第43号 - 月田秀子ファド倶楽部

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月田秀子の昨日 、今日 、明日…
ファドを歌い始めていつの まにか2
0
年以上の歳月が流れた。現地ポル
トガルの若手のシンガー達が続々来日するシ ーンは、今 までにない日本
0年前、アマリア ・ロドリゲ
でのファドの盛り上がり を象徴している。2
スが健在だった頃、 リスボンの ファド酒場で、彼女のレパー ト
リ ーを歌
おうとしても、伴奏できるギタリストは稀有だった。アマリアのファド
を十八番にする ような大それたファディスタは、多分現地ポルトガルで
はいなかっただろう 。 しかも、国民的歌手としての地位は築いたものの、
自分達のために、小さなファドのお庖で歌うことのなかったアマリア自
身に対する、ポルトガルの大衆の風当たりのきっきが、当時かなりあ っ
たことも、事実だ。
リスボンの裏町で生まれ、歌い継がれてきたファドは、今、パ ックボ
苛角、アルファマ、 モーラ リーア、ピカ、マドラ
ーンだ、ったリスボンの f
ゴアを離れ、世界中の大きな舞台へと踊り出ょうとしている。
6月1
7日、東京で日本ファド愛好クラブ主催による「ファドフェスタ
2 4
J が開催された。 日本における初めてのファドフェスタの幕がきっ
ておとされた。正直言って、その ようなコンサー トに参加する ことにた
めらいを感じていたのだが、プログラムが進むにしたがって、 「
これは こ
れでいいのだ」と自らに言い聞かせている自分がいた。 コンサー 卜のト
リを務める ことになっていたのだが、最後の幽の前に、いつのまにかこ
んな ことを私はしゃべっ ていた。「このような会カ河雀される ことは、 2
0年
前には思いもよらなかった ことです。このような機会を与えてくださっ
たフ ァド愛好クラフeの皆様に御礼を言いたく思い ます。今日の出演者は、
皆、ファドがたまらなく好きなのです。そして、それぞれの想いで、そ
∞
日 々雑感
<手ムのリ フレッシュ法:>
私の足を見てよく尋ねられる 。「
何か運動をされていたのですか け
そんな問いに、決まって こう答える ことにしている。「学生運動をちょ
。大阪にいる頃、プールサイドのサウナに入っている私
っとばかしねJ
の足を見て「男の人が入っているのかと思ったJ
と言われた こともある。
なるほど、ふくらはぎは、まるで「金剛力士像J
の知くたくましい。 コ
ンサー トの時は決まってロングドレスだし、普段はパンツしかはかない
ので (
実はスカ ー トと名のつくものは、 2
枚しか持っていなし、)
、その事
実を知っている人は多分、プールでの仲間位だろう 。
小、中、高校時代、体育が一番苦手だった。三つ自の高校 に転校し
たてのとき、体育の授業でバスケ ットをした。なぜかシュ ー トがことご
とく決まって、なんとク ラス対抗試合にでなければいけないはめにな
り、それがいやで、学校を休んだ ことがあった。 ともかく運動会、体育
祭は大嫌いだった。中学の時、 マイクの前に座り、場内アナウンスを
受け持った時が唯一楽しかった運動会の思い出だ。
兵庫の高校の時、野球部のマネージャ ーにスカウトされ、まあ、自
分でプレイするわけじゃ ないし と、春の大会から夏の大会 まで、真 っ
黒になって球児たちと練習試合に明け暮れたこ とがある。南河内にあ
った高校から転向してきたものだから、「河内女」を買われての ことだ
った。本当 は東京下町のチャキチ ャキの江戸っ子だというのに ・
そんな運動嫌いの私が、友人に誘われてジョギングを始めたのは、 3
4
歳頃だろうか。それからというもの、引越しのアパー ト探しの条件に、
「市場に近い ことJ
、「南向き J
、「風通しのよい ことJ
、「最上階の角部屋」
れぞれの場所でファドを歌ってい ます。今日開いて くださ った皆様の一
人一人の心にも、ファドが芽生え、
育っ てゆくなら ば、何よ りも嬉 しいこ
J口をついてでて
とと思います。本日は本当にありがとう ござい ました。
きたそんな言葉に私自身、びっくりし たほとsだった。そう 言 うこと によ
って、妙に心か乾くなっている自分に気がついた。流れの中 に漂う自分
の姿を見たような気がした。
0
年ぶりでマリオネ ッ トの湯浅隆 ・吉田剛士 と再会した。
会場では、 1
かつては、共に活動していた仲間だった。彼らは、自分遠の オリジナリ
