第2章 各国に 各国に対する援助 する援助の 援助の現状 1. パプアニューギニア・ パプアニューギニア・太平洋 1.1 パプアニューギニア独立国 パプアニューギニア独立国 ODA 総額 435.6 百万ドル オーストラリアの援助対象国の中ではパプアニューギニアの安全と繁栄を図ること が非常に高い優先順位となっている。 パプアニューギニアに対する ODA の総額は 2004-05 年においては 27%の増加とな っており、この増額によりパプアニューギニアの援助強化プログラムが再開されるこ ととなった。 現在、パプアニューギニアは 700 を超える、社会的グループと経済的グループとに 大きく分散し、社会、経済の両面に大きな問題を抱えている。 パプアニューギニアの経済はわずかなガス、鉱物、木材といった天然資源に頼って いる状況である。孤立した地域では不健康で文盲率が高く、都市部では深刻な治安問 題を抱えている。エイズの感染率も増加し深刻さを一段と深めている。パプアニュー ギニア政府、オーストラリアをはじめとする援助国の努力にもかかわらずあまり進展 が見られていない。 図表 2-1 開発援助分野・比率 特に、オーストラリアはパプアニューギニアと一体となって、HIV/AIDS の感染の 拡大を防ぐとともに撲滅に努めている。病気の蔓延はパプアニューギニアの開発に対 して脅威ともいうべきものである。現在、パプアニューギニアは太平洋地域では最も 感染率の高い国となっている。注目すべきこととして、2020 年までに労働人口の3分 の1が減少するという調査結果が出されている。 20 人 19 91 年 19 92 19 年 93 年 19 94 年 19 95 19 年 96 年 19 97 年 19 98 19 年 99 年 20 00 年 20 01 20 年 02 年 20 03 年 9000 8000 7000 6000 5000 4000 3000 2000 1000 0 図表 2-2 HIV/AIDS 感染の推移 そのため、オーストラリアはこの 5 年間で 6,000 万ドルをかけて HIV/AIDS 撲滅の ためにパプアニューギニアに支援を行ってきた。 1.2 太平洋地域 ODA 総額 383.1 百万ドル 太平洋地域は様々な国で構成されているが、孤立、資源不足、貧弱なインフラ、急 激な人口増加、熟練労働者の不足、都市化等の似通った問題に直面している。また、 国際的な貿易の増加に伴う経済的な恩恵を得ることが困難な環境にもある。 RAMSI(Regional Assistance Mission to Solomon Islands ソロモン諸島地域支援 団)におけるオーストラリアの役割はより良い経済管理のための支援拡大、国内及び国 境の安全、紛争防止及び解決への体制整備、治安維持等に大いに効果を上げている。し かし、太平洋地域でのこのような広範囲なものの改革には長い年月が必要である。大き な変化を求める場合、援助する側とされる側の両者にとって根気よく継続していくこと が大切である。太平洋地域での政府と個人とでは発展的な改革の見方は異なったもので ある。また、進歩の過程は山あり谷ありで一定のものではなく、急激な反転も時として 起こる。 太平洋地域に対する各国への援助は図表 2-3 のとおりである。 21 図表 2-3 太平洋地域への援助 (1)ソロモン諸島 ODA 総額 201.6 百万ドル オーストラリアとソロモン諸島の取り決めは、太平洋諸島の援助をより実践的なも のにすることへのはじまりであった。 ソロモン諸島は、民族の緊張と 2000 年のクーデターの後、いろいろな形での紛争 に耐えてきた。2003 年前半までは、強要とあからさまな横領が国中にはびこり、無法 状態が続いていた。 その上、政府の管理体制が崩壊していて、経済や基本的な福祉サービスの提供など はとても期待できない状況であった。このような困難な環境下にあって、ソロモン諸 島のアラン首相は、オーストラリアや太平洋諸島のパートナーからの支援を要請し、 2003 年 7 月 24 日 RAMSI が設立された。RAMSI の目的は物理的な、そして経済的 な安定とソロモン諸島の政府の基本的機能を再構築することであった。