研究論文 オンラインゲームへの依存傾向が引き起こす心理臨床的課題

研究論文 オンラインゲームへの依存傾向が引き起こす心理臨床的課題
潜在的不登校・ひきこもり心性との関連性
平井大祐
Ⅰ
徳島県精神保健福祉センター
/葛西真記子
鳴門教育大学
問題と目的
近年,神戸の連続児童殺傷事件や長崎の幼児殺害事件に代表される,以前では考えられな か
ったような年少の子どもたちによる凶悪犯罪が次々と起こっている。中でも記憶に新しいもの
に,長崎県佐世保市の小6女児同級生殺害事件がある。この事件の経緯からは,非言語的表出
に限界のあるインターネット・チャットによるコミュニケーションが,現実と遊離したイメー
ジを膨らませたことにより,加害女児の攻撃的な感情を増大させたのではないかと推察されう
る。このような現状を踏まえ,今後の技術革新によりインターネットが我々に与える影響を考
える時,ゲームとインターネットが融合したオンラインゲームについても,使用者の心身に与
える影響について楽観視できなくなってくる。
離れた不特定多数のユーザーがインターネットを介して,リアルタイムに遊ぶオンラインゲ
ームは,終わりのなさ,自由度の高さ等の点で依存しやすい傾向にあるといえ,ひきこもりの
状態を長引かせる最大の要因の一つとして注目されつつある(牟 田 ,2003)。筆者がこの問題に着
目したきっかけも,オンラインゲームを始めてすぐに不適応状態に陥り,母親がインターネッ
トの接続を切ると,家庭内暴力や部屋の破壊行為を行った不登校生徒への訪問面接であった。
オンラインゲームへの依存傾向についての先行研究としては,オンラインゲームの使用
時間の長さとうつ状態や感情起伏の激しさといった,神経症的傾向との間に正の相関が見
ら れ た と の 報 告 も あ り (Yee,2002a),神 経 症 的 な 葛 藤 を 背 後 に 持 つ こ と が 多 い と さ れ る 不 登
校の問題とも関わってくると考えられる。
韓国や中国など,各国におけるオンラインゲーム依存の状況は不登校,ひきこもり,突然死,
少年犯罪など深刻化しており,特に中国では 2002 年 10 月 か ら 重 慶 市 第 1 中 学 が ,重 慶 大 学 ,
重慶師範学院,南西医院,重慶市科学委員会などと協力し「青少年コンピューターゲーム
病 予 防 矯 正 セ ン タ ー 」を 共 同 設 立 し ,13 人 の 心 理 士による臨床活動が行われている。センタ
ーの報告によると,夜通しで明け方までゲームに興じたために,めまい,吐き気,不眠,夢を
多く見る,情緒不安定になるなどの症状が表れ,体重,記憶力の低下を伴うケースが多いとさ
れている(人 民 網 日 本 語 版 ,2002)。このような状況からは,突然死まで引き起こすオンライン
ゲームへの過度の熱中に付随する,不登校・ひきこもりは,従来見られたものとは異なった要
因が働いているように感じられる。さらに,突然死に着目すれば,ストレスによる疲労感に気
付きにくい Type A 行動パターンを持つオンラインゲーム使用者が過度の熱中により,冠状動
脈性心疾患(虚血性心疾患)を起こしたと考えることも可能である。
最近では,筆者もオンラインゲームという言葉を臨床場面で聞くことが多くなってきており,
国内のインターネット普及率からして,ここ数年の間にオンラインゲーム依存者が国内でも増
加すると考えられる。したがって,国内における現状を把握し,その影響について研究を進め
ることは急務と言える。
そこで本 研 究 で は , オ ン ラ イ ン ゲ ー ム へ の 依 存 の 特 徴 と , そ の 程 度 を 明 ら か に し , 特 に
不登校・ひきこもりを中心に,オンラインゲーム依存に対する有効な支援と,その予防に
ついて考えていくために,以下の2つの仮説を立て検証を行う。
1
1.
仮説Ⅰ
オンラインゲームへの依存は無力感や意欲の減退と関連があり,抑うつ傾向を高める
( 研 究 Ⅰ )。
2.
仮説Ⅱ
Type A 行 動 パ タ ー ン を も つ 者 は , そ の 性 格 行 動 特 性 で あ る 競 争 性 や 精 力 的 な 達 成 活 動 ,
慢性的な時間的切迫感,攻撃性と敵意などにより,不登校・ひきこもりになることは少な
い と 言 え る 。し か し ,Type A 行 動 パ タ ー ン を も つ 者 が ,オ ン ラ イ ン ゲ ー ム に 過 度 な 依 存 を
起 こ す こ と で , 本 来 関 連 性 が 少 な い は ず の 潜 在 的 な 不 登 校 ・ひ き こ も り の 心 性 を 持 つ ( 研
究 Ⅱ )。
Ⅱ 方法
1.
