消研輯報第58号[PDF 15.5MB]

ISSN 0287−069X
58
平成16年度
[グラビア]
[Ⅰ 研究業務]
●重点研究
○
○
○
○
災害対応への情報化促進
高齢者等災害弱者の災害時における安全確保対策の推進
消火・救急・救助活動に係る技術の高度化の推進
危険性物質と危険物施設に対する安全性評価
●基盤研究
[Ⅱ 研究発表等]
○
○
○
○
○
○
○
○
所外研究発表状況
一般公開
全国消防技術者会議
消防防災研究講演会
消防防災機器の開発・改良及び消防防災科学論文に関する消防庁長官表彰
消防研究所シンポジウム
研究懇話会
火災原因調査基礎講座
[Ⅲ 関連業務]
○
○
○
○
○
○
研究交流
所外講師派遣及び所外委員会等参加状況
災害調査等
受賞・学位
工業所有権
視察・見学
[付録]
○
○
○
○
○
研究体制
会計
施設設備
年表
平成16年度刊行物
独立行政法人 消防研究所
消研輯報 58
グラビア写真Ⅰ
●
消防研究所
廃 棄 物の貯 蔵 ・ 取 扱 における
火災安全に関する研究
●
火災時の安全避難技術の高度
化に関する研究
●
火災旋風実験
平成 16 年度の研究活動より
消研輯報 58
グラビア写真Ⅱ
消防研究所の研究発表・啓蒙活動
一般公開
全国消防技術者会議
(平成 16 年 4 月)
(平成 16 年 10 月)
消防防災研究講演会
消防研究所シンポジウム
(平成 17 年 1 月)
(平成 17 年 3 月)
消防防災機器の開発等及び
消防防災機器の開発等及び
消防防災科学論文表彰式
消防防災科学論文表彰式
(平成 17 年 3 月)
(平成 17 年 3 月)
消研輯報 58
グラビア写真Ⅲ
消防研究所の関連業務
[火災原因・災害調査への参加]
福岡県タイヤ工場火災
埼玉県大規模物品販売店舗火災
(平成 16 年 8 月)
(平成 16 年 12 月)
新潟県中越地震
新潟県中越地震
(平成 16 年 10 月)
(平成 16 年 10 月)
東京都温泉採掘現場火災
大分県製油所タンク火災
(平成 17 年 2 月)
(平成 17 年 3 月)
消研輯報 58
- 目 次 -
Ⅰ 研究業務
1
重点研究
4
焼特性に関する研究
(4)
〔災害対応への情報化促進〕
(1)
地震時の防災情報の創出とシステム
斜面崩壊現場の二次崩壊危険度予
40
の構造に関する研究
4
<< 特殊火災研究グループ >>
化に関する研究
(2)
有 風 下 の火 炎 風 下 に発 生 する旋 風
(5)
8
燃 焼 時 に お ける 固 体 の 内 部 構 造 に
41
関する研究
測手法に関する研究
〔高齢者等災害弱者の災害時における安全確保
<< 施設安全研究グループ >>
対策の推進〕
(6)
防火水槽の経年変化に関する研究
42
(7)
屋外タンク貯蔵所のリスク解析
43
(8)
林 野 火 災 発 生 確 率 と無 降 水 継 続 日
44
(3)
火 災 時 の安 全 避 難 技 術 の高 度 化 に
11
関する研究
数の関係に関する研究
〔消火・救急・救助活動に係る技術の高度化の
<< 消火研究グループ >>
推進〕
(4)
廃棄物の貯蔵・取扱における火災安
(9)
16
(5)
救急システムに関する研究
19
(6)
消防用防護服の総合的な性能評価
21
(10)
ウォーターミストノズルの消 火 能 力
46
の評価方法に関する研究
<< 建築防火研究グループ >>
手法に関する研究
(11)
〔 危 険 性 物 質 と危 険 物 施 設 に対 する安 全 性 評
深層地下駅舎火災の数値シミュレー
48
ションによる煙流動に関する研究
価〕
地震時における石油タンクの火災お
(12)
25
(13)
究
新 規 化 学 物 質 等 の危 険 性 を把 握 す
深 層 地 下 駅 舎 における火 災 時 の煙
50
制御に関する実験研究
よび構 造 の安 全 性 確 保 のための研
(8)
45
解析
全に関する研究
(7)
着火・消炎と燃焼排出物生成の反応
火災リスクのモデル化と分析への統
51
計手法の適用に関する研究
31
(14)
るための研究
災 害 被 災 者 との面 接 のための臨 床
52
心 理 技 術 の応 用 に関 する基 礎 的 検
2
基盤研究
討
34
(15)
<< 基盤研究部長 >>
(1)
閉 鎖 型 ス プリ ン クラ ー ヘッ ドの 感 熱
(16)
災 特 性 の比 較 と火 災 発 生 拡 大 予 測
<< 消防機械研究グループ >>
手法に関する研究
(17)
一 般 住 宅 における初 期 火 災 時 の燃
54
関する研究
35
消防防災ロボットの活用を促進する
ための技術的研究
<< 火災研究グループ >>
(3)
建 物 の特 殊 消 防 用 設 備 等 の性 能 に
関 する 評 価 手 法 の 開 発 と 標 準 化 に
<< 上席研究官 >>
日 本 及 び周 辺 諸 国 における林 野 火
53
動把握に関わる研究
34
体の経年挙動に関する基礎研究
(2)
密 度 流 を用 いた竪 穴 空 間 内 の煙 挙
<< 感知通報研究グループ >>
38
-1-
54
消研輯報 58
(18)
室 内 環 境 データの収 集 と火 災 感 知
(22)
56
のための統計分析に関する研究
(19)
災害現場における効率的な通信シス
57
<< 救急研究グループ >>
(23)
国民保護法等に係わる避難・避難施
62
設に関する研究
<< 防災研究グループ >>
長 周 期 地 震 動 特 性 から見 た地 震 地
58
<< その他 >>
(24)
体構造区分
(21)
61
る研究
テムの構築に関する研究
(20)
長 周 期 地 震 動 の理 論 的 評 価 に関 す
地すべり移動土塊の歪みに関する研
炭 化 水 素 液 体 中 を水 沈 降 する際 の
64
静電気帯電量と放電危険性の評価
59
究
Ⅱ 研究発表等
1
所外研究発表状況
65
(1)
口頭発表
65
(2)
論文発表
79
(3)
解説、その他
83
(4)
著書、所外報告書
87
2
3
4
消防防災研究講演会
94
5
消防防災機器の開発・改良及び
100
消防防災科学論文に関する消防庁長官表彰
6
消防研究所シンポジウム
178
7
研究懇話会
186
8
火災原因調査基礎講座
194
88
一般公開
91
全国消防技術者会議
Ⅲ 関連業務
1
(1)
研究交流
196
イ. 国内の大学等との連携
派遣
196
ウ. 調査・共同研究等
ア. 国際研究集会等出席
2
イ. 調査・共同研究等
(2)
受け入れ
(1)
所外講師派遣状況
イ. 研究生
ア. 大学教授等
ウ. 客員研究員
イ. 大学非常勤講師
エ. JSPS 外国人特別研究員
ウ. その他講義
オ. JSPS 特別研究員
(2)
カ. 招へい外国人研究者(JSPS)
201
ア. 国際学術交流
-2-
204
所外委員会、研究会への参加状況
209
災害調査等
219
(1)
災害調査
219
(2)
鑑定
220
3
キ. 招へい外国人研究者(その他)
共同研究
204
参加状況
199
ア. 実務研修員
(3)
所外講師派遣及び所外委員会等
消研輯報 58
4
受賞・学位
221
(1)
受賞
221
(2)
学位
221
6
(3)
名誉教授等
221
5
工業所有権
221
特許
221
(1)
ア. 特許出願
視察・見学
222
(1)
国内
222
(2)
海外
224
図書
248
付 録
1
(4)
研究体制
225
(1)
組織
225
ア. 蔵書数
(2)
常勤役職員数
227
イ. 平成 16 年度に購入した単行本
(3)
役職員
227
(4)
人事異動
229
ウ. 定期購入刊行物
(5)
委員会
231
エ. 定期購読の外国雑誌
冊数
ア. 消防研究所研究評価委員会
4
イ. 消 防 防 災 機 器 の開 発 等 及 び 消
(1)
防 防 災 科 学 論 文 に関 する表 彰 選
年表
250
昭和 23 年~平成 16 年度略年表
250
平成 16 年度刊行物
252
消防研究所報告
252
考委員会
5
2
会計
233
(1)
決算報告書
233
ア. 通巻 98 号(2004 年 9 月)
(2)
損益計算書
234
イ. 通巻 99 号(2005 年 3 月)
(3)
貸借対照表
235
(4)
キャッシュ・フロー計算書
237
ア. 第 64 号(2004 年 6 月)
(5)
行政サービス実施コスト計算書
238
イ. 第 65 号(2004 年 6 月)
(6)
損失の処理に関する書類
239
ウ. 第 66 号(2005 年 3 月)
(7)
重要な会計方針
239
エ. 第 67 号(2005 年 3 月)
(8)
附属明細書
241
(1)
(2)
(3)
消防研究所研究資料
その他の刊行物
ア. 検知・探査災害対策用ロボット
3
(1)
施設設備
245
の性 能 試 験 および評 価 に関 する
土地、建物の現況
245
報告書
ア. 土地
イ. 建物
(2)
主な研究施設の概要
247
(3)
主な研究設備・機器の整備状況
247
ア. 平成 16 年度に整備された主な
設備・機器
イ. その他の主な設備・機器
-3-
254
256
消研輯報 58
Ⅰ
研 究 業 務
1
重点研究 *
〔災害対応への情報化促進〕
(1)
地震時の防災情報の創出とシステム化に関する研究
Creation and Utilization of Disaster Prevention Information for a Large Earthquake
研究期間:平成 14 年 4 月~平成 19 年 3 月
座間信作、細川直史、畑山
高梨健一、関沢
新井場公徳、鄭
健、田村裕之、
愛、久保田勝明、
炳表、遠藤
真、胡
哲新
行い、所轄地域消防力のみならず広域応援消防
目的
兵庫県南部地震のような同時多発火災、甚大か
力を最適運用し、被害を極小化するためのシステ
つ広域にわたる被害に対して、限られた消防防災
ムの構築を目指す。
力を合理的・効率的に運用することにより、住民の
生命・財産を守り、安全を確保することは、消防
平成 16 年度の研究成果
にとって重大な使命であることはいうまでもない。
サブテーマⅠ
地震等大規模災害時の円滑な緊急・応急活動が
(1) 統合化消防無線(FiReCOS)の広域通信化(継
実施されるためには、まずもって発生した災害種
続)
別・内容、空間的分布とを迅速に把握し、これら
・平成 15 年度に設計を行った消防デジタル無線
の被 害 情 報 に基づく災 害 の拡 大 予 測 と最 適 対 応
用データ通信インターフェイスの試作を行った(写
のための支援情報を創出することが求められる。
真 1)。
被害情報の早期取得と共有
本研究では、災害直後対応のための支援情報
・デジタル地域防災無線網上では、無線網上に
創出に必要となる基盤データの構築に関する検討、
統 制 局 がある場 合 には統 制 局 を通 じてデータ通
それらを用いた全国 展 開 可 能な簡 易 な被害 拡 大
信が可能であるが、現在、移動局間において直接
予測手法の開発を実施するとともに、災害発生時
データ通信を行うインターフェイスは存在していな
にこれらのデータ、手法および収集された実被害
い。そのため、今後普及が進むと考えられるデジ
情報とに基づき、リアルタイムに災害の拡大予測を
タル地域防災無線上で、移動局間でデータ通信を
*
重点研究は、社会的要請を踏まえて課題を選定し、重点的に研究資源を投入して実施される研究です。
-4-
消研輯報 58
大地動速度の増幅率マップを作成した(図 2)。
行うためのインターフェイスの設計を行った。
・情報通信研究機構、電気通信大学、消防研究
所の三者により、災害現場における通信ネットワー
クの構築に関して共同研究を開始することとした。
サブテーマⅡ
地震被害想定のための基盤情報
の取得とシステム構築
(1) リモートセンシングに基づく面的基盤データの
抽出と被害想定への適用(継続)
空間的によりきめ細かい地震被害想定を可能と
するため、既存のデータである工学院大学による
写真 1
500m メッシュの地形分類を参照しつつ、数値標高
インターフェイス
データと GIS を用いて空間的な補正を行い、関東
(2 台の PC の間にある消防無線機で,PC 間のデジタ
平野における 50m メッシュの地形分類図を作成し
ル通信を可能としている)
試作された消防デジタル無線用データ通信
た(図 1)。次に、この地形分類図に基づいて、最
図1
50m メッシュの地形分類図
図2
最大地動速度の増幅率マップ
(2) 土地条件 図等の詳細 地盤分類と地 盤の増幅
法について検討した。
度特性(継続)
サブテーマⅢ
10 万及び 20 万分の 1 の地盤分類図から得た
実 情報に基 づくリアルタイム地震
被害推定システムの構築
500m メッシュ増幅度(工学院大作成)と DEM に基
(1) 実 地 震 被 害 情 報 に基 づく被 害 関 数 の更 新 方
づく 50m メッシュ増幅度を比較した結果、平均的
法(継続)
には両者は一致するものの、ばらつきは 0.85~1.3
地震直後の実被害情報に基づいて被害関数を
程度となった.このばらつきは標高データ、分類の
逐次更新するためには、実際の被害情報がどの程
違いに起因するものと考えられた。
度の時間遅れで収集できるかについてモデル化す
(3) アジア地 域 を対 象とした地 震 被 害 想 定システ
ることが必要である。そこで、兵庫県南部地震に
ムの開発(継続)
ついて提案した実被害情 報把握の時 間的推 移モ
ソウルを対象としたシステム構築手法をより多く
デルを、死者数を例に新潟県中部地震に適用した
の地域に適用するため、地球の両極を除く地上の
ところ、予測よりも相当遅い結果を得た。これは中
陸地の約 80% 、全人口密集地の約 95% をカバー
山間地域での道路の寸断 等による情報収集の困
する NASA の SRTM- 3(Shuttle Radar Topog-
難さを示したものと解釈され、地震被害の地域性
raphy Mission、3 秒メッシュ(約 90m))の活用手
を考慮したモデル作成の必要性が指摘された。
-5-
消研輯報 58
(2) 震度情報に基づく簡易型地震被害想定システ
広域応援時の街区間延焼に対して、防御目標の
ムの開発およびインターネットを利用したリアルタ
設定、および消防部隊、路線防御範囲の入力に
イム地震被害推定結果の公開
より路線防 御 結果の評価を行うシステムを試作し
た。(図 4)
多点の震度情報に基づく面的地震動分布算出
アルゴリズムについて検討を行った。また、気象衛
星ひまわりを介して気象庁から送られる地震の諸
元をリアルタイムで監視し、新しい地震の情報が送
られた時点で地震被害想定を自動的に実施し、そ
の結果を消防研究所のホームページに登録するし
くみを構築した(図 3)。また、事前登録した防災関
係者に地震被害想定結果の閲覧に関する最新情
報を通知するしくみを構築した。
図4
路線防御シミュレーション結果の 1 例
サブテーマⅤ
地方自治体の災害対策本部にお
ける応急対応支援システムの開発(大大特)
(1) 1 次、2 次被害予測や応急支援需要予測に関
するアルゴリズム、経験則等の収集・開発(継続)
昨年度に引続き、被害想定結果から算出可能な
応急対応量のほか、システムが扱う支援情報項目、
図3
1 次、2 次被害予測や応急支援需要予測に関する
リアルタイム地震被害想定に関するトップ画面
アルゴリズム、経験則等の収集、整理を行った。
(2) 応急対応支援システム(実被害対応型)の構築
サブテーマⅣ.消防力最適運用システムの開発
(1) 最 適 運 用 システムの構 築(モデルケース)と標
被 害 予 測 結 果 から算 出 した応 急 対 応 量と各 自
準化のための指針策定(継続)
治体が予め登録する対応可能量との比較から、応
街 区 間 延 焼シミュレーションを行 う機 能 を追 加
援需要量を予測して提示するしくみ(図 5)に加え、
した。更に、システムの精度向上に向けたケース
実被害量に基づいたより正確な需要量を提示する
スタディの実施のため、地域の出火ポテンシャルに
しくみを構築した。更に、災害応急対応を経験し
基づく出火点の自動設定機能を追加した。また、
た地方自治体のヒアリング、評価結果を踏まえ、
ユーザーによる地 域 データ更 新 機 能 の追 加 につ
ユーザーインターフェイスの改良を行った。
いて検討を行った。
(2) 広 域 応 援 部 隊 の最 適 配 備 のモデル化 に関 す
る検討(継続)
システム対象地域の広域化に対応するための逐
次延焼経路計算方法について検討するとともに、
-6-
消研輯報 58
項目単位需要量推定
面的被害予測
設定画面
市町村別需要量集計
図5
サブテーマⅥ
応急対応支援システムの表示例
(2) 情報共有のためのしくみづくり
防災情報システムの現状調査とそ
れに基づくシステムのあり方に関する検討
災害対策本部等で使用するホストシステムでの
実際に地震災害を経験した地方自治体(兵庫県、
データベースならびに通信のプロトコルを改良し、
神戸市)、東海・東南海・南海大地震(津波)によ
工学院大学が作成したウエアラブル PC を用いた
る被害が懸念されている地方自治体(三重県)の防
被害収集端末やレーザー距離計を用いた遠隔被
災情報システムの現状調査を行うとともに、文献調
害収集システムとの情報共有を図った。
査、学会での発表及び研究者との意見交換を通し
(3) 携 帯 電 話 を利 用した被 害 情 報 収 集 及び情 報
て、地方自治体の災害対策本部のための地震災
提示システムの構築
害応急対応支援システムのあるべき姿の具体像を
携帯電話を利用して、住民が簡単な操作で被害
提示するとともに、地震災害のみならず、あらゆる
情報を収集できるしくみを試作した。また、予め登
緊急事態に対応できるようなマルチハザード対応
録したユーザーに対して地域ごとに必要な防災情
型情報システムの必要性を指摘し、既存の研究成
報を配信するしくみを構築した。
果に基づき災害対 応における意思 決定の共通 点
(4) 災害地での情報通信の確保
を体系的に整理するとともに、緊急事態発生時の
動的に通信 網を確保する技術(アドホック通信)
災 害 対 応 における意 思 決 定 を支 援 するための情
の実証実験に向けて、無線機器の整備を行った。
報システムのあり方と実現手法について提案を行
平成 17 年度の研究計画
った。
サブテーマⅦ
サブテーマⅠ
危 機 管 理 対 応 情 報 技 術による減
被害情報の早期取得と共有
災対策(振興調整費)
(1) リモートセンシングに基づく広域災害情報の抽
(1) 被害収集端末の改良
出(継続)
タブレット PC やタッチセンサー付きの大型ディ
(2) 統合化消防無線(FiReCOS)の広域通信化(継
スプレイを用いて住民が用意に操作できるように、
続)
PDA 及びノート PC で構築済みの被害収集端末
サブテーマⅡ
のアイコンや表示の仕方などのユーザーインター
の取得とシステム構築
フェイスを改良した。
(1) リモートセンシングデータ(NASA:SRTM- 3)
-7-
地震被害想定のための基盤情報
消研輯報 58
に基 づく面 的 基 盤 データの抽 出 と被 害 想 定 への
導指示支援システムについての稼働試験とケース
適用(継続)
スタディによるモデルの検証
(2) アジア地 域 を対 象とした地 震 被 害 想 定システ
サブテーマⅤ
ムの開発(継続)
ける応急対応支援システムの開発(大大特:継続)
サブテーマⅢ
地方自治体の災害対策本部にお
(1) 応急対応支援システムの試験運用と改良
実 情報に基 づくリアルタイム地震
被害推定システムの構築
サブテーマⅥ
(1) 実被害情報に基づく被害推定システムの構築
れに基づくシステムのあり方に関する検討(継続)
(2) 震度情報に基づく簡易型地震被害想定システ
サブテーマⅦ
ムの開発
災対策(振興調整費:継続)
サブテーマⅣ
サブテーマⅧ
消防力最適運用システムの開発
防災情報システムの現状調査とそ
危 機 管 理 対 応 情 報 技 術による減
防災技術(減災- 情報の共有・活
(1) 消防力効果を取り入れた市街地火災のリアル
用)や通信技術(アドホック通信等)の展望と防災情
タイム延焼予測に基づく避難誘導指示支援システ
報システムの将来(マルチハザード対応等)につい
ムに関するモデル化
ての検討
(2) 広 域 応 援 部 隊 の最 適 配 備 支 援 システムの精
度向上と標準化のための指針策定(継続)
次年度以降の研究計画
(3) 消 防 力 最 適 運 用 支 援 システムおよび避 難 誘
(2)
上記に掲げる項目を継続する。
斜面崩壊現場の二次崩壊危険度予測手法に関する研究
Study of Methods to Estimate the Possibility of Secondary Slope Collapse
研究期間:平成 15 年 4 月~平成 18 年 3 月
新井場公徳
ないこともある。
目的
豪 雨や地 震を契機とした斜面 崩壊 は毎年 多 数
安全の確保には崩壊面を監視して、崩壊の前兆
発生し、年間約 50 人の方が亡くなる我が国の主
となる変 形 や地 下 水 の流 出 状 況 の変 化 を感 知 し
要な災害の一つである。斜面災害現場では、行方
なければならない。しかし、目視観測では緩速の
不明者の救助や住民の避難誘導などが行われる
変形は感知しにくく、また夜間や建物の裏側などで
が、これらの活動は安全が確保されなければなら
は十分な視界が得られない場合がある。既存の監
ない。しかし、現実には危険な状況に陥る場合が
視支援機材については、設置のために人間が斜面
ある。例えば、「消防団員の公務災害防止等に関
へ立ち入る必要があり、また準備や観測値が安定
する調査研究報告書(平成 10 年 3 月)」には、崩
するまでに時間がかかるなど、緊急対策に用いる
壊現場での活動中に二次崩壊に巻き込まれそうに
上での難点がある。本研究では、崩壊面の形状と
なった事例が幾つか報告されている。また、都市
地下水の流出状況を遠隔監視し、その変化を抽出
域の消防隊員には斜面災害の経験がない場合も
して崩 壊 面 の状 態 の変 化 を感 知 する手 法 の開 発
多く、どのように安全を確保すれがよいのか分から
を目的とする。
-8-
消研輯報 58
(1) レーザースキャナによる変位計測精度の向上
平成 16 年度の研究成果
前年度(平成 15 年度)では以下のような研究を
方法の検討(継続)。
行った。
崩壊地における計測データをもとに、空間的測
(1) 斜 面 の変 形 測 定 における精 度 の向 上 方 法 の
定密度と精度について検討している(継続中)。
研究
(2) レーザースキャナによる斜面の変位量・変形
基礎的な実験を行い、レーザースキャナの誤差
領域の抽出手法の研究。
要因及びその除去手法について検討した。
防災科学地術研究所大型降雨実験施設を用い
(2) 模型実験、現位置試験への試験適用
た崩壊実験の観測において、立面上及び平面上
防災科学技術研究所の降雨崩壊実験、茨城県
の距離変化によって変形量を定量的に評価できた
真 壁 町における自 然 斜 面 崩 壊 実 験において遠 隔
(図 1,2)。変形領域の自動抽出は実用的な時間
観測を実施した。
内に行うことが困難であると判断し、人為的に指定
この研究を元に、平成 16 年度では、以下の項
することとした。
目に関して研究をすすめ成果を得た。
図1
大型降雨崩壊実験(2003 年)の崩壊前変形
状況。斜面に正対する鉛直面と斜面との水平距離の
図 2
変化を表したもの。冷色系は距離縮小(斜面のはら
離の時間変化。z は斜面の高さ(基準は計測器)。
みだしによる)、暖色系は距離拡大(斜面の沈下に
斜面上部では(沈下に伴い)距離が遠くなり、下部
よる)した領域。時間の経過とともにはらみだし領域
では隆起に伴い距離が近くなる。沈下領域では上に
が下部へ移動している。各図は上部に示した時間内
凸の曲線、隆起域では直線的に変化している。
崩壊実験時(2004 年)の鉛直面と斜面の距
の変形量を表す。
(3) 赤外画像装置による湧水監視手法の検討
(4) 模型実験等への適用事例の蓄積
赤外画像による地表面の温度変化観測結果か
以上の手法を多くの事例に適用することにより、
ら地 下 水 湧 出 状 況の変 化 を遠 隔で推 定 する手 法
精度の検定及び実用性の向上をはかった。新潟
を検討した。自然斜面崩壊実験時の観測結果をま
県中越地震時の妙見堰崩壊地における救助活動
とめ、学会誌へ投稿した(受理済)。当初、数値解
に参加した経験から、救助活動に必要な変形監視
析を行う予定であったが未実施(来年度へ)。
手法として、立面図上への投影(図 3、4)、断面の
-9-
消研輯報 58
変形、不安定岩塊など特徴的な部分を人間が指
時間を計算するために必要な「代表変位量」を求
定してその変位を追跡する、という 3 つの手法が
める手法を検討する。
有効であると考えた。
(2) 赤外画像から水みちの場所・大きさ・流量を
解析する手法の研究。
平成 17 年度の研究計画
数値解析により、水みちの大きさ及び流量と地
(1) レーザースキャナによる変 位 解 析に基づき崩
表温度の関係を、気温等をパラメタとして検討する。
壊までの余裕時間を予測する手法の研究。
(3) 実用的な計測・解析・表示手法の検討。
これまで蓄積したデータをもとに、崩壊までの猶予
図3
妙見堰崩壊地の変形(10 月 25 日と 11 月6 日の期間の立面図上の変形量)。
枠で囲ったのは図4 の範囲。
図4
図3 枠囲み部分の 12 月6 日と 11 月6 日の間の変形量。矢印部分で不安定土塊の崩壊前移動と見られ
る上部のへこみ、下部のはらみだしが見える。色尺度はm 単位。
- 10 -
消研輯報 58
〔高齢者等災害弱者の災害時における安全確保対策の推進〕
(3)
火災時の安全避難技術の高度化に関する研究
Study on aduancement of safe evacuation technology
研究期間:平成 14 年 4 月~平成 18 年 3 月
山田常圭、河関大祐、高梨健一、阿部伸之
多様な避難誘導技術開発を進める上では、避難
目的
火災時等、非常時に安全な避難を確保する上で
誘導効果が定量的に評価できる工学的手法の開
は、早い覚知・通報および的確な避難誘導が不
発が不可欠である。
可欠である。こうした避難の支援技術として、自動
一方、建物火災による死者全体の約 85%以上を
火 災 通報システムや各 種 誘 導 灯が開 発 改 良され
占めている住宅火災において、半数以上が 65 歳
てきた。また現行法令において技術基準が整備さ
以上の高齢者であり、これら犠牲者の多くは、病
れ、火災時等の人的な被害軽減に役立ってきた。
気・身体不自等の理由で逃げ遅れて犠牲になって
しかしながら、既存の避難技術は、もっぱら事務
いる。また高齢化に伴う避難行動能力の低下のみ
所ビル等一般的な建物における健常者を対象とし
ならず、視聴覚の障害によって火災の覚知が遅れ
て開発されてきたものが多く地下鉄・地下街等の
避難時期を逸している事例も見受けられる。建物
複雑な地下 施設や大規 模建物といった建築空間
火災における死者の低減のためには、こうしたハン
の増大や、 視聴 覚等にハンディキャップを有する
ディキャップのある人への火災通報を含めた新た
人々の社会 的進出に伴う日常の様々 な場面での
な安全避難の支援機器の開発と普及が不可欠で
安全避難の確保に対応しているとは言い難い。
ある。
例えば韓国大邱市の地下鉄車両火災では、煙
本研究では、以上のような社会構造の変化に伴
による急速な視界の低下のため、避難方向を見失
い必 要 性 が増 大 してきた状 況 における火 災 時 の
い多数の死傷者が発生している。一般的に、地下
人命安全確保を目的とし、以下の二つのサブテー
駅・地下街、大規模複合用途建築物等、多様な
マを設けて研究を実施する。
空間が複雑につながった空間においては、平常時
サブテーマⅠ「地下施設・大規模複合建築物等
でも方向を認識することが難しい。またさらに火災
における避難誘導効果評価法に関する研究」
等非常事態が発生した場合には、煙の充満や群
(H16.4~H18.3)
衆流等により適切な避難経路の選択は著しく困難
担当
山田常圭、阿部伸之
になると考えられる。こうした空間では誘導灯設置
既 開 発の人 工 現 実 感(VR)模 擬 火 災 シミュレー
にみられるパッシブな対策、非常放送・人による
タを用いて、地下施設、大規模空間で火災が発生
誘導等のアクティブな避難誘導対策が講じられて
した状況を再現する。その仮想空間内で煙・光環
いるが、各種誘導対策の効果の程度は、有効な
境等様々な環境下における誘導灯等の各種避難
評価技術が確立されていなく明らかでない。今後、
誘導対策の効果を避難者の視点から評価可能な
- 11 -
消研輯報 58
手法を開発する。またあわせて、その評価手法に
と防火扉の配置について現状調査を実施した。こ
よるケーススタディーを行い、既存の誘導灯の最
うした実態調査の中で、防火扉との関係が重要で、
適な設置方法についての技術的な提言を行う。
現行消防法令で規定されている距離による設置基
サブテーマⅡ「災害弱者の火災時避難安全のた
準では適切な配置ができないことが明らかにされ
めの警報・通報手法の開発」
た。また地下鉄駅舎においては、通常のホーム以
(H14.4~H17.3)
外 の管 理 者 通 路 においても避 難 口 が設 置 されて
担当
いるケースがあり、こうした場面からの避難につい
河関大祐、高梨健一
自力避難可能だが警報音の覚知が困難な高齢
ての駅 員 による誘 導 に今 後 の課 題 がある状 況 が
者や聴覚障害者(障害等級 3 級程度)の聴覚を含
判った。
む感覚諸機能を調査・把握し、様々な住環境に
・都内に不案内な外国人(韓国慶北大学からの研
適応して効果的に警報を伝える手法を開発する。
究生)により、都内主要な地下駅舎を対象に外国人
また、自力避難が困難な人を救助するために、デ
の目から、避難誘導の課題について調査を行った。
ータ通信技術を用いて同居人、消防機関、在宅
その結果、色によるサイン計画はわかりやすいが、
介護事業者あるいは近隣協力者に火災発生を通
その中断によって方向性が失われる点等、課題抽
報するシステムを開発する。なお、開発機器の普
出がされた。
及を促進するための調査も合せて行う。
(2) VR 模擬火災シミュレータ装置を用いた誘導灯
の視認性実験の実施と実際の空間での視認性実
平成 16 年度の研究成果
験結果の比較検討
一般の PC 用に開発した描画による視認性実験
主な研究項目とその成果は以下の通りである。
サブテーマⅠ
のシステムを、fire cube の大画面をみながら実施
「地下施設・大規模複合建築物
等における避難誘導効果評価法に関する研究」
できるようにシステム変更を行った(図Ⅰ-1)。また、
(1) 地 下 施 設 等における誘 導 灯 等 各 種 誘 導 設 備
種々の実験条件(煙降下、誘導灯の輝度・大きさ
の設置状況および避難安全上の課題に関わる実
等)の変更が容易にできるようなシステム拡張(ライ
態調査
ブラリーの作成)を行っている。実験については、
・都内地下鉄駅舎の内、多くの駅が連結している
予備実験レベルにとどまり、本実験は平成 17 年度
駅舎(大手町駅、溜池山王)における防災対策につ
に実施する。
いての現地ヒアリングを実施するとともに、誘導灯
(a)
VR 空間
(b)
実空間
図Ⅰ-1 誘導灯の煙中での見え方に関する比較実験
- 12 -
消研輯報 58
(3) VR 模擬火災シミュレータ装置で動的に誘導効
ンテンツを作成した。また数値流体予測手法(FDS)
果を評価するためのコンテンツの作成
を用いた煙がある状況を再現することができた(図
・大邱の中央路駅を模した地下空間を作成し、自
I-2)。
由歩行において歩行経路が、実験後解析できるコ
図Ⅰ-2
大邱の中央路駅を模したモデル
・京都大学の技術協力により、ホテルニュージャ
施した。
パンの 3 階層における空間での複数の PC 及び
サブテーマⅡ
fire cube 上では煙の制御も含め、アバターとエー
ための警報・通報手法の開発」
「災害弱者の火災時避難安全の
ジェントを動作させることにより、参加型の実験が
平成 14 年度~15 年度は、主として災害弱者へ
可能となるシステムのプロトタイプを作成した。(図
の警報通報手段の課題検討とそれをもとにしたシ
Ⅰ-3)
ステム機器開発を実施してきた。以下、経過を紹
介し、その後平成 16 年度の成果を示す。
<<平成 14 年度成果>>
(1) 福祉機器展示会および講習会への参加、聴覚
障害者福祉勉強会への参加、聴覚障害者と聾学
校を対象とした火災安全 意識に関するアンケート
調査等により開発機器に係る要件の調査ならびに
検討を行った。
(2) 本研究に関連する研究機関等への聞き取り調
査等により、高齢者、聴覚障害者の聴覚特性なら
びに感覚諸機能の調査ならびに検討を行った。
図Ⅰ-3
(3) 聴覚障害者用の既存の福祉機器の用途、用
分散協調型 VR 空間の構築事例
法、特徴等を整理し火災警報への適応性の調査
・複雑な平面計画をのホテルニュージャパンでの
ならびに検討を行った。また、臭気を用いた火災
誘 導 灯 の表 示 による誘 導 灯 の降 下 を見 るための
警報の調査ならびに検討を行った。
基本となるコンテンツ作成を行った。
(4) 消防本部、警備会社、通信会社への聞き取り
(4)実空間での誘導灯等、各種誘導効果実験の実
調査等により、高齢者、聴覚障害者宅からの火災
施
通報に関する調査ならびに検討を行った。
・この実施については、平成 16 年度中では誘導
(5) 機器試作のための概念設計を行った。
灯の配置の実態調査および地下鉄駅舎内での非
<<平成 15 年度成果>>
常 時 の情 報 伝 達 のあり方 に関 する現 地 実 験 を実
(1) 聴 覚 障 害 者 を考 慮 した火 災 警 報 通 報 装 置 の
- 13 -
消研輯報 58
試作
価を行うとともに要改善点を明らかにした。
(2) 電話転送機能を有する火災通知装置の試作
・聴覚障害者を考慮した火災警報通報装置の性
(3) 臭気による火災警報に関する実験の実施
能評価
平成 16 年度では、開発した機器のフィールドで
火災発生時に光、振動、臭気により在室者に火
の実際の運用にもとづく性能評価と、その結果を
災を知らせ、インターネット通信網を用いて近隣介
受けての改良を行った。
護者、介護事業所等に警報・通報する緊急通報
<<平成 16 年度成果>>
システム(図Ⅱ-1)を試験室に設置し、聴覚障害者
(1) 試作機の性能評価
ならびに高齢者を招いてモニター調査を行った(図
平成 15 年度に試作した機器を使用が想定され
Ⅱ-2)。
る一般人を対象とした試用試験を実施し、性能評
図 Ⅱ -1
聴 覚 障 害 者 を考 慮 した火
図 Ⅱ -2
聴 覚 障 害 者 を 対 象 とした
火災警報通報装置モニター調査
災警報通報装置試作機
・電話転送機能を有する火災通知装置の性能評
・地域防災情報受信及び緊急通報送信装置の性
価
能評価
自力避難困難な災害弱者が在宅の住宅で火災
が発生した場 合に外 出 中の家族 等に火 災 を通 報
ポケベルのインフラを使った地域防災情報受信
し、外出先から自宅を管轄する消防へ通報する電
及び緊急通報送信装置(図Ⅱ-4)を聴覚障害者の
話 転 送 機 能 付 き火 災 通 報 装 置(図 Ⅱ-3)を試 験 室
住宅に設置しモニター調査により受信機の操作性
に設置し、モニター協力者を招いて通話明瞭度、
や表示装置の視認性等の性能評価を行った。
操作性等の性能評価を行った。
(2) 性能評価に基づく試作機改良
上記(1)の試用試験結果に基づき、聴覚障害者
を考 慮 した火 災 警 報 通 報 装 置 試 作 機 ならびに電
話転送機能を有する火災通知装置試作機の改良
等を行った。主な改良点は次のとおり。
・聴覚障害者を考慮した火災警報通報装置の改
良
文字表示の視認性と機器操作性の改善のため、
文字表示方式の変更ならびに操作ボタンの大きさ
および配置を変更した。さらに、本装置の小型化、
省電力および低価格化のためにシステム基板をノ
図Ⅱ-3 電話転送機能を有する火災通知装置の試作
- 14 -
消研輯報 58
ート型パーソナルコンピュータ用から組込機器用
のために、DTMF 検出精度の向上、転送キャンセ
に変更し、それにともないオペレーティングシステ
ル機能の付加、転送先の変更機能の付加、転送
ムを Windows XP から Linux に変更した(図Ⅱ-5)。
時の接続状況通知機能の付加等を行った。また第
・電話転送機能を有する火災通知装置の改良
2 通報先(要救助者宅、民生委員、所轄消防など)
第 1 通報先(外出中や遠隔の家族)からの本
との会 話 の明 瞭 度 向 上 のため通 話 中 での音 声レ
装 置 制 御 の確 度 向 上 および途 中 キャンセル実 現
下り回線(文字と簡易図)
・平常時:一般的な地域情報・広報
・緊急時:防災情報
ベル調整機能の付加を行った。
上り回線(押しボタン認識)
グラフィッ
・平常時:情報確認等
・緊急時:非常通報
ク表示機能
市役所
防災関係機関
緊急
情報配信局
ページャ
インター
ネット
情報配信局
ページャ
アンサーバック
機能により
ボランティア
緊急通報!