ティを求めて、 1
0
年前に独立していった。夢を運んで きて くれた出会い
0年
に代わって、別れは、新生の痛みを伴ってやってきた。それからの 1
の歳月は、お互いのその痛みを、忘れさ せてくれるに十分だった。昔の
恋人に再会するようなときめきが私の心の中で踊っていた。いつかもう
一度、湯浅のポルトガルギタ ーでファドを唄ってみたいものだと願って
いる私がいる 。
「
秀子が私の歌を歌いつづけてくれる限り、私のファドは生き続ける」
そう 言っ てくれたアマリアは、あの世で、ポルトガルの若き歌姫達のフ
ァドを、そして日本で歌われる彼女のファドを、どんな想いで聴いてい
るのだろうか?誰がどのような形で何処で歌おうと、唄う ことと生きる
ことへの真撃なまなざし同時代に生きる者逮への共感、そし て失われ
た者たちへの祈りが失われぬ限り、ファドはしっかりと人の心に根を張
ってゆくと信じて、 これからも私のファドを気負う ことなく歌いつづけ
てゆきたいと思う 。
に 「公園 に近い こと」が加わった。そんなわけで、長居公園、大阪城
公園をわがグラウンドとして走り回っていた こともある 。
水泳を始めたのもその頃で、美容上の問題からジョギングを止めた
今も、水泳だけは続いている。 ファド倶楽部の会員には、そんな「裸
のつきあい」を経て会員になってくれた人もいる。 ジョ ギングも、水泳
も、運動神経とは無縁、しかも、ひとりでできるというのが魅力だ。
飲みすぎたとき、仕事が休みのとき、体がだるいとき、無力感に襲
われるとき、私は、天王洲にあるプールへと自転車を走らせる。 1キ
ロを 3
0
分ほとの、けて泳 ぐだけだが、心も体も軽くなる。同じ コー スに
自分より速いペースで泳ぐ人がいたりすると 、以前は、持ち前の負け
ん気が頭をもたげ、ついオ ーバーペースになり、帰ってきてぐったりす
ることもあ ったが、最近は自分のペースで泳げるようになった。これも
歳がなせる技だろうか。これ以上速く泳ぐ気も、距離を伸ばす気も今
はもうない。ただひとつ、 i
永ぎ始めたら途中でやめない こと、それだけ
を言い聞かせながら泳いでいる。 しんどかったらペースを落としてもい
い
、 3
0
分間ひたすら泳ぎつづける。ほんの少しでも前へと泳げばそれ
でいし 、
。 まあ、後ろに進むなんて ことはないわけで、ほとんどクロ ール
で泳ぐのだが、少しでも先の水をかくために、精一杯腕を伸ばすとき
の感覚がなんとも心地 よい。横になったまま、自分の体重も感じない
でいられるのも魅力だ。歌のことや、抱えている問題や、いろんな人の
顔が浮かんでは消え、消えては浮かび ・・・。決して結論を出そうと
もせず、 3
0
分がすぎてゆく 。泳ぎ終わると、プールのすみで、胎児の
ように体を丸めて水に浮く 。
長身と書き ましたが、私のリフレ ッシュの仕方のひとつを披露さ せ
ていただきました。実際、そのたくましい足と、水着姿をお見せできな
いのが残念で、は ございますが ・・・。
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BHHH川﹄出
ファドとのであい
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lのパックナンバーを一気に読み終わりまし
た。春の4
2
号で創刊 1
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周年だ‘ったんですね。おめでとう ございま
す。貴女のファド人生を駆け足で追いかけることで、やっ と月田
秀子の歌を解るための糸口を見つけたような気がし ます。それに
しても 2
0
年近くも前から、この大阪でこんなにもド ラマチ ックな
活動をされていたのを知らず,やっと貴女の歌に出会った時には
すでに東京へ去られた後とは・ ・実に残念至極です。せめてJ
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l片手に蕎麦の“凡愚"や数々のパ一、居酒屋、月田秀子の史
跡を経巡り、大阪時代を偲ぶことにしましょう 。いつか,ご本人
とバッタリ出くわすことを期待しつつ。
私とファドとの出会いは,インタ ーネットで何人かの方の旅行
記や、現地ポルトガルのホ ームページでファドについて語られる
のを読み、試聴したのが始まりです。それぞれの人にとってのフ
