NU Tech Newsletter 第 24 号 - Technology Partnership of Nagoya

NU Tech Newsletter 第 24 号 (2012 年 3 月号)
ご愛読頂き誠に有難うございます。
それでは NU Tech Newsletter 第 24 号をお届け致します。
(本紙は、米国ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パークに所在する NU Tech が、
米国の技術移転等に係る最新情報を月に一度皆様にお届けするための Newsletter です。)
☆★☆☆★☆ 目次 ☆★☆☆★☆
1.NU Tech の活動状況
2.米国の技術移転に係る動向
3.技術移転に係る NC の動向
4.注目技術情報
5.イベント情報
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1.NU Tech の活動状況
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NU Tech を通じて 2 つ目のライセンス契約が結ばれました。
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名古屋大学は、
診断に利用できる抗体に係わる技術のライセンス契約を日本のライフサイエ
ンス企業と結びました。
これにより名古屋大学に契約料と製品販売からのロイヤリティが入
ることになりました。NU Tech の米国でのマーケティングの努力をきっかけに本ライセン
ス契約が実現致しました。名古屋大学知財部との協力が本結果に結びつきました。今後もこ
のような契約のご報告が出来ますよう努力して参りますので、引き続きご指導宜しくお願い
致します。
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NU Tech、カリフォルニア州アナハイムにて開催される AUTM Meeting に参加致します。
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3 月 14 日から 17 日までの 4 日間、
カリフォルニア州アナハイムにて開催される AUTM
Annual Meeting に NU Tech も参加し致します。この会議は、大学と企業の技術移転に係わ
る者、企業投資家、そして知的財産に関わるスペシャリストとの間のネットワーキングを目
的としたものです。
この期間中、
技術移転に関する勉強会も開かれます。
詳しい情報は AUTM
のサイトよりどうぞ。なお、NU Tech 所長の神山が本 Annual Meeting のプログラム委員を
努めさせて頂いております。
http://www.autm.net/Meeting_Home2.htm
2.米国の技術移転に係わる動向
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4 種類のインフルエンザに対する初めてのワクチンを FDA が認可
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毎年数百万人が感染しているインフルエンザ 4 種に対してのワクチンが FDA により認
可された。これは AstraZeneca 社の MedImmune Unit が開発した A 型インフルエンザ 2 種
と B 型 2 種に対するスプレー型ワクチンで、FlueMist Quadrivalent Vaccine と呼ばれる。使
用対象者は 2 歳から 49 歳までとなっている。
専門家による年間予想に従い作成されてきたこれまでの A・B 型それぞれ一種ずつに対
する混合ワクチンに更に対応する種が追加されている事が大きな違いで、
「B 型の引き起こ
す病気は学校に通う年齢の子供達の間で非常に多く見られる。対応種が増えた事で、更に B
型が引き起こす症状を抑える効果が増すであろう。
」と FDA は述べている。
http://www.washingtonpost.com/business/fda-approves-first-vaccine-to-protect-against-4-strains-of-commo
n-flu-virus/2012/02/29/gIQAvO50iR_print.html
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10 億円の裁判が大学における IP 政策の明確化の必要性を浮き彫りに
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ニューヨーク州の Craig Thompson 博士が、フィラデルフィア州ペンシルバニア大学付
属 Leonard and Madlyn Abramson Family Cancer Research Institute (AFCRI)に 10 億円の訴
訟を起こされた。同氏は 2011 年 10 月まで同研究室に勤務していた。訴状によると「同氏
は AFCRI 勤務時行なっていたガンのメタボリズムについての研究成果を、マサチューセッ
ツ州 Cambridge の営利企業 Agios Pharmaceuticals 社を立ち上げるのに使用した。この成
果は AFCRI に帰属する物であり、
そのため AFCRI は同氏に 10 億ドルの賠償金を請求する」
とある。
Thomson 氏の弁護士は、
「同氏は当時大学に勤務していたので、AFCRI からの訴訟は
無効である」と述べているが、AFCRI 側は「同研究所は大学の一部である。
」と真っ向から
対立を見せている。
法律の専門家は「一般的に大学は研究者に、20-25%の時間をコンサルティングの仕事