これら再構築 への取組みはかなりの効果を示しており、基本的な法と秩序の再構築、政府予算を安 定させることにつながっている。RAMSI は、オーストラリア開発援助プログラムの 下、特に、司法の分野、経済再構築のための支援、平和構築、コミュニティー開発、 公共医療等の拡大した活動をこなしている。 2004-05 年、RAMSI はソロモン諸島が包括的な改革政策を実行するのを集中して 支援することにしている。 改革のためのプライオリティーは、 まず経済の自治であり、 次に、政府の機構を立て直して法律及び司法のセクターを強化することである。 22 (2)バヌアツ共和国 ODA 総額 30.9 百万ドル バヌアツに対する開発援助は、2004-05 年には貧困と潜在する不安定な問題に対応 していくために 820 万ドルまで予算が増額された。オーストラリア開発援助プログラ ムは、自治の改革や広範囲な分野にわたる生産性の向上及びサービスの提供などをと おして、経済開発を促進し、人々の福祉の向上を図りバヌアツの長期安定を支援する ことである。 UNDP の調査によると、バヌアツでは人口の約 40%に当たる人たちが貧困にあえ いでおり、太平洋州で三番目に貧しい国である。法と秩序の乱れと経済の低下後、バ ヌアツは、その社会的・経済的な立場を安定させることに若干の前進をみることがで きた。しかし、バヌアツは今、成長を継続できるか、更なる低下を迎えるかの分岐点 に差し掛かっている。比較的弱体な自治構造と急速な人口増加とが相まって、オース トラリアのような援助国からの支援がなければ、貧困からの脱出の可能性はほとんど ない状況である。 急速な成長と若い人口(24 歳未満の若者は全人口の 60%に当たる)によって引き 起こされる、肥大した支出、特に教育と公共医療サービスへの支出は、経済及び政府 の予算に対して、さらに強い圧迫を加えている。 新しい国家開発戦略の下、オーストラリアは、キーとなる組織(警察及び司法のシ ステムを含む)の管理を改善するために、バヌアツと一緒になって、法律と司法セク ター、及び投資と経済成長に貢献できる環境をより強固に、より責任を持てるように するために努めている。 基本的な福祉の提供を改善するために、オーストラリアは、長期の保健と教育のプ ログラムを含め、中央政府と州政府間の連携を強化する改革を支援している。 (3)フィジー諸島共和国 ODA 総額 25.1 百万ドル フィジーに対するオーストラリアの開発援助は、2004-05 年に 510 万ドルが計上さ れ、フィジー政府が力を入れている自治の向上、貧困の撲滅、安定の促進のために支 援が行われている。 UNDP は、フィジーの人口の約 40%から 50%が貧しく、2000 年 5 月以来、政治 的に不安定であることが弱者グループの貧困を加速していると推測している。 オーストラリア開発援助プログラムは、フィジー政府が独自に作成した開発優先事 項を推奨し、法律と司法組織の強化、保健と教育の促進を図ることを中心に実施して いる。 法律と司法部門では、オーストラリアは計画を改善し、警察と司法と刑務所間の交 流を促進できるように統合を行ってきた。 この援助は、また、犯罪を調査し、防止するための警察能力を強化するためのもの 23 でもあり、訴訟手続き、審判、社会復帰の向上、コミュニティーの安全を強化するこ とに向けられている。 また、オーストラリアは長期開発援助プログラムをとおして、農村地域にも基本的 な福祉を確立するために、改革と支援を行い、同時に保健と教育の改善に直接支援を 継続していくこととしている。 (4)サモア独立国 ODA 総額 18.4 百万ドル サモアへのオーストラリアの援助は、自治及び福祉を中心に実施している。 プライオリティーは、公的な部門で進行中の改革をサポートし、サモア人の警察力 を強化することを含む基本的な福祉サービスの効果的な提供を確保することにある。 サモアの国境区域でのセキュリティーと防護手段は既に改善がなされている。 (5)ナウル共和国 ODA 総額 17.5 百万ドル ナウルは、資源の枯渇と大きな財政支出を抱え、大変厳しい状況に直面している。 2004 年 3 月 に オ ー ス ト ラ リ ア と ナ ウ ル 政 府 は 、 MOU(Memorandum of Understanding) でナウル沖合の処理センターの管理に関する覚書にサインし、オー ストラリアはナウルの経済と開発問題解決を支援するために、有効な開発戦略を計画 した。 