単位と次元

計測工学Ⅰ
第6回 単位と次元
今日の内容
•  シラバスから
•  物理量と単位、基本単位、補助単位、組立単位、SI単位系、
接頭語、次元、基準物、原器について学習する。
•  ほとんどは、生体計測装置学で学んだはずの内容であり、
復習ということになると思う。
身体尺
•  体の一部分を、「基準」として用いた単位
•  教科書P19
•  日本では、「尺」や「寸」が身体尺
•  欧米の inch や feet は、体の一部の寸法が基準
•  → 万人に共通とは言えない。
•  その地域ごとに「単位」が決められて来た。
国際単位系(SI)
•  世界標準となる単位を定める
•  アメリカなどは例外だが、アメリカでも「学者」は国際標準の単位で論文
を書いている。
•  基本単位
•  標準テキスト:P434表1, 新版P424表2
•  基本となる物理量
•  組立単位
•  基本単位の組み合わせで、表現できる。
•  定義から単位が導き出せる。
•  今日の内容は、教科書P263の付表を参考にするとよい。
基本単位
引用元:富山科学文化センターのWEBページ
http://www.tsm.toyama.toyama.jp/public/tokubetuten/h14tokuten/nature/nature.html
時間について
•  1秒という時間
•  元々は、天体運行から定められた。
•  「1日」を24等分して1「時間」とし、それを60等分して「1分」、さらに60等分
して「1秒」
•  現在は、原子エネルギー準位の差による「放射光」の周期を「ものさし」
にしている。
•  時間の相対性
•  慣性系によって、「時間の進み方」が違う。
•  1秒という物差しが、長くなったり短くなったりする。
周波数(時間の逆数)
•  1Hz = 1 s-1
•  1kHz – 1秒間に同じことを1000回反復している。
•  1GHz = 1 ×109 Hz
•  回転数:RPM(round per minute)
•  CPM(cycle per minute)
•  1分間(1秒間)に何回繰り返すか。
理科年表と1年
•  「理科年表」(国立天文台)でみる1年の長さ
•  365.2422 日 ( 1 太陽年 )
•  実際は、もっと桁数が多い・・・。
•  ユリウス暦における 1 年の長さは平均すると ( 365 + 365 + 365 + 366 )/ 4 =
365.25 日 であるから、 365.2422 日より 0.0078 日長い。これはわずかな差だと
思うかもしれないが 1300 年ほどたつと 10 日のずれになってしまう。このずれを修
正するために 1582 年、ローマ法王グレゴリオ 13 世によりグレゴリオ暦が導入され
た。
•  閏年のルールは以下のとおり
•  1. 4 で割り切れる年を閏年とする
•  2. 上記のうち、 100 で割り切れる年は閏年としない
•  3. 上記のうち、 400 で割り切れる年は閏年とする
http://www.rikanenpyo.jp/FAQ/koyomi/faq_koyo_001.html
質量について
•  質量と重さの違い
•  質量: 1kg -- どこで計測しても1kg
•  重さ: 重力によって重さは異なる。
•  月の上では体重が1/6
•  → 60kgの人は10kg? 大きな間違い!
•  地球上では1g(重力加速度)の「力」がかかる。
•  これが「重さ」の「元」になる。
•  月面では、「重力」が異なる。
•  バネ秤で測定する場合
•  重力加速度の影響を受ける。
•  力による「変位」で測定している。
•  天秤で測定する場合
•  重力加速度の影響を受けない
•  左右の重さをバランスしている。
•  「測定方法」によって、「適・不適」がある。
•  「測定原理」を理解していないと、「測定値」を評価できない。
組立単位
•  それぞれの量が、どんな「定義」かを、きちんと理解しておくこ
と。
•  電荷
•  1Aの電流が1秒間に運ぶことのできる「電気」の量 = 1C
•  力
•  1kgの物体に、1m/s2の加速度を起こす力=1N
•  読み方も重要である
•  1Nは、1ニュートンと読む。
•  正確に読めるようになること
接頭語
•  標準テキストP435(P424)、 教科書P264
•  感覚的にわかりやすい数値として表現する。
•  メモリ容量が2Gバイトのコンピュータ
•  2,000,000,000バイトだと、書くのも読むのも大変
•  単位の変換で間違える学生
•  身近な変換の例を思い浮かべて、比の式を作る
•  1km = 1×103m = 1000m
•  km(キロメートル)とm(メートル)の変換では間違えないのに、
mmolなどになるといきなり間違える人!