ァドとは ・-こ の紙面で色々語られてきましたので、 それ以上の
こと を披涯するだけの表現力も感性も、私には持ち合わせがあり
ません。ただファドを聞いた瞬間、これこそが自分が求める歌
だ!と思ったことには間違いありません。なにか満ち足りない哀
しみや、警官屈たる想いを鎮めてくれる、心の奥底にある、生きる
ことへの根源的な不安に正面から向き合って、それに打ち勝つ,
共存する勇気を与えてくれる、私にとってファドとはその ような
力と言うことができるかもしれ ません。
アマリア・ロドリケスのCD
数枚を聴き始めたのが昨秋、あと
入手し易いのは、 D
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aなど若手のメ ージ
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oの清澄な歌声にも惹
歌手になってしまい ますね。C
かれ、 CD
のコレクションを少しづっ増やしていき ました。
これまで見過 ごしていた月田秀子ファド倶楽部のページに気付
いたのは、そんな数ヶ月前のある夜のことでした。月田秀子さん
の曲に接したとたん、その歌声が自分の心の襲の隅々まで、実に
素直にス ッと染みこんでゆき、思い屈した気持が解きほぐされて
行くのを感じ、これこそ私のファドだと思うようになりました。
日川HHH比也
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1 FADOFESTA2004
月田さんの、水面 ごしに聴くような潤いのある、柔かな暖かい声
で歌われるファドには、どの現地の歌い手のものとも、アマリ
ア・ロドリゲスの歌とも、なにか違ったものを感じ ますね。アマ
リアを初めて聞いた友人の多くが、怖い音楽ね ・-との感想を持
ちます。
『そりゃそうだ,なにしろ FADOとは “
宿命"だからねj
と答えるのですが、月田秀子のファドでは、悲しみを歌 っても、
逃れよう のない運命の過酷さや、突き放された悲劇、冷たい峻
拒、というよ り、なぜか救い とか許 しと いうものが、悲しみの中
に初めから内在することを感じと ってしまう・ -と言えば、大げ
さでしょうか?風土や文化といったものと、歌い手個人の声の
質を結び付けて考えるのは、勿論意味のないことですが、少なく
とも月田ファドは,傷つき疲れた私達の、日本人としての感性に
こそ、まさにピ ッタリと合う、絶妙の癒しの調べに違いありませ
ん。 大慈悲のファドと勝手に呼べば、ご本人は不愉快で、
しょう
ね。
いずれにせよ、月田秀子と同時代にあって、その活動を目の当
たりにし、歌声を間近に聴いて慰められるのは、私たちにとって
稀有の幸運と 言 うべきです。 この幸運も、ご本人の こ努力と、 い
ろんな条件の危いバランスの上で、享受できている こと を忘れて
はなりません。特別な力も何もない、唯の生活者にすぎない俄フ
ァンの私ですが、なにかできる ことはないか! ・-との思いに駆
られてい ます。いいものは一人孤独に楽しみたい、人には知らせ
たくない と言 うのも本音ですが、それでは貴女を支える輪の拡が
りょうがあり ませんね。せめて私の友人知人の問だけでも、少し
でも月田ファンを増やすよう心掛けましょう 。 ホーム ページの
URL
やテレビの録画で、“月田秀子お始めセ ッ ト"をまとめて、
友人に勧めるようにしています。何人かをライブに連れ出すこと
ができたら、その時は貴女の歌で、 間違いなく彼または彼女らを
虜にして下さるでしょう 。
では、その日まで
(
感謝を込めて,水際)
大変な こと が起きてしまった。昨年の 「日本 ファド愛好クラ
ブ」発足から一年後、日本のフアデ ィスタ総出で催されるイベン
FADO FEST
AJが現実のものとなったのである。昨今の
、
ト i
サッカーブームのせいか、欧州選手権の開催地ポルトガルが今、
注目を浴びている。ポルトガルといえば、今までせいぜいカステ
ラとポートワインとフランシスコザピエルの印象しかなかった人
が多いと思うが、昨年秋ごろから のあいつぐファディスタたちの
来日や、テレビでポルトガル特集が組まれ、カ ーザ ・ド・ファド
が紹介されたりした ことで、ファドは急激に知名度をあげた。い
まや日本の CDショ ップでは、「ファ ドの王子様j なるアイドル
ばりの (しかも男子でアマリアを歌う! !