オーストラリアは開発援助プログラムを通じて、2004-05 年には追加予算として 1350 万ドルを提供し、安定したナウルの経済と法と秩序の強化を図った。 そのほかにナウル警察官の能力向上のための訓練、マネージメントの向上、重要な 電力、水、港のインフラ整備と保健と、教育を含む基本的な福祉の充実を支援してい る。 (6)その他の太平洋諸島 トンガに対し、公共部門の経済改革と保健と教育プログラムの支援を継続して行っ ている。 クックアイランドでは、2004 年 7 月にオーストラリアとニュージーランドとの共 同パイロットプロジェクトが開始された。 オーストラリア、ニュージーランド、キリバスは、広い分野へのアプローチを考え ていてその一つとして、共同で教育部門のアセスメントに着手した。 ツバルに対しては、オーストラリアが信託基金の運用を手助けしている。また、教 育部門では活動基金の支援を行っている。 ミクロネシア連邦の国境警護を目的とした援助を実施し、援助スキームの中に奨学 金制度があり、マーシャル諸島、パラオ、トケラウの人たちにも与えられている。 24 2. 東アジア ODA 総額 493.4 百万ドル 東アジア地域は、SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome 重症急性呼吸器症 候群)及び鳥インフルエンザの被害から回復し、経済成長率が約 6%に達すると世界 銀行により見積もられており、東アジアでの経済活動が再び強くなることが期待され ている。東アジアの長期回復の主な要因は、アメリカ及び日本からアジア地域への投 資が増大したことと、中国の強い成長により東アジア諸国からの輸入が増大したこと によるものである。 ローカル経済にとって、収益性、資本流入、銀行貸出の増加といったより良い国内 投資条件が整い、また、金融市場は高止まっていた。 経済成長の結果として、地域全体の貧困の度合いは減少したが、貧困が、さらに、 農村地域、少数民族及び社会的に弱いグループに集中されるので、現在のレベル(世 界銀行によると約 6 億 8,000 万人 )から貧困の絶対数の減少は困難である。 域内の国のために、2004 年のプライオリティーは、成長を遅らせずに長期の公債を 管理することを意図した慎重なマクロ経済方針を実施することである。金融と企業部 門の改革及び改善された法律の枠組みは、投資にとって重要な要素となっている。 近年ますます大きくなった課題としては、多くの国がテロ対策と安全に力を入れる 必要が出てきたことである。 図表 2-4 東アジア各国への援助 東アジア地域への開発援助プログラムは、最優先課題である経済問題に取り組み、 国境を越えた売買の自由化、伝染性病の広がりを防止することである。 25 2004-05 年のプロジェクトへの基金は APEC(Asia Pacific Economic Cooperation アジア太平洋経済協力)フォーラムと ASEAN 協会への支援が含まれているが、総計 で 3,210 万ドルになる。 オーストラリアは、テロ対策に取り組むために、APEC の活動をサポートし、地域 貿易と金融セキュリティー資金のために、150 万ドルを贈与している。 この資金(アジア開発銀行により管理された)は、特に港湾の安全対策費として、 APEC 開発途上国を組み込んだ、資金洗浄とテロリストの金融と戦うカウンターテロ 対策に投資をしている。 また、地域の全域で関税手続きの自由化と調和を促進するために、APEC 開発援助 プログラムを通して資金の提供も行っている。 アジア太平洋において、密売をやめさせる運動に賛同して、移住のための国際組織 に出資し、ラオス、カンボジア、ミャンマー及びタイの政府が密売取引の犠牲者をオ ーストラリアを含む地域社会へ移住・定着させることを目指している。 東アジア地域開発援助プログラムは、売春婦とそのクライアント及び麻薬常用者間 の取引の防止を達成目標として掲げており、ベトナム、ミャンマー及び南中国の HIV/AIDS の広がりにも取り組んでいる。 