地域・組織等の
グループ別情報
を同報配信
図Ⅱ-4 a
緊急通報等を
予め登録した
先に同報通報
介護センタ
図Ⅱ-4 b
地域防災情報受信及び緊急
通報送信システム概念図
地域防災情報受信及び緊急
通報送信装置試作機
(2)VR 災害体験装置での誘導効果の定量化手法
の開発。
(3)分散協調型システムの避難誘導評価への適用
ケーススタディー
(4)効果的な誘導灯の配置に関わる技術的提言を
含む報告書作成
サブテーマⅡ
「災害弱者の火災時避難安全の
ための警報・通報手法の開発」
図Ⅱ-5
(1)1 次試作改良装置のフィールド試験
聴覚障害者を考慮した火災警報通報装置
(2)臭気による警報装置フィールド試験
試作機改良
左:平成 15 年度試作機
右:平成 16 年度改良機
サブテーマⅠ
「地下施設・大規模複合建築物
等における避難誘導効果評価法に関する研究」
(3) 臭気による警報
(1) (株)フジタ技術研究所、
(2) 東京工業大学大学院総合理工学研究系人間
火 災 警 報 に適 した香 料 の選 定 ならびに香 料 拡
散方式について検討を行った。
環境システム専攻
大野研究室
(3) 京都大学大学院情報学研究科社会情報学専
平成 17 年度の研究計画
攻
主な研究項目は以下の通りである。
サブテーマⅠ
石田研究室
サブテーマⅡ
(技術協力)
「災害弱者の火災時避難安全の
ための警報・通報手法の開発」
「地下施設・大規模複合建築物
等における避難誘導効果評価法に関する研究」
(1) (株)ピクセン(平成 14 年~)
(1)VR 模擬火災シミュレータ装置を用いた誘導灯
(2) (株)鷹山(平成 15 年度~予定)
等の誘導効果の実験の実施と、実際の空間の誘
(3) 日本工機(株)
導効果実験結果の比較検討
約)
- 15 -
(平成 15 年度~秘密保持契
消研輯報 58
〔消火・救急・救助活動に係る技術の高度化の推進〕
(4)
廃棄物の貯蔵・取扱における火災安全に関する研究
Studies on Fire Safety on Storage and Processing of Wastes
研究期間:平成 15 年 4 月~平成 18 年 3 月
鶴田
俊、尾川義雄、鈴木
健、佐宗祐子、廖
赤虹
これらの物品は大量に貯蔵すると「石炭・木炭類」
目的
廃棄物処理施設は出火危険度が高く、その防
と同様な火災危険性がある。RDF 貯蔵槽の発熱
火対策が問題となっている。廃棄物のうち、プラス
は、3 箇所で発生し、そのひとつでは、二度の爆
チック類は不燃物に分類されているが大きな発熱
発火災により死者が発生し、RDF 貯蔵槽は、取り
量を持ち、また、破砕を伴う工程では衝撃火花な
壊されている。爆発火災を教訓に死亡事故再発防
どの着火源が常に存在することになるため、これら
止策を策定する必要がある。
本研究は、サブテーマ 1 として、廃棄物処理施
の火災対策として適切な消火設備が必要である。
廃棄物施設では分別、焼却、減容の処理が行わ
設における火災の出火防止技術及び火災時の消
れているが、処理中の災害を防ぐためそれぞれの
火技術の開発研究を行うことと、サブテーマ 2 とし
段階で適切な対策が取られなければならない。
て RDF 貯蔵時の爆発火災の消火活動を行う場合
RDF は、燃料として使用されている。三重県、
に必 要 な消 火 方 法 と爆 発 災 害 による被 害 軽 減 方
石川県、福岡県で問題となった RDF の原料は、
法の開発研究を行う。
家庭から出される一般廃棄物であり、感染性、毒
性、爆発性などを有する特別管理一般廃棄物では
平成 16 年度までの研究成果
ない。火災予防条例準則を見ると「ぼろ及び紙く
研究経緯
以下に示すフローを念頭に本研究を実施してい
ず」、
「わら類」、
「木材加工品及び木くず」、
「合成
る。
樹脂類」は、一般廃棄物として多く含まれている。
●廃棄物処理施設でどのような火災が想定されるのか。
検
討
現状調査により、火災の起こりやすい場所・工程
小規模実験により、廃棄物の燃焼性状
⇒
文献調査等から、火災の検出方法
(火災シナリオ)
想定火源
●廃棄物処理施設における防火・消火手法
検
討
小規模実験により、消火性能評価
小規模実験により、発火抑制性能評価
薬剤の放出・混合・浸透実験
薬剤放出時のシミュレーション
低酸素濃度下の有害ガス発生の検討
=⇒
防火・消火に必要な薬剤性能
=⇒
薬剤の有効な適用方法
=⇒
システムの安全な利用
廃棄物処理施設における
火災安全・防消火技術
- 16 -
消研輯報 58
本研究の実施期間は平成 15 年度より 3 年間で
に関する研究:(1)~(3)および(9),(10)
あり初年度は以下の研究項目を実施した。
サブテーマ II
RDF 爆発・火災に関する研究:(4)
(1) 廃 棄 物 処 理 施 設 および集 積 される廃 棄 物 の
~(10)
現状と発災状況に関する調査
(1) 廃 棄 物 処 理 施 設 の形 態 に応 じた火 災 予 防 及
(2) 廃棄物の発火挙動について調査検討
び消火システムの検討と構築
(3) 廃棄物の燃焼性状把握のための小規模実験
・火災危険の高い場所における火災シナリオに適
(4) 廃棄物処理施設における有効な消火システム
した対応方法を検討した。
の試作及び小規模実験
廃棄物が積み上げられるゴミピットのような場所、
(5) 試作するシステムの安全な利用に関する基礎
ベルトコンベアのような場所、および衝撃火花によ
的な検討
る着火の恐れのある破砕機のような場所に適した
設備の概念設計を行い、特許出願を行った。
(2) 廃棄物の燃焼性状把握と防消火システムの適
<<平成 16 年度の研究成果>>
平成 16 年度は、前年度の研究成果を引き継ぎ
用性確認のための中規模実験
以下に示す研究成果を得た。なお、研究成果のう
・RDF ペレット、木くず、クリブを模擬ゴミとして
ち、それぞれのサブテーマに関連が深い項目は以
燃焼実験、水系消火およびガス系消火の実験を
下のとおりである。
行った。
サブテーマ I
廃棄物処理施設の火災安全技術
自動設備
感知設備
手動設備
廃棄物処理施設における火災安全・防消火技術
横浜市消防局、三菱重工業、NEC 三栄との共同研究
(3) 試作するシステムの安全な利用に関する基礎
(5) RDF 火災の燃焼特性の検討
的な検討
・小規模集積 RDF の燃焼実験を行い、画像計測、
・模擬区画を作成し、システム利用時の周辺雰囲
温度計測を実施した。X 線 CT による連続計測を
気 の安 全 性 についてガス濃 度 と温 度 の変 化 に着
実施するための電気加熱による着火を試み、くん
目しながら実験をおこなった。
焼条件は実現できた。安全に電気加熱による着火
(4) RDF の物理化学的特性に関する調査
の条件を確認後 X 線 CT による連続計測を実施す
・RDF 標本の収集を行い、熱分解特性の調査、
る。
蓄熱実 験を実 施のための熱発火挙 動予 測を行っ
(6 )RDF 火災の消火・抑制挙動に関する検討
た。蓄熱発火実験は、熱発火挙動予測に基づい
・小規模集積 RDF の水系消火剤による消火実験
て計測点配置を見直し、実施する予定である。
を行った。消火実験について外部研究機関(電源
- 17 -
消研輯報 58
開発、危険物保安技術協会)と情報交換を行った。
行った。廃棄物由来のペレット貯蔵中の災害事例
(7) RDF 等の生成気体の燃焼特性に関する検討
と対応状況についてスウェーデン、オーストラリア、
・RDF 等の生成気体のガス爆発特性を数値解析
中国について調査した。
により検討し、爆発に関与した可燃性ガス量の評
(9) 成 果 を消 防 機 関 等 へ周 知 するための講 演 会
価を行った。電気加熱による熱分解ガスの生成と
開催
流動挙動を実験により確認した。熱分解ガスの着
・窒素富化空気を用いた防火技術研究会を開催し、
火挙動を小規模集積 RDF 実験で調べた。
(1)に関する検討結果、(3)の実験結果を発表した。
(8) RDF に関連した災害に関する海外事情の調査
また外 部 専 門 家に廃 棄 物 施 設 火 災に関 する情 報
・RDF に関連した災害に関する海外事情の調査を
交換、討論等を行った。
(株)モリタとの共同実験
窒素富化空気を用いた防火技術研究会に
窒素富化空気を用いた防消火実験
おいて、専門家に講演依頼し情報収集
(高気密区画を用いた低酸素環境下の実験)
消防研究所側からも情報発信
再現性良く RDF を燻焼状態にするための実験的検討
タイヤ・RDF に係る消火のあり方に関する調
RDF(20kg)の燃焼消火実験
査検討、RDF 貯蔵槽希薄酸素環境による安
全対策の有効性評価
- 18 -
消研輯報 58
薫焼中 RDF から立ち上がる煙
水噴霧による
火による着火確認
少量水消火
ガス性状確認
2005 年 3 月
日本大昭和板紙東北(株)カットタイヤビン火災(秋田市)
(10) その他。現時点における知見を集約し、実際
形態に応じた火災予防及び消火システムの検討と
の火災事故について消防本部等の支援を行った。
構築を行う。
・過去のサイロ火災・爆発事例に関する情報提供
(2) 廃 棄 物 処 理 施 設 における総 合 的 な火 災 安 全
・爆発防止と火災抑制のための窒素ガス利用に関
技術に関する提言を行う。
するコメント
(3) 平成 16 年度に引き続き、得られた消火・抑制
・消火活動中の安全確保に関するコメント
挙動の確認と RDF 等の生成気体の燃焼特性確認
・現場での活動方針決定に関する助言
を行う。
(4)RDF 貯蔵時の爆発火災の消火活動を行う場合
平成 17 年度の研究計画
に必 要 な消 火 方 法 と爆 発 災 害 による被 害 軽 減 方
(1) 平成 16 年度に引き続き、廃棄物処理施設の
法に関する提言を行う。
(5)
救急システムに関する研究
Study on Effective Ambulance Service System
研究期間:平成 14 年 4 月~平成 18 年 3 月
金田節夫、久保田勝明、吉原
- 19 -
浩、関沢
愛
消研輯報 58
ムの構築を目指すものである。
目的
本研究では、安心で住み良い地域社会づくりに
消防が寄与する視点から、救急救命率の向上をは
平成 16 年度の研究成果
じめ、市民から期待される救急サービスの維持・
(1) 救急隊の効率的な運用体制の開発
向上を図ることを目的としている。その手段として、
(2) 救急業務シミュレーションの開発
今後とも増加し多様化することが予測される救急
救急業務シミュレーションは、現在あるいは将来
要請の実態や、消防機関における救急隊の運用
の救急要請に対して、より効率的に救急隊の運用
状況を調査分析し、救急業務における改善課題を
を行うには、何が効果的かを評価するための検証
見いだす。さらに、この結果を用い、限られた救急
ツールである。
隊 等 消 防 力 資 源 を効 率 的 に運 用 する救 急 システ
平成 17 年度の研究計画
討
(1) 救急隊の効率的な運用システムの開発
・救急隊配置運用サブシステム
対象都市をモデルとした重症度緊急度に応じた救
消防署配置、救急署配置の検討
急隊運用システムの開発
(2) 救 急 搬 送 の効 率 化 評 価 を目 的 とした救 急 業
・重症度・緊急度に応じた救急隊の出場サブシス
務シミュレーションの改良
テム
・効率的な運用システムへの改良(隊選定、病院
地域別、時間帯別の救急需要の分析
選定など)
救急救命士運用隊・普通救急隊の運用体制の検
・対象都市でのケーススタディ
- 20 -
消研輯報 58
救急業務シミュレーションの使用例(救急隊増隊の場合)
(6)
消防用防護服の総合的な性能評価手法に関する研究
Technical Method to Evaluate Heat-resistant, Comfortable and functional Performance of
Protection Clothes for Firefighting
研究期間:平成 14 年 4 月~平成 17 年 3 月
箭内英治、篠原雅彦、畑野
崇
統一の耐熱性能評価基準の作成作業が進められ
目的
現在の消防用防護服は、主に耐熱性能の観点
ているが、快適性や機能性についての評価基準は
から評価がなされている。しかし、最近の ISO 火
定められていないのが現状であり、消防用防護服
災防護服関係の会議では、耐熱性能だけではなく
の性能として、実際の消防隊員から快適性、機能
防護服を消防隊員が着用した際の快適性、機能
性の面からの要望が大きい。消防用防護服の快適
性の観点からの論議がなされてきている。これは、
性や機能性は防護服自体の性能以外に消防隊員
まさに現在の防護服は耐熱性能を強く求めるあま
の生理学的な問題を含むため、消防隊員が活動
り、生地自体がごわごわとしたものとなり、防護服
する地域の気候風土、年齢、男女の別など種々な
を着た際の消防隊員の快適性や機能性が損なわ
観点から検討を行う必要がある。
れているからと考えられる。また、米国やオースト
本研究では、消防用防護服の耐熱性能以外に
ラリアでは火災用の防護服に対する性能評価に快
も快適性に関する着心地、熱感覚、湿度感、柔軟
適性や機能性を含めた評価をしようとする動きが
性、重量感など、機能性に関する着易さ、脱ぎ易
ある。一方、日本においては近年になって、全国
さ、動き易さなどを実際の消防隊員に対して測定し、
- 21 -
消研輯報 58
日本の気候風土に適した耐熱性能(サーマルマネ
前年度行った防火服では快適性の違いが明確
キンなどにより評価)を含めた防護服のトータルな
に現れなかったので、今年度は大きく快適性の異
性能評価するために必要な基礎資料を得ると共に
なる防火服(表 1 を参照)を選んで、サーマルマネ
防護服の総合的な性能基準値を提案することを目
キン試験、発汗マネキン試験、環境室内での消防
的とする。
隊員による快適性、機能性に関する実験、消防隊
員 による実 作 業 を模 擬 したフィールド実 験 などを
行った。それらの結果の概要は、次の通りである。
成果
種類
NFPA 仕様防火服
日本の防火服1
表1
実験に用いた快適性能の異なる防護服
表地
防水層
パラアラミド
PBI
ゴアテックス
メタアラミド 90%、パ
同上
ラアラミド 10%
メタアラミド 100%( 銀
日本の防火服2
面アルミ蒸着+フッ素
同上
アラミド
4710
(ノーメックス)
メタアラミド 100%
3190
パラアラミド 40%、
2360
難燃レーヨン 40%
アラミド
(ノーメックス)
執務服
平均重量(g)
メタアラミド 30%、
フィルム加工)
森林用防火服
断熱層
アラミド
なし
なし
1510
なし
なし
740
執務服
防火服の種類
森林用防火服
第二度+第三度火傷割合
日本の防火服2
第三度火傷割合
日本の防火服1
第二度火傷割合
第一度火傷割合
NFPA仕様防火服
0.0
図1
10.0
20.0
30.0 40.0 50.0
火傷割合 (%)
60.0
70.0
80.0
各防火服と火傷割合の関係(5 秒暴露、下着、執務服ズボン:有)
(1) サーマルマネキンによる耐炎性能実験
について、サーマルマネキンを用いて、平均熱流
束 80±4kW/m 2 、暴露時間 2~8 秒の条件で暴露
消防隊員用防火服 4 種類と執務服の計 5 種類
- 22 -
消研輯報 58
試験を行った。その結果をまとめると次のようにな
(3) 環境室内での消防隊員による快適性、機能性
る。結果の一例として、各防火服の火傷割合を図
に関する実験
1 に示す。
23 歳から 25 歳の大学生 6 名を対象に、5 種類
1) 日 本 の 主 要 都 市 防 火 服 の 耐 炎 性 能 は 、
の防火服および執務服の着用時の高温環境下に
80kW/m2 、5 秒暴露、下着、執務服ズボンありの
おける自転車エルゴメーターによる運動を行った
条件では、第 2 度+第 3 度火傷割合は、頭部を除
際の温熱負担について生理的・心理的側面から評
く体全体の約 2% ~6% となった。
価した。直腸温と平気皮膚温の差の経時変化を図
2) また、80kW/m2 、8 秒暴露、下着、執務服ズ
2 に、また、衣服汗付着量を図 3 に示す。次のよ
ボンありの条件では、第 2 度+第 3 度火傷割合は、
うに結果をまとめることができる。
頭部を除く体全体の 22% ~55% となった。
1) 密閉式耐熱防火服着用時の生理・心理反応
3) 暴露時間 8 秒及び 5 秒暴露において、下着は
密閉式耐熱防火服着用時は、体温調節機能に
第 2 度+第 3 度火傷割合を約 13~15% 程度減じる
加え、心機能への負担も大きかったことが示唆さ
効果がある。
れた。また、一般に心拍数が 180 beats/min 以上
4) 80kW/m2 の火災環境下では 8 秒暴露には耐え
になると熱虚脱を起こす恐れがあると言われてい
ないが、5 秒暴露では十分耐える性能を持つ。
ることからも、密閉式耐熱防火服着用時の熱負担
(2) 発汗マネキン実験
がかなり大きかったことが推察される。
1) 発汗マネキンは衣服の布と構成エアギャップの
一方、心理的にも暑さ・不快の程度が他の防火
影響等の評価に有効である。
服に比べて強いことが認められた。
2) 防護服の快適性には蒸発抵抗が大きく影響し、
密閉式耐熱防火服の防火服は他の防火服に比
その評価には発汗サーマルマネキンが不可欠であ
べ、全身密閉で素材が全体アルミであり、重量も
る。
かなり重い。これらの特徴が相互に影響し、このよ
3) 各層の効果の分析には熱・水分共存系のスキ
うな結果を生んだと思われる。
ンモデルが有効である。
(ºC)
4.5
Pre-Room
Test-Room
4
3
2.5
2
1.5
1
0.5
n=6
0
0
10
20
30
40
Rest
11
15
A
B
Rest
11
Recovery
Exercise
18 21
15 18 21
C
25
D
35
45
48 51
55
58
E
Recovery
Exercise
25
60 (min)
50
32
図2
36
40
F
43
Adherent Sweat Volume in Clothing (kg)
3.5
** *
***
0.9
*
0.8
**
*
* : p<0.05
** : p<0.01
***: p<0.001
Means±SD
n=6
0.7
0.6
0.5
0.4
0.52
0.53
0.45
0.3
0.35
0.34
0.2
0.24
0.1
0
A
B
C
D
E
F
直腸温と平均皮膚温の差の経時的変化
A:NFPA 仕様防火服、B:日本の防火服 2、C:日本の防火服 1
D:森林用防火服、E:執務服、F:密閉式耐熱防火服
2) NFPA 仕様防火服~執務服防火服着用時の生
NFPA 仕様防火服、日本の防火服 2 の防火服
着用時は日本の防火服 1、森林用防火服、執務
理・心理反応
- 23 -
消研輯報 58
服に比べると熱放散がうまく機能せず、体内への
められており、この素材の特徴が他の素材に比べ
著しい蓄熱が起こっていることが示唆された。体重
て熱負担を増大させたことが示唆された。さらに、
減少量には条件間の差が見られなかったが、衣服
NFPA 仕様防火服から森林用防火服の防火服の
付着汗量の結果から、NFPA 仕様防火服、日本
中では森林用防火服が体温上昇、心拍数の増大
の防火服 2 着用時は大量の発汗が生じたと考えら
が最も小さく、心理的にも暑さ不快の程度が小さ
れ、その多くが無効発汗であり、体液量の減少(脱
いことが示され、森林用防火服の防火服は一層で
水)を招き皮 膚血 流 量と発汗による熱放 散を減 少
構成され、重量も軽いことがこのような結果となっ
させ、過度の体温上昇をまねいていたと考えられる。
たと推察された。
心理反応について 5 着衣条件(NFPA 仕様防火
今回 5 種類の防火服を用い評価を行ったが、着
服~執務服)で比較すると、全身及びすべての部
衣条件によって、高温環境下における運動負荷時
位の温冷感及び不快感は、NFPA 仕様防火服、
の身体への温熱負担の違いが示された。今回用い
日本の防火服 2、日本の防火服 1 がほぼ同様な
た防火服は、現在、様々な場所で実際に使用さ
申告で執務服より暑い側、不快側の申告であった。
れている防火服ではあるが、その重さや素材の違
執務服執務服を除く防火服 NFPA 仕様防火服~
いにより、防火服着用者への生体への負担や心理
森林用防火服の中では森林用防火服が有意差は
的影響に大きな違いを生むことが明らかとなり、今
なかったが、温冷感、不快感、全身の運動強度
後防火服の機能性と着用者の生体負担の両方か
の結果から相対的には暑さ、不快、きつさの程度
らの検討がますます必要になってくると考えられる。
が小さいことが示された。
(4) 消 防 隊 員 による実 作 用 を模 擬 したフィールド
密閉式の密閉式耐熱防火服を除く 5 条件の中
実験
では、NFPA 仕様防火服、日本の防火服 2 着用
サーマルマネキン実験と同様な試料について、消
時の身体への温熱負荷が大きく、体内への蓄熱が
防活動モデルを用いて防火衣のフィールド試験を
大きかった。つまり、NFPA 仕様防火服、日本の
実施し、以下のような結果を得た。
防火服 2 は熱放散性が他の着衣条件に比べて非
1) 質量の大きい防火衣は身体への負荷が大きく
常に劣るということが示された。NFPA 仕様防火服
なり、快適性、機能性が劣る。
は、5 条件の中で最も重量が重いという特徴を有
2) 質量の小さい防火衣ほど快適性、機能性に優
する。中でも NFPA 仕様防火服は運動中の心拍
れる。
数が他の条件よりも多く、自覚運動強度において
3) 質量が小さくてもフィット感が悪いと、機能性が
の評価でも、最もきついという申告であったことを
劣る。
考えると、この重量の違いが心拍数増加や心理的
4) 安全帯を着用することによって、快適性は劣る
なきつさをより高めたのではないかと考えられた。
が、一定のフィット感が得られる。
また日本の防火服 2 は表地の素材がアルミである
5) 下半身の自由度が低い防火衣は、機能性が劣
という特徴を有している。アルミの素材は通気性・
る。
透湿性が共に極めて悪く、断熱性が高いことが認
- 24 -
消研輯報 58
〔危険性物質と危険物施設に対する安全性評価〕
(7)
地震時における石油タンクの火災および
構造の安全性確保のための研究
Research on Oil Tank Fires and Structual Safety of Oil Storage Tanks for Large Earthquakes
研究期間:平成 15 年 4 月~平成 18 年 3 月
山田
實、西
晴樹、廣川幹浩、座間信作、畑山
竹元昭夫、内藤浩由、古積
健、
博、岩田雄策、松原美之
が懸念されることから、地震時の大型石油タンクの
目的
過去の地震による石油タンクの大規模な被害事
被害発生機構解明と安全確保技術の確立が喫緊
例としては、1964 年新潟地震のタンク全面火災、
の課題となっている。
1978 年宮城県沖地震のタンク底部破口による大
本研究では、地震時における石油タンクの火災
量漏洩、そして、2003 年十勝沖地震のタンク全面
および構造の安全性確保を目的とし、以下のよう
火災などが挙げられる。
な 3 つのサブテーマを設けて研究を実施する。
サブテーマ I 「石油タンクの経年劣化に伴う危険
宮城県沖地震の事例は、タンク底部の経年劣化
と地震動に起因するものであり、現在も最も重視す
度予測手法の確立に関する研究」
べき課題とされ、その方策が議論されている。ま
期間
た、十勝沖地震では、地震発生直後に原油タンク
担当者
でリング火災が、その 2 日後にナフサタンクで全面
山田
火災が発生した。その他、タンクの浮き屋根が沈
基盤研究部
没し、内容物が大気にさらされる状況であった。
山
平成 15 年 4 月~平成 18 年 3 月(3 年間)
基盤研究部
實、西
消 防 機 械 研 究 グ ループ
晴樹、廣川幹浩
防災研究グループ
座間信作、畑
健
日本国内での地震が関与したタンク全面火災とし
供 用 中の石 油タンクの安 全 性 評 価 手 法 を確 立
ては、新潟地震以来の出来事であり、懸命の消火
するため、想定される巨大地震の震源域付近に立
活動にもかかわらず 44 時間もの間燃え続け、社会
地している石油コンビナート等の石油タンクを対象
に多大な衝撃を与えた。
として、石油タンク底板の経年劣化の非開放検査
今後 30 年で 99% の発生確率とされている宮城
手法(AE 法)による評価、ごく短周期領域までの強
県沖地震、いつ起こってもおかしくないと言われて
震動の予測、予測した地震動を入力とした場合の
いる東海地震、50% 程度の確率とされている東南
経年劣化を考慮した石油タンクの応答解析等につ
海、南海地震のいずれもが、今回の十勝沖地震と
いて検討を行う。
同じ海溝型地震であり、長周期地震動を強く励起
サブテーマ II
するものと予測されている。
する研究」
以上のような石油タンクを取り巻く状況において、
期間
担当者
大 型 石 油 タンクに上 述 の事 例 と類 似 の被 害 発 生
- 25 -
「石油タンク火災の安全確保に関
平成 16 年 4 月~平成 18 年 3 月(2 年間)
基盤研究部
消火研究グループ
竹元
消研輯報 58
直径 7.6m および 13.6m の実タンクを用い、側
昭夫、内藤浩由
基盤研究部
物質安全研究グループ
古積
博、
板および底板で発生した疑似 AE 波の伝播特性
実験を実施した。その結果、疑似 AE 波の減衰は、
岩田雄策
研究統括官
松原美之
水中より鋼板の方が大きいことがわかった。これは、
タンク火災の消火に使用できる泡薬剤に求めら
模型タンクでは得られない結果である。また、伝播
れる性能を実験室規模の消火実験により把握、整
経路を水中とした場合の底板での AE 源位置標定
理する。あわせて、大容量泡放射砲の性能に関し
誤差は、実用上問題にならない程度であった。
て、泡の散布分布、放射軌跡等の放射特性を把
(2) 仮想巨大地震発生時の石油タンクにおける強
握する。また、苫小牧市のナフサタンク火災が何
震動波形予測
故 44 時間にもわたって続いたのか検証を行うと共
2-1 震源 域で発生する中 小 地震の観 測 記録を用
に、原油や重油タンクでのボイルオーバーの発生
いた強震動予測のための対象危険物施設での地
可能性についても検討する。
震観測
サブテーマ III
2003 年 7 月に仙台市内にある新日本石油精製
「浮き屋根等の安全性確保に関
(株)仙台製 油 所敷地内において広帯域 速 度型強
する研究」
期間
平成 16 年 4 月~平成 18 年 3 月(2 年間)
担当者
山田
基盤研究部
實、西
基盤研究部
畑山
震計による観測を開始した。経験的グリーン関数
消 防 機 械 研 究 グ ループ
法による強震動予測において用いる中小地震記録
晴樹、廣川幹浩
防災研究グループ
は、想定震源断層近傍で発生した地震によるもの
座間信作、
健
が望ましい。これまでに、この条件を満たす良好な
記録が取得された。
2-2 浅部地下構造モデルの構築
十 勝 沖 地 震 で沈 没 した浮 き屋 根 および折 損 し
たガイドポール等 付 属 設 備 の変 形 損 傷 形 態 を詳
製油所構内のボーリングデータと石油タンク諸
細に調べ、スロッシングの発生及び浮き屋根の沈
元(危険物保安技術協会による新基準適合確認作
没メカニズムを解明し、今後発生が予測される地
業の報告書)を入手した。
震におけるスロッシング被害を最 小化 するための
2-3 震 源 域 から危 険 物 施 設 までの地 下 構 造 に基
技術を確立する。
づく強震動予測手法の検討
汎用のコンピュータであるエンジニアリングワー
平成 16 年度までの研究成果
クステーションでも演算可能なように差分法と離散
サブテーマ I
化波数法を組み合わせた 3 次元地震波動場計算
<<平成 15 年度の成果>>
コードを作成し、計算結果の精度を確認した。さら
(1) 非開放検査手法(AE 法)による石油タンク底板
に境界処理について改良の必要性があることがわ
の腐食劣化の評価
かった。
1-1 模型タンクにおける AE 波の伝播特性
<<平成 16 年度の成果>>
(1) 非開放検査手法(AE 法)による石油タンク底板
直 径 5m の 模 型 タ ン ク の 側 板 お よ び 底 板 に
10cm 間隔でセンサを設置し、タンク底板で発生し
の腐食劣化の評価
た疑似 AE 波の伝播経路を詳細に調べた。鋼板お
1) 石油タンク底部の腐食劣化状況と AE 計測パラ
よび水中を伝播する各モード波(P 波、S 波、板波)
メータの関係
タンク底部に堆積しているスラッジが AE 波の伝
の振幅分布やモード変換の状況が把握できた。
1-2 実タンクにおける AE 波の伝播特性と位置標
播に及ぼす影響を実タンクに模擬スラッジとして吸
定
水性高分子材を用いて調べた結果、直径 14m タ
- 26 -
消研輯報 58
ンクで約 6dB の振幅減衰が生じることがわかった。
1) 強震動波形予測の対象石油タンクでの地震観
今後、実スラッジの AE 伝播特性を求め、模擬ス
測
平成 15 年度に仙台市内の製油所で開始した強
ラッジとの比較をすることでより精度の高い評価手
法を構築できるものと考えられる(図 1 参照)。
震観測を継続することにより、想定宮城県沖地震
また、AE 波の発生機構を解明するため、鋼板
発生 時の強 震動 波形 予 測を経 験的グリーン関数
に作成したピット内の鉄粉に食塩水を滴下して腐
法により行う場合に必要となる想定震源域で発生
食を促進させた状況下で AE 計測を行った。その
する中小の地震の記録を蓄積することができた。
結果、ピットの深さと AE ヒット数には比例関係が
また、インターネットを用いた地震観測メインテ
存在するようである。これは、腐食の振興に伴う
ナンスシステムを試作し、地震発生直後に地震記
AE ヒット数の変化を定量的に扱える可能性を示し
録や地震動の大きさを観測実施者のみならず、防
ている。
災 情 報として地 震 計 設置 事 業 所 関係 者に送 付す
2) AE 源の位置標定システムの確立
る機能を備えた観測システムを発明し、仙台市内
タンク底板で発生させた疑似 AE 源の位置標定
の製油所の観測点に実装した。
をニューラルネットワークにより詳細に調べた。そ
2) 経験的グリーン関数法による仮想宮城県沖地
の結果、AE は解放されるエネルギーの大きさによ
震に対する強震動波形予測
って減衰を考慮する必要があり、腐食の AE では
想定宮城県沖地震の発生様式として考えられて
エネルギーが小さいためレイリー波の伝播が支配
いる 3 つのシナリオのうち、2 つについて地震計設
的とみられること、ニューラルネットワークの学習
置地点における強震動波形を予測した。
点の間隔を 100[mm]程度としても腐食 AE 源の位
この地震計 設置地点における強震動予 測結果
置標定が可能であることがわかった。
と製油所構内の地盤ボーリングデータを用いて、
製構内の面的強震動予測に着手するとともに、そ
AE源
10
スラッジ無し
スラッジ有り
4ch
の結果をわかりやすく表示するソフトウェアを試作
した。
振幅(V)
1
5ch
3ch
3ch
5ch
0.1
3) 理論的手法による仮想宮城県沖地震に対する
強震動波形予測のための地下構造モデルの検討
2ch
6ch 1ch
6ch
2ch
強震動予測対象石油タンクサイトである仙台市
の製油所において、工学的基盤に相当する深さま
0.01
0
3.5
7
10.5
14
での地 盤 の地 震 波 速 度 構 造 を常 時 微 動 アレイ測
パルサからの距離(m)
図1
模擬スラッジによる AE 波の減衰
定により探査した。
サブテーマ II
3) その他
<<平成 16 年度の成果>>
3 種類の異なった計測システムを使用して、同一
(1) タンク火災に有効な泡消火剤の選択
タンクの AE 試験を実施した結果、2 機種のタンク
タンクサイズ 1 ㎡及び 2 ㎡(共に深さ 0.3m)の n-
底部腐食損傷評価結果はほぼ同一であった。
ヘプタンプール火災に対し、各種泡消火剤(蛋白
残りの機種について、現在解析中である。また、
泡:P、フッ素蛋白泡:FP、界面活性剤泡:SD、水成
AE 計測を行ったタンク底板の連続板厚計測を実
膜泡:AFFF、粘性付与水成膜泡:AR-AFFF)の消火
施する予定である。
性能を、泡供給率をパラメーターにとり評価した結
(2) 仮想巨大地震発生時の石油タンクにおける強
果、タンク火災に有効な泡消火剤はフッ素蛋白泡、
震動波形予測
水成膜泡、粘性付与水成膜泡が優れていることが
- 27 -
消研輯報 58
判った(図 2 参照)。
(3) 小型タンクを用いた屋外燃焼実験
直径 4m タンクを用いてナフサの燃焼性状を調
実験で使用する泡を入れて、泡のシール性につい
べた。その結果、ナフサが同じ危険物第四類第一
て調べた結果、上記消火実験と同様な結果が得ら
石油類のガソリン、原油に比べて燃焼速度が大き
れた。
いことを明らかにした。
90%Control time [sec]
また、小型容器に入れたガソリンの上に、消火
AFFF
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
FP
P
Sy
: Not Extinction
0
図2
AR-AFFF
1
2
3
Application rate
4
5
6
泡供給率に対する 90%コントロール時間
写真 1
(2) 泡放射砲の放射特性
志布志備蓄基地でのタンク内への泡放射実
験
① 四日市消防本部所有のウィリアム社製ノンアス
(4) 各種油種のオイルオーバーの挙動
ピレート型ノズル(5700Lpm)を使用し、水、水成
膜泡(AFFF)、粘性付与水成膜泡(AR-AFFF)及び
フランス・ポアチエ大学の研究者を招へいして直
合成界面活性剤泡(SD)の泡放射実験を実施し、
径 0.9m タンクを用いて原油、軽油及び重油のボ
分散分布密度、発泡倍率、25%還元時間、放射
イルオーバーの挙動(火炎形状、燃焼速度、周囲
軌跡等の泡性状や放射状況について放射角度を
への放射熱、液温度等)について調べた。その結
パラメーターにとり把握、検証した。
果、従来ボイルオーバーが起こらないと言われて
②
志布志国家石油備蓄基地において、
いた軽油でも条件によってはボイルオーバーが起
20,000Lpm 級のアスピレート型、ノンアスピレート
こることを確認したが、これは、同じ危険物第四類
型の大容量泡放射砲を使用し、水、フッ素蛋白泡
第 二 石 油 類 の灯 油 とは大 きく異なることを明 らか
(FP)、粘性付与水成膜(AR-AFFF)の泡放射実験
にした。一方、原油、重油では激しいボイルオー
を実施し、①と同様、泡性状や放射状況を把握し
バーが起こることを明らかにした。
た。また、高さ 24m の実タンク放射による放射軌
サブテーマ III
跡、タンク内の泡分散分布及び仰角放射での問題
<<平成 16 年度の成果>>
点を把握、検証した。
(1) スロッシングによる浮 き屋 根 および付 属 設 備
等に発生した損傷形態の調査と分析
①、②及び(独)石油天然ガス・金属鉱物資源
機構が実施した苫小牧東部国家石油備蓄基地実
苫小牧市内(出光興産北海道製油所を含む)、
験、また米国 Kidde Fire Fighting 社実施の泡放
苫 小 牧 東 部 工 業 地 域(苫 小 牧 東 部 石 油 備 蓄 ㈱お
射実験データを検討した結果、水成膜泡(AFFF)
よび北海道石油共同備蓄㈱)、釧路市内の事業所
は、発泡倍率が高すぎる傾向を示し、大容量泡放
において、浮き屋根の被害を中心に調査を行った。
射 砲 に有 効な泡 消 火 剤 はフッ素 蛋 白 泡(FP)及 び
被害の特徴として、新法、旧法の違いによる被害
粘 性 付 与 水 成 膜 (AR-AFFF)が望 ましいとの結 果
の差は見られなかった。被害は、屋根部に集中し
を得た。
ており、対舞踏に被害はほとんど発生していない。
- 28 -
消研輯報 58
また、火災が発生した 2 基のタンクについて、そ
ロッシングの固有周波数より十分小さいレーザー
の火災発生原因に関する詳細な調査も実施した。
距離計を用いた。
(2) FEM(有限要素法)による浮き屋根を考慮した
(4) 浮き屋根式タンク(容量 1,500kl)を用いたスロ
スロッシング挙動解析のためのコード作成
ッシング時の浮き屋根の変形挙動実験
浮き屋根式タンクについてタンク本体、浮き屋根
直径 15m の固定屋根付内部浮き屋根式石油タ
及び内容物の連成を考慮した 3 次元地震応答解
ンクを用いて,微小波高におけるスロッシング実験
析を行うためのプログラムを作成した。なお、この
を行い,シングルデッキ型の浮き屋根の挙動につ
プログラムでは、浮き屋根の三次元構造(屋根内
いて検討を行った。その結果,浮き屋根は,スロ
部に設けられている各アングル材など)は詳細にモ
ッシング時の周方向には余弦関数状に,半径方向
デル化されておらず、浮き屋根全体の三次元の剛
には直線状に変位分布することを確認した。また,
性を一致させたものとした。また、流体は渦および
本タンクの浮き屋根の変位の減衰定数は 0.03 で
粘性がないポテンシャル流体とした。
あり,計測結果から求めた減衰固有周期は,自由
製油所で計測された地震波形を入力し、実タン
液面における 1 次の固有周期の理論値より若干短
クのスロッシング波高に一致していることを確認し
い。一方,浮き屋根外周のチューブシールを外し
た。
たタンク側板と浮き屋根との摩擦が小さい状態に
(3) 模型タンク(直径 1m)による浮き屋根の影響評
おいては,浮き屋根の変位の減衰定数は 0.02 で
価
あり,減衰固有周期は,理論値と概ね一致した。
直径約 1m の模型タンクを作成し、起震機で揺
また,浮き屋根に生じるひずみは,浮き屋根の変
動させ、一次および二次モードのスロッシング時に
位 の減 衰 特 性 に従 った減 衰 特 性 を有 する可 能 性
おける自由液面形状の計測システムを構築した。
があることを指摘した。
基準面から自由液面までの距離は、測定時間がス
(a)浮き屋根の円周方向の変位分布
図3
(b) 浮き屋根の半径方向の変位分布
微小波高における浮き屋根の変位分布
平成 17 年度の研究計画
の腐食劣化の評価
主な研究項目は以下の通りである。
・実タンク底部における腐食損傷の総合評価手法
サブテーマ I
の確立
(1) 非開放検査手法(AE 法)による石油タンク底板
(2) 仮想巨大地震発生時の石油タンクにおける強
- 29 -
消研輯報 58
震動波形予測
られた各種泡性状を模擬した消火性能を調べる。
1) 強震動波形予測の対象石油タンクでの地震観
(4) 同時に 2 本のノズルで泡放射を行った時の泡
測(継続)
の展開と、種別の異なる泡を併用した時の消火性
・観測の継続
能を調べる。
・インターネットを用いた地震観測メインテナンスシ
(5) 平成 16 年度に実施した実験データを基に、規
ステムの高機能化
模の大きなボイルオーバーの実 験を独 立 行 政法
2) 経験的グリーン関数法による仮想宮城県沖地
人石油天然ガス・金属資源機構と協力して行う。
震に対する強震動波形予測(継続)
(6) 最近、ヨーロッパを中心に石油タンク火災研究
・想定宮城県沖地震連動型シナリオ発生時の強震
が盛んなことからヨーロッパの研究者との情報交
動予測
換、ヨーロッパで予定されている石油の火災実験
・製油所構内の面的地震動予測
に参加して石油火災の燃焼性状を調べる。
(3)経 年 劣 化 を考 慮 した石 油 タンクの地 震 応 答 解
サブテーマ III
析および評価
(1) FEM による浮き屋根を考慮したスロッシング挙
・想定宮城県沖地震発生時の強震動予測結果を
動解析
入力とした場合の応力算定式に基づく石油タンク
・3 次元連成解析結果と実タンクによる実験結果と
の危険度評価
の比較検討
・FEM 等による 3 次元地震応答解析
・浮き屋根の剛性(シングルデッキあるいはダブル
サブテーマ II
デッキ)の影響評価
(1) 異なる面積のタンク模型の消火実験を行い、
(2) 浮き屋根式タンク(容量 15,000kl)を用いたスロ
タンク面積が消火時間等に与える影響を調べる。
ッシング時の浮き屋根の変形挙動実験
(2) 実際のタンク火災では消火を開 始するまでに
・スロッシング時に受ける浮き屋根各部のひずみ
時間を要するため、予燃時間が消火時間に与える
計測
影響を調べる。
(3)スロッシングにおける浮き屋根の強度に関する
(3) 平成 16 年に実施した大容量泡放射試験で得
簡易評価式の提案
補足資料
サブテーマ I
- 30 -
消研輯報 58
サブテーマ II
観測方法
4方向からのビデオを
カメラにより油面への
泡の入り方、展開及び
消火状況を把握する。
*火皿は実際のタンク形
状にあった円形とする。
75°
60°
45°
30°
-20°
0°
ノズル
火皿
図 放射角度を変えてタンク火災に有効な
泡消火剤の選別
回転
動液圧
座屈変形
波高
やや長周期地震動
●浮き屋根と貯油との連成を考慮したスロッシングモデル
●浮き屋根下の動液圧力分布
●浮き屋根の回転
●浮き屋根の座屈変形
●スロッシング波高
(8)
新規化学物質等の危険性を把握するための研究
Study on Risk Evaluation Methods of New Chemical Substances
研究期間:平成 16 年 4 月~平成 19 年 3 月
古積
博、岩田雄策、李
新蕊
出回り、身近なものになりつつある。また、技術的、
目的
科学技術の発達及び社会環境の変化によって、
経済的な理由で廃棄処理が困難なために大量に
従来ほとんど使用 されることのなかった特殊な化
屋内外に放置され、新たに社会的な問題となって
学物質またはそれを主原料とした製品が、市場に
いる化学物質等もある。本研究において、これら
- 31 -
消研輯報 58
の化学物質等を新規化学物質等という。新規化学
及びその処理施設の火災安全技術に関する研究
物質等の例として、半導体工業におけるヒドロキシ
(1) 廃棄物処理施設での火災の調査。
ルアミン及びヒドロキシルアミン誘導体、燃料電池
木材チップ(図 2)、RDF 等の処理施設について
に使用される水素吸蔵合金、自動車のエアバッグ
その現状を調査し、また、発災施設を調査し、火
に使用されるガス発生剤、RDF/RPF、木材チッ
災の原因、メカニズムを明らかにした。
プ等のバイオマス燃料及び自動車シュレッダーダ
(2) RDF 等による火災発生メカニズムの解明
RDF 及びシュレッダーダスト等の熱分解による
スト等がある。
新規化学物質等はその用途及び化学的性質が
発火機構を調べた。小型燃焼実験及び発熱開始
特殊で、不純物等の混入によって危険性が増加す
温度等の決定のための熱量測定実験を行い、その
るものもある。また、新規化学物質等は複雑な組
結果を基に熱発火理論等でもって火災発生メカニ
成を持つ可燃物であるために廃棄物として大量に
ズムを解明した。
堆積した場合、出火危険度が高く、自然発火や雨
(3) 木材チップの危険性評価
水との反応による発熱、発火が起こすものもある。
堆積した木材チップについて、常温~180℃での
本研究において、新規化学物質等の安全な貯蔵、
燃焼挙動を明らかにし、その発災メカニズムを解明
廃棄及び取り扱いのために、科学的裏付けのある
した。
合理的な評価方法を提案することを目的とする。
サブテーマ III
バイオ燃料等の性状確認等の研
究
(1) バイオ燃料の危険性評価
平成 16 年度の研究成果
主な研究項目は以下の通り
サブテーマ I
バイオ燃料のうち、貯蔵によって過酸化物が形
新反応性物質等の危険性を把握す
成され熱不安定となる可能性のあるバイオディー
るための研究
ゼルについて、熱的危険性に関するデータを得た。
(1) 熱分解の危険性評価方法
その結果、本研究の範囲では過酸化物はほとんど
断 熱 型 圧 力 追 従 式 熱 量 計 及 び高 感 度 熱 量 計
生じないことを示した。
(図 1)等を用いて「分解の激しさ」及び「熱安定
(2) リサイクル燃料の危険性評価
性」を適正に評価するための危険性評価方法に関
木材、石炭等を基に作られるリサイクル燃料の
して基礎データを得た。
熱的危険性評価を行った。また、生ごみ及びその
処理施設を調査し、処理施設での火災の原因、メ
(2) 混 合 危 険 の評 価 方
カニズムを明らかにした。
法
不純物の混入及び水
等 と反 応 して可 燃 性 気
体を発生したり、大量の
反 応 熱 を放 出 する化 学
物 質 について、 混 合 型
反 応 熱 量計 を用いて圧
力上昇速度及び発熱
速 度 等 を測 定 する危 険
性 評 価 手 法 を考 案 した。
図1
高感度熱量計
サブテーマ II
廃棄物
- 32 -
図2
堆積した木材チップ
消研輯報 58
平成 17 年度の研究計画
木材、石炭等を基に作られるリサイクル燃料や
主な研究項目は以下の通り
サブテーマ I
生ごみの危険性評価方法を提案し、また、発災メ
新反応性物質等の危険性を把握す
カニズムを解明する。
るための研究
(1) 熱分解の危険性評価方法
次年度以降の研究計画
主な研究項目は以下の通り
従来の化学物質及び新規化学物質等に対して、
断熱型圧力追従式熱量計及び高感度熱量計等を
サブテーマ I
用いた危険性評価方法を適用して、「分解の激し
るための研究
さ」及び「熱安定性」を適正に評価する。等温型
(1) 新規化学物質等の「分解の激しさ」及び「熱
高感度熱量計を使用して、「熱安定性」を評価す
安定性」に関して、定量的で適正な危険性評価を
るための熱力学パラメーターを得ることによって、
実施するための方法を提案する。
自己触媒型等の化学反応型を分類する手法を提
(2) 不純物の混入及び水等と反応することにより、
案するための基礎データを得る。
可燃性気体や毒性ガスを発生したり、大量の反応
(2) 混合危険の評価方法
熱を放出する化学物 質等 の危険性を定 量的に把
新反応性物質等の危険性を把握す
握するための方法を提案する。
引き続き、混合危険性のある化学物質等に対し
て混合型反応熱量計を用いる危険性評価方法を
(3) 提案した危険性評価方法による結果と現行の
適用して、危険性評価のために重要な圧力上昇速
危険性評価方法による結果の相関性を調べ、検討
度及び発熱速度等の基礎データを得る。
した危険性評価方法の妥当性を検討する。
サブテーマ II
サブテーマ II
廃棄物及びその処理施設の火災
廃棄物及びその処理施設の火災
安全技術に関する研究
安全技術に関する研究
(1) 木 材 チップ等による火 災 発 生 メカニズムの解
(1) RDF 等の火災発生メカニズムの解明する。研
明
究成果を基に廃棄物の防火対策を提案する。
木材チップ、RDF 及びシュレッダーダスト等の
(2) 堆積した木材チップについて、危険性評価方
熱分解による発火機構を調べる。小型燃焼実験及
法を提案する。研究成果を基に発火メカニズムを
び発熱開始温度等の決定のための熱量測定実験
解明し、木材チップの防火対策を提案する。
を行い、その結果を基に熱発火理論等でもって火
サブテーマ III
災発生メカニズムを解明する。
究
(2) 木材チップの危険性評価
(1) バイオ燃料について危険性評価方法を提案す
バイオ燃料等の性状確認等の研
る。
堆積した木材チップについて、高感度熱量計を
用いた危険性評価方法を提案する。また、その発
(2) 生 ごみ等 のリサイクル燃 料 の発 災 メカニズム
災メカニズムを解明する。
を解明し、また、危険性評価方法を提案する。
サブテーマ III
バイオ燃料等の性状確認等の研
究
(1) バイオ燃料の危険性評価
バイオ燃料について、適正な危険性評価方法を
提案するための基礎データを得ると共に、発災メ
カニズムを解明する。
(2) リサイクル燃料の危険性評価
- 33 -
消研輯報 58
2
(1)
基盤研究 *
閉塞型スプリンクラーヘッドの感熱体の経年挙動に関する基礎研究
Fundamental Research on the Secular Behavior of a Soldered Joint
in an Automatic Sprinkler Head
研究期間:平成 14 年 4 月~平成 18 年 3 月
山田
實、廣川幹浩、真家敦子
圧縮試験および圧縮クリープ試験を行った。試験
目的
建物火災による被害を軽減するために、スプリン
に用いた試験片は、はんだのインゴッドから加工し
