オンライン Exchange Server の完全なデータプロテクション

W H I T E
P A P E R
オンライン Exchange Server の完全なデータプロテクション
VERITAS Backup Exec™ 9.1 for Windows Servers
Microsoft Exchange Server エージェント
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T U T O R I A L :
W H I T E
P A P E R
目次
はじめに ................................................................................................................................................................................ 3
新しい機能:....................................................................................................................................................................... 3
製品の特長....................................................................................................................................................................... 3
Microsoft Exchange Server にプロテクトが不可欠な理由 ...................................................................................................... 4
Backup Exec Exchange Server エージェントはなぜ必要なのか ............................................................................................ 4
Exchange Server プロテクション............................................................................................................................................ 5
はじめに ........................................................................................................................................................................... 5
アプリケーションの保護 ..................................................................................................................................................... 6
ビジネスニーズまたはビジネス要件...............................................................................................................................6
オプション ..................................................................................................................................................................... 6
導入のガイドライン ....................................................................................................................................................... 7
データベースのプロテクション ............................................................................................................................................ 8
ビジネスニーズまたはビジネス要件...............................................................................................................................8
オプション ................................................................................................................................................................... 11
データプロテクション導入のガイドライン ....................................................................................................................... 12
ビジネスニーズまたはビジネス要件............................................................................................................................. 13
オプション ............................................................................................................................................................... 15
導入のガイドライン ..................................................................................................................................................... 15
ベリタスソフトウェアが提供するその他の Exchange ソリューション........................................................................................ 16
まとめ.................................................................................................................................................................................. 17
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およびその他の VERITAS 製品は、米国および各国の VERITAS Software Corporation の商標または登録商標です。