研究Ⅰ
1)
調査対象者
インターネット上のオンラインゲーム関連ホームページ内掲示板にて,オンラインゲー
ム が 日 常 生 活 に 与 え る 影 響 に つ い て の オ ン ラ イ ン 調 査 へ の 回 答 を 求 め た と こ ろ 993 名 か ら
の 回 答 が 得 ら れ た 。 こ の う ち 回 答 に 不 備 が あ っ た も の を 除 き , 914 名 の 回 答 を 分 析 の 対 象
に 用 い た 。 有 効 回 答 率 は 92.45%で あ っ た 。 平 均 年 齢 は 22.57 歳 (SD 6.91)で , 年 齢 の 範 囲
は 10 歳 ~ 66 歳 で あ っ た 。 そ の 内 訳 を 表 1 に 示 す 。
2)
調 査 項 目 の構 成
・フェースシート
回答者の性別,年齢,職業,オンラインゲーム使用の有無,オンラインゲーム使用歴,
1週間の合計使用時間について回答を求めた。
・ オンラインゲーム依存尺度
オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 依 存 尺 度 は , イ ン タ ー ネ ッ ト へ の 依 存 を 測 る た め に Young(1998)が 作
成 し , 小 田 嶋 (1998)に よ っ て 翻 訳 さ れ た , 全 20 項 目 か ら な る イ ン タ ー ネ ッ ト 依 存 尺 度 を
参 考 に ,筆 者 が ,オ ン ラ イ ン ゲ ー ム へ の 依 存 用 に 改 訂 し た 。20 項 目 の 中 か ら ,オ ン ラ イ ン
ゲームへの依存の深さとその様式をとらえる尺度として内容が適当だと思われるものに,
若 干 の 修 正 を 加 え て 16 項 目 を 採 用 し , さ ら に 回 答 者 の 受 け る 侵 襲 度 に 配 慮 し , 筆 者 が 作
成 し た ダ ミ ー (分 析 に 用 い な い )項 目 を 4 項 目 加 え ,全 20 項 目 と な っ た 。回 答 は「 あ な た が
今 一 番 よ く 遊 ぶ オ ン ラ イ ン ゲ ー ム に 当 て は ま る か ど う か の 度 合 い 」に つ い て ,
「とてもよく
あ て は ま る 」 5 か ら ,「 ま っ た く あ て は ま ら な い 」 1 と す る 5 件 法 で 求 め た 。
・抑うつ測定尺度
抑うつ測定尺度は,ホームページにおいて尺度を公開することを考慮し,逆転項目を設
け る こ と に よ り , 回 答 者 の 受 け る 侵 襲 度 へ の 配 慮 が な さ れ て い る こ と か ら , 堀 野 ら (1991)
の「抑うつ」測定尺度に,若干の修正を加えて用いた。本尺度は自己に対する否定的な出
来事をきっかけにして,軽く意欲の低下した状態である「落込み」と,悲哀感,絶望感な
ど を 伴 う , 深 刻 で 持 続 的 な 「 抑 う つ 」 を 分 け て と ら え て い る 。 ま た , Y-G 性 格 検 査 , 日 本
語 版 MMPI,BDI,SDS 等 か ら 引 用 さ れ ,妥 当 性 ,信 頼 性 を 検 証 し た ,17 項 目 か ら な る 。
回 答 は 「 あ な た 自 身 に 当 て は ま る か ど う か の 度 合 い 」 に つ い て ,「 と て も よ く あ て は ま る 」
5 か ら ,「 ま っ た く あ て は ま ら な い 」 1 と す る 5 件 法 で 求 め た 。
2
3)
調査時期
2003 年 7 月 10 日~23 日
2.
研究Ⅱ
1)
調査対象者
インターネット上のオンラインゲーム関連ホームページ内掲示板にて,オンラインゲー
ム が 日 常 生 活 に 与 え る 影 響 に つ い て の オ ン ラ イ ン 調 査 へ の 回 答 を 求 め た と こ ろ 1438 名 か
ら の 回 答 が 得 ら れ た 。こ の う ち 回 答 に 不 備 が あ っ た も の を 除 き ,1312 名 の 回 答 を 分 析 の 対
象 に 用 い た 。 有 効 回 答 率 は 91.24%で あ っ た 。 平 均 年 齢 は 22.50 歳 (SD 6.93)で , 年 齢 の 範
囲 は 7 歳 ~ 54 歳 で あ っ た 。 そ の 内 訳 を 表 1 に 示 す 。
2)
調 査 項 目 の構 成
フェースシートとオンラインゲーム依存尺度については研究Ⅰと同じものを用いた。
・A 型傾向判別表
Type A 行 動 パ タ ー ン を 測 定 す る 尺 度 と し て ,全 12 項 目 か ら な る ,前 田 (1985)の A 型 傾
向判別表を用いた。この尺度は,簡易質問紙のため,項目数が少なく回答者の負担が減る
こ と と , JAS(Jenkins Activity Survey for Health Prediction Form C)の Type A score と
の 比 較 か ら 妥 当 性 が 明 ら か に さ れ て い る (前 田 ,1985)と い う こ と で ,適 当 だ と 判 断 し た 。た
だし,使用の際,今回は他の尺度と併記するため,3件法を5件法とした。回答は「あな
た 自 身 に 当 て は ま る か ど う か の 度 合 い 」 に つ い て ,「 と て も よ く あ て は ま る 」 5 か ら ,「 ま
ったくあてはまらない」1とする5件法で求めた。
・潜在的不登校・ひきこもり尺度
潜 在 的 不 登 校 ・ ひ き こ も り を 測 定 す る 尺 度 と し て , 寺 田 ら (2002)が 使 用 し た 問 題 兆 候 尺
度の中から,潜在的不登校・ひきこもりの様式をとらえる尺度として内容が適当だと思わ
れるものを,逆転項目を中心に7項目を採用し,若干の修正を加えたものを用いた。回答
は「 あ な た 自 身 に 当 て は ま る か ど う か の 度 合 い 」に つ い て ,
「 と て も よ く あ て は ま る 」5 か
ら ,「 ま っ た く あ て は ま ら な い 」 1 と す る 5 件 法 で 求 め た 。
3)
モデルの構成
Type A 行 動 パ タ ー ン 傾 向 が 高 い 被 験 者 は ,潜 在 的 に 不 登 校・ひ き こ も り の 要 因 と な る 感
情を抱きやすくなるという重回帰分析をパス図により表現したものが,モデル1(図1)
である。これに対し,研究仮説をモデルの構想として取り入れ,これをパス図により表現
したものが,モデル2(図2)である。これら二つのモデルを比較することにより,仮説
を立証していくこととする。
4)
調査時期
2003 年 7 月 30 日~8 月 29 日
Ⅲ
結果
結 果 は 年 齢 別 , 職 業 別 に も 求 め た が , 年 齢 別 に お け る 40 代 以 降 と 職 業 別 に お け る 公 務
員,小学生については対象者数が少なく,結果の信頼性が低いと考えられる。したがって
以下の結果からは除外した。
1.
