていない場面(例 17)や、太ってしまって彼氏に 嫌われたのではとダイエットに励む姿などが見られ、その姿が「女っぽい」と形容される 場面(例 18)である。 (例 17 「ミルモでポンわんだほう」 ) 大好きな結木がピーマン料理が好きだと聞き、ピーマン料理作りを始める楓 楓 :よーし、ピーマン料理頑張るぞ!!うーん、どれにしようかなぁ。 ミルモ:なぁ、楓。俺にもチョコ作ってくれよ、チョコ!! 32 楓 : (料理本から目を離さずに)うーん、後でね ミルモ:後でって、いつだよ!! 楓 :あ、これ美味しそう!!すぐ作ってみよう。 ミルモ:人の話を聞け!!! (例 18 「も∼っとおジャ魔女どれみ」 ) 西 沢:先輩! 関 :なに? 西 沢:お砂糖は 2 個でしたよね? 関 :いらないよ、砂糖はいらない。 西 沢:え? 関 :鈍いヤツだね。私は今ダイエットしてるの。 西 沢:どうしてですか?先輩 関 :ウエスト 2 センチも太って、彼からプレゼントしてもらったスカート入らなくな ったんだよ・・・ 西 沢:先輩らしくないですよ、そんなことくらいで!! 関 :西沢!! 西 沢:あ、ごめんなさい 関 :それに、春休みに由紀先生と温泉旅行に行ったときの写真、北川さんに送ったん だけど、返事が来ないのよ・・・きっと太った私に愛想をつかしたんだ、わ∼ん (泣く) 西 沢:どうどう・・・ ―略― (先生がダイエットをしている話を聞き) 皆 :ダイエット? どれみ:ああ見えて関先生も女っぽいところあるんだよね。 ―略― 関 : (携帯電話がなる)あ 西 沢:彼氏からですね 関 :ま、まぁね(頬を赤らめて) 33 北 川:返事遅くなってゴメンね。写真見せてもらったけど、全然太ったようにみえない よ。くれぐれも過度なダイエットはしないでね。僕はありのままの君が好きなん だから。 どれみ:先生、なんて書いてあるの? 関 :秘密秘密!!あ∼幸せな気分☆ 34 第 4 章 「テレビ・アニメ番組にあらわれた女性像・男性像の分析」との比較 藤田の「テレビ・アニメ番組にあらわれた女性像・男性像の分析」との比較を通し、時 系列的な変化を見る。 第 1 節 登場人物数の男女比について 登場人物数を 1990 年以前のものと比較すると、男性よりも女性のほうが少ないという 状況は変わっていなかった。しかし、女性の登場人物数も増加し、1990 年代の「男女比 6: 4」から、2000 年代では「男女比 54%:46%」と四捨五入すると「男女比 5:5」になり、 徐々に同数に近付いてきていることが本研究結果より分かった。 一つ一つの番組に焦点をあててみると、1990 年以前のテレビ・アニメ番組では一番組を 除き、どの番組も男性の数が多かったのに対し、2000 年以降のテレビ・アニメ番組では、 男性よりも女性が多く登場する番組が 17 番組中6番組もあり、女性の登場人物数のほう が多いテレビ・アニメ番組の増加がみられた。 また、主人公を含む子どもの登場人物だけをみると、登場人物数が男女同数である「犬 夜叉」と、 「とっとこハム太郎」を除きすべてにおいて、男の子が主人公であるテレビ・ア ニメ番組では男の子の登場人物数が多く、女の子が主人公であるテレビ・アニメ番組では 女の子の登場人物数が多い傾向が見られた。 「とっとこハム太郎」においても、主人公は男 の子ハムスターであるが、動物であるハムスターの数は男女数の計算の中に入れなかった ため主人公である男の子ハムスターの飼い主であるひろこ(女の子)を中心とした女の子 の登場人物が多かったのだと考えられる。 以上のことにより、1990 年代から 2000 年代にかけて、徐々にではあるものの、男女数 の差が縮んでいること、主人公の性別により男女数の差に違いがあることが分かった。加 えて、90 年代に登場した「美少女戦士セーラームーン SS」における女の子の登場人物の 多さは、偶発的もしくは特異的なものではなく、後の変化の兆しであったと考えることが できるであろう。 第 2 節 登場人物の性役割分業について ①職業における男女差 1990 年代までは男性は多様な職種に就いているが、女性が就いている職業の種類は、男 性の半分にも満たなかった。