その他の会社名、製品名等は、それぞれ各社の商標または登録商標です。
製品の仕様・性能等は予告なく変更する場合がありますので、ご了承ください。
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はじめに
現在、多くの企業では貴重なデータが爆発的に増大しており、どのようにして
このデータを保護および管理するかという問題に直面しています。今日の意
思疎通の主要な手段となった E メールによって、膨大な量の情報が発生して
います。ユーザーはこの情報を迅速に受け取り、継続的にビジネス上のコミュ
ニケーションを確保する必要があります。このような状況の中では、1 通のメッ
セージを喪失しただけでも、システム管理者たちは無益で疲労の多い作業に
何時間も費やすことになり、組織の生産性は低下し、その進捗に重大な遅延
が生じることがあります。
主な利点
企 業 が 保 有 す る Exchange 5.5 、
Exchange 2000 、 Exchange 2003
Server 上のクリティカルなデータの
保全性保護に貢献。
VERITAS Backup Exec™ Microsoft Exchange Server エージェント は、
アプリケーションがオンライン状態でも Exchange 5.5、Exchange 2000、
Exchange 2003 Server のデータを保護する、最も柔軟性が高い最速のソ
リューションです。
オンラインで中断のない Exchange
Server の日常の定期バックアップに
組み込むデータベース保護を実現。
データリカバリが実行される可能性
が高まり、日常業務への障害がなく
なりデータ損失を最小限に抑制。
Microsoft Exchange Server エージェントは、埋込みオブジェクト、属性および
Outlook の全コンポーネントなど、すべての Exchange Server コンポーネント
に対しフル バックアップとリストアを実行します。それにより、個別のメッセージ
を選択的にリストアすることで個々にメールボックス バックアップを実行するな
ど、管理者に柔軟性がもたらされます。
個々のメールボックスを保護すること
で、メッセージ単位のきめ細かなリス
トア能力を提供。
新しい機能:
• スナップショット作成のため選択可能な Exchange Server VSS ライター
Exchange サーバーのプロテクションとリカバリを容易にするためのオプションです。
• リカバリストレージグループの活用
フルバックアップしたデータの中からリストアするメールボックス、もしくはメッセージを選択することができます。
Exchange 2003 サーバーを個別にインストールする必要はありません。
製品の特長
• 個別のストレージグループ、データベース、メール
ボックスなどに切り分けて Exchange データを保護。
フル、増分、コピーまたは差分バックアップが可能。
• 1 台の Exchange 2000 サーバー上の複数データ
ベースの保護をサポート。
データステージング − 夜間のフルまたは差分バッ
クアップ実施前に、バックアップをディスクまたは
RAID システムにステージングすることにより、
Exchange Server データベースやトランザクション
ログのバックアップとリカバリ時間を短縮。
• ExchangeServer 5.5、Exchange 2000、
Exchange Server 2003 Server のオンライン ホッ
ト バックアップを、定期的なネットワーク バックアッ
プに透過的に統合。
• Exchange Server の LAN フリーバックアップ
SAN Shared Storage オプションによりストレージ
エリア ネットワーク(SAN)をサポート。ファイバチャ
ネルもしくは iSCSI ネットワークを介して接続し、
バックアップとリカバリのパフォーマンスが向上。
• MDB 再配置により、すべてのデータベースを自由
に他のサーバーもしくはストレージグループに再配
置が可能。
• ネイティブな Exchange Server Backup API およ
び Messaging API を使用し、信頼性の高い
Exchange Server プロテクションを実現。
• ストレージグループ内で個別のデータベースの保護
が可能。
• シングルパス リストア − Backup Exec Intelligent
Disaster Recovery(以下 IDR) オプションを併用す
ることにより、Exchange Server 2003 VSS ライ
ターで作成したバックアップを 1 つの手順でリストア
可能。
• Microsoft Cluster Server 環境におけるクラスタ
フェイルオーバーをサポートして耐障害性が向上。
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Microsoft Exchange Server にプロテクトが不可欠な理由
メッセージング アプリケーションは規模を問わずビジネスにおける主要なコミュニケーション手段に成長しました。今やメッ
セージングはありふれた存在であるとともに、コミュニケーションの生命線となりました。ビジネスの世界ではその利便性が
認められ、電話を駆逐するほどの勢いで普及しつつあります。あらゆる種類の情報(テキスト、画像、動画、さらに音声でさ
えも)を配信する手段として、世界中の企業の従業員たちからその有効性とコスト効果の高さが認められています。事実、
多くの企業でメッセージング サーバーがミッションクリティカルな存在とみなされ、災害発生時に最初にリカバリすべきサー
バーの一部として位置付けられています。
Microsoft Exchange Server™ は堅牢で安定したエンタープライズ メッセージング サーバーであり、その先進的な機能に
より、企業内ユーザーにとって重要なサービスのハイアベイラビリティを確保します。1996 年の発表以来、Microsoft
Exchange Server はメッセージング サーバー市場で 47.5 % のシェアを獲得してきました(Ferris Research Report、
2002 年 12 月)。
Microsoft Exchange のアベイラビリティを維持し、そのデータ ストアを保護するためには、徹底した実地検証に基づくデー
タプロテクションとリカバリ計画の作成が求められるともに、信頼性の高いプロテクション ソフトウェアが不可欠となります。
これらが一体となることで Exchange Server システム環境、ユーザー設定データ、メッセージ コンテンツの確実で遅滞の
ないリカバリが可能になります。目的は、企業内メッセージング環境におけるダウンタイムの最小化であり、システムクラッ
シュ、データベース破壊、単一のメールボックスの喪失など、あらゆるデータ喪失に対して可能な限り最速のリカバリを提
供することです。
このホワイトペーパーでは、Exchange Server で実施すべきデータプロテクション プランをいくつかの視点から検討してい
ます。その焦点として VERITAS Backup Exec 9.1 for Windows Servers および Backup Exec Microsoft Exchange
Server エージェント がどのように貢献できるかを明らかにします。さらに他のベリタス製品の中から、Exchange Server で
のデータプロテクションとアベイラビリティの強化に役に立つものをご紹介します。
Backup Exec Exchange Server エージェントはなぜ必要なのか
Microsoft Exchange のような大規模なアプリケーションを保護するにあたっては、業務的ニーズと予算に見合う計画を作
成するために慎重な考察が必要となります。これらのニーズを定式化する方法としては、一般的にサービス レベル アグ
リーメント(SLA)が導入されます。SLA はユーザーとプロバイダ(IT 部門など)の間で取り交わす一種の契約であり、ここ