オンラインゲーム依存尺度の分析
1)
オンラインゲーム依存尺度の因子分析
3
研究Ⅰと研究Ⅱをあわせた全対象において,初めに,オンラインゲーム依存尺度からダ
ミ ー 項 目 を 除 い た 16 項 目 に つ い て , 天 井 - フ ロ ア 効 果 の 検 討 を 行 っ た 結 果 , 3 項 目 が 削
除 さ れ た 。 残 り の 13 項 目 に つ い て G-P 分 析 を 行 っ た 結 果 , 全 項 目 に 有 意 差 (p<.001)が 認
め ら れ た 。 こ の 13 項 目 に つ い て , 因 子 分 析 (主 因 子 法 , プ ロ マ ッ ク ス 回 転 )を 行 っ た 結 果 ,
4 項 目 が 削 除 さ れ「 オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 依 存 尺 度 」は「 没 頭 型 依 存 」因 子 5 項 目 と ,
「自覚型
依 存 」因 子 4 項 目 の 2 因 子 構 造 を 示 し た( 表 2 )。ま た ,研 究 Ⅰ と 研 究 Ⅱ の そ れ ぞ れ の デ ー
タについても因子分析を行った結果,下位尺度の再現性が確認された。
2)
使用時間・使用歴
研 究 Ⅰ と 研 究 Ⅱ を あ わ せ た 全 対 象 に お い て ,オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 依 存 尺 度 の 2 下 位 尺 度 と ,
オ ン ラ イ ン ゲ ー ム の 使 用 歴 ,使 用 時 間 と の 相 関 を 調 べ た( 表 3 )。そ の 結 果 ,オ ン ラ イ ン ゲ
ー ム の 使 用 時 間 と の 間 に 正 の 相 関 が 見 ら れ た (p<.001)。 こ の こ と か ら , 依 存 傾 向 の 強 さ は
使用時間の長さと関連が見られることが明らかとなった。さらに使用歴との相関が認めら
れなかったことからは,使用歴が長くなるほど依存傾向が弱まるような,一過性の状態を
測るものではないことが明らかとなった。これにより尺度の妥当性が確認された。
3) 対象別比較
研 究 Ⅰ と 研 究 Ⅱ を あ わ せ た 全 対 象 に お い て , オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 依 存 尺度得点について,t
検定や,分散分析により対象別比較した結果,男女差は認められなかった(t=1.3 n.s. )。年代別で
は,「没頭型依存」因子で有意差が認められた(F=8.040,p<.001) (表4)。職業別では,「自覚
型依 存」 因 子 (F=3.198,p<.001)と ,「没 頭型 依存 」因 子 (F=5.419,p<.001)で 有 意差 が認 め られ
たため,多重比較を行った(表5)。
2. 研 究 Ⅰ : 抑 う つ 傾 向 と の 関 連 性
1)
抑うつ測定尺度の因子分析
初 め に , 全 17 項 目 に つ い て , 天 井 - フ ロ ア 効 果 の 検 討 を 行 っ た 結 果 , 2 項 目 が 削 除 さ
れ た 。 残 り の 15 項 目 に つ い て G-P 分 析 を 行 っ た 結 果 , 全 項 目 に 有 意 差 (p<.001)が 認 め ら
れ た 。 こ の 15 項 目 に つ い て , 因 子 分 析 ( 主 因 子 法 ・ プ ロ マ ッ ク ス 回 転 ) を 行 っ た 結 果 ,
5 項 目 が 削 除 さ れ「 抑 う つ 測 定 尺 度 」は「 無 力 感 」因 子 6 項 目 と ,
「 意 欲 の 減 退 」因 子 4 項
目 の 2 因 子 構 造 を 示 し た ( 表 6 )。
2)
重回帰分析
オンラインゲームへの依存傾向と,抑うつ傾向との関連を,重回帰分析を用いて対象別
に 分 析 し た 結 果 , 無 力 感 尺 度 得 点 を 被 説 明 変 数 と し た 場 合 , 女 性 (r=.281,p<.001) ・ 主 婦
(r=.419,p<.05)・ 高 校 生 (r=.278,p<.01)・ 大 学 生 (r=.234,p<.01)に お い て 自 覚 型 依 存 尺 度 の み
有意で,正の寄与を示した。意欲の減退尺度得点を被説明変数とした場合,女性
(r=.423,p<.001)・主婦(r=.602,p<.01)・高校生(r=.272,p<.01)において自覚型依存尺度のみ有
意 で , 正 の 寄 与 を 示 し た 。 ま た , 男 性 (r=.267,p<.001) ・ 10 代 (r=.276,p<.001) ・ 会 社 員
(r=.263,p<.001) ・ 中 学 生 (r=.327,p<.01) ・ 専 門 学 校 生 (r=.272,p<.01) ・ 大 学 生
(r=.293,p<.001)・大学院生(r=.412,p<.05)において没頭型依存尺度のみ有意で,正の寄与を示
した。
3.