) 現地のファド歌手が
紹介されているほどだ。 ヨーロ ッパでじわじわと広がっていたフ
ァド旋風、ついに日本上陸。
日本でファドを歌い続けて 2
0
余年の月田秀子にとって、突如
到来したこのブームはどのように映っているのだろうか。子供を
育てたことはないが、あえてたとえれば手塩にかけて育てた娘が
いきな り色気づいてきたような戸惑いと 寂 しさとうれしさの よう
なもの? その気持ちはもちろん月田秀子本人にしかわからない
だろうから、私があれこれ考えるのはここまでとしよう 。
ひとくくりにファディスタとまとめてしま ったが、今回出演し
たア ーテ イストにはそれぞれ違うパ ックグラウンドがある。 シャ
ンソン畑で活躍する歌手、ポ ップス ・ゴスペルで活躍する歌手、
そしてファドひとすじの歌手。 とらえかたはそれぞれ違えども、
ファド‘を歌 っているとき、彼女たちはやっぱりファディスタ以外
の何者でもな くなるのだ。そして思わせる、 「ファドっていった
い何なの ?Ji
何がファドなの?Ji
どれがファドなの ?J
多分どれ もファドなのだ。 どんなパッ クがっこうと、どんなアレ
ンジをしようと、私には 「
あれはファ ドじゃないjなどと批評す
る気 はな い。彼女たちにと っては、それぞれが自分のファドなの
だから。そう思うしかない。それぞれの思いに、敬意を表したい。
ただ、ひとつだけ言 えることは、曲調がどんなものであオしフ
ァ ドになんともいえない憂いを感 じさせた歌い手は、月田秀子一
人だ‘
っ たという こと だ。晶属目 ではなく、それは当然の こと 。今
回「今夜はファドを歌いますJと言えなかった唯一の歌手なのだ
から。 ファドひとすじに賭けることの重みと思いは、ほかの出演
者と比べる こと 自体がおかしい。月田秀子はいつものことを、い
つものスタイルで、ゃ ったまでである。へンな言い方になるが、 2
0
年ひたすら一人でファド‘
フェスタ (?)だ、った彼女は、 一仕事終
えて、今さぞや複雑な胸中だろうと思う 。
FADO FEST
AJはあるのか。わからない。 しかし、
来年も i
私個人としては、あったら出演してほしいと思う 。その質の賛否
両論はあると思うが、月田秀子にとってファドブームは決してマ
イナスにはならないと思う 。今 までどおり、何ものにも属するこ
となくやっていくのが彼女にとってベストなのであれば、それで、
いい。新し くファドを聴く人たちに、ファドに興味のある人に対
して、今までどおりやっていけばいい。ひたすらファドで積み重
ねた月田秀子の2
0
年は、ほかの誰もさかのぼって持つ ことのでき
ない日本の貴重な宝である。そしてその年月は、彼女がステージ
で歌ってこそ、感じさせられるものなのだ。
] 77r 叫びとささやき
生]
サッカ ーファンを本当に自認する者なら、今なら遥かポルトガ
ルを想って気もそぞろ、仕事のことなとeそっちのけで T V画面に
観入っていたい(もちろん余裕があれば現地で観戦したい)サッ
カーの祭典がポルトガルで始ま っている。
通称「ユー ロJ
oI
ユーロ」と言ったら政治でも経済用語でもな
く唯一 この意味しかない。四年に一度の、ちょうどワ ールドカ ッ
プの中間年に開催される 〈欧州サッカー選手権〉のことである。
大会の会場はリスボンとボルト 。 ここに欧州 16ヶ国を代表す
るチ ームが集結して、ナンバー 1を目指して男たちの熱い闘いが
展開されている。
僕は 30有余年来の筋金入りのフランス晶買だから、ひたすら
ジダンの神技が顕現することを祈るのみなのだが、それにしても
開幕戦でいきなり開催国ポルトガルがギリシャに敗れてしまった
のはショックだった。
鰯焼く匂いを嘆ぎ廻り、土臭い赤ワインとファドを求め、蒼い
月夜に黒猫と共にリスボンの路地裏を散策仰ド梱ではない) して
いた者にとって、ポルトガルはフランスの次に愛すべき国である
ことは間違いない。いや、国民気質では最も愛しく親しい国、そ
れがポルトガルなのである。
マノエル ・ド・オリヴェイラという、すでに 95歳を過ぎたポ
ルトガル映画 (
のみならず世界映画)の大巨匠の驚異的 (
1
)な
永遠 (
とわ)の語らい j を観ていたら、ポルトガルを破
最新作 I
ったあの憎っくきギリシャの(笑)大女優イレ ーネ ・パパスが、
まるで風のささやきの ように、ゆるやかにのびやかに歌い続ける
シー ンが長廻しで出てきた。
その直前 までの、フ ランス、イタリア、ギリシャの女性たちと
ポーランド系米国男性の多言 語 会 話 (
それぞれが母国語を語って
いるのに食卓での会話が成立してしまう!)シ ー ンは、世界映画