クラー設備の設置が消防法により規定されている。
た。各試験条件は、室温付近で温度を変化させ、
閉鎖型スプリンクラーには、はんだの感熱機構を
はんだが瞬時に破断あるいは座屈が生じないよう
有したものがあり、感熱によってはんだが溶融する
に設定した。
ことで、放水口より消火放水が行われる構造となっ
試験結果より、低温はんだの引張りおよび圧縮
ている。
のヤング率は、室温付近で温度依存性がみられた。
感熱体の検知温度は、生活空間であれば 79℃未
また、低温はんだの圧縮クリープ特性は、クリー
満と規定されているため、通常、融点 72℃の Bi
プ速度が一定の定常クリープに大きく支配されて
系低温はんだが感熱体のヒューズの役割として用
おり、定常クリープの結果を用いてクリープ定数を
いられている。このため、室温環境での寒暖の繰
求めた。
返しによる低温はんだの経年劣化が問題となり、
(2) 感熱体のクリープ試験
スプリンクラーの誤 作 動 による水 損 が懸 念 されて
次に、感熱体を用いてクリープ試験を行った。
いる。災害に対する安全性確保のためにも、低温
試験に用いた感熱体の断面概略図を図 2(a)に示
はんだの熱的要因に対する経年劣化の予測が重
す。低温はんだは、円筒状の真鍮製のシリンダー
要である。
内部に融着されており、ピストンとシリンダーとの間
そこで、本研究では、低温はんだの材料特性を
には微小な隙間が設けられ、融けたはんだの流出
調べ、寒暖の繰返しが低温はんだの強度特性に
経路となっている。
与える影響を実験により明らかにするとともに、数
試験は、クリープ試験機を用いて圧縮荷重をピ
値 シミュレーションにより感 熱 体 の経 年 挙 動 の予
ストンに負荷し、はんだを介してシリンダーに押し
測を行うことを目的とする。
込み、ピストンの変位の経時変化を測定するもの
である。試験条件は、感熱体の性能評価で用いら
平成 16 年度の研究成果
れている日本消防検定協会規定の閉鎖型スプリン
(1) 低温はんだを用いた材料・クリープ試験
クラーの検査試験に基づき、恒温槽で試験部の温
度を 20℃に保ち、36.1MPa の圧縮応力を 10 日間
まず始めに、材料定数およびクリープ定数の測
定を行うために、低温はんだを用いて引張り試験、
与えた。
- 34 -
消研輯報 58
試験の結果を図 3 の実線で示す。図 3 の結果よ
(5) 累積損傷則などを用いた数十年後のクリープ
り、変位の勾配は、初期段階から減少し、一定値
寿命予測
に漸近する傾向が見られた。
(3) 弾塑性クリープ解析
スプリンクラーヘッドに組み込まれている感熱体
を用いて、有限要素法による数値解析で検討を行
った。図 1(b)に感熱体の有限要素モデルを示す。
解析条件は、温度 20℃の雰囲気で 36.1MPa の圧
縮応力をピストンに与えて 10 日間のクリープ弾塑
性解析を行った。図 2 に 10 日後の変位および応
図1
力分布の計算結果を示す。感熱体の変形の様子
有限要素法モデル
は、実験結果と概ね一致していた。また、図 3 に
図 1(b)に示すはんだの点 B での鉛直方向の変位
の経時変化を点線示す。図 3 の結果より、計算値
と実験値は概ね一致しており、10 日間程度のクリ
ープ変形は FEM で予測可能である。
平成 17 年度の研究計画
上記の数値シミュレーションにおいては、温度が
一定条件下のもとで、材料・クリープ定数は温度
による影響を受けないものとして解析を行っている。
感熱体はんだの融点は 72℃のため温度による影
響は大きいものと想定され、寒暖の繰返し条件を
図2
入れた検討が必要である。そこで、本年度は、下
10 日後の変位および応力分布
記の研究内容を計画している。
(1) 寒暖の繰返しを考慮した試験の実施
(2) FEM により、環境温度が変化する条件下での
材料・クリープ定数の温度依存性を考慮した弾塑
性クリープ解析の実施
(3) 実 験 結 果 と数 値 シミュレーション結 果 の比 較
検討
(4) 実 際 のある閉 鎖 型 スプリンクラー温 度 環 境 を
図3
用いて、FEM により数値シミュレーションを実施
(2)
変位の経時変化
日本及び周辺諸国における林野火災特性の比較と
火災発生拡大予測手法に関する研究
- 35 -
消研輯報 58
Study of comparison of forest fire characteristics in Japan
and surrounding countries and prediction method of fire danger rating
研究期間:平成 16 年 4 月~平成 18 年 3 月
佐藤晃由
国の林野火災について、火災発生密度と人口密度
目的
近年、世界的に大規模な森林火災が相次いで
の関係を調べてみたところ、日本と同様に、林野
発生しており、その防止対策は地球環境上からも
火災発生密度は人口密度(図 2)に依存することが
重要な課題となっている。特に火災が多発してい
わかった。しかし、韓国のシステムでは人口密度
る日本周辺諸国は気象上及び植生などの地域性
などの要因は加味されていない。従って、気象的
が我が国と関連していることから、類似した林野火
に危険であれば、過去にほとんど火災が発生した
災発生状況が予想される。また、最近、これらの
ことの無い地域でも危険度は高く表示される。
諸国でも林野火災の発生危険度予測手法が研究
されつつある。このため、本研究では、我が国及
び周辺諸国における林野火災発生特性の多面的
分析と火災発生予測手法の比較を通じて、これま
気象指数
燃料モデル
実効湿度
Non-conifers:
着火点
Mixed:3
高度 傾斜
最高温度
地形モデル
方向
での研 究で開 発してきた林 野 火 災 発 生 危 険 度 及
DWI×0.6
び拡大予測手法の精度向上を行い、林野火災の
FMI×0.2
早期発生予測と拡大防止手法を調べることを目的
TMI×0.2
Σ
とする。
森林火災発生危険度指数 (NFFDRI)
平成 16 年度の研究成果
(1) 我が国と周辺諸国のうち、中国、韓国、ロシ
図1
韓国の林野火災危険度予測手法
アにおける火災発生特性を調べ、火災危険度予測
・韓国
Coverage area (㎡)
手法の比較等を行った。
韓国の林野火災発生件数は、約 600 件
/年、国土面積当りで 0.006 件/km2 /年であり、日
本の 0.008 件/km2 /年よりやや少ないが、近年大
規模火災が相次いでいる。このため、韓国でも林
2000
water density > 2L/m 2
1500
1000
500
0
0
野火災危険度予測手法(図 1)が研究されている。
10
20
30
40
Speed x height (km/h x km)
この方法では、実効湿度、最高温度、平均風
速などの気象要因による危険度の比重を 60% とし、
図2
韓国の火災密度と人口密度の関係
植生の影響を 20% として、針葉樹林と広葉落葉樹
林による危険度を用いている。韓国の山は岩山が
・中国
多く、日本と比べてとマツなど針葉樹とブナ類など
機関への報告義務があるのは一定規模以上の火
の差異、積雪量の違いなどがある。韓国でもほと
災のみであるが、日本、中国、米国における林野
んどの林野火災は人為的要因による。従って、韓
火災の焼失面積と発生頻度を比べると、ほぼ直線
- 36 -
中国の林野火災統計は、中央消防関係
消研輯報 58
にのる(図 3)ことがわかった。中国では各省ごとに
おり、ほとんどが人為的要因であり、衛星により早
各種の林野火災危険度予測手法が使用されてい
期に火災を検知するシステムが整備されている。
るが、ほとんど気象要因に基づく。
1E8
forest fire data in C hina: 1950-1989
forest fire data in Japan: 1989-1994
forest fire data in U S A : 1986-1995
1E7
危険度指数=A+B+C+D-E
1000000
100000
10000
A: 最高気温の影響、B: 最小湿度の影響、C: 無
1000
100
10
F
降雨日数の影響
1
0.1
D: 最大風速の影響、E: 樹木被覆率の影響
0.01
1E-3
1E-4
最近、中国でも表 1 のように、人口密度や道路密
1E-5
1E-4
1E -3
0.01
0.1
度の要因を加味する試みもされている。
図3
・ロシア
1
10
100
1000
10000
Af
中国、日本、米国の焼失面積と火発生頻度
近年のロシアの林野火災数は激増して
表1
中国の林野火災危険度指数算出方法の例
危険要素
レベル
指数
火災の危険要素
レベル
指数
植生の燃焼性
難燃
-0.12
平均気温〔℃〕
≦7.5
0
可燃
0.07
7.6~14.0
0.19
超可燃
0.21
≧14.1
-0.09
人口密度
≦0.6
0
≦1.7
0
〔/ha〕
0.7~1.3
0.31
1.8~2.6
0.12
≧1.4
0.15
≧2.7
0.24
平均降雨量
≧53.0
0
道路密度
≦1.5
0
〔mm〕
52.9~24.6
0.08
〔m/ha〕
1.6~2.5
0.15
≦24.5
0.27
≧2.6
-0.06
平均風速〔m/s〕
(2) 植生と火災発生危険度の関係及び放火の影
平成 17 年度の研究計画
響を調べ、さらに、近年の火災の緯度経度の情報
(1) 我 が国 と周 辺 諸 国 における火 災 発 生 特 性 の
を調べ、火災発生の特徴を調べた。近年の林野
比較分析を行い、林野火災発生拡大予測手法の
火災の約 2 万件について、火災発生地点の緯度・
精度向上を行う。
経度を調べ、地図上に表示(図 4)した。3 次元地
(2) 林野植生と火災発生危険度の関係及び放火
形表示との関係(図 5)では、火災は山麓の南斜面
の影響を調べ、林野火災発生拡大予測手法の精
や谷間の地域に多い。放火または放火の疑いの火
度向上を行う。
災は林野火災件数の約 1 割を占め、その分布は
(3) 林 野 火 災 における空 中 消 火 の有 効 活 用 方 策
人口密度と関係が見られた。
を調べ、火災拡大防止手法を調べる。
(3) 林 野 火 災 における空 中 消 火 の有 効 な活 用 方
策を過去の実験データ(図 6)とシミュレーション(図
7)により調べ、モデルの開発を行っている
- 37 -
Coverage area (㎡)
消研輯報 58
2000
water density > 2L/m 2
1500
1000
500
0
0
10
20
30
40
Speed x height (km/h x km)
図4
図5
1996-2001 年の火災発生地点
図6
図7
栃木県足利市付近の火災発生地点
(3)
実験における空中散水分布領域
空中散水シミュレーション結果
一般住宅における初期火災時の燃焼特性に関する研究
Fire Behavior of Ordinary Residence in an Early Stage
研究期間:平成 14 年 9 月~平成 18 年 3 月
箭内英治、関沢
愛
量、ガス濃度(CO)に関するデータはほとんどない
目的
住宅火災により毎年多くの死傷者を出している。
のが現状である。
火災による死傷者を減らす方策の 1 つは、早期に
本研究では、先ず火災統計データを用いて、着
火災感知を行い、火災が拡大する以前に安全に住
火物、着火源、着火場所などについて解析し火災
民を避難させることである。しかし、一般住宅の居
モデルを構築する。次にそのモデルにしたがって、
室などへの火災感知器の設置は余りなされていな
可燃物を燃やした際の燃焼特性である発煙量、発
いのが現状である。その理由の一つとして、安価
熱量、ガス濃度を測定し、一般住宅に適した火災
で一 般 住 宅 に適 した火 災 感 知 器 がないことが挙
感 知 器 を作 製 するために必 要 な基 礎 的 データを
げられる。
得ることである。
一般住宅に適した火災感知器を作製するには、
一般住宅の火災性状を知る必要がある。しかし、
平成 16 年度の研究成果
一般住宅の火災感知の観点からの発煙量、発熱
(1) 小規模実験での可燃物の燃焼特性の把握
- 38 -
消研輯報 58
木材と、綿の生成量の酸素濃度、温度依存性を
昨年度に引続き、流動層型燃焼炉を用いて、木
示した。
材、綿について、温度と雰囲気の酸素濃度を変化
させた際の CO 2 、CO の生成量を求めた。図 1 に
n=3
O 2 0 %
O 2 0 %
0.4
木材
0.3
n=3
0 .5
COイールド値 [g/g]
COイールド値 [g/g]
0.5
O 2 5%
0.2
O 2 10%
0.1
0 .4
綿
0 .3
0 .2
O 2 21%
0 .1
O 2 15%
O 2 21%
0.0
0
300
600
0 .0
9 00
0
1200
300
図1
600
9 00
1200
温度[℃]
温度[℃]
木材と綿の生成量の温度依存性
これを見ると、木材と綿では同様な傾向を示し
実を図り、これら火災の標準化を行った。これらの
ている。また、酸素濃度 21% では約 600℃で CO
結果は前年度と同じ結果となった。表 1 に天ぷら
の生成量がピークを示し、それ以後減少している。
火災、ふとんのくん焼火災の標準モデルを示す。
これは温度が高くなるにしたがい、CO から CO 2
(3) 実大実験
に変化していく量が増大するためである。0% では
平成 16 年 10 月 4 日~8 日にかけて、ホーチキ
温度の上昇と共に CO 生成量も増大している。こ
(株)総合防災実験棟(宮城県)において二階建て住
こで測定されたデータを既往の文献値と比較した
宅を模擬した火災実験室を用い、住宅火災の代表
ところ、両者は良く一致した。また、これらの CO
的な火災パターンとして、次の火災モデル実験を
生成量(イールド値)は、実大実験で観測された値
行った。
(文献値)とも相関があることがわかった。
(1) 天ぷら油火災
(2) 半実大規模での可燃物の燃焼特性の把握
(2) ふとんのくん焼火災
(3) ごみ箱火災
昨年に引続き、抽出した火災の典型的パターの
(4) ストーブ火災
内、天ぷら油火災の再現実験を行い、データの充
表1
発炎
直前
発炎
初期
発炎
中期
発炎
後期
天ぷら火災、ふとんのくん焼火災の標準モデル
単位面積あた
りの 発 熱速 度
[M W / m 2 ]
煙発生量
[g / g ]
CO発 生 量
[g / g ]
0 ~ 0 .3
0 .1 4 ± 0 .0 4
0
2 .4 ± 0 .3
単 位 重 さあ た
りの 発熱 量
[kJ / g ]
0 .0 4 ± 0 .0 1 0 .0 1 ~ 0 .0 2
22± 5
1 .0 ± 0 .2
0 .0 6 ± 0 .0 2 0 .0 2 ~ 0 .0 3
0 .4 ± 0 .1
0 .1 3 ± 0 .0 4 0 .0 3 ~ 0 .0 5
- 39 -
消研輯報 58
(2) 火源データの充実
詳細については、データを解析中であるが、こ
こで得られた火災室、廊下、二階の天井面温度、
今 年 度 行 えなかった可 燃 物 と火 源 の組 合 せで
CO 濃度などは、半実大規模実験で得た火災モデ
の火災初期性状データの測定、及び火源モデル
ルのデータを利用することにより、ある程度予測で
の構築。
2 次着火物までを考慮(たとえば
きることが分った。
タバコ→ゴミ
箱→障子)し、火源データの・充実を図る。
(3) 実大実験データの充実
平成 17 年度の研究計画
(1) 火 災 統 計 データの充 実 と火 災 モデルの再 検
(2)で得た火源モデルについて、実大実験による
討
データの充実を図る。
これまでは「火災データ」を整理していたが、今
(4) 最終報告書の作成
年度は「火災統計死者データ」を使って、死に至
これまでの成果をまとめる。2005 年度の下期に
る経緯を踏まえて住宅火災の火源モデルを再検討
作業共同研究
する。
(4)
有風下の火炎風下に発生する旋風の構造に関する研究
Flow Structure of Whirlwinds in the Downwind Side of Flame
研究期間:平成 15 年 4 月~平成 18 年 3 月
篠原雅彦、箭内英治
火災旋風は、その発生メカニズムはおろか発生条
目的
大火災時には旋風(下層大気中に発生する小規
件すら明らかにされていない。したがって旋風、火
模 の激しい円 柱 状 渦 巻 きの総 称)が発 生 すること
災旋風に対する防災対策を立てることは非常に困
がある。火の粉を含んだ旋風である火災旋風は、
難である。今後、大都市部を大地震が襲い大規模
火災を拡大し、大規模な人的被害を引き起こすこ
な火災が発生した際などに、火災旋風が発生すれ
とがある。火災時に発生する旋風と火災旋風は、
ば、関東大震災と同様の被害を引き起こす可能性
これまで大地震や都市爆撃による都市火災、森林
がある。
火災、石油基地火災など大規模火災時に発生した
そこでまずは、旋風、火災旋風の発生メカニズ
ことが知られている。とくに関東大震災で被服廠跡
ム、発生条件の解明を目的とした研究を行うことが
をおそった火災旋風は、約 3 万 8 千人の死者を出
急務であると考えている。
した。この時の火災旋風は単なる旋風とも火炎を
本研究で取り上げるのは、これまで火災時に発
含んだ火災旋風とも言われているが、事実は不明
生した旋風のうち最も報告の多い、有風下で火災
である。また、その発生原因の究明を目的とした
域の風下に発生する旋風である。これについては
研究も行われ、様々な仮説が立てられてきたが、
実験でも火炎風下に旋風が発生することが確認さ
真相はいまだ明らかになっていない。
れており、発生メカニズムの仮説も出されているが、
関東大震災で発生した火災旋風に限らず、旋風、
- 40 -
これらの仮説は実証されておらず、旋風の発生条
消研輯報 58
件 や旋 風 の構 造 についての系 統 的 な研 究 もなさ
熱量が、旋風と壁面渦対の発生状況と構造に与え
れていない。
る影響ならびに、旋風の周辺の気流構造に与える
本研究の目的は、有風下での火災域風下に発
影響をスモークワイヤ法、PIV 等を用いて調べる。
生する旋風の発生条件、発生メカニズムの解明の
ための前段階として、風洞実験により有風下での
火炎風下の気流の可視化、速度場の測定を行い、
火炎が受ける横風の風速、火炎の規模および発
熱量が、火炎風下に発生する旋風の発生状況と
旋風の構造に与える影響および、旋風の周辺の気
図1
流構造に与える影響を解明することである。
低速風洞
平成 16 年度の研究成果
・低速風洞の設計製作(図 1)等、実験装置の製作
を行った。
・この低速風洞を用いた予備実験の結果、メタン
ガス火炎の風下においても、これまでにメタノール
火炎風下で観察したのと同様の旋風(図 2)と壁面
渦対を観察した。つまり,旋風は火炎の風下の床面
上で発生し、上方に伸び竜巻状になって風下に流
されていき、壁面渦対は火炎の風下の床面上に床
図 2
面に水平に 2 本の円柱状の渦として現れた。
を、火炎の風下の床面上に設置したスモークワイヤ
横風中のメタンガス火炎の風下に出来る旋風
から 出 る 煙 で 可 視 化 した 写 真 。 メタン ガ ス は直 径
平成 17 年度の研究計画
3cm の多孔質バーナーから噴出させた。バーナーの
燃 料 流 量 を制 御 できる利 点 をもつガス(メタン)
上面は床面と同じ高さ。
火炎を用いて、横風の風速、火炎の規模および発
(5)
燃焼時における固体の内部構造に関する研究
A Study on the Internal Structure of Burning Solid Materials
研究期間:平成 15 年 4 月~18 年 3 月
鈴木
健、鶴田
俊
への拡大に関するものが多かった。しかし、内部
目的
可燃性固体の燃焼時には、熱分解領域は表面
への拡大が重要となるような場合もある。例えば、
に沿った方向だけでなく内部にも拡がる。これまで、
壁の中にある可燃性の断熱材の燃焼、厚いクッシ
燃焼の様子を観察する際には、表面に沿った方向
ョンのついたソファーやマットの燃焼、茅葺き屋根
- 41 -
消研輯報 58
のような厚い可燃材からなる屋根の燃焼、多孔性
らもガス化した。RDF の残さは、外見上、その形
ポリマーのブロックの燃焼などでは、燃焼は内部
状を維持していた。
へ向かって拡大していく。このような場合、着火し
平成 16 年度の研究成果
たかどうか、または、消炎したかどうかの確認が困
難となることがある。火災初期における、固体内
ポリウレタンフォームのくん焼時における内部構
部への燃焼の拡大に関することがわかれば、防災、
造、形状の変化を観察するため、非接触で観察で
消防活動にも有用であると思われる。
きる X 線 CT 装置を使用した。内部でくん焼が拡
本研究では、固体内部への燃焼の拡大について
がる様子を実時間で、かつ従来より詳細に調べる
観察し、その結果を解析し、可燃性固体の物性、
ことができた。
可燃性固体の内部の構造、可燃性固体の周囲の
平成 17 年度の研究計画
条件などと、燃焼の拡大の関係について考察する。
主な研究計画は以下の通り
平成 15 年度の研究成果
(1) 固体内部の構造を非破壊、非接触で測定可能
(1) 備長炭とキャンプ用固形燃料の燃焼する様子
な装置である X 線 CT 装置を利用する。
を X 線 CT 装置で観察した。燃焼容器として、実
(2) 試料として、発泡ポリウレタン板、プラスチック
績のある七輪を使用した。時間をおいて断層像を
ビーズを詰めた容器など、クッションや寝具を想定
撮影することにより、備長炭とキャンプ用固形燃料
したものを使用する。熱分解領域が内部へ拡大す
が表面から熱分解していき小さくなっていく様子、
る様子(燃焼の拡大する速度、内部の形状の変化、
内部の割れ目の状態が変化する様子を調べること
外部の形状の変化、内部の空隙の成長など)を観
ができた。
察し、解析する。観察が容易となるように、拡大
(2) RDF を燃焼させ、その燃焼の様子を X 線 CT
する速度が小さくなるような条件で可燃性固体を
装置で観察した。RDF は表面だけでなく、内部か
燃焼させる。
(6)
防火水槽の経年変化に関する研究
Study on the Long-term Deterioration of Fire Cisterns
研究期間:平成 14 年 4 月~平成 18 年 3 月
吉原
浩
模で、劣化がどのように進行しているかについての
目的
防火水槽は、地震等により損傷を受けた場合や、
推計手法を検討する必要がある。
移 設 の必 要 が生 じる等 の特 別 な理 由 が無 い限 り
本研究は、設置後長期間経過した鉄筋コンクリ
長期間使用され、第二次大戦以前に建設されたも
ート製の防火水槽から試料を採取し、その強度等
のも、未だに多く使用されている。全国で約 47 万
と設置環境との関係を調べることにより、全国的な
基設置されている防火水槽について、今後の設置
規 模で劣 化 がどのように進 行しているかについて
計画や補修計画を検討するためには、全国的な規
の推 計 手 法 を検 討 するための基 礎 的な資 料 を得
- 42 -
消研輯報 58
平成 14、15 年度にコンクリートコアを採取した
ることを目的とする。
防火水槽は、植樹帯や宅地内の駐車場に地下埋
平成 16 年度の研究成果
設されたものであり、設置環境との関係を検討する
現場打ち鉄筋コンクリート製防火水槽(20 基)よ
ためには、立地条件の異なる事例、特に半地下式
りコンクリートコアを採取し、圧縮強度試験及び中
の防火水槽について検討する必要がある。
性化深さ試験を行い、次の結果を得た。
(1) 圧縮強度にはばらつきがみられ、昭和 30 年代
平成 17 年度の研究計画
以前に設置された防火水槽では、現行の基準であ
(1) 平成 15 年度までに調査した防火水槽とは、構
る 24N/mm 2 を下回る場合がある(図 1)。
造、設置条件等が異なる防火水槽、特に半地下
(2) コンクリート表 面 の中 性 化 が認 められる場 合
式の防火水槽について試験用試料を採取し、圧縮
があるが、ほとんどの場合は鉄筋コンクリートの強
強度試験及び中性化深さ試験を行い、コンクリー
度に影響を及ぼさない範囲内であったが(図 2)、外
トの劣化状況を調べる。
面からの亀 裂 がある場 合は亀 裂 面に沿って 7cm
(2) 劣化状況と設置環境、設置年等との関係を検
の深さまで中性化が進行した例があった。
討する。
(3) 第二次世界大戦以前に設置されたと推定され
(3) 全 国 の主 要 都 市 について防 火 水 槽 の設 置 及
る防 火水 槽 の頂 版よりコンクリートートブロックを
び補修状況の調査を行う。
採取し(3 基)、配筋量を調べた結果、いずれも現
(4) これらの結果を基に、長期間使用された防火
行の基準より少ないことが分かった。
水槽について、今後調査すべき課題を検討する。
80.0
60.0
側版圧縮強度
(平均N/mm2)
頂版圧縮強度
(平均N/mm3)
60.0
側版中性化深さ
(平均 mm)
頂版中性化深さ
(平均 mm)
50.0
中性化深さ(mm)
圧縮強度(N/mm2)
70.0
50.0
40.0
30.0
20.0
40.0
30.0
20.0
10.0
10.0
0.0
1940
1950
1960
1970
1980
0.0
1990
0
設置年
コンクリートの圧縮強度と防火水槽の設置年の関係
40
供用期間(年)
60
80
コ ン ク リ ー トの 中 性 化 深 さ と供 用 年 数 の 関 係
図1
(7)
20
図2
屋外タンク貯蔵所のリスク解析
Risk Analysis of Aboveground Oil Storage Tanks
研究期間:平成 15 年 4 月~平成 18 年 3 月
西
晴樹
- 43 -
消研輯報 58
本研究では、屋外タンク貯蔵所の漏洩事故に関
目的
屋外タンク貯蔵所の検査については、タンクの
して、施設区分・損傷発生部位ごとの漏洩事故発
規模に応じて種々のものが消防法において定めら
生頻度及び被害の影響を分析し、個々のタンクに
れている。しかしながら、屋外貯蔵タンクは、貯蔵
固有のリスクを明らかにし、屋外タンク貯蔵所の漏
油種の違い、受入・払出の頻度、周辺の自然環
洩事故防止に効果的な保守管理に有用な知見を
境の違いなどタンク固有の環境の中に置かれ、ま
得ることを目的とする。
た、貯油が漏洩した場合の影響の大きさも一様で
平成 17 年度の研究計画
はない。
このため、消防法令で定められている現行の検
主な研究項目は次のとおり
査が、各タンクについてどの程度の安全性を確保
(1) 屋外タンク貯蔵所に発生する損傷の種類の同
しているのかは必ずし明らかではなく、また、屋外
定
タンク貯蔵所の規模によって漏洩事故の発生頻度
(2) 屋 外 タンク貯 蔵 所 に発 生 する損 傷 のリスク分
やその影響度などのリスクがどのように異なってく
析
るのかを、損傷発生部位及び当該部位に適用され
(3) 屋外タンク貯蔵所に係る漏洩事故における被
る検査手法と絡めて詳細に分析した事例は少ない。
害の影響度の評価
(8)
林野火災発生確率と無降水継続日数の関係に関する研究
Study on Relationship between Forest Fire Incidence and Non-precipitation Continuing Days
研究期間:平成 16 年 4 月~平成 17 年 3 月
寒河江幸平
る分析は、1 年を通してのものであり、限られた地
目的
実効湿度、最小湿度、風速、土壌水分等と林
域での分析である。季節によってまたは地域によっ
野火災の発生確率との関係はよく分析され、それ
て異なるものと考えられるので、全都道府県につい
らによる林 野 火 災 発 生 危 険 度 予 測 の妥 当 性 がい
て四季別に無降水継続日数と林野火災発生の関
ろいろ確かめられている。ここでは林野火災発生危
係を分析する。
険予測の一つの手法として、簡便である無降水継
続日数を取り上げ、林野火災発生危険評価の補
成果
平成 7 年から平成 12 年まで 6 年間の気象デー
助的な資料としたい。
無降水継続日数と林野火災発生の関係を分析
タ及び火災データから、北海道、沖縄県を除く各
した例は昭和 10 年代に 2,3 あるだけで、最近は
都府県について、無降水継続日数と林野火災発生
分析されていない。しかし林野火災発生危険評価
数を調べた。林野火災発生確率は次の式によった。
の指標として簡便であるので、検討しておくべきも
発生確率= (FN/FT)/(DN/DT)
ここに FN:ある無降水継続日数目に発生した林
のであると考える。
過去の無降水継続日数と林野火災発生に関す
野火災件数、FT:対象とした期間中の全林野火災
- 44 -
消研輯報 58
件 数 、 DN:ある無 降 水 継 続 日 数 の発 現 数 、 DT:
みられた。
対象とした期間の全日数である。
(2) 夏季では、春季より無降水継続日数の増加に
結果として、次のことが得られた。
対する林野火災発生確率の立ち上がりが鈍いが、
(1) 各都府県とも林野火災発生確率は、春季では
北日本および日本海側では、他の地域より、立ち
降雨後 2、3 日あたりから高くなる傾向(林野火災
上がりが早い傾向にあった。秋季及び冬季につい
発生確率 1.0 以上)がみられ、夏季では各県とも降
ても、北日本および日本海側では無降水継続日数
雨後 4,5 日くらいから高くなる傾向がみられた。
の増加に対して、林野火災発生確率の立ち上がり
秋季については夏季と似た傾向がみられ、冬季に
が他の地域より早い傾向が見られた。
ついては、積雪のない地域では春季と似た傾向が
(9)
着火・消炎と燃焼排出物生成の反応解析
Analysis on the Chemical Processes of Ignition, Extinction and Combustion Product Formation
研究期間:平成 14 年 4 月~平成 18 年 3 月
佐宗祐子、後藤田浩
響を明らかにするため、同軸流拡散火炎の周囲気
目的
ハロンの生産禁止にともない、新しいタイプの消
流中の酸素濃度を変化させたときの、種々の液体
火剤や消火技術が開発されるとともに、消火剤の
燃料の蒸発速度と総括当量比(燃料/酸素比)の
諸作用に関する知見も蓄積されつつある。高性能
変化について、検討した。
消火剤の中には、着火を促進する性質を有するも
図 1 に、メタン火炎および 3 種類の液体燃料火
のがあること、消火効果が火炎の形状に依存する
炎について、周囲気流中の酸素濃度と総括当量比
場合があること、また、消火剤が人体に有毒な燃
(GER)の関係を示す。メタン火炎の場合、メタンの
焼排出物の生成を促進する場合があることなどが
流量を一定に保ったまま周囲気流中の酸素濃度を
報告されているが、これらの現象を引き起こしてい
低下させると、火炎面に供給される酸素流量が低
るメカニズムは充分に解明されていない。消火剤
下し、総括当量比は必然的に増大する。一方、液
を安全に使用するためには、これら消火剤の諸作
体燃料火炎では、酸素濃度が低下すると燃料の蒸
用を明らかにすることが重要である。
発速度が低下し、総括当量比は減少した。この傾
本研究は、着火・消炎現象と燃焼排出物生成
向は、液体燃料の蒸発潜熱の大小にかかわらず認
過程の反応解析を行い、消火剤が可燃性混合気
められた。
の着火過程に及ぼす影響、火炎の形状と消火効
平成 17 年度の研究計画
果の関係、ならびに消火時の燃焼排出物生成の
詳細を明らかにすることを目的とする。
昨年度までに得られた知見を物理モデルに組み
込むことにより、低酸素濃度の影響を中心とした解
平成 16 年度の研究成果
析を行う。
燃焼排出物の生成挙動に及ぼす酸素濃度の影
主な研究項目は以下の通り。
- 45 -
消研輯報 58
(1) 消火剤を添加した可燃性混合気の着火シミュ
レーション
(2) 燃焼排出物生成の反応シミュレーション
(3) 消火剤を添加した同軸流火炎のシミュレーシ
ョン
(4) 消 火 剤 の着 火 促 進 効 果 の低 減 方 法 に関 する
検討
(5) 消火剤の燃焼排出物生成促進効果の低減方
法に関する検討
図1
拡散火炎における周囲酸素濃度と総括当量比
の関係
(10)
ウォーターミストノズルの消火能力の評価方法に関する研究
Evaluation Method of Fire Extinguishing Ability by Water Mist Nozzles
研究期間:平成 15 年 4 月~平成 18 年 3 月
竹元昭夫、内藤浩由、金田節夫
そこで、本研究では、これらの諸条件を明確に
目的
小 規 模 閉 空 間 ( 約 16m 2 、 高 さ 約 2.6m) で は
し、消火実験を行わずにウォーターミストノズルの
8L/min ノズル 1 個によるノズル真下及び室内に
評 価を行うための設 計指 針を得ることを目 的とす
充満したウォーターミストの消火効果、並びに中規
る。
模閉空間(約 144m2 、高さ約 15m)においては 4 個
平成 16 年度の研究成果
同時放水により火炎を包み込む方式でノズルの取
付間隔、火皿サイズ、放水量等を変えて消火実験
昨年の成果で、散水密度分布が不均一になる
を行ってきた。これらの実験と平行して実施した散
要因として、消火実験に用いたヘッダーに取り付け
水密度分布及びミストの粒子速度の測定結果から
た 4 個の放水チップのヘッダーからの飛び出し量
消火条件を把握した。
及び各 放水 チップの流量 のアンバランスによる影
これらの成果において、散水密度及び粒子速度
響の可能性を示唆した。これらに対して、15 年度
は消火条件を満たしているのに消火に要する時間
に使用したノズルの他、新たに購入した型式の異
が長くなること、同一型式のノズルであっても散水
なるノズル等による実験を行い、以下の結果を得
分布が不均一になること、あるいは小規模閉空間
た。
ではノズル取 付 位 置 を変 えた場 合 に粒 子 速 度 が
1)旧輸入ノズルヘッダー(S-No.1)に消火実験に使
変化すること等があり、単純に火炎直上を想定し
用したヘッダーNo.4(N-No.4)の 2L/min 放水チッ
た位置における粒子速度と散水密度測定からノズ
プを取り付けて、仮設天井の有る状態で放水した。
ルの消火能力を評価できないことが判った。
その結果、昨年行った消火実験に使用した
- 46 -
消研輯報 58
N-No.4 では指向特性が見られたが、本実験では
ら今年度に実施した実験結果から、旧輸入品ノズ
見られなかった。このことから消火実験に使用した
ルのヘッダーをモデルにして国内で作成した消火
ヘッダーに取り付けた放水チップの飛び出し量の
実 験 用 ヘッダーが散 水 密 度 分 布 に影 響 を与 えた
アンバランスによる影響であることが判った。
いたものと判断される。
2)旧輸入ノズルヘッダー(S-No.1)に消火実験に使
4)国内でウォーターミスト用として開発されたノズ
用したヘッダーNo.3(N-No.3)の 3.1L/min 放水チ
ルについては、当初、測定した散水密度分布はほ
ップを取り付けて、仮設天井有りで放水した結果、
ぼ同心円状であったが、見学者のデモストレーショ
写真 1(a)に示す 2L/min 放水チップでは指向特性
ンとして放水を度々、行っていたノズルの散水分布
が見られ無かったが、本実験では写真 1(b)に示す
を測定したところ、前回の測定結果と比べて分布
ように指向性が見られた。一方、同一条件で仮設
が悪かった。この原因は写真 2 に示すように、周
天井を外して放水した結果、指向特性は見られな
辺 6 箇所の放水孔のスリット部分に不均質に付着
かった。従って、旧輸入ヘッダーでも仮設天井が
し、固化した水垢が原因であった。従って、このよ
あると 3.1L/min 放水チップでは指向特性が見ら
うな構造のノズルはテスト放水後には水を拭き取
れ、放水チップの流量が大きくなると指向性が現
ることが大切である。
れることが確認された。これらの結果を表 1 に示す。
表 1
仮設天井の有無及び放水量の大小による指
向特性に発生比較
旧輸入
ヘッダー
S-No.1
放水チップ
天井の 指向特性
備考
流量
有無
の有無
(L/min)
有
有
3.1
16年度
無
無
成果
2
有
無
有
無
15年度
1.5
成果
無
無
(a) 2L/min×4 個
(b) 3.1L/min×4 個
写真 1
放水量による放水パターンの変化
3)新 たに輸 入 したスェーデン製 のノズル(2L/min
写真 2
放水孔の付着物の拡大
放水チップ 4 個)を 4 個使用して、未使用品の散水
密度分布の測定を行った。その結果、ほぼ、同心
平成 17 年度の研究計画
円状の散水分布が得られたが、そのうち 1 個は変
(1) 放水パターン内の半径方向に対する粒子速度
形した同心円状の分布であった。従って、昨年か
分布等のミストの粒子特性を把握し、消火時間の
- 47 -
消研輯報 58
遅れに対する考察を行う。
3 次元計測法により計測し、補正方法に関する検
(2) 3 次元計測法による粒子測定装置で得た空間
討を行う。
ミスト濃度は実際の値より小さいため、1 次元及び
(11)
深層地下駅舎火災の数値シミュレーションによる
煙流動に関する研究
Study on Smoke Behavior of Deep Underground Station by Numerical Simulation
研究期間:平成 15 年 4 月~平成 17 年 3 月
渡部勇市、松島早苗
目的
成果
(1) 計算方法
社会経済活動の場が大都市に集中し、土地の
高度利用の観点から既に都営大江戸線に深層地
計算コードは、有限体積法を計算手法としてい
下駅舎が建設されている。今後も、これら深層地
る汎用熱流体解析コード PHOENICS の k-εモデ
下駅舎等の地下施設が増加し、深層化ならびに大
ルを使用し、状態方程式を組み入れた簡易圧縮モ
規模化することが予想される。平成 15 年 2 月には
デルとした。中央路地下駅構内の現地調査を参考
韓国地下駅舎火災で 192 名が死亡し、煙により消
に地下形状を決定し、CFD による煙流動の数値シ
防士の救助活動も困難を極めた。多数の死亡者が
ミュレーションを行った。地下 3 階層の中央路駅構
発生した原因は、車両の延焼拡大、車両扉の閉
内の寸法は、長さ 190m、幅 17.2m、高さ 16.8m
鎖による避難障害等があるが、煙の大量発生によ
とし、駅構内の両側に延びるトンネルの寸法は、
る逃げ遅れも大きな要因として上げることができ
長さ 290m、幅 6.3m、高さ 5.3m とした。地下駅
る。
構内の地上出口、トンネル端部の外側は、自由空
このように深層地下駅舎で一旦火災が発生する
間領域とし、煙は外側に上昇するようにした。格子
と地上施設と異なり煙が充満し易く、乗客の安全
分割数は、計算領域全体で 690×34×45 とした。
な避難、消防士による救助活動が困難になる恐れ
火災初期を対象に出火から 10 分間を時間間隔 2
がある。深層地下駅舎火災に対して車両等の不燃
秒で非定常計算を行った。プラットホーム階の地
化対策だけでなく駅舎内の煙の拡散という問題が
下鉄車両は、上り電車のみで計算し、先頭車両か
ある。多くの階段を有する深層地下駅舎内の複雑
ら出火したものとした。
な煙流動の解明が重要な課題となっている。
先頭車両からの発熱源として車両の出入り口の
本研究は、地下駅舎火災の事例解析および車
上半分から発熱速度、発煙速度に相当する熱気流
両を含む地下駅舎を模擬した数値シミュレーショ
を噴出させた。先頭車両の発熱速度は、1、3、
ンにより駅舎部での自然換気および機械排煙時の
5(MW)の 3 種類とした。発煙速度は、トンネル内
煙流動を把握し、避難安全および消防防災対策上
の 乗 用 車 の 発 熱 速 度 1MW で 発 煙 速 度 が 約
の基礎資料とする。
30(1/m・m3 /s)であったので、発熱速度に比例す
- 48 -
消研輯報 58
るものとした。
3~10 分間で各階は煙で充満した。発熱速度が大
(2) 地下駅舎の煙の上階への上昇過程
きくなるにしたがい煙の上階への上昇速度が速く
自然換気時、防煙壁無しの場合の CFD による
なった。
数値シミュレーションの結果を図 1 に示す。煙は約
・階段防煙壁が在る場合
1 分で地下 3 階のホーム階の階段を上昇した。地
防煙壁高さ 0.5m、発熱速度 1MW では、煙は
下 2 階のコンコースに流れた煙は、更に階段を上
出火から約 10 分間では地下 1 階の連絡通路は煙
昇し地下 1 階の通路までほぼ 3 分で上昇した。
で充満することはなかった。しかし、防 煙壁 高さ
0.5m、発熱速度 3MW、5MW では煙は防煙壁下
部を通過し、出火から約 7 分間で階段を上昇し地
出火 0.5 分
下 1 階まで煙が充満した。
■プラットホーム機械排煙時
・階段防煙壁無しの場合
1.0 分
発熱速度 1MW では自然換気状況下に比べて
機械排煙による効果があり、出火から約 10 分間は
地下 1 階の連絡通路は煙で充満することはなかっ
た。しかし、発熱速度 3MW、5MW では煙が大
3.0 分
量に発生しているため、機械排煙による効果が十
分に発揮されず出火から約 7 分間で階段を上昇し
地下 1 階まで煙が充満した。
・階段防煙壁が在る場合
5.0 分
発熱速度 1MW、3MW、5MW では、出火から
約 10 分間は地下 1 階の連絡通路は煙で充満する
ことはなく、機械排煙時の階段防煙壁の有効性が
7.0 分
あることが分かった。
■トンネル中間換気塔排気時
・階段下降流 1.0m/s の場合
発熱速度 1MW、3MW では、出火から約 10
図 1
分間は地下 1 階の連絡通路は煙で充満することは
韓国大邱市中央路地下鉄駅構内の煙の上階
への上昇過程(発熱速度 3MW、発煙速度 90m 2 /s)
なく、階段下降流の有効性があることが分かった。
しかし、発熱速度 5MW では約 7 分間で地下 1 階
(3) 各種防排煙方法による煙の流動性状の違い
に煙は上昇してしまうことが分かった。
・階段下降流 1.7m/s の場合
自然換気時、プラットホーム機械排煙時および
トンネル中間換気塔排気における煙流動の数値シ
発熱速度 1MW、3MW、5MW では、出火から
ミュレーションを行い、階段防煙壁の有無によって
約 10 分間は地下 2 階コンコース、地下 1 階の連
次のような結果が得られた。
絡通路に煙が充満することはなく、階段下降流は
■自然換気状況下
有効であった。
・階段防煙壁無しの場合
煙は階段を通り地下 2 階、地下 1 階へと上昇し、
- 49 -
消研輯報 58
(12)
深層地下駅舎における火災時の煙制御に関する実験研究
Experimental Study on Smoke Control of Deep Underground Station Fire
研究期間:平成 16 年 4 月~平成 19 年 3 月
渡部勇市、松島早苗
天井は、種々の構造があるが、本年度は水平二
目的
大都市圏においては地下 3 階より深い地下駅舎
段天井とした。火源は地下 3 階のプラットホーム
が既に多く建設されており、今後も増加する傾向に
とし、発熱速度は、54kW(実大 3MW 相当)とした。
ある。地下駅舎が、深層化するにしたがい煙が駅
次の 3 種類の地下駅舎火災実験を行い、発熱
舎内に充満し乗客の避難、消防活動が困難になる
速度 54kW(実大 3MW 相当)における階段部での
ことが予想される。平成 15 年 2 月に発生した韓国
煙 の上 階 への阻 止 効 果 について次 のような結 果
大邱市地下駅舎火災では、地下 3 階層の駅舎内
が得られた。
に煙が充満し 192 名が死亡している。特に、近年
では放火、テロによる地下鉄火災の危険性が指摘
されており、地下鉄火災の防災対策が重要な課題
となっている。地下鉄火災の防災対策として車両
の不燃化、排煙対策、避難対策、火災時の運行
マニュアル等があるが、本研究では、乗客の避難
安全、消防活動支援上から重要である排煙対策に
ついて研究する。
火 源 規 模 が大 きくなった場 合 の深 層 地 下 駅 舎
図1
内 の有 効な排 煙 対 策 に関 する研 究 がまだ十 分に
地下 3 階駅舎の 1/5 縮尺部分模型
なされていない。本研究は、深層地下駅舎の縮尺
模型を用いて火災実験を行い、有効な煙制御方法
(1) 自 然 換 気 時 の階 段 部 防 煙 壁 による煙 の上 階
について検討し、排煙対策の基礎資料とする。ま
への阻止効果
た、CFD による数値シミュレーションを行い、既存
自然換気時では、プラットホーム階天井下の熱
熱流体コードによる予測方法の妥当性について検
気流厚みは約 0.25m(実大 1.25m 相当)であった。
証し、深層地下駅舎内における煙制御の予測方法
防煙壁の高さ 0.1m、0.2m(実大 0.5m、1.0m 相当)
について確立する。
では、煙が防煙壁下部を通り、階段を上昇し阻止
できなかった。
(2) プラットホーム階機械排煙時の階段部防煙壁
平成 16 年度の研究成果
都 営 地 下 鉄 大 江 戸 線 を参 考 に地 下 3 階 層 の
による煙の上階への阻止効果
1/5 縮尺の地下駅舎模型を製作した。駅舎模型は、
プラットホーム階機械排煙時では、天井下の熱
図 1 に示すようにプラットホーム階、コンコース階、
気流厚みは約 0.20m(実大 1.25m 相当)となり、自
階段エスカレータ部から構成され、駅舎の両端部
然換気時より少し薄くなった。機械排煙時には、
を短くした部分模型とした。階段エスカレータ部の
防煙壁の高さ 0.1m(実大 0.5m 相当)では、煙が防
- 50 -
消研輯報 58
煙壁下部を通り、階段を上昇し阻止できなかった。
熱気流性状の違い
しかし、防煙壁の高さ 0.2m(実大 1.0m 相当)では、
(2) 煙 の階 段 上 昇 阻 止 のための発 熱 速 度 と防 煙
煙が防煙壁によりせき止められ、煙の階段上昇を
壁高さの関係
阻止できた。
(3) 煙 の階 段 上 昇 阻 止 のための発 熱 速 度 と階 段
(3) コンコース階加圧給気の階段下降流による煙
下降流風速の関係
の上階への阻止効果
(4) 階段の天井形態による熱気流性状の違い
防煙壁が無い場合、階段下降流 0.6m/s(実大
(5) CFD による熱気流予測のためのプログラム作
1.3m/s 相当)以上の風速で煙の階段上昇を阻止
成
できた。高さ 0.1m(実大 0.5m 相当)の防煙壁が在
る場合、階段下降流 0.4m/s(実大 0.89m/s 相当)
次年度以降の研究計画
以上の風速で煙の階段上昇を阻止できた。防煙壁
(1) エアカーテン方式による遮煙効果の把握
が在る場合の方が弱い風速で煙の階段上昇を阻
(2) 消防隊活動拠点の確保の検討
止できた。
(3) CFD による熱気流予測方法の有効性の検討
(4) 地下駅舎火災に有効な煙制御方式の基礎資
平成 17 年度の研究計画
料作成
(1) 車両内の火源とプラットホーム上の火源による
(13)
火災リスクのモデル化と分析への統計手法の適用に関する研究
Application of a statistics technique to modeling and analysis of fire risks
研究期間:平成 16 年 4 月~平成 19 年 3 月
鈴木恵子
目的
平成 15 年度の研究成果
国や地方の消防機関において火災をはじめとし
た災 害 発 生 防 止 や被 害 低 減 を図 るための施 策 を
(1) 災害リスクの定量評価手法及び関連する統計
立案していく際、災害リスクを定量的に評価するこ
手法に関する情報収集を行った。
とが必要である。そこで、産業災害の分野で研究
(2) 火 災 統 計 データを既 存 の定 量 評 価 手 法 に適
されてきた既存のリスク評価手法を火災に適用し、
用し基礎的検討を行った。
その妥当性について検討を行い、火災に適したリ
スクの定量的評価手法を提案する。これにより、消
平成 16 年度の研究成果
防機関の施策立案と説明責任に資することを目的
(1) 統 計 手 法 の火 災 統 計 データへの適 用 に関 す
とする。
る検討(継続)
併せて、平成 17 年度からは、リスクの定量的評
(2) 統計手法を用いた地域特性を反映した火災リ
価手法を用いて、地域の特性に応じた消防力のあ
スクの評価手法の検討