研 究 Ⅱ : A 型 傾 向 , 潜 在 的 不 登 校 ・ひ き こ も り と の 関 連 性
1)
因子分析
初 め に ,A 型 傾 向 判 別 表 の 全 12 項 目 に つ い て ,天 井 - フ ロ ア 効 果 の 検 討 を 行 っ た 結 果 ,
削 除 す べ き 項 目 は な か っ た 。 全 12 項 目 に つ い て G-P 分 析 を 行 っ た 結 果 , 全 項 目 に 有 意 差
4
(p<.001)が 認 め ら れ た 。こ の 12 項 目 に 因 子 分 析 (主 因 子 法 ,バ リ マ ッ ク ス 回 転 )を 行 っ た 結
果 , 1 項 目 が 削 除 さ れ ,「 A 型 傾 向 判 別 表 」 は 「 攻 撃 性 」 因 子 4 項 目 と ,「 熱 中 性 」 因 子 3
項目,
「 時 間 切 迫 感 」因 子 2 項 目 ,
「 第 4 」因 子 2 項 目 の 4 因 子 構 造 を 示 し た( 表 7 )。た だ
し,
「 第 4 」因 子 は 内 的 整 合 性 お よ び 信 頼 性 が 認 め ら れ な か っ た た め ,因 子 名 を 付 け ず ,以
下の分析から除外した。
また,潜在的不登校・ひきこもり尺度の全7項目について,天井-フロア効果の検討を
行 っ た 結 果 ,削 除 す べ き 項 目 は な か っ た 。全 7 項 目 に つ い て G-P 分 析 を 行 っ た 結 果 ,全 項
目 に 有 意 差 (p<.001)が 認 め ら れ た 。こ の 7 項 目 に つ い て ,因 子 分 析 (主 因 子 法 ,プ ロ マ ッ ク
ス 回 転 )を 行 っ た 結 果 , 全 項 目 が 削 除 の 対 象 と な ら な か っ た た め ,「 潜 在 的 不 登 校 ・ ひ き こ
も り 尺 度 」は「 自 己 否 定 」因 子 3 項 目 と ,
「 内 閉 」因 子 2 項 目「 対 人 萎 縮 」因 子 2 項 目 の 3
因 子 構 造 を 示 し た ( 表 8 )。
2)
共分散構造分析によるモデルの分析
オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 依 存 と Type A 行 動 パ タ ー ン と 潜 在 的 不 登 校 ・ ひ き こ も り の 因 果 関 係
をモデル化して見ていくために,多重指標モデルを作成し,共分散構造分析を行った。
図3のデータの分散共分散行列とモデルによって推定された分散共分散行列の適合度は,
一 般 化 最 小 自 乗 推 定 法 を 用 い た と き に , GFIが .98 で , AGFIが .96 で あ っ た 。 ゆ え に , こ
のモデルの適合性は高く,想定したモデルはデータの分散共分散行列をよく説明している
ということが証明された。しかし,もう一つの適合度指標であるカイ二乗検定の結果は推
定 さ れ た 仮 説 モ デ ル に デ ー タ が 矛 盾 し な い と い う 帰 無 仮 説 は 棄 却 さ れ な か っ た (χ 2 =
60.37, df=8 , p<.0001)。 つ ま り ,こ の モ デ ル に よ っ て 説 明 す る こ と は 可 能 だ が ,さ ら に 適 合
度の高いモデル構造が存在するのではないかということを示唆している。
構 成 概 念 間 の パ ス 係 数 を 検 討 す る と ,Type A 行 動 パ タ ー ン 傾 向 か ら 潜 在 的 不 登 校・ひ き
こ も り 心 性 へ の パ ス 係 数 (- .55)は 有 意 で あ っ た (p<.001)。
また,図4のデータの分散共分散行列とモデルによって推定された分散共分散行列の適
合 度 は , 一 般 化 最 小 自 乗 推 定 法 を 用 い た と き に , GFI が .93 で , AGFIが .85 で あ っ た 。
Tanaka(1987)と 豊 田 (1992)は , GFIの 値 が .9 以 上 で あ れ ば , 服 部 ・ 海 保 (1996)は , AGFI
の 値 が .9 以 上 で あ れ ば ,推 定 さ れ た モ デ ル は デ ー タ を う ま く 説 明 し て い る と い え る と 述 べ
ている。ゆえに,このモデルの適合度がほぼ認められたといえる。しかし,もう一つの適
合度指標であるカイ二乗検定の結果は推定された仮説モデルにデータが矛盾しないという
帰 無 仮 説 は 棄 却 さ れ な か っ た (χ 2 = 441.35, df=18, p<.0001)。 つ ま り ,こ の モ デ ル に よ っ て
説 明 す る こ と は ほ ぼ 可 能 だ が ,さ ら に 適 合 度 の 高 い モ デ ル 構 造 が 存 在 す る の で は な い か と
いうことを示唆している。
構 成 概 念 間 の パ ス 係 数 を 検 討 す る と ,Type A 行 動 パ タ ー ン 傾 向 か ら オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 依
存 傾 向 へ の パ ス 係 数 (.33),オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 依 存 傾 向 か ら 潜 在 的 不 登 校 ・ ひ き こ も り 心 性
へ の パ ス 係 数 (.36)と も に 有 意 で あ っ た (p<.001)。
3)
重回帰分析(男女別)
共 分 散 構 造 分 析 で 明 ら か と な っ た 構 造 を よ り 詳 細 に 分 析 し て い く た め に ,Type A 行 動 パ
タ ー ン か ら オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 依 存 ,オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 依 存 か ら 潜 在 的 不 登 校・ひ き こ も り ,
Type A 行 動 パ タ ー ン か ら 潜 在 的 不 登 校 ・ ひ き こ も り の 重 回 帰 分 析 を , 対 象 別 に 行 っ た 。
そ の 結 果 , 男 性 ・ 女 性 に お い て , 自 覚 型 依 存 (r=.239,p<.001; r=.196,p<.05)お よ び 没 頭