史上これまでに例がないほど見事な映像演出がほどこされていて
舌 を巻いたものだがにのシー ンを解説するだけで羽分の映画講
座が持てる )、それはともかく、彼女の軽やかな歌のシー ンには
心動かされ胸熱くなってしまった。歌は人の心と心をつないで吹
きゆく風である、なんて極めて陳腐な言葉が平然 と頭をよぎるほ
どに。
そう、オリヴ‘ェイラの映画を観ているといつも月田さんを想
う。ああ月固さんのフ ァドも こんな雰囲気で聴いていたい、聴き
続 けていたいと思ってしまう 。それは何故なのか?
〈ユーロ2
0
0
4
} と同時期 に日本・ 東京/草月 ホールで行われた
〈ファド・フェスタ 2 4
}。 こちらも内容的 には素晴らしい祭典
だ、った。
∞
アマリア・ロドリゲスの来日公演に湧いていた時代をファド第
1期とすれば、五木寛之さんの長編小説 I
大人の時間 jや短篇
f
暗いはしけ jで文学畑にファドの種が撒かれ、月田 さんたち先
駆者が黙々と耕すように歌ってきた第 2期を経て、いよいよ新世
代を含めての第 3期が始まった象徴的イヴ、エントだ、ったと言えよ
うか。
ところで会場の草月ホールは音響機器が効きすぎて、それに甘
えたように本来のファドの“歌ごころ"を惑わされた方もいらし
たようだ。強く声を張り上げるだけが“サウダーデ"の情感を吐
露するものではない。むしろ“ピア ニ ッシモ"の強く激しい想い
を声/身体でいかに表現できるか、ここにフアディスタの力量が
問われるのではあるまいか。
すっかり脱力した自然体のイレーネの歌声、アマリアの息吹一。
握るのではなくて、祈るように、あるいは懇願するように合掌
のポーズで手にマイクをはさみ、何度も何度も、しかもサピの部
分であえてマイクを遠ざけるようにして自分の息づかい ・生の声
を引き出して歌おうとする月田さんの姿に、僕は他のフアディス
タには全く感じられない何かしら不可思議なほど強いメいとおし
さそを感じて聴き入っていた。 同時にまた、鬼気迫るものすら感
じていたのだ‘った。それはリスボンの酒場で歌うフアディスタに
つながる優し さであ り、暗さでもあり、し たたかさなのだろう 。
そこにこそファド本来の心根があるのではないか。
つ まり、月田秀子に機械仕掛けの “ 暗 愁 (
サウダーデ)
" は似
合わない。 [と結ぶと、ホ ール否定論と誤解されそうだが、それ
を承知で突然このまま終わりにしておく 。 さながらオリヴェイラ
のあの作品の ラストのように。
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パイロネ ク口の子
作詞作曲
訳詞
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ジョゼ アフ ォンソ
カウドヴェルテー
MENINO
00BAI
RRONEGRO
JoseAfonso
ごらん お陽さまが昇ってくる
お行き 海を見に
子どもら よ 走っ て行け
お陽さまのお出ましだ
貧しきの中に 生を享けた子よ
お化けを 恐がる子も平気な子も
いつかは必ず歌おう よ
この歌を
裸同然で生きていく子よ
生まれたときは 誰もみな裸だ
うつむいていないで
光を見においで
ごらん お陽さ まが昇ってくる
お行き 海を見に
子どもら よ 走って行け
お陽さまのお出ましだ
粗末な身なりの子よ
新しい日は あそこから始ま る
歌を歌える者にだけ
新しい日はやっ てく
る
もし歌う喜びにはじけて
大地もほほ笑み返すな ら
誰もが好きになる よ
君のことを
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パイ ロ ネグロ
パイ ロ ネグロ
日々の糧も
安らぎもないところ
余程いやでなければ
みんなが望むなら
いつかは歌を覚えようよ
何があろうと
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1929-1987)
について
作者のジョゼ・アフォンソ (
彼は、半世紀ほと 続いたポルトガルの軍事独裁政権の下、何度も投獄されながらギターを抱え唄いながら、戦いつづけた。彼の作る歌は、虐げられた者、
弱者へのやさしいまなざしにあふれでいる。1
9
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年4月2
5日、彼の i
GRANDOLAJという歌がラジオで流れるのを合同に、各地の岩手将校達を中心に反政
が起こり、長い間の暗黒政治にピリオトーが打たれた。投獄による病で1
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4H逝去
