映文連第 23・06 号(2011 年5月 10 日) 平 成 23 年 度 事 業 公益社団法人 計 画 映像文化製作者連盟 書 平成 23 年度事業方針 我が国を取り巻く社会経済環境は、平成 23 年 3 月 11 日を以て大きく変わりました。大 震災及び大津波、そして福島原発事故は多くの被災者を生み、好転しつつあった日本経済 に大きな災禍を残す事になりました。しかし光明も有ります。この未曽有の危機的状況の 中にあって、全ての日本人、企業、団体、そして世界中の国々の多くの人々が、其々に置 かれている立場ごとに、被災者を支援し、その社会的役割を果たそうとしています。そこ にはかつてない、社会的正義が、共生社会が、国際的協調が実現しています。 そして緊急な事態においてこそ、スピーディーで正確な情報、人々に有効な情報、心を 癒す情報が必要とされることを認識させました。映文連は一昨年映文連アワードにおいて、 リーマン・ショックを機に世界を席巻した様々な課題や危機を想起し(imagine) 、その課 題解決に寄与するような映像制作を呼びかけました。いま改めて、公益社団法人の定款に 謳う「映像文化並びに映像産業の振興を通じて、わが国の教育・文化の向上、産業・経済 の発展に貢献し、広く公益に寄与する」ことを再認識し、 「鎮魂と再生」を念頭におきつつ、 微力ながら日本再興の一助となるために尽力してまいります。 言うまでもなく、私たちの携わる映像コンテンツ産業の役割と機能は、社会と個人と創 作者の三者が互いに必要とする 3 つの価値、情報的価値(informative value)、文化的・社 会的価値(cultural & social value)、創造的価値(creative value)を的確に創り出し、継続 的に提供することです。そしてその映像コンテンツの製作者である会員者の皆様の制作環 境を改善し、支援していく事です。 本年度の映文連は以上の事項を踏まえて、映像コミュニケーションが担う社会的役割と 情報発信を次の4つの事業の中で実施してまいります。 1)映像コンテンツの質的改善と普及啓発のための『映文連アワード』の開催と国際交流事業 幅広いメディアで展開する短編映像コンテンツ作品を一堂に集め、“プロフェッショナ ルのための映像祭”として 2007 年にスタートした「映文連アワード」は、業界のフラッグ コンクールとしての歩みを着実に進め、昨年からは「世界の優秀企業映像を見る会」を統 合、「映文連 国際短編映像祭」の一環として、海外映像祭との連携を深めながら、新しい 時代をリードするショートフィルムの可能性をより多くの人々に知っていただけるよう、 東京・大阪、札幌、沖縄で上映会を展開してまいりました。 5 回目を迎える『映文連アワード 2011』のキーワードは「短編力(たんぺんぢから)」 。 キャッチコピーは“このほしの このくにの このまちの あなたと。”未曾有の災害に 遭遇し、一段と厳しい環境が続く中にあっても、人と人との繋がりや日本の再生力を信じ、 日本人を勇気づける短編映像コンテンツを発信してまいります。 2)映像コンテンツの利用促進及び公共団体等の普及啓発事業への協力 映像コンテンツの利用促進のために、歴史的文化的にみて希少価値のある映像コンテン ツを編集・企画し映像出版するとともに、公的機関の推進する映像アーカイブや普及啓発 事業に協力し、一般の方々が目に触れる機会の少ない良質な日本の短編ドキュメンタリー や文化映画、アニメーション映画などを鑑賞する機会を提供してまいります。 また、作品登録データベースの再構築や HP のリニューアルを通じて、短編映像情報を -1- 会員者は元より広く一般の方々にもお知らせし、映文連の社会的役割を広報してまいりま す。 3)映像コンテンツの発展と振興に関わる提言事業 映像コンテンツ振興及び質的向上のために、関連業界共通の課題解決を協議し、社会に 提言する場として「東京コンテンツ・ミーティング」を継続的に開催します。また、公正 な受注契約を結ぶための著作権知識の啓蒙と普及をはかるため、HPによる啓発や「著作 権セミナー」の開催などに引き続き取り組んでまいります。 