地域内の新たな方針(植物と動物のための検疫方法を強化するための新しい 350 万 ドルプログラムを含む)は、ASEAN 国の国境警備を改善することである。 2004-05 年で、オーストラリアはアジア太平洋地域で伝染病(例えば鳥インフルエ ンザ)の蔓延を止めるための研究を支援し、2004 年 1 月、鳥インフルエンザのはや っている地域を強化するために 100 万ドルを世界保健機構(WHO)に献金すること を発表した。 2.1 インドネシア共和国 インドネシア共和国 ODA 総額 160.8 百万ドル インドネシアに対する開発援助は種々雑多であるが、マクロ経済学的な指標は、概 して、有望で安定している。2003 年末から更なる国際通貨基金の特別な資金調達を求 めないというインドネシア政府の決定は、金融市場とドナー国によって大いに受け入 れられた。2004 年 4 月 5 日の立法上の選挙は、自由に、公正に、そして、平和裏に 行われた。 しかし、非常に大きな課題がまだ残されている。インドネシアの経済成長率は依然 として低く、4%をわずかに超える程度で、いまだに貧困とされるレベルにある。 インドネシアの人口 2 億 2,000 万人の過半数が、世界銀行により定義されている貧 困層に属している。 紛争は、まだ国(アチェ特別州の特に最北の行政区)のいくつかの地域に強い影響 を及ぼしている。その上、インドネシア警察の効果的な行動にもかかわらず、テロの 脅威はまだなくなっていない。 インドネシアに対する開発援助プログラムはパプアニューギニアの規模に次ぐ大き 26 なものになっている。 2003 年にオーストラリアとインドネシアとで合意した開発援助の目的は、経済と財 政的な管理を強化することになっており、民主主義の社会制度を定着させることを助 け、安定性と治安を促進し、特に貧困な東部地方で、政府が良質のサービスを提供す ること、アクセスしやすさを改善することにある。 2004-05 年には最高裁判所、人権委員会と最高監査委員会のほか、主な機関(例え ばインドネシアの負債管理、国営銀行監視機構、大型納税者事務所)の経済、財政管 理、民主主義の開発によりレベルアップした援助を行った。 検討中の新しい援助の領域は、財務省の再構築、新設の反汚職委員会へのアドバイ スと検察官のための拡大されたトレーニングとなっている。 2004 年 7 月 5 日の大統領選挙(大統領職のためのインドネシアで初めての直接選 挙)では、オーストラリア選挙委員会と他のチャンネルをとおして、かなりの支援を 行った。 労働に結びついた基礎的な教育は、人々に経済と社会が必要としている技能と知識 を付与することが可能であり、幅広い分野での経済成長に役立つことを確信している。 オーストラリアは、インドネシアとフィリピンに基礎教育の援助を拡大している。現 在までに援助した基礎的教育施設は、インドネシア全土の約 4,500 万人の学生を収容 することが可能であるが、引き続き拡大する方向で 2004-05 年にも行われている。イ スラム学校のための新しい学習援助プログラムは、先生の能力・技術をグレードアッ プし、学校の運営管理を改善した。 衛生面の協力では、HIV/AIDS の防止と処置のための援助プログラムを WHO(世 界保健機構)と協力して、インドネシアがこの問題に対処するのを支援するために設 置し、インドネシア厚生省が力を入れている伝染病の監視とコントロールする能力の 育成に援助している。 2004-05 年から開始された、東部インドネシアへの援助は、東 Nusa Tenggara の選 ばれた地区で自治能力を育て、地方の収入の拡大を図り、地方の福祉、特に保健と教 育を改善することを目的としている。 オーストラリア(1990 年代後期の経済危機からインドネシアへの人道的な援助の主 なドナーである)は、人道的な危機を防ぎ、軽減するように使命を受けた国家的及び 国際的な機関に対して支援している。 いくつかの国際機関が徐々にインドネシアから撤退していく中、紛争のきっかけを いち早く見つけてそれを緩和し、すばやく効果的に災害に対応できる国家を作り上げ る目的で、オーストラリアは主な人道的機関との戦略的な協力を長期的に実施してい くことにしている。 