2016年度 春学期・(月V / 火II ) 情 報 第5回目 「マルチメディアデータ」 「マルチメディアデータ」(続き) 10. デジタル画像(続き) 11. デジタル音声 12. デジタル動画 「ICTを活用した問題解決」 13. ICTを活用した問題解決 東京学芸大学 自然科学系 宇宙地球科学分野 講師 講義資料は、http://astro.u-gakugei.ac.jp/~nishiura 西浦 慎悟 「西浦クンの講義室」に縮小版(PDFファイル)を置く予定 ● 最初に ● 様々なデータ圧縮方法 ・ 連長(ランレングス)圧縮 (Run Length Encoding) 10. デジタル画像 圧縮 第5回目 C5B2A7B4C2B6A4 CCCCCBBAAAAAAABBBBCCBBBBBBAAAA データの読み取り ・ LZ77 : 1977年にジェイコブ・ジブとエイブラハム・レンペルが開発した。以前に 同じデータ列が現れていたら、その場所と長さに置き換える。1978年に、文字 列を動的に符号化しながら辞書化するLZ78に改良された。 CCDCCBBAAADAABBCCBBBBBBAAADBCC データの読み取り 16個前から6個分 ・ LZSS : 1982年にジェイムズ・ストレーとトーマス・スツィマンスキルによって LZ77から改良・考案された。データ列が一致するか否かを符号化することで 圧縮率を向上している。 1 10. デジタル画像 第5回目 ・ ハフマン符号(Huffman coding) : 1952年にデビット・ハフマンが開発した符号化 方式。データ圧縮に使用される。文字列を符号化する際に、出現回数が多い 文字に短いビット列、出現回数が少ない文字に長いビット列を与えることで、 データ量を削減する。 DAEBCBACBBBC 文字5種類 1文字3ビット 3ビット×12文字列 = 36ビットが必要 文字 個数 符号 A 2 110 B 5 0 C 3 10 D 1 1110 E 1 1111 合計25ビットが必要 約70%の圧縮 ・ LZW : テリー・ウェルチがLempel-Ziv法(LZ78)を改良したもの。名称は開発者の Lempel、Ziv、Welchの頭文字に由来する。GIFやTIFFで使用されている。 第5回目 11. デジタル音声 ● 音声のデジタル化 アナログ音声 音量 音量 サンプリング 時間 音量 時間 化 量子 時間 サンプリング周波数 : 単位時間あたりの サンプリングの頻度。大きいほどアナ ログ音声に近いものになるが、データ 量も多くなる。サンプリング・レートや サンプル・レートともいう。 量子化ビット数 : 通常の音楽CDでは44.1kHz。人 音を離散化する際 間の可聴域の問題で、50∼60kHz のビット数。音楽C 以上のサンプリング周波数は、事実 Dでは16ビット 上意味を持たない。 (65535段階)。 2 11. デジタル音声 第5回目 ● 標本化定理(sampling theorem) 1928年にハリー・ナイキストによって予想され、1949年にクロード・E・シャノンと 染谷勲によって独立に証明された。サンプリング定理、ナイキストの定理、ナイ キスト・シャノンの定理、シャノン・染谷の定理、などとも呼ばれる。 アナログ・データをデジタル化する際には、波形の最大周波数の2倍以上の 周波数でサンプリングしなければ、元の波形の再構成ができない、というもの。 元のデータ 音量 時間 サンプリングデータから再現したデータ 元のデータが再現できない! ナイキスト周波数(Nyquist frequency) : サンプリング周波数の1/2の周波数の ことをいう。これをこえる周波数成分は、ただしく再現できず、ノイズを生じる 原因となり得る。 11. デジタル音声 第5回目 ● デジタル音声とデータ圧縮 PCM(= pulse code modulation、パルス符号変調): アナログ音声をデジタル音声 に変換する手法の一つ。音楽CDなどで使用されている。サンプリング周波数 は44.1kHz、量子化16ビットによる表現がなされる。一般に、拡張子「.wav」の WAVフォーマット・ファイルで扱われる。無圧縮のデジタル音声と捉えてよい。 ファイルサイズ大 (エンコーダー) エンコード ファイルサイズ小 無圧縮データ 圧縮データ デコード (デコーダー) MP3(= MPEG-1 Audio Layer-3): 音声データの非可逆圧縮方式。拡張子は 「.mp3」。元々はビデオ圧縮企画のMPEG-1の音声部分として開発された。 1) 人間の可聴域外の周波数のデータを削減。 2) 大きな音の直前・直後の近い周波数の小さい音は、聴覚心理的に 聞こえにくいため、それら音声データを削減(周波数マスキング)。 3) 上記1)、2)などの後、さらに圧縮。 3 11. デジタル音声 第5回目 WMA(= Windows Media Audio): マイクロソフト社が開発した音声コーデック。拡張 子は「.wma」。1999年4月に最初のバージョンが発表された。 RealAudio : リアルネットワークス社が開発した音声フォーマット。