に描かれるのは 期待するサービスの種類、許容できるダウンタイムや障害復旧までの時間などの取り決めです。これらの
要素については Exchange 導入のデザイン フェーズの間に十分理解しておくことが極めて重要で、導入実現に必要なリ
ソースの決定に大きな影響を与えます。
データプロテクションに関しては、アベイラビリティへの要求が高いほどコストも高くなるという経験則が存在します。この構
造を次ページの図に示します。同時に図からわかることは、アベイラビリティを高める過程で様々なテクノロジが存在するこ
とです。さらに、どのアベイラビリティのソリューションでもバックアップを基盤技術としていることがおわかりいただけるで
しょう。信頼性の高いバックアップ製品を選択することが最も重要な課題となりますが、これはデータ損失に対する最後の
防御線になることがあるためです。VERITAS Backup Exec は Microsoft Exchange Server エージェントと併用すること
により、Exchange Server に信頼性が高く、柔軟性のある、高速のデータプロテクションを実施する環境を構築できます。
事実として、Backup Exec は 1996 年の Microsoft Exchange 発表当初からサポートしてきました(Windows Server オペ
レーティングシステムは 1992 年発表以来のサポート)。このように Backup Exec は Exchange Server 市場で確固とした
実績と信頼性が実証されています。
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Exchange Server プロテクション
はじめに
Exchange Server のようなデータベース アプリケーションにおいては、データプロテクションには大きく分けて 2 つの目的
があります。すべてのデータ(Windows オペレーティングシステム、Exchange Server およびそのデータ)が破壊されるよ
うなディザスタ リカバリに対処すること、およびアプリケーション データベース上のデータのすべてもしくは一部をリストアす
ることです。
ディザスタ リカバリには、Windows オペレーティングシステム、システム状態、Exchange Server アプリケーション ディレ
クトリ、Exchange データベースのバックアップが含まれます。このホワイトペーパーでは Exchange Server アプリケーショ
ン ファイルを保護するための手順としてデータのディザスタ リカバリについて概説しますが、同時に Windows オペレー
ティングシステムの保護に焦点を当てた Backup Exec ホワイトペーパー 『Windows サーバーのデータプロテクション機能
の強化』をお読みいただくようお勧めします。
すべてのユーザー データが Exchange Server データベースに格納されているため、このデータベースの保護が主要な目
的となります。Exchange Server はこのデータのバックアップとリストアを目的とするいくつかの手段を提供しています。し
かし、データプロテクションの目的を達成するにはそれぞれの長所と短所について検討する必要があります。Exchange
Server データをバックアップする 2 通りの基本的手法は、データベース レベル、メールボックス レベルの 2 通りが存在し
ます。データベースのバックアップは不可欠です。ディザスタ発生時に Exchange Server データをすべて復旧する方法は
データベースのリストア以外に存在しません。メールボックスのバックアップは多くの企業では不可欠ではありません。しか
し、データプロテクションに特定のメールボックスやパブリック フォルダの迅速なリカバリが必要である場合、バックアップし
ておくと非常に有効となります。
以上をまとめると Microsoft Exchange のデータプロテクションは、前述の目的をサポートする 3 つの大きなカテゴリに分
類されます。
•
アプリケーション(Exchange Server)プロテクション(ディザスタ リカバリが必要)− Exchange Server アプ
リケーション ファイルに対するバックアップとリカバリ、Exchange に対するクラスタリングのサポート、アプリ
ケーション全体を復旧するディザスタ リカバリを含みます。
•
データベース プロテクション(ディザスタ リカバリが必要)− Exchange Server ストレージグループ/データ
ベース上のデータベース ボリュームのバックアップとリストアを実施するプロテクションを含みます。
•
メールボックス プロテクション(オプション)− きめ細かなプロテクションを実現するテクノロジにより、メール
メッセージと添付ファイルを格納する個々のメールボックス データまで迅速にリストアすることができます。
5
アプリケーションの保護
アプリケーションの保護に関する焦点は、Exchange Server アプリケーション ファイルおよび設定を保護することにありま
す。アプリケーション全体を保護するオプションも提供されます。次に Exchange を保護するための要件、オプション、ガイ
ドラインをいくつか挙げます。
ビジネスニーズまたはビジネス要件
Exchange を搭載するホスト サーバーをバックアップ − Exchange Server は Windows 2000 または Windows 2003
上で実行されるため、迅速なディザスタ リカバリを実現するためには基盤となる Windows オペレーティングシステムと
Exchange Server ファイルを保護することは非常に重要です。Windows および Exchange がインストールされたボリュー
ム上に存在するすべてのファイルをバックアップすることのみならず、Exchange Server の重要な設定情報を含む
Windows システム状態のバックアップも行います。バックアップ スケジュールは Exchange Server データ(次に説明しま
す)のバックアップと同時に行なう必要があります。バックアップデータの整合性を確保することでディザスタ リカバリが容
易になります。
Backup Exec の強み
Backup Exec は Windows ファイル、Windows システム状態、Exchange Server ファイル、Exchange データベー
ス、Exchange メールボックス バックアップの保護を単一のスケジュール設定可能なジョブで容易に実行できます。
また、システム環境、パフォーマンス ニーズ、スケジュール、データ保存期間に応じて、これらのタスクを複数のジョ
ブに分割することもできます。Exchange Server にディザスタが発生した場合は、Backup Exec IDR オプションを使
用すると迅速に Exchange のディザスタ リカバリの準備ができるため、Windows を速やかに復活することができま
す。
Active Directory のバックアップ − Active Directory(AD)を併用する Exchange Server の場合は、前の Exchange ホ
スト サーバーのバックアップで述べたガイドラインに従うことで、自動的に AD データベースをシステム状態とともにバック
アップできます。Exchange Server が AD を利用していない場合は、AD を実行しているサーバー上でシステム状態の
バックアップを選択してください。AD のバックアップにあたっては、最新のサーバー設定データと最新のオペレーティングシ
ステム設定データの整合性を維持するために、できるだけ時間的に Exchange Server データのバックアップに近くなるよ
うスケジュールしてください。
Backup Exec の強み
Backup Exec における Active Directory の保護はチェックボックスをクリックするのみの簡単操作です。Windows