2.2 ベトナム社会主義共和国 ベトナム社会主義共和国 ODA 総額 73.7 百万ドル ベトナムは 1986 年のドイモイ(革新)改革政策が開始されて以後、目覚しい経済 27 発展を遂げた。しかし、国際的な調査によると 7,800 万人のうち 2,600 万人、人口の およそ 3 分の 1 がまだ貧困とされている。 新たな国策の下でのオーストラリアとベトナムとの開発援助プログラムは、競争力 を持った市場経済のための機関の強化と、メコンデルタ地帯及びセントラルコースト 地方の貧しい農村部の生産性向上と市場との連携を保つことが目的である。 継続中のプログラムがいくつかのベトナムの政府機関をサポートしている間に、地 域経済統合の利点を最大化するのに役立つようにベトナムの民間部門の発展を支持す るための新たな方針が 2004-05 年に作成された。 農業と農村の開発における新しい協力は、ベトナムとオーストラリアの研究機関と の間で長期のパートナーシップを組んで、ベトナムの農業と関連する企業の生産性と 競争力を強化することである。 オーストラリアの NGO は、水と公衆衛生、そして、災害管理において新しい活動 に資金を支援している。 2.3 フィリピン共和国 フィリピン共和国 ODA 総額 62.2 百万ドル フィリピンは、他の東アジアや東南アジアにおいて貧困が減少しているにもかかわ らず、過去 30 年間にわたる経済の停滞により、ただ一人取り残されてしまった感が ある。 さらに、もう一つの課題は南フィリピンにおいて政情不安が進行していることであ る。このことが、この地域での経済発展に悪い影響を与えている。 オーストラリア開発支援プログラムはフィリピンでの開発計画を修正し、2004-05 年に新たな戦略の実施に着手した。 その戦略は、 ① グローバルな経済成長のための環境作りを担当する省の経済自治の向上 ② テロ対策能力の向上とミンダナオ和平交渉に対する支持をとおして保安と安定性 を強化 ③ フィリピン南部の貧しい人たちの生活水準の向上 の 3 つの目的を持っている。 オーストラリアは自治機能の向上に向けて、出入国管理能力の強化、テロを防止す る輸送と法の執行機関、ミンダナオ和平プロセスを支持する多国籍機関と地域活動グ ループへの追加支援などの新たな計画を開始した。 ミン ダ ナオ のため の基 礎教育支援 プロ ジェク ト ( BEAM ‐Basic Education 28 Assistance to Mindanao)は、政府とイスラム学校での教育と学習の質を改善して、 孤立して恵まれない子供たちが容易に教育を受けることができる環境作りに努力して いる。 BEAM の第二段階は、数学、科学と英語に集中するように開発され、そして今、政 府公認を求めているイスラム学校をターゲットとする追加援助が検討段階にある。 この新しい企画は、必須の国家標準までイスラム学校のカリキュラムと教員の質を 引き上げる目的で、選定された Madaris 地方で実施した。 また、ヴィサヤ地方の 2 つの行政区で、正規教育と非正規教育両者のどちらへもア クセスできるように改善するために援助を検討している。 この援助は、良質な教育を得ることや実践的な技能を身に付けさせるために、子供 たちと若者に利用できるものを考えている。 特に、UNICEF(United Nations Children’s Fund 国際連合児童基金)と共同で、 学校からドロップアウトした者を対象とし、これらの子供をフォーマルな学校システ ムに戻すか、あるいはミンダナオ島とヴィサヤでの教育、保健、児童保護を目指して、 子供のためのコミュニティーを支援する国のプログラムへの投資を続けるかを検討し ているところである。 2.4 中華人民共和国 ODA 総額 49.3 百万ドル 中国は、2010 年までにアジア地域における貿易のリーダシップを日本に取って代わ ると予言されている。 しかしながら、推定人口 20 億の中国は、いまだに世界銀行より貧困といわれるラ インを下回っているが、急激な中国の経済成長は貧困を減少させるのには役立ってい る。しかし、この急激な変化により、中国では環境破壊や収入と成長のギャップが拡 大するおそれがあり、改革をとおして経済成長のバランスを取ろうとしている。これ らの改革は、農家の収入の増加、西中国に見合った開発、東北中国の復活を意図して いる。 