り方に関する基礎的検討を行う。
- 51 -
消研輯報 58
平成 17 年度の研究計画
γ =10 0㎡
10 0
(1) 地域火災リスクの定量評価に基づく最適な消
防力の算定方法に関する検討
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
10 -1
超過確率 R(X)
(2) 大規模災害の発生予測及び評価手法及び関
連統計手法に関する情報収集
(3) 火災統計データの大規模災害の発生予測及
び評価手法への適用と基礎的検討
10 -2
10 -3
10 -4
(4) 消防力を反映し、火災に適したリスクの定量評
10 -5
価手法の提案
10 0
図
(14)
10 1
10 2
10 3
正 規化 し た損 害規 模 (焼 損床 面 積 )( X +1)
正規化リスク曲線(建物火災:1996-2002)
災害被災者との面接のための臨床心理技術の応用に関する
基礎的検討
Fundamental examination about application
of the clinical psychology for a dialog with a disaster victim
研究期間:平成 16 年 4 月~平成 19 年 3 月
基盤研究部
建築防火研究グループ
鈴木恵子
めに必要な知識と技術を抽出し、短期間に必要最
目的
災害被災者の経験を収集・記録し、後世に伝え
小限の技術を修得するための簡易プログラムを作
るとともに、被害を繰り返さないためために、同じ
成する。これにより、被災者が語ることで癒される
時代を生きる者と経験を共有しようとする取り組み
とともに、聴く側も精神的負担を軽減しつつ減災の
が阪神・淡路大震災以降始められた。しかし、心
ために必要な情報を得ることのできる「聴き語り」
に傷を負った被災者が被災経験や失った家族のこ
の実現を目的とする。
とを語るということは、語る側にも聴く側にも多大な
精神的負担が生じる。一方、臨床心理学の分野
平成 16 年度の研究成果
では、語り、聴くことで語り手の心を癒す技術、い
(1) 臨床心理学等の分野における知識やカウンセ
わゆるカウンセリングがある。
リング技術などに関する情報収集を行った
(2) 災害被災者と面接するために必要な知識と技
そこで、臨床心理学の既存の技術の中から一人
ひとりの災害被災者と向き合い被災経験を聴くた
術の抽出を行った
- 52 -
消研輯報 58
(15)
密度流を用いた竪穴空間内の煙挙動把握に関わる研究
Study on smoke behavior in a shaft by using the gravity current
研究期間:平成 16 年 4 月~平成 19 年 3 月
山田常圭、阿部伸之
平成 16 年度の研究成果
目的
階段室火災実大実験(平成 13 年度、消防研究
実験については、PIV 計測実験に使用する竪穴
所)では温 度 や煙 濃 度など貴 重なデータを得るこ
空間模型の設計を終え、外部から可視化可能な竪
とが出来たが、スプリンクラーヘッドや煙・熱感知
穴空間模型を作成している段階である。
器の性 能に基 づいた設置位 置 間隔 を検討 する際
数値計算については、非圧縮性流体の運動量
に、その検討材料となる詳細な煙流動データを取
保存式にブシネスク近似を適用し、質量保存式及
得することは実大実験では困難であった。また、
び質量分率保存式を合わせた方程式群を支配方
消防法の性能規定化に伴い、スプリンクラーや感
程式としたラージ・エディ・シミュレーションを行う
知器の設置位置と煙流動の関係を把握しておくこ
ためのプログラム設計を行い、Fortran 言語による
とは非常に重要であり、そのためにも煙流動性状
コーディングまで終了させた。
が詳細に把握できるデータが必要となる。
平成 17 年度の研究計画
そこで、取り扱いが容易な窒素とヘリウムガスの
密 度 差 を利 用 した煙 流 動 を模 擬 する密 度 流 を用
昨年度から引き続き、条件設定等の検討を行い、
い、燃焼を伴わない竪穴空間の縮尺模型を用いた
それに基づいて、竪穴空間を構成する模型を完成
実験を行うことを通して、煙流動性状の詳細な解
させ、実験に取り掛かる。また、実験条件に見合
析を行うものとする。計測手段として粒子画像計測
った計算条件において CFD による数値計算を行い、
法(PIV)を採用し、瞬時的流れ場の可視化を行う。
実験との検証を行う。
それと共に、数値流体力学(CFD)による数値計算
主な研究項目は以下の通り。
の結果検証に使える瞬時速度データ取得も行う。
(1) 窒素中へのヘリウムの混入条件等、密度流形
また数値解析として、密度流を対象とすることから
成のための検討
物性値の温度依存性を考慮しないブシネスク近似
(2) 竪穴空間模型を用いた密度流の PIV 計測実
を用いた CFD 解析を行う。
験
以上の竪穴空間内における密度流の PIV 計測
(3) CFD による計算結果と実験結果との検証
実験と CFD 解析により、密度流の流れ性状と火災
次年度を通して最終的には、竪穴空間内におけ
時の煙流動性状との関係性を見出し、実際に密度
る密度流の PIV 計測と CFD 解析により、実火災
流 を用 いた実 験 結 果 を実 火 災 へ適 用 するための
の煙 流 動性 状との関 係と適 用可 能な範 囲を検 討
技術上の知見を整理する。また、竪穴空間におけ
することを通して、竪穴空間内火災時の煙流動の
る煙流動モデルの提案も試みる。
解析結果から、煙流動モデルを提案する。
- 53 -
消研輯報 58
(16)
建物の特殊消防用設備等の性能に関する評価手法の開発と
標準化に関する研究
Study on Standardization and Evaluation Methodology for Special Fire Protection Equipments
研究期間:平成 16 年 6 月~平成 18 年 3 月
山田常圭、阿部伸之
の破壊に必要なガラス及び消防活動の装具の性
目的
既 往 の消 防 法 令 によらない建 物 の特 殊 消 防 用
能について情報を得た。
設備等の性能を客観的、定量的に評価できる手法
平成 17 年度の研究計画
を開発するとともに、当該評価手法に基づき性能
規定的な基準策定の考え方を構築する。また併せ
消防隊の建物内部進入時に、活動拠点として使
て消防活動支援に関わる消防用設備等諸対策に
用する空間の、耐火区画壁の熱的性状が消防隊
ついて、実験的に評価に必要となる基礎データの
員に及ぼす影響について実験的に明らかにする。
収集および評価手法の妥当性の検証を行う。
また、盛期火災時に煙の進入が生じないような煙
制 御 性 能 評 価 法 の妥 当 性 を実 験 的 に明 らかにす
平成 16 年度の研究成果
る。
(1) 消防 活 動 時の拠点の防火 安 全 性を性能 的に
研究項目は以下の通り
評価する上で必要となる火災モデルの構築のため、
(1) 消 防 活 動 拠 点 確 保 に必 要な火 災モデルの構
物販店舗の収納可燃物の燃焼時の発熱量、放射
築(継続)
熱、火源面積等基礎データを収集する目的で、現
(2) 消防活動のための進入口に求められる性能の
実の配置状況で燃焼実験を実施した。
明確化(継続)
(2) 消防隊が進入する際の進入口に用いられる窓
(3) 消防活動拠点確保のための区画性能(熱・煙)
ガラスの破壊試験を行い、性能的試験方法と、そ
の評価法の構築と検証
(17)
消防防災ロボットの活用を促進するための技術的研究
Technical research to forward practical use of fire fighting and rescue robots
研究期間:平成 16 年 4 月~平成 21 年 3 月
天野久徳、鈴木隆司
ることが有効と考えられている。そのためにロボッ
目的
消防活動、特に緊急対応時においては効率的に
ト技術を利用し、機械力によって効率化することが
活動を遂行するために、消防隊員の負担を軽減す
一つの方法として考えられる。さらに、消防隊員が
- 54 -
消研輯報 58
進 入 不 可 能 な環 境 下 に進 入 できると有 効 な消 火
活動、救助活動を遂行できることがある。このよう
に、消防活動を行うロボットの開発が期待されてお
り、一部では配備活用が始まってきている。しかし
ながら、消防防災ロボットが必ずしも十分に活用さ
れているとは状況に有るとはいえない。そこで、本
研究では、よりロボット活用されることを目標として、
長期的視野に立ったロボット技術研究を行う。
また、消防防災ロボットは最終的に実戦配備さ
れ、緊急時などの消防防災活動に活用されて初め
改良した人体認識センサ
てその価値が認められるものである。そこで、既に
技術研究がなされた技術に関連したロボットにつ
B. 試作器の評価改良
いて、研究他研究機関、企業と連携し、実用化に
ト
大出力型災害対策ロボッ
双腕の自由度を増やし、マスト移動の自由度に
向けた開発を行う。
加 えて人 間 の腕 と同 じ自 由 度 を実 現 ことにより操
平成 16 年度の研究成果
作性の向上を図った。油圧系の再チューニングを
(1) 1 対 1 相対位置計測の原理確認
行い、さらなる操作性の向上を実現した。遠隔操
実験によって 1 対 1 相対位置計測の原理確認を
縦の通信系に平成 16 年度 7 月より運用が認めら
行い、画像認識に対してレーザー測距器を用いる
れた 5GHz 帯を試験的に採用し、有効性の検証を
と 10 倍以上の精度を得ることができることが実験
進めた。また、操作性の向上を図るために製作し
的に確認された。
たマスタースレーブシステムの改良を進めた。
(2) 実用化に向けた開発
A. 完成度の向上
(a) 原子力施設対策ロボット
小型ロボットが協調連携し、要救助者を牽引す
るシステムについてアルゴリズムの改良、機器の改
良を行い、動作の確実性の向上を図った。
(b) 震災対策ロボット
六面体移動機構の実験的検討を進め、天盤面
の移動機構の有効性が認められないため、天盤面
5GHz 帯無線操縦実験
を省略した移動機構を試作した。また、各面に取
り付けられているクローラ機構の改良を行った。
表面硬さを利用した人体認識センサを小型化し、
平成 17 年度の研究計画
より少ないセンサで人体を認識できるアルゴリズム
(1) 小型移動ロボットへ積載可能な 1 対 1 相対位
を構築した。
置計測装置の製作
(2) マニピュレータを用いた小型ロボットの連携機
電 波 を利 用 したガレキしたロボット位 置 認 識シ
ステムについては、信号処理法を再構築し、精度
能研究
の向上を図るとともに、電波以外の要素技術の検
(3) 実用化に向けた開発
A. 実戦配備を目的として開発:テロ対策ロボッ
討も進めた。
- 55 -
消研輯報 58
ト
(1) 1 対複相対認識法の検討および郡全体の同定
B. 完成度の向上:震災対策ロボット
法の検討
C. 製品型への改良:大出力型災害対策ロボット
(2) 群ロボットシステムの試作
(3) 実用化に向けた開発
次年度以降の研究計画
(18)
室内環境データの収集と火災感知のための統計分析に関する研究
Gathering and Statistical Analysis of Environmental Data in Rooms for Fire Detection
研究期間:平成 15 年 4 月~平成 18 年 3 月
河関大祐
(3) 段階回帰分析、分散分析、判別分析等の各
目的
火災発生時に室内環境で影響を受ける、温度、
種統計分析
湿度、煙濃度、二酸化炭素濃度、一酸化炭素濃
計測、収集したデータの統計処理を行った。
(4) 統計分析に基づく異常判定手法への適用
度、炭化水素濃度データを継続的に計測し長期デ
ータを得る。更に収集したデータを用いて段階回
発炎火災実験データを用いて異常値判定手法
帰分析、分散分析、判別分析等の各種統計分析
の検討を行った。
を行い火災感知応用に資する知見を得る。また、
既 往 研 究 である「 統 計 分 析 に基づく異 常 判 定 手
法」の精度向上および適用限界等の検証を行う。
主な研究項目は次のとおり。
(a)
(1) データ計測、収集、データベース作成
(2) 段階回帰分析、分散分析、判別分析等の各
種統計分析
(3) 統計分析に基づく異常判定手法への適用
(b)
平成 16 年度の研究成果
(1) データ計測、収集ならびにデータベース化
温度、湿度、煙濃度、二酸化炭素濃度、一酸
(c)
化炭素濃度、炭化水素濃度データの計測、収集
図1
ならびにデータベース化を行った。室温変化の例
を図 1(a),(b)に示す。
室温の変化
(a)日変化、(b)週変化、(c)月変化を示す。
(2) 実験室における初期火災および非火災実験
平日の昼間暖房により室温が 30℃程度に上昇。
ミニクリブによる発炎火災実験を実施した。(図 2
参照)
- 56 -
消研輯報 58
平成 17 年度の研究計画
温度、湿度、煙濃度、二酸化炭素濃度、一酸
化炭素濃度、炭化水素濃度センサーのキャリブレ
ーション等データ収集装置の保守を行う。データ
収集装置による平常時の環境データならびに初期
火災 実 験データおよび非 火災 状 況実 験データを
収集しデータベース化する。さらに、収集したデー
タに対 して各 種 の統 計 分 析 を行 い異 常 判 定 に有
効な手法の検討を行う。
主な研究項目は次のとおり。
(1) データ計測、収集ならびにデータベース化
(2) 実験室における初期火災および非火災実験
(3) 段階回帰分析、分散分析、判別分析等の各
図2
種統計分析
ミニクリブによる発炎火災実験
(4) 統計分析に基づく異常判定手法への適用
壁面ラック上の機器がデータ収録装置
(5) とりまとめ
(19)
災害現場における効率的な通信システムの構築に関する研究
Construction of Efficient Communication Systems in a Disaster-Stricken Distric
研究期間:平成 15 年 4 月~平成 18 年 3 月
高梨健一
た場合に、その拠点周辺での通信が確保できなく
目的
通常時において、各消防本部の通信が混信する
なるおそれがある。
事を防ぐことを目的として、近隣の消防本部は互い
この問題点を解消するために、災害現場に多数
に異なる周波数が割り当てられている。そのため、
の可搬式無線 LAN 中継装置を投入し、通信ネッ
阪神淡路大震災の際には多数の消防本部から送
トワークを構 築 する事 が一 つの手 法 として考 えら
り込まれた応援部隊等の通信が共通波に集中し、
れる。
輻 輳 により情 報 伝 達 が効 率 的 に行 われず活 動 に
本研究では、このような動的に配置される無線
LAN 中継装置を用いてアドホックにネットワークを
支障をきたしたといわれている。
消防研究所では、この問題点を解決するために、
構成するための手法を検討する。特に、中継装置
輻輳に強く使い勝手の良い通信システム
間の経路を確立するためのルーチングプロトコル
(FiReCOS)の開発をおこなった。当該システムでは、
の設計、既存端末・ネットワークを収容するため
通信を拠点間通信と拠点周辺での通信に分け、そ
の方式、中継装置間の相互干渉による通信品質劣
れぞれ無線 LAN 装置を利用して TCP/IP 網を形
化を防ぐための制御方式などについて検討する。
成しているが、この方式では、通信拠点が壊滅し
さらにこの検討の成果を車載型 FiReCOS への適
- 57 -
消研輯報 58
用することを考え、FiReCOS をより柔軟なシステム
平成 17 年度の研究計画
とすることを目指す。
(1) 計算機上でのシミュレーションシステムの作成
平成 16 年度の研究から継続して設計したプロト
平成 16 年度の研究成果
(1) 計算機上でのシミュレーションシステムの作成
コルをフリーのネットワークシミュレーションソフト
ns-2 に実装されているリンクステート型プロトコ
ウェアである ns-2 上に実装し、大規模なネットワ
ル(rtProtoLS)の解析を行った。
ークでの解析を行う。
(2) 試作中継装置による通信効率等の検証
(2) 試作中継装置による通信効率等の検証
試作した中継装置を用いてアルゴリズムの動作
試作中継装置の台数を増やす事により、実際の
検証、スループット計測および通信の確立に要す
通信効率に与える台数の影響について検証を行う。
る時間等について検証を行った。
(20)
長周期地震動特性から見た地震地体構造区分
Seismotectonics from the View Point of Characteristics of Long-Period Strong Ground Motions
研究期間:平成 14 年 4 月~平成 18 年 3 月
座間信作、細川直史
サイトでの地震動と異なることが懸念された。そこ
目的
石油タンクのスロッシング等に影響を及ぼす長
で、港湾空港技術研究所、防災科学技術研究所
周期地震動の予測精度の向上を図ることを目的と
の観測データの収集・解析、および半経験的手
して、地震記録から得られる長周期地震動の地域
法、理論的ないしは数値的手法に基づく予測結果
特性のばらつきを最小とする地震発生区域(地震
を用いて、見直し・追加を行ない、長周期地震動
地体構造区分)を、分類手法を援用することによっ
のレベルの設定の観点から石油コンビナート地区
て求め、更にその結果をリアルタイム・スロッシン
等を以下のように再分類した。
グ予測システムに反映させる。
・地域 1:予測スペクトルが広い周期帯域、特に約
7 秒以上の長周期側で 100 ㎝/s を越える。
平成 16 年度の研究成果
苫小牧、秋田、酒田、新潟、東京、横浜、大阪、
2003 年 9 月 26 日に発生した十勝沖地震による
名古屋、清水、四日市、尼崎、上磯
石油タンクのスロッシング被害への対応として、今
・地域 2:予測スペクトルが周期約 7 秒未満で 100
後発生するであろう地震によるやや地震動に関す
㎝/s を越える。
る見直しを行い、その結果に基づき空間余裕高さ
青森、仙台、富山、金沢、浜松、津、高知、熊
を定める液面揺動の水平設計震度の検討を行い、
本、大分、鹿児島、八戸、鹿島、小名浜、志布
技術基準改訂に反映させた。
志
(1) 昨 年 度 提 案した水 平設 計 震 度は気 象 官 署で
・地域 3:予測スペクトルが 100 ㎝/s に満たない。
の地震記録に基づいたものであることから、タンク
釧路、室蘭、大船渡、石巻、高田、福井、鳥取、
- 58 -
消研輯報 58
米子、岡山、徳島、福岡、延岡、名瀬、蒲郡、
和歌山、松山等
(2) 特に長周期地震動のタンクに与える影響の大
きいとされた上記地域 1 について、現行の水平設
計 震 度 に対 する補 正 係 数 (乗 算 )を類 型 化 し、 図
1(a)-(c)のように提案した。
平成 17 年度の研究計画
(1) 気象官署の 1 倍強震計記録等の収集・数値
図 1(a)
地域 1-1(苫小牧、酒田、新潟)の補正係数
化
(2) 各地点での長周期地震動特性のばらつきと震
源位置との関係に関する検討
(3) 気 象 官 署 とタンクサイトのやや長 周 期 地 震 動
特性の違いの定量化
(4) 分類手法に基づく長周期地震動特性のばらつ
きを最小にする地震地体構造区分の提案
(5) 気象庁 1 倍強震計記録数値化データの整理と
図 1(b)
公開
地域 1-2(東京、横浜)の補正係数
次年度以降の研究計画
上記 3.に掲げる項目のほか、以下の項目につい
て研究を行う。
(1)新しい地震地体構造区分に基づくリアルタイ
ム・スロッシング予測システムの構築
(2)新しい地震地体構造区分に基づく長周期地
震動予測図の作成
図 1(c)
地域 1-3(秋田、大阪、名古屋、清水、四
日市、尼崎、上磯)の補正係数
(21)
地すべり移動土塊の歪みに関する研究
Study of strain in landslide mass
研究期間:平成 15 年 4 月~平成 18 年 3 月
新井場公徳
- 59 -
消研輯報 58
れる現象が見られ、この補正方法について検討中。
目的
(2) 伸縮計等他の観測結果との比較による結果の
間欠的に活動する地すべり地は、山間地にあっ
て平坦地を形成することや、水が豊富なことから、
検証:未着手
我が国においては伝統的に高度に利用されてきた。
そのような場所においては、通常時は土地利用を
平成 17 年度の研究計画
行い、活動が発生すると考えられる場合に避難を
観測結果に基づく地すべり移動機構の検討
行うような防災対策が重要である。そのためには、
誘因分析によって外的条件を基準とする(例えば、
基準降雨量の設定)事が多いが、正確な基準設定
のためには、地すべりの移動機構が明らかである
必要がある。本研究では、移動前後及び移動中
の歪 み分 布 を計 測 してその他 の計 測 項 目 との関
連を検討し、地すべりの移動機構解明に資するこ
とを目的とする。
具体的には、地すべり地において、精密測量を
繰り返し行い、活動時に地表面に現れる歪みを観
測する。ボーリング孔を用いてすべり面の相対変
位、土圧、水圧等を高密度に計測する。地下の
物理量と地表の歪みの関係について検討を行い、
観測機器の配置
歪みの現れる機構について検討を行う。これら観
測は、台風や梅雨前線の活発化など強い降雨が
見こまれるときに機動
的、集中的に実施する。
平成 16 年度の研究成
果
(1) 本 格 的 な測 量 観 測
の実施と気象 観測デー
タに よ る 精 度 向 上 手 法
の検討
台 風 に伴 う強 い降 雨
が 3 回あったが、停電
等 による機 器 の動 作 不
良のため、1 回のみ計測
が出来た。
計測器の設置場所の
微小回転に伴うと見ら
図2
夏季の観測結果
- 60 -
図3
9 月 29 日の台風襲来時のデータ
消研輯報 58
(22)
長周期地震動の理論的評価に関する研究
Study on Theoretical Evaluation of Long-Period Strong Ground Motions
研究期間:平成 16 年 4 月~平成 19 年 3 月
畑山 健
かしながら、地震動による被害予測のために行われ
目的
2003 年十勝沖地震(M8.0)では、北海道内各地の
ている地震動シミュレーションにおいては、海は考慮
数多くの大型石油タンクが被災し、火災や浮き屋根
されていないのが現状である。この背景には、災害
が沈没するなどの甚大な被害は苫小牧市に集中し
を起こし得る周期範囲の地震動に海がどの程度影響
た。これらの被害のほとんどは、周期数秒から十数
を及ぼすか明らかになっていないという事情がある。
秒の長周期地震動によって励起された石油タンクの
そこで本研究では、数値実験により海の影響を評価
液面揺動(スロッシング)を発端とするものであった。
し、地震動シミュレーションにおける海考慮の必要性
今回経験した石油タンクの被害を未然に防止したり
について結論することを目指す。
軽減したりするためには、その原因となる長周期地
平成 16 年度の研究成果
震動の高精度評価が欠かせないとの立場から、地震
2003 年十勝沖地震の際に勇払平野、石狩平野に
波動伝播シミュレーションに代表される理論的評価
に関する研究を行う。
おいて観測された長周期地震動の数値シミュレーシ
長周期地震動は平野・盆地部で特徴的に観測さ
ョン再現実験の準備として、平野内外の多数の強震
れるものであるが、それは平野・盆地の厚い堆積層
観測点で得られている地震波形記録の解析を行い、
の影響を強く受けたものだからである。1995 年兵庫
長周期地震動の波動伝播の実態や長周期地震動の
県南部地震を契機として整備された全国規模かつ
強度分布の特徴などを分析した。図 1 は、周期 7 秒
稠密な強震観測網のおかげで、今回の地震では、
程度の長周期地震動の主要動部分について、地震
苫小牧市が位置する勇払平野や石狩平野でも多く
波伝播の向きと速さを解析した結果である。この解
の地点で長周期地震動が記録された。これほど密に
析から、苫小牧(HKD129)に対しては、震源とは異
大振幅の長周期地震動が観測されたのは、我が国
なる方向である北東から接近する地震波群があった
では初めてと言える。本研究では、勇払平野と石狩
ことがわかった。今後の地震波動伝播シミュレーショ
平野で観測された長周期地震動の波形や空間分布
ンにおいては、この地震波が勇払平野の地下構造か
を、地震波動伝播シミュレーション等で再現すること
ら説明可能であるか、また苫小牧で観測された大き
を試みる。これにより、勇払平野、石狩平野におけ
な長周期地震動に対してどのように関係するのかに
る長周期地震動の励起・伝播特性がより明らかにな
ついても考察していきたい。
るとともに、長周期地震動の予測を高精度化するた
また、同じく数値シミュレーション再現実験の準備
めの方策を探ることができる。
として、苫小牧を中心とする勇払平野において、地
大きな長周期地震動は、プレート境界地震に代表
震基盤深さまでの地震波速度構造の探査を目標とし
される海溝型地震等規模の大きな地震の際に発生
た常時微動アレイ観測とそのデータ解析を実施した。
するものである。その場合、震源から放射された地
図 2 は探査実施地点である。目標達成には、常時
震波は海の部分を伝播するので、海が陸地で観測さ
微動に極めて微弱に含まれる長周期成分を精度良く
れる地震動に影響を及ぼす可能性も考えられる。し
測定する必要があり、観測においてはそのための特
- 61 -
消研輯報 58
段の工夫が必要である。これらの工夫が奏功し、数
値シミュレーション再現実験にとって待望の地下構
造情報を取得することができた。
平成 17 年度の研究計画
(1) 3 次元地震波動場計算用の差分法コードの作成
[継続]
。
(2) 2003 年十勝沖地震の際に勇払平野・石狩平野で
観測された長周期地震動の数値地震波動伝播シミ
ュレーションによる再現実験[継続]。
(3) 海を考慮した 3 次元地震波動場計算に対する差
分法の適用可能性・精度の検討[継続]。
次年度以降の計画
(1) 2003 年十勝沖地震の際に勇払平野・石狩平野で
図 1
観測された長周期地震動の数値地震波動伝播シミ
で観測された周期 7 秒程度の地震動東西成分主要動
ュレーションによる再現実験[継続]。
部分に対して求めた見かけスロウネスベクトル。
2003 年十勝沖地震の際に石狩平野・勇払平野
(2) 長周期地震動予測における経験的手法と理論
的手法の組み合わせについての検討。
(3) 3 次元地震波動場における海の影響評価。
図 2
常時微動アレイ観測による地下構造探査実施地
点。
(23)
国民保護法等に係わる避難・避難施設に関する研究
Research on Evacuation Procedure and Shelters for Civil Protection
研究期間:平成 16 年 10 月~平成 18 年 3 月
久保田勝明、神 忠久、鈴木和男、
関沢 愛、山田常圭、日暮一正
がある。この際、指定するための詳細な基準が定め
目的
平成1 6 年9 月における国民保護法の施行に伴
られていないため、都道府県独自で避難施設を指定
い、各都道府県知事が避難施設の指定を行う必要
することが難しい状況である。そこで、本研究では国
- 62 -
消研輯報 58
内外の避難施設の配置及び機能等についての実態
高い気密性を確保することが可能となること。
調査研究や、攻撃別の被害想定などを行い、避難施
・避難施設を指定する際には、避難生活を行う上で
設指定方法の詳細な基準を示すことを目的とする。
必要な機能等(浴室、シャワー室、身障者用トイレ
等の設備の状況など)についても配慮し、できるだ
平成 16 年度の研究成果
け機能性の高い施設の指定を考慮する必要がある
当調査研究においては、地域防災計画における防
と考えられること。
災のための避難所・避難場所に係る実態調査、化
・避難施設のさまざまな機能(設備など)は、一つ
学剤による攻撃を受けた場合における避難施設に係
の施設ですべて保有するというものではなく、周辺の
る収容能力、避難施設の機能等に関する検討、避難
避難施設相互に連携を図り、機能を補完することも
施設に係るデータ把握の必要性についてそれぞれ
有効な手段であると考えられること。
検討した。この検討を踏まえて、今後の都道府県に
(3)避難施設に係る情報について
おける避難施設の指定に際しての提言を次のとおり
・都道府県の区域を越えるような避難に対応するた
取りまとめた。
め、また、円滑な避難や効果的な救援を実施するた
(1)避難施設に係る収容能力について
め、全国的に避難施設の情報の共有化を平素から行
・ある程度大規模な避難を必要とする事態において
う必要があると考えられること。
も、既存の防災のための避難所を有効に活用するこ
(4)今後の課題
とにより、ある程度の対応が可能であると考えられる
・今後、都道府県において避難施設が指定されてい
こと。
くこととなるが、各都道府県においてその水準にばら
・気象条件や攻撃の規模などによっては、現状の防
つきが生じないよう、データベースなどによりその情
災のための避難所だけでは対応できないことも考え
報の把握に努め、その共有化を継続的に行っていく
られる場合もあり得ることから、日頃から都道府県の
ことが必要であること。また、このような情報を活用
区域全体を見ながら、防災においては通常行われな
し、円滑な避難を支援するシステムの研究・開発も
い市町村の区域を越えた避難も念頭に、できるだけ
今後の課題であると考えられること。
多くの避難施設の確保を行うことが必要であると考
・本研究においては、化学剤が用いられた攻撃につ
えられること。
いてケーススタディを行い、避難施設のあり方につい
・これまで防災のための避難所として指定されてい
て検討を行ったものであるが、核攻撃などにおける
ない大規模施設等の新たな施設を国民保護のため
避難施設のあり方についても、引き続き検討を行っ
の避難施設として指定するなどして、地域全般にお
ていく必要があること。
ける避難施設の収容能力を高めておく必要があると
考えられること。例えば、従来から防災のための避
平成 17 年度の研究計画
難所として多く指定されている小・中学校だけでは
(1)諸外国の避難施設(公共地下シェルター等)の
なく、高校、大学などを指定することも一つの方法で
実態調査
あること。
諸外国における避難施設の実態等を把握するた
(2)避難施設に係る機能について
めに、予め文献等による調査を行うとともに、その実
・今日の建築物はある程度の気密性が確保されてお
態等について現地調査を実施する。
り、化学剤などの攻撃がなされた場合に一時的に屋
ア 調査予定国について
内に避難することは、被害の軽減に効果があるとい
欧州
えること。さらに、室内での暖房器具などの使用を控
アジア →
え、目張り等の措置を講ずれば、学校、公民館等の
→
スウェーデン、スイス、ドイツ
韓国、シンガポール
イ 調査項目について
避難施設のみならず、一般的住宅においても、より
次の事項について、調査する。
- 63 -
消研輯報 58
① 避難施設に係る各国の制度
②
な機能の整理
避難施設の現状(種類、施設数、充足率
な
イ 機能付加の手法の検討
ど)
・既存施設の活用する場合
③ 避難施設の機能、技術基準
→
④ 避難施設の平時の活用方法、維持管理
問題点の抽出(例えば、地下空間の安全性
等)
⑤ 避難施設の利用に関する国民への啓発の現状
→ 機能付加のための合理的な手法
⑥ その他、今後の動き等
・施設を新設する場合
(2)わが国における武力攻撃災害に対応する機能を
→ 計画や設計の考え方の整理
有する避難施設のあり方の検討
ウ 種々の機能を持った避難施設の確保、促進のた
ア
めの考え方の整理
武力攻撃災害の種類に応じた避難施設に必要
(24)
炭化水素液体中を水沈降する際の静電気帯電量と
放電危険性の評価
Evaluation of Electrostatic Risks by Sedimentation of Water Droplet through Hydrocarbon Liquids
研究期間:平成 16 年 10 月~平成 19 年 3 月
松原美之
2) 小型容器(10 リットル程度)での油種と沈降帯電量
目的
平成 15 年に発生した苫小牧出光製油所のナフサ
の比較測定
タンク火災は、放出された泡の還元水が油中を沈降
3) 中型(200 リットル規模)容器での沈降帯電測定
する際に発生した静電気による放電であるという可
4) 油面上に供給された泡消火薬剤が油表面電気抵
能性が否定できないことから、絶縁性の炭化水素液
抗に与える影響測定
体中を水分が沈降する際の帯電量と放電危険性に
ついて定量的な評価を可能とすること。
次年度以降の研究計画
平成 18 年度
1) 中型(200 リットル規模)容器での沈降帯電測定(継
平成 17 年度の研究計画
主な研究項目は、以下のとおり。
続)
1) 沈降帯電の測定手法の開発(継続)
2) 実大規模での沈降帯電量予測モデルの構築
- 64 -
消研輯報 58
Ⅱ
研 究 発 表 等
1
所外研究発表状況
(1)口頭発表
題
1
名
SPACE-TIME CORRELATION
発
表
者
名
T. Tsuruda
発
表
会
名
30th Interna-
FUNCTION FOR THE PIXEL
tional Sympo-
BRIGHTNESS FLUCTUATION OF
sium on Com-
A BUOYANCY DRIVEN DIFFU-
bustion
発表年月
16.4
SION FLAME
2
3
4
Cause investigation of explosive
Y. Iwata
11th Interna-
accident hydroxylamine and risk
M. Wakakura (KITRI) 他 1
tional Sympo-
evaluation of its water solution
名
sium、Loss
H. Koseki
Prevention and
Experimental study on thermal risk
Y. Iwata、L. Gao
Safety Promo-
evaluation of meat bone meal
H. Koseki
tion in the
Interpretation of Decomposition
X. Li
Process Indus-
Mechanisms of Unstable Substances
H. Koseki
tries
鈴木康弘
2004 年度火薬学
(日本カーリット) 他 1 名
会春季大会
16.5
near the SADT by an Isothermal
Method
5
6
7
ごみ固化燃料(RDF)の熱的特性
傳
智敏、古積
地方自治体の災害対策本部のための
胡
哲新
2004 年度地域安
地 震 災 害 応 急 対 応 支 援 システムの開
遠藤
真
全学会一般論文
発
座間信作
発表会
中規模都市における高度医療施設新
久保田勝明
第 7 回日本臨床
設時の市街搬送率低減と救急業務改
金田節夫
救急医学会総会
16.5
博
16.5
16.5
善効果
8
2003 年 十 勝 沖 地 震 による石 油 タンク
座間信作、山田
被害について
西
畑山
實
地球惑星科学関
晴樹、廣川幹浩
連学会 2004 年合
健
柳沢大樹 (KHK)
井上涼介 (茨城大)
9
2003 年十勝沖地震の際の勇払平野に
畑山
おける長周期地震動の特徴
座間信作
健
- 65 -
同大会
16.5
消研輯報 58
題
10
11
名
発
表
者
平成 15 年度(2003 年)十勝沖地震
廣川幹浩、山田
における石油タンク被害
西
名
實
晴樹、座間信作
能性に関する研究(その2 )- 人員輸
海老原学 (東大大学院)
火災学会研究発
送 効 率 から 見 たエレベータ利 用 避 難
中 濱 慎 司 (大 成 建 設 )他 一
表会
の検討
名
平成 16 年度日本
建 物 種 類 別 にみた高 齢 化 と住 宅 火 災
野竹宏彰 (清水建設)
発 生 傾 向 の分 析 - 住 宅 火 災 による死
関沢
愛
者 発 生 およ び建 物 損 害 リスクの 軽 減
万本
敦 (ホーチキ)
対策に関する研究- その1 -
小 林 将 之 (東 大 大 学 院 )他
高層ビルにおけるエレベータ避難の可
中 濱 慎 司 (大 成 建 設 )他 一
能性に関する研究(その 1)- エレベ
名
ータ避難モデルの開発
関沢
愛
住 宅 における初 期 火 災 の典 型 パター
関沢
愛 (東大)
ンとその再現(その1 ) - 火災統計
万本
敦 (ホーチキ) 他 2 名
データの分 析 による典 型 的 初 期 火 災
箭内英治
パターンの抽出-
本田一賀 (東京ガス) 他 1 名
林野火災の発生危険度と拡大予測シ
佐藤晃由
火災
拡大影響要素の分析と火災拡大防止
-
開口 部 噴 出 火炎 形 状の予測モデルと
山田常圭
ケースス タ デ ィー 中 高 層 建 物 の 噴 出
栗岡
火 炎 性 状 に関 する実 験 的 研 究
箭内英治、鈴木
その
21
17
均 (鹿島技研)他 1 名
健
阿部伸之、飯田明彦
関沢
愛、篠原雅彦
住 宅 火 災 における火 災 特 性 と人 命 危
万本
敦 (ホーチキ)
険 性 との関 連 性 - 住 宅 火 災 による死
関沢
愛
者 発 生 およ び建 物 損 害 リスクの 軽 減
野竹宏彰 (清水建設)
対策に関する研究- その 3-
小 林 将 之 (東 大 大 学 院 )他
一名
- 66 -
発表年月
16.5
春季講演会
愛
ステムに関する研究- その 10
16
平成 16 年度 HPI
関沢
野竹宏彰 (清水建設)
15
名
高層ビルにおけるエレベータ避難の可
海老原学 (東大大学院)
14
会
健
一名
13
表
畑山
野竹宏彰 (清水建設)
12
発
16.5
消研輯報 58
題
18
名
発
表
者
名
の研究
箭内英治
火災学会研究発
関沢
表会
- 流動層型燃焼炉を使用し
愛 (東大)
2 流体ノズルを用いた PAG 消火システ
加村亮子 (三菱重)他 2 名
ムの性能向上
鶴田
コンピュータ機 器 の燃 焼 性 状
事務
俊、尾川義雄
掛川秀史 (清水建設)
所の避難安全設計火源に関する研究
佐藤博臣 (鹿島建設)他 1 名
- その 9-
池畠由華 (大成建設)
笠原
勲 (音・環境研究所)
鶴田
俊、尾川義雄
石田博志 (ホーチキ)
22
23
24
サーマルマネキンの研 究 所 間 試 験 に
箭内英治
ついて
鈴木
健
サー マ ル マ ネ キ ン を 用 い た 主 要 都 市
畑野
崇、箭内英治
防火衣の耐炎性評価
篠原雅彦
ナトリウム燃焼残渣の安定化研究の成
鶴田
果と課題
廖
わが国における最近の大規 模林 野 火
寒河江幸平
俊
赤虹
災の特徴
25
26
27
煙 量 を減 少 させる添 加 剤 を含 む可 燃
岩田雄策
性液体の燃焼から発生する煙粒子
古積
加圧排 煙時 の消防活 動 拠点における
阿部伸之
扉の流量係数及び開放力に関する実
川村成彦 (フジタ) 他 1 名
験研究
山田常圭
火災報知のための臭気拡散実験
河関大祐
博
田村裕之 (東消消科研)
田島幸信 (ピクセン)
28
名
平成 16 年度日本
稲村勝正 (能美防災)他 1 名
21
会
江幡弘道 (ホーチキ) 他 2 名
山本和成 (東京ガス)
20
表
材料からの CO 発生量を把握するため
た CO 発生量の把握-
19
発
開架式書架の燃焼性状
事務所の避
難安 全 設計 火源に関する研究
の 10-
-そ
池畠由華 (大成建設)
掛川秀史 (清水建設)
佐藤博臣 (鹿島建設)他 1 名
笠原
勲 (音・環境研究所)
鶴田
俊、尾川義雄
稲村勝正 (能美防災)他 1 名
石田博志 (ホーチキ)
- 67 -
発表年月
16.5
消研輯報 58
題
29
名
発
表
者
紙のシュレッダーダストおよび RDF の
尾川義雄、鶴田
消火実験
金西
名
俊
猛 (横 浜 市 消 防 局 )
住 宅 における初 期 火 災 の典 型 パター
中島悟史 (ホーチキ) 他 3 名
ンとその再現(その 2)
箭内英治
- 抽出され
関沢
たパターンの再現実験-
愛 (東大)
本田一賀 (東京ガス) 他 1 名
31
住 宅 火 災 における死 者 発 生 の特 徴 と
小林将之
類 型 分 析- 住 宅 火 災による死 者 発 生
海老原学 (東大院)
および建物損害リスクの軽減対策に関
関沢
愛
する研究- その2 -
万本
敦 (ホーチキ)
野竹宏彰 (清水建設)
32
消 火実 験に用 いたウォーターミストの
竹元昭夫
ノズル特 性 - その 3
金田節夫
天 井 の有 無 が
放水パターンと散水密度分布に与える
影響-
33
水/空気 2 流体混合噴霧消火システム
杉山
の開発
他2名
- 消火戦術実験結果-
鶴田
34
章 (横 浜 市 消 防 局 )
俊、尾川義雄
水幕を有するトンネル火災実験の赤外
尾川義雄、鶴田
線映像による観測
鈴木
俊
健
天野玲子 (鹿島建設)他 4 名
35
水 幕 式 火 災 防 災 システムの開 発
-
水幕の火災区画化特性の把握-
天野玲子 (鹿島建設)他 1 名
栗岡
均 (鹿島技研)他 2 名
鶴田
俊、鈴木
健
尾川義雄
36
石油タンクの火災調査の概要について
西
37
地 下 施 設 火 災 における地 上 階 から階
松島早苗
段内への流入空気量に関 する実験研
渡部勇市
晴樹、山田
實
究- 地下 2 階と地下 3 階の場合-
38
地下鉄 火災における自然換 気時の駅
渡部勇市
構内の煙流動シミュレーション- 韓国
松島早苗
大邱市の地下鉄中央路駅の場合-
39
地下鉄車両に使用する各種 部材の燃
木田清晴 (東消消科研)
焼 性 状 に関する研 究
その1 - 座 席
那波英文
連結部幌、天井内部の断熱材のコー
山田常圭
ンカロリ燃焼性試験
箭内英治
- 68 -
表
会
名
平成 16 年度日本
火災学会研究発
表会
他2名
30
発
発表年月
16.5
消研輯報 58
題
40
発
表
者
名
那波英文
火災学会研究発
井材及び床材のコーンカロリメータに
山田常圭
表会
よる燃焼性試験
木田清春 (東消消科研)
地下埋設の RC 製防火水槽の長期劣
吉原
浩
窒 素 富 化 空 気 による消 火 実 験
-そ
木材クリブ火災とヘプタン火災
佐宗祐子、廖
赤虹
尾川義雄、鶴田
俊
村井直行 (モリタ) 他 3 名
大 坂 邦 夫 (神 鋼 エアーテッ
ク) 他 1 名
加藤
卓 (コベルコ科研) 他
2名
窒素富化空気による消火実験- その 1
尾川義雄、廖
実験設備概要と酸素濃度保持実験-
佐宗祐子、鶴田
赤虹
俊
村井直行 (モリタ) 他 3 名
大 坂 邦 夫 (神 鋼 エアーテッ
ク) 他 1 名
加藤
卓 (コベルコ科研) 他
2名
聴覚障害者用の警報通報装置の開発
田村裕之 (東消消科研)
河関大祐、高梨健一
45
46
低酸素濃度環境におけるメタン及びメ
佐宗祐子
タノール火 炎 からの一 酸 化 炭 素 生 成
後藤田浩
量
尾川義雄
電話転送機能を有する火災通知装置
河関大祐
の開発
田村裕之 (東消消科研)
高梨健一
47
同時多発火災に対する最適消防力運
川村
聡 (東大院)
用の効果に関する研究- 最 適消防力
関沢
愛、遠藤
運用支援情報システムを用いたケース
座間信作
スタディによる検討-
山瀬敏郎 (消防科学総合セ
真
ンター)
篠原秀明 (応用地質)他 1 名
48
名
その 2- 壁 天
への適用-
44
会
平成 16 年度日本
の 2
43
表
箭内英治
化に関する研究(第 1 報)
42
発
地下鉄車両に使用する各種 部材の燃
焼 性 状 に関する研 究
41
名
二 階 建 て住 宅 を模 擬 した空 間 におけ
江幡弘道 (ホーチキ) 他 3 名
る煙流動性状
藤本龍雄 (東京ガス)
箭内英治
関沢
愛 (東大)
- 69 -
発表年月
16.5
消研輯報 58
題
49
50
51
52
名
発
表
者
名
発
表
会
名
燃焼時における RDF の内部構造変化
鈴木
健
平成 16 年度日本
の観察
鶴田
俊
火災学会研究発
粉末消火剤によるナトリウム燃焼残渣
廖
の安定化機構に関する検討
鶴田
林 野 火 災 発 生 件 数 と気 象 要 素との関
寒河江幸平、佐藤晃由
係についての重回帰分析
新井場公徳
Interpretation
X. Li
11th International
H. Koseki
Symposium
of
Decomposition
Mechanisms of Unstable Substances
赤虹
発表年月
16.5
表会
俊
near the SADT by an Isothermal
Loss
Method
and Safety Pro-
16.6
Prevention
motion
Process
in
the
Indus-
tries
53
54
55
56
RFID(無線タグ)を用いた被害情報
滝澤
修
リアルタイム災害
収 集 支 援 システムおよび情 報 共 有 化
柴山明寛
情報検知とその
システムの研究
細川 直史
利 用 に関 するシン
久田嘉章
ポジウム
レスキューロボットの位置情報の可視
ウ
日本機械学会ロ
化
総研) 他 1 名
ボティクス・メカト
天野久徳
ロニクス講演会
小型牽引ロボット群による救助活動の
岩野優樹 (京大院)
2004
ための動 作 計 画 について
大須賀公一 (神戸大)
- 人体姿
ウェイ (三 菱 電 機 先 端
勢マニピュレーションハンドの改良-
天野久徳
防護壁を構成する小型ロボット群の開
天野久徳
発
大須賀公一 (神戸大)
- 連結と壁構築機構の検討-
16.6
16.6
岩野優樹 (京大院)
57
CARBON MONOXIDE YIELDS
Y. Saso
30th Interna-
FROM METHANE AND METHA-
H. Gotoda
tional Sympo-
NOL FLAMES UNDER OXY-
Y. Ogawa
sium on Com-
GEN-REDUCED CONDITIONS
58
59
16.7
bustion
EXPLOSIONS AND FIRES OF A
T. Tsuruda、T. Suzuki
RDF-5 SILO
Y. Ogawa、C. Liao
OBSERVATION OF INNER
T. Suzuki
STRUCTURE CHANGE OF
T. Tsuruda
BURNING SOLID MATERIALS
60
Bi 系低温はんだのクリープ寿命評価
廣川幹浩
M&M2004 材 料
山田
力学カンファレン
實
真家敦子
- 70 -
ス
16.7
消研輯報 58
題
61
62
63
64
65
名
発
表
者
名
発
表
会
名
2003 年十勝沖地震でのやや長周期地
座間信作
第 34 回安全工学
震動と石油タンクのスロッシング
畑山
健
シンポジウム
平成 15 年度(2003 年)十勝沖地震
古積
博
後の石油タンク火災
岩田雄策
平成 15 年度十勝沖地震における石油
山田
タンクの被害(その 1)
廣川幹浩
平成 15 年度十勝沖地震における石油
西
タンクの被害(その 2)
廣川幹浩
林野火災の発生危険度と拡大予測シ
佐藤晃由
ステムに関する研究
その 11
火災
實、西
発表年月
16.7
晴樹
晴樹、山田
實
大井田淳一 (icfd)
拡大性状と火災拡大防止
66
クリープ弾塑性解析による Bi 系低温
廣川幹浩
日本機械学会第
はんだの経年劣化の検討
山田
17 回計算力学講
實
真家敦子
演会
日本原子力学会
67
酸化物を持つナトリウムの燃焼挙動
廖
68
発電機冷却用水素ガスによる火災
鈴木
赤虹
健、鶴田
俊
16.7
16.7
熱流動部会「原子
力施設における火
災燃焼研究の最
先端」講演会
69
THEORETICAL EVALUATION OF
K. Hatayama
13th World
EFFECTS OF SEA ON SEISMIC
Conference on
GROUND MOTION
Earthquake En-
16.8
gineering
70
Proposal of a Rescue Robot System
Y.Iwano
2004 IEEE Inter-
in Nuclear-Power Plants--Rescue
K.Osuka (Kobe Univ.)
