1-1 ネットワークの基礎(Ⅰ)

1-1
ネットワークの基礎(Ⅰ)
~ネットワークの概要とLANケーブルの製作~
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目的
コンピュータ同士を接続し,データ通信をするために必要な機器について学習し,LANケー
ブルを製作し,コンピュータ同士を接続する実習である。
情報通信ネットワークシステムとして,コンピュータ同士を接続したネットワークシステム
について,その要素技術に関する基礎的な知識や技術を習得する。
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使用機器及びソフトウェア
パソコン(WindowsXP 2台以上),LANケーブル,ネットワークカード(NIC),ハブ
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関連知識
(1) LANケーブル
Ethernet(IEEE 802.3委員会によって標準化)によるLANケーブルには,伝送距離等によ
り表1のように同軸ケーブル,ツイストペアケーブル,光ファイバケーブルが利用されてい
る。その中で最も広く利用されているのがツイストペアの10BASE-Tである。
10BASE-Tはハブと呼ばれる集線装置からスター型に接続されるツイストペアケーブルであ
る。
表1
ケーブルの種類
同軸
ツイストペア
光ファイバ
ケーブルの種類①
仕様の表記
伝送距離
伝送速度
10BASE2
185m
10Mbps
10BASE5
500m
10Mbps
10BASE-T
100m
10Mbps
100BASE-TX
100m
100Mbps
1000BASE-T
100m
1000Mbps
1000BASE-FX
20km
1000BASE-SX
550km
1000BASE-LX
5km
100Mbps
~数Gbps
また,一般的にLAN用のケーブルには,4対のツイストペアケーブル(8芯のより線)を
まとめたUTP(Unshielded Twisted Pair)が使われおり,ストレートケーブルとクロスケー
ブルがある。それぞれの用途は表2のようになっている。
表2
ケーブルの種類
ストレートケーブル
ケーブルの種類②
用
途
パソコンとハブの接続
ハブのカスケード接続(「 Up Link端子」使用)
クロスケーブル
パソコン同士の接続
ハブ同士の接続
-1-
(2) ネットワークカード(NIC)
パソコン等をLANに接続するためのインタフェース(拡張カード)である。接続するパソ
コンの種類等により選択する。それぞれの接続するパソコンの種類は表3のようになってい
る。
また,NICを利用するためにはそれぞれのNIC専用のドライバが必要である。
表3
NICの種類
NICの種類
接続するパソコンの種類
PCIバスカード
主にデスクトップ型のパソコンに接続
PCMCIAカード
主にノート型パソコンに接続
(3) ハブ
LANケーブル(ツイストペアケーブル)を接続する信号中継器である。LANでは,一般的に
各機器に接続されたケーブルはいったんハブに接続され,ハブを介して相互に通信する。
Ethernet(10BASE-T使用)ではハブ同士を最大4段まで接続(カスケード接続)し,ネッ
トワーク全体に接続できるコンピュータの台数を増やすことができる。ネットワークの端か
ら端まで通常は3~4段階程度までハブを接続することができる。
ハブの機能により表4のようにリピータハブとスイッチングハブがある。
表4
ハブの種類
ハブの種類
リピータハブ
機
能
入力信号の劣化された部分を補正し,単純に出力する。通常,
ハブといえば,このリピータハブを指す。
スイッチングハブ
MACアドレスによりパソコンを特定し,データ転送を効率的に
行う。
-2-
4
実習
【例題】
ストレートケーブルの結線図(図1)参照し,ストレートケーブルを製作し,図2のよ
うに接続する。
ただし,NICは装着され,ドライバがインストールされている。
図1
ストレートケーブルの結線図
上から見た図
茶
白
茶
緑
白
⑧
青
青
白
緑
橙
①
白
横から見た図
橙
茶
⑧
⑦ 白
茶
緑
⑥
⑤ 白
青
青
④
③ 白
緑
橙
②
① 白 橙
⑧
⑦
⑥
⑤
④
③
②
①
正面から見た図
①
①
図2
接続完成図
ハ
ブ
ストレートケーブル
パソコンA
パソコンB
WindowsXP
WindowsXP
-3-
⑧
実習手順
①
使用する材料及び工具を確認する。
・LANケーブル(ツイストペアケーブル
10BASE-T
約1m)
・モジュラプラグ(RJ-45 2個)
・モジュラプラグかしめ工具
(8ピン対応)
-4-
・ニッパ
・ケーブルテスタ
ストレートケーブルの場合は,上下
のLEDが同時に順次点灯する。
クロスケーブルの場合は,1番と3
番,2番と6番が同時点灯する。4番,
7番,8番はそれぞれ同時に順次点灯
する。
②
LANケーブルの外皮を約20mmニ
ッパではがす。
(中のケーブルを傷つけないように
注意する。)
-5-
③
色違いの8本のより線を順番に並
べる。
茶
白
茶
緑
白
青
青
白
緑
橙
白
④
橙
⑧
⑦
⑥
⑤
④
③
②
①
ストレートケーブルの順番に,より
線を並べ,先端をそろえる。
⑤
ニッパでより線の先端を約5mm
切り落とす。
(モジュラプラグにケーブルを差し
込みやすいようにする。)
-6-
⑥
モ ジ ュ ラ プ ラ グ に よ り 線 を 差 し込
む。
(奥まで差し込まれていることを確
認する。)
⑦
かしめ工具を用い,モジュラプラグ
差し込み,締め付ける。
⑧
反対側も同じように作成する。
⑨
テスタで確認する。
-7-
【演習】
クロスケーブルの結線図(図3)参照し,クロスケーブルを製作し,図4のように接続す
る。
図3
茶
白
茶
緑
白
青
青
白
緑
橙
白
橙
クロスケーブルの結線図
⑧
⑦
⑥
⑤
④
③
②
①
図4
茶
⑧
⑦ 白
茶
橙
⑥
⑤ 白
青
青
④
③ 白 橙
緑
②
① 白
緑
接続完成図
クロスケーブル
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パソコンA
パソコンB
WindowsXP
WindowsXP