2004-05 年にレビューされた中国に対する援助方針の下で、オーストラリアは、ア ジア地域の貿易と投資を強化するための能力形成を含む、自治の向上と政策改革を進 めている中国を支援している。 オーストラリアは、財政改革、技術及び職業教育システムの改善をすすめ、 HIV/AIDS 感染を減らすことのために、選抜された西方の州の保健システムを強化す るなど教育訓練、保健、環境管理、及び地域のセキュリティーと治安維持のための支 援を中心に実施している。また、人権技術協力プログラムを支持しており、人権の改 善への実際的なアプローチに関して 2 ヵ国の間で対話を続けている。 2.5 カンボジア王国 カンボジア王国 ODA 総額 41.4 百万ドル カンボジアは長年の破壊的な紛争の後、最後の 10 年で国家和解、平和と安定に対 29 する重要な措置を講じた。カンボジアの発展を阻んでいるものは、野放しの腐敗と行 政事務及び司法組織を含む公共機関の弱さである。 オーストラリアの戦略は、法の支配の強化、生産性の向上、貧しい農民の収入を増 やす、天災に対する貧しい者の脆弱さを軽減するという 4 項目であった。 カンボジアの将来の繁栄に市場と取引の重要性を認識した上で、 オーストラリアは、 カンボジアの農業の輸出ポテンシャルを高めて、Private Sector Forum Coordinating Bureau に支援を拡大するために、新しい企画を模索している。 2.6 東ティモール民主共和国 ティモール民主共和国 ODA 総額 39.9 百万ドル 東ティモールもアジア太平洋地域で最も貧しい国の一つである。世界銀行の推計に よると人口の 40%が貧困とされるレベル以下の生活をしている。 東ティモールは、熟練労働者の不足、行政、法律、司法の弱点など広い範囲で経済 成長にかなりの制約を受けている。そこで、これまでの独立開発協力プログラムを継 続するとともに、平和で、治安が維持され、民主主義を推し進める東ティモールのた めに、国際的なコミュニティーのサポートを続けることにしている。 オーストラリアは、利用可能な資源を管理するために東ティモール Planning& Finance 省の活動を支援している。 東ティモールで国連の委任統治に代わって治安を維持するためには、効果的な警察 組織の役割が重要であることから、東ティモール警察に対し、オーストラリアの連邦 警察の協力を通して、トレーニングと管理能力の育成に直接支援していくことになっ た。また、新たな活動計画は、法律と司法部門の主要な機関の強化をも目指している。 医療と保健面では、現在進行中の公共医療、地方の給水及び公衆衛生に対する支援 と共に、農業生産のためにより適切な技術と資源へのアクセスを改善することが考え られている。 2.7 他の東アジア諸国 アジア諸国 オーストラリアのタイ国に対する開発援助は、ODA 支援対象国から卒業したこと から 2004-05 年には援助を縮小した。 ラオスへの協力は、教育、市場経済への移行に際しての財産権、天災に対する貧困 層の強化に向けて行われている。 タイ/ビルマ国境で衝突や避難が繰り返されている地域にいる少数民族を対象とし て、地元や国際的 NGO と国連機関を通して援助は行われている。 モンゴルに対する開発援助は、主要な政府機関の技術形成や特殊な分野における専 門家の資質向上のための奨学金の供与を継続して実施している。 30 3. 南アジア、 アジア、アフリカ、 アフリカ、中近東、 中近東、中央アジア 中央アジア 3.1 南アジア ODA 総額 86.4 百万ドル 世界銀行の推定によると、南アジアは 5 億人の人たちが、貧困とされるレベル以下 の生活をしているといわれている。 地域が抱える HIV/AIDS、紛争、食糧安全保障の欠如などの大きな課題の一部に取 り組むために、オーストラリアの開発協力プログラムは二国間の独立型プロジェクト から、主要な多国間のパートナーと協同して働く、基礎教育や HIV/AIDS に対応した 活動に方向転換した。 南アジアの各国への援助は図表 2-5 のようになっている。 図表 2-5 南アジア各国への援助 バングラデシュにおいて、オーストラリアは世界食糧計画を通じて貧困層への安定 した食料事情の向上に努めている。