national Confe-
Activity via Small Vehicle Robots--
H.Amano
rence on Robot-
16.8
ics and Biomimetics
71
ダブルスキン建築による換気・排煙統
江川雄介 (早大) 他 3 名
2004 年度日本建
合システムの可能性に関する研究
西本聡 (清水建設)
築学会大会学術
山田常圭
講演会
の2
そ
縮小模型実験による換気・排煙
統合システムの可能性
72
ダブルスキン建築による自然換気・排
丁文亭 (早大) 他 3 名
煙 統 合 システ ムの 可 能 性 に 関 する 研
西本聡 (清水建設)
究
その 1
ダブルスキン建築による
山田常圭
自然換気・排煙統合システムの基本概
念
- 71 -
16.8
消研輯報 58
題
73
名
発
表
者
名
火 災 擬 似 体 験 システムの開 発
阿部伸之
築学会大会学術
飯田明彦 (東消消科研)
講演会
-そ
インタラクティブ機能を有する火
山田
茂 (フジタ) 他 2 名
リモートセンシングに基 づ く面 的 基 盤
鄭
データの抽 出 と地 震 被 害 想 定 への適
座間信作
用に関する研究
- その 2
DEM に
柄表
細川直史
よる 韓 国 ソ ウ ル市 の 地 形 分 類 と 地 盤
増幅度の推定-
リモートセンシングに基 づ く面 的 基 盤
座間信作
データの抽 出 と地 震 被 害 想 定 への適
鄭
用に関する研究
- その 3
リモート
炳表
細川直史
センシングに基づく地震 被 害 想 定とソ
ウル市でのケーススタディー-
77
加圧防排煙時の消防活動拠点におけ
川村成彦 (フジタ) 他 1 名
る扉 の流 量 係 数 及 び開 放 力 に関 する
阿部伸之
実験研究
山田常圭
自 主 防 災 組 織 による地 震 災 害 の被 害
名波文乃 (工学院大院) 他 1
情報収集に関する実験
名
村上正浩( 工学院大) 他 1 名
座間信作
78
住 宅 タイ プ 別 に み た 居 住 者 特 性 と 住
関沢
宅火災リスクの分析- 住宅火災による
野竹宏彰 (清水建設)
人的・物的損害リスクの軽減対策に関
万本
する研究:その 1-
小林将之
愛
敦 (ホーチキ)
海老原学 (東大院)
79
住 宅 における初 期 火 災 の典 型 パター
箭内英治
ンとその再現
中島悟史 (ホーチキ) 他 3 名
関沢
愛 (東大院)
本多一賀 (東京ガス)
80
81
名
2004 年度日本建
-
76
会
山田常圭
災 擬 似 体 験 システム構 成 と適 用 事 例
75
表
バーチャルリアリティー技 術 を用 いた
の2
74
発
住 宅 火 災 による死 者 発 生 傾 向 の分 析
小林将之 (東大院)他 1 名
とその類型化- 住宅火災による人的・
関沢
物的損害リスクの軽減対策に関する研
野竹宏彰 (清水建設)
究:その2 -
万本
正規化リスク曲線の適用に関する基礎
鈴木恵子
的検討
花安繁郎 (産安研)
火災リスクのモデル化と分析
への統計的手法の適用
愛
敦 (ホーチキ)
その 1
- 72 -
発表年月
16.8
消研輯報 58
題
82
名
発
表
者
名
発
表
会
名
大規模物販店舗における可燃物配置
原田和典 (京都大)他 1 名
2004 年度日本建
の実態調査
北堀
築学会大会学術
純 (東理大)他 2 名
阿部伸之
発表年月
16.8
講演会
野竹宏彰 (清水建設)
83
地下 施設の火災 特性に及 ぼす深さの
影 響 に関する実 験 研 究
その 3
松島早苗
地
渡部勇市
地下鉄 火災における駅構内 の煙流動
渡部勇市
シミュレーション
松島早苗
下階数による流入空気量の違い
84
- 韓国大邱市の地
下鉄中央路駅の場合-
85
86
地下鉄車両の内装各種部材の燃焼性
飯田明彦 (東消消科研)
試験
箭内英治、山田常圭
中規模都市における高度救急医療施
久保田勝明
設設置による救急搬送時間の変化
87
二 階 建 て住 宅 を模 擬 した空 間 におけ
江幡弘道 (ホーチキ) 他 3 名
る煙流動性状
本多一賀 (東京ガス)
箭内英治
関沢
88
排煙設備の耐熱性に関する実験的研
究
- その 1
遠心ファンの耐熱性-
愛 (東大)
阿部伸之
森山修治 (日健設計)
山田常圭
長谷見雄二 (早大)
89
90
91
A Study of Forest Fire Danger Pre-
K. Satoh
Forest and En-
diction System in Japan
S. Weiguo (Uni. of Sci. &
vironmental In-
Tech. of China)
formation and
K. T. Yang (Univ. of No-
Decision Sup-
tre Dame)
port Systems
DEVELOPMENT OF MOBILE
H. Amano
The Seventh In-
SMALL ROBOTS GROUP FOR
K. Osuka (Kobe Univ.)et
ternational Con-
RESCUE AGAINST PLANT ACCI-
al.
ference on Mo-
DENTS -BASIC STUDY ON MO-
tion and Vibra-
VEMENT TO THE SITE
tion Control
防 災 と光
- 煙 中 における誘 導 灯 及
山田常圭
び各種照明器具の見透し距離-
日本建築学会環
境工学委員会光
環境小委員会シ
ンポジウム
- 73 -
16.8
16.8
16.8
消研輯報 58
題
92
名
発
表
者
名
発
表
会
名
Development of Residential Fire
D. Kozeki
13th Interna-
Detection System installed in Air
H. Tamura(TFD)
tional Confe-
Conditioning Unit
Y. NIshiue
rence on Auto-
発表年月
16.9
matic Fire Detection
(AUBE2004)
93
無線 IP ネットワーク用 OSPF デーモン
高梨健一
2004 年電子情報
の実装と動作検証
加藤聰彦 (電通大)他 1 名
通信学会通信ソ
菅田明則 (情報通信研究
サイエティ大会
16.9
機構) 他 2 名
94
95
有線リンクと無線リンクの混在するネッ
高梨健一
情報処理学会モ
トワークにおける AODV ルーチング方
加藤聰彦 (電通大)他 1 名
バイルコンピュー
式に関する検討
菅田明則(情報通信研究
ティングとユビキ
機構) 他 2 名
タス研究会
稲 葉 昭 夫 (岐 阜 県 生 産 研 )
第 22 回日本ロボ
他2名
ット学会学術研究
とその基本機能の評価-
天野久徳
会
電波を利用したロボット位置同定の可
天野久徳、鈴木隆司
能性に関する実験的研究
稲 葉 昭 夫 (岐 阜 県 生 産 研 )
形状変化機構を有する多面体移動機
構の開発
96
- 第 3 報:実験機の製作
16.9
16.9
他1名
97
崩 壊 面 から湧 出 する地 下 水 の赤 外 画
第 43 回日本地す
新井場公徳
像による遠隔観測
16.9
べり学会研究発
表会
98
平成 15 年十勝沖地震における石油タ
西
晴樹、山田
實
日 本 機 械 学 会
ンク火災とタンクの損傷について
座間信作、畑山
健
2004 年度年次大
廣川幹浩
99
会
平成 15 年十勝沖地震における石油タ
座間信作、山田
實
ンク等危険物貯蔵施設への影響
西
健
晴樹、畑山
16.9
廣川幹浩
100
ダブルスキン建築による換気・排煙統
江川雄介 (早大) 他三名
平成 16 年度空気
合システムの可能性に関する研究(第
西本
調和・衛生工大会
2 報)縮小模型実験による換気・排煙
山田常圭
聡 (清水建設)
統合システムの可能性
101
ダブルスキン建築による自然換気・排
丁
煙 統 合 システ ムの 可 能 性 に 関 する 研
西本
究(第 1 報)ダブルスキン建築による
山田常圭
文亭 (早大) 他 3 名
聡 (清水建設)
自然換気・排煙統合システムの基本概
念
- 74 -
16.9
消研輯報 58
題
102
名
発
表
者
名
発
表
会
名
Experimental Investigation on an
Z. Fu
2004 Interna-
Explosion Accident from Refuse
H. Koseki
tional Sympo-
Derived Fuel
X. Li
sium on Safety
発表年月
16.10
Science and
Technology
103
104
Study on Decomposition Mechan-
X. Li
2004 Mary Kay
ism of Solid and Application in the
H. Koseki
O’Connor
SADT Prediction using a highly
Process Safety
Sensitive Calorimeter
Center Sympo-
Spontaneous Combustion of Or-
Z-M Fu
ganic Materials by Water
H. Koseki
16.10
sium
Y. Iwata
105
106
The 2003 Tokachi Oki、Japan、
K. Koketsu、K. Hiki-
5th Asian Seis-
Earthquake (Mw8.3): Source
ma、Y. Ikegami
mological Com-
Process、Strong Ground Motions
K. Hatayama、Y.
mission General
and Tsunamis
anioka
Assembly 2004
米 国 における重 症 度 緊 急 度 に応 じた
久保田勝明
第 32 回日本救急
救急指令プロトコルと救急隊運用体制
107
108
109
110
16.10
医学会学術集会
高感度熱量計による固体の SADT の
李
予測
古積
熱 分 析 を用 いた木 材 チップの自 然 発
桃田道彦、傳
火による危険性評価
岩田雄策、古積
2004 年 9 月 5 日紀伊半島南東沖の地
畑山
健、座間信作
震による石油タンクのスロッシングと長
山田
實、西
周期地震動
廣川幹浩
地 震動シミュレーションに海は考 慮 す
畑山
べきか? (4)
16.10
第 40 回熱測定討
新蕊
博
16.10
論会
智敏
博
晴樹
健
- 海の深さと海水か
ら影響を受ける地震動周期の関係-
111
A Numerical Study of Forest Fire
K. Sato、J. Oida(icfd)
2004 ASME In-
Progression and Fire Suppression
K. Kuwahara (JAXA)
ternational Me-
by Aerial Fire Fighting
K. T. Yang (Univ. of No-
chanical Engi-
tre Dame)
neering Con-
16.11
gress
112
2003 年十勝沖地震の地震動による原
廣川幹浩
2004 Japan AN-
油配管の地震応答解析
山田
SYS Conference
西
實
晴樹
- 75 -
16.11
消研輯報 58
題
113
名
ごみ固化燃料の熱的性状(その 1)
発
表
者
名
発
表
会
名
清水芳忠(神奈川県産技
2004 年火薬学会
総研) 他 1 名
秋季研究発表講
古積
博、傳
智敏
発表年月
16.11
演会
鈴木康弘 (日本カーリット)
114
ごみ固化燃料(RDF)の熱的性状(その
鈴 木 康 弘 (日 本 カーリット)
2)
傳
智敏
清水芳忠(神奈川県産総
技研) 他 1 名
古積
115
116
博
合成色素(ナフトールイエローS)の危
傳
智敏、岩田雄策
険性評価
古積
国連危険物輸送勧告書 E シリーズ試
李
験への MCPVT のラウンドロビン試験
田村昌三 (横浜国大)
の提案
真杉健二(日本海事検定
博
新蕊、古積
博
協会)
大 石 淳 三 (カヤテック) 他
1
名
117
118
119
120
121
122
EXPLOSIONS AND FIRES OF AN
T. Tsuruda、T. Suzuki
国際産業安全シ
RDF-5 SILO
Y. Ogawa、C. Liao
ンポジウム
Report on the fires at refinery fol-
H. Nishi、M. Yamada
lowing the 2003 Tokachi-Oki
Y. Sakamaki
Earthquake (M8.0)
T. Yokomizo
2003 年十勝沖地震における石油タン
西
ク火災の調査について
山田
Study on the early reaction of a
X. Li
reactive mixture
H. Koseki
圧力追従式断熱型熱量計の圧力上昇
岩田雄策、桃田道彦
速度を用いた熱的危険性評価
古積
火災擬似体験装置(Fire cube)につい
阿部伸之、山田常圭
て
須 賀 昌 昭 (フジタ技 術セン
晴樹
實
博
ター)
123
地下鉄車両の座席の燃焼性状- 着火
篠原雅彦、箭内英治
源としてガソリンを用いたルームカロリ
山田常圭
ーメーターによる実験
飯田明彦 (東消)
畑野
崇
- 76 -
第 37 回安全工学
研究発表会
16.11
16.11
消研輯報 58
題
124
名
発
地 域 防 災 力 の評 価 とその向 上 に関 す
胡
る研究- その 1
遠藤
住民の地震防災行
動 の実 態 把 握 のためのデータベース
表
者
名
発
表
会
名
哲新
平成 16 年度地域
真
安全学会研究発
座間信作
発表年月
16.11
表会
構築-
125
地震被害情報の収集体制を考える
座間信作、細川直史
遠藤
126
127
128
129
130
真
木 造 密 集 市 街 地 における地 震 防 災 に
久田嘉章( 工学院大) 他 1 名
関する研究
座間信作、遠藤
その4
真
木 造 密 集 市 街 地 における地 震 防 災 に
村上正浩 (工学院大)他 1 名
関する研究
座間信作、遠藤
その5
真
雲仙普賢岳噴火災害から 13 年を経た
木本勢也 (神戸大)他 2 名
住宅再建・復興の実態
室﨑益輝
北海道南西沖地震から 10 年を経た住
大友諒香 (神戸大)他 2 名
宅再建・復興の実態
室﨑益輝
Study on the early Stage of Runa-
X. Li
International
way Reaction under Adiabatic
H. Koseki
Conference on
Conditions
131
16.12
the 20th Anni-
Thermal Decomposition Kinetic of
X. Li
versary of the
Liquid Organic Peroxides
H. Koseki
Bhopal Gas Tragedy
132
Development of Stretcher Compo-
Y. Iwano
Proceedings of
nent Robots for Rescue Activity
K. Osuka (Kobe Univ.)
2004 IEEE Con-
H. Amano
ference on Ro-
16.12
botics、
Automation and
Mechatronics
133
無線タグシステムを用いた被災情報の
滝澤
修
第 5 回計測自動
共有化
柴山明寛
制御学会システム
細川直史
インテグレーショ
久田嘉章
ン 部 門 講 演 会
16.12
(SI2004)
134
RDF の火災危険性に関する一解析
高
黎静、鈴木
健
鶴田
俊、平野敏右
俊
135
RDF 蓄熱発火挙動の数値模擬計算
鶴田
136
ウォーターミストによる可 燃 性 固 体 の
尾川義雄
消火
鶴田
低酸素濃度環境における液体燃料火
佐宗祐子、後藤田浩
炎からの一酸化炭素生成量
尾川義雄
137
俊
- 77 -
第 42 回燃焼シン
ポジウム
16.12
消研輯報 58
題
138
名
燃 焼 時 における固 体 の内 部 構 造 に関
発
鈴木
表
者
名
140
表
会
名
第 42 回燃焼シン
健
する研究- その 2-
139
発
発表年月
16.12
ポジウム
半 開 放 空 間 に吹 き込 まれた窒 素 富 化
廖
赤虹、尾川義雄
空気の挙動
佐宗祐子、鶴田
災 害 対 策 におけるリモートセンシング
細川直史
日本リモートセン
技術の応用
星
シ ン グ 学 会 第 37
俊
仰
16.12
回(平成 16 年度
秋季)学術講演会
141
地 上 型 レーザー測 定 による崩 壊 地 形
新井場公徳
の計測とその利用
平成 16 年新潟県
16.12
中越地震による斜
面災害緊急シンポ
ジウム
142
143
消防隊 連携 活動を加 味した救急業 務
久保田勝明
第 13 回全国救急
シミュレーションソフトの開発
小谷朋央貴、日暮一正
隊員シンポジウム
地 域 特 性 を考 慮 したやや長 周 期 帯 域
座間信作
日 本 地 震 工 学
145
146
17.1
会・大会- 2004
のスペクトルの設定
144
17.1
地震災害予測のための大都市圏強震
鄭
炳表
動シミュレータの開発-50m メッシュ地
久保智弘( 工学院大) 他 1 名
形分類と周波数帯別増幅率マップ-
畑山
健、座間信作
苫小牧地域における長周期地震動
畑山
健
-2003 年十勝沖地震を中心として-
座間信作
苫小牧地域の長周期地震動特性- 石
畑山
油タンクに大被害が発生した 2003 年
座間信作
健
十勝沖地震を中心として-
147
サー マ ル マ ネ キ ン を 用 い た 消 防 隊 員
箭内英治
用防火服の耐炎性能
第二回日本防護
17.2
服研究会学術総
会
148
2003 年 十 勝 沖 地 震 による石 油 タンク
畑山
健
土木学会・日本建
の被害と長周期地震動
座間信作
築学会巨大地震
西
晴樹
災害対応共同研
實
究連絡会地震動
山田
廣川幹浩
17.2
部会シンポジウム
井上涼介 (茨城大)
149
150
原子力施設災害における救助活動用
岩野優樹 (神戸大)他 1 名
第 10 回ロボティク
担架構成ロボットの開発
天野久徳
ス・シンポジア
有線リンクと無線リンクの混在するネッ
高梨健一
第 67 回情報処理
トワークにおける AODV ルーチング方
加藤聰彦 (電通大)他 1 名
学会全国大会
式に関する実験的検討
菅田明則 (NICT)他 2 名
- 78 -
17.3
17.3
消研輯報 58
(2)論文発表
題
1
名
発
表
者
名
掲載誌名等
巻号
Public Housing Provision After
K. Koshiyama (DRI)
13th World Confe-
No.1758
The
S.
rence
(CD-ROM)
Hanshin-Awaji
Earthquake
Disaster
Tatsuki
(Doshisha
Univ.)
on
Earth-
quake Engineering
Y. Murosaki
I. Kobayashi(CO-PLAN)
2
Study on Essential Requirements
R. Aota (Kobe Univ.)
No.1315
for NGOs to Support Victims in
Y. Murosaki
(CD-ROM)
A Study On Community Disaster
Z. Pooyan (Kobe Univ.)
No.1227
Response: A Way Toward Vulne-
Y. Murosaki
(CD-ROM)
Earthquake Disasters
3
rability Reduction
4
災害復興公営住宅団地が有する居住
越山健治 (人と防災未来セ
地域安全学会論文
No.6,
コミュニティ特性に関する研究
ンター)
集
pp.233-240
立木茂雄 (同志社大)
(2004.11)
小林郁雄 (コープラン)
室﨑益輝
5
支援者から見た災害復興公営住宅に
越山健治 (人と防災未来セ
第 12 回都市住宅学
pp.
おけるコミュニティの現状と課題
ンター)
会研究発表論文集
(2004.10)
地域安全学会論文
No.6, pp.283
(2004.11)
53-58
小林郁雄 (コープラン)
室﨑益輝
6
住 環 境 が 防 災 コミ ュニ テ ィ 活 動 に 及
崔
榮和 (神戸大)他二名
ぼす影響に関する研究- 神戸市を事
室﨑益輝
集
A. Sekizawa
3rd
例として-
7
8
Care of Vulnerable populations:
Who are Vulnerable to Fire and
Symposium
What Care is Needed for Their Fire
Human Behavior in
Safety?
Fire
Human
Factors
in
Fire
Safety
A. Sekizawa
Measures
9
10
International
Fire Risk Analysis: Its Validity and
Fire
Science
on
and
Technology
A. Sekizawa
8th
(2004.9)
Vol.23, No.4
(2004)
International
Potential for Application in Fire
Symposium on Fire
Safety
Safety Science
How to Save the Lives of Vulnera-
H. Notake (Shimizu Co.)
3rd
ble People from Residential Fires?
A. Sekizawa
Symposium
M. Kobayashi (Hochiki)
Human Behavior in
M. Ebihara (Tokyo Univ.)
Fire
- 79 -
pp.267-278
International
on
pp.315-326
(2004.9)
消研輯報 58
題
11
名
発
表
者
名
掲載誌名等
巻号
A Numerical Study of Water Dump
K. Satoh
8th
in Aerial Fire Fighting
I.
Symposium on Fire
Maeda (ShinMaywa
Industries.Ltd)
International
Safety Science
K. Kuwahara (JAXA)
K.T.Yang (Nortre
Dame
Univ)
12
13
41 号
建物火災に関する研究成果蓄積を有
飯田明彦 (東消)
効に活用する技術の研究
山田常圭、阿部伸之
pp.211-216
山村明義 (フジタ)他 4 名
(2004)
Quantitative Analysis of Explosion
T. Tsuruda
of an RDF silo
消防科学研究所報
20th
International
2005.8
Colloquium on the
Dynamics of Explosions and Reactive
Systems
14
15
Variou evaluation test results of
H. Koseki
第 8 回 国 際 花 火 シン
raw pyrotechnics mixtures
Y. Suzuki (JC-MHL)
ポジウム
Effect of Oxygen Concentration on
Y. Saso
Fire Safety Science -
the Carbon Monoxide Yields from
H. Gotoda
Proceedings of the
Methane and Methanol Flames
Y. Ogawa
8th
2005
International
Symposium
16
Development of a Transformation-
K. Tabata (IMIT Gifu) et.
2004 IEEE/RSJ In-
al Mobile Robot to Search Victims
al.
ternational
under Debris and Rubbles
H. Amano
rence on Intelligent
2004.9
Confe-
Robots and Systems
17
An Approach to Fire Alarm System
H. Tamura
3rd
for People with Hearing Difficuties
D. Kozeki
Symposium
K. Takanashi
Human
International
on
pp.501-506
(2004.9)
Behaviour
in Fire
18
DESIGN
OF
OSPF
PROTOCOL
FOR WIRELESS IP NETWORKS
T. Kato (Univ. of Elec-
The IASTED Con-
pp.76-82
tro-Communications)
ference
(2004.9)
et.al .
munication Systems
K. Takanashi
and Networks
on
Com-
A. Sugata (NICT)et al.
19
石油タンクのスロッシング予測とやや
座間信作
長周期地震動の地域特性
安全工学
Vol.43 No.4
pp.222-228
(2004.8)
- 80 -
消研輯報 58
題
20
名
発
Seismic Hazard Assessment For
表
者
名
S. Zama
掲載誌名等
巻号
13th World Confe-
No.3200
Liquid Sloshing Of Oil Storage
rence
(CD-ROM)
Tanks Due To Long-Period
quake Engineering
on
Earth-
Strong Ground Motions In Japan
21
Effective Collection Of Earthquake
S. Zama
13th World Confe-
No.3201
Damage Information And Its Uti-
M. Hosokawa
rence
(CD-ROM)
lization To Fire Fighting
M. Endo
quake Engineering
S. Zama
2004
on
Earth-
Just After An Earthquake
22
Liquid Sloshing of Oil Storage
Tanks
23
and
Long-Period
Strong
ASME/JSME
Pressure
2004.7
Vessels
Ground Motions in the 2003 Toka-
and Piping Division
chi-Oki Earthquake
Conference
Building a Real Time System for
S. Zama, M. Endo
2004
Evaluating Oil Storage Tank Dam-
K. Hatayama
Pressure
age due to Earthquakes in Petro-
S. Yoshida(高知高専)
and Piping Division
leum Stockpiling Bases
K. Kawano (Chiyoda Co.
Conference
ASME/JSME
2004.7
Vessels
Ltd.)
K. Sekine (横浜国大)
H. Maruyama (石油公団)
24
Supervised Classification Method
M. Hosokawa
Journal of the Re-
Vol.24,
using
T. Hoshi
mote
No.2,
a
three
layered
Self-organizing Map and Counter
Sensing
So-
ciety of Japan
pp.175-181
Propagation
25
26
Damaging
(2004.6)
long-period
ground
K. Koketsu
Seismological
fround motions from the 2003
K. Hatayama
search Letters
Mw8.3 Tokachi-oki, Japan earth-
T. Furumura
quake
Y. Ikegami, Akiyama
2003 年十勝沖地震による長周期地震
畑山
動と石油タンクの被害
西
Vol. 76, No.
1, pp. 67-73
(2005)
健、座間信作
晴樹、山田
Re-
地震 2
實
57,
pp.83-103
廣川幹浩
(2004)
井上涼介 (茨城大)
27
崩壊面から湧出する地下水の赤外線
新井場公徳
日本地すべり学会誌
第 42 巻, 第 1
号, 通巻 165
画像による遠隔観測
号, pp. 34-39
(2005.5)
28
中規模都市における高度救急医療施
久保田勝明
日本臨床救急医学
第 8 巻第 3 号
設設置による救急搬送時間の変化
小谷朋央貴 (フジタ)
会雑誌
pp.207-214
日暮一正
- 81 -
(2005.7)
消研輯報 58
題
29
30
名
発
表
者
名
掲載誌名等
巻号
Experimental Determination of the
X-R Li
Journal of Hazard-
120(1-3),
Minimum Onset Temperature of
J-H Sun
ous Materials
51-56
Run-away Reaction from a Ra-
H. Koseki
dioactive Salt Disposal in Asphalt
K. Hasegawa
Hazard
of
X-R. Li
Thermochimica
423(1-2),77-8
by
H. Koseki
Acta
2(2004.12)
Study on the Contamination of
X-R. Li
Process Safety and
83(B1),31-37
Chlorides in Ammonium Nitrate
H. Koseki
Environmental
(2005.1)
Evaluation
Self-decomposition
Materials
(2005.4)
the Combination of Pressure and
Heat Flux Measurements
31
Protectio
32
33
34
Thermal
Hazard
Evaluation
of
J-H Sun, X-R Li
Journal of Thermal
76(3),
Complex Reactive Substance Using
K. Hasegawa
Analysis and Calo-
883-893
Calorimeters and Dewer Vessel
G-X. Liao
rimetry
(2004.6)
Heat generation of refuse derived
Z-M Fu (DFPE)
J. of Loss Preven-
18(1),27-33(2
fuel with water
X-R Li
tion in the Process
005.1)
H. Koseki
Industries
廖
中国科学技術協会
pp.341-345
2004 年 学 術 大 会 第
(2004.11)
非開放空間内火災消火の難点と新技
赤虹
術の展望(原文は中国語)
1 7 分会場論文集
35
管状火炎バーナーによる可燃性混合
廖
赤虹
消防科学与技術
Vol.24,
気のピーク濃度測定技術(原文は中
No.3,
国語)
pp.292-297(2
005.3)
36
ナトリウム燃焼残渣に含まれる過酸化
廖
赤虹
ナトリウムの定量方法の検討
鶴田
俊
斉藤
直
日本火災学会論文
Vol.55,
集
No.1,
pp.19-27
(2005.2)
- 82 -
消研輯報 58
(3) 解説、その他
題
1
名
地 震 時 に お け る 同 時 多 発 火 災 の問
発
関沢
表
者
名
愛
題と消防に期待される役割-今そこに
掲載誌名等
巻号
消防科学と情報(消防
No.79
科学総合センター)
(2004.冬号)
建築防災(日本建築
No.317
防災協会)
pp.26-31
ある危機に対してどう立ち向かってい
くか2
特集「ニューヨーク WTC テロ災害
(その2 )
山田常圭
海外での調査・研究
(2004.6)
3
消防防災ロボット
天野久徳
B・Tavenue(発電設備
No.33,
技術検査協会)
pp.20-23
(2004.8)
4
平成 15 年十勝沖地震による石油タン
山田
實
クの損傷について
予防時報(日本損害
219 号
保険協会)
pp.28-33
(2004.10)
5
最近の石油タンク火災と消防活動
古積
博
ケミカルエンジニアリ
Vol. 49
ング
pp. 48-53
(2004.7)
6
マルチハザード時代の住まい・まちづ
室﨑益輝
GBRC
くり
119 号,
pp.12-23
(2005.1)
7
都市の防災
モナカ理論
室﨑益輝
Literacy
創刊号,
pp.37
(2004.9)
8
消防防災と科学技術
室﨑益輝
Safety&Tomorrow
96 号, pp.1
(危険物保安技術協
(2004.6)
会)
9
消防防災に関する科学技術動向
松原美之
Science & Technol-
No.48,
- 安心・安全を目指す科学技術の特
浦島邦子 (科技政策研)
ogy
p.24-33
性と方向性の考察-
10
「災害弱者」とコミュニティ防災
(2005.3)
室﨑益輝
ガバナンス(ぎょうせ
42 号,
い)
pp.22-24
(2004.10)
11
石油タンクのスロッシングに係るやや
座間信作
長周期地震動の地域特性
セイフティエンジニアリ
132 号,
ング
pp.1-6
(2004.12)
12
防災都市づくり 5 つの課題
室﨑益輝
ひょうご経済(ひょうご
85 号,
経済研究所)
pp.14-17
(2005.1)
- 83 -
消研輯報 58
題
13
14
名
発
表
者
名
掲載誌名等
巻号
消 防 研 の都 市 型 地 震 災 害 に 対 する
天野久徳
日本ロボット学会
Vol.22, No.5
取り組み
座間信作
「ロボット学会誌」
pp.36-39
RDF 火災について
山田
實
鈴木
健
(2004.7)
安全工学(安全工学
Vol.43 No.4
協会)
pp.254-261
(2004)
15
廃 棄 物 の蓄 熱 火 災 事 例 と危 険 性 評
古積
博
価
安全工学(安全工学
Vol.43, No.6
協会)
pp.385-391
(2004.12)
16
屋外タンク貯蔵所爆発火災事故につ
西
いて
山田
晴樹
實
安全工学(安全工学
Vol.44, No.1
協会)
pp.51-60
(2005.2)
17
第 3 回消防研究所シンポジウム-危険
古積
博
物の構造、貯蔵、取扱、輸送及び廃棄
EXPLOSION(火薬学
Vol.14,
会)
No.2,
における安 全 に関 する国 際 シンポジ
pp.83-87
ウム-について
18
やや長周 期 地 震 動と石 油 タンクのス
座間信作、西
ロッシング
畑山
晴樹
健、山田
号外地球(海洋出版)
實
No.49
pp.197-203
廣川幹浩
(2005.1)
井上涼介 (茨城大)
柳沢大樹 (KHK)
19
やや長周期地震動と長大構造物
座間信作
JR ガゼット(交通新聞
2004.4
社)
20
21
平成 15 年十勝沖地震に関連して発
西
晴樹
Safety&Tomorrow
No.98
生した出光興産㈱北海道製油所タン
(危険物保安技術協
pp.21-24
ク火災に係る火災原因調査結果
会)
(2004.11)
建築と社会(日本建築
994 号,
協会)
pp.25-26
将来の大地震に備えて
室﨑益輝
(2005.1)
22
高度化時代における安全のためのチ
室﨑益輝
ェックシステム
23
マルチハザードとクライシスアセスメ
室﨑益輝
検 定 協 会 だ より(日 本
288 号,
消防検定協会)
pp.1-2
公衆衛生
第 68 巻第 8
ント
号,
pp.602-605
(2004.8)
24
防災の知恵の輪、数珠つなぎ
室﨑益輝
広報消防基金
152 号,
pp.6-8
(2004.7)
- 84 -
消研輯報 58
題
25
名
高齢化社会と住宅防火
発
表
者
名
室﨑益輝
掲載誌名等
自主防災
巻号
182 号,
pp.6-9
(2004.11)
26
災害と「暮らし」の関係
室﨑益輝
消費者情報
358 号, pp.1
(2005.1)
27
地 域 密 着 型 の消 防 と広 域 連 携 型 の
室﨑益輝
消防
28
都市防災の将来~次に備える 4 つの
室﨑益輝
視点
消防の動き(総務省消
402 号, pp.3
防庁)
(2004.9)
消防科学と情報(消防
79 号,
科学総合センター)
pp.16-19
(2005.1)
29
林 野 火 災 用 可 搬 式 送 水 装 置 につい
金田節夫
て
30
これからの安心地域は「市民参画の
室﨑益輝
森林火災対策協会報
第 24 号
(森林火災対策協会)
(2004.6)
地域づくり
188 号,
防災まちづくり」
pp.4-7
(2005.2)
31
まち並み保存と防災
室﨑益輝
地方自治職員研修
第 37 巻第 8
(公職研)
号, pp.24.26
(2004.8)
32
震災後 10 年を振り返って
室﨑益輝
都市計画(日本都市
252 号,
計画学会)
pp.5-8
(2004.12)
33
次の大地震に備えて~防災科学と減
室﨑益輝
災科学
都市問題(東京市政
第 96 巻第 1
調査会)
号, pp.58-65
(2005.1)
34
35
2003 年米国カリフォルニア州南部林
佐藤晃由、吉野
野火災調査
やや長周期地震動予測システムの開
月刊消防(東京法令
通巻 300 号
篠原雅彦
出版)
(2004.8)
座間信作
月刊消防(東京法令
通巻 302 号
出版)
(2004.10)
月刊消防(東京法令
8 号, 春季号
出版)
(2004.4)
火災(日本火災学会)
Vol. 54
薫
発
36
救 急 出 場 件 数 の増 加 傾 向 と地 域 別
久保田勝明
頻度分布の分析
37
世 界 各 国 の火 災 コストについて- 世
関沢
愛
界火災統計センターの調査報告から
名取晶子 (損保算出機構)
No.3, 270 号
pp.36-40
(2004.6)
38
不 活 性 ガス消 火 剤 の 人 体 安 全 性 に
佐宗祐子
火災(日本火災学会)
Vol. 54
No. 5, 272 号
ついて
pp. 36-39
(2004.10)
- 85 -
消研輯報 58
題
39
名
発
表
者
名
「 科 学 技 術 系 専 門 職 の男 女 共 同 参
佐宗祐子(日本火災学会
画実態調査」結果報告
総務委員会)
掲載誌名等
火災(日本火災学会)
巻号
Vol. 54
No. 4, 271 号
pp. 53-56
(2004.8)
40
林 野 火 災 の 発 生 危 険 度 と拡 大 予 測
佐藤晃由
火災(日本火災学会)
システム(その 1)
Vol. 54
No. 6, 273 号
pp. 50-54
(2004.12)
41
林 野 火 災 の 発 生 危 険 度 と拡 大 予 測
佐藤晃由
火災(日本火災学会)
システム(その 2)
Vol. 55
No. 1, 274 号
pp. 45-49
(2005.2)
42
燃 焼 及 び煙 性 状 に 係 わる 一 連 の 研
山田常圭
火災(日本火災学会)
Vol. 54
No.4, 271 号
究および避難防災対策への応用
pp.8-12
(2004.8)
43
消 防 隊 員 用 防 火 服 の性 能 評 価 の現
箭内英治
火災(日本火災学会)
Vol. 54
No.3, 270 号
状と展望
pp.41-46
(2004.6)
44
災 害 対 策 ロボット−消 防 以 外 の組 織
天野久徳
火災(日本火災学会)
Vol. 54
No.2, 269 号
の開発と配備−
pp.5-12
(2004.4)
45
46
地 下 鉄 火 災 における自 然 換 気 時の
渡部勇市
火災(日本火災学会)
Vol. 54
駅構内の煙流動シミュレーション
No.3, 270 号
- 韓 国 大 邱 市 の地 下 鉄 中 央 路 駅 の
pp.20-23
場合-
(2004.6)
中国科学技術協会 2004 年学術年会
廖
赤虹
火災(日本火災学会)
Vol.55
No.1, 274 号
参加報告
pp.65-68
(2005.2)
47
バーチャルリアリティー技術を用いた
阿部伸之、山田常圭
日本環境管理学会中
火災疑似体験システムの開発
須 賀 昌 昭 (フジタ技 術セン
国支部・会員交流誌
ター)
- 86 -
第 6 号(2004)
消研輯報 58
題
48
名
数値実験による消火剤の火炎抑制機
発
表
者
名
佐宗祐子
掲載誌名等
日本燃焼学会誌
構の解明
巻号
Vol. 46
No. 138
pp. 224-232
(2004.11)
49
石油タンク底板裏面の腐食管理と寿
山田
實
命予測
材料と環境(腐食防食
Vol.53
協会)
N0.11
(4)著書、所外報告書
題
1
名
新版 防火・防爆対策技術ハンドブッ
執
古積
筆
博
者
名
発行元
発行年月
テクノシステム㈱
2004.9
東京大学地震研
2004.5
ク(一部執筆)
2
平成 15 年(2003 年)十勝沖地震に関
座間信作
究所
する緊急調査研究報告書 (一部執筆)
3
公共空間としての都市 (共著)
室﨑益輝
- 87 -
岩波書店
2005.1
消研輯報 58
2
一般公開
消防研究所では、平成 16 年度科学技術週間(4
ーがついて体験者はある程度の熱を感じ、かつ壁
月 12 日から 18 日)における行事の一環として、4
面からは煙に見立てた劇場用スモークが出される。
月 16 日金曜日に消防研究所一般公開を開催した。
体験者はこのような状況でいかにすばやく避難で
科学技術週間とは「科学技術に関し、ひろく国民
きるかを体験することができる。システムそのもの
の関心と理解を深め、もって我が国の科学技術の
は新しいものではないが、シミュレーションのコン
振興をはかることを目的」として設けられたもので、
テンツを増やすことにより、さまざまな場面での火
消 防 研 究 所 ではこれにあわせて毎 年 一 般 公 開 を
災の擬似体験ができるようになった。
行っている(写真 1)。
平成 15 年は各地で重大な産業災害が発生し、
今年度は、890 名という大勢の方にご来場頂い
消防研究所ではそれに伴う研究もいくつか実施し
たが、この数字は過去最高数であった(表 1)。五
た。平成 15 年 8 月には、RDF 貯蔵装置で爆発事
年前(平成 11 年度)の入場者数(492 名)と比
故があり、消防活動にあたっていた消防職員 2 名
較すると 181% 増である。これには、消防研究所
が殉職したが、この事故を受けて行った小規模実
についてより多くの方に知って頂くため、特に、独
験や火災原因調査活動を研究項目 17「ごみ固形
立行政法人化した平成 13 年以降、近隣自治会へ
燃料(RDF)と火災」で紹介した。また、平成 15 年
の事前案内など広報体制の充実に努めてきたこと
9 月に発生した十勝沖地震、またそれに伴って発
が貢献したと思われる。
生した大型石油タンク火災について、長周期地震
公開された研究項目は 18 で、現在消防研究所
動と石油タンクのスロッシングのメカニズムの説明
が取り組んでいる研究の現状、あるいは既に終了
や、振動台による液面揺動実験を紹介した(写真
した研究の成果を研究 員がパネルやパンフレット
2)。
平成 15 年度一般公開でのアンケートでは、研
を用いて紹介した。いくつかの研究紹介では実演
も行い、来場者の方が体験できる場も用意された。
究の紹介があまりに専門的すぎる、というコメント
なお、今年度も、財団法人消防科学総合センター
をいただいた。それを受けて今年度は、より一層
に協賛出展頂き、災害対応システム等の紹介があ
わかりやすい説明を提供できるよう努力し、結果と
った。
して「わかりやすい」という感想を数多くいただく
公開項目 13「仮想現実災害体験シミュレータ装
ことができた。一方で、消防職員や関係企業の方
置」は、来場者から良い評価を受けた研究紹介の
の中には内容が一般的すぎると感じた方もおられ
ひとつである。この装置は、体験者が特殊なメガ
たようで、今後は来場者の関心や興味に応じた研
ネをかけて大型スクリーンの前に立ち、そのスクリ
究紹介ができるよう努力していく必要がある。
ーンに表示される火災現場のコンピュータシミュレ
今回の一般公開でも、大勢の来場者の方にアン
ーションを通して火災を擬似体験できるものである。
ケートにご協力頂き、公開内容に関するご意見・
火災時にふさわしく避難するためには事前の訓練
ご感想、また今後の消防研究所に期待される事柄
が必要となるが、本当の煙の中で行うことはその
をお聞きすることができた。これらの声を真摯に受
危険性から現実的できない。このシステムでは、
け止め、今後の研究活動、研究成果の普及活動
火 源 に近 づ けは天 井 面 に設 置 された電 熱 ヒータ
や広報活動の充実に努力していきたい。
- 88 -
消研輯報 58
表1
一般公開来場者数
H11
区分
H12
H13
H14
H15
H16
12
14
13
5
13
7
116
172
201
210
153
232
86
47
110
102
114
136
0
2
14
8
19
10
21
44
32
48
59
18
201
152
156
198
286
306
3
3
7
6
7
6
一般
53
16
93
48
136
175
合計
492
450
626
625
787
890
総務省・消防庁
消防大学校学生等
地方公共団体(消防本部等)
国立研究機関等
関係協会等
企業
報道関係
写真 1
写真 2
消防研究所紹介コーナー
(公開番号 1)
十勝沖地震による地震動と
石油タンクの被害(公開番号 9)
表2
一般公開プログラム
番号
公開項目
公開方法
1
消防研究所紹介コーナー
展示
概
要
タッチパネルによる消防研究所の研究体制等の紹介
や、ポスター等での研究紹介、開発した機器の実物
展示を行います。
2
消火用ウォーターミストの
展示
ノズル特性
3
消防研究所の火災原因
散水密度分布測定装置の実演とウォーターミストノズ
ル特性に関するパネル展示を行います。
展示
調査業務
特異火災における火災原因調査業務及び、各消防本
部・消防学校の火災調査・研修業務に対する各種支
援業務を紹介します。
4
5
(財 )消 防 科 学 総 合 センタ
展示
豪雨災害対策のための危機管理・図上訓練システム、
ーの災害対 応システム等
一般市民や消防防災職員向けの消防防災博物館、
(協賛出展)
防災・危機管理 eーラーニングシステムを紹介します。
災害弱者の火災時避難
展示
聴覚障害者に火災の発生を知らせる機器と、自力避
安全のための警報・通報
難 困 難 者 の住 宅 で火 災 が発 生 した場 合 に外 出 中 の
手法
家族等に火災を通報し、外出先から消防へ通報する
システムを紹介します。
- 89 -
消研輯報 58
6
原子力施設災害時の救
展示
助活動支援ロボット
原子力施設災害時の救助活動支援システムとして開
発中の、防護壁ロボットによる、追従移動・連結・壁
の構築と、牽引ロボットによるダミー牽引の展示実演
を行います。
7
リアルタイム地 震 防 災 情
実演
報システム
8
救急業務シミュレーション
地震直後の合理的な応急対応を情報面から支援する
様々な地震防災情報システムを紹介します。
展示
システム
救急要請の発生予測シミュレーションと救急隊運用シ
ミュレーションからなる救急業務シミュレーションシス
テムを紹介します。
9
十勝沖地震による地震動
展示
と石油タンクの被害
十勝沖地震で発生した石油タンクの火災、損傷状況、
および地 震 動 とスロッシング挙 動 の関 係 について紹
介します。また、振動台による液面揺動に関する実験
を行います。
10
防火水槽の経年変化
展示
鉄 筋 コンクリート製 防 火 水 槽 の劣 化 状 況 についての
調査結果を紹介します。
11
林野火災発生危険度・拡
展示
大予測システム
林野火災による被害の軽減を目的として開発している
林野火災の発生危険度と拡大を予測するシステムに
ついて展示します。
12
地下施設内の煙流動性
展示
状
地下 3 階層の建物を想定した模型を展示し、階段室
内の煙流動性状について紹介します。また、地下駅
舎構内火災の煙流動数値シミュレーションを紹介しま
す。
13
仮 想 現 実 災 害 体 験 シミュ
実演
レーター装置
バーチュアルリアリティー技術を利用した火災を擬似
体験できる装置を紹介します。また、ホテル火災を計
算で再現した実演を行います。
14
サーマルマネキンによる
展示
消防隊用防火服の耐炎
サーマルマネキンに着用させた消防隊用防火服を火
炎暴露する試験を実演します。
性能試験
15
エネルギー物質の火災事
展示
例とその危険性評価
花火、肥料、化粧品の原料として広く使われているエ
ネルギー物質に関する最近の事故事例と、その危険
性評価試験方法を紹介します。
16
廃棄物処理施設における
展示
火災安全技術
17
ご み 固 形 燃 料 (RDF) と 火
廃 棄 物 処 理 施 設 における火 災 事 例 および現 在 研 究
中の火災安全対策を紹介します。
展示
災
平成 15 年 8 月に発生した RDF 貯槽火災の写真と消
防 研 究 所 で 実 施 し た 小 規 模 実 験 に つ いて 紹 介 し ま
す。
18
アルカリ金属の燃焼挙
動・火災安全技術
展示
エネルギーや熱の貯蔵媒体として用いられるアルカリ
金属の燃焼性状と火災時の対処法について紹介しま
す。
- 90 -
消研輯報 58
3
全国消防技術者会議
における機器開発のセッションに分けて全体で 25
1. はじめに
消防研究所では、消防防災技術の向上ならびに
件の研究発表が行われた。
消防研究所と自治体消防との交流を目的とした消
防技術者会議を昭和 28 年から毎年開催している。
4. 展示発表
第 52 回目となる平成 16 年度は 10 月 21 日、22
展示発表とは開発した機器を展示してその使用
日の 2 日間、ニッショーホール(東京都港区虎ノ門)
方法や性能等の説明を行うもので、今回は 4 件の
において開催し、全国から延べ 735 人の消防職員