サーバー選択画面内の Windows Server 2000 上、もしくは Windows 2003 Server の シャドウコピーコンポーネン
ト(システム状態を格納)上で System State を選択すると、Backup Exec は Active Directory、Cluster DB、レジス
トリ、ブート ファイル、システムファイルなどの、すべての重要な Windows オペレーティングシステム データをバック
アップします。Backup Exec によるリカバリでは、システム状態すべてのリストアのみでなく、指定した一部のリスト
アにも対応する高度な柔軟性を提供します。
オプション
クラスタ化した Exchange Server のプロテクト − Exchange Server が優れている点をエンタープライズレベルから見る
と、Microsoft Cluster Services(MSCS)との緊密な統合を挙げることができます。MSCS は Windows 2000 および
Windows 2003 サーバーを 2 台以上クラスタリングできる優れた機能を持ち、1 台のサーバー(ノードと呼ばれる)が使用
不能に陥った場合でも 1 つのサーバーとしてハイアベイラビリティを維持します。MSCS を使用すると Exchange Server
は 1 つの仮想サーバーに見えますが、実際にはこの仮想サーバーはクラスタ上のすべてのサーバーを表しています。クラ
スタリングによりインストールされた Exchange Server を適切に保護するためには、バックアップ アプリケーションはこの
仮想サーバーを対象にする必要があります。これは、1 台の Exchange サーバーが停止すると、バックアップおよびリスト
ア操作を継続できなくなるからです。
6
Backup Exec の強み
Backup Exec は Windows 2000 および Windows Server 2003 上で稼動する 8 ノード(現在のところ MSCS が提
供する最大ノード数)までのクラスタ化 Exchange を完全にサポートします。Backup Exec が Exchange と同じクラ
スタ上で実行されている場合は、フェイルオーバーにより中断されたデータベース バックアップを中断点から自動的
に再スタートさせるとともに、Exchange メールボックスのバックアップも再スタートさせることができます。
導入のガイドライン
•
ディザスタ リカバリのヒント: ディザスタ リカバリ時に整合性を維持したバックアップデータのスナップショットを
リストアするため、Exchange Server データベースのフルバックアップと併行して、Windows オペレーティン
グシステム ファイル、Exchange Server アプリケーション ファイルおよび Windows システム状態をフルバッ
クアップすることをお勧めします。ファイルおよびデータベースの差分または増分バックアップの時にも、この
方法を実行してください。完全な実施ができない場合でも、1 つの Exchange データベースのバックアップごと
に Windows システム状態をバックアップしてください。これにより、バックアップ所要時間が大幅に増加するこ
となく、将来のディザスタ リカバリに高度な保護を実現できます。
•
Exchange Server をドメイン コントローラにしないでください。ディザスタ リカバリでは Exchange をはるかに
容易にリストアできますが、これは最初に Active Directory やプライマリ ドメイン コントローラのリストアが不
要な場合です。
•
Exchange 2000 はインストール可能なファイルシステム ドライバを作成します。このドライバは Exchange
Server 上で M: ボリュームとして現れます。このボリュームはデータをリストアできないため、バックアップ対
象として選択しないでください。
•
1 つのドメイン内に少なくとも 2 台のドメイン コントローラが存在しない場合、Exchange をインストールしない
でください。1 つのドメイン内に 1 つのドメイン コントローラしか存在しない場合、データベース レプリケーショ
ンができません。ドメイン コントローラでのエラーの結果 Active Directory が障害を起こした場合、前回のバッ
クアップに含まれないために回復不能なトランザクションが発生することがあります。ドメイン内に少なくとも 2
台のドメイン コントローラを設置されていると更新が可能です。障害の発生したドメイン コントローラ上のデー
タベースをバックアップからリストアした後に、レプリケーションを利用して喪失トランザクションを埋めることが
できるからです。
•
SCSI コントローラ上のライト キャッシュを無効にしてください。Windows はバッファを使用しません。そのため
Exchange(もしくは他のアプリケーション)が Windows から書き込み完了通知を受け取った時点でディスク
への実際の書き込みが完了します。ライト キャッシュが有効になっているとディスクへの実際の書き込みが完
了していないのに、 Exchange(およびその他のアプリケーション)に誤った情報として伝えられます。この結
果として、実際にディスクへの書込みが行なわれる前にシステムクラッシュが発生した場合、データの破壊が
生じてしまいます。
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データベースのプロテクション
Exchange Server はユーザーが利用する情報を格納するため、主要データベースとしてディレクトリストアとインフォメー
ションストアの 2 つを備えています。
インフォメーションストアはユーザーが作成するデータを格納します。この保存領域は、実際にはパブリック データベースと
プライベート データベースで構成されます。すべてのパブリック フォルダ データはパブリック データベースに格納されます。
一方、すべてのユーザーのメールボックスはプライベート データベースに格納されます。スケーラビリティ、クラスタリング、
バックアップのサポートを向上させるため、Exchange Server 2000 および 2003 ではインフォメーションストアを複数の
データベース ストレージグループに分割することで個々のユーザーに対応することができます。
各ストレージグループを個別に保護することが可能で、グループ内のデータベース間でトランザクションログを共有していま
す。この結果、より柔軟性の高いデータプロテクション計画を実現しています。
一方 Directory は Exchange 内のユーザー(受信者)に関するデータベースです。Exchange v5.5 およびそれ以前の
バージョンでは Directory は Exchange の一部として機能していました。Exchange 2000 および Exchange 2003 では
ユーザー データベースとして Active Directory を利用します。したがって、Exchange 2000 および Exchange 2003 を実
行するためには Windows 2000 もしくは Windows 2003 が Active Directory 環境で運用されている必要があります。
Active Directory に格納するデータはインフォメーションストアほど多く更新されませんが、Active Directory のバックアップ
を インフォメーションストアと同じスケジュールで行うことは Exchange データベース上でユーザーとデータの整合性を維
持するうえで非常に重要です。
Exchange はストレージグループ内の各データベースに対して共有トランザクションログを使用します。これによりログの増
分または差分バックアップを介したきめ細かい Exchange 保護を実現しています。
トランザクションログはデータベースの更新を記録した実行ログを収容するファイルです。Exchange はエラーや破壊からリ
カバリを実行するため、これらのログを再生することにより直前に実行したトランザクションまでをデータベースに再現でき