5
型 依 存 (r=.213,p<.001; r=.231,p<.01) 尺 度 得 点 を 被 説 明 変 数 と し た 場 合 , 攻 撃 性 に お い て
有 意 で , 正 の 寄 与 を 示 し た 。 内 閉 (r=.234,p<.001 ; r=.264,p<.001) お よ び 対 人 萎 縮
(r=.199,p<.001; r=.226,p<.01) 尺 度 得点 を 被 説 明変 数 と し た場 合 , 男 性 ・ 女 性 に お い て ,
没 頭 型 依 存 に お い て 有 意 で , 正 の 寄 与 を 示 し た 。 女 性 に 関 し て は 対 人 萎 縮 尺 度 得点 を被 説
明変数とした場合,自 覚 型 依 存 に お い て 有 意 で , 正 の 寄 与 を 示 し た (r=.227,p<.01)。 男 性 ・
女 性 に お い て Type A 行 動 パ タ ー ン 傾 向 と 潜 在 的 不 登 校 ・ ひ き こ も り 心 性 の 関 連 は 見 ら れ
ないか,もしくは負の寄与が見られた。
4)
重回帰分析(年代別)
年 代 別 で は , 自 覚 型 依 存 ・ 没 頭 型 依 存 尺度得点を被説明変数とした場合,と も に 10 代 の
攻 撃 性 に お い て 有 意 で , 正 の 寄 与 を 示 し た (r=.247,p<.001; r=.281,p<.001)。 10 代 ・ 20
代 ・ 30 代 に お い て , 内 閉 尺度得点を被説明変数とした場合,没 頭 型 依 存 に お い て 有 意 で ,
正 の 寄 与 を 示 し た (r=.272,p<.001; r=.249,p<.001; r=.221,p<.01)。
5)
重回帰分析(職業別)
職 業 別 で は , 中 学 生 (r=.265,p<.01)・ 大 学 生 (r=.293,p<.001)・ 会 社 員 (r=.228,p<.001)・
自 営 業 (r=.293,p<.05)に お い て , 自 覚 型 依 存 を 引 き 起 こ し て い る 要 因 の ひ と つ と し て , 攻
撃 性 が 関 わ っ て い た 。 さ ら に , 中 学 生 (r=.390,p<.001) ・ 高 校 生 (r=.248,p<.001) ・ 大 学 生
(r=.220,p<.01)が , 没 頭 型 依 存 尺 度得点を被 説明変数と した場合, 攻 撃 性 に お い て 有 意 で ,
正 の 寄 与 を 示 し た 。 ま た , 中 学 生 (r=.320,p<.001) ・ 高 校 生 (r=.226,p<.01) ・ 専 門 学 校 生
(r=.478,p<.001)・ 大 学 生 (r=.244,p<.01)に お い て , 内 閉 尺度得点を被説明変数とした場合,
没 頭 型 依 存 に お い て 有 意 で , 正 の 寄 与 を 示 し た 。 さ ら に 中 学 生 (r=.332,p<.001)・ 高 校 生
(r=.201,p<.01)・大 学 生 (r=.329,p<.001)お い て ,対 人 萎 縮 尺度得点を被説明変数とした場合,
没頭型依存において有意で,正の寄与を示した。
Ⅳ 考察
1. オンラインゲーム依 存 傾 向 が抑 うつ傾 向 に及 ぼす影 響 について
まず,オンラインゲームへの依存が抑うつ傾向を高めるという仮説Ⅰがどのように検証
されたのかを考察していきたい。オンラインゲーム依存傾向と抑うつ傾向の関連をみた研
究Ⅰの結果,女性,特に主婦は依存を自覚しながらも,オンラインゲームを止められない
自分に無力感を感じたり,オンラインゲームに没頭しすぎて,家事や育児などへの意欲が
湧かないでいたりすることが,重回帰分析により明らかとなった。この結果は仮説Ⅰが検
証されたことを示しているといえる。
Yee(2002b)は , 女 性 が オ ン ラ イ ン ゲ ー ム を 使 用 す る 動 機 と し て , 関 係 性 を 最 も 重 視 し て
いると報告しており,オフラインのゲームと違い双方向性を持つため,オンラインゲーム
上で人間関係が生じることが要因として考えられる。
ま た ,Wallace(2001)の 言 う よ う に ,イ ン タ ー ネ ッ ト 使 用 者 は 非 常 に 愛 他 的 で あ る 。そ れ
ゆえ女性にとって,オンラインゲームは他人に世話を焼き,他人に頼られることで自分の
存 在 意 義 を 確 か め る こ と が で き る 居 場 所 と な り や す い 。そ の 結 果 と し て 使 用 時 間 は 増 加 し ,
ゲーム以外の現実生活への関心は薄れ,無力感を感じたり,意欲の減退を起こしたりする
と考えることができる。
女性や主婦に限らず,オンラインゲームを始める時には,オフラインで遊ぶテレビゲー
6
ムと同様,ゲームとして楽しもうとするが,そのうちにこういったオンラインゲーム独特
の人間関係に囚われていく使用者もいるのではないだろうか。
さらに結果からは,中学生は他の職業と比べて依存の度合いが大きく,オンラインゲー
ムには没頭するが,他のことに対する興味は薄く,意欲が湧かないでいることも重回帰分
析 に よ り 明 ら か と な っ た 。こ の 結 果 も ま た 仮 説 Ⅰ が 検 証 さ れ た こ と を 示 し て い る と い え る 。
中 学 生 の 3 年 間 は ち ょ う ど 思 春 期 に あ た り ,自 ら を コ ン ト ロ ー ル す る こ と さ え も 難 し く ,
親子関係が取りにくい時期でもある。また,時間的制約や社会的制約が少ないため,長時
間オンラインゲームに没頭することができる。よって,親や周囲の関わりが上手くなされ
なかったときには没頭型依存となり意欲の減退が起こった末,不登校や学力低下に繋がる
といった可能性があると考えられる。さらに,周囲がその状況を軽視し,放置したり,取
り上げたり与えたりを繰り返すといった不適切な関わりを続けるとその傾向が増し,最終
的には,うつ的状態に陥り,初めに紹介した事例のように,ゲームを取り上げる,取り上
げないという問題ではなく,治療的介入が必要になる危険性もはらんでいる。
山 中 (1978)は 思 春 期 内 閉 症 に つ い て “ 外 的 に は 社 会 的 自 我 の 未 成 熟 と さ れ る 消 極 面 を も
