appendix4. - 北海道立教育研究所

資料4
Ubuntuの活⽤
ライブCD
1
ライブCDからのUbuntuの起動
Ubuntuは、ライブCDとインストールCDが一つとなっているので、そ
のまま起動し利⽤することができます。
ア
BIOSの設定
BIOSで CDブートの設定(CDからはじめに起動する設定)がさ
れているか確認します。
(ア) 電源を入れてすぐに F2 キーを押します。(コンピュータによ
っては、 DEL キーや F1 キーの場合もあります。)
(イ) Boot から Boot Device の確認をします。
1stBoot
Device [Removable]
2ndBoot
Device [CD-ROM]
3rdBoot
Device [Hard Disk]
のように、ハードディスクからの起動よりも、CD-ROMデバイ
スからの起動が先になっていることを確認します。
(ウ) Exit → Save & Exit Setup で [YES] と設定します。
イ
ライブCDを入れてコンピュータを起動
起動するまでコンピュータのキーボードが効かない事例もありま
すが、起動したまま、デフォルトである「コンピュータに変更を加
えないで使ってみる」が選択されるまで待ちます。
例として、Ubuntu 10.04 LTSのデスクトップ版⽇本語Remix CD
を、「Pentium4 2.8GHz、1GB RAM」のスペックのマシンで起動
した場合、ライブCDが起動するまで9分ほどかかりました。
起動した段階で、オフィスソフトウェアのWriterやCalc、ウェブ
・ブラウザのFirefoxなどが使えるようになっているので、元のコン
ピュータ環境を何も変えずに、機能を十分に試すことができます。
- 資 料 4_1 -
USBメモリに
インストール
2
Ubuntuのインストール
ライブCDでは、手軽にUbuntuを試してみることができる一方、起動
に時間がかかったり、作成したデータの保存領域をネットワーク上など
に設定する必要があるなど、実際の運用上の障害となることがあります。
はじめてUbuntuを試してみる場合は、既存のOSがインストールして
ある環境を置き換えることに抵抗があることや、デュアルブート環境の
構築には身構えてしまうこともあることから、予算面で入手しやすくな
ったUSBメモリにインストールし、試用してみてください。
USBメモリにインストールすることができれば、同様の方法でハード
ディスクドライブにインストールし、既存のOSを置き換えることも簡単
にできることから、ここではUSBメモリにインストール方法を説明しま
す。
ア
準備
USBメモリには4GB以上のものを用意し、ライブCDからUbuntu
が起動したPCに挿入すると、自動的にデスクトップにアイコンが表
⽰されUSBメモリが認識されるので、この状態からインストールを
始めます。
イ
上部パネルから「システム」→「システム管理」→「Ubuntu 10.
04 LTSのインストール」を選びます。
- 資 料 4_2 -
ウ 「ようこそ」「どこにお住まいですか?」「キーボードレイアウト」
はいずれもデフォルトのまま「進む」をクリックします。
- 資 料 4_3 -
エ
インストール
領域
オ
USBメモリが検知されるので、「はい」をクリックします。
「ディスクの準備」では、「ディスク全体を削除してから使用す
る」を選択し、その下で、必ず挿入したUSBメモリを指定します。
※ここで、ハードディスクドライブを選択すれば、ハードディスク
ドライブにインストールされることになります。
- 資 料 4_4 -
カ
「あなたの情報を⼊⼒してください」では、任意に⼊⼒を⾏いま
す。
パスワード
※この時のパスワードを忘れないようにしてください。
キ
「ドキュメントと設定のインポート」では、そのまま「進む」を
クリックします。
- 資 料 4_5 -
ク
「インストール準備完了」では、必ず「拡張」をクリックし、ブ
ートローダのインストール場所をUSBメモリに指定します。
ブートローダ
※ハードディスクドライブにインストールした場合は、同じドライブ
にブートローダをインストールします。
ケ
インストールが始まります。
- 資 料 4_6 -
コ
インストールが終了します。
ここでは、「今すぐ再起動する」を選択します。
「Please remove the disk and close the tray (if any) then
press ENTER:」と表示されるので、CDをとり、 ENTER キーを押
します。
- 資 料 4_7 -
BIOSの設定
3
Ubuntuの起動
USBメモリにインストールしたUbuntuの起動は次のようにします。
ア
前項で再起動した後に、BIOSを確認します。
(ア) BIOS で USBブートの設定がされているか確認します。