ます。容易に想像できますが、Exchange Server がビジー状態の場合、迅速に多くのトランザクションログを生成する可能
性があります。Exchange Server は増分バックアップもしくはフルバックアップの実行後にログ ファイルを削除します。その
ためログの増大を抑えるためにはこの種のバックアップを頻繁に行う必要があります。Exchange Server は循環トランザ
クションログ モードを提供します。このタイプのログは循環的に上書きされるため、Exchange は小さなサイズのトランザク
ションログのグループを利用できます。この方式では一番古いログ ファイルを循環して上書きするため、ログで消費するス
ペースを節約できる長所があります。しかし一方で、Exchange Server に増分バックアップと差分バックアップを利用でき
ない欠点があります。
さらに循環トランザクションログ モードでは、障害発生ポイントまで遡って Exchange をリカバリすることはできません。リカ
バリが可能なのは、最後にフルバックアップもしくはコピー バックアップを実行したポイントまでとなります。
ビジネスニーズまたはビジネス要件
Exchange メッセージ データベースのホット(オンライン)バックアップ − メッセージング アプリケーションが非常に重要、
また分野によってはミッションクリティカルとまで考えられるようになり、Exchange がいつでも利用できるようにすることが
重大な課題となりました。この問題に対応するため、Exchange には Exchange データベースのホット(オンライン)バック
アップを実行する機能が装備されています。この機能はバックアップ アプリケーションから起動することが可能で、 何種類
かのバックアップ方法を提供しています。
•
VSS ライター バックアップ − Exchange Server 2003 がサポートする新機能の VSS ライターを利用するこ
とによりスナップショットを作成できます。これにより個々のストレージグループをフルバックアップできるように
なりました。この機能はディザスタ リカバリを目的として Backup Exec IDR オプションと組み合わせることが
可能で、Exchange 環境全体をシングル パスでリストアすることができます。
•
フルバックアップ − 指定したデータベースと関連するトランザクションログをバックアップし、バックアップ後に
そのログを削除します。フルバックアップは基盤となるバックアップ タイプであり、高度で拡張性のあるバック
アップ方式を構成するために欠かせません。バックアップ方法として 1 種類のみ選択するとしたら、迷わずフ
ルバックアップを選択するべきです。
8
•
増分バックアップ − 関連するデータベースに対するトランザクションログをバックアップし、バックアップ作成
後にログを削除します。増分バックアップの利点としては、バックアップ量が最小で済むことであり、そのため
Exchange Server に与える影響を最小限に抑えることができます。そしてもう 1 つの利点はログ ファイルが
占有するスペースが変化しないことです。欠点はフルバックアップのリストア後、すべての増分リストアを連続
して実施する必要があることです。たとえばフルバックアップを日曜日に実行して平日に増分バックアップを行
う場合、金曜日に発生したディザスタをリカバリするには 5 セット(フル 1 + 増分 4)のバックアップデータが必
要になります。別の見方をすると、増分バックアップはバックアップ作成時には時間の節約になりますが、リス
トア時には差分バックアップよりも時間がかかることになります。
•
差分バックアップ − 関連するデータベースに対するトランザクションログをバックアップします。バックアップ作
成後にログの削除はしません。差分方式は最後に作成したフルバックアップ以降、もしくは増分バックアップ
以降に累積した変更データ(ログ)をバックアップします。差分バックアップを利用する主要な利点は、次のよう
にリストアを実行する場合です。フルバックアップと最後の差分バックアップのリストアのみを実行します(累積
されているため)。たとえばフルバックアップを日曜日に実行して平日に差分バックアップを行う場合、金曜日
に発生したディザスタをリカバリするには 2 セット(フル 1 + 差分 +1)のバックアップデータが必要になります。
差分方式の欠点は、増分方法と比較してログ用のディスクスペースが増加することと、バックアップに収める
データ量が増加することです。別の見方をすると、差分方式は増分方式と比較してバックアップに要する時間
が増える代わりに、リストアにかかる時間を短縮できます。
•
コピー − 選択したデータベースおよび関連するトランザクションログをバックアップします。この方式はデータ
ベースのコピーを作成するのに便利です。フル、増分、差分のいずれのバックアップ方式を使用しているかを
いちいち考える必要がありません。
どの方式が Exchange Server のバックアップに最適であるかは、組織がどのような環境に置かれているかで異なってきま
す。毎日発生するトランザクションの量や、リカバリが必要になった場合の所要時間や要求される精度によります。バック
アップ方法を選択するには、次の点を考慮に入れるとよいでしょう。
•
システム内を通過するメッセージの数が比較的少ない小規模なオフィスでは、毎日夜間にフルバックアップを
実行すれば十分なデータプロテクションと最速のリカバリを実現できるでしょう。
ログ ファイルの増大が問題になる場合、昼間に増分バックアップを実行してリカバリ ポイントを作成すれば、ログ ファイ
ル増大は自然と抑制されます。
•
中規模から大規模な組織では、週末にフルバックアップを実行し、平日もしくは毎日増分バックアップを実施
することが多くなります。1 週間分のログ ファイルを格納できるディスクスペースがある場合、週単位の差分
バックアップを導入することを考えてもよいでしょう。毎日と週単位でバックアップの種類を変えてもかまいませ
んが、ディザスタ リカバリを制御しやすくするにはできるだけ構成をシンプルにすることが望まれます。
•
大規模な環境 − Exchange 2000 もしくは 2003 を利用している場合は Exchange に Storage Group を導
入することをお勧めします。各ストレージグループを別のスケジュールでバックアップするか、併行してバック
アップします。利用しているサーバーが入出力(I/O)トラフィックを制御できる場合は、テープデバイスの運用
を分けることでパフォーマンスの向上が期待できます。たとえばメールボックス ユーザーを事業部もしくは姓
により 2 つのストレージグループに分け、2 台の高速テープデバイスで別々にバックアップすると、バックアッ
プ ウィンドウを削減できます。ストレージグループを導入することで Exchange Server の管理は複雑度が増
しますが、同時に柔軟性とパフォーマンスが向上します。この機能を実装するには Exchange Server 関連マ
ニュアルでガイドラインを参照してください。
9
キー マネジメント サービス データベースおよびサイト レプリケーションサービス データベースのホットバックアップ
これらのサービス データベースを導入している場合は、Exchange Server バックアップに組み込んでください(通常小さい
サイズで済むはずです)。Exchange データベース用に選択したバックアップ方式で両方とも保護することができます。
Backup Exec の強み
Backup Exec は前述したように、データベースに必要となるすべてのバックアップ、および関連するバックアップ方
式のすべてを完全にサポートしています。また、管理者はこれらのデータを保護するジョブを容易に検査、選択、作
成することができます。Backup Exec 9.0 および 9.1 for Windows Servers は独自の設定ガイドウィザードを採用
して最適なバックアップ方式を自動的に選択してくれます。
Backup Exec Exchange エージェントは Exchange Server 2003 に導入された最新の VSS ライター バックアップ