また、バングラデシュにおける初等教育部門の質 の向上を支援するため、UNICEF に基金を拠出している。 20 年にわたるスリランカの北と東の戦いは、地方の人たちの生活に大きな打撃を与 えた。多くの人たちは彼らの郷里から移動させられ、自分たちの土地で働くこともで きず、生活するにも大変な状態である。働く場所もなく、生活に必要な基礎的な教育 や保健にかかわるサービスも受けられないでいる。 このような長期にわたる不安定な状況は経済成長を遅らせ、スリランカの貧困を増 大させる結果となった。 31 オーストラリアの開発援助は最も貧困なコミュニティーをターゲットに他のドナー 国と緊密に連携を取りながら平和の構築、食糧確保、地雷の撤去、収入の確保に努め ている。スリランカに対する ODA は 2004-05 年には 700 万ドルにまで増額した。 オーストラリアの開発援助プログラムは、2 万 4,000 人の子供たちを含む 46 万人の スリランカの人たちへ世界食糧計画を通じて食糧支援を行っている。この貧困者への 食糧支援は特に、紛争により土地を奪われ、食べる物もろくにない人たちへのもので ある。 UNDP(United Nations Developments Programme 国連開発プログラム)と協力 して、爆発していない兵器と地雷の除去に資金を拠出している。その結果、一部地域 では爆発の危険がなくなり 6,000 人以上は彼らの村に戻って生計を立て始めた。 3.2 アフリカ 食糧安全保障の欠如、紛争と HIV/AIDS の蔓延は、アフリカでの開発を遅らせ、貧 困の人々の数を増やす結果となっている。 アフリカにおいて、オーストラリアは比較的小さな開発パートナーではあるが、限 られた資源の有効利用に努め、基本的なサービスの提供を強化し、差し迫った人道的 なニーズに応ずることによって、優れた自治の向上を目指している。 この戦略は、政府がローカルコミュニティーのためにより効果的に彼ら自身の資源 を管理するのに役立っている。 オーストラリアの開発協力プログラムは、南アフリカでのアパルトヘイト以後も継 続して支援を行い、南・東部アフリカの国で貢献している。 アフリカ及び南アフリカのホーン岬の干ばつ被害地に 2,000 万ドル以上を供与する とともに、これらの地域の干ばつ状況とジンバブエの政治情勢を継続してモニタリン グし、更なる人道的な援助が必要かどうかを判断することにしている。 オーストラリアの開発協力プログラムは、また、コミュニティーベースの HIV 防止 とエイズ治療プログラムを実施するためにオーストラリアの NGO に資金を助成する ことによって HIV/AIDS の蔓延を抑えることに貢献している。 この資金提供は孤児へのサポート、リスクの大きいグループ(例えば売春労働者) の教育、地元の NGO の技術形成に役立っている。 3.3 中東と 中東と中央アジア 中央アジア (1)イラク共和国 オーストラリアは、市場開放経済に基づく民主主義社会へのイラクの複雑な移行を 世界銀行、国連機関と他のドナー国と協働して支援している。イラク再建へのオース トラリア政府の供与予定額 1 億 2,050 万ドルのうち、およそ 2,200 万ドルがまだ供与 されないで残っている。 追加再建資金は、必要に応じて考慮することとしており、再建サポートの焦点は引 き続き農業部門に絞られている。 32 (2)アフガニスタン・イスラム共和国 オーストラリアは、紛争から平和と安定へのアフガニスタンの移行を支持し続けて いる。2001 年 9 月から、アフガニスタンに再建と人道的なサポートのため、合計 1 億 1,000 万ドルの供与を申し出ているが、このうちの約 1,800 万ドルはまだ供与され ないまま残っている。 アフガニスタン再建信用基金を通じて、基本的な福祉の提供と財務省の組織能力強 化をサポートしている。 そしてまた、 避難したアフガニスタン人の復帰と再建を助け、 食糧安全保障と地方での生活向上を目指し、農民のためにアヘン栽培の代案として、 改良された小麦の栽培をサポートしている。 さらに女性の保健を優先して支持するとともに、地雷の撤去に努めている。 33
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