4) “会員拡大と会員サービスの充実”を通じた映像コンテンツ産業の底辺拡大 長引く不況と震災復興下にあっては、会員の皆様への情報提供やコンサルテーション等、 きめ細かい情報サービスがこれまで以上に必要とされます。各委員会活動をさらに活性化 させると共に、引き続き相談窓口<映像コンテンツ・コンシェルジュ>の機能を強化し、 諸問題を具体的にサポートするコンサルティング・サービスを行っていきます。 また、次世代を見据え、ビジネス動向に適った各種セミナー(勉強会)を定期的に開催 し、新たな映像コンテンツ製作へのビジネスヒントを提供してまいります。 -2- 平成 23 年度事業計画 ※太ゴシックは今年度の新規事業 〈公益目的事業Ⅰ〉 映像コンテンツの質的改善と普及啓発のための「映文連アワード」開催と国際交流事業 映像コンテンツの質的改善と普及啓発のために映像祭『映文連アワード2011』を開催する。 米国・欧州・アジアなど海外の映像祭主催団体との交流を推進し、それらの文化ゾーンに属す る優れた企業映像を『International Corporate Film Showing(「世界の優秀企業映像を見る会」 改称)』において紹介する。尚、昨年度より『映文連アワード』と『世界の優秀企業映像を見 る会』は統合され、「映文連 国際短編映像祭」(JAAP International Short Film Festival)と して開催している。 ① 第5回『映文連アワード 2011』の開催。4~5月に作品を一般公募し、一次審査・本審 査を経て「最優秀作品賞(グランプリ)」他受賞作品を決定、11 月下旬に表彰式を実施。 ②『映文連アワード 2011』受賞作品上映会を東京、大阪、札幌、沖縄にて開催。 ③『映文連アワード 2011』受賞作品特集号(会報“MOVING IMAGES”特別編集)の発行。 ④『International Corporate Film Showing 2011』においては、米国・欧州の優秀作品の上 映に加え、アジア諸国の作品を招待上映する。 ⑤ ロサンゼルス(米)U.S. International Film & Video Festival 並びにハンブルグ(独) World Media Festival への参加呼びかけと日本からの受賞作品の紹介。 ⑥ U.S. International Film & Video Festival の作品審査に協力。 ⑦ 国際映像祭に関する情報提供。 〈公益目的事業Ⅱ〉 映像コンテンツの利用促進及び公共団体等の映像コンテンツの普及啓発事業への協力 映像コンテンツの利用促進のために、歴史的文化的にみて希少価値のある映像コンテンツを 編集・企画するとともに、公的機関の推進する映像アーカイブや普及啓発事業に協力する。 短編映像の所在情報である「作品登録データベース」を映文連の管理下におき、作品情報を 提供する。また、短編業界における様々な製作ノウハウを伝えるため、製作者自身の口述によ る生きた短編史の記録を映像収録、アーカイブ化を図る。 ① 紀伊國屋書店 DVD シリーズ『ドキュメンタリー映像集成』第2期の継続販売。 ② ポーラ芸術文化財団作品 DVD シリーズ『伝統の技と心』第1・2集の継続販売。 ③「日本アートアニメーション映画選集」DVD 継続販売。 ④「毎日映画コンクール大藤信郎賞受賞短編アニメーション全集」DVD 継続販売。 ⑤「アニメーションの先駆者 大藤信郎 孤高の天才」DVD の継続販売。 ⑥ 昭和 30 年代産業映画 DVD 作品の継続販売。 ⑦ 東京国立近代美術館フィルムセンターと協調した作品原版の保存促進。 ⑧ 埼玉県「彩の国デジタルアーカイブ」の作品収蔵事業への協力。 ⑨ TEPIA ライブラリーのデジタル化と映像普及事業等への協力。 ⑩「科学技術映像祭」の共催及び入賞作品のテレビ放映の取りまとめ。 ⑪ 短編映像の CS・テレビ放映の推進。 -3- ⑫「作品登録データベース」の再構築と短編映像作品の情報発信。 ⑬ 短編アーカイブ企画「私の創作作法~人で語る短編史~」の制作。 