展示発表が 2 日目の昼休みに行われ、説明者と
や消防防災関係者の参加を得た。
見学者の間で熱心な質疑応答が交わされた(写真
第 52 回全国消防技術者
3)。
会議は、後述の会議概要に
5. 技術懇談会
示すとおり、特別講演、研究
発表、展示発表、技術懇談
第 52 回全国消防技術者
会を実施した。なお、週のは
会議では新たな試みとして、
じめから日本 を襲った台風
研究発表者、聴講者、消防
23 号(TOKAGE)の災害対応
研究所研究員が相互に質
のため林消防庁長官の出席
疑・討論できる場として技術
は叶わず、蝶野消防庁審議
写真 1
消防庁審議官挨拶
官から挨拶を頂いた(写真 1)。
懇 談 会 を開 催 した。 技 術 懇
談会は、講演ホール観客席
の 4 か所に、「火災原因」、
2. 特別講演
「感知・消火・避難」、「地
全国消防技術者会議では
震・消防戦術」、「救急・消
消 防防 災に関 連する分 野の
防隊の衛生管理」のテーマ
専 門 家 にお願 いして特 別 講
別 に懇 談 場 所 を設 けて会 議
演をしていただいている。今
参加者が各々興味のある懇
春男氏(京都大学
談 場 所で質 疑 ・ 討 論を行 っ
回は林
防災研究所 巨大災害研究
写真 2
林氏による特別講演
た(写真 4)。
センター教授)に「一元的な
6. おわりに
危機管理体制の必要性」と題して、危機および米、
英、EU 諸国など先進国の危機対応で採用されて
全国消防技術者会議では入場受付の際にアン
い る 非 常 時 指 揮 シ ス テ ム ;ICS(Incident Com-
ケート用紙を配布して参加者から講演項目ごとの
mand System)に関する講演をいただいた(写真 2)。
関 心 の度 合 いや会 議 に対 する感 想 や意 見 をいた
だいている。今回は 162 名から回答を得た。アン
3. 研究発表
ケート回答の中には、
「 研究発表に興味があったが
発表内容に応じて、家庭における火災、火元と
時間が短かった。」、「講演内容をホームページで
その発生メカニズム、建物火災、消防活動、消防
公開してほしい。」、
「会場ロビーを分煙化してほし
- 91 -
消研輯報 58
い」など、今後の全国消防技術者会議の運営の
5
参考となるさまざまな意見をいただいた。
研究発表
セッション 3(建物火災)
(1)
◆会議概要
予防面から見た大規模店舗火災の調査
結果
第1日
1
10 月 21 日(木)
東京消防庁浅草消防署
(2)
消防研究所理事長挨拶
消防研究所理事長
室﨑
益輝
発生する粉塵量と粒径分布について
(3)
消防庁長官挨拶
消防庁長官
(消防庁審議官
林
省吾
蝶野
光)
日本消防検定協会
セッション 1(家庭における火災)
平林
6
光雄
佐藤
廃棄物の蓄熱火災事例と危険性評価
消防研究所
古積
博
神奈川県産業技術総合研究所
若倉
正英
長倉
輝明
(2)
千葉
火災シミュレーションの活用について
東京消防庁消防科学研究所
幸範
(3)
生ごみ処理機の火災実験
東京消防庁荏原消防署
ガラスの破壊に関する研究
東京消防庁消防科学研究所
リコールに結びついたビルトインガスオ
川崎市消防局中原消防署
研究発表
(1)
友保
ーブンの火災事例
(4)
(4)
セッション 2(火元とその発生メカニズム)
吉村
守口市門真市消防組合消防本部
坂本
電対策に関する研究
(2)
鈴木
健司
エステ用 オイルの発 熱 の可 能 性 につい
て
京都市消防局消防学校
(3)
河中慶次郎
等温マイクロカロリーメーターを用いた
自然発火性物質の測定手法について
東京消防庁消防科学研究所
(4)
森尻
宏
微小火源による可燃物の燃焼性状解明
写真 3
に関する調査研究
東京消防庁予防部調査課
喜多
眞一
もりかど放水システム
セルフスタンドにおける顧客の静電気除
東京消防庁消防科学研究所
明彦
の研究開発- 消火戦術実験結果-
五十嵐慶太
研究発表
(1)
飯田
水/空気 2 流体混合噴霧消火システム
横浜市消防局
4
徳夫
セッション 4(消防活動 1)
グリル付きガスコンロによる出火危険
名古屋市消防局瑞穂消防署
(3)
尾島
ハロゲンヒータによる火災実験について
東京消防庁浅草消防署
(2)
信
一酸化炭素センサの性能に関する調査
研究発表
(1)
川瀬
研究
(4)
3
雅人
一般住宅の収容物資材が燃焼する時に
札幌市消防局消防学校
2
石川
洋樹
- 92 -
展示発表(2 日目)
正人
消研輯報 58
セッション 5(消防活動 2)
(1)
火災現場における木造住宅の 2 階床落
下原因に関する調査研究
東京消防庁昭島消防署
(2)
今野
利弘
災害活動時における消防隊員の活動負
荷とヒートストレス発生危険とその対策
札幌市消防局消防学校
(3)
写真 4
トレーニングに関する検証的研究
技術懇談会(2 日目)
(4)
サーマルマネキンを用 いた消 防 隊 員 用
防火服の耐炎性能
隆之
同時多発火災に対する最適消防力運用
箭内
英治
篠原
雅彦
畑野
崇
情報システムを用いたケーススタディ-
東京大学客員教授・消防研究所
関沢
愛
遠藤
真
座間
信作
消防科学総合センター
山瀬
敏郎
東京大学大学院
井出
寛貴
消防研究所
1
村山
とその効 果 に関 する研 究 - 消 防 活 動 支 援
消防研究所
第2日
好弘
消防活動モデルを用いた効率的な体力
東京消防庁消防科学研究所
(5)
橋本
10 月 22 日(金)
特別講演
「一元的な危機管理体制の必要性」
京都大学防災研究所巨大災害研究センター
教授
林
4
春男
研究発表
セッション 6(消防における機器開発)
2
(1)
展示発表
(1)
置の開発について
呼吸管理用訓練人形の開発に関する研
東京消防庁消防科学研究所
究
東京消防庁消防科学研究所
(2)
高 機 能 型 携 帯 警 報 器 及 び隊 員 探 索 装
吉田
(2)
雄太
水/空気 2 流体混合噴霧消火システム
ムに関する調査研究
長野県情報技術試験場
(3)
本所
(3)
正泰
(4)
京都市消防局南消防署
(4)
宗門
Cube)の開発
フジタ
3
常圭
阿部
伸之
須賀
昌昭
久
地震対策用「市民啓発展示モデル」の
名古屋市消防局消防学校
山田
杉山
試作
全身 体 感 型模 擬 火 災シミュレータ(Fire
消防研究所
洋
視覚障害者用、手の平感覚による避難
訓練システム
日野
清水
誘導装置の考察
豪雨災害対策のための危機管理・図上
消防科学総合センター
修平
2.4GHz 帯の電波による映像伝送システ
の概要と開発成果
横浜市消防局
有山
5
6
- 93 -
岳雄
長澤
純一
閉会挨拶
消防研究所理事
研究発表
野村
技術懇談会
消研輯報 58
4
消防防災研究講演会
第 8 回消防防災研究講演会
消防防災研究講演会は、消防防災に関する消防研究所における研究成果および時宜にかなったトピック
ス等をまとまった形で公開の場で発表し、あわせて、参加者と討論する場として平成 9 年度より始められたも
のである。研究講演会の主要な目的は、特定の課題に関係する専門的な知識を有する技術者および研究
者との討議を通じて、課題に関する解決策を模索し、その糸口を見出すことにあるが、あわせてこれらの討
論をふまえ、将来に向けた研究計画の糧を得ることへの利用も期待されている。平成 16 年度第 8 回消防防
災研究講演会が「地震被害軽減に向けての消防研究所での調査研究活動~阪神淡路大震災後の 10 年を
顧みて~」のテーマで下記のように開催された。
1. はじめに
てきた。本講演会では、これまでに消防研究所が
6,000 余命の人名を奪った兵庫県南部地震発生
行ってきた研究の中から主な課題への取り組み・
から 10 年の歳月が流れた。その間、地震動、建
成果について改めて示すとともに、今後の消防防
築、情報管理、通信、交通などに関する様々な学
災分野での地震防災対策、特にその発生が危惧さ
術的活動が行われてきた。そして消防研究所も、
れている南 海トラフ沿 いの巨 大 地 震 等による広
戦後最大の被害をもたらしたこの地震が消防防災
域・甚大・複雑多様な地震被害への対応のあり
分野に与えた様々な課題に対して精力的に対応し
方を考えた(表 1)。
表1
プログラム
地震被害軽減に向けての消防研究所での調査研究活動
~阪神淡路大震災後の 10 年を顧みて~
【開会】
(1)
趣旨説明(防災研究グループ長
座間信作)
【消防活動上の課題と対策】
(1)
同時多発火災に対する消防力運用効果とその最適化(上席研究官
(2)
空中消火および長距離送水システム(救急研究グループ長
金田節夫)
(3)
少量水による大火災の延焼阻止技術(消火研究グループ長
竹元昭夫)
(4)
通信の確保(感知通報研究グループ
関澤
愛)
高梨健一)
【危険物施設の耐震性確保】
(1)
阪神・淡路大震災における屋外タンク貯蔵所の被害状況(基盤研究部長
(2)
十勝沖地震での被害調査と耐震安全性の検討(施設安全研究グループ主任研究官
山田
實)
西
晴樹)
【地震火災への備え】
(1)
市民行動と出火防止(建築防火研究グループ主任研究官
(2)
地域防災活動拠点の火災安全性および水利の確保(施設安全研究グループ長
【情報面からの応急対応支援】
(1)
消防活動支援情報システム(座間信作)
- 94 -
鈴木恵子)
吉原
浩)
消研輯報 58
①
地方自治体の災害対策本部のための地震災害応急対応支援システムの開発(日本学術振興会特
別研究員
②
胡
哲新)
「危機管理対応情報共有技術による減災対策」プロジェクトの紹介(座間信作)
【特別講演】
「消防におけるこれからの地震防災対策」(理事長
室崎益輝)
【閉会】
2. 発表概要
不可欠であることが分かる。
消防研究所ではこれらの問題に対し、消防機関を
[同時多発火災に対する消防力運用効果とその最
支援するためのツールとして、同時多発火災に対
適化]
上席研究官の関沢(東京大学大学院消防防災
する消 防 力 の最 適 運 用 方 法 とその効 果 を迅 速 に
科学技術寄付講座客員教授)により、大規模地震
予測するリアルタイムシステムの研究開発を行って
に伴 う市 街 火 災 発 生 の危 険 性 についての問 題 の
いる。このシステムはどの消防本部でも利用される
整理と、消防研究所で進めてきた同時多発火災に
ことを目的としているため、市販のパソコンの単独
対する消 防 力 の効 率 的運 用あるいはその最 適 化
利用でごく短時間に消防活動支援情報が得られる
を目指した研究の現状について紹介された。
よう、開発を進めている。
兵庫県南部地震のちょうど 1 年前に、米国ロサン
ゼルス市近郊でノースリッジ地震が発生した。これ
[空中消火および長距離送水システム]
ら二つの地震は、都市直下型、明け方の発生、
救急研究グループ長の金田により、大震災時の
など共通する点が極めて多い地震であった。しか
市街地火災において、震災直後の火災現場に消火
し、大規模市街地火災の発生の有無に大きな違い
用水を届けることを目的として検討された「市街地
がみられている。兵庫県南部地震で延焼被害を多
火災に対する空中消火」と「長距離送水システム」
く受けた箇 所 は木 造 密 集 市 街 地 と呼 ばれる地 域
の実 験 結 果 や開 発 された機 器 等 について紹 介が
であった。これは、木造密集市街地がある限り市
あった。
街地大火の危険があることを示している。兵庫県
消防研究所では平成 9 年度から 11 年度にかけ
南部地震は、普段忘れかけている都市大火の潜
て、野外の実規模の火災実験を実施し、空中消火
在的危険性 が大規模地震時には顕在 化するとい
による消火や延焼阻止効果等について検討を行っ
うことを如実に示したものであり、それは現在でも
た。その結果、空中消火法の特性が明らかとなり、
変わらない現実となっている。
火災初期あるいは減衰期、小規模な飛び火火災
一方、地震時の火災に対する消防活動の成否と
のような特定の条件を除けば、ヘリコプターから水
火災被害の様相を左右するのは、地震直後におけ
を投下しても市街地火災を完全に消火することは
る同時多発火災状況と、これに対する消防活動能
困難であることが分かった。一方、その機動性を
力および活動条件とのバランスである。大規模地
考慮して、延焼阻止のための散水や、地上の消火
震時に、もし現有の消防車数を上回る火災件数が
活動拠点近くに消火用水を補給することなどが考
発生すると消防力が劣勢となり、一部の火災は延
えられる。
焼してしまうことになる。このような事態が兵庫県
大地震時には消火栓や防火水槽が使用不能と
南部地震時の神戸市などで発生した。これらのこ
なり、消火用水を確保することが極めて難しくなる。
とから、大規模地震時に同時多発する火災に対し
消防研究所では大震火災時に、海や川などから取
ては、限られた消防力を効率的に運用することが
水し、それを火災現場へ長距離に渡って送水する
- 95 -
消研輯報 58
ことができるシステムを開発した。ひとつは「海水
FireCOS は PHS を基本としており、様々な利点を
利用型消防水利システム」で、大型の消防ポンプ
考慮して内線モードを使用することとした。しかし、
自動車と大口径のホースを展張するためのホース
必 要 に応 じて簡 単 に公 衆 モードに切 り替 えられる
延長車で構成されている。もうひとつは「自然水
機能も持っている。また、到達距離を確保するた
利活用型小型動力ポンプ連結送水システム」で、
め、中継機を増設し、通信を確保することとした。
消防団等で用いられることの多い可搬型動力消防
消防活動時には 1 対 1 のみならず、複数の話者が
ポンプに自動的に、エンジン始動・圧力調整と送
話 したり聞 いたりできる機 能 が必 要 となるため、
水・エンジン停止・待機、を行う機能を付加した
FireCOS には会議室ユニットが備えられ、最大 9
連結送水システムである。
名までの複数話者間会話ができるようになってい
る。さらに、消防隊員が活動中に使用することから、
その携帯性・操作性の改善も図り、また防水性も
[少量水による大火災の延焼阻止技術]
消火研究グループ長の竹元により、消火用水の
付加した。
確保が難しくなる大震火災時において効率的に少
FireCOS は、その基盤として、TCP/IP の通信
ない数量で延焼を阻止するため、水に浸透剤や再
を行うことのできるネットワークを利用しているが、
燃抑制薬品を添加する研究が紹介された。
現 在のシステムではネットワーク構 築の柔 軟性 に
この研究では、薬剤の木材への浸透性と着火に
改善の余地がある。また、地下空間などには中継
関することなどの基礎的な研究と、その結果に基
機を持ち込むことが必要となるが、その際にどのよ
づく中規模 及 び実 大規 模 の延 焼阻 止 実 験を行っ
うにネットワークを構築するかが重要な問題となる。
た。
現在大学等で盛んに研究が進められているアドホ
その結果、1) 延焼阻止剤は、総合的な効果評
ックネットワークは、ある時、ある場所に集まったノ
価では水と比べ数倍の延焼阻止効果があること、
ードにより一時的に構築される無線 LAN ネットワ
2) 炎暑阻止剤で消火するのに要する水量は水の
ークである。今後は、アドホックネットワーク技術を
70% 弱であり、極端に差があるとはいえないかもし
用いた消防活動支援ネットワークの構築や、アドホ
れないが、延焼阻止継続時間を考慮すると延焼阻
ックルーチングプロトコルに対 応 した通 信 端 末 の
止剤の効果が大きいこと、3) 延焼阻止帯は放置し
開発等を進めていく予定である。
ておくと再燃する可能性が大きいため、監視を怠ら
ず、小さな再燃のうちに放水対応することが除姉妹
[阪神・淡路大震災における屋外タンク貯蔵所の
こと、などか分かった。
被害状況]
兵庫県南部地震は一部で震度 7 を記録した直
下型地震であったが、この地震における危険物施
[通信の確保]
火災通報研究グループの高梨より、大震災時に
設の被害状況は、過去の地震で発生した貯油の
は輻輳等により確保が難しくなる通信に関して、消
大量流出のような重大なものではなかった。基盤
防 研 究 所が日 本 ビクター株 式 会 社と共 同で開 発
研究部長の山田實より、阪神・淡路大震災におけ
した FireCOS の紹介と、現在研究を進めているア
る屋外タンク貯蔵所の被害状況について報告があ
ドホックネットワーク技術について紹介があった。
った。
まず、消防無線の現状を調査し、さらに現場の
消 防 庁 では屋 外 タンク貯 蔵 所 の被 害 実 態 を把
要望を知るためのアンケート調査を実施した。その
握し、今後のタンクの耐震性・安全性に関する資
結果からいくつかの改善項目をまとめ、それらを新
料を得ることを目的に、神戸市内の 6 事業所の屋
しいシステムの開発目標とした。新たに開発された
外タンク貯蔵所について現地調査を行った。その
- 96 -
消研輯報 58
結果、被害の状況が明らかとなった。
き屋根式タンクにスロッシングによる貯油の溢流が
タンク本体については、まずタンク側板の座屈が
みられたほか、一部のタンクではタンク外への貯油
発生し、「ダイヤモンド型座屈」や「象の脚座屈」
の漏洩が発生している。浮き屋根が沈没したタン
と呼ばれる形態が観察された。また、タンク側板
クについては、危険物が待機に直接さらされている
直下の基礎が部分的に沈下し、タンク本体が沈下
状態であり、火災となる可能性が高かったため、
した被害も観察された。
応 急 措 置 として泡 消 火 剤 等 を用 いた油 面 の密 封
基礎・地盤については、非特定タンクに著しい
を行った。さらに、根本的な危険排除のため、ほ
沈下及び傾斜が生じていることが特徴としてあげ
かのタンクへの貯油の移送を行い、タンクの開放に
られる。また、地盤の液状化により杭基礎が露出
努めた。
したり、タンクの上下動によりアンカーボルトが引き
今回の地震における被害に鑑み、浮き室の損傷
抜けたり、液状化により地盤が崩壊・き裂したり、
及 び浮 き屋 根 各 部 の強 度 について消 防 庁 などで
噴砂した事例が観察された。
検討が行われ、地震時における浮き屋根の安全性
今回の被害の状況から、特定屋外タンク貯蔵所
の向上が図られる予定である。
の安全性はかなりの水準にあることが認められる。
特に、新基準に従って作成された特定屋外タンク
[市民行動と出火防止]
貯蔵所に関してはほとんど被害の発生は認められ
兵庫県南部地震で発生した火災の状況、出火
なかった。一方で、非特定屋外タンク貯蔵所に関
の防止のための検討、そして市民行動に関する調
していえば、今回の地震による基礎・地盤の液状
査について建築防火研究グループ主任研究官の
化 による損 傷 とこれに伴うタンク本 体 の沈 下 及 び
鈴木恵子より発表があった。
側板の座屈などの被害状況は、その激しさと発生
消 防 研 究 所 では阪 神 地 域 を中 心 として神 戸 市
数 において新 潟 地 震 以 降 比 べるべき事 例 が見あ
の周辺に位置する 23 消防本部に対し、1 月 17 日
たらず、新たな教訓を残したといえる。
から 26 日までの 10 日間に発生したすべての火災
に関する情報の提供を依頼し、その結果、340 件
[平成 15 年(2003 年)十勝沖地震での石油タンク
の火災を把握した。これらの情報は一覧表に整理
被害調査と耐震安全性の検討]
され、研究に活用するとともに他の行政機関や研
平成 15 年に発生した十勝沖地震での北海道地
究者が活用できるよう出版物等を通して公開した。
域における石油タンクの被害の概要について、施
さらに、火災の原因について情報が得られたも
設安全研究 グループ主任研究官の西より報告が
のを用いて基本的な統計分析を実施するとともに、
あった。
個別の火災の発生メカニズムを分析した。その結
この地震では、北海道に設置されている特定屋
果、「通電火災」とは、地震の際に既に火災に至
外タンク総数の 52 パーセントにあたる 190 基が何
る条件が形成されていたが、停電によって出火が
らかの被害を被った。また、準特定屋外タンクでは
猶予され、通電再開を機に火災となったものであ
総数の 14 パーセントにあたる 6 基が被害を受けた。
ると考えられた。また、これを受けて、電力復旧時
このうち、被害程度が甚大なタンクは苫小牧西港
の火災対策が重要であることから、通電火災を防
地域に集中している。
止 するための提 案 として不 可 逆 ブレーカーを開
さらに、火災が発生したタンクを含め合計 8 基の
発・試作した。
浮き屋根式タンク(内部浮き屋根式タンクを含む)
地震火災への住民の関わりや、消失以前の家
において、火災、浮き屋根の沈没、貯油の大量漏
屋の倒壊状況・下記の使用状況などは今後同様
洩などの甚大な被害が発生した。また、多くの浮
な大規模災害の被害軽減方策を検討する上で重
- 97 -
消研輯報 58
要な情報である。このため、日本火災学会による
[消防活動支援情報システム]
アンケート調査が実施され、消防研究所からは 2
地震防災研究グループの座間より、大規模災害
名が参加した。調査項目は多岐に渡っており、回
時 の効 果 的 な情 報 収 集 体 制 としての時 空 間 フレ
答者には負担の大きい調査票であったが、回収率
ームワークについて発表があった。
は大変高かった。また、この調査の二次調査とし
地震等大規模災害時の応急対策を効率的に実
て負傷と医療に関するアンケート調査が実施され
施するためには、地震情報に基づく被害状況のイ
た。また、現在でも震災による死亡者の遺族に対
メージ把握、実被害状況の迅速かつ正確な把握に
するヒアリング調査が継続されている。
基づき、的確な意思決定を行うことが重要である。
消防研究所では、兵庫県南部地震での自治体に
[地 域 防 災 活 動 拠 点 の火 災 安 全 性 および水 利 の
よる被害 情 報 の収 集 状 況に関する調 査 検 討 結 果
確保]
に基づき、効率的な収集体制としての時空間フレ
阪神・淡路大震災において問題点が明らかにさ
ームワークを提案した。そして、これらの成果を踏
れた地域防災活動拠点の火災安全性と水利の確
まえ、実用化、消防本部等への普及を念頭に置い
保について、施設安全研究グループ長の吉原より
た地震等大規模災害時の消防活動を支援する情
発表があった。
報システムのプロトタイプを構築した。
消防研究所では、樹木と水幕の併用による放射
このシステムは、情報の空白を如何に埋めるか、
熱低減に関して模型実験を行った。また、有風時
どのように災害現場の情報を収集するか、その情
における火 災 熱 気 流に対する地 域 防 災活 動 拠 点
報を如何に確実に消防本部等へ伝えるか、その情
の安全性を検討するため、樹木による模型実験と
報を如何に消防活動に活用するか、という観点か
数値シミュレーションを実施した。これらの実験結
ら構築することとした。
果などから、地域防災活動拠点のモデルについて、
まず地震被害の程度に関するイメージ把握が必
学 校 の場 合と講 演 の場 合 についてそれぞれ提 案
要なことから、全国どこでも容易にしかもほぼリア
した。
ルタイムに被 害想定が可 能な簡易型 地震被 害想
地震時には消火栓が損傷することがあり、特に
定システムが開発された。また、消防活動に必要
自然水利の乏しい地域では防火水槽は重要な水
な正確な被害情報を収集するため、地図を搭載し、
利である。しかし、地震時には防火水槽も損傷を
簡 単 に被 害 情 報 を電 子 化 して収 集し消 防 本 部 等
受けることが少なくなく、実際阪神・淡路大震災に
へ伝送可能な携帯型システム、および GPS を搭
おいても被害を受けている。この被害を調査するこ
載 しナビ機 能 も備 えた車 載 型 情 報 端 末 の開 発 を
とにより、防火水槽の設置年代と被害の関係、ま
行った。また、PHS の移動体通信技術を基盤とし、
た防火水素の設置箇所と被害の関係を調べた。そ
TCP/IP のネットワーク技術を用いて開発した独自
して、1964 年以前に設置され、かつ道路下の防
の通信システム FireCOS も用いられる。また、ベ
火水槽に漏水に至る被害多く発生している傾向が
ースマップの設定や被害データの管理、シミュレ
認められた。また、国庫補助基準で建設されたも
ーションサーバ等の機能を備えたホストコンピュー
のに漏水に至る被害は発生していなかったことか
タ、そしてリアルタイムに延焼を予測するシステム
ら、国庫補助基準は充分な耐震性を有していると
が開発されている。
考えられる。しかし、底板と底設ピットの接合部に
ついては、今後漏水対策を検討する必要があると
[これからの情 報 システム(1) 地 方 自 治 体 の災 害
考えられる。
対策本部のための地震災害応急対応支援システ
ムの開発]
- 98 -
消研輯報 58
日本学術振興会の特別研究員で、第一プロジェ
防災科学技術研究所が各機関となって 3 年間
クトグループで研究をしている胡より、大震災時に
(H16-18)行う「危機管理対応情報共有技術による
防災担当者が迅速かつ適切な判断を下すための
減災対策」プロジェクトについて、防災研究グル
支援システムについて発表があった。
ープ長の座間より発表があった。
大震災時における災害対策本部の応急対応の
このプロジェクトは、危機管理対応のための汎用
プロセスは、発災後の状況変化に応じて修正され
的かつロバストで導入・更新が容易な災害情報共
ていくため、「状況把握」- 「意思決定」- 「対
有プラットフォームを開発し、IT を活用した情報収
策実施」の繰り返しとなると考えられる。阪神・淡
集・被害推計・対応支援システムを統合し、情報
路大震災後多くのシステムが開発されたが、それ
の共有化により住民と連携して実効的に減災を実
らのほとんどは「状況把握」に主眼をおいている。
現する総合システムを開発することを目的とする。
しかし、状況把握はあくまでも必要条件であり、そ
自然災害・人為的災害に対し様々な機関がハ
れだけでは適切な意思決定をすることはできない。
ード面やソフト面から個別に対応を進めているが、
このため、消防研究所では、前述の過程に必要な
それらの機関の間での情報共有が進んでおらず、
多種多様な支援情報を一元的に提供すると共に、
効果的な事前対策の展開や被災状況の全体的な
平常時から組織・人とものを動かすことが可能とな
掌握が必要な発災後の緊急対応に障害が生じる
るためのツールを提供するための研究を行ってい
ことも懸念されている。さらにそれら機関と地域防
る。
災 力 を担 う住 民との間 の災 害 情 報 の共 有が不 十
こうしたシステムは実際に活用されなくてはその
分な現状にある。そのため、普遍的な情報共有プ
価値を持たないため、このシステムの開発方針は、
ラットフォームを創設し、災害情報の共有を進める
全国への拡張性を持つこと、地方自治体が容易に
ことが効果的な減災を実現する上で愁眉の課題と
導入できること、とした。「状況把握」のために、
なっている。
地震直後に被害を予測する機能、被害量に対する
このような災害情報の共有は府省庁の主管する
対応需要量の推定、そして対応可能量の推定機
分 野 の情 報 の特 性 を的 確 に分 析 した上 で進 める
能を備える。「意思決定」支援のために、対策項
必要があり、大学や単独府省庁の主管する研究機
目の実施基準ルールと対策を実施すべきタイミン
関だけでは実施が不可能である。さらに、災害情
グの決定ルールを備える。また平常時の防災対策
報の共有化及びその利活用の観点から、交通・
のため、被害想定、応援需要評価、防災資源の
通信・エネルギー等のライフラインを維持管理する
管理機能などを備える。
企業群が参画することで、社会的・実効的な価値
今後、これらの機能要件を満たすサブ機能とし
を高めることができると期待される。
て積み上げ、さらに全体のシステム構築へと進めて
本プロジェクトは従来から声高に言われ続け、し
いく。
かしなかなか手が付けられなかった情報の共有化
に向けて、少しでも進むことができればとの思いで
いる。
[これからの情報システム(2) 「危機管理対応情報
共有技術による減災対策」プロジェクトの紹介]
- 99 -
消研輯報 58
5
消防防災機器の開発・改良及び
消防防災科学論文に関する消防庁長官表彰
自治体消防制度 50 周年を記念して、消防庁は平成 9 年度から消防科学・技術の高度化と消防防災活
動の活性化に寄与することを目的に消防防災機器の開発・改良及び消防防災科学に関する論文を募集し、
優秀な作品を消防庁長官が表彰する制度を創設した。平成 13 年度からは、平成 13 年 4 月に消防研究所
が独立行政法人化されたことに伴い、消防庁と独立行政法人消防研究所の共催で行われることとなった。
平成 16 年度には第 8 回が実施され、文書による募集案内、消防紙誌、各種消防関係団体の機関誌へ
の募集広告及びインターネットへの掲載等により広く作品を募った結果、80 編の作品の応募があった。応募
作品は、学識経験者及び関係行政機関並びに関係団体を代表する者からなる表彰選考委員会において審
査され、13 編(入選 11 作品、奨励賞 2 作品)が表彰作品となった。
表彰作品
1
優秀賞(11 編)
【消防吏員・消防団員等による消防防災機器の開発等】
(1)
4編
狭隘箇所から脊柱固定し救出できる器具の開発
川越地区消防組合消防本部
(2)
坂本
隆之、下立
【消防吏員・消防団員等による消防防災科学論文】
(2)
(3)
行夫
梅崎
淳、本村
大介
一之、上村
雄二
賢一郎、鬼木
広明
好弘、岡田
倫子
毅、岩脇
正芳
徹、佐々木
4編
焼死者防止を目指した火災調査結果の活用について
神戸市消防局
土本
福岡市消防局
岡
IC タグを活用したトリアージ作業の有効性について
当市における「包括的指示下の除細動」に関する検証とその効果について
福岡市消防局
(4)
岩島
潜水作業用バディロープ収納器具の開発
福岡市消防局
(1)
登
携帯電話を利用した災害把握システムの開発
坂田消防本部
(4)
洋一
「破壊工作車」の考案について
旭川市消防本部
(3)
新井
木下
和久、高木
高所から低所への放水体形について
京都市消防局
中村
正、長澤
【一般による消防防災機器の開発等】
一雄、田中
2編
- 100 -
康博、宮木
崇志、中川
消研輯報 58
(1)
地下式消火栓・防火貯水槽鉄蓋の標識灯の開発
尾崎工業株式会社
(2)
財団法人滋賀県産業支援プラザ
株式会社立売堀製作所
【一般による消防防災科学論文】
川崎
櫻井
雅生
淳
辻
則男
拝師
知行
仁、今井
隆夫
1編
低酸素空気による救命消火ガス供給インフラシステムについて
株式会社大同
2
逸
ゴミ焼却ピットの自動消火火災検知・システムの開発
滋賀県東北部工業技術センター
(1)
尾崎
奨励賞(2 編)
(1)
組立式救命発射装置
多野藤岡広域市町村圏振興整備組合消防本部
(2)
中村
消防広報におけるカードゲームの活用について
茅ヶ崎市消防本部
- 101 -
三町
永則
消研輯報 58
平成 16 年度優秀賞
消防吏員等による消防防災機器の開発・改良
「狭隘箇所から脊柱固定し救出できる器具の開発」
川越地区消防組合消防本部
新井
洋一
1. はじめに
頭部固定は、後頭部を固定する部分と前額部・
交 通 事 故 現 場 などにおける高 エネルギー事 故
下顎部を固定する部分から構成されています。
では、受傷から手術などの治療が 1 時間以内に開
後頭部を固定する部分はウレタン製で、テント
始されるか否かで、生死を分けるとされています。
地にて被覆しました。
そのうち、現場活動に許されるのはわずか 10 分
間です。そのなかで、最も重要な応急処置が脊柱
全体を分解した図
後頭部を固定
する部分
固定による脊髄保護です。しかし、現在使用して
前額部・下顎部
固定ベルト
いるバックボードでは狭い空間で脊柱固定ができ
胸部・腰部
ベルト
ず、車外へ慎重に移動してから固定するため、時
ボード
間を要しているのが現状です。
また、専用住宅でも、狭隘な階段や 3 階建が増
臀部保持
シート
えており、階下への搬送は布担架のため、傷病者
へ不安を与えているのが実状です。
写真 1
そこで、ショートボードと布担架の長所を生かし、
狭い空間でも脊柱固定ができ、そのまま救出搬送
組み立てた状態図
出来るものを開発しました。
2. 構造(写真 1、2 参照)
40
140
脊柱固定器具はボードとシートで組み合わされ、
全てのパーツを交換できるように脱着式にしました。
ボードは頭部から腰椎まで、シートは臀部が保
38
持できるように設計されています。ボードは四隅を
隅切りし、10 箇所に取手用の穴を開けて搬送及び
写真 2
固定を容易にしました。
シートは、強度を確保し洗浄を容易にするため
前額部・下顎部を固定する部分は、バンドと D
にテント地を使い、ボードとの接続部分にはマジッ
環を取り付けてあり、バンドは顔面の当たる部分に
クテープを取り付けました。さらに、搬送を容易に
ウレタンを貼り付け、違和感無く固定できるように
するため両脇各 2 箇所に取手を付けました。
しました。固定方法は、バックボードと同様で D
環に通しマジックテープで留めて頚椎の固定をし
胸部・腰部の固定方法は、ボードの取手部分に
ます。
ベルトを通して左右から同時に締め付けて脊柱を
最後に、脊柱固定器具は一切金属を使用してい
動揺させずにマジックテープで固定します。
- 102 -
消研輯報 58
ません。そのため、固定した状態で X 線検査を受
けられます。
3. 使用方法
(1) 車内からの救出
今回試作した脊柱固定器具は、車内で固定して
から安全に救出・搬送できるものです。
①頸部固定用副子で頸部固定後、シートと背部の
間に脊柱固定器具を差し込みます。その場で、胸
部・腰部をベルトで固定します。(写真 3 参照)
写真 5
②前額部・下顎部の固定を専用バンドで固定しま
す。この時点で脊柱固定完了します。(写真 4 参
照)
写真 6
(2) 狭隘箇所での搬送
写真 3
現在、狭隘な箇所や階段では布担架を使用して
いますが、傷病者の体位が安定せず不安をあたえ
てしまいます。また、隊員への負担も大きくなって
います。(写真 7 参照)
今回試作した脊柱固定器具での搬送は、傷病
者の上半身を固定できるため体位も安定します。
また、背部のボードに取手を取り付けたことにより
隊員への負担が軽減することができました。(写真
8 参照)
写真 4
また、従来の布担架では、搬送に 3 人必要でし
③車外救出するために臀部保持シートを臀部の下
たが今回試作した脊柱固定器具では隊員 2 人で
に引き出します。この時には、傷病者の腰を少し
搬送できるようになりました。
持ち上げシートの取手を持ち、ひざの裏まで引き
出します。これで、装着完了です。(写真 5 参照)
4. 特徴
④反転する時に脊柱を動揺させずに救出でき、固
①脊柱固定に優れ、救出及び救急支援活動中に
定状態で安全にストレッチャー上まで搬送できます。
おける二次損傷の防止が図れる。
(写真 6 参照)
②装着が簡単で素早い対応が可能である。
- 103 -
消研輯報 58
③従来、最低 3 人必要であった救出活動が 2 人で
も可能になる。
④シート部分は、脱着式としたため交換が可能で
ある。
⑤合板部分及びシート部分には、撥水加工が施さ
れているため洗浄が容易である。
5. おわりに
今回、考案試作した脊柱固定器具の使用結果
は極めて良好でした。今後、更に改良を進め研鑚
を図って参りたいと思います。
写真 7
写真 8
- 104 -
消研輯報 58
平成 16 年度優秀賞
消防吏員等による消防防災機器の開発・改良
「『破壊工作車』の考案について」
旭川市消防本部
坂本
隆之、下立
1. はじめに
登
行時及び活動時の安全を確保するため、キャビン
近年、消防が直面する災害は、大規模・多様
を 2 名乗車に改造するとともに油圧ショベルローダ
化、特殊化の傾向にある中、火災現場や建物倒
ー特有の走行中の死角を解消するため、運転席で
壊 現 場 における消 防 活 動 上 障 害 となる物 品 の除
操作確認ができる液晶型サイドモニター及びバッ
去や危険要素の事前排除、壁面を破壊しての屋内
クアイモニターを装備した。ポンプ装置については
への直接注水による消火作業、土砂災害現場にお
搭載せず、車体後部に取付けた中継口から送水を
ける重量堆積物の排除等、人力では成し得ない消
受け、放水角度と放水形を運転席からの遠隔操作
防活動を行うことのできる機械器具の整備が求め
で行うことができる構造とした。
られている。このような状況を踏まえ、人命検索救
助の迅速化と消防隊員の安全確保、さらには、災
4. 各部の主な改造及び装備状況
害による被害の拡大を防ぐことを目的として新たな
(1) 中継口
機動力を考案し、開発したものである。
車体の旋回時に生ずる中継ホースの左右の移
動に伴う引きずり等の負担を軽減するため、スイベ
ル式媒介金具を使用した。(写真 5,6 参照)
2. 導入の経緯
旭川市では、平成 14 年 5 月早朝に発生した火
(2) 水管構造
災において、消火活動中の消防隊員が大型看板
水管は、メイン水管とサブ水管(自衛噴霧機能)
の 2 系統とした。
等の落下・下敷きにより殉職に至った教訓から、
隊員の安全確保を第一優先に掲げて、活動障害と
送水系の構造・材質については、ブーム、アー
なる大型看板等の排除機能をはじめ、事前の局部
ム、バケットには鋼鉄製の固定配管とし、メイン水
破壊、モルタル壁等の排除、さらには一刻を争う
管の屈折部は、2 インチ低圧油圧ゴムホース、サ
救 助 活 動 を効 果 的 に支 援 するための放 水 機 能 を
ブ水管は 1 インチ低圧油圧ゴムホースを使用した。
装備した破壊工作車の開発導入に至ったものであ
なお、屈折部の油圧ホースは、耐熱性と美観性を
る。
考慮し、石綿で一旦被覆したその上からステンレス
製網で覆う構造とした。(写真 6,7,8,9,10,11 参照)
(3) 自衛噴霧構造
3. 破壊工作車の構造
この車両は、ホイール式油圧ショベルをベース
中継口から元バルブを介して分岐したサブ水管
に、アタッチメントにつかみバケットを採用し、かつ、
を、アームの中間で両側に分岐し、アーム先端ま
バケット本体上部に放水ノズルを組込んだ構造と
で伸ばしてノズルを取付けた。ノズル操作は、手
した。また、作業高さを確保するため、標準アー
動で、棒状と噴霧の切替えを行う。放水操作は、
ムに変えてスライドアーム(写真 21 参照)を採用し、
運 転 席 から開 閉 用 電 磁 バルブを遠 隔 操 作 できる
このアーム上に自衛噴霧機能を備えた。さらに、走
方式のものとした。(写真 6,7,13 参照)
- 105 -
消研輯報 58
(4) ブレード「ハイド板」
イ
活動時の緊急避難的操作の必要性から、安定
放水ノズルの取付け場所
ピラニアバケット外側中央部の凹みを利用し、一部、
装置として許容範囲内であるブレードを採用した。
外付けとした。
(写真 4,14 参照)
このことから、バケットの有効容積については 100%
(5) ルーフ
確保できた。
作業時の情報視界の確保のため、ルーフ全面を
ウ
水管系の残水処理
強化ガラスとした。
中継口を含むエンジン上部に水平配管があるが、
(6) プロテクター「防護枠」
この配管上にドレンの取付場所がなく、排水に支障
活動時における操作員の安全確保のため、フロ
が生じるため、取付け金具等の傾斜調整を行い、
ントガラス及びルーフガラスに保護用鋼鉄製プロ
自然流下による残水処理ができる構造とした。
テクターを取付けた。フロントのプロテクターは走
エ
行 時の視 界 確 保 及び積 載スペースを考 慮した 2
汎用品として信頼性のある、既製品の YONE 製
分割の取り外し方式とした。また、ルーフのプロテ
品を採用した。
放水系遠隔操作
クターは固定とし、上部に赤色回転灯を設置した。
(写真 8,15 参照)
6. 破壊工作車により、可能な主な活用内容
(7) モニター
主に、次に掲げる活動を基本とし、各種災害活
右サイド及び後方の死角解消のため、単独又は
動における機動力として活用するものである。
併用画像の自由選択機能を備えた液晶画像のサ
(1) 木造・モルタル造 3 階建ての建物を中心に、
イドモニター及びバックアイモニターを運転席に装
火災時に生じるモルタル壁等のはく離及び看板等
備した。(写真 7,16,20 参照)
障害物の排除活動
(2) 木造・モルタル造建物の外壁破壊による消防
5. 考案する上で特に検討を要した項目
隊進入口の設定活動等
(1) 乗車定員の 2 名確保
(3) 屋内・屋外の放水活動
(4) 低層建築物における排煙口の設定活動
標準車は 1 名キャビンであるが、2 名乗車を可
能とするスペースの確保に大幅な改造が必要とな
(5) 路面上の活動障害物の排除
った。キャビンの改造では、同型のキャビンを 2 個
(6) 交通事故等における事故車両等の牽引、移動
用い、双方の必要な部分を残して各々切断し、エ
及び排除活動
ンジンルームに触れることなく走 行 体 部 分 を最 大
(7) 救急・救助現場における補完的活動
限活かし合体させ、キャビン全体を前方へ移動さ
(8) 水防活動時の土砂の移動、流木等の排除活
せた。
動
(2) 水管系統
(9) 各種自然災害発生時等における土砂、倒木等
の排除活動
ブーム、アーム、バケットの屈折部及びスライド
アームの伸縮部における「たるみ」の吸収、耐熱、
(10)落雪事故時の除排雪活動
耐寒及び耐久性の確保、並びに、残水処理の方
(11)残火 処 理 及び火 災 原 因調 査 等における放水
法については、次のとおりとした。
併用活動
ア
フレキシブル部分の水配管
屈折部の耐久性に優れ、また、油圧作用に伴う高
7. 今後の研究・改良点
温・高圧に耐え、さらに、耐寒性を有している重
(1) 放水配管の改良
放水配管については、電磁バルブとブーム間に
機用低圧ゴムホースを選択した。
- 106 -
消研輯報 58
おいてエンジンルーム上でスライド方式となってい
下での活動を強いられている。こうした中、現場に
るため、摩擦が一部生じることになり、この摩擦は、
おける潜在的危険要因等の事前排除は、人力で
水管の耐久性に直ちに影響を与えるものではない
は困難な場合が数多く存在している。特に、落下
が、より摩擦部を減少させるため新たな機構を開
物により隊員が下敷となるなどの事故が発生した
発する必要がある。
場合、人力では排除が不可能、または排除に長
(2) アタッチメントの選定
時間を要するケースが多く、救出以降の予後にお
バケットは上下のみの動きであり、外壁に取付け
いては早期救助が大きく影響するため、これらを解
られた活動障害物を効率よく排除するためには、つ
決する一つの手段として、破壊工作車の導入につ
かみ機能に回転力を持たせる必要がある。
いて積極的に検討し、整備した大きな経緯がある。
(3) キャビン昇降ステップの改良
私達は、現場経験にもとづく消火及び救急・救助
乗車員の昇降用ステップは、ハブホールを利用
活動等が、効率良く、しかも安全かつ確実に行う
した車輪型としたが、より安全面に配慮した踏み面
ことができるよう、隊員のみならず要救助者の安全
の形状、取付け位置等の検討が必要である。
確保を常に念頭に置き、機会を捉えながら必要な
検証を行うとともに、機器の開発と工夫に今後とも
8.まとめ
取組んでいく所存である。
消防隊員は、その使命達成のため過酷な状況
写真 1
写真 3
写真 2
車体右側面写真
写真 4
車体正面写真
- 107 -
車体左側面写真
車体後部写真
消研輯報 58
写真 5
写真 6
中継口スイベル金具写真
写真 7
写真 9
写真 11
写真 8
水管構造
水管分岐構造写真
水管及びルーフ構造
ブーム・アーム間の状況
写真 10
アーム・バケット間の状況
遠隔コントロールノズル
写真 12
遠隔コントロールスイッチ
- 108 -
消研輯報 58
写真 13
写真 15
写真 16
フロントプロテクター
写真 17
写真 19
写真 14
サブ水管放水ノズル状況
モニターカメラ状況
写真 18
収納ボックス
写真 20
サブ水管・サーチライト
- 109 -
ブレード状況
改造収納ボックス
液晶モニター
消研輯報 58
写真 20
写真 19
サブ水管・サーチライト
- 110 -
液晶モニター
消研輯報 58
平成 16 年度優秀賞
消防吏員等による消防防災機器の開発・改良
「携帯電話を使用した災害把握システム」
坂田消防本部
岩島
行夫
1. システム概要
機能をもたせてあります。
災害時における初動対応や広域応援等を効果
3. 活用想定
的に行うには、迅速・的確に被害状況を把握する
ことが必要です。中でも、被害状況を把握する手
警防活動全般での画像情報の伝送及び収集。
段として映像の活用は非常に有用であることは言
うまでもありません。しかし、カメラ等の映像伝送
4. 画像取得送信要領
システムは高額な予算を伴うことから、小規模な消
(1) 画像撮影
防本部では整備出来ないのが現状です。そこで、
①携帯電話のカメラ機能を起動させ撮影。
市販の機器を利用することで画像伝送できないか
② メールに画 像 を添 付 させ指 定 アドレス(サー
研究した結果、容易に画像を撮影し送信できるカ
バ・画像閲覧管理システム)へ送信。
メラ付き携帯電話に着目しました。最近のカメラ付
(2) 画像の閲覧(パソコン及び携帯電話)
①Internet explorer を起動し、閲覧サイトに接
き携帯電話の画質は極めて鮮明で、画像情報とし
て利用するには十分な画質です。災害現場状況を
続。(携帯電話はインターネット機能を使用)
撮影し画像をメールに添付して指定サイトへ送信。
送信された画像は市販の画像収集・管理ソフトで
②メイン画面からログイン(ID とパスワードを入
力)し画像閲覧。
自動ファイリングされます。通信指令室や応援隊等
が閲覧するには、インターネットや携帯電話から指
5. 効果
定のサイトへアクセスして閲覧します。
(1) 日 常 的 に使 用しているカメラ付 き携 帯 電 話 を
使用することから、操作が簡易で、しかも、低コス
2. 使用器材
トで映像を取得送信できます。
(1) カメラ付き携帯電話
(2) 画像を閲覧するには、インターネット環境があ
画質や携帯電話の通信速度を考慮し、有効画
るパソコン及び携帯電話で可能なことから、応援
素数 200 万画素搭載カメラ付き第 3 世代携帯電話
隊が出場途上に、あるいは意思決定者が自宅や
(W-CDMA 方式)で検証しました。
外出先で災害状況を把握することができます。
(2) 画像管理ソフトウェア(市販ソフト:m@photo®)
(3) 一般的な情報収集はもとより、救急・救助事
案において、搬送先医療機関の待機医師が傷病
「画像管理ソフトウェア」は市販ソフトウェアで、
写真付き電子メールや i アプリで遠隔撮影した画
者搬入前に現場の画像を閲覧することで、早期に
像を、自動的にファイリング。登録された画像はリ
受傷機転や傷病者の状態を確認することができま
アルタイムで Web、i モードで閲覧できます。閲覧
す。
はユーザーID とスワードでの認証によりログイン
(4) 自然災害等、広範囲な災害時に、消防団や一
- 111 -
消研輯報 58
般住民から情報を得る手段としても期待ができま
6. 結語
す。
(5) 画像が鮮明なことから、集団救急災害におい
災害画像情報の有効活用は、小規模な地方消
て、トリアージ・タッグをビジュアルメモとして撮影
防にとっては長年の課題でした。しかし、公共ネッ
送信し、対策本部等で集計できるといった使い方
トワークや市販の器材を有効活用することで、専門
も可能となります。
的で高額な器材を整備することなく、その効果が
(6) 送信画像は保存されるため、事後検証や教育
得られました。
訓練に使用できます。
図表 1
【画像の送信及び閲覧の概要】
災害映像撮影して送信
送信
画像管理 Server
送信画像のファイリング
画像閲覧
パソコンまたは携帯電話で専用サイトへアクセスし画像を閲覧
- 112 -
消研輯報 58
図表 2
○携帯電話
【画像管理ソフトの閲覧メイン画面】
○パソコン
ID・パスワードを入力してログイン
ID・パスワードを入力してログイン
【閲覧画面】
画像を選択し表示
サムネイル画面から画像選択
図表 3
【画像管理ソフト管理者画面】
管理者画面では、ソフト全体の設定をリアルタイム
で操作できます。
メイン画面
詳細画面
撮影日時・コメントも表示
記載できる
- 113 -
消研輯報 58
『各種設定画面』
タイトル編集
分類登録
ログ管理
ユーザー管理
設定ファイル管理
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消研輯報 58
平成 16 年度優秀賞
消防吏員等による消防防災機器の開発・改良
「潜水作業用バディロープ収納器具の開発」
福岡市消防局
梅崎
徹、佐々木
淳、本村
大介
(6) 収納するバディロープには、撚り、キンクが生
1. はじめに
じにくく作業性が高い編み被覆ロープ(長さ 10m、
水難事故 現 場で潜水作 業を行う場合 に必要不
可欠なバディロープですが、その取り扱いについて
直径 6mm)を使用した。
は、水中という特殊な環境が影響していくつかの
(7) 蛍光加工が施された編み被覆ロープを使用し
問題点があります。
た。
(1) 携行する際、かさばり邪魔になる。
(説明図 3、4)
(2) 展張、収納作業の際、ロープをもつれさせる
3. 使用方法
おそれがある。
(3) 視界不良時の収納作業が困難である。
試作した収納器具の使用方法について紹介しま
(4) 収納状態が不良の場合、水中拘束の原因とな
す。
る。
(1) 携行要領
(5) 長さ調整が難しい。
(2) ストッパー操作要領
これらの問題点は、潜水作業の障害となるばかり
(3) 展張要領
か、重大な事故につながる危険性さえも併せ持っ
(4) 収納要領
ています。
(説明図 5、6、7)
(説明図 1、2)
4. 開発の効果
2. 器具の概要
今回開発した「バディロープ収納器具」を活用
することで
以上の問題点を解決し、潜水作業全般の安全
性、作業性を向上させるために、バディロープを
(1) かさばるロープを容易に携行できる。
収納するための器具を開発しました。
(2) 展張、収納作業を簡素化できる。
開発のポイントは以下のとおりです。
(3) ロープをもつれさせる等のトラブルを防止する
(1) リール巻取り式の収納器具とした。
ことができる。
(2) 回 転 部 を固 定 するためのストッパーを取 り付
(4) バディロープによる水中拘束を防止することが
けた。
できる。
(3) 本体部には持ち手を、回転部にはハンドルを
(5) 長さを容易に調整できる。
取り付けた。
(6) ロープに蛍光加工がなされているので暗中、
(4) ロープをスムーズに出し入れできるようにロー
夜間の視認性が高い。
プガイドを取り付けた。
等の効果を得ることができ、潜水作業全般の安全
(5) 固定用の環を取り付けた。
性、作業性が大幅に向上するものと思われます。
- 115 -
浮上開始
・・・・
しばらく待て・・・
結索中,
説明図 2
従来の問題点
・・・
- 116 -
?