ちつつも,内的には退行,しかもそれは次なる新生をもたらすための蛹の時期とでもいう
べ き 積 極 面 を 併 せ も っ て い る ” と し て お り , 安 島 (1986)は “ こ の ク ラ イ エ ン ト の 内 的 成 長
へ向かう力がこれほどに力強いものであるかを治療者は経験することができた”と不登校
から登校を始めた思春期内閉症の事例において,クライエントの内的積極面を報告してい
る。オンラインゲームの使用も,自我同一性の獲得を課題とする青年期の自分探しをする
場として,さまざまな自分を生きることのできるオンラインゲームの特徴は,非常に都合
が良く,多様な年代や職種,価値観をもつ人たちの出会いによって“蛹の時期”における
内的成長の一助となる可能性もある。
しかし,抑うつとの関連が明らかとなった本研究の結果に沿って考えるとすれば,結末
の用意されていないオンラインゲームの世界で誇大自己を求め,延々とモラトリアムを続
け る こ と も 可 能 で あ り ,自 我 同 一 性 拡 散 の 末 ,意 欲 の 減 退 を 起 こ す 危 険 性 も 推 測 さ れ う る 。
2. Type A 行 動 パ タ ー ン を 持 つ 人 の オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 依 存 傾 向 が 潜 在 的 不 登 校 ・ ひ き こ も
り心性に及ぼす影響について
次に,仮説Ⅱがどのように検証されたかについて考察していきたい。仮説Ⅱでは,まず
前 提 と し て ,Type A 型 行 動 パ タ ー ン を 持 つ 人 は 潜 在 的 不 登 校・ひ き こ も り の 心 性 は 持 ち に
くいと考えた。研究Ⅱの結果,これらの関係において負の相関が見られ,この前提は明ら
か と な っ た( 図 3 )。さ ら に ,仮 説 Ⅱ で は ,Type A 型 行 動 パ タ ー ン を 持 つ 人 が オ ン ラ イ ン
ゲームに依存することで,潜在的不登校・ひきこもりの心性を持つと仮定した。研究Ⅱの
結果,オンラインゲーム依存尺度が間に入ることで,正の相関となることが明らかとなっ
た( 図 4 )。こ の 負 か ら 正 へ の 変 化 は ,不 登 校・ひ き こ も り の 心 性 を 持 ち に く い は ず の Type
A に不登校・ひきこもりの心性を持ちやすくする誘因として,オンラインゲーム依存が影
響するということを明示した結果といえるのである。
で は ,オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 使 用 場 面 に お け る ,Type A の 特 徴 と し て は ど の よ う な こ と が 考
え ら れ る の だ ろ う か 。Type A の 人 は 競 争 心 が 強 い た め 努 力 す る 傾 向 が 強 く ,他 人 よ り 早 く
成長させるためにできる限りの効率化を図り,より多くの時間をゲームに費やす。オンラ
インゲームには,達成感の得られる小さな課題は用意されているが,ゲーム終結が設定さ
7
れ て い な い 。こ れ に よ り ,い く ら 自 分 の キ ャ ラ ク タ ー が 早 く 強 く 成 長 す る こ と が あ っ て も ,
終わりがないために仕事量が減ることはない。数万人の使用者がいる中では,どこまでい
っても自分を上回る者がおり,より強くなろうとして休息や睡眠時間を削り,ストレスが
高 ま る こ と が 考 え ら れ る 。ま た ,Type A の 特 徴 で あ る 時 間 切 迫 感 が 強 い と ,オ ン ラ イ ン ゲ
ームの利用をすることによってますますスピードを追求するようになる。そして,いつも
何 か に 追 い た て ら れ て い る か の よ う に ゲ ー ム に の め り こ ん で い く 。さ ら に ,Type A の 人 は
完全性を求め,ストレスが高くなるだろう。もちろん,オンラインゲームも正確性を追求
す る 世 界 で あ り , さ ら に Chat に よ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン は タ イ ピ ン グ の ス ピ ー ド も 要 求
される。また,協力して一つのことを行うことの多いオンラインゲームでは,一つでも操
作をミスすると,他のメンバーに迷惑をかけることになり,人から認められたいという欲
求 の 強 い Type A の 人 は そ れ を 避 け る た め に 正 確 な 操 作 を 心 が け , 完 全 性 を 自 分 自 身 に 求
め る よ う に な る こ と は 容 易 に 推 測 で き る 。さ ら に ,Type A の 人 は 無 謀 に も オ ン ラ イ ン ゲ ー
ムに関しても何とかコントロールしようと努力することが予想される。その上,極端な場
合には,これらの基準を自分だけでなく,他者にも求めようとするため,現実世界におい
ては,対人関係で上手くいかなくなってしまうことが予測されるのだが,オンラインゲー
ム上ではその競争心の高さにより,人一倍努力し,何万人もの使用者の中でもエリート的
な 存 在 ,羨 望 の 的 と な り ,Type A は 自 分 の 存 在 を 認 め ら れ た い と い う 強 い 願 望 を も つ た め
に,さらに疲労感を無視して努力を重ねることとなると考えられる。
さらに重回帰分析の結果を詳細に分析していく中で,上に述べたオンラインゲーム依存
場 面 に お け る Type A の 特 徴 の な か で も , Type A 型 行 動 パ タ ー ン を も つ 人 の 競 争 心 や 敵 意
がゲーム内でも発揮され,終わりのないシナリオの中で,より高みを目指してゲームをせ
ざ る を 得 な い ,も し く は の め り こ ん で し ま う と い う 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。こ の こ と に よ り ,
図 5 の よ う な Type A の オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 依 存 サ イ ク ル が 明 確 に な っ て き た 。
3.