やスタートアップ企業のために割いても良いとしている。しかし大変狭い分野を専門として
研究を行なっている研究者にとっては、どこからが大学のための研究で、どこからが個人の
起業のための研究なのか、区別が困難なときもある。両者の考え方の差が今回の問題を引き
起こしている。
」と分析している。
http://www.technologytransfertactics.com/content/2012/02/28/billion-dollar-lawsuit-highlights-need-for-clarit
y-in-university-ip-policies/
3.技術移転等に係わる NC の動向
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FDA およびカナダより承認を受けた企業 2 社 :Biogen Idec 社と Bioptigen 社
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1. Biogen Idec
ノースカロライナ州リサーチ・トライアングルパーク(RTP)内に 900 人の従業員を持つ
Biogen Idec 社の AVONEX PEN が FDA により認可された。AVONEX PEN は、既に市場に
出ておりもっとも処方されている多発性硬化症の治療薬 AVONEX の改良版で、患者の自己
投与時の不安を減らすため、針が内蔵されたペン型になっている。
また同時に、AVONEX によって引き起こされるインフルエンザの症状に似た副作用を
軽減するため、AVONEX の投与計画を立てるための定量検査についての情報もアップデー
トされた。テストにおいては約 76%の副作用が軽減されたと報告されている。なお、患者
はこのテスト後 AVONEX PEN の投与に移行することも可能である。
http://www.biogenidec.com/PRESS_RELEASE_DETAILS.aspx?ID=5981&ReqId=1666473
2. Bioptigen
ノースカロライナ州ダーラム市に本社を置き 20 名の社員を抱える Bioptigen 社が医療
機器 Envisu SDOIS の認可をカナダ政府から受けた。認可を受けた Envisu SDOIS C2200
と C2300 は省電力かつリアルタイムで近赤外線高解像度映像を出力出来る軽量小型の眼科
専用の画像システムで、これにより研究者や治療者は眼病の進行、検知そして治療について
の治験を深めることが可能となる。なお同機は EU でも販売されているが、アメリカ市場で
の販売は FDA による審査と市場調査次第となっている。
Bioptigen 社は米国国立衛生研究所から未熟児及び新生児に使用する軽量小型機の開発
のための助成金を受けている。また、同社の機器は 60 以上の特許を有しており、同社の技
術を用いて得られたデーターを使用した論文は 100 を超えている。
http://www.bioptigen.com/news_Bioptigen_Canada.html
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皮膚から行う偏頭痛の治療
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チャペルヒル市のスタートアップカンパニー、Achelios Therapeutics 社は新しい偏頭
痛治療法のための臨床検査に今年度末には入れるかもしれないと報告した。同社は 1 月末
に会社として登記されたばかりで、会社のオペレーションを始めながら目標資金額 300 万
ドルの内の 180 万ドルを既に獲得している。
Achilios 社は新しい化合物を発見したわけでも、
他会社から片頭痛治療のライセンスを受けたわけでもない。
同社の特徴的なビジネススタイ
ルは既存の治療法を再改良するところにあり、この方法は FDA により既に認可されている。
既存の抗偏頭痛薬―例えばイブプロフェンやタイラノール等―は経口投与のために胃
の不快感を起こし、膀胱や腸内の出血のような副作用を引き起こしている。もしカリフォル
ニア州サンディエゴ市の Apricus Biosciences 社からライセンスを受けた技術を元に
Achelios 社が試みている、皮膚からの偏頭痛薬の投与が成功すれば、胃や心臓に負担を掛
けない画期的な治療法が誕生する。
なお、Achelios 社が分離独立した同市の企業 Exodos Life Sciences 社の場合も、Apricus
社の技術を基に、抗炎症剤 ELS115 を皮膚から浸透させる技術を発展させている。
http://www.medcitynews.com/2012/02/a-new-migraine-drug-taken-by-skin-how-achelios-could-make-it-hap
pen/
4.注目技術情報
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脂肪センサーの欠陥が肥満や肝臓病を引き起こす。
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ロンドンインペリアル大学公衆衛生学の Philippe Froguel 教授とその共同研究者達は、
Nature に「脂肪センサーの欠陥が肥満や肝臓病を引き起こしている原因となっている可能
性がある」と発表した。脂肪センサーは主に食後に血液中に漂う自由脂肪酸を感知する脂肪
酸受容体のことで、
同教授の研究しているセンサーは G-Protein Receptor-120 (GPR-120)
と呼ばれる長鎖不飽和脂肪酸を感知する受容体である。