説明図 1
ロープ落とした!
それがある。
いかんっ,
際,支障となるお
さぁ,行って来い!
バディロープ
潜降ロープ
環状捜索全体図
潜降や浮上する
浮上できず・・・
なりかねない。
水中拘束の原因とも
展張の長さを調整するためにロープの途中で結索をしなければならない。
従来の問題点
り,もつれさせるおそれがある。
展張作業の際,ロープを落とした
潜りづらい!
ばり邪魔になる。
潜降時,バディロープがかさ
消研輯報 58
- 117 -
右側面図
18
上面図
説明図 4
左側面図
14
9
正面図
(単位cm)
蛍光加工)を設定したところ。
器具の概要
寸法
バディロープ(編み被覆ロープ 長さ10m,直径6mm
15
持ち手
固定用環
回転用ハンドル
回転部
説明図 3
ロープガイド
器具の概要
ストッパー
消研輯報 58
よしっ!
説明図 6
展張開始!
親指でストッパーを解除,ロープを繰り出
- 118 -
使用方法
能,結索する必要がない。
長さ調整もストッパーを掛けるだけで可
して展張する。
説明図 5
押さえ解除してロープを繰り出す。
浮上
携行する場合は固定用フックを浮力調整具のフ
使用方法
転部がロックされる。
指を外せばストッパーが戻り回
ことがない。
になることがないので,潜降,浮上中の支障となる
ロープはストッパーで固定されておりバラバラ
ック等にかけて携行する。
ストッパー操作要領
ストッパーはスプリング式,指で
固定用フック
潜降
携行要領
消研輯報 58
カチカチカチ
- 119 使用することができる。
収納したロープは繰り返し
こっちだよ!
説明図 7
るのでロープが逆戻りすることがない。
使用方法
る。
ことが可能とな
の隊員を誘導する
収納しながら索端
ハンドルで回転部を回し,ロープを巻き取っていく。スプリングによりストッパーが効いてい
収納要領
消研輯報 58
消研輯報 58
平成 16 年度優秀賞
消防吏員等による消防防災科学論文
「焼死者防止を目指した火災調査結果の活用について」
神戸市消防局
土本
一之、上村
雄二
(3) 神戸市消防局独自の火災調査項目
1. はじめに
"火災から市民を守る"ことは、消防の使命として
神戸市消防局では、
「火災報告取扱要領」に基
当然であるが、中でも火災から命を守る"焼死者防
づく調査項目以外にも独自の調査項目を加え、多
止"は、消防にとって最優先すべき使命である。
種細部にわたる情報を火災現場から収集している。
焼死者を防止するには、焼死者が発生した火災
特に死傷者の項目では、死傷者の身体的状況、
を詳しく調査し消防行政推進のための情報を得る
行動状況等が取れるように細かく項目が分かれて
とともにこれらの情報を集計・分析して消防施策に
いる(資料「表 1
活かしていかなければならない。
一覧」参照)。
神戸市消防局独自の調査項目
このように火災調査は、消防行政の中でも消防
行政全般の基盤づくりのための重要な任務を持っ
3. 焼死者防止に着目した火災調査データの活用
ている。今回、消防にとって最優先すべき使命で
(1) 焼死者防止に着目したデータの集計・分析
ある焼 死 者 防 止 に向 けて火 災 調 査 で得 た情 報 を
平成 15 年度に過去の火災調査蓄積データ(平
効果的・効率的に活用する方策を検討し、その結
成 10 年~平成 14 年)をもとに集計・分析を行い、
果として「焼死者データベース」システムを構築し
「神戸市の死傷者に関する統計」としてまとめ、
たので報告する。
焼死者防止施策の資料を作成した。
まず初めに、その資料をもとに現在実施している
2. 火災調査の内容
火災調査の調査項目の内容が充足されているか、
(1) 火災調査の範囲
また、十分なデータ集計・分析を行うことが可能
火災調査は、「出火原因(発火源、経過、着火
物、出火箇所)」、「延焼拡大原因」及び「損害発
かどうかを考察した。
(2) 「神戸市の死傷者に関する統計」の内容
生原因(人的被害、物的被害)」の 3 つの範囲につ
「神戸市の死傷者に関する統計」は、火災によ
いて実施し、その結果を「火災調査報告書」や数
る死 傷 者 に関 係 する火 災 デ ータ項 目 のクロス集
値化・コード化し「統計資料」等としてまとめてい
計・分析結果を一覧表やグラフ等に表し、死傷者
る。
発生傾向をまとめたものである。
(2) 人的被害の火災調査の項目
集計・分析項目が多いので、目次を『資料
図
人的被害の調査、特に焼死者防止は、消防に
3-1「神戸市の死傷者に関する統計」の目次』に
とって最 重 要 項 目 であるため「 火 災 報 告 取 扱 要
示し、その中から焼死者の分析内容 3 例(下記ア
領」にあるように多くの火災調査項目がある。
~ウ)について次に紹介する。
ア
人的被害を含む損害発生原因の調査は、火災
住宅火災における焼死者と出火原因の状況
住宅火災の出火原因を「死者の発生数」で分
により発生した損害状況を数値化・コード化するこ
類すると、『資料
とで客観的に被害の大きさを示すものである。
- 120 -
図 3-2
出火原因別の住宅火
消研輯報 58
災死者数』の「棒グラフ」の示すとおりとなる。
ア
焼死者は、「住宅火災」で多く発生している。
イ 「住宅火災」の焼死者が発生した火災原因 1
焼死者が発生する原因は「たばこ」が群を抜い
て高い値を示しており、次いで「放火自損」「こんろ」、
位は「たばこ」である。
3 位に「ストーブ」と続く。これら上位 4 種類の内「放
ウ 「住宅火災」の焼死者に占める「高齢者」の
火自損」を除けば、いずれも家庭内で日常生活を
割合は、54%である。
営む上では身近に存在する火源から火災に至った
エ
ことがわかる。
間には明確な相関関係はない。
イ
オ
住 宅 火 災 における死 者 の年 齢 と出 火 時 間 帯
住宅火災の「焼損面積」と「死者の発生」との
住宅火災での「死者数」は「耐火以外の一
般住宅」が最も多いが、
「死者発生率」では、
「耐
の状況
火以外の共同住宅」で高い数値を示す。
火災による「死者の年齢」を「住宅火災の発生
時間」で分類すると、『資料
図 3-3「死者の年
カ
住宅火災による死者の 80%が出火時「一人」
か「高齢者世帯」である。
齢」と「出火時間」』に示すとおりとなる。
キ
高齢者(65 歳以上)は、死者全体に占める割合
住宅火災による死者の 43%が就寝時間帯(21
の 54%である。死者は昼夜時間を問わず発生して
時~翌 6 時)に発生している。
いるが、65 歳未満は、夜間に高い割合で発生し
ク
ている。この違いは、生活パターンの違いと考えら
が遅れる」が高い割合。
れる。
ケ
ウ
「居室」である。
住宅火災における「死者の身体的状況」と年
コ
齢の関係
焼死者が発生した火災の出火箇所は 8 割が
住宅火災による死者の 86%は「初期消火が行
なわれていない」或いは「初期消火が無効」であ
「死者の身体的状況」と年齢の関係を分類する
と、
『資料
死亡時行動は「火煙に巻かれる」「火災発見
図 3-4 住宅火災における「死者の身体
った。
上記に示されるとおり、火災調査で得た情報デ
的状況」と年齢』に示すとおりとなる。
ータをもとにかなり細かな集計・分析を行うことが
年齢別では、
「50 歳~59 歳」と「65 歳以上(高
可能である。
齢者)」にピークが見られる。
「65 歳以上(高齢者)」は、他の年齢層と比較
すると「聴覚障害」、「歩行障害」、「身体不自由」
4. 焼死者防止に着目した火災調査データ活用の
等、身体的障害に高い割合が見られる。また、65
考察
歳未満は、「飲酒」、「就寝」等が目立っており、
(1) 火災調査の調査項目について
「神 戸 市 の死 傷 者に関 する統 計」の作 成 を通し
年齢により「死者の身体的状況」は異なることが
わかる。
てわかったことは、多種細部にわたる調査項目を
(3) 「焼死者発生状況の統計・分析」の要約
含む数値化・コード化した火災調査データは、扱
上記 3 例(ア~ウ)について主な焼死者の集計・
いが比較的容易なため焼死者が発生する火災傾
分析結果を紹介したが、他にもグラフや表を使い
向やメカニズム、焼死者の火災時行動傾向を多方
多くの集計・分析を行った。その集計・分析結果
面から集計・分析できることがわかった。
の要約を『資料
図 3-5
関する統計」は、消防行政施策推進の資料として
要約』に示す。
「資料
図 3-5
その集計・分析した結果の「神戸市の死傷者に
死傷者に関する統計的
死傷者に関する統計的要約」
高い利用価値があると判断できる。
「火災調査報告書」は、数値化・コード化した
からもわかるように火 災 による焼 死 者の主な特 徴
は「ア~コ」のとおりである。
火災調査データと同じ調査項目をもとに作成して
- 121 -
消研輯報 58
いるが、数値化・コード化できない写真・図面や文
その結果、火災調査データと火災調査報告書の
章も含んでおり貴重な資料と考えられる。以上のこ
情報(写真・図面、文字情報等)をデータベースソフ
とから、現在行なっている焼死者防止に着目した
ト(ACCESS)を使い一本化しデータベース化(焼死
火災調査の調査項目は、消防行政施策の基礎資
者データベース)することで焼死者防止に関する集
料としての目的を充足していると考える。
計・分析がより詳細にできるシステムを構築するこ
(2) 火災調査情報の集計・分析について
とができた。(「資料図 5-1
火災調査情報集計の方法は、各消防署所で実
焼死者データベース
のイメージ」参照)
施 した火 災 調 査 結 果 のうち数 値 化 ・コード化 した
今回構築した焼死者データベースは、平成 6
火災調査データは、神戸市消防局独自システムの
年から平成 15 年に発生した火災のうち焼死者が
オンラインで本部に随時送信され、本部サーバー
発生した火災 116 件と焼死者 154 名分のデータを
で一括管理している。これらのデータはパソコンに
もとにしているが、随時新しいデータを追加してい
取り込み、「Excel」や「Access」等を使用し、簡
くことができる。
単 にデータ集 計 ・分 析 ができ資 料 を作 成 すること
(2) 「焼死者データベース」の内容
ができ、集計・分析しやすい状況と考える。
ア
火災調査データ
一方、
「火災調査報告書」の中には貴重な情報
各 消 防 署 所から送 信 される数 値 化・コード化 さ
として数値化・コード化できない文章や図面・写真
れた火災調査データのうちから焼死者防止に関係
等が含まれているが、今日までこれらを集計・分析
するデータを選別し「焼死者データベース」の内
等を行うシステムが確立されておらず、個々の調査
容に盛り込むこととした。データの内容は、火災情
資料として保管、必要があれば抜き出して手作業
報のデータとして「建物構造」、「出火箇所」、「出
により情報を収集している状況である。そのため、
火原因」等や焼死者情報のデータとして「心身の
貴重な資料である「火災調査報告書」が十分活
状況」、
「死傷内容」、
「死傷時の行動」等としてい
用されない状態である。
る。
(3) 火災調査情報の活用について
イ
「火災調査報告書」の情報
(1)、(2)をもとに火災調査情報の活用について考
「火災調査報告書」の内容で数値化・コード化
察すると、数値化・データ化した情報は、高頻度
された火災調査データでは得ることができない情
で活用され、火災予防資料の「基礎資料」となって
報を選別し「焼死者データベース」の内容に盛り
いる。しかし、「火災調査報告書」の図書化され
込むこととした。
た情報は、せっかく貴重な情報があるにもかかわら
選別した情報は、
「建物室内の写真」、
「建物室
ず、収集・分析方法が確立されていないためほと
内状況の図面」や PDF ファイル化した「防火管理
んど活用されない。この問題点を解決し、「火災調
等調査書」を内容としている。「防火管理等調査
査報告書」の貴重な情報を有効利用できないか検
書」を取り込むことにより出火原因以外の人的調
討した。
査(通報・初期消火・避難・救助等)、物的調査(消
防用 設 備・避 難器 具・延焼 拡大 等)の情 報が文 章
5. 焼死者個人データのデータベースの構築
で読み取れるようになる。
(1) 「火災調査報告書」情報の活用システム考案
(3) 「焼死者データベース」の活用方法
「火災調査報告書」の貴重な情報(写真・図面、
ア
取扱い方法
文字情報等)を数値化・コード化した火災調査デー
「焼死者データベース」の取扱い方法は、デ
タと結合・一本化し、有効利用ができないか、試
ータベースソフト(ACCESS)を使用しているため、
行錯誤しながら研究を進めた。
研修等を受講すれば誰にでも簡単に取扱うことが
- 122 -
消研輯報 58
6. おわりに
できる。
イ
消防の第一の責務は、"市民の生命・財産を守る
データの集計・分析
"ことである。そのためには、第一段階として火災
データベースに蓄積したデータを使い、クロス
集計を行い分析や集計を行うことができる
調査のデータをもとに「的を得た施策」を確立す
ウ
るための「基礎資料」を作成することが重要となる。
焼死者発生状況の検索集計
条件項目を指定して検索を行い、項目内容を一
今回、火災現場から得た貴重な情報を効果的・
覧表等で出力したり、写真・図面、防火管理等調
効 率 的 に最 大 限 活 かせるように消 防 の最 優 先 使
査書を表示することができる。「
( 写真
命でもある「焼死者防止対策」について考察を加
死者データベースの表示画面、図 5-3
図 5-2
焼
防火管理
え、
「焼死者データベース」システム構築を行った。
等調査書」参照)
今回構築した火災調査情報の活用としての「デ
(4) 焼死者防止対策の基礎資料
ータベースシステム」の考え方は「焼死者防止対
「焼死者データベース」システムを構築したが、
策」以外でも十分応用できると考えており、今後
住 宅 防 火 推 進 の基 礎 資 料 として有 効 に活 用 する
はその範囲を拡大する予定である。
ためには、常に新しいデータとなるようデータメン
火災調査を任務とする我々にとって火災調査を
テナンス等の作業が必要となる。また、このシステ
通 じ少 しでも市 民 の安 全 が守れるようにこれから
ムを有効活用し、基礎資料を作成し、消防施策に
も努力していきたい。
活かすことが重要となる。
- 123 -
消研輯報 58
表1
神戸市消防局独自の調査項目一覧
死 傷 者 情 報 入 力 項 目
1
死傷事故区分
7
周囲の状況
13
逃げ遅れ情報入手時期
2
死傷者区分
8
火災認知きっかけ要因
14
救助を必要とした理由
3
聴覚の状況
9
避難終了までの行動
15
救助活動状況
4
資格の状況
10
避難支障逃げ遅れ理由
16
発見時期状況
5
足腰の状況
11
死傷部位
17
発見時の状況
6
精神の状況
12
死傷に直接関係あるもの
18
救助方法
図 3-1
「神戸市の死傷者に関する統計」の目次
- 124 -
消研輯報 58
(
住
宅
火
災
)
(
)
人
件
住宅火災の死者数
住宅火災件数
死
者
15
500
11
13
70
100
50
明
他
0
不
却
火
火
1
0 59
そ
の
0
両
36
0
車
27
0
火
い
)
0
出火原因
焼
不
明
放
火
・放
ラ
電
ス
トー
6
図 3-2
0
の
疑
ブ
ロ
放
火
コ
ン
自
損
バ
コ
タ
0
9
気
17
-1
200
・た
き
56
250
150
102 1
推
定
1
3
遊
び
4
157
3
300
246
(放
火
6
火
の
6
7
400
350
317
イ
タ
ー
9
5
450
10
11
出火原因別の住宅火災死者数(H10~H14)
「死者の年齢」と「出火時間」
4
(
死
者
数
人
)
1
2
0
1
1 1
2
4
1
2 2
1 1
1
2
1
1 1
1 1
1
2
1
2
1
1 1 1
65歳以上
図 3-3
図 3-4
25
23
24
22
21
20
19
18
17
16
15
14
13
12
11
9
10
8
7
6
5
4
3
2
1
0
住宅火災発生時間
65歳未満
「死者の年齢」と「出火時間」
住宅火災における「死者の身体的状況」と年齢
焼死者身体状況(注 1)
性別
0
2
1
50 ~ 59
10
7
3
60 ~ 64
2
2
65 ~ 69
4
3
1
70 ~ 79
7
5
2
80 歳以
8
3
5
合計
35
21
14
0
2
3
1
2
1
2
3
4
1
8
2
1
2
2
7
2
2
1
2
2
2
3
1
5
5
3
3
2
5
7
4
10
7
17
(注 1):焼死者体的状況は焼死者一人に対し複数カウントしている場合があります。
(注 2):家族の状況は、何らかの理由により焼死者が一人或いは高齢者世帯を表します。
- 125 -
1
1
1
2
4
4
5
2
7
11
28
家 族 の状 況 ・
2
1
注2
40 ~ 49
1
身体不自由
1
寝 たき り
1
傷 病 あり
1
精神障害
2
歩行障害
30 ~ 39
視覚障害
0
聴覚障害
就寝
飲酒
性別女
性別男
死者
死 者 の年 齢
0 ~ 29
消研輯報 58
図 3-5
図 5-1
死傷者に関する統計的要約
焼死者データベースのイメージ
- 126 -
消研輯報 58
図 5-2
焼死者データベースの表示画面
(1 ページ目を表示)
図 5-3
防火管理等調査書
- 127 -
消研輯報 58
平成 16 年度優秀賞
消防吏員等による消防防災科学論文
「IC タグを活用したトリアージ作業の有効性について」
福岡市消防局
岡
賢一郎、鬼木
1. はじめに
私(消防)たちは、かつてないほどの危機に直面
していることを認識しなければならない。
極度に高まっているテロ懸念や異常気象による
風水害に対して私たちは十分に準備ができている
広明
情報の読み書きを行う仕組みは、リーダー/ライ
ターが発する電波を IC タグに搭載されたアンテナ
が受 信 する際 に発 生 する電 磁 誘 導 で搭 載 されて
いる IC に情報の読み書きを行なうというものであ
る。
のだろうか?
例えば、多くの傷病者が発生した場合に行って
アンテナ IC
いる傷病者のトリアージ作業は、
・傷病者を負傷程度別に選別し、効率的に救命活
動を展開する。
・傷病者票から傷病者の個体を特定し、迅速な消
防広報を行う。
という二つの重要な役割を有している。しかし、こ
の二つの役割を両立させようとすると必ず矛盾が
生じることは、実際にトリアージ作業を経験したこ
とがある方なら疑問の余地がないところである。
今回提案する新たなトリアージ作業は、全国的
に統一されているトリアージタッグの形状を変更せ
・メンテナンス
ずに、「両立させようとすると必ず矛盾が生じる重
リーダー/ライターが発する電波の電磁誘導で
要な二つの役割」を、世間で話題になっている IC
電流を発生させるため、ほとんどの IC タグにはバ
タグを活用して両立させ、介在する問題点を一挙
ッテリが搭載されておらず、メンテナンスフリーで保
に解決しようというものである。
管、使用が可能である。また、水や薬品に対して
も耐久性が高く、汚れた状態でも問題なく情報の
2. 「IC タグ」とは?
読み書きができるため、除染作業が必要になる BC
・外観及び機能
災害などの現場でも問題なく活用が行える。
超小型の IC(集積回路)チップと、無線通信用の
アンテナを組み合わせた小型装置(別掲)で、搭載
・IC タグで何ができるのか(想定使用事例)
されている IC チップには数千桁の情報を保存する
想定されている IC タグを使った将来のサービス
ことができる。また、搭載したアンテナを通じて離
としては、スーパーマーケットでの商品管理が考え
れた場所(最大 4~5m 程度)から専用のリーダー/
られている。
ライターで情報を読み書きすることも可能である。
客が商品をカートに入れると、カートのディスプ
- 128 -
消研輯報 58
レイに野菜の生産地や出荷者、出荷日、お勧めの
・病院搬送及び傷病者票の回収(1 枚目)
レシピなどの情報が表示される。同時に商品棚に
4
応急救護所を出る際に傷病者票の 1 枚目を
設置されたリーダーが、棚から商品がなくなったこ
破 り消 防 隊 員 が現 場 本 部 (集 計 担 当 )に持 参 す
とを感知する。
る。
スーパーマーケットの商品管理データベースは、
IC タグを読みとるリーダーと連結されているため、
・傷病者票の回収(2 枚目)
棚の在庫が少なくなってくれば、在庫を補充する
5
よう自動的に連絡が行われるという仕組みである。
病者票の未記入部分を記入するとともに、搬送
また、このシステムを導入すればカートをいっぱ
先病院で搬送病院名及び傷病名を記入し、傷
いにした客がレジの前に長蛇の列を作ることは無く
病者票 2 枚目を破り、現場本部(集計担当)に持
なると考えられる。なぜなら客はカートに商品を詰
参する。
め込んだままで IC タグのリーダーが付けられたゲ
傷病者を搬送した消防隊及び救急隊は、傷
なお、傷病者の発生状況によっては、傷病者
ートをくぐるだけで自動的に購入商品が計算され、
票は事後に他の消防隊が回収することもある。
客のクレジットカードから代金が引き落とすといっ
たことが可能になるからである。
・傷病者情報の集計及び広報
6
3. トリアージ作業の現状(別図 1 参照)
現場本部はトリアージタッグから切取られた
傷病者票の 1 枚目の枚数から、およその傷病者
従 来から行 っているトリアージ作業の概 略は次
数、男女別、氏名、傷病の程度(分類された色)
のとおりで、枠で囲んでいる箇所が改善の余地が
等を知ることができるため、この時点で速報とし
あると考えられる部分である。
ての災害広報を行なう。
各隊が医療機関から持ち帰ってくる傷病者票
・トリアージ
1
の 2 枚目と 1 枚目を突合することで、当該災害
集団救急災害が発生した場合、最先着救急
で罹災した傷病者の正確な患者の人数、住所、
隊 の救 急 隊 員 が災 害 現 場もしくは受 付 分 類 所
氏名、搬送病院、傷病名、傷病の程度等を確
で傷病者のトリアージ(分類)に当たり、傷病者票
定し、消防機関として広報を行う。
を患者に付けて、
・タッグの切取り(色分け)
4. 現状の問題点(従来作業の問題点と改善比較:
・傷病者票に氏名、性別及び年齢等(以下「基
別紙参照)
礎項目」という。) の記載を行う。
1
トリアージⅢ(軽傷)の傷病者は、
「早く病院に行
きたい。どうもないから帰る」といった理由から、ト
・患者搬送
2
リアージタッグを付けたまま(傷病者票の 1 枚目を
担 架 隊 (傷 病 者 搬 送 隊 )はトリアージされた
切取る前)災害現場を離れてしまうことがある。する
患者をそれぞれ現場救護所に搬送する。
と、いったいどれくらいの人がその災害で罹災した
のかが正確に把握できない。
・応急処置及び傷病者票の記入
3
2
トリアージタッグに添付されている傷病者票が
現場救護所では、救急隊が応急処置及び傷
手書きによる記入であるため、相当の時間を要す
病者票の記入を行い、赤(I)→黄(II)→緑(III)の
る。また、傷病者票の 1 枚目を切取る前にある程
優先順位(赤が最優先)で病院搬送を行う。
度の情報を記載しておかなければ、傷病者票の 2
枚目を医療機関から回収してくるまで、傷病者情
- 129 -
消研輯報 58
報の整理が行えない。
自動送信されデータベース化されるため、従来行
3
なっていた傷病者票の整理が必要なくなる。
傷病者票の記入に時間を要するため、トリアー
ジ作業や応急処置が疎かになってしまい、本末転
・自力歩行が可能なトリアージⅢ(軽傷)の傷病者
倒の結果を生むおそれが高い。
がトリアージタッグを付けた後(傷病者票を切取る
4
切取った傷病者票を「紛失、ポケットに入れた
前)に災害現場を離れたとしても、基礎項目が現場
まま次の作業に移ってしまう、切取り忘れる」こと
本部のデータベースに保存されているため、当該
により、傷病者がまだ現場にいるのか、医療機関
災害における罹災人数を把握することができる。
に搬送されたのか否かが分からなくなることがある。
(災害発生から相当時間経過後は、病院調査担当
・傷病者票の記入(入力)
が各医療機関の傷病者票を回収して現場本部に
【作業手順】
従来、傷病者票に手書きで記載していた基礎項
提出するため解決するが、現場本部の突合作業で
傷病者票の数があわなければ相当の混乱を招く)
目以外(氏名を含む。) の情報入力は、現場救護
5
傷病者票の整理が手作業であるため、災害救
所での応急処置、消防車両での傷病者搬送又は
急 指 令 センターと現 場 本 部 (現 場 救 護 所 )の情 報
医 療 機 関 到 着 後 の いず れか 入 力 が 可 能 な 時 点
の共有化が行われ難く、円滑な消防活動の阻害
(手が空いているとき) に行う。
要因である。
【改善点】
6
IC タグに入力する情報は、現場救護所や消防
集団事故等で多数の傷病者が発生した場合、
早期に傷病者 の情報を報道 機関等に公表 すべき
車両内に設置する IC タグ読み取り用のアンテナや、
であるが、現状のトリアージタッグを使用した作業
消防隊員が医療機関に持参するリーダー/ライタ
手順では、正確な情報の確定までに相当の時間を
ーで読みとることができ、読みとった情報は現場本
要する。また、傷病者票の記入、一覧表(公表資
部(災害救急指令センター)に自動転送される。つ
料)への転記といった作業では誤記入や誤入力な
まり、従来の傷病者票の記入、切取り、回収とい
どの単純なミスを誘発するおそれが高い。
う作業が無くなるため、医療機関からの傷病者票
の回収を待たずに、自動的に転送されるデータで
5. IC タグを使ったトリアージ作業のメリット(別図 2
現場本部の傷病者情報は常に新鮮な状態に保た
参照)
れているというわけである。
トリアージタッグに IC タグを添付した場合にお
この作業手順は、情報の整理は手が空いている
けるトリアージ作業のメリットは次のとおりである。
ときに行い、傷病者のトリアージ、応急処置及び
・トリアージ
医療機関への搬送を最大限に重視しようというトリ
【作業手順】
アージの本来の考え方に沿ったものである。
最先着救急隊の救急隊員は、IC タグを添付し
たトリアージタッグを傷病者に取付けるとともに、リ
・医療機関の選定
ーダー/ライターで基礎項目(年齢、性別、トリア
【作業手順】
災害救急指令センターは、受け入れ医療機関を
ージ区分) の入力を行う。
※基礎項目の入力に要する時間は 10 秒程度
調査するとともに、その情報を現場消防隊が閲覧
【改善点】
可能な専用のデータベース上に公開する。
・傷病者にトリアージタッグを取付けたときにリー
搬送医療機関を選定する要員は、パソコン又は
ダー/ライターで救急隊が入力した情報が即座に
PDA で受け入れ可能医療機関のデータベースに
現 場 本 部 (災 害 救 急 指 令 センター)のサーバーに
アクセスし、ホテルの予約管理システムを操作する
- 130 -
消研輯報 58
また、前述したとおり、医療機関から傷病者票の 2
感覚で傷病者の医療機関を決定していく。
なお、データベースの医療機関情報はリアルタ
枚目を回収する作業が不要となるため、最終的な
イムで更新される。
確定情報も早期に広報することが可能となる。
【改善点】
従来、受け入れ医療機関の情報は、災害救急
・その他の改善される事項
指令センターから無線、有線又は FAX で現場の
現場本部の傷病者情報が災害救急指令センタ
要員に伝達されていたため、列車事故等で現場救
ーでリアルタイムに把握できるため、消防隊の増強、
護所を列車の両側に設置する必要がある場合、相
医療機関の手配、他機関の応援要請等、災害現
互の現場救護所が傷病者をどの医療機関に搬送
場で必要と考えられるサポートを災害救急指令セ
したのかをリアルタイムに把握することが困難なた
ンターが予測して実施することができる。
め、搬送途上に医療機関の変更を余儀なくされる
場合があった。
極度に現場が混乱している場合には、現場本部
今回のシステムでは、ある傷病者の搬送先医療
のデータベースの管 理 権 限 を災 害 救 急 指 令 セン
機関を決定すれば、データベース上の情報もリア
ターに委譲し、現場本部は災害活動に専念するこ
ルタイムで更新されるため、従来の問題点も解消
とも可能である。この場合にも、現場本部は災害
できる。また、搬送途中に様態が悪化した場合に
救急指令センターで整理された傷病者データをリ
も、救急車内からデータベースにアクセスすること
アルタイムに閲覧することが可能である。
で容易に搬送先を変更する事がきる。
6. IC タグを使用したトリアージ作業のシミュレー
・災害広報
ション
IC タグを使用した場合の利点について列挙して
【作業手順】
先着の救急隊や消防隊が傷病者にトリアージタ
きたが、実際の災害時にどのような動きになるのか
ッグを取付け終わった時点で、当該災害で罹災し
について以下の想定でシミュレーションを行なう。
た傷病者の人数とその人達の年齢(年代)、性別及
び程度(トリアージ区分)が判明するため、災害速
【想定】
報として報道機関に広報を行なう。
・列車事故が発生し、負傷者が 100 名程度発生
つぎに傷病者が医療機 関に搬送が終了した時
している。
点で、「誰が、どの医療機関、負傷程度がどれく
・消防隊到着時、負傷者は列車内と列車の両側
らい」といった確定情報を報道機関に追加広報す
に脱出している。
る。
・列車を迂回して患者を搬送することができないた
【改善点】
め、現場救護所は 2 箇所設置する必要がある。
従来は傷病者票の 1 枚目を切取り(通常、全て
【活動】
の傷 病 者が災 害 現 場から医 療 機 関に出 発した時
1
点)、集計作業を行なった後に報道機関への広報
・所要の消防隊に出動指令を実施
を実施していたため、発表までに相当の時間を要
・消防隊到着までに受け入れ可能医療機関を調査
していたが、IC タグを使用した場合、傷病者への
し、消防隊が閲覧する事ができるサーバーに登録
トリアージタッグ取付け=当該災害における罹災人
する。
数の把握(現場本部のデータベース上に表示)とな
・災害現場から自動送信される傷病者情報を参考
ることから、かなり早い段階に災害速報が行える。
にして、消防隊の増強、医療機関の手配、他機関
- 131 -
災害救急指令センター
消研輯報 58
の応援要請等、災害現場で必要と考えられるサポ
(自動的にデータベース化された傷病者情報を基
ートを実施する。
に、迅速な災害現場広報を行える。)
2
救急隊
・救急隊は、列車内及び列車両側の傷病者にトリ
7. おわりに
アージタッグを取付け、タグの切取りを行なうとと
近年、厳しい財政状況から消防職員の増員は認
もに、リーダー/ライターで年齢、性別及びトリア
められず、採用が退職補充のみであるため、組織
ージ区分の入力を行なう。
内の平均 年 齢の上昇による人的 面での消防 力の
(列車内及び列車両側の 3 箇所に傷病者が分散し
低下が懸念されている。しかし、一方で災害がテ
ているが、リーダー/ライターの情報が無線で現場
ロ懸念などで多様化してきているため、消防活動
本部に自動転送されるため、リアルタイムに傷病
は従前よりも複雑化しており、現状の消防職員数
者情報の把握が行える。)
であらゆる災 害 に対 応 する消 防 力 を維 持 していく
・医療機関の選定は、現場救護所出口に待機し
ためには、何らかの方策を見いだすことが喫緊の
た要員が災害救急指令センターから受け取った最
課題である。
今回、提案した IC タグを活用したトリアージは、
新情報をもとに決定するため、現場救護所が複数
存在しても搬送医療機関の指示ミス(競合)などが
いま話題となっている IT を活用して、現状の消防
発生しない。また、搬送途上に症状の悪化等で搬
力をさらに効率的に運用しようというものである。
送する医療機関を変更する場合でも、データベー
今後、実用化するためにはフィールドテストなど
ス化された病院情報にアクセス変更することで、効
で諸種の問題点をクリアーしていく必要があると考
率的に情報管理が行える。
えられるが、前述したように現在のマンパワーで非
(医療機関情報は、ホテルの予約システムと同様
常に大きな消防力を必要とする集団救急事故など
のシステム構成であるため、リアルタイムで受け入
の災害に対応していくためには、今回の IC タグを
れ医療機関の情報管理が行える。)
含め、何らかのあらたな方策を見いだしていく必要
・後着の救急隊は、現場救護所で応急処置及び
があると考えられる。
トリアージ区分Ⅰの搬送を実施する。なお、活動
なお、トリアージタッグが全国的に統一され複数
に余裕があれば傷病者票の未入力部分の入力を
の公的機関が活用していること及び BC テロとサイ
現場救護所、車内又は医療機関いずれかで実施
バーテロの同時攻撃などを想定すると、その外観
する。
については従来のトリアージタッグの形状を維持し
3
つつ、IC タグを添付することにより、効率化を図っ
現場本部
・消防隊、救急隊及び現場救護所の指揮、運用
ていくことが必要であると考えられる。
最後に IC タグはトリアージのみに限らず、災害
・災害情報の収集
・傷病者情報の収集、整理
現場における消防隊員の位置確認や救急救命士
(各救急隊や病院で傷病者の調査にあたっている
が今後行う、傷病者への薬剤投与の履歴管理など、
消 防 隊 からの情 報 が自 動 的 にデー タベー ス化 さ
幅広く活用していくことができる非常に有用な技術
れるため、傷病者票の整理や一覧表への転記な
であるため、現状の業務と IC タグの活用について
どの作業は発生しない。)
研究していくことが必要であると考えられる。
・現場広報
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消研輯報 58
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消研輯報 58
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消研輯報 58
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消研輯報 58
平成 16 年度優秀賞
消防吏員等による消防防災科学論文
「当市における『包括的指示下の除細動』に関する検証と
その効果について」
福岡市消防局
木下
和久、高木
好弘、岡田
1. はじめに
倫子
における除細動実施結果を検証したので報告する。
平成 3 年に「救急救命士法」の施行以来、一
2. 調査目的
定の医 療 行 為が施 せる救 急 救 命 士は名 実ともに
救 急 現 場 におけるプレホスピタルケアとして活 躍
当市における除細動効果(従前の指示要請時と
できる場を与えられた。
包括的指示下における効果)について比較し、救命
しかしながら、最ももどかしかったのは「除細動」
率の増減と生存率を把握すること。
の実施であり医師の指示が前提であった。救急現
また、今後早期除細動の意義とその重要性を再
場で傷病者の重篤状態を示す指標である VF の波
認識することにより、救急現場から社会復帰の症例
形 を目 のあたりにしながら医 師 の指 示 を仰 ぐまで
を目指すことである。
に相 当 な時 間 を要 し唇 を噛 んだ救 急 救 命 士 も少
3. 調査対象と方法
なくなかった。
「早期除細動」の実施にあっては「救急救命士
当市における平成 12 年度から平成 14 年度まで
制度」発足から「包括的指示下の除細動」が叫
の 3 ケ年度で実施した除細動記録(救急救命処置
ばれていたのは今でも記憶に新しい。
録)とそれらの症例の予後としての救急蘇生指標、
特に平成 10 年日本医師会雑誌に掲載の「救急
および平成 15 年度のウツタインデータをベースに
救命士による電気的除細動の今後と課題」~平成
した CPA(心肺停止)傷病者に対する除細動適応
8 年中の全国救急救命士運用隊の調査より(福岡
実施に対し調査、検証した。調査項目については
大学病院救急救命センター谷川攻一・現在広島
表-1 のとおり。
大学教授)の論文は院外 VF 心停止症例に対して
調査方法は前述したとおり、救急救命処置録を
は救急救命士の行う電気的除細動により著しく改
ベースに各症例を確認するとともに、それに伴う救
善していることが明らかで早期除細動が行えるよう
急蘇生指票の追跡調査をも併せて調査した。なお、
に制度の改善を早急に行うべきであると提言され
平成 12 年度の 1 ケ月生存、バイスタンダーの有
てきた。
無は基礎となるデータがなく未調査である。
そして「包括的指示下の除細動」が遂に平成
15 年 4 月から実施可能となり全国の救急救命士の
表-1
心は弾み 1 年以上が経過した。
除細動に関する調査項目
そこで今回、当市における平成 12 年度から平成
1
CPR 件数
14 年度までの従前(医師の指示必要)の除細動実
2
除細動実施件数
施結果と平成 15 年度の「包括的指示下の除細動」
3
心拍再開件数
- 136 -
消研輯報 58
4
1 週間生存件数
5
1 ケ月生存件数
6
傷 病 者 接 触 から除 細 動 実 施 までに要 した
15
内因性と外因性の割合
* 調査項目 13~15 は平成 15 年度のみ
16
全国政令市 13 都市と東京 23 区の「包括
的指示下の除細動」効果と当市との比較
時間
7
バイスタンダー有無の件数
8
全 CPA 件数に対する救命率と除細動実施
4. 調査結果の分析
施行者に対する救命率
(1) CPR 件数について
9
救急出動件数の増加に伴い平成 12 年度から緩
全 CPA 件数に対する生存率と除細動実施
やかに増加している。
施行者に対する生存率
10
社会復帰件数
11
除細動実施場所(救急現場 or 救急車内)
12
除細動実施治療者の平均年齢
13
一相性除細動件数と二相性除細動件数
14
搬送医療機関の区別
表-2
12 年度
13 年度
14 年度
15 年度
568
624
662
704
CPR 件数
表-3
除細動実施件数
件数
120
心拍再開件数
1週間生存
1ヶ月生存
100
80
60
40
20
0
除細動実施件数
心拍再開件数
1週間生存
1ヶ月生存
12年
度
13年
度
14年
度
15年
度
39
11
5
0
51
15
11
10
58
21
17
16
97
54
39
35
(2) 各年度における除細動件数とその効果につい
増と驚異的な上昇を示していることが判明した。
て
各 年 度 の左 のグラフは除 細 動 実 施 件 数 を示 す
(3) 心拍再開率についての調査結果について
みのである。平成 12 年度は 39 件、平成 13 年度
平成 12 年度の除細動実施件数 39 件に対し 11
は 51 件、平成 14 年度は 58 件、平成 15 年度は
件が心拍再開し救命率は 28%であった。平成 13
97 件である。
年度の除細動実施件数は 51 件に対し 15 件が心
平成 12 年度から平成 13 年度までの除細動実施
拍再開し救命率は 29%であった。平成 14 年度の
は 30%の増であるが、平成 13 年度から平成 14
除細動実施件数は 58 件に対し 21 件が心拍再開
年度は 14%増にとどまっている。
し救命率は 36%と増加した。平成 15 年度の除細
しかし、平成 14 年度から平成 15 年度は 67%の
動実施件数は 97 件に対し 54 件が心拍再開し救
- 137 -
消研輯報 58
命率は 55%と飛躍的に上昇したのが大きな特徴
年度は除細動件数 97 件に対し 1 週間生存は 39
である。
名、1 ケ月生存は 35 名という結果である。以上の
また、除細動実施件数そのものも増加し平成 14
結果から 1 週間生存が可能であれば 1 ケ月生存
年度と比較すると 60%の増を認め平成 12 年度と
は 91.3%の割合で生存の可能性があることが判明
の比較では約 2.5 倍の増加である。
した。しかし、社会復帰については平成 13 年度は
1 ケ月生存 10 名中 3 名であった。
ここで着 目 する点 は除 細 動 実 施 後 の心 拍 再 開
平成 14 年度は 1 ケ月生存 16 名中 3 名であり、
があったか若しくはなかったかという点である。
平成 15 年度中は 1 ケ月生存 35 名中 11 名であり、
(4) 生存率についての調査結果について
3 ケ年度中の 1 ケ月生存時の社会復帰率は平均
生存率については 1 週間生存と 1 ケ月生存に分
26.8%である。(平成 15 年度は 31.4%)ただし、本
けて調査した。
平成 13 年度は除細動実施件数 51 件に対し 1
調査は CPA 発生から 1 ケ月生存= 社会復帰まで
週間生存は 11 名、1 ケ月生存は 10 名であった。
の予後調査であり、その後の調査を実施していな
平成 14 年度は除細動件数 58 件に対し 1 週間生
いのが現状である。
存は 17 名、1 ケ月生存は 16 名であった。平成 15
表-4
全体の CPR 件数に対する救命率と除細動施行の救命率について
12 年度
救命率
生存率
13 年度
14 年度
15 年度
CPA
除細動
CPA
除細動
CPA
除細動
CPA
除細動
件数
件数
件数
件数
件数
件数
件数
件数
2%
28%
2%
29%
3%
36%
8%
55%
データ無し
データ無し
2%
20%
2%
27%
5%
36%
平成 12 年度の CPR 件数に対する救命率は 2%
である。
で除細動実施件数に対する救命率は 28%である。
(5) 除細動実施までの時間
平成 13 年度の CPR 件数に対する救命率は 2.4%
今回、最も重要なデータとして除細動までに至
で除細動実施件数に対する救命率は 29%である。
る時間を検討した。
平成 14 年度の CPR 件数に対する救命率は 3%で
この時間にあっては本来なら事案発生からまた
除細動実施件数に対する救命率は 36%である。平
は覚 知 時 間 から調 査 すべきであったが相 当 の時
成 15 年度の CPR 件数に対する救命率は 7.7%で
間を費やすため、あえて傷病者接触から除細動実
除細動実施件数に対する救命率は 55%であった。
施までの時間のみを調査した。すべての除細動実
これは分母の値が全く違うので容易に比較するこ
施 症例の時 間を集 積しその平 均時 間 を各 年度で
とはできないが、当然のごとく除細動適応= 除細
表した。
動実施が救命率に欠かせぬことが証明できたもの
表-5
接触から除細動実
施までに要した時間
12 年度
13 年度
14 年度
15 年度
10 分 37 秒
10 分 23 秒
9 分 45 秒
5 分 47 秒
- 138 -
消研輯報 58
の意義が示されたものである。この時間短縮が除
細動実施件数の増加、心拍再開の増加、1 週間
平成 12 年度は 10 分 37 秒、平成 13 年度は 10
生存、1 ケ月生存の増加および社会復帰の増をも
分 23 秒、平成 14 年度は 9 分 45 秒と多少の時間
たらしたものと確信する。
短縮が図られている。この 3 ケ年度については前
しかしながら、救急救命士にとって大きな課題を
述 のとおり救 急 救 命 処 置 録 に記 載 された処 置 開
残したのも事実である。現在の「包括的指示下の
始から除細動実施の時間である。平成 15 年度は
除細動」は医師の指示不用(条件付)にもかかわら
5 分 47 秒であり、現在のウツタイン様式に基づく
ず接触~除細動実施の 5 分 47 秒は納得できない
ものであるが基本的なデータとしては問題はない。
ものである。現場の状況、それに伴う症状変化等
平成 15 年度の時間は前 3 ケ年度に比較すると約
など様 々 な環 境 が考 えられるが接 触 ~ 除 細 動 実
1/2 と短縮されたもので非常に注目すべきものと
施に要する時間は 2 分以内で施行すべきであると
考えられる。まさしく「包括的指示下の除細動」
考えられる。
(6) 除細動実施場所
表-6
12 年度
13 年度
14 年度
15 年度
除細動実施
現場
病院内
現場
病院敷地
現場
現場
場所
16
1
25
1
20
53
車内
不明
車内
不明
車内
不明
車内
不明
20
2
20
5
29
9
44
1
平成 12 年度は救急現場 16 回、救急車内 20
本件についても様々な状況が考えられるが救急救
回で平成 13 年度は救急現場 25 回、救急車内 20
命士の現場活動において再認識すべきである。
回である。平成 14 年度は救急現場 20 回、救急
*
平成 12 年度から平成 14 年度のデ-タで不明
車内 29 回で平成 15 年度は救急現場 53 回、救急
という項目があるが、これは救急救命処置録に記
車内 44 回であった。
載されていなかったものである。また、病院内、病
平成 15 年度については救急現場実施多数と予
院 敷 地 内 があるがこれは医 師 引 き継 ぎ時 に実 施
想していたにもかかわらず、予想外の結果であった。
したものである。
(7) その他の調査項目について
①
除細動実施治療者の平均年齢について
表-7
除細動実施治療者
の平均年齢
12 年度
13 年度
14 年度
15 年度
62.9 歳
61.5 歳
60.3 歳
59.3 歳
平成 12 年度は 62、9 歳で次年度より若干では
あるが低齢化傾向にあり平成 15 年度は 59、3 で
年齢は 10 歳であり 10~20 歳代は 14 名が存在し
た。
あった。平成 15 年度の最高年齢は 97 歳で最低
- 139 -
消研輯報 58
②
一相性、二相性の除細動器の使用について
当市では現在は二相性除細動器を年次計画で
(8) 全国 13 政令都市・東京 23 区の平成 14 年度