しかし 2000 年以降では、女性の就く職種が増加し、男女と 1990 年代より 2000 もに 23 種類と同数であった。 このようにテレビ・アニメ番組の中でも、 35 年代のほうが女性の有職率が高く、職種も増加していることにより、藤田が述べていたよ うに、社会における女性の就労率が増加したことと関連性があると言える。 このように、職業の種類の増加などで数量的な男女差が減少していることは、大きな変 化である。しかし、着目すべきは、その質的な差であると筆者は考える。すなわち男性、 女性それぞれどのような職業についているのかということである。1990 年代以前にはみら れなかった管理職として女性が現れたことは大きな進歩である。また会社員として登場し ていても、部長が女性で部下が男性という場面も見られた。しかし、一方では同じ店員で も、男性はゲーム店員、女性はケーキ屋さんなど職種に差が見られた。 今後テレビ・アニメ番組に見られる職業における性役割分業の研究を行なう際は、数量 的な研究だけでなく、質的な部分にも着目する必要があると言えるだろう。 ②家庭における性役割分業 1990 年代以前のテレビ・アニメ番組では家庭場面がよく描かれており、藤田の研究では 家庭場面での大人の登場人物の行動が分析されている。しかしながら、2000 年代以降のア ニメでは、全体的に家族がそろう家庭場面があまり描かれていなかった。合計 72 話中家 事や食事場面など家族がそろう家庭場面が描かれていたのはわずか 6 話しかなかった。食 事風景などが描かれていても、一人で食べている場面であり、こういった場面は「デジモ ンアドベンチャー02」や「ミルモでポンわんだほう」などに見られたが、これはジェンダ ーとはまた別の問題をはらんでいる。すなわち、核家族化の進展とともに、子どもの孤食 が問題になっているが、 そのような状況がアニメにも反映しているということであろうか。 またその中では、わずかながらも、1990 年代以前と同様に家事は女性が行なうといった 性役割分業が見られた。 第 3 節 人物の性格・行動の特徴について ①外見的特徴 1990 年代のテレビ・アニメ番組にはズボン姿の女性は 5 人しか見られなかったが、2000 年代のテレビ・アニメ番組内では多くみられた。 ズボンを着用している人物の中にも、毎日ズボン姿の者もいたが、時と場合によってス カートもズボンもどちらも着用する場面が多く見られた。これは、ズボンが女性にとって は特別なものであって男性のものという従来からの意識が薄らぎ、女性も普段からはくも のだという意識が社会的に生まれてきた事が背景にあると考えられる。 36 一方、ズボンが日常的なものとして取り入れられている反面、スカートが女性的な象徴 として「ズボンばかりはいている娘にスカートをはいて女らしい格好をして欲しい」とい う母親の願望として描かれている場面もみられた。 髪型に関しては、1990 年代以前のテレビ・アニメ番組に登場する女性のほとんどが長い 髪であったのに対して、2000 年代のテレビ・アニメ番組に登場する女性はショートヘアや セミロングヘアなど、様々な髪型の女性が多く見られた。 男性の髪型も 1990 年代までは、ショートカットが当たり前だったのか研究対象にすら されていなかったものが、 数は少ないものの、 セミロングやロングヘアの男性も登場した。 また、 「大蛇丸」のように、外見では性別が分からないような人物も登場した。このことに より、外見的な男女差は女性側からも、そして男性側からもなくなりつつあると言えるだ ろう。 ②性格的特徴 1990 年代以前と同様に、女性の性格の形容詞としては「明るい」 「やさしい」などが多 くみられた。一方男性の性格の形容詞としては、 「やさしい」 「スポーツが得意」などが多 く見られた。しかし「強い」 「たくましい」などの形容詞は、直接的にはあまり出てこなか った。男性の性格が少しずつ変わってきているあらわれなのかもしれない。 性格をあらわす形容詞として多く使われていたものは 1990 年代以前とあまり変化は無 かったが、性格をあらわす形容詞の種類は増加しており、様々な性格の登場人物があらわ れた。 ③行動的特徴 1990 年代で見られた「強い」 「戦う」女性は、2000 年代ではさらに増加していた。