平成27年度事業活動報告 平成27年度は、外航客船の安全運航・船舶保全、客船振興事業の効果的推進を図る観点から、 おおよそ以下の通りの事業を行った。 (1) 外航客船における旅客に対する非常時の対応について 国際海事機関(IMO)は、 「コスタ・コンコルディア」号の座礁事故を契機とした旅客船 の安全強化策として、短期的措置として、国際航海を行う旅客船等に乗船する旅客に対す る避難のための操練を出港前又は出港後直ちに行うこととする SOLAS 条約の改正を行った ほか、長期的措置として、損傷時における訓練要件の他関連する 5 項目の検討を開始した。 そのため、当協会は、これらについて国土交通省と協議を行うとともに、改正案が阻害な いようにするため船主意見の反映に努めたほか、この関連で(一財)日本船舶技術研究協 会が、旅客船の損傷時復原性基準の見直しおよび旅客船避難解析に関する検討会議を設置 したため、当協会は委員として参画し、船主意見の反映に努めた。 また、平成 27 年 7 月に北海道苫小牧沖で国内定期旅客船が火災事故を発生したことを受 けて、国土交通省は、この火災事故の教訓を踏まえ、車両甲板で自動車火災が発生する場 合、確実に消火できる対策を検討することを目的として、同年 9 月に「フェリー火災対策 検討委員会」を設置したため、当協会は委員として参画し、船主意見の反映に努めた。 更に、国土交通省は、平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災を教訓として、津波発生 時の船舶、船員及び旅客の避難行動に関する教訓や今後の課題の抽出等を目的とした「東 日本大震災を教訓とした船舶及び旅客の津波防災対策検討会」を平成 25 年 5 月に設置し、 平成 26 年 4 月に「津波避難マニュアルの作成の手引き」を、同年 6 月にその大阪版を策定 した。そのため、当協会は、会員会社が同マニュアルを策定すべく、国土交通省と協議を 行うとともに、会員会社と連携を図りながら対応した。また、神戸市が大規模災害の発生 時における神戸港の緊急物資輸送活動、国際物流機能維持活動、人員海上輸送活動が円滑 に行われ、神戸港の事業が継続的に実施可能となるための、実施体制、対応計画、マネー ジメント計画を策定することを目的として平成 27 年 11 月に設置した「神戸港港湾 BCP 策 定委員会」にも、当協会は委員として参画し、船主意見の反映に努めた。 (2) 客船の環境保全規制への対応 国際海事機関(IMO)は、MARPOL 条約附属書Ⅵに基づき船舶のエンジンから排出する NOx 規制措置の一環として、平成 26 年 4 月に開催された第 66 回海洋環境保護委員会 (MEPC)において北米および北米カリブ海の特定海域を対象とする第 1 次規制から約 80% 削減する第 3 次規制の実施が合意された。これを受けて、わが国政府においても関係法令 である「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」を改正したが、平成 27 年度は関 連する検査心得等の省令・通達を改正し、平成 27 年 9 月 1 日から施行した。また、第 66 回 MEPC においては、船舶から排出される二酸化炭素に係る規制も採択されたため、わが 国も関係法令「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」を改正し、平成 27 年 9 月 1 日から施行した。そのため、当協会はこれらに係る情報を会員各位に周知した。 一方、IMO は平成 24 年 4 月に開催した第 99 回法律委員会(LEG)において、船舶による 事故等が発生した場合に被害者への救済をより図ることを目的に、事故により船舶所有者 等に生ずる債権の船舶のトン数(国際総トン数)に応じた責任限度額を 1.51 倍に引き上 げる「1996 年の海事債権についての責任の制限に関する条約」 (96LLMC)の改正案を採択 し、同条約は平成 27 年 6 月 8 日に発効することとなった。そのため、わが国政府は、関 係法令である「船舶の所有者等の責任の制限に関する法律)」の改正を行い、条約の発効 日である 6 月 8 日に施行した。また、これに関連して、「船舶油濁損害賠償法」では、国 際航海に従事する 100 総トン以上の日本籍及び日本に入港する外国籍船舶に対し、燃料油 による油濁損害や座礁等による船骸撤去に要する費用等に係る保険契約の締結を証明する 証書を各運輸局に申請することが義務付けられているが、同保険も改正 96LLMC に対応す る保険でなければ無効となり、わが国への入港ができないことになった。