〈公益目的事業Ⅲ〉 映像コンテンツの発展と振興に関わる提言事業 映像コンテンツ振興及び質的向上のために関連業界共通の課題解決を協議し、社会に提言す る場として「東京コンテンツ・ミーティング」を開催するとともに、公正な受注契約を結ぶた めの著作権知識の啓蒙と普及をはかるため、HP による啓発や「著作権セミナー」を開催する。 ① 映像関連団体合同の「東京コンテンツ・ミーティング」の継続的開催。 ② 著作権知識の啓蒙と普及をはかるため、HP による啓発。 ③ 公正な受注契約を結ぶための著作権に関するセミナーの開催。 ④『著作権契約ハンドブック』の継続販売。 ⑤『プロデューサーのための映像製作便利帖』の継続販売。 ⑥ プロデューサーを主対象にした著作権・契約ノウハウの提供と窓口機能の充実。 〈公益目的事業Ⅲ-2〉 映像コンテンツ製作技術と次世代映像文化の調査・研究 映像製作に関する最新技術の情報収集に努め、技術セミナー等の開催を通じて、新しい映像 製作技術を提供するとともに、次世代映像文化に関わる新しいビジネスヒントを情報コミュニ ケーション学会等と連携をとりながら提供する。 ① 映像コンテンツ製作技術に関する情報の収集と調査・研究。 ② 最新技術を紹介する「映像製作技術セミナー」の開催。 ③ 次世代映像文化に関わるセミナー「次世代映像文化研究会セミナー」(情報コミュニケー ション学会 共催)の開催。 〈会員サービスⅠ〉 会員拡大と会員に対するサービスの向上等 映像コンテンツ業界が抱える幅広い課題に積極的に取り組み、映文連会員はもとより、異な るジャンルからの会員拡大によって、連盟収入の安定確保と新しい情報サービスの向上を図る。 ① 会員の抱える問題に答える相談窓口“映像制作コンシェルジュ”を設け、理事有識者を 中心とした領域横断型コンサルティング・サービスの継続。 ② 会員社講師によるビジネス動向に適った各種セミナー(勉強会)を定期的に開催し、新 たな映像コンテンツ製作へのビジネスヒントを提供。 ③ 連盟認知度を高めるための HP ポータル機能をリニューアルし、映像コンテンツのネット 発信に備えるとともに、HP、Web、メールを活用した会員への情報提供及び事業活動の広 報も一層充実させる。 -4- 〈会員サービスⅡ〉 関西支部の活動 セミナー・上映会等の企画や会員交流など、積極的な活動展開のために各種情報提供や 「映文連アワード」受賞作品の上映会など、本部から関西支部への活動支援を行う。 ① 最新の映像制作技術等についての勉強会・セミナーの定期的開催。 ② 関西映像コンテンツ業界の現状についての意見交換会開催。 ③ 最新の映像設備を備えた展示施設の見学ツアー実施。 ④「映文連アワード」受賞作品の大阪での上映会開催。 〈その他の事業Ⅰ〉 「映像製作費積算資料」発行事業 映像コンテンツ製作に関する実績調査を行い、適正な製作費を確保し、製作状況の改善をは かるため、『映像製作費積算資料』を発行する。 ① 適正な製作費の確保と製作状況の改善をはかるための『映像製作費積算資料』発行。 〈その他の事業Ⅱ〉 視聴覚教材の現代的・未来的指向に関する調査研究 視聴覚教育の形態は、IT を活用した教育へと大きく変容している。このような背景に対応し、 視聴覚教育映像の役割を再検証するとともに、新しいメディア環境に即した役割の調査研究、 及びビジネスモデルに係る検討を行う。 ① 全国視聴覚教育連盟より提起された「視聴覚センター・ライブラリーの映像教材の個人 貸し出しに関する要望」の継続協議。 ② 視聴覚教育教材映像の可能性の再検証と、IT 社会に適応した視聴覚教材提供のあり方の 調査研究。 〈その他の事業Ⅲ〉 その他、関連する事業 映像コンテンツ業界の実態、会員の製作状況について各種の調査をおこない、統計資料を整 備して、所管官庁はじめ関連諸機関からの照会に応える。 ① 映像コンテンツ業の各種実態調査。 ② 中央省庁が行う関連行政施策への協力。 映画産業団体連合会、日本視聴覚教育協会、著作権諸団体等、その他関係団体の行う映 像祭・見本市・セミナー等事業への協力。 以上 -5-
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