また、 戦い方も多様化しており、「強い」「戦う」ということが男性の特徴ではなくなってきている ことの現れと考えることができる。 第 4 節 男女それぞれの関係性について 1990 年代以前同様、男性が強く女性が弱く守られるという力関係は依然として多くみら れた。 また、 「レジェンズ甦る竜王伝説」の上司である「ヨウコ」が部下である「J1」 「J2」を守 るといったような、女性だから、男性だからといったような性的な関係のもとでの力関係 ではなく、役職的な力関係が会話や行動に反映されている場面も見られた。 37 また藤田の研究では「戦う」 「強い」女の子も、恋愛場面では「かわいい」存在であり、 「強い」女の子の中の「女らしさ」の提示として、戦う女の子の危機を男の子が救う場面 などが挙げられていた。しかし 2000 年代のテレビ・アニメ番組では、 「ワンピース」の「ナ ミ」のように、 「戦う」 「強い」女の子でも恋愛場面が出てこない場合や、戦う女の子の危 機は女同士助け合うことにより解決し、男性は出てこない場合なども見られた。これは女 性の性格が多様化したことと関連し、戦う女性のスタイルも多様化していったのだと考え られる。 38 おわりに テレビ・アニメ番組全体の傾向として、男性像、女性像は時系列的に変化していくもの もあれば、従来の姿を残していたものも見られた。分析項目別に見ると、変化したものと しては、女性の有職率、職種の多様化、外見的特徴、性格的特徴の種類、戦う女性の数が 挙げられる。その一方で、従来の性役割分業を色濃く反映したものとして、職種の内容、 家庭場面における女性の役割、主要な性格的特徴、男性が強く女性が弱い関係性などが挙 げられる。 大きな変化が見られたのは、数量的なものや外見など目で見てわかるものが多く、性格 や関係性といった質的なものの変化はなかなか見られなかった。 今回の研究を通して、外見的、数量的特徴など、目に見えやすい場所から変化し、それ にともない、 少しずつ性格や関係性といった質的なものの変化があらわれると考えられる。 また、個々の番組に着目すると、番組によって登場人物の男女数比や、特徴描写、性役 割の描かれ方などの傾向は全く異なって、多様化しており、番組による差が大きく見られ た。 したがって、多くのテレビ・アニメ番組の中から、子ども自身がどのような番組を選び、 周囲の大人が子どもにどのようなテレビ・アニメ番組を与えようとし、どの番組を子ども が見るかによって、子どもの性役割の形成に異なった影響を与えるであろう。このことは テレビ・アニメ番組の選択が、ジェンダーの形成を論じる上で無視できない要素になるで あろうことを示唆している。 最後に、本研究を締めくくるにあたって、本分析から得られた課題を若干示しておきた い。 まず、本研究で得られた結果が他のテレビ・アニメ番組でも同じように言えるのかとい うことである。これについては、今後さらに分析対象の番組を拡大して、より詳細に検討 する必要があると考えられる。本研究では、より多くの人に見られていることから視聴率 ランキングトップ 10 に 5 回以上登場したものを研究対象としたが、テレビ・アニメ番組 の数だけそれを見ている子どもたちがいるのであるから、今回研究対象としなかった番組 も、子どものジェンダー形成に何らかの影響を与えていると考えることは疑いのないこと である。さらに、番組に現れた女性像・男性像を、実際の子どもたちは具体的にどのよう にとらえているのかを調査し分析する必要もあり、これも今後と課題である。 39 引用・参考文献 ☆1 堀内かおる編著『子どもの生活世界へのまなざし』2003、丸善株式会社、p33、34 ☆2 藤田由美子「幼児期における「ジェンダー形成」再考―相互作用場面にみる権力関係 の分析より―」 (日本教育社会学会編『教育社会学研究』74 集 p329、金子書房) ☆3 池澤靖子、二宮周平、姫岡とし子編『改訂版 21 世紀のジェンダー論』2004、晃洋書 房 ☆4 鈴木みどり編『Study Guide メディア・リテラシー【ジェンダー編】 』2003、リベル タ出版 p19 参考文献 ☆大日向雅美著『メディアにひそむ母性愛神話』2003、草土文化 ☆藤田由美子「テレビ・アニメ番組にあらわれた女性像・男性像の分析―ステレオタイプ 