ダイヤルアップ から低速通信まで様々な音声品質で対応する。拡張子は「.ram」「.ra」「.rm」な ど。1995年に最初のバージョンが発表された。 AAC(= Advanced Audio Coding) : 先進的音響符号化。1997年にMoving Picture Experts Group (=MPEG)において規格化された音声圧縮方式。拡張子は「.aac」 「.avi」「.m4a」「.mov」「.wav」など。 ● 「コーデック」と「コンテナ・フォーマット」 コーデック : データ圧縮の形式やそのアルゴリズム、プログラムを指す。 コンテナ : データの圧縮形式を識別しつつ、複数のデータを格納できる ファイル形式のこと。例えば、WAVファイルは、事実上PCMデータ「も」 格納できるコンテナ・フォーマットのことである。 デコーダー 動画・ 音声 の視聴 コンテナ 動画圧縮形式 音声圧縮形式 12. デジタル動画 圧縮動画 圧縮音声 第5回目 ● 動画のデジタル化 複数の静止画を連続させることで動いているように見せる。 デジタル画像のサイズを考慮すれば、デジタル動画のサイズは膨大なものになる。 フレーム・レート(frame rate): 単位時間あたりに処理するフレーム数(コマ数)の ことで、fps (frames per second)で表現する。一般に 60 fps 以上であれば滑ら かな動きが表現できるとされる。参考までに、テレビアニメでは一般に 24 fps で作成される。 時間 アナログ動画をデジタル画像化する際に、「サンプリング周波数が低い」、 または、「コンピュータの処理能力が及ばない」場合に、動きがぎこちなくなり、 コマ落ちが生じる。 4 12. デジタル動画 ● デジタル動画の圧縮 第5回目 ・ 基本はまず、デジタル画像の圧縮技術を応用。 ・ 各コマの中で、前後でほとんど変わらない部分はそのまま使い、大きく変わる 部分だけを用いる。 時間 圧縮 3コマで共通の部分 3コマで異なる部分 12. デジタル動画 第5回目 前後の画像から、その間の画像を予測・再現することでデータ量を減らす。 時間 画像間の画像を予測 前後の画像をチェック 動画中の「キーとなる画像」と「その差分データ」を用いて、さらに各種の 圧縮を施す。 激しく画像が変わる映像では、圧縮率や映像の再現性が低下する。 5 12. デジタル動画 第5回目 ● デジタル動画の形式 AVI(= Audio Video Interleave): 動画のコンテナ形式の一つで、AVIファイルなどと呼ばれ、拡 張子は「.avi」。無圧縮動画のコンテナとして使用されることも多いが、様々なコーデックで 圧縮された動画にも対応している。AVI 2.0以前のバージョンでは、2GBを超えるデータは 扱えない。 MPEG-1 : Moving Picture Experts Group (= MPEG) が作成した動画の標準規格。CD1枚 (700MB)に1時間程度の動画を記録することを目標とした。ビデオCDで利用されている。 拡張子は「.mpg」など。 MPEG-2 : MPEGが作成した動画の標準規格。画質はS-VHSビデオ程度とされ、DVDビデオ、 デジタル放送などで利用されている。拡張子は「.mpg」など。アメリカのMPEG LA社が特許 を管理している。 MPEG-4 : MPEGが作成した動画の標準規格。 WMV(= Windows Media Video) : マイクロソフトが開発したビデオ・コーデック。1998年の最初 の発表時にはMPEG4コーデックを搭載していたが、後に独自コーデックを搭載するように なった。これによる動画ファイルの拡張子は「.wmv」や「.avi」。 QuickTime : アップルが開発するマルチメディア技術、コンテナ形式の総称。拡張子は「.mov」 や「.qt」。MacOS Xに搭載されている Quick Time X は、従来のQuickTimeとは別システム となっている。 Flash Video : インターネットでの動画配信を目的に開発されたコンテナ形式。マクロメディア 社が開発したものを、アドビシステムズ社が買収した。拡張子は「.flv」や「.f4v」など。 13. ICTを活用した問題解決 第5回目 ICT = Information and Communication Technology ・何を知っているか? ・何ができるか? 「知っていること」「できること」を組み 合わせて、問題を解決し、意思決定の 材料にする ICTをいかに活用するか? 解決 問題 ① 問題の明確化 ② 情報の収集・分析 ③ 解決策の創出・評価・選択 ④ 解決策の実施と結果の評価 ⑤ 問題解決の再計画 注) 「結局、考えるのは人間である」ことを忘れないこと 6 13. ICTを活用した問題解決 第5回目 ● 問題解決を目標とした協調作業 ブレインストーミング(Brainestorming) BS法、集団思考、集団発想法、課題抽出などともいう。1953年、アレックス・F・ オズボーンが著書の中で、会議方式の名称として使用した。 (1) 「他者を批判しない」 自由な意見を妨げない。 (2) 「自由奔放」 思いついた意見を躊躇せず出す。 (3) 「質より量」 様々な観点から、少しでも多くの意見を出す。 (4) 「連想と結合」 他の意見を改変・結合することで新しい意見を 作り出す。 ・ 順番を決めて意見を出す。 「パス」や「xxと同じ」、「意見はない」はタブー 当初の意見はシンプルな形で出す ・ 質疑応答によって、出た意見を具体的なものにする。 次の段階 : 出た意見の整理 13. ICTを活用した問題解決 第5回目 ● 意見・アイディアの整理 KJ法 文化人類学者の川喜田二郎が考案した、データをまとめるための手法。 名称は、考案者のイニシャルに由来する。 (1) 意見・アイディア・データを一つのカードにつき1件のみ記す。 (2) 関連性のあるカードをまとめて小グループ化し、簡単な見出しをつける。 (3) 互いに近い小グループどうしを、中グループ・大グループにまとめる。 (4) 大グループを論理的な関連性によって結び付ける。 (5) 各大グループ内の中・小グループ間の関係を明らかにする。「原因と結果」 「反対・対立」「関係あり」など。 (6) 大グループに対して、各自で1∼5の点数を付け、総得点が高いものに注目し、 テーマとする。 マインド・マップ テーマの中心となるキーワードやイメージを中央に配置し、そ こから放射状にキーワードやイメージをつなぎ広げることで思考を展開す る。なお、この呼称はイギリスのThinkBuzan社が商標登録している。 概念地図(Concept Map) 概念間の関係を矢印でつなぎ、上方から下方に分岐・ 展開することで概念間の関係を視覚化・明確化する。 7 13. ICTを活用した問題解決 第5回目 ● 結果発表および結果報告 文章 「わかりやすく伝える」ためのプレゼンとレポート 例) 観測による天文学研究の場合 そして、また、さらに、 加えて、しかし、であ るにもかかわらず、し かしながら、だから、 それ故に、というのも ・ タイトル、著者、共著者 ・ (概要 / アブストラクト) ・ イントロダクション(先行研究 / 問題提起 / 目的) ・ サンプルと観測機器 ・ 観測 ・ 画像解析とデータ分析 ・ 結果 ・ 考察 ・ 参考文献 細かく正確な文章よりも、 一枚の「図」や「表」の方が 伝わりやすい。 プレゼンテーションでは「分量」を 重視する。場合によっては「過度な 正確さ」よりも「簡潔さ」「分りやす さ」を優先するべき時がある。 次の文章 段落 そして、また、さらに、 加えて、しかし、であ るにもかかわらず、し かしながら、だから、 それ故に、というのも 次の段落 「デザイン」「レイアウト」にも留意する。 13. ICTを活用した問題解決 第5回目 ● 本授業における「ICTを活用した問題解決」の演習 [位置付け] 学士(大卒)レベルの情報活用能力育成の 総括として、問題解決という枠組みの中で、個々の情報 通信技術(アプリケーション)の効果的な活用を演習を 通して学ぶ。 (本学「情報ガイドライン」より引用) 「情報」では、履修者をチームに分け、それぞれにテーマを与え、 グループ活動としてそのテーマに取り組み、13週目、14週目に チームごとにその報告を行う。 週 内容 月Ⅴ 火Ⅱ 5週目 チーム分け・テーマ決定 5 / 16 5 / 17 13週目 発表1 7 / 11 7 / 12 14週目 発表2 7 / 18 7 / 19 8 13. ICTを活用した問題解決 第5回目 ● 5週目(本授業) ・ チーム分け : 1チーム5∼6名、計8チーム くじ引きで決定する ・ テーマ分け: 1チーム1テーマ くじ引きで決定する ・ チームメンバー間で、連絡・情報交換を密にして課題を遂行し、 最終的なプレゼンテーションを完成させる。 ・ 必要に応じて、担当者(西浦)に疑問点や質問などを相談 ● 13および14週目 ・ 最終報告 : 1チームあたり発表時間12分+質疑応答3分 発表順番は、13週目の最初にくじ引きで決定する。 ① プレゼン・ツールにはMicrosoft PowerPoint もしくは、その互換ソフトを用い、 発表後、ファイルを担当者に提出すること。 ② 発表報告は、必ずチームの全員が行う。代表者のみの発表は認めない。 ③ 評価は発表内容にもよるが、基本的には「結果」ではなく「ICTの適切な利用が 出来たか否か」を最重要視する。 ICTを活用した問題解決(テーマ) 第5回目 与えられた「1枚の天体画像」に関して、 1) それが、どのような天体なのか? 2) その天体画像が、どのようにして得られたものなのか? 3) その「天体画像の色」は何を意味しているのか? 4) その天体画像から、その天体のどのような特徴・性質が分るのか? を紹介・説明するWEBページを作成せよ。 最終報告では、「天体について調べた内容」だけではなく、 それを「どのようにして調査し、WEBページを作成、紹介・ 説明したか」について報告すること。 (事前学習/調査として) 「天体」や「天体画像」と「色」「擬似カラー」などの キーワードを組み合わせて下調べするとよいかもしれない。 9
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