支援と予防に向けて
本研究では,オンラインゲームへの依存と不登校・ひきこもりとの関連において,少な
か ら ず 問 題 が あ る こ と が 明 ら か と な っ た 。オ ン ラ イ ン ゲ ー ム は ,そ の 依 存 性 の 高 さ に よ り ,
不登校・ひきこもりの問題と関連する要因となりうる。また,オンラインゲームが単独で
リスク要因として働くのではなく,本人の要因,家庭や学校などの環境要因に含まれる複
数の要因が累積した時,適応上の問題が生じるリスクが高まるだろう。
まず,オンラインゲーム依存の危険性に対する認識を高める必要がある。本研究の結果
から言えることとして,中高生の没頭型依存が目立つ。ここには,よくわからないものを
よくわからないままに子どもたちにさせていることの危険性が表れている。オンラインゲ
ーム依存症には,コンピューター操作への依存であるテクノ依存症に加えて,ネットワー
ク(関係性)への依存,さらにはゲーム性への依存の可能性があり,非常に依存性が高い
と言える。このような危険性を認識し,しっかりとしたメディアリテラシー教育を進めて
いくことが最優先の予防策であり,今後の課題と言える。
あ る い は , 木 村 (2003)の 言 う 「 テ レ ビ ゲ ー ム 第 二 世 代 」 の よ う に , 生 ま れ た と き か ら イ
ンターネットやオンラインゲームのある環境で育っている「オンラインゲーム第二世代」
の子どもたちは,依存せずに,オンラインゲームにも適応し,新たな生活スタイルを獲得
していくのかもしれない。
8
技 術 革 新 と 人 間 の 適 応 能 力 に お け る ス ピ ー ド の 差 ,ゆ え に 起 こ る 軋 轢 を 解 消 す る た め に ,
臨床心理士の力が今後さらに求められるであろう。
<付記>
本論文は鳴門教育大学大学院学校教育研究科学校教育専攻教育臨床コース臨
床心理分野修士論文として提出されたものの一部であり,本論文の一部はゲーム学会第 2
回大会で発表されたことを併記致します。また,調査にご協力くださいました皆様に心よ
りお礼申し上げます。
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9
(1998).
イ
図1
図3
図2
研究Ⅱで検討する因果モデル1
共分散構造分析によるモデル1の分析結果
( 研 究 Ⅱ n=1312)
表2
オンラインゲーム依存尺度
図4
研究Ⅱで検討する因果モデル2
共分散構造分析によるモデル2の分析結果
( 研 究 Ⅱ n=1312)
因子分析(全対象
n=2226)
因子負荷量
1
2
没頭型依存
No .
項目
11.
10 .
3.
オンラインゲームのない 生 活 はたいくつで, むなしいだろうと , 不 安 に 思 う こ とがある
次 にオンラ イ ンゲームをするのを楽 しみ にして いる自 分 に 気 づ くことがある
友 人 と出 かけたり遊 びに行 ったりするよりも,オンラインゲームをするほうが楽 しいことが
ある
オンラインゲームをしているときにだれかにやめさせられると,きげんが悪 くなったり,いら
いらしたりする
オンラインゲームをしていない時 に,オンラインゲームのことを考 えてぼんやりとしたり,オ
ンラインゲームをしているところを思 いうか べたりする
オンラ イ ンゲームに 時 間 をかけ すぎて, 仕 事 や 学 校 の 成 績 ・ 勉 強 に 悪 影 響 が 出 ている
ほかにしな くて はいけないことがあっても ,オ ンラインゲームを始 める
オンラ イ ンゲームをする時 間 を へらそ うとして, できなかった こ とがある
深 夜 にオンラ イ ンゲームをするた め, 睡 眠 不 足 になることがあ る
12 .
14 .
自覚型依存
6.
7.
17 .
13 .
固有値
因子間相関
α係 数
表3
使用歴・使用時間と依存の相関
( 全 対 象 n=2226)
尺度名
使用歴
自覚型依存
n .s.
没頭型依存
n .s.
n. s. n o t si g ni fi ca n t,
使用時間
.25 4 * * *
.27 4 * * *
* * *p <. 00 1,
表4
- .0 84
- .0 34
.09 4
.57 1
.06 9
.55 2
.17 2
- .1 33
.089
.12 1
.073
.882
.701
.426
.414
3 .6 9
.640
.72
1 .1 3
.77
依 存 尺 度 得 点 の 年 代 別 比 較 ( 全 対 象 n=2226)
尺度名
総得点
自覚型依存
没頭型依存
F 値
4.795 * *
0.865 n . s .