(イ) USBメモリをマシンに装着し、電源を入れてすぐに F2 キーを
押します。(コンピュータによっては、 DEL キーや F1 キーの
場合もあります。)
(ウ) Advanced → Integrated Peripherals → Onboard Device
→ USB Legacy Support を [Enabled] にします。
(エ) Boot → Hard Disk Boot Priority の、1番目に次項を設定し
ます。[USB-HDD0 : USB Disk FlashDisk]
(オ) Exit → Save & Exit Setup で [YES] と設定します。
※BIOSの種類によっては、このとおりの表示とはなりませんが、そ
れぞれの設定項目を、マザーボードのマニュアル等で確認して設
定します。
※(ウ)が表示されないときには、USBメモリの抜き差しが必要です。
ネットワーク
設定
イ
BIOSの設定が完了すると、USBメモリから起動されます。このと
き、ライブCDと比べ、起動が速いことが体感できます。
ウ
ネットワーク設定
上部パネルの「システム」→「設定」→「ネットワーク接続」を
選択します。「ネットワーク接続」ダイアログが開くので、有線ネ
ットワークに接続している場合、「Auto eth0 常時接続」を選択し
て、「編集」をクリックします。
「IPv4設定」タグから必要な情報(DHCPなのか固定IPなのか)
を設定します。設定が終了したら、「適用」をクリックします。
- 資 料 4_8 -
プロキシの
設定
エ
プロキシの設定
「教育上通信ネットワーク(ほっかいどうスクールネット)」で
は、プロキシの設定が必要ですので、上部パネルの「システム」→
「設定」→「ネットワークのプロキシ」を選び、次のように設定し
ます。
※設定を確認するため、Firefoxを⽴ち上げて、インターネットへの
接続を確認します。
- 資 料 4_9 -
オ
アップデート
インストール後について
(ア) アップデートの実⾏
アップデートを⾏う前に、ダウンロードするサーバを負荷分散
のためにミラーサーバへ変更します。
「システム」→「システム管理」→「アップデート・マネージャ」
の設定から「Ubuntuのソフトウェア」で、「ダウンロード元」を
「その他」の中から適当に選びます。
この設定を終えてから、アップデート・マネージャーの「アッ
プデートをインストール」を実⾏します。
(イ) 言語サポートの確認
「システム」→「システム管理」→「⾔語サポート」を起動し
ます。⽇本語サポートが不完全であれば、インストールがうなが
されます。
日本語環境
セットアップ・
ヘルパ
(ウ) 日本語環境セットアップ・ヘルパ
「システム」→「システム管理」→「⽇本語環境セットアップ
・ヘルパ」を起動します。
必要なパッケージにチェックを⼊れ、実⾏します。(例えば、
Adobe Flash Player、Adobe Reader 日本語版等)
ハードディスクにインストールした際の起動は、259ページの
「BIOSの設定」で、(エ)の「Hard Disk Boot Priority」の1番目
の項目を、インストールしたハードディスクにします。
以上で、デスクトップで作業するのに必要な環境を、FLOSSであるUb
untuを用いて作成することができました。
USBメモリから起動させるため、いつでも持ち運びができ、移動先の
コンピュータのコンピュータの環境を変えずに起動させることで、自分
のコンピュータ・デスクトップを持ち運ぶことができるようになりまし
た
もし、USBメモリに保存する領域が⾜りなくなった場合は、Ubuntu
Oneというクラウドサービスを利⽤することで、無償の5GBのディスク
容量を使⽤することができます。
また、デスクトップ版のUbuntuは、デフォルトでOpenOffice.orgが
インストールされた状態で起動することから、すぐに作業が可能となり
ます。このことにより、OSも含めてすべて無償のFLOSSを活用するこ
とで、コンピュータというハードウェアだけ用意すれば、「校務文書の
標準化」を実現することができます。
このような環境は、一台のコンピュータを複数人で使用する場合にも
有効な方法です(児童生徒の授業用として最適です)。また、持ち運び
による破損に対しても、比較的簡単に再インストールが可能であること
から、学校のコンピュータ室での利⽤など、現存する環境を変更するこ
となく、児童生徒に使わせたいソフトウェアや機能を試すことができま
す。
- 資 料 4_10 -
4
LTSP
授業用サーバの構築
前項では、USBメモリを用いて1台のコンピュータをデスクトップ版
のUbuntuで使用する方法を説明しました。
UbuntuはLinuxの一つですから、機能を追加することにより、サーバ
として機能させることもできます。
本項では、授業⽤サーバとして、学校のパソコン室での利⽤を想定し