機能を採用しています。さらにこれを拡張的に利用することで NAS 環境のサポート、レガシー API バックアップ、個
別の添付ファイルのバックアップも可能なメールボックス(MAPI)バックアップ、個別のデータベース バックアップ、差
分バックアップ、コピー バックアップ、増分バックアップ、サイト レプリケーションサービス(SRS)の保護、キー マネジ
メント サービス(KMS)の保護をサポートします。リストアに関しては、Backup Exec Exchange エージェントは VSS
ライターを超える追加機能を装備しました。リカバリストレージグループ、個々のデータベースのリストア、ユーザーア
カウントの自動再作成とメールボックス(MAPI)のリストア、リストア時の自動コミット、データ損失時の自動リストア、
スケジュールされたデータベースをリストア前に自動的にディスマウントする機能、データベースをリストア後に自動
的にマウントする機能、サーバーおよびメールボックス両方のレベルにおけるアプリケーション レベルのリダイレクト
リストアを提供します。
Exchange server 2003 の保護の際、次のような場合に Backup Exec Exchange エージェントが必要になります。
•
包括的なデータプロテクション方法(フル、差分、増分、コピーの各バックアップ方法)が必要
•
個々のデータベースのバックアップ
•
クラスタ構成におけるデータプロテクション
•
NAS 構成におけるデータプロテクション
•
非常に利用度の高い中規模から大規模構成の Exchange Server におけるデータプロテクション
Windows Server 2003 上の Exchange Server 2003 を保護する際、次のような要件を全て満たす場合に Exchange ラ
イターの使用が望まれます。
•
フルバックアップで十分
•
クラスタ構成ではない
•
NAS は使用しない
•
データベースが小規模で利用度が高くない
注: Exchange エージェントが提供する複数のバックアップ方法(差分、増分、コピーの各バックアップ方法)を Exchange
ライターによるバックアップと混在して使用することはお勧めできません。またサポートの対象外です。しかしメールボックス
のバックアップの場合は、メッセージを個々に回復するための方法として両方のプロテクション方法を組み合わせて使用で
きます。
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Backup Exec はすべての Exchange Server データを見やすく表示します。
データベース バックアップとメールボックス バックアップを簡単に統合できます。
オプション
Exchange のコールド(オフライン)バックアップ − Exchange のオフライン バックアップまたはコールド バックアップとは、
Exchange Server サービスが停止している間にデータのバックアップを行うことです。すべての Exchange Server ファイ
ルとデータベースが停止しているため、通常のファイル バックアップにより簡単かつ確実にバックアップできます。コールド
バックアップの主な利点はディザスタ リカバリの際に発揮されます。すなわち単純なファイル群としてバックアップされてい
るため、シングル パスで Exchange のすべてが簡単にリストアできることです。ただし主な欠点としては、バックアップ実行
の際に Exchange のダウンタイムという問題が発生することです。Exchange はデータベースのバックアップの際、開始か
ら終了時までダウン状態にしておく必要があります。
ベリタスソフトウェアの強み
ダウンタイムが発生するため Exchange をコールド バックアップするケースはほとんどありません。しかしベリタスソ
フトウェアはエンタープライズクラスの Exchange ソリューションとして Storage Foundation for Windows を提供し
ています。この製品は FlashSnap というボリューム ミラーリング テクノロジを採用しており、ミラーを切断して第 2 の
サーバーにマウントすることにより、Windows Server 2003 上で稼動する Exchange Server 2003 データベースを
他のサーバーへ論理的にコピーします。これにより Exchange アプリケーションやエンドユーザーに影響を与えるこ
となくコールド バックアップが可能になります。他への影響が極めて少ないデータベース バックアップとなるため、即
時のリカバリを実現しディザスタ リカバリが容易にできます。この製品の Exchange 版の詳細については「ベリタス
が提供するその他の Exchange ソリューション」の項目を参照してください。
11
クライアント上にある Exchange データのバックアップ
Exchange のユーザーはメッセージ データを自分のコンピュータのローカル上に保存することができます。このためユー
ザーには非常に幅広い選択肢があります。メッセージ データをローカルに保存することで Exchange が持つ多くの機能を
ネットワークから(リモート ユーザーから)切り離されている間でも利用できます。これはユーザーに多くの利点をもたらす
一方、Exchange データベースもしくはメールボックスのバックアップでは完全に保護できないため、IT 部門は大きな問題
に直面することになります。
さらに今日の企業では、2 つの現象がこの問題を深刻化させています。まずラップトップ コンピュータを所有するリモート
ユーザーの増加があります。2 番目に IT 部門によって Exchange サーバー上のメールボックスの容量が制限されている
ことで、その結果 Exchange ユーザーは自分のラップトップやデスクトップのローカル上にメールボックスのデータを保存す
る必要があります。
このような状況が結びつくと、重要なメッセージ データが紛失または盗まれる可能性が高まり、Exchange サーバーやメー
ルボックス バックアップ方法でも保護できません。企業がこうしたデータを保護するためには、定期的に何種類かの
Outlook ファイルをバックアップするプロセスを導入する必要があります。結論から言えば、個人用フォルダ(PST)、オフラ
インフォルダ(OST)、個人アドレス帳(PAB)がそれにあたります。
ベリタスソフトウェアの強み
デスクトップおよびラップトップに対するデータプロテクションのニーズに応えるため、ベリタスは新製品 Backup
Exec Desktop and Laptop オプション(DLO)を提供しています。DLO は自動化されたソリューションであり、エンド
ユーザーの PST ファイルに保存されている重大なリモート メッセージ データ、およびコンピュータ上に存在するその
他のすべてのデータを保護します。
DLO はユーザーが Outlook を使用中であっても、ネットワークと接続中か切断中を問わず、ユーザーの PST メッ
セージング データを自動的にバックアップします。ユーザーファイルに対する変更のみを送信できるため、ネットワー
ク トラフィックを最小限に抑え、ユーザー データ保護に要する時間を削減できます。変更点はすべてリアルタイムに
送信されます。ネットワークから切り離されている場合はディスク上にキャッシュされ、再び接続されると目的のネット
ワーク共有領域に送信されます。
データプロテクション導入のガイドライン
•
トランザクションログ ファイルをデータベースとは別の物理ディスクに保存してください。これは Exchange の
パフォーマンスに影響を与える唯一の最も重要な構成方法です。リカバリにも影響がありますが、これはトラ
ンザクションログによってリカバリ リソースが追加されるためです。
•
循環ロギングを無効にしてください。循環ロギングによってハードディスクがトランザクションログで満杯になる
リスクが最小限に抑えられます。しかし確固としたバックアップ戦略が存在する場合、バックアップ中のトラン