8.040 * * *
分散分析の結果
多重比較
10 代 >20 代 * *
10 代 >20 代 * * *
10 代 >30 代 *
n. s. no t si gn i fi ca nt , ** p< . 01 ,* ** p <. 00 1 ,
表5
図5
.67 3
.64 1
.57 5
依 存 尺 度 得 点 の 職 業 別 比 較 ( 全 対 象 n=2226)
尺度名
総得点
F 値
2.833 * *
自覚型依存
没頭型依存
3.198 * * *
5.419 * * *
Type A の オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 依 存 サ イ ク ル
10
分散分析の結果
多重比較
中 学 生 >自 営 業 *
高 校 生 >自 営 業 **
中 学 生 >会 社 員 *
中 学 生 >自 営 業 ***
中 学 生 >大 学 院 生 **
中 学 生 >フ リ ー タ ー *
高 校 生 >大 学 生 **
高 校 生 >自 営 業 **
会 社 員 >自 営 業 *
表7
攻
撃
性
熱
中
性
時
間
切
迫
A 型 傾 向 判 別 表 因 子 分 析 結 果 ( 研 究 Ⅱ n=1312)
因子負荷量
2
No .
項目
1
3
共通性
11 .
10 .
9.
12 .
5.
1.
4.
2.
3.
気 性 が はげしい
勝 気 で ある
イ ライ ラ し た り怒 りや す い
仕 事 ,そ の 他 の ことで, 他 人 と 競 争 するという 気 持 ちを 持 ち や すい
やる以 上 は,か なり 徹 底 的 に や らないと気 がす まない
仕 事 ,そ の 他 な にかに 熱 中 し や すい
仕 事 に 熱 中 す ると, 他 のことに 気 持 ちの 切 り 替 えができに くい
忙 しい 生 活 であ る
毎 日 の 生 活 の 中 で , 時 間 に 追 われるような 感 じがする
.74 5
.68 6
.62 5
.43 2
.12 8
.06 5
.101
.01 1
.09 5
.02 4
.22 3
- .0 16
.26 2
.67 7
.59 5
.46 1
.13 8
.07 7
.12 6
.01 4
.07 8
- .0 20
.08 8
.01 9
.13 8
.77 6
.63 5
.59 1
.60 7
.55 2
.26 0
.48 5
.36 9
.25 8
.64 7
.43 3
2 .6 5
14 .95
14 .95
.70
1 .7 5
11 .93
26 .89
.55
1 .4 0
9 .6 9
36 .58
.66
固有値
因子寄与率%
累積寄与率%
α係 数
表6
表1
抑 う つ 測 定 尺 度 因 子 分 析 ( 研 究 Ⅰ n=914)
対 象 者 の 内 訳 ( 全 対 象 n=2226)
研究Ⅰ
対象
全体
男性
女性
~ 10 代
20 代
30 代
40 代 ~
会社員
自営業
公務員
主婦
フリーター
小学生
中学生
高校生
専門学校生
大学生
大学院生
その他
人数
1312 名
1137 名
175 名
513 名
598 名
182 名
19 名
357 名
55 名
23 名
27 名
116 名
17 名
154 名
218 名
52 名
199 名
32 名
62 名
7.
人 に負 けないような得 意 なことがあ
る (- )
5. 人 の 役 に 立 つ よ う な 仕 事 の で き る
人 間 だ と 思 う (- )
1 . 人 に 自 慢 できる ことがある ( - )
6. 社 会 に 役 立 つ 人 間 に な る と 思 う
(- )
3. 特 別 な 才 能 も な く 偉 く な れ そ う も な
い
2. 自 分 は役 に立 たない人 間 だと思 う
11 . 失 敗 は し た く な い の で , で き る こ と し
かやらない
13 . ど う な る か よ く わ か ら な い こ と は や り
たくない
12 . 物 事 は 結 局 自 分 の 思 い 通 り に な ら
ないと思 う
10. 人 生 は なるよう にしかならない と思 う
固有値
因子間相関
α係 数
注 ) (- ) が つ い た 項 目 は 逆 転 項 目
意 欲 の減 退
表8
人数
914 名
734 名
180 名
332 名
447 名
113 名
22 名
229 名
49 名
13 名
28 名
105 名
10 名
96 名
125 名
56 名
176 名
27 名
因子負荷量
1
2
項目
無力感
対象
全体
男性
女性
~ 10 代
20 代
30 代
40 代 ~
会社員
自営業
公務員
主婦
フリーター
小学生
中学生
高校生
専門学校生
大学生
大学院生
No .
研究Ⅱ
. 71 9
- .0 64
. 71 1
- .0 38
. 70 4
. 66 2
- .0 69
- .0 25
.611
.183
.528
- .0 64
.162
.690
- .0 68
.669
.055
.498
.090
3 .9 1
.55 0
.83
.491
1 .4 2
潜 在 的 不 登 校 ・ひ き こ も り 尺 度 因 子 分 析 ( 研 究 Ⅱ n=1312)
No .
項目
1
人 の 役 に 立 って い る と ころがあ る (- )
ほかの 人 に 自 慢 で きることが ある ( -)
他 人 と 気 軽 に 対 面 して 話 をす ることができる ( -)
ひとりでいるより , 人 と 一 緒 にい るほうが 楽 しい ( -)
内閉
家 にばかりいた くない ( - )
人 か らどう 思 わ れているかがと ても 気 になる
対人萎縮
すぐ,人 の 言 い なりになる
固有値
1.
因子間相関
2.
3.
α係 数
注 ) (- ) が つ い た 項 目 は 逆 転 項 目
自己否定
1.
6.
4.
7.
5.
2.
3.
11
因子負荷量
2
.75 5
.62 4
.36 0
- .0 01
- .0 68
- .0 82
.052
2 .1 7
1 .0 00
.59 2
.21 1
.63
- .1 06
.00 9
.22 6
.64 7
.59 0
-.121
.07 6
1 .3 7
.59 2
1 .0 00
.10 8
.52
3
- .1 04
.02 5
.21 7
- .0 57
- .0 14
.705
.508
1 .0 0
.21 1
.10 8
1 .0 00
.49
.67