通常型マウスと GRP-120 欠損型マウスに脂肪量 15%の試料を与えた場合、体重の増え
方、断食後の血糖値(FPG)とインシュリンの血中濃度は両マウスともほぼ同じ傾向を示
した。しかし、脂肪量 60%の高脂肪試料を与えた場合、GPR-120 欠損型マウスは通常型の
10%以上も体重が重く、FPG とインシュリンの濃度も高い値を示した。更に、GPR-120 欠
損型マウスは体内組織の周りにより脂肪を溜め込み、また脂肪細胞もまた肥大化していた。
「GPR-120 は肥満や肝臓病のための新薬開発に役立つかもしれない。と同時に
GPR-120 遺伝子を調べることで、個人にあった栄養摂取法を手助けする栄養士等の手伝い
や、
なかなか体重が減らない個々の人達の理由を説明することが出来るようになるかもしれ
ない。
」と同博士。
http://www.emaxhealth.com/8782/do-you-have-faulty-fat-sensor
5. イベント情報
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医療機器フォーラム
MDUFA III
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ノースカロライナ州バイオテクノロジーセンターにおいて、NC Bioscience Organization 主
催の第三回医療機器フォーラムが 3 月 28 日 11 時半より開催されます。同フォーラムにおいて
Medical Device User Fee Act (MDUFA)についてのスペシャリストを招いて情報交換のセッショ
ンを行います。
http://ncbioscience.net/Calendar.aspx
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CED によるバイオテック
フォーラム
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ノースカロライナ州バイオテクノロジーセンターにおいて、CED 主催のバイオテック フォ
ーラムが 4 月 11 日午後 5 時より開催されます。 同フォーラムは、バイオテクノロジー業界の
起業家、エグゼクティブ、専門家、大学関係者等のネットワークを目的として開かれます。其々
のフォーラムは 75 分間の予定です。詳細は以下のリンクからどうぞ。
http://www.cednc.org/content/ced+biotech+forum/10959
###編集後記###
長い間分からなかった「ハチの大量死」の原因と思われる要因の一つがまた明らかになったようです。
サンフランシスコ大学の生物学者 John Hafernik 博士によるとなんと「寄生ハエ」が原因だというのです。
通常は他のハチを襲っていたこのハエ、最近になってミツバチを襲う事を覚えたのだとか。「子供のご飯
が一箇所に集まっている」と考えるハエの気持ちも分かりますが、養蜂業者にとってはハタ迷惑な話です。
ハチ、特にミツバチが居なければ食料生産は難しいと言われていますが、ミツバチにもいろいろな種
類があります。養蜂で主となっているのがセイヨウミツバチだそうで、気性も穏やか、低温でも働き、蜜
も沢山集める等の優れ物だそうです。ただ、オオスズメバチに巣を攻撃された際には為す術もないのだと
か。それに対して既存のトウヨウミツバチやニホンミツバチは、進化の過程でオオスズメバチに対抗する
術を身に付けました。ミツバチでスズメバチを覆うダンゴ戦法。スズメバチは死に至る温度がミツバチよ
りも 2 度位低いため、この微妙な温度差を利用し、ダンゴの中央にいるスズメバチを熱死させる方法です。
チャンスがあれば Youtube 等でご覧下さい。本当に凄いです。
今回は後書きが長くなりました・・・。
(安座間)
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Technology Partnership of Nagoya University, Inc. (NU Tech) について
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米国ノースカロライナ州(NC)リサーチ・トライアングル・パー ク(RTP)に本拠を
置く NPO 法人として設置された NU Tech は、名古屋大学産学連携活動、特に海外での活動
を強化する目的で 2008 年 1 月に設立されました。この RTP 地区はバイオテクノロジー関
連企業約 520 社が集積し、
リサーチパークの規模では全米 3 位にランキングされています。
また RTP 内にあるデューク大学、ノースカロライナ州立大学、そして全米大学ランキング
に常に上位に位置するノースカロライナ大学チャペルヒル校は常に良い競争関係かつ協力
関係にあり、最先端の研究成果を提供してます。NU Tech はこれら 3 大学内技術移転局と
連携しつつ、かつ起業支援機関らの協力も仰ぎながら、名古屋大学を始めとする中部地区の
大学の技術紹介や特許技術のマーケティングを RTP 地区を中心に行なっています。
連絡先:
Technology Partnership of Nagoya University, Inc.
One Coplay Parkway, Suite 305 Morrisville, NC 27560
TEL: 919-535-8724 FAX: 919-535-8726 Email: [email protected]
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◇ ウ ェ ブ サ イ ト
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