ザクションログ ファイルが削除されてディスクスペースは開放されます。循環ロギングが有効になっていると、
過去のトランザクションログが上書きされてしまい、ストレージグループやデータベースの増分、差分バック
アップができなくなり、最後のフルバックアップもしくはコピー バックアップまでしかリカバリできなくなります。
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メールボックスもしくはメッセージ レベルのプロテクション
Exchange Server をメールボックスもしくはメッセージ レベルで保護すると、きめ細かな設定(メッセージ、カレンダ、ノート
など)で Exchange データのリストアを実行でき、ユーザーは多大な恩恵を受けます。通常、メールボックスのバックアップ
を行う理由は、規制上、法制上、もしくは緊急対策上からメッセージ データを容易にリストアすることが目的であり、たとえ
ば、企業監査、証拠提出、あるいは CEO が重要なファイルを削除した場合などがあります。
メールボックスのバックアップにはほとんど時間がかかりませんし、データのリストアも簡単ですが、データベースのバック
アップと比較してコストは割高になります。その理由は次の通りです。
•
メールボックスのバックアップは Exchange データベースのバックアップと同時に行なう必要があります。ディ
ザスタ リカバリの一部として使用するべきではありません。すべてのメールボックスをリストアすることは、
データベース全体をリストアすることとは違います。なぜならメールボックス バックアップにはメタデータと
Exchange が内部で使用する シングル インスタン スストレージ情報が含まれていないからです。
•
メールボックスのバックアップはデータベースのバックアップよりはるかに低速です。Exchange Server はバッ
クアップ製品ベンダーに対して、データベースを保護するためのハイパフォーマンスな API を提供しています。
しかしこれはメールボックスには適用されません。メールボックスまたはメッセージ レベルのバックアップを行
うソリューションを開発したベンダーが若干存在しますが、Exchange クライアント(Outlook)と同じメッセージ
ング API を使用してデータをバックアップしています。フルバックアップにおけるメールボックスとデータベース
の転送速度の違いは非常に大きく、データベース バックアップが簡単に 10 MB/秒を越えるのに対して、メー
ルボックス バックアップでは通常 3 MB/秒を超えることがありません。そのためメールボックス バックアップに
増分もしくは差分バックアップ方法を利用することにより、バックアップ所要時間を大幅に削減することができ
ます。
•
メールボックス バックアップによって Exchange データベースのバックアップに含まれる情報が重複します。
それに加えてメールボックス データに存在するエントリは非常に数が多いため、カタログのサイズが大きくなり、
テープの消費も増えます。
ビジネスニーズまたはビジネス要件
特定の Exchange メールボックスのオンライン プロテクション
企業が Exchange に保存するデータを非常にきめ細かな設定で高速にリストアする場合、メールボックス レベルでのバッ
クアップが非常に効果的です。メールボックスのバックアップには前述したような制約がありますが、バックアップの対象と
してこの機能を必要とする可能性の高いメールボックスのみを選択するとよいでしょう。
パブリック フォルダ データのホットバックアップ
メールボックスのプロテクションと同様に、特定のパブリック フォルダをきめ細かい設定で高速に保護したい企業も存在し
ます。パブリック フォルダのバックアップにはメールボックス バックアップと同じ利点と制約があります。そのため、バック
アップ対象をこのサポートが本当に必要なデータのみに限定してください。
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このような高度なバックアップニーズに応えるともに、この種のバックアップの高速化を目的として、ベリタスは Backup
Exec Exchange サポートにいくつかの機能を盛り込んでメールボックス データとパブリック フォルダに対応しました。その
特長を次に解説します。
•
9.0 で導入された機能: 添付ファイルのシングル インスタンス バックアップ
一般に、Exchange データのほとんどがメッセージの添付データで閉められていることが知られています。
メールボックス バックアップを高速化するため、現在の Backup Exec はメッセージ、カレンダなど Exchange
の添付データのすべてに対してシングル インスタンス バックアップを採用しています。指定したメールボックス
データのバックアップに際して、添付データがバックアップ対象となっている複数のメッセージに関連付けられ
ている場合でも Backup Exec は 1 回しかバックアップを行いません。効果としては速度の向上に加えて、転
送されるデータが少なくて済み、バックアップメディアの消費量が減ります。あるメッセージ データをバックアッ
プするかどうかをシステムが判断するには一定の処理時間がかかります。一般的に言えば、すべてのメッ
セージについて添付データのシングル インスタンス ストレージを行うことは処理効率がよくありません。バック
アップするすべてのアイテムについて添付データをバックアップするかどうか判断するシングル インスタンス
ストレージに対して、小さな断片的データを単純にバックアップするほうが高速になるのが普通です。
•
9.0 で導入された機能: 増分および差分バックアップ方法 − Exchange データベースに対する増分、差分
バックアップと同様に、現在の Backup Exec はメールボックスとパブリック フォルダにこれらのバックアップ方
法を提供しています。
•
9.0 で導入された機能: メールボックスおよびパブリック フォルダ データを一括して除外する手段 −
Exchange メールボックスにはバックアップが不要なデータが大量に保存されます。何百とあるメールボックス
の中からバックアップするべきデータを 1 つ 1 つ選び出す代わりに、Backup Exec なら選択したメールボック
スからデータを一括して簡単に除外することができます。このようなデータの例としては、削除済みアイテム、
送信済みアイテム、予定表、表示、履歴、仕事の各フォルダ、特定の名前をつけたフォルダなどがあります。
メールボックス名もしくはフォルダ名の指定にはワイルドカードが利用できます。
•
9.0 で導入された機能: リストア時のユーザーアカウントおよびメールボックスの自動再作成 − 以前にバッ
クアップされたメールボックスが何らかの理由で削除されている場合、Backup Exec ではメールボックスから
データをリストアする際、簡単に再作成できます。この機能はメールボックスを誤って削除した場合などに非常
に便利です。
•
メールボックスおよびパブリック フォルダ データの簡単な選択 − メールボックスのバックアップは Backup
Exec と緊密に統合されています。他のデータの場合と同様に、ウィザードもしくは GUI 上でバックアップもしく
はリストアするメールボックス データを選択するのみです。
信頼性の高い完全なメールボックス プロテクション − メールボックス レベルのバックアップ ソリューションを比較する場合、
表示、各種 Outlook フラグ、HTML メッセージなど、すべてのメールボックス データがリストアされることを確認するテスト
を行うのが適当です。Backup Exec は、デフォルト状態ですべてのメールボックス データを確実にバックアップし、不要な
ものを除外する機能を提供します。
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Backup Exec を利用するとバックアップする Exchange メールボックス データを容易に選択できます。