そのため、当協 会はこれらに係る情報を会員各位に周知した。 (3) 苦情相談体制の確立 国土交通省は、交通安全対策基本法および災害対策基本法に基づく、公共交通事業者が 被害者等への支援の体制構築、支援内容等について定めた計画を作成するための指針である ガイドラインを平成 25 年 2 月に策定したが、同省は、当協会会員会社に対して同ガイドラ インに基づき同計画の策定・公示をして欲しい旨の要請を行った。そのため、当協会は同省 と協議を行い、会員各社が同計画を円滑に策定できるように船主意見の反映に努めた結果、 平成 27 年 5 月までに当協会会員会社は同支援対策を策定・公示した。 また、内閣府は、交通安全対策基本法に基づき、陸上、海上及び航空交通の安全に関す る総合的かつ長期的な施策の大綱等を定める交通安全基本計画を策定しており、平成 27 年 3 月からは平成 28 年度以降の 5 年間に適用する第 10 次交通安全基本計画の検討を開始した が、その際に、障害者団体から、聴覚障害者の安全確保のための情報提供システムを構築し て欲しいとの要望がなされた。当協会は、船員法に基づき実施している教育訓練に使用する ため平成 9 年に策定した「旅客船の安全教本」(平成 16 年及び平成 20 年に改訂)に、身障 者の避難対策を盛り込んでいるが、同省は記述の存在は認めるものの速やかな対応をするに は不十分とのことから、当協会に対して乗組員等が聴覚障害者の乗客に示しながら避難誘導 するような手法を早急に確立して欲しい旨の要請がなされた。そのため、当協会は、会員会 社と連携を図りながら同省と協議を行い、会員各社が同手法を円滑に策定できるよう船主意 見の反映に努めた。 (4) 「クルーズ旅客運送約款」の見直し及び「クルーズ旅行約款(仮称) 」の検討 法務省は、法制審議会総会第 171 回会議において,諮問第 99 号「商法制定以来の社会・ 経済情勢の変化への対応,荷主,運送人その他の運送関係者間の合理的な利害の調整,海 商法制に関する世界的な動向への対応等の観点から,商法等のうち運送・海商関係を中心 とした規定の見直しを行う必要があると思われるので,その要綱を示されたい。」に対応す るため、平成 26 年 4 月に法制審議会商法(運送・海商関係)部会を法制審議会の下に設置 し検討を行っており、民法についても社会・経済の著しい変化に対応させ、国民一般に分 かりやすいものとする等の観点から,国民の日常生活や経済活動にかかわりの深い契約に 関する規定を中心に見直しを行うため、平成 21 年 11 月から法制審議会債権部会において 検討を行っている。そのため、当協会は国土交通省を通じてこれらに関する情報を入手し、 会員会社が海上運送法に基づく制定している旅客運送約款に支障がないか等について畑弁 護士のアドバイスを得ながら適宜意見交換を行った。また、消費者庁は、これら動きに対 応して、平成 27 年 3 月に「消費者契約法の運用状況に関する検討会」を設置し、同法の見 直しについて検討を開始した。当協会はこれら動きについても、国土交通省を通じて情報 を入手し、適宜意見交換を行った。 また、内閣府は、障害を理由とする差別の解消を推進することにより、すべての国民が障 害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する 社会の実現を目的として、 「障害者差別解消法」を平成 25 年 6 月に制定(平成 28 年 4 月 1 日施行)したが、同法では、障害を理由とする差別を解消するための措置として、民間事業 者に対して「差別的取扱いの禁止(法的義務)」及び「合理的配慮の提供(努力義務) 」を課 しており、その具体的な対応として、主務大臣は事業者向け対応指針を作成することとされ ている。そのため、国土交通省は、この対応指針の作成にあたり、障害者団体及び事業者団 体等で構成される意見交換会を平成 27 年 4 月に設置・検討し、平成 27 年 11 月、同省所管 事業における「障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」を策定した。当協会 は、これら動きに対応するため、同省と意見交換を行うとともに、船主意見の反映に努めた。 更に、同法の施行にあたり、会員各社が制定している旅客運送約款の見直しを行うか否か等 について、畑弁護士のアドバイスを得ながら適宜意見交換を行った。 (5)平成27年度クルーズセミナー「クルーズ・コンサルタント(C.C)コース」及び「第9 回クルーズ・マスター(C.M)コース」並びに「第8回ブラッシュ・アップ・クルーズセミ ナー (更新講習) 」の実施 客船事業の振興策の一環として、日本旅行業協会(JATA)等の協力を得て創設した「クル ーズアドバイザー認定制度」に係るクルーズセミナー(クルーズ・コンサルタント(C.C) コース)の資格認定講習及び同修了試験を、平成 27 年度は 10 月に東京、神戸(含む大阪) 、 名古屋及び福岡において各 1 回実施した。合計 1,338 名の受講・受験者のうち、565 名が合 格、体験乗船研修修了者と合わせ 562 名を新たにクルーズ・コンサルタント(C.C)として 認定した。これにより通算認定証交付者数は、5,991 名となった(修了試験合格者総数 6,002 名) 。 また、 「第 9 回クルーズ・マスター(C.M)コース」を平成 28 年 2 月、事前に提出された 所属会社クルーズ担当部長以上が承認した推薦書及び調書に基づく受講審査の審査に合格し た菅谷孝幸(JTB 首都圏) 、永井ひろみ(クルーズのゆたか倶楽部)、松浦賢太郎(クルーズ のゆたか倶楽部)および松住健一郎(PTS)の 4 名を対象に実施し、全員をクルーズ・マス ターとして認定、これによりクルーズ・マスターは 60 名(見做し認定者 13 名を含む)とな った。 更に、クルーズ・コンサルタント(C.C)の資格取得後 5 年を経過し、認定証の更新希望 者を対象とする「第 8 回ブラッシュ・アップ・クルーズセミナー(更新講習)」を平成 27 年 9 月 9 日(水)~30 日(水)まで、パソコンを利用しての E-Testing により実施し、前年度 未受講者 6 名を含む期間満了者 537 名のうち、398 名が受講登録し、388 名が更新した。 その結果、クルーズ・マスターへの昇格および更新辞退等により平成 28 年 3 月末時点に おけるクルーズ・コンサルタント(C.C)資格所有者数は、5,000 名となった。 (6) 「クルーズ販売セミナー」等の開催 当協会では、平成18年6月、日本船旅業協会(JASTA)を統合した際、同協会が平成16年 度から日本旅行業協会(JATA)との共催事業として実施してきた旅行会社のクルーズの企 画・販売・営業等の担当者を対象とする「クルーズ販売セミナー」を継承・実施することと した。平成27年度は、平成27年10月16日(金)、神戸港に停泊中の「飛鳥Ⅱ」において、船 内見学と基調講演「クルーズの魅力と販売について」、平成27年10月21日(水)、横浜港に停 泊中の「ぱしふぃっく びいなす」において、船内見学会と基調講演 「クルーズマーケット の動向と販売のポイント」および平成27年12月20日(日) 、名古屋港に停泊中の「にっぽん 丸」において、船内見学会と基調講演 「クルーズマーケットの動向と販売のポイント」をそ れぞれ実施した。また、セミナーの内容については、当協会ホームページにJOPA&JATA共催 「クルーズ販売セミナー」記録集として掲載した。 (7)クルーズ振興地方協議会の活動支援 当協会では、国土交通省海事局の協力の下、沖縄・関西・北海道・九州及び中国地方の 5 地域に、クルーズ会社、港湾関係者、観光事業者及び関係官庁等を構成メンバーとする官 民合同の「クルーズ振興地方協議会」を立ち上げ、各協議会におけるクルーズ振興活動を 支援しているが、平成 27 年度においてもクルーズセミナー及び船内見学会を共催・実施す るとともに、同協議会を中心に実施する各種イベントに対し、当協会作成の広報パンフレ ット、メガネクリーナー、ポストカード等の提供、クルーズに関する情報及びデータの提 供、講師の紹介等の支援、協力を行った。 (8)クルーズ客船の一般公開 当協会では、設立当初から会員のクルーズ客船運航会社に対し、クルーズの振興及び普 及啓蒙活動の一環として、クルーズ客船の入港に際しては可能な限り地元住民に対する本 船の一般公開の機会を設けて欲しい旨の協力要請を行っているが、平成 27 年度は 60 港に おいて、合計 88 回(合計参加者数:6,071 人)の一般公開が実施された。また、この調査 結果を、クルーズ客船の広報に資するため、当協会ホームページに新たに掲載した。 (9)外航客船に関するデータ及び関連情報の収集 当協会では、内外におけるクルーズ関連諸資料を整理し、平成13年度からホームページ に内外クルーズ客船の1船ごとのデータ、クルーズの歴史、日本・シンガポール・イギリ ス・北米におけるクルーズ動向等を内容とするデータベースを「会員専用客船データベー ス」として立ち上げ、原則として年2回の改訂を行いながら、内容の充実と最新化を図って いる。