府勢力が決起、「カ ーネーション革命J
P月四は、いつか弾き語りでこの歌を歌いたいと思っています。 P
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DTIlf@[[OTIùéID@~@
- 月 田 秀 子 フ ァ ド 倶 楽 部 会 員 限 定 CD i
月 田 秀 子 コンサート
-表通りの異国情緒路地裏のノスタルジ一「マカオ歴史散
歩J(菊間潤吾 著 ・ 新 潮 社 と ん ぼ の 本)発 売 中。
2
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在 庫 あ とわずかです。 ご希望の方は、お早 め にお申し込み
大航海時代以来のポルトガルと、古 きよき 中国の血脈が見
くださし、。
.ラティーナ
事 に 溶け合っ たマカオの素顔 を覗き見ることができます。
8月 号 に 、 マ リ オ ネ ッ トの 湯 浅 隆氏 と 月 田 の 対
談が載り ます。 入 手 困 難 な 場 合 は 、 フ ァ ド倶楽部までご一
報 く だ さ い。
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く月田秀子ファド倶楽部ホームページ掲示板より>
4月3日名古屋花祭りファドコンサートーから
投稿者:ミスタニ
こんにちわ。名古屋在住の水谷といいます。1
0
年ほと前、ラ イブハウス
で月間さんのファドを聴いて、思い入れたあげく名古屋でコンサー トを催
日制年の初回以来5回目です。l
回-4固までは3
∞人ほどの規模のホ
すこと 1
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首席で、<受陀緩の桟
ールで、今回はお寺の本堂で開催しました。ω
橋>というタイトルの草月流の花とのコラボレーションです。いつもはピ
アなどにも出して宣伝するのですカ又今回は、会場が小さいので今まで来
だけ、電話予約で当日精算というや り方で
てくださ った方々へのDMとHP
当日欠席は0名でした。心から待っていて来てくださっ た方々と、夢心地
のひと時を過ごしました。溢れる花々、哀切なファドの調べ、ここに集っ
たω
i余名のひと びとの熱い想いが、ひとつになった春の宵でした。その
でごらんになれます。
模様は、以下の HP
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byakuzoh/
ライヴの様子を写真や言葉で伝えることは至難だと、つくづく思いま
す。ライブ中の写真撮影は聴いておられる方への妨げになるので、掲載の
ものはリハーサル中のものです。だから臨場感の違いがあっ て、それが納
得できず、カットカットになってしまいました。
さて、参加してくださった方々からも感想をたくさんいただきましたが、
私が照れるのは筋違いなのですが、なんだか恥ずかしくて載せられません
でした。でも耐えて (
やはり変な性格ですね。すみません)紹介します。
例えば彼、名古屋での5回のコンサー トに、自分が座長である会議を抜け
出してでも、すべて来てくださっている人ですが、「今回が今 までで最高
だった。始めのころは情熱が恐ろしいくらい溢れていて圧倒されたが、今
回は内面から穆み出るような情感に引き込まれた。 トークにも内面的な深
さを感じた。
」と 心から歓んで くださっていました。
「ますますきれいにな
ったでしょう j と問い返すと、女の容姿のことを評論するにはあ まりにも
テレ屋過ぎる彼は、独特のテレ笑いをするばか りでした。私は月田さんを
知って 1
0年ぐらいになり ますが、今回の月田さんは、今までの中でいちば
んに美く感じました。歌も、 トークも、すべて、味わい深くすばらしかっ
たと私は恩います。こんな こと は、ご当人には一言も言えなかったのです
が ・・
な 勺ゆきで、告ってし まいました。
コンサート の模様を少しでもお伝えしたいのですが ・
・ ・言葉が及ばな
いのカ哨念、です。
雰囲気は大阪ら しく、いわゆる N HKくささを出さない よう にという意
図は分かるものの、肝心のファドや月田さんについて、ディレクタ ーや司
会者の情報集めに疑問か残り ます。
今回のようなスタジオで月田様の歌を聴くのは、ライブハウスとは違っ
た感じで、楽しむ ことができます。 しかも蕪料でした。
ただ、テレビ画面のようなテロ ップやク ロー ズアップが見られないのは
残念でした。
こんどテレビの公開番組がある時には、ファンのみなさ ま
、 大勢で申し
込みましょう!