パブリック フォルダの表示とリストアするデータを選択する際にも、同様なメッセージ データ表示画面が利用できます。
オプション
Exchange Server 2003 では リカバリストレージグループ(RSG)という機能を装備して、データベース バックアップ(差分、
増分、コピーなど)からメールボックスをリストアする作業を簡素化しています。管理者は RSG を利用してメールボックスや
メッセージ データなどのデータ コンポーネントをデータベース バックアップからきめ細かくリカバリすることができます。
Exchange Server 2000 で見られるように Exchange をリカバリするサーバーを別個にインストールする必要はありませ
ん。RSG はメールボックス データベースのみに使用することができます。パブリック フォルダは対象外です。メールボック
ス レベルもしくはメッセージ レベルのデータは、RSG から抽出して既存のデータストアにリストアすることができます。
Backup Exec の強み
管理者たちは SLA を完全に満たす最適なバックアップおよびリストア戦略を柔軟に構築できるようになりました。上
級管理職のような社員にはメールボックス レベルのバックアップを、Exchange Server 2003 ユーザーには個々の
メール メッセージを復活する RSG 戦略を柔軟に選択することができます。その両者がすべての保存情報をバック
アップすることで確実に保護されています。メールボックス レベルのデータを保護する際にもメディアの種類を問いま
せん。メールボックス レベルではディスクへのバックアップを設定することにより、パフォーマンスが向上しバックアッ
プ ウィンドウを削減することができます。ディスクへのバックアップが可能になり、また Backup Exec にはディスク ス
テージング機能が装備されていますので、スケジュールにあわせてディスクからテープにコピーするディスク ベース
のバックアップが実現できます。ディスク バックアップの直後にテープにコピーする方法とは異なり、 ディスク ベース
のバックアップによる高速なリストアとテープによるデータの保護を両立できます。
導入のガイドライン
•
メールボックス データのディスクへのバックアップ
主に緊急時のリストアに備える必要性からメールボックスをバックアップする場合は、ディスクにメールボック
スをバックアップすることを検討してください。その場合、短期間のうちにバックアップデータを削除するか、次
のメールボックス バックアップのときに上書きします。この方法によって、テープドライブ リソースが低速なバッ
クアップに時間を割かれることを防止し、テープドライブを使用せずに高速にリストアできるメリットがあります。
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ベリタスソフトウェアが提供するその他の Exchange ソリューション
Backup Exec は Exchange Server をサポートする数多くのベリタスソフトウェア ソリューションの 1 つにすぎません。ベリ
タスソフトウェアは Exchange Server のアベイラビリティを高度化(レプリケーション)するソリューションを何種類か開発し
販売しています。次にこれらの製品をご紹介しますので参考にしてください。
•
VERITAS NetBackup − VERITAS® NetBackup™ は、最大規模の UNIX、Windows エンタープライズ環
境を始めとして、特に企業内データセンター向けにメインフレーム クラスのデータ保護を実現します。
VERITAS NetBackup が備える最も先進的なメディア管理には、ダイナミック テープドライブ シェアリングが
含まれます。ミッションクリティカルなアプリケーションの中断のないオンライン バックアップを可能にするデー
タベース エージェントをオプションで提供します。
•
VERITAS Storage Replicator
Exchange Server を含む Microsoft Windows Server 環境でリアルタイムな自動データレプリケーションを実
現します。リアルタイムのディザスタ対策であるか、多対 1 のバックアップ集中化であるかを問わず、
Windows NT、Windows 2000、Windows 2003 プラットフォームにおいて最も信頼のおけるレプリケーション
ジョブを実現します。
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まとめ
Microsoft Exchange Server は多くの企業でミッションクリティカルな地位を急速に獲得しました。したがってそのアベイラ
ビリティを可能な限り維持し、収容するデータを保護することには選択の余地がありません。多くのエンタープライズデータ
ベース ソリューションと同様に、Exchange Server データをバックアップする方法は複数存在します。これがバックアップ
プロセスの管理を非常に複雑にする 1 つの要因となっています。この問題を解決するには、データプロテクション計画を作
成し、自社の環境に適した信頼性の高いバックアップ製品を選択することが必要です。その手順は
1. Exchange Server に求められるサービス レベル アグリーメント(SLA)を確立する
2. Exchange Server 向けソリューションを調査し、自社の SLA に最適な製品を特定する
3. データプロテクション計画を作成しソリューションが果たすべき役割を定める
4. その計画を実施し成果をモニターする
このホワイトペーパーは Exchange Server データプロテクション計画と、バックアップ ソリューションの導入方法について
大局的な視点から解説していますが、Exchange Server のインプリメンテーションは大規模かつ複雑なインストールに発
展する場合があり、自社の導入計画が拡張可能な構造になっていることと、ディザスタ発生時には問題なくリカバリできる
ことを確認しておく必要があります。この目的でコンサルティング サービスの利用を検討するとよいでしょう。
Exchange Server の規模や複雑度にかかわらず、VERITAS Backup Exec Microsoft Exchange Server エージェント は
高い信頼性と使いやすさを提供するソリューションとして、データベース レベル、メールボックス レベルいずれにおいても確
実なデータプロテクションを提供します。ディザスタ発生時には Backup Exec IDR オプションにより Exchange Server の
バックアップを迅速に回復させ、高速な稼動を実現させることができます。速度に不満がある場合は、リストア ユーティリ
ティよりも Exchange Server のアベイラビリティを高くする別のソリューションをご用意しています。
ベリタスソフトウェアの詳細な製品情報につきましては、
弊社の Web サイト(http://www.veritas.com/jp/)
をご覧ください。
© Copyright 2003 VERITAS Software Corporation. All rights reserved. VERITAS、VERITAS SOFTWARE、VERITAS ロゴ、およびその他の VERITAS 製品は、米国および各国の VERITAS Software Corporation の商標または
登録商標です。その他の会社名、製品名等は、それぞれ各社の商標または登録商標です。製品の仕様、性能等は予告なく変更する場合がありますので、ご了承ください。
ベリタスソフトウェア株式会社
お問い合わせ先
〒100-0011 東京都千代田区内幸町 2 丁目 2 番 2 号 富国生命ビル
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http://www.veritas.com/jp
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