データベースの現在の仕様は、①内外クルーズ客船226隻とそれぞれの個別データ (船体全景写真、船名、コメント、運航会社、国内での取扱い会社、船体情報、主な施設・ サービス概要等) 、更に検索項目として船名(50音) 、サイズ別(総トン数) 、主要就航海域 別、乗客定員数別、運航会社別及び就航年別) ②クルーズの歴史 ③クルーズ動向(日本、 シンガポール、北米及び英国)となっており、引き続き、最新の統計資料や情報を入手し、 精度を高めつつ更新していくこととしている。 (10)日本籍クルーズ客船の国内港湾寄港回数調査 当協会では、平成 10 年度以降、毎年、日本籍クルーズ客船の国内港湾別寄港回数を調査 し、公表している。平成 27 年(1 月~12 月)におけるクルーズ客船 3 隻の合計寄港回数は、 「飛鳥Ⅱ」の世界一周クルーズと南太平洋グランドクルーズだけでなく、「ぱしふぃっくび いなす」も南半球世界一周クルーズを行うなど海外ロングクルーズが増加したことから、前 年の 574 回から 64 回減の 510 回となった。 寄港回数が最高となったのは、88 回を記録した横浜港で、前年と比して 10 回減少したも のの 13 年連続でトップを飾った。第 2 位は神戸港の 53 回(前年比 13 回減) 、第 3 位は名古 屋港 32 回(前年比 5 回増)となったほか、第 4 位は九州クルーズの基点港である博多港の 14 回(前年比 2 回減)、第 5 位は屋久島の宮之浦港の 13 回(前年と同数)等となった。 一方、目的地(寄港地)型の港としては、第 5 位にランクした宮之浦港以外にも、世界自 然遺産である小笠原の二見港が第 13 位の 8 回(前年比 7 回減) 、利尻島の沓形港が第 15 位 の 7 回(前年比 1 回減)となったほか、沖縄クルーズの拠点港でもある那覇港が 10 回で 7 位(前年比 1 回減)等となっており、若干減少したものの引き続き離島人気を裏付ける結果 となっている。この他、東北クルーズの拠点港である仙台塩釜港が 11 回、北海道クルーズ の拠点港でもある小樽港が 10 回等となった。 クルーズ各社及び旅行会社等が歳時に合わせた定番クルーズに加え、新規顧客の開拓を狙っ て、地方港発着のクルーズを増加させると共に自然、文化、歴史、グルメといったタイムリー でテーマ性、話題性に溢れたレジャー及びチャータークルーズの催行が反映していると考えら れる。 (11)会員自治体会等が実施するイベント等への協力及び一般消費者を対象とする「クルー ズセミナーと船内見学会」の開催 クルーズ事業振興及び広報活動の一環として、会員自治体・クルーズ振興地方協議会等 が実施するイベントに対し、広報パンフレット、ポストカード、メガネクリーナー、クル ーズに関する情報及びデータの提供を行った。また、各協議会の幹事会、総会に出席する とともに、これらへの講師の派遣等に協力した。また、 「クルーズキャンペーン 97」事業に おいて実施して以来、好評を博している一般消費者を対象とする「クルーズセミナーと船 内見学会」を、小樽港に停泊中の「にっぽん丸」 (9 月 1 日) 、横浜港に停泊中の「ぱしふぃ っくびいなす」 (9 月 24 日)、博多港に停泊中の「飛鳥Ⅱ」(11 月 5 日)において、合計 430 名の参加を得て実施し、クルーズの振興に貢献した。 (12)第8回「クルーズ・オブ・ザ・イヤー」の実施 客船事業振興委員会における事業として、国土交通省、観光庁及び日本旅行業協会 (JATA)の後援の下、旅行業界の健全な発展に寄与したクルーズ旅行商品、特にオリジナリ ティーに溢れ、かつ、わが国のクルーズ・マーケットの拡大に貢献した商品を企画造成、実 施した旅行会社等を顕彰することによりモチベーションの向上を期すとともに、一般消費者 に対し良質のクルーズ旅行商品・サービスの提供を図ることを目的とする第8回「クルー ズ・オブ・ザ・イヤー」を実施した。当協会及び日本旅行業協会の会員会社を対象に、平成 27年11月6日(金)を締切日として募集を行ったところ、過去最高であった前年と同数の計 26点のクルーズ旅行商品等の応募・推薦があった。11月17日(火)、 「クルーズ・オブ・ザ・ イヤー 2015」選考委員会を開催し、グランプリ1点、優秀賞4点及び特別賞3点を選考・決定 した。なお、授賞式は平成27年12月17日(木)午後4時半より、千代田区平河町の海運倶楽 部において開催した。