たLTSP(Linux Terminal Server Project)サーバの構築を説明します。
LTSP(Linux Terminal Server Project)とは、一台のコンピュータ
を複数の人が同時に使うことができるようにするための、Linux向けFLO
SSアドオンパッケージです。
シン
クライアント
このシステムは、サーバとシンクライアントの組み合わせで動作し、
クライアント側で⼊出⼒を制御します。クライアントとして使⽤するコ
ンピュータをネットワークから起動する設定にすると、サーバからOSの
起動イメージを受取り、起動することができます。このとき、クライア
ントのコンピュータに内蔵されているハードディスクには書き込みを一
切しないことから、シンクライアントと⾔えます。
このようなシステムを導入するメリットは、
① サーバを高性能にすることで、クライアントには古いパソコン
を再利⽤できること。
② サーバを集中管理すればよく、管理者の負担が軽減されること。
③ クライアントのハードディスクを使用しないことは、データの
持ち出しにも対応できること。
④ データの⼀元管理ができること。
等があり、端末に高価なデスクトップマシンを揃える必要がないことか
ら、学校でのコンピュータ室における利⽤や、職員室内での業務に適し
ていると考えられます。
一方、デメリットとして考えられることは、
① シンクライアント端末を利⽤するユーザは、⾃由にアプリケー
ションをインストールできないこと。
② サーバがダウンすると、クライアント端末はすべて利⽤不能と
なること(サーバに負荷が集中する)。
等があることを考慮に入れ、導入を検討します。
実際に、大阪府箕面市においてもこのシステムを構築しています。
箕面市では、特定のIT企業の製品に縛られて情報システムが
高コストとなる現状を打破するため、「Linux(edubuntu)」の
導⼊にチャレンジします。中古パソコン500台を再利⽤して、全
市⽴⼩中学校20校の職員室LANに、シンクライアントとして構
築します。
(箕面市のWebページより http://www.city.minoh.lg.jp/
soumu/jyouhou/houdou/20091014edubuntuhoudou.html)
- 資 料 4_11 -
箕面市役所
Edubuntu日記
この取組の様子は担当者である、箕面市役所の那谷進氏によりブログ
化されています。(http://blog.goo.ne.jp/minoh_edubuntu)
本研究においても、実際に同氏にインタビューすることができ、その
ノウハウについて直接御指導いただきました。
下図のネットワークのイメージは、以下で説明するLTSPサーバのイン
ストールと設定作業を想定したものです。
モデル例
ほっかいどう
スクールネット
LTSP
サーバ
eth0
シンクライアント1
eth1
シンクライアント2
シンクライアント3
○LTSPサーバには、ネットワークインターフェースカード(NIC)
を2枚装着します。NICはUbuntuではeth0とeth1として認識され
ます。ここでは、eth0をWAN側(ほっかいどうスクールネット
側)とし、eth1をLAN側(ハブに接続する側)とします。
○LTSPサーバはLAN側に対して、DHCPサーバとしても動作させま
す。
○LTSPサーバに必要なスペックは、2GHz以上、できれば3GHzのプ
ロセッサ(CPU)と、256MB+(192MB×シンクライアントユー
ザ数)のメモリが必要です。現状、4GBのメモリを搭載している
例が多いと思いますが、次の計算式により20ユーザを扱うことが
できます。
256MB+(192MB×20)=256+3840=4096MB
○シンクライアントはいずれもPXE Network Boot可能であるとし
ます。
○シンクライアントの条件としては、533MHz以上のCPUを持ち、
動作するための最低限のメモリは約48MBとされていますが、少
なくとも128MB、できれば256MBのメモリを搭載することによ
り、ストレスなくシンクライアントを使うことができます。
- 資 料 4_12 -
ア
LTSP
インストール
LTSPサーバのインストール
「システム」→「システム管理」→「Synapticパッケージ・マネ
ージャ」を起動し、検索から「ltsp」と⼊⼒し、「ltsp-server-stan
dalone」を選択します。
表示された「ltsp-server-standalone」を右クリックし、「インス
トール指定」を選択します。
- 資 料 4_13 -
依存関係を確認する画面では「マーク」を選択し、ツールバーの
「適用」をクリックします。「以下の変更を適⽤しますか?」と確
認が求められるので、「適用」をクリックします。
イ
LTSPのシンクライアント・イメージ作成
「アプリケーション」→「アクセサリ」→「端末」を起動し、以