•  接頭語が大きいほど、表現に必要な数値は小さくなる。
•  置き換えて考えてみて、感覚的に正しいかチェックする
基本単位を用いて表される一貫性のあるSI組立単位
組立量
名称
面積
体積
平方メートル
立方メートル
速さ・速度
メートル毎秒
加速度
メートル毎秒毎秒
波数
毎メートル
密度・質量密度 キログラム毎立方メートル
面密度
キログラム毎平方メートル
電流密度
アンペア毎平方メートル
磁界の強さ
アンペア毎メートル
量濃度・濃度 モル毎立方メートル
質量濃度
キログラム毎立方メートル
輝度
カンデラ毎平方メートル
(数字の)1
屈折率
(数字の)1
比透磁率
http://ja.wikipedia.org/wiki/組立単位
記号
m2
m3
m/s
m/s2
m-1
kg/m3
kg/m2
A·m-2
A/m
mol/m3
kg/m3
cd/m2
1
1
次元
•  物理量を単位で表した時、「単位」が同じになるものは、「物理
量」としての見かけが異なっていても、同じ性質を示す。
•  例: 電力量(電流×電圧×時間)、仕事(力×距離)
•  組立単位として、基本単位に置き換えてみると、
単位同士の比較が確実にできる。
•  教科書 P8
•  ここで、どの物理量がどんな単位になっているか、
その「物理量としての本質」を「次元」という。
過去の国家試験問題から
•  【24A26】生体計測装置学
• 
物理量と単位との組合せで誤っているのはどれか。
• 
1. 粘度 ------------------------- Pa・s
2. 熱容量 ---------------------- J/K
3. 力のモーメント ------------- N・m
4. 電界の強さ ----------------- V・m
5. 放射照度 ------------------- W/m2
この形は、定番問題なので、今からしっかり単位と物理量の関
係を覚えておくこと
次元を問う問題
•  【17A50】 基本単位による組立単位の表現として誤っている
のはどれか。
• 
a. 1Hz = 1s-1
b. 1N = 1kg・m-1・ s-2
c. 1C = 1A・s-1
d. 1W = 1kg・m2・ s-3
e. 1J = 1kg・m2 ・ s-2
•  1. a、b 2. a、e 3. b、c 4. c、d 5. d、e
•  次元に置き換えることで、その物理量がどんな性質を持つか、
明らかにできます。
基準物、原器
•  現在は、多くの物理量は、物理現象によって「基本的な数値」
が定義されている。
•  歴史的には、ほとんどの「基本単位」が原器や、実測可能な
様々な自然現象などを元に定義されていた。
•  現在は、「キログラム原器」以外は全て安定な自然現象をもとに定義さ
れている。
•  標準テキスト(第2版)P423,. 旧版P434, 教科書P220
今日のまとめ
•  接頭語は、自然に使えるようにしっかりと覚えて下さい。
•  単位は、改まって覚えるよりも「物理量」との関連で覚えるの
が良いが、試験対策ということならば、必死で教科書などの表
を覚えて下さい。
•  物理量を考える時には、常に次元を意識する。
技術系の専門家は、それができている。
次回予告(第7回:外乱と誤差、負荷効果 )
•  外乱、誤差(系統誤差、理論誤差、個人誤差、偶然誤差)、
外乱の軽減、負荷効果、入力インピーダンスについて学習す
る。