昨夜のショー、素晴らしかった l
投稿者:みわ
昨夜、青山で月田さん以外の方のファドを初めて聞き ましたが、いや
あ、皆さん素晴らしかったです! !ピ ックリ!でもその中でもやはり、月
四さんが歌われると空気か変わる気がしました。
勿論、 トリは月田さんでしたしね。でも皆さんとても個性的で、やはり
その道のプロは違いますね。プロフェ ッシ ョナルを充分堪能でき、とって
も勉強になり ました!月田さん、お疲れ様でした!そして、いつもながら
感動を有難う ございます !どうぞお体は充分ご自愛くださいね。適度にス
トレス発散もお忘れなく!では、また。
l
投稿者 :
P
個性あふれるス テージでしたね。
月固さんか歌うと確かに終わってざわざわ ・・・あれ料少に印象的でした。
それにしても月田さんてスタイルいいですねえ。毎度のことながら感動
します。
R
e
:昨夜のショー、素晴らしかった
ブラボーファデ.
イ スタ
投稿者:谷川
ファドと言えば月田さん、という世界でしたので、覗き見気分で草月ホー
ルに出かけたのですが、いい意味で期待を裏切られて、素敵な一夜でした。
ファドを唄うには、時間の積み重ね治乱立、要なのかな、と思わせるファデ
ィスタ
1
0
年後、どんなファドを唄っているのかな、と思わせるファディスタ
"東の丹田"ならば“西の XX"かな、と里、わせるフ 7ディスタ
1
4時です上方倶楽部」スタジオ参加
投稿者:ぽち
当日のスタジオ は
、 1月の 「
公園通り Jに比べて 5分の lもない、こじ
んまりした広さで、見学者も 2
0
数名でした。それだけに間近に見ること
ができました。野上さん、上川さんも客席のうしろでスタンバイという状
態です。
<編集後記>
そんな中での月田さんの存在は、さすがに別世界の観があり、改めて月
回ファドの奥深さに感銘させられました。
時々は、他のファディスタを聞いて、月田ファドを聞く、 これからの私
のファドを 1
0
傍楽しむ方法として実行しょうかな、と思っています。
I
月田秀子ファド倶楽部ホ ーム ページ
http://w w w.
f
ado.
jp/
ファドの若手歌手クリスティーナ・ブランコのコンサー トに行って
きた。補助椅子が出るほどの盛況。 こんなにも多くのファドファン
がいるのだと、宣伝力の大きさにうちのめされたのか、 4日間の関
西でのライブの疲れからか、体調を崩し、起き上がれない日が続く 。
何とかキーボー ドの前に座り 、こ れを書いて明日は入稿。 (
丹田)
- 月 田 秀 子 ファ ド倶楽部ジ、ヤ ーナ ル 第4
1
号
.2
0
0
4年 7月 1日発行 (
季 刊 : 年 4回 発 行)
・ 編 集 ・発 行 「月 田 秀 子 フ ァ ド 倶 楽 部J事 務 局
1
0
8
0
0
7
5 東京都港区港南 1
82
7日新ピル 1
4
0
6号
干
.