的な描写の検討を中心に―」 (日本子ども社会学会紀要委員会編『子ども社会研究』2号p 33∼46、ハーベスト社) ☆森繁男「 「ジェンダーと教育」研究の推移と現況―「女性」から「ジェンダー」へ」 (日 本教育社会学会編『教育社会学研究』第 50 集、1992、金子書房) ☆山田康男編著『日本のアニメ全史 世界を制した日本アニメの奇跡』2004、株式会社テ ン・ブックス ☆明日のナージャ HP キャラクター紹介 http://www.toei-anim.co.jp/tv/nadja/frame_chara.html ☆あたしンち登場人物紹介 http://www.tv-asahi.co.jp/atashi/y/character/index.html ☆犬夜叉 HP http://search.jword.jp/cns.dll?type=sb&fm=2&agent=&partner=AP&lang=euc&name= %B8%A4%CC%EB%BA%B5&bypass=2&selsecategory=&service=jwd&style=1 ☆おジャ魔女どれみドッカ∼ンキャラクター紹介 http://www.toei-anim.co.jp/tv/doremi_D/frame02.html ☆株式会社ビデオリサーチ HP バックナンバー http://www.videor.co.jp/data/ratedata/r_index.htm ☆金色のガッシュベル Character 40 http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/naruto/persons_f.html ☆デジモンアドバイザー02HP http://www.toei-anim.co.jp/tv/digimon02/ ☆デジモンテイマーズ HP デジモンキャラ紹介 http://www.toei-anim.co.jp/tv/digimon_t/chara/chara.html ☆テニスの王子様 Character http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/tennipri/chara1.html ☆東映アニメーションHP―作品ラインアップ― http://www.toei-anim.co.jp/tv/ ☆とっとこハム太郎キャラクター http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/hamutaro/ ☆NARUTOHP 登場人物の巻 http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/naruto/persons_f.html ☆ふたりはプリキュア HP 登場人物 http://www.toei-anim.co.jp/tv/precure/chara.html ☆遊戯王デュエルモンスターズキャラ設定 http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/yugioh2000/ ☆読売テレビ HP KTV アニメーションオンザウェブ http://www.ytv.co.jp/anime/index_set.html ☆レジェンズ甦る竜王伝説キャラクター紹介 http://www.legendz.jp/rev2/charinfo.php ☆わがまま☆フェアリーミルモでポン!キャラクター紹介 http://search.jword.jp/cns.dll?type=sb&fm=2&agent=&partner=AP&lang=euc&name= %A5%DF%A5%EB%A5%E2%A4%C7%A5%DD%A5%F3&bypass=2&selsecategory=& service=jwd&style=1 ☆ワンピースキャラクター紹介 http://www.toei-anim.co.jp/tv/onep/character/chara.html 41
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