下を⼊⼒します。($はプロンプトを表します。)
$ sudo ltsp-build-client
※以下、このような端末からの⼊⼒については同様な操作を⾏うも
のとし、本⽂中からもリターンキー・マークを省略します。
※sudoコマンドを実⾏する際は、パスワードを求められるので、イ
ンストールのときのパスワード(256ページを参照)を⼊⼒しま
す。
※この操作は時間がかかります。(50分程度)
ウ
シンクライアント・イメージへの日本語サポート適用
$ sudo -s
# chroot /opt/ltsp/i386
/# apt-get update
/# apt-get install language-support-ja language-pack-ja
/# exit
# exit
$ exit
補完機能
※途中で、続⾏するか聞かれた際は、 y キーを⼊⼒し続⾏します。
※⼊⼒が⻑くなるときは、 Tab キーによる補完機能が便利です。
- 資 料 4_14 -
エ
DHCP
DHCPの設定
DHCPデーモンを、eth1側だけに限定します。
$ gksudo gedit /etc/default/dhcp3-server
として、設定ファイルをエディタで起動させ、
INTERFACES="eth1"
と変更して、ファイルを保存します。
- 資 料 4_15 -
オ
LANカードの設定
DHCPサーバの設定ファイルである「/etc /ltsp/dhcpd.conf」で
指定されているサブネット内のIPアドレスに設定します。
ただし、上記のファイルを確認して、IPアドレスの払い出し範囲
内にはならないようにします。ここでは、「192.168.0.251」に設
定することを想定しています。
$ gksudo gedit /etc/network/interfaces
auto lo
iface lo inet loopback
auto eth0
iface eth0 inet dhcp
auto eth1
iface eth1 inet static
address 192.168.0.251
netmask 255.255.255.0
network 192.168.0.0
broadcast 192.168.0.255
- 資 料 4_16 -
以上、設定が終了したら再起動します。
カ
再起動後にLTSPの再設定をします。
$ sudo ltsp-update-sshkeys
$ sudo ltsp-update-image
ユーザの
追加
キ
クライアント用ユーザの作成
「システム」→「システム管理」→「ユーザとグループ」を選択
し、シンクライアント1〜3⽤のユーザを追加しておきます。
- 資 料 4_17 -
ネットワーク
ブート
ク
シンクライアントのBIOS設定
(ア) 電源を入れてすぐに F2 キーを押します。(コンピュータによ
っては、 DEL キーや F1 キーの場合もあります。)
(イ) Boot から Boot Device の確認をします。
1stBoot Device [Network]
2ndBoot Device [CD-ROM]
3rdBoot Device [Hard Disk]
のように、初めにネットワークから起動するように設定します。
(ウ) Exit → Save & Exit Setup で [YES] と設定します。
設定は以上です。
LANケーブル等の接続を確認し、シンクライアントの電源を入れ起動
し、作成したユーザでログインできるかを確認します。
- 資 料 4_18 -
実例の動画
LTSPサーバによるシンクライアントの起動の様子は、ほっかい
どうスクールネットにログインし、「学習⽤教材検索」→「学習⽤
教材」→「高等学校」→「その他」に次のように登録してありま
す。参考にしてください。
[ファイル名] ltsp.wmv
[登録日] 2011-02-23 08:26:27
[タイトル] Ubuntu10.04によるLTSPサーバの運用
[概要] シンクライアントの起動と、シンクライアントから
オフィスソフトを起動したときの様子がわかります。
[フォーマット] 動画(WMV)
[ファイルサイズ] 47.5 MB
道研における
展示
LTSPサーバが実際に稼働している様⼦は、北海道⽴教育研究所
の食堂前の展示スペースで体験することができます。
1台のサーバに、2台の端末を接続しています。(もともとは
WindowsXPマシンでしたが、動作が不安定なために廃棄処分とな
なったコンピュータを端末に使用しています。)
1年間ほど毎⽇起動させていますが、順調に動いています。北海
道⽴教育研究所に来所される機会があれば、体験してみてください。
また、ネットワークブートが可能なコンピュータを持参していただ
ければ、そのマシンをシンクライアント端末として起動させること
もできます。
- 資 料 4_19 -