なお、この結果は、平成27年12月24日(木)付けの読売新聞(夕刊) の計15段にわたって掲載され、クルーズの振興に貢献した (13) 「JOPAクルーキャンペーン2015」の実施等 日本の客船だから体験できる「心に響くおもてなしとらくらく安心のクルーズ旅行」の 楽しさを、広く一般消費者にアピールするため、簡単なクイズに回答することにより、日 本の客船のクルーズ旅行に招待する「JOPA クルーズ・キャンペーン 2015」を実施した。 応募総数合計 2,272 通の中から、抽選で 1 組 2 名様、合計 6 組 12 名様を「飛鳥Ⅱ」、 「にっぽん丸」および「ぱしふぃっくびいなす」のクルーズにそれぞれ招待するとともに、 クルーズ体験の感想文を提出してもらい、同感想文を当協会のホームページに掲載した。 また、クルーズを一般消費者にもっと身近な旅行商品として認知してもらうことを目的 に、日本船 3 船の 2016 年上半期の商品のうち手頃なクルーズ旅行を各社 2 クルーズ、計 6 クルーズを紹介するコーナー「手頃なクルーズ旅行!~クルーズをもっと身近に~」を 当協会ホームページに新たに掲載した。更に、クルーズの普及啓蒙活動のツールとして、 クルーズ客船がプリントされた「ペン先タッチペン付 LED ボールペン」を制作し、一般市 民向け「クルーズセミナー及び船内見学会」、会員自治体、クルーズ振興協議会等が実施 する各種イベント等において配布した。 (14)広報パンフレット等の制作・配布 当協会では、クルーズの振興および普及活動の一つとして、従来から会員会社が運航す るクルーズ客船及び国際定期旅客船を紹介する広報パンフレットを制作し、会員をはじめ、 協会が主催・協力する各種イベント会場、主要港の港湾振興協会等を通じて、広く配布して いる。平成 27 年度は、広報パンフレット「極上のクルーズ旅行」、 「フェリーで航く中国・ 韓国」を会員自治体およびクルーズ振興協議会が実施する各種イベントにおいて配布すると ともに、クルーズをもっと身近に感じられることを意図した広報パンフレット「クルーズを もっと身近に!」を作成した。 (15) 「クルーズニュース」の毎月発信 当協会では、マスコミ、一般消費者などに対する情報提供手段であるホームページの「ク ルーズニュース」を毎月更新・発信した。平成27度における当協会ホームページで最も多い 日のアクセス数は、8月6日で1,227件、2番目が10月27日で864件、3番目が7月2日で815件等 となっているが、1日平均のアクセス数では約181件となっている。アクセス数が多い日の主 な理由は、ブラッシュ・アップ・クルーズセミナーの案内、クルーズ・コンサルタントの合 格発表およびJOPAクルーズ・キャンペーンの案内を掲載したこと等と思われる。 (16)外航客船に係る規制緩和等の推進 当協会は、わが国のクルーズ振興のための阻害要因となっている各種規制緩和を推進する ため、規制緩和タスクフォースにて検討するとともに、海外貸渡し方式による混乗客船の内 航輸送期間に係る規制であったいわゆる 30 日ルールの緩和に係る要望書を国土交通省海事 局に提出した。これを受けて、国土交通省は、省内での検討を行うとともに、法務省に対し て当該ルールに関係する乗員上陸許可期間の見直しを働きかけた結果、平成 27 年 6 月に法 務省は乗員上陸許可期間を、国土交通省も海外貸渡し方式による混乗客船の内航輸送期間を、 それぞれ 30 日から 60 日に延長することを決定し、いわゆる 30 日ルールの規制緩和が平成 27 年 7 月 1 日から実施されることとなった。これにより、従来、日本籍外航クルーズ客船 が、外国人船員を乗船させたまま行う国内クルーズについては、外航輸送と次の外航輸送と の間の 30 日間に限り認められていたものが 60 日に延長されることとなり、国内クルーズ商 品の開発をより柔軟に行うことができるようになった。 (17)その他 当協会は、東京港が、平成11年度に策定した船舶給水使用料の50%減額措置である「客 船使用に係る港湾施設(船舶給水)使用料の減額措置」および平成24年度に導入した、東 京港及び伊豆・小笠原諸島へのクルーズ客船誘致を促進するため、クルーズ客船の入出港 にかかる水先料金、曳船料金などの経費の一部を助成する「東京港等客船誘致促進補助制 度」が平成28年3月31日付をもって期限が到来するため、平成28年2月12日、東京都に対し て補助制度の継続実施方要望を行った結果、それぞれ平成29年3月31日までの延長が決定し た。
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