長崎大学海洋環境科学情報発信シリーズ 「海と地球と人と」 第2回東京セミナー 「東シナ海にくらす魅力的な生物たち」 第2回案内 主催:長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科 日時:2012 年 10 月 5 日(金)17:00〜19:30 会場:カフェみねるばの森(長崎大学東京事務所) 東京都千代田区九段北 1-9-17 寺島文庫ビル 1F 03-6268-9116 東シナ海は、日本にとって最も重要な海洋資源の供給場所の一つ です。しかしその環境は大きく変動し、生物資源も急減しています。 長崎大学では、東シナ海の海洋生物資源を持続的に利用するための 研究に取り組んでいますが、その成果を広く一般の方に伝え、東シ ナ海の重要性とその魅力を理解していただくために情報発信を企画 してきました。今回は、 「東シナ海に生息する魅力的で多様な生物た ち」に焦点を当て、その暮らしぶりを人間活動や近年の環境変動の 影響などとも関連付けて紹介いたします。今回のセミナーでは、沖 縄美ら海水族館名誉館長の内田詮三氏と本学の山口敦子教授に話題 提供をいただきます。 参加者は 30 名程度とし、講師による話題提供のあと、参加者され た皆様との意見交換の時間を 45 分程用意いたします。また、ワンド リンクと簡単な軽食を提供し、それを召し上がりながら話を聞いて いただく「サイエンスカフェ」スタイルでのセミナーを予定してお ります。 募集人数:30 名 募集期間:2012 年 8 月 28 日より 9 月 28 日まで。 但し定員になり次第募集を終了いたします。 募集方法:インターネットによる申し込み。セミナーの詳細につき ましては、随時 HP で情報を提供するとともに、参加を 申し込まれた方にはメールで連絡させていただきます。 申し込みぺージ http://mg.jimu.nagasaki-u.ac.jp/smart/eq.asp?U=5001 000000004067101&page=1 環東シナ海センターHP の関連 URL http://www-mri.fish.nagasaki-u.ac.jp/index.php?id=60 長崎大学 HP の関連 URL http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/about/info/event/event1 68.html 参加費:1500 円(ワンドリンク+サンドイッチ付き) 講師・話題提供内容の紹介 講師1.沖縄美ら海水族館名誉館長 内田詮三氏 講師プロフィール 1935 年:静岡県伊東市に生まれる 1961 年:東京外国語大学 イ ンドネシア語科卒業 1961 年:静岡県伊東市水族館入社 1971 年:福島県照島ランド 園長 1975 年:沖縄国際海洋博覧会 海洋生物園飼育次長 1981 年:国営沖縄記念公園水族館館長 2002 年~2011 年 5 月 沖縄美ら海水族館館長 東京大学淡水イルカ調査でバングラデシュ(1970)、ウルグアイ (1973)、琉球大学ジュゴン調査隊でインドネシア(1978)、同大ア フリカマナティー調査として西アフリカ諸国で学術調査(1981)。 米国ボデガ海洋研のシンポで世界初のホホジロザメ繁殖様式発 表。 1992 年、1994 年、1995 年アリューシャン、アラスカでザトウ クジラ調査。アメリカ板鰓類学会でジンベエザメの飼育を発表(メ キシコ、2000)。 学位)博士(農学)、沖縄のサメ、エイ類の繁殖生態、1999 年、東 京大学 受賞)みどりの日表彰 調査学術研究部門 環境大臣 2005 年 第 2 回海洋立国推進功労者表彰 総理大臣 2009 年 社会教育法施行 60 周年記念社会教育功労者表彰 文部科学大臣 2009 年 著書、論文)「水族館動物図鑑」編著、「沖縄の鯨類」、「沖縄の王 者ザトウクジラ」編著、「飼育板鰓類の繁殖」(英文)、「日本産妊 婦ホホジロザメと臨月の胎児」(英文)、「鯨類水族館」(分担執筆) 今回の話題:東シナ海、サメとクジラの物語 沖縄美ら海水族館の展示コンセプトは「沖縄周辺の海の旅をし て、そこに住む動物に出会う」ということである。