・
TEL&FAX 0
3-3
4
5
89
8
0
6
μj
<月田秀子のスケジ、ユール>
7月 2,日 (
水) 東京・四奇「マヌエル・カーザ・デ・ファドJ
ステージ:① 9:
∞
要予約・問合せ:t
e
l/03-5276-2432
①1
0:0
0 ① n:oo(
入れ替えなし)チャージ:2
,
5
∞円
22日(
木) 向上
23日(
金) 東京・赤坂「ノヴェンバー ・イレフンス J
予約・閉会せ:t
e
l/03-3588-8104
開場:6
:0
0
ステー ジ:① 7
:3
0 ②9:0
0(
入れ替えなし)
24日(
土) 長野 「
北野文芸座 J
チャージ:3
.
6
7
5円 (
税込み)
e
l/026-233-3111
申し込み・問合せ:t
P昼公演です。東京から日帰りも可です。
開場 :1:
3
0 開演 :
2
∞
25日(日) 長野・小海「ヤルヴ ィ一・ホ ールJ
チケ ッ ト ・5
.
∞0
円 (
全席指定)
問合せ:t
el
/0
267-92-4391
P松原、湖を見下ろす丘の上 の小さなホ ールです。
開場・ 6:3
0 開演 :7:0
0
26日(
月) 長野・松本「
四柱神社・参集殿J
開場 :6・0
0 開演 :6:3
0
28日(
水) 京都・四条河原町 「巴里野郎」
:0
0 ①9
:0
0 ①1
0:∞
ステ ージ :① 8
29日(
木) 大阪・心斎橋「アートクラブ j
ステー ジ :8:0
0から 3回 (
入れ替えなし)
30日(
金) 大阪・南方 「
三裕の館J
ステー ジ :
W8:(
氾 ①9
:0
0
8月
, 8日(
水) 東京・四釜 「マヌ エル・カーザ・デ・ファド」
チケ ッ ト ・2
∞0
円
e
l/0263-34-8969 (
宮坂)
問合せ:t
入場料 :2
5
∞円
予約・問合せ:t
e
l/075-361-3535
チャージ:3
.
5
∞円
予約・問合せ:t
e
l/06-6212-2870
チャージ:2
,
8
∞円
予約・問合せ:t
e
l/06-6304-1745
ワイン・オードブル付:5
,
α氾円
,
9
e
l/03-5276-2432
要予約 ・問合せ:t
25日(
水) 京都・四条河原町「巴里野郎J
予約・問合せ:t
e
l/075-361-3535
26日(
木) 大阪・心斎橋「アートクラブJ
予約・閉会せ:t
e
l/06-6212-2870
27日(
金) 大阪・南方「三裕の館」
予約・ 閉会せ:t
e
l/06-6304-1
7
4
5
日(
木) 向上
9月, 5日(
水) 東京・四奇 「マヌエル・カーザ・デ・ファドJ
,
6日(
木) 東京・渋谷 「マヌエルj
要予約 ・問合せ:t
e
l/03-5276-2432
予約・間合せ:t
e
l/03-5738一0125
P渋谷忠でのディナーショ ーです。
開場 :6時
ライブ・ 8時3
0分より
ディナ ー&ライブチャ ージ:6
,
∞0円
22日(
水) 京都・四条河原町 「巴里野郎J
e
l/075-361-3535
予約・問合せ:t
23日(
木) 大阪・心斎橋「アートクラブ」
要予約・問合せ:t
e
l/06-6212-2870
P祝日の為、丹田秀子ファド倶楽部総会をかねての特別ライブです。一般の方のご入場も OKです!
開場 ・2・∞
開演 :
2・3
0 会費:5
,
0
∞円
24日(
金) 大阪・南方「三裕の館J
(
ワイン欽み放題 ・パン ・チー ズ付き )
予約・問合せ:t
e
l/06-6304-1
7
4
5
くお願い>
東京に来て 2年 にな ります。東京もしくは近郊で、ファド ライブのできる場所もしくはお庖を探しています。定員 3
0
名から叩
名位までのファドライブに合いそうなお庖がありましたら、ご紹介ください。事務局 までお電話ください。
少しずつファドを定着させていきたく思っています。みなさまのご協力をお願いいたします。