従って展示動 物の収集や生物調査の範囲は南西諸島周辺海域ということにな る。南西諸島は屋久島から台湾直近の与那国島迄、約 1,200 ㎞に わたって連なる島々である。 今回はこの海域に住むサメ、クジラの面々をご紹介することに する。 エイ類もサメと同類であり、サメ・エイ類を板鰓類とも呼ぶ。 クジラ類の小型種をイルカと呼ぶのでクジラ類と言えばイルカ も含む。沖縄は草食の水生哺乳類、ジュゴンの分布の北限域で、 現在もわずかながら生き残っている。東シナ海の生物生息環境は、 島々を取り巻くサンゴ礁、巨大な暖流である黒潮周辺の沖合の海、 沖縄舟状海盆と言う深い海と誠に多彩である。 美ら海水族館で飼育している世界最大の魚、ジンベエザメは飼 育期間 17 年、アルフレッドマンタは 20 年、危険度 No.1 のオオ メジロザメは 34 年といずれも世界最長飼育記録を日々更新して いる。マンタは世界初の繁殖に成功、オオメジロザメは 3 世代の 水槽内繁殖にも成功している。ザトウクジラは東シナ海を代表す るヒゲクジラ類であり、冬から春にかけて、繁殖のために沖縄周 辺に回遊し、滞在する。 こうした動物達の生態、生き様の物語である。 講師2.長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科教授 山口敦子 講師プロフィール 最終学歴は、東京大学大学院農学生命科学研究科・博士後期課程 修了(1997 年、学位:博士(農学))。京都女子大学講師を経て、 長崎大学で勤務(2000 年~)。国立環境研究所客員研究員(2005 年 ~)。 専門はサメ・エイ類をはじめとした魚類の分類・生態・資源学的 な研究。 主な著書に「干潟の海に生きる魚たち―有明海の豊かさと危機」 (東海大学出版会)、 「海藻を食べる魚たち」 (成山堂書店)など。 今回の話題:東シナ海の豊かな自然環境とそこに棲む多様な魚類― 環境変化が魚類や生態系にもたらす影響とは? 東シナ海は、九州および沖縄から中国、台湾、韓国に囲まれた 太平洋の縁海です。最深部は約 2700mに達する深海である一方で、 浅い大陸棚も多くを占めており、平均水深は 200mに満たない浅 い海域です。大陸の沿岸からは大きな河川が流れ込み、また多く の島や湾などが存在して起伏の大きな複雑な地形を作り出して います。黒潮が流れ込む海域では冬季にも暖かいのに対し、東シ ナ海北部は冬季には冷たい海となります。こうした変化に富んだ 環境や地形を含む東シナ海には多種多様な魚類の生息場所とな っています。また、東シナ海の表層から深海に至るまでの海域に 常時生息する魚類に限らず、産卵場あるいは越冬場として季節的 に来遊する魚類もいます。このように、東シナ海は日本で有数の 漁場を形成するとともに、生物の種多様性が高く、産業的にも学 術的にも貴重な海域として、多くの人を魅了してやみません。 講演では東シナ海の多様な環境と、そこで見られる様々な魚類を 紹介するとともに、各種が見せる多様な生態について紹介します。 また、東シナ海の多様な魚類の生産を支える場として、沿岸の干 潟や河口域、藻場などの浅い海域は重要です。その重要な海域は、 人間の生活や開発、降雨や温暖化などの環境変化の影響を受けや すい海域でもあります。そういった海域の重要性についてもあわ せてお話します。そして、東シナ海で生まれた卵や稚仔、クラゲ のような生物やゴミまでもが日本各地の沿岸域に輸送されるこ とでわかるように、東シナ海で起きる変化は日本沿岸各地に大き な影響を及ぼす可能性があります。温暖化などの環境変化が魚類 に与える諸々の影響について、現在、産業の現場が抱えている問 題などもあわせて紹介しながら、皆さんと一緒に東シナ海という 海とそこに棲むかけがえのない生き物の魅力、私たち人間との共 生とその未来について考えてみたいと思います。 開催スケジュール 16:30〜 開場 17:00~17:05 開会挨拶 17:05〜17:55 話題提供1 内田詮三氏 17:55〜18:45 話題提供2 山口敦子 18:45〜19:30 質疑応答、意見交換 19:30〜 閉会挨拶
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