度入中である。平成 15 年度末では救急隊 22 隊
および平成 15 年度の「包括的除細動」効果と当
中の 10 隊に配備している。平成 15 年度に実施し
市との比較について
た除細動 97 件中一相性が 54 件、二相性が 43
件でありその効果対比は分析していない。
表-8 および表-9 のとおり除細動実施件数におい
て平成 15 年度は平成 14 年度に比較して 1.46 倍
③
の増加がある。また、除細動実施後の心拍再開率
事故種別による除細動実施について
平成 15 年中については内因性 82 件、外因性
も平成 14 年度は 27.7%であるが平成 15 年度は
15 件で内因性 CPA が 87、6%を占めた。外因性
33.9%と大幅に増加している。更に 1 ケ月生存率で
は溺水 4 件、窒息 5 件、縊首 1 件、一般負傷 2
も平成 14 年度は 12.8%であったが平成 15 年度は
件、交通事故 2 件、墜落 1 件という内訳であった。
15%と増加していた。
このようなことから、全国的にも「包括的指示下
④
の除細動」の効果が明らかなことが証明された。
搬送医療機関について
表-8 のとおり全国 13 政令市・東京 23 区も当市
平成 15 年度中の除細動実施 97 件については、
三次医療機関へは 58 件二次医療機関へは 39 件
においても心拍再開率および 1 ケ月生存率も著し
で現場から多少遠距離であっても三次医療機関へ
く増加していることはすでに述べた。
当市にあっては全国 13 政令市・東京 23 区に比
の期待度が高いことを示した。
*
較して心拍再開率では 22%、生存率では 21%も
その他の調査項目(2)(3)については、平成 12
年度~平成 13 年度の調査は実施していない。
成績がよい結果となった。
表-8
全国 13 政令市と東京都 23 区
14 年度
当市
15 年度
15 年度
心肺停止患者数
22978
23214
704
除細動実施回数
1963
2861
97
心拍再開
545
970
54
1 ヶ月生存
251
431
35
救命率(心拍再開)
28%
34%
55%
生存率
13%
15%
36%
- 140 -
消研輯報 58
表-9
全国 13 政令市・東京 23 区における平成 14 年度・平成 15 年度の除細動実施と効果
全国13政令市と東京23区の14年度
15年度
4000
3000
2000
1000
0
除細動実施回
数
心拍再開
1ヶ月生存
1963
545
251
2861
970
431
全国13政令市と東
京23区の14年度
15年度
表-10
全国 13 政令市・東京 23 区と当市との心拍再開率および生存率の比較
全国13政令都市と東京23区
当市
55%
60%
50%
40%
36%
34%
30%
15%
20%
10%
0%
救命率(心拍再開)
生存率
1 週間生存、1 ケ月生存が前 3 ケ年度に比較して
5. 考察
この調査は平成 12 年度から平成 14 年度までと
飛躍的に上昇したことは注目すべきことである。
平成 15 年度の比較である。特に平成 15 年度はわ
これは、結果として時間の短縮が図られたことが非
ずか 1 年間という短期間のみのものでありデ-タ不
常に重要であったと考えられる。
足が考えられる。
以上のことから「包括的指示下における除細動」
しかしながら、前 3 ケ年度との比較ではめざまし
の効果がもたらしたものは我々救急現場で「救命」
い効果が確認できた。
を使命とする救急隊員、救急救命士にとって賞賛
まず、除細動実施件数が約 1.67 倍に増加したこ
すべきことである。
とである。
しかし、ここに大きな課題を残したことも事実で
更に 15 年度中の除細動効果は心拍再開件数、
ある。
- 141 -
消研輯報 58
ひとつは、傷病者接触から除細動実施までの時
察官)への配備も可能となれば「救命」に大きな
間をいかに短縮すべきかという点である。除細動
期待ができる。
実施が 1 分遅れることで救命率は 7~10%低下す
6. 結語
るといわれていることを鑑みれば救急隊員同士の
意思の統一、また警防隊等の連携を密にする必要
今回、
「医師の指示の下における除細動」と「包
がある。
括的指示下における除細動」の効果を比較し検証、
もうひとつは CPR 対象者が内因性が 87.6%を
分析した。
占めることから「ACLS 研修」を積極的に導入する
その結果「包括的指示下における除細動」がも
必要がある。幸い平成 16 年 7 月からは「気管挿
たらしたものは、除細動実施件数、心拍再開率、
管」、平成 18 年には「薬剤投与」が可能と通知さ
生存率といずれのデ-タでもよりよき結果となった。
れている。間近に迫りつつ明るい展望としては、す
これは、 市民の生命を守る、市民を救命するとい
でに厚生労働 省から通知されている一般 人(非医
う消防組織としての本来の目的が達成されつつあ
療従事者)による自動体外式除細動器(AED)使用
ることは社 会 に対しても絶大なるデータ結果 を残
についても各都道府県で対応が検討されつつある。
した。
それと同時に消防車両(消防隊員)や警察車両(警
- 142 -
消研輯報 58
平成 16 年度優秀賞
消防吏員等による消防防災科学論文
「高所から低所への放水体形について」
京都市消防局
中村
宮木
正
、長澤
一雄、田中
崇志、中川
毅、岩脇
1. はじめに
康博
正芳
生したとき、再送水に相当の時間を費やすことにな
ります。(図 1 参照)
京都は周囲を山々に囲まれた文化歴史都市で
あり、市域一帯には世界文化遺産に登録された多
同じ山林火災でも、山上に水源があれば事情は
くの社寺が点在しています。とりわけ、四方の山ろ
異なります。この場合は、通常とは逆に山上から
くから山頂にかけては、度重なる戦災を免れた国
中腹へ、そしてふもとへとホースラインを敷設する
宝級の文化財も多く、中には、上醍醐寺のように
ことになります。(写真 2 参照)
山頂に位置するものもあります。これらの文化財建
一般に、高所から低所への放水体形では、その
造物の多くは、その敷地内に大容量の防火水槽を
背圧の処理さえ解決すれば、比較的円滑で迅速
備えており、周囲山林の火災では有効な水利と考
な活動が可能になると考えられます。(図 2 参照)
えられます。
背圧の処理は、一旦簡易水槽に貯水する方法と定
一方、山林火災の防御については、これまで先
圧流量弁などの器具による方法が考えられますが、
人の努力により幾多の検討がなされていますが、
汎用性と戦術の発展性から簡易水槽への貯水方
いずれもふもとから山 上にホースを延 長 しての活
式が適当と考えました。
水源又は水槽からの背圧は、落差 10 メートル
動を前提にしたもので、逆のホース延長はこれま
に付き 0.1Mpa です。筒先の圧力を 0.3Mpa とす
で戦術として考えられたことがありませんでした。
今回、山上の防火水槽にヒントを得て、簡易水
ると、落差 30 メートルにつき 1 箇所の割合で背圧
槽を活用した高所から低所への中継活動について
調整が必要となります。筒先圧力を 0.3Mpa とした
の活動要領をまとめてみました。そして、この逆の
のは、筒先の最大流量を安全管そうの限界点以下
ホース延長による放水活動を、仮に「背圧放水」
と仮定したためです。そして、ここに簡易水槽を設
と呼びます。
置し、一旦これに水を溜め、次に小型動力ポンプ
本研究は、この、新提案の「背圧放水」を実
で送水するというかたちになります。
(2) 改良型可搬式水槽
験し、ここから考えられる新たな戦略と将来への展
望を考察するものです。
背圧調整のための水槽は、その構造によっては
ポンプなしで再送水が可能となり、飛躍的に迅速
2. 「背圧放水」について
な活動が可能となります。そこで、我々が試作し
(1) 「背圧放水」とは
た可搬式水槽(以下、可搬式水槽という。) を紹介
山林火災の防御活動は、多くの場合ふもとから
いたします。これは、現在市販されている容量 540
山頂に向けてホース延長をするため、膨大な労力
リットル、重量 12 キログラムの簡易水槽に、受水・
と時間が要求されます。さらに、多数の小型動力
送水用のカップリング式金具を 1 個ずつ取付けた
ポンプを中継しての送水は、何らかのトラブルが発
ものです。(写真 1 参照)
- 143 -
消研輯報 58
この水槽の特徴は、
名を送水操作員として常駐させます。もちろん、放
1
軽い。
水口付近の傾斜が特に緩かったり、ホースライン
2
組み立てが簡単である。
の途中で大きな上り勾配がある場合などは補助ポ
3
受水、送水口を備えている。
ンプが必要となります。
(3) 送水要領
ということで、小人数で迅速に搬送ができ、短時
各水槽の操作員は、受水口に取り付けた分岐管
間で設置して運用できることです。
の操作により、担当する可搬式水槽が減水すれば
ここで最も重要なことは、上の金具から受水し、
下の金具から送水するため、当該水槽の位置に小
受水し、満水になれば停止し、できるだけ満水状
型動力ポンプがなくても再送水が可能なことです。
態を保つようにします。操作はこれだけであるため、
この可搬 式 水槽を使用 する場合の必 要 最小 限
従来の中 継 送水のアキレス腱ともいえるポンプの
の資器材は、当該水槽とホース、分岐管及び管
始動、停止を必要としません。したがって、中継
槍のみです。これにより、1 個部隊で 1 スパン(図
途上でのトラブルによる送 水の中 断がほとんど発
4 参照)の放水体形敷設が可能となります。
生せず、非常に円滑な活動が可能です。
次に、部署移動等により筒先圧力が高くなると
3. 「背圧放水」による活動の具体例
判断したときは、最前線の可搬式水槽から筒先側
(1) 出動部隊の装備
に、更に 1 基の可搬式水槽を挿入します。
まず、先着の 2、3 個部隊は、各隊ともホース 4
逆に、圧力が低くなると予想したとき、最終の可
本、分岐管 1 個、管そう 1 本及び可搬式水槽 1
搬式水槽の位置で、分岐管を操作して水槽を抜い
基を携行し、4 輪駆動車、航空機等の機動力を活
てホースを直結します。
用して、山頂付近の水源付近まで進入します。そ
して、各部隊とも 1 スパンの放水体形を敷設しま
4. 水槽の改善点
す。次に、後着隊は、現場の状況により以後の作
(1) 給水量の問題
ポンプを一 切 使 用 しない自 然 流 下 方 式 での流
戦展開に備えた必要資器材を輸送します。
なお、1 スパンの必要ホース本数を 4 本とした
量は、水槽がおおむね満水を保っている状態で、
のは、傾斜地の最小平均斜度を 20 度、落差を 30
毎分 250 リットルでした(写真 4 参照)。この流量で
メートル程度と想定した場合、ホース 1 本 20m×4
は、通常の切り替えノズルの口径 23 ミリメートルで
本×sin20≒27 メートルとなり、おおむねの落差を
は給水量が不足し、必要な筒先圧力を保てません。
確保できると判断したことによるものです。平均斜
そこで、Y 社製可変ノズルでストレート放水の実験
度がこれ以下であれば、ホース内の流量不足の恐
を行なったところ、射程 10 メートルを超える放水
れがあり、筒先での放水量が確保できません。こ
が連続して可能と判明しました。このときのノズル
の場合は補助ポンプが必要となりますが、通常の
口径は 17 ミリメートルに相当します(写真 3 参照)。
高出力ポンプは必要なく、最低 0.1Mp を確保でき
しかし、この流量では例えば山小屋等の木造の建
れば良いので、京都市消防局の装備では、背負
物へ延焼した場合などでは、放水量が不足します
い式ポンプ(隊員 1 名で搬送可能)が最適と考えら
(以下、単線での中継送水という。)。
改善対策として、放水口を双口にし(図 5 参照)、
れます。
(2) 放水体形
相当の落差(理論的にはホースの摩擦損失を上回
山上の水源からホースを延長し、落差おおむね
る水圧)を確保できる地点(具体的には放水口から
30 メートルごとに可搬式水槽を設置します。そして、
ホース 1 本)までを複線にして延長、分岐管で集水
可搬式水槽の受水口に分岐管を挿入し、隊員 1
しここから単線で延長します(以下、複線での中継
- 144 -
消研輯報 58
送水という。)。消防車を使った実験では、ホース
るでしょう。
ができるだけ折れ曲がりが少ない状態で、複線の
そこで、これらのことを念頭において、「背圧放
区間に最低 5、6 メートルの落差があれば、毎分
水」を前提に、ここから考えられる新たな戦略と将
450 リットル以上の流量が確保できました。
来の展望について、いくつか具体的に考察してみま
(2) 携行性の問題
した。
(1) 空挺部隊作戦
現在開発中の可搬式水槽は、軽量化されている
とはいえ、徒歩での長距離搬送には適していない
火点より上方に消防水利がある場合は、「背圧
と思われます。したがって枠組み部分の搬送が簡
放水」に必要な部隊と器材とをいち早く水利付近
便となるよう折畳み式に改造し、また本体部分を小
に投入し、最小限の時間で最低限の放水を開始す
さく畳んで袋詰め等にし、それぞれ背負い式にす
る、これが本作戦の目的です。本項では、作戦の
る必要があると考えています。
遂行に当たっての最小単位を想定し、活動を具体
(3) 容量の問題
的にシミュレーションしてみました。
現在の容量は 540 リットルで、最大想定放水量
ア
で放水した場合、1 分程度の余裕しかありません。
必要部隊等
(ア) 航空機隊 1 隊
したがって、放水開始、停止に対してできるだけ
航 空 機 隊 で必 要 資 器 材 と人 員 を搬 送 しま
柔軟性を持たせ、かつ可搬性能を維持するうえで、
す。搬送後は地上部隊と連携して、空中消火
容量を約 2 倍程度のものにするのが望ましいと考
を実施します。
(イ) 降下部隊 1 隊
えます。
消防隊は、航空機隊により火点まで移動し
5. 戦術としての展望
降下、ホースを延長して消火活動を実施しま
西日本の平均的な里山のように、常緑広葉樹を
す。
(ウ) 資器材
主体とした雑木林の火災では、主たる燃焼物は下
草と樹冠の枝葉のみで、木造建物の火災とは比較
降下部隊は、水利から簡易水槽までのホー
にならないほど火勢が弱いものです。実際、通常
スに加えて、
「背圧放水」1 スパンの資器材を
の山林火災での、平均的な単位時間当りの放水量
携行します。ただし、必要に応じて小型動力
は、建物火災と比較してかなり少ないので、通常
ポンプ及び浸透剤等の必要物資は別に輸送
は単線での中継送水で活動可能です(写真 3 参
します。
照)。しかし、火面の拡大や瞬間的な火勢を考える
イ
活動要領
と、主火制圧、延焼阻止などの局面では、複線で
(ア) 出動
消防隊 1 隊は、必要資器材とともにヘリコ
の中継送水を実施するか、航空機隊との連携活動
プターに搭乗します。ヘリコプターは、現場
が必要と考えられます。
上空でホバリング、人員、資器材を下ろしま
一般に、航空機隊の空中消火は、一度に大量
の散水が可能なため火勢の鎮圧には有効ですが、
す。
当然、水利と火点が離れている場合は、降
樹木の枝葉が障害となること等から定点の消火が
下部隊を複数投入することになります。
困難です。これに対し、地上部隊の消火は、大量
(イ) 初期活動
放水は困難ですが、浸透剤との組み合わせ等で燃
焼状況に合せた活動が可能で、残火処理には必
降下部隊は、水源から落差最大 60 メート
要不可欠です。したがって、この両者の戦術の組
ルまでの範囲内で放水隊形をとり、単線での
み合わせがもっとも有効な消火方法であるといえ
中継送水による消火活動を開始します。
- 145 -
消研輯報 58
航空機隊は、人員、資器材を下ろした後は、
空中消火により地上部隊と連携します。
槽に短い間隔での補給は困難であることから、
できるだけ輸 送 能 力 の高 い航 空 機 が必 要 と
(ウ) 連携活動
なります。
(イ)陸空の連携
地上部隊は、空中消火と連携する場合は
主として残火処理に当たり、消火用水を地中
陸空の各部隊が連携して消火活動を実施
に浸透させるため浸透剤等を活用します。
する場合は、地上部隊の活動を単線放水に
航空機隊は、空中消火を実施する場合は、
限定できるため、毎分 250 リットル程度の用
地上部隊の誘導に従い、主として火面の拡大、
水 が補 給 されれば有 効 放 水 として期 待 でき
火勢の鎮圧に当たります。
ます。この場合、上記(ア)から、輸送能力 1、
(2) 航空機動部隊構想
000 リットル程度の、必要数の航空機を円滑
人里離れた山林奥地で火災が発生すれば、当
に運用できれば、戦術として成立することにな
然ふもとからのホース延長には膨大な時間と人員
ります。
を必要とします。そこで、逆に火点の上方の適当
例えば、輸送能力 1、000 リットルのヘリコ
な場所に人員、器材及び消火用水を空輸し、迅
プターが、防火水槽への 1 回の補給に 12 分
速な火掛かりを行おうという作戦です。そのために
かかる場合は、12 分/(1、000 リットル/250
は、複数の航空機隊、複数の降下部隊及び相応
リットル)=3 機となり、3 機のヘリコプターが円
の器材が必要となります。本項では、これらのこと
滑に稼動すれば、毎分 250 リットルの補給す
について将来的な戦略としての考察を試みました。
なわち放水が可能です。
ア
必要部隊等
6. おわりに
基本的に、前期(1)の空挺部隊作戦を実施
するのに必要な部隊等に加えて、水源を空輸
今回特定の戦術を考案したところから、将来に
する部隊が必要となります。この水源を空輸
わたる遠大な構想を提案しましたが、このうちの一
する部隊とは、具体的には、複数の、ヘリコ
部は、既に実現目前まで来ているとはいえないで
プターを運行する部隊を指し、水槽と一定量
しょうか。例えば、京都市消防局に次期導入予定
の消火用水とを搬送することとなります。一定
のヘリコプターは、容量 950 リットルの機内水槽を
量の用水とは、地上部隊が放水を継続できる
備えており、前項で想定した一部の作戦について、
水量をいい、具体的には、少なくとも毎分 250
既にその一翼を担える能力を備えています。
ないし 500 リットル程度の搬送能力が要求さ
イ
また、今回の研究で、消防装備と消防戦術とは、
れます。
相互に影響し合って発展していくものだということ
活動
も理解できました。今後とも、現有装備を最大限
(ア) 地上部隊のみで活動
に活用した現場活動について工夫し、また、現場
活動が装備の充実を促すような研究を続けていき
消火用水を空輸し地上部隊のみに消火活
動をさせる場合は、毎分 500 リットル程度の
たいと考えています。
補給が必要となります。この場合、当該ヘリ
コプターの輸送能力(リットル)を 500 リットル
で除した値が最低補給間隔(分)となります。そ
して、1 機の、防火水槽へ 1 回補給するのに
要する時間を、最低補給間隔で除した値が、
必要航空機数となります。ただし、一つの水
- 146 -
消研輯報 58
写真 1
開発した可搬式水槽
写真 2
写真 4
写真 3
17 ミリ、250 リットルでの放水実験
- 147 -
山林での放水実験
放水量、圧力の検証実験
消研輯報 58
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消研輯報 58
平成 16 年度優秀賞
一般による消防防災機器の開発・改良
「地下式消火栓・防火貯水槽鉄蓋の標識灯開発」
尾崎工業株式会社
尾崎
標識灯開発をするについて、特許庁公開広報を
逸
ス底部に、M10 螺子のトルクで、発光体部だけの
元に調査した所、標識灯装置が種々提案されてい
取替えを可能としました。
るが、全て製品化されていない。
3. ハウジング部
今回、当社の商標「フタライト」製品は、下記
の問題を解決し製品化しました。
(1) 形状(表-1)(図-1)(写真-1)とする。
昨年 11 月行われた、「東京国際消防防災展」
(2) 材質
に展示した所、全国の消防機関より沢山の問合せ
発 光 体 ( 図 - 1) の (A) は ポ リ カ ー ボ ネ イ ト 樹 脂
を頂き、既に採用頂いております。
L-1250Z100 道路鋲等で実績の在るものとし、(B)
はエラスストマー樹脂 P-40H ペルプレンとした。こ
1. 特許申請、実用新案、商標登録
の異種樹脂の圧着技術を可能に出来たことで、コ
(1) 特許願 2003-064564「屋外標識灯装置の取り
ンパクトで強靭、完全防水の発光体を作製しまし
付け方法」
た。強度試験表(図-2)
(2) 実用新案登録証
第 3086265 号
(3) 商標登録証「フタライト」
電子回路保護と空気結露防止のため封止剤(エ
第 4702242 号
ポキシ樹脂、ポリアミド樹脂混合材)で回路室内に
充填しました。
2. 発光体部
4. 取り付工法
(1) 電子回路
①太陽電池を通常 8 枚であるものを、雨天日陰で
取り付工法には 2 工法があり、既存の「地下式
も十分に充電容量が確保出来る様、10 枚パネルと
消火栓」「防火貯水槽」の鉄蓋に加工して取付け
し、素材を 4.7V15mA シリコン単結晶としました。
るものと、鉄蓋製造メーカー(三国プラスチックス
②光源は、目的に合わせ、φ3 赤色 LED500mcd1
㈱)と提携、新製品製造段階で、蓋体に発光体挿
個とし、点滅回数も 60 回/分としました。
入カップを設計製造、発光体付新消火栓鉄蓋があ
道路上に埋設されている、道路鋲等と見間違い
ります。(写真-3)(写真-4)
の無い様にする事で、県警(兵庫県)及び国土交通
(1) 既存消火栓.防火貯水槽鉄蓋加工取り付
省より販売しても良いとの事でした。
①鉄蓋の穴あけ、蓋体表面にφ58 のコアドリルで
③点灯照度、充電時間、作動時間は(表-1)とする。
穴を貫通させます、この時に必ず、蓋体裏のリブ
④.充電電池、3V100mA リチウム電池とし、発光体
部に傷が付かない様にします、次いでφ60 のコア
小型化を追求しました、又、充放電の計算上電池
ドリルで蓋体表面から 5mm 開け、2 段穴とします。
寿命は約十年間と長寿命なものとしました。
(図-1)加工蓋強度試験(図-4)
(2) 発光体取替え、破損、寿命で発光体取替え時
②発光体加工取付け用ステンレスケース
も(図- 1)で発光体加工取り付け用ステンレスケー
(SUS304)(図-1)(写真-1)に発光体をセットします、接
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消研輯報 58
合部は接着材 FRONT105G(シアノアクリレート系)に
この固着剤開発において、金属特有の「たわみ」
て発光体底辺部だけ接着します。
による、金属疲労での接合部破壊問題も解決しま
③発光体付ステンレスケースの周りに固着剤(オル
した。
ガノシラン変成型エポキシ樹脂.CTBN 変成ポリアミ
ド混合剤)を塗り、蓋体穴に挿入します、一定養生
以上のような構造を採用することで、地下式消
期間後完成。接着部強度試験(図-3)
火栓、防火貯水槽蓋の標識灯開発としました。
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消研輯報 58
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消研輯報 58
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消研輯報 58
平成 16 年度優秀賞
一般による消防防災機器の開発・改良
「ゴミ焼却ピットの自動消火火災検知システムの開発」
滋賀県東北部工業技術センター
川崎
雅生
財団法人滋賀県産業支援プラザ
櫻井
淳
株式会社立売堀製作所
辻
則男
1. 目的
広範囲の監視エリアから高温物を自動検出し、
本研究では、ごみ焼却施設(図 1)のピット(ゴミ
その 3 次元座標位置と温度を抽出し表示するプロ
の蓄積場所)内での火災事故の未然防止を行うた
グラム(図 4)を開発した。開発言語は、Visual Basic
め、滋賀県東北部工業技術センターとの共同研究
として、赤外線画像を処理する所は高速性が必要
により、ごみピットの火災検知・消火システムの共
な為、Visual C++で DLL を作成した。
同開発を行っている。
(4) 赤外線カメラ温度特性の測定
物体の温度-計測距離-赤外線レベルの関係調
2. 内容
査を調べるため、各種カメラ感度および測定距離
「カメラ駆動部の開発と自動火災検知プログラム
における物体の温度と赤外線レベルとの測定実験
の開発」
を行った。赤外線カメラの感度を Low(高温測定用
(1) システム概要(図 2)
モード)に設定し測定実験を行った結果を図 5 に示
赤外線カメラとレザー距離計を 2 軸駆動テーブ
す。実験結果より、測定物の温度と赤外線レベル
ル(図 3)により駆動制御することにより、1 台の監視
(赤外線画像のデータ値)との間には、ほぼ比例関
カメラで広範囲のエリアの自動温度監視が可能と
係があることが分かる。しかし、測定温度範囲が
なり、監視エリア中から高温部を検出し、その 3
180 度あたりまで広く、今回の温度監視(100 度以
次元座標位置と温度情報を自動抽出するシステム
下)には適さないことがわかる。
の開発です。
次に、カメラの感度を High(低温測定用モード)に
(2) 2 軸駆動テーブルの開発
設定し測定を行った結果を図 6 に示す。この場合、
逆に測定物の温度が約 75 度で赤外線のレベルが
カメラ駆動部は、水平及び垂直方向に駆動が可
能な 2 軸駆動テーブルをパルスモータとノンバック
飽和してしまっている。
ラッシュギヤを組み合わせ開発した。駆動部制御
そこで、カメラの感度を今回のシステムの温度監視
は、パソコンからの遠隔制御を行うため、RS232C
に最適な範囲に調整するため、赤外線フィルタを
を光信号に変換した伝送システムとした。また、工
使用した。その結果、図 7 に示すように約 45~105
場内にカメラ駆動テーブルを設置し、1 年間の耐
度の温度領域で、ほぼ線形な温度特性を得ること
久試験を行った。モータ、赤外線カメラ、距離計
が可能であった。また、今回の測定距離範囲にお
には、この 1 年の耐久試験では問題なかった。
いては、対象物の温度を局所的に測定することに
(3) 自動火災検知プログラムの開発
より、温度と赤外線レベルの関係は測定距離に依
- 153 -
消研輯報 58
存しないことがわかった。
とが分かった。
この温度特性結果を用いて、火災検知部内で赤外
この問題を解決するために、工業技術センター
線レベルと温度との変換処理を行うことにより、対
が開発した画像処理検査ソフトにて火災判断を行
象 物 の温 度 監 視 とその温 度 判 定 による火 災 判 定
う処理を追加して精度の向上を行っている。
が行えるようになった。
本画像処理検査は、対象画像から高温物を抽
(5) 火災判断処理
出した後、物理的形状を測定し火災判断を行いま
設定値以上の高温物を検知した時は、高温物を
す。
画像の中心に移動し、距離計の情報より、一定範
また、パラメータを抽出して蓄積する機能、蓄
囲(例えば、2m×2m)の温度上昇、高温画素数を
積 された特 長 パラメータをもとに学 習 する機 能 を
監視し火災判断処理していた。
有する為、学習により精度が向上します。
火災判断処理のフローチャートを図 8 に示す。
今回は、画像処理検査ソフトを DLL として利用
(6) 火災判断処理の改造
します。
作成した DLL をプログラムに追加して、フィー
火災判断の検証を行うため、近くのごみ処理施
設に自動火災検知装置を設置し、フィールドテスト
ルドテストにて検証します。
を行っている。
今後、フィールドテストにて色々な検証を行い、
その結果ごみ搬送クレーンが油圧駆動の為、油圧
早期実用化を目指したいと考えております。
タンク部が火災に相当する高温物(図 9)に見えるこ
図1
- 154 -
消研輯報 58
図2
図3
- 155 -
消研輯報 58
図4
図7
図5
図6
- 156 -
消研輯報 58
図8
図9
- 157 -
消研輯報 58
平成 16 年度優秀賞
一般による消防防災論文
「低酸素空気による救命消火ガス供給インフラシステムについて」
株式会社大同
拝師
知行
1. はじめに
品であり、窒素ガスのみの商品である。窒素は空
昭和 23 年に消防法が交付されて以来、水系、
気の主成分であり、環境汚染はまったく無い。
ガス系、粉末系など、様々な消火設備等が施工、
NN100 の消火原理は、燃焼ガスと酸素の希釈
運用されて来た。消火剤放出による二次汚染が少
効果、及び窒素放出注入による冷却効果である。
ないガス系の消火設備としては、昭和 36 年に、
ほとんどの可燃物は、酸素濃度 14%以下で消火出
二酸化炭素消火設備が政令にて、昭和 49 年には
来る。12%以上あれば人体にほとんど影響が無い。
ハロン 1301 が省令にて認められ、長くその役目を
つまり、NN100 放出後の設計酸素濃度 12.5%と
果たしてきた。
言う雰囲気は、結局、人体への影響も無く、消火
しかしながら二酸化炭素消火設備は、二酸化炭
が可能な"空気"と言う事になる。実際、放出後に
素による窒息の危険性のみならず、ガス自体が人
中に入っても息は出来るが、マッチで火を点ける
体に与える毒性が問題となり、点検時などの死亡
事は出来ない。ならばこの何とも不可思議な"空気
事故も少なからず発生して、平成 9 年の通知によ
"を人類のために利用出来ないだろうか?
りその安全対策が特に強化された。
2. イナート(不活性)系新ガスの問題点
また、抑制効果による優れた消火性能を有し、
2001 年 3 月 29 日の消防法施行規則改正により、
なお且つ、クリーンで人に対する安全性が高いと
いう事で脚光を浴びたハロンガスも、地球温暖化
不活性ガス消火設備の基準が施行規則第 19 条に
指数が高く、また国際会議において、フロンガス
定められた。地球環境には問題が無いものの、炭
以上のオゾン層破壊係数があることが問題となっ
酸ガスやハロンと違い、液化状態の貯蔵が出来な
た。そして平成 3 年にはその使用が抑制され、平
いため、いくら貯蔵圧力を 30Mpa に高めてもボン
成 6 年には、生産も禁止され、平成 5 年にハロン
ベ本数が多くなってしまい、貯蔵庫のスペースを確
バンクが設立されて管理運用されている。
保するのが困難となる。つまり、比較的小規模か
このような経緯の中、
「新ガス」と呼ばれる新た
つ開口部の無い防護区画しかカバー出来ない。ま
な消火ガスが開発され、平成 13 年に消防法施行
た、炭酸ガスの様な毒性は無いとはいえ、窒素や
規則に組み込まれた。新ガスには大きく 2 種類あ
アルゴンそのものの中では、人は窒息死する。ガ
り、それぞれ、イナート系、ハロカーボン系と呼ば
ス放出中直近では、そのような可能性もある。さら
れている。ここでは、イナート系に注目する。イナ
に、基本的には防護区画の雰囲気を保持したまま、
ートとは、不活性という意味で、実際には、窒素と
そこにガスを放出するため、火災により発生した有
アルゴンと二酸化炭素を用いている。その配合率
毒ガスの希釈は出来ても除去は出来ない。
の違いで「イナージェン」、「アルゴナイト」そして
「NN100」の 3 種類が商品化されているが、基
3. 窒素ガス放出後の低酸素空気について
本は同じである。そのうち NN100 は、唯一国産
イナート系新ガスの中で、窒素ガスだけでもそ
- 158 -
消研輯報 58
表2
の役目は果たすことが示された。空気は、窒素約
78%、酸素約 21%、その他約 1%で出来ている。
場所
そこに窒素ガスを放出注入して、窒素 87%、酸素
高度と体感酸素濃度
高度
気圧
体感酸素濃
(m)
(mmHg)
度(%)
0
760
20.9
12.5%、その他 0.5%の組成とする。この低酸素状
平地
態(Hypoxic)の空気(Air)を考察してみる。
富士山
3,776
476
13.1
(1) 消火可能性
ユングフラウ
4,166
452
12.4
エベレスト
8,844
236
6.5
空気中の酸素濃度、燃焼ガス濃度を低下させる
希釈効果、及び、放出される窒素の熱容量により
熱を奪う冷却効果との相乗効果によって、燃焼反
応を不活発にして消火するという事で消防法でも
体感酸素濃度(%)
0
認められている。
(2)安全性(表 1、表 2、図 1 参照)
10,000
窒素自体は、空気の主成分であり、人体にとっ
100%の雰 囲 気 の中 では、 窒 息 死 する。 NN-100
7,000
海抜高度(m)
8,000
メーカー独自の、医師立会いによる人に対する吸
入試験によると、酸素濃度 10%、暴露時間 10 分
で、安全性が確認されている。また、EPA(米国環
エベレスト
5,000
●人類の最高所居住
ユングフラウ
4,000
富士山
3,000
2,000
剤の使用条件を表 1 のように発表し、酸素濃度
1,000
0
12%以上では使用制限なしと発表している。
0
200
図1
EPA による IG100(窒素ガス)の使用条件
制
制限なし
10%~12%
1 分以内に退避出来ること
10%以下
通 常 無 人 の防 護 区 画 で作 業 者
400
気圧(mmHg)
600
800
海抜高度と等価酸素濃度
参考文献;NN100 技術資料
限
12%以上
21
6,000
境省)が、1999 年 2 月付官報でイナート系新消火
酸素濃度
14
吸気中酸素分圧(mmHg)
0 50 100 150
9,000
て炭酸ガスのような毒性は無い。但し、窒素ガス
表1
7
4. 低酸素空気(HA)の製造
消 防 法 施 行 規 則 の基 準 に基づく新ガスの放 出
により酸素濃度 12.5%の消火空気が出来るが、こ
等特定のものが 30 秒以内に退
ういった低酸素空気は、他の方法でも造ることが
避出来ること。
出来る。
なお、本論文では、これより以下、この酸素濃
一方、空気中の酸素分圧から割り出した、対応
度 10~ 14%、 特 に 12.5%前 後 の低 酸 素 空 気 を
酸素濃度を「体感酸素濃度」と言う。それによる
HA(Hypoxic Air)と呼ぶ事とする。
と、富士山の頂上は 13.2%の酸素濃度、12.5%だ
とユングフラウの頂上に相当する(表 2、図 1 参照)。
十分に生存可能である。
(1) 液体窒素法
液体空気を分留することで、液体窒素(沸点
-196℃)、液体酸素(沸点-183℃)が得られる。これ
らを設計比率で混合することにより、また、液体窒
素を一定量の空気中で気化させることにより HA
を作ることが出来る。
- 159 -
消研輯報 58
(2) PSA(Pressure Swing Adsorption)方式
命消火システムが誕生する。ここでは、このシステ
ゼオライト(沸石、分子篩)や MSC(分子篩炭)な
ムを、仮に HAIS(Hypoxic Air Inerting System)
どの酸素吸着剤を用いる方法。加圧状態の空気を
と呼ぶ事とする。
吸着剤の中に通過させ、酸素、炭酸ガス、水分な
どを吸着除去する。ほとんど吸着されない窒素ガ
6. HAIS が開く世界
スはそのまま通過し、抽出される。酸素などを吸
~
~期待される効果、メリット
着した吸着剤は、常圧まで減圧することで容易に
HAIS が誰でも利用出来るようになれば、今ま
脱着、再生が出来る。2 本の吸着剤を交互に加圧
でとは違った安全で快適な社会を形成することが
減圧を繰り返す事により、連続的に窒素ガスを得る
可能となり、新たな世界が広がる。
ことが可能。製品も多数市販されている。
(1) 住宅火災(図 2 参照)
この窒素ガスと、空気とを調整することにより、
今後日本は、急速に高齢化社会を迎える。住宅
HA が得られる。
用火災警報器を完備しても、初期消火や避難が迅
(3) 分離膜方式
速に出来なければ被害は減らない。高齢者にはど
一見、孔の開いてない高分子膜でも、ガスは、
ちらも大変な事だろう。HAIS による救命消火が出
わずかに通過することが出来る。どのガスがどれく
来れば安心だ。誤放出によりいくら HA が流れて
らい通過するかは、ガス成分と高分子膜の組み合
も、クリーンで安全だ。地球にも優しい。都市ガス
わせにより大きく異なる。こういった性質を利用し
漏れを検知して、いち早く HA 置換するようにする
て、特定成分のガスを、混合ガスから分離するこ
事も出来る。住宅用として理想的。
とが出来る。特定ガスが高分子膜を通過するため
(2) 雑居ビル関係(図 3 参照)
には、供給側の加圧、もしくは透過側の減圧が必
新宿歌舞伎町雑居ビル火災での 44 人の犠牲者
要である。酸素ガスを優先的に通過させる高分子
の殆どは有毒ガスによるものだろう。HAIS があれ
膜としては、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポ
ばまずこの有毒ガスを HA で追い出し、救命を行
リイミド等がある。
う。まずもって人命救助が第一。同時に、消火も
空気をコンプレッサーで加圧し、高分子膜により
行う。避難する場合も有毒ガスを希釈、除去し、
高酸素空気と低酸素空気に分離し、空気と混合、
視界も確保させる。避難困難な人も HA が守る。
調整することにより、HA を得るのが分離膜方式で
(3) 高層ビル(図 2 参照)
ある。PSA 方式同様、市販品装置が多く出ている。
はしご車も届かないビルが日本でも多く建設さ
れる様になった。水による消火も高層階だと大変
5. 救命消火システム(HAIS)の誕生
なシステムを必要としている。水損による二次災害
HA が容易に入手可能なことは示された。具体
も深刻だ。HAIS なら、高層階であろうと難なく救
的な供給方法は後に論ずるとして、仮に、HA が
命消火が行えるし 2 次災害も無い。例え、飛行機
いつでも大量に、誰でもが手軽に入手可能な状況
が突っ込んで来ても被害を最小限に抑え込める。
を考えてみる。HA が、消火に有効に機能するた
(4) 共同溝、地下鉄、地下街、トンネル、坑道、
めには、火災現場の雰囲気が、ほぼ完全に HA
大深度地下空間(図 2 参照)
に置換されなければならない。それが可能ならば、
2000 年 11 月には、オーストリアで、トンネル内
火災による有害ガスも排出される事になり、消火し
山岳ケーブルカー火災が発生し、日本人 10 人を
つつ人命も救助することが可能となる。
含む 155 人が亡くなられた。2003 年 2 月には、韓
国地下鉄放火火災により、190 人以上の方が亡く
つまり、現場の雰囲気を完全置換しうる何らかの
システムと、置換ガスに HA を用いる事により、救
なられる事件が発生した。こういった閉塞空間で、
- 160 -
消研輯報 58
避難も困難な所は、HAIS による救命消火が最適
酸素濃度が低いため、システム機器の劣化速度も
であり他に見当たらない。逆に、HAIS があれば、
遅くなり、耐用年数も上る。おそらく、害虫や小動
安心して大深度地下空間や海底トンネル、海底都
物も生息しにくくなり、それによる被害も低減しよう。
市なども開発出来る事になる。
但し、自動車用トンネルは、エンジンの燃焼効率
共同溝や地下鉄、鉄道トンネル、電線管等は、
が落ちるため、HA 置換は適さない。
予め、HA を置換しておくと良い。電線が何らかの
原因で火災を起こすような場合でも、火は出ない。
HA
主 管
HA
;HA発生器
地下鉄、トンネル、地下街等
図2
HAISIS イメージ図(基本コンセプト)
HA
HA
図3
(5) HAIS 応用事例
雑居ビル火災救命消火
水を入れたタンクの加圧用として HAIS のガス
~発展的展開~
①水系消火設備加圧源(図 4 参照)
圧力を利用すれば、電源のいらないスプリンクラー
- 161 -
消研輯報 58
設備や屋内消火栓設備が可能となり、さらに、水
ておき、浸水を感知したときに速やかに HAIS の
が出切った後は、HA 救命消火を行うという 2 段
ガス圧を利用して、膨張、浸水防御を行う。
構えのシステムが可能。まったく電気に依らない設
④文化財等の防災、保存
備となる。
貴重な文化財等を傷める事なく消火出来る。又、
HA 雰囲気下で国宝や文化財、発掘品を保存す
②対テロ、NBC(核、生物、化学兵器)対策
換気、浄化設備と組み合わせて、NBC による
れば、酸化による経年変化、害虫等による損傷を
汚染空気を HA で置換、排出空気の浄化処理を
遅らせる事が出来る。各家庭に応用すれば、野菜
行う。HAIS により、速やかに浄化が完了する。
や食品の保存にも有効。
③浸水対策
⑤その他、HAIS の世界では、思いも依らない利
自然災害による浸水対策が必要な所には、予め、
用法が出て来よう。
ゴムチューブなどを応用した、膨張器具をセットし
スプリンクラー
消
火
栓
スプリンクラーから水が出尽くしても、続いてHAが出続ける
*HA放出圧力としては、1Mpa以上ほしい所だが、足りない様なら
窒素ボンベを設置して調整しても良い。
HA*
図4
応用例 1[HAISIS-WATER]
7. HAIS は可能か?
能である。唯一、放出を泡で行った場合はボンベ
HAIS により、飛躍的に安全安心の世界が広が
設置でも必要量の算出は可能だが、空気もボンベ
る可 能 性 を展 望 した。 次 に方 法 論 として、 HAIS
で供給する場合は、窒素と同じ本数を設置する事
の世界を構築する可能性を考察する。ここではま
となる等、関係者個々に負担するにはコストが掛か
ず、個々の防火対象物毎に、HA 供給システムを
りすぎて、実現は、余程の事が無い限り難しい。
設置する場合を考える。
(2) 窒素発生器と空気混合器による方法
(1) ガスボンベや液体窒素による方法
より現実的なシステムは、PSA 方式や、分離膜
個々の防火 対象物に窒 素 ボンベや液体 窒素に
方式による窒素発生器と空気混合器による装置を
よる HA 供給システムを設置すると言うのは、物理
設置し、HA を現場で製造しつつ供給すると言う
的にも、コスト的にも非現実的である。開放系にお
方法。この方法だと、電源が必要にはなるが、必
いて、その場の雰囲気を完全に置換し得るに足る
要量を算出、貯蔵することも無く、現場の有害空
HA 量を決定し保管することは、そのシステムによ
気を、安全な HA で置換し続けることが出来る。
る置換効率が正確に計算、確定されない限り不可
この場合問題となるのは、窒素発生器の窒素供給
- 162 -
消研輯報 58
能力である。家庭用のエアコンを使う様に、各家
ーク化され繋がり、コンピューター制御されれば、
庭でも必要量の HA が短時間に大量に、安価に供
火災現場に HA を常時無尽蔵に送り続ける事が出
給できる製品があれば良いが、今の所存在しない。
来、究極的には貯蔵庫は要らなくなる。一方、巨
今後の研究開発により製品化されれば、消防自動
大貯蔵庫に加圧貯蔵しておけば、その分、窒素発
車にも搭載出来て、消火作業も、大いにやり易く
生装置の設置個数は減らす事が出来る。初期設置
なるだろう。
費用と稼動費用、メンテナンス費用等の兼ね合い
現在開発されている低酸素トレーニング室では、
で最適化されよう。
14%~16%の酸素濃度にするのにおよそ 4 時間掛
尚、HA 製造時に炭酸ガス除去装置を組み込め
かるのが一般的である。装置を大きくしたり、多量
ば、温暖化防止にも寄与する。
に設置したりすればいくらでも供給は可能だろうが、
(3) HA の供給
主管を新たに敷設するのが基本だが、今ある施
コストは合わなくなる。
ならば、せっかくの HA を、現有技術で利用す
設を出来るだけ利用することを考える。水道管や
雨水管は難しいにしても、トンネルや地下鉄の下部
る事は不可能なのだろうか?
次に、本論文の結論として、上記の答えを「YES」、
空間部、今後急速に普及する共同溝等を利用して
主管を通し、供給および貯蔵も行う。
つまり「可能」とする事に関して述べる。将来的な研
究開発を待つことも無く、基本的に今ある物や方法
巨大貯蔵庫や各所に設置された HA 製造器は
を発展・組み合わせる事(イノベーション)で HA を
主管で繋ぎ、ネットワーク化する。都市間も繋ぎ、
利用し、人類を火災の恐怖から解放する、第 3 の
巨大インフラネットワークを全国的に組めば、さら
方法を考察、提示する。
に大量供給が可能で、地震による都市単位の火災
にも有効なシステムが組みあがる。
(4) HA の放出
8. HA による救命消火ガス供給インフラストラクチ
主管から枝管をひき、各防火対象物に HA を導
ャーシステム
前項 1)の方法と 2)の方法の欠点を補うことで、
入する。各家庭はもちろん、地下街やトンネル、
アウフヘーベン(止揚)された第 3 の方法が浮かび
地下鉄、高層ビルなど、どこでも近くの主管から枝
上がる。この方法をここでは HAISIS(Hypoxic Air
管を伸ばすだけで設置できる。放出ヘッドは、火
Inerting Safety Infrastructure System)と呼ぶ事
災感知器連動でも良いが、電源フリーの観点から
とする。
は、スプリンクラーヘッドの様に、一定温度で解け
(1) HAISIS 基本コンセプト(図 2 参照)
るヒューズメタル等 を用 いたものを利 用 するのが
個々の防火対象物毎に HA を利用することは難
良い。停電になってもしっかりと機能する。
しい事が示された。ならば、発想を広げて、共同
利用する事を考える。巨大貯蔵庫も、窒素発生器
9. HAISIS の当面の問題点
の大量設置も、社会インフラとして、皆で分担すれ
~
ば、設備やコストは分散され、安全は共有される。
(1) 有効性
~解決すべき課題
救命消火能力は、換気効率と換気速度による。
先に示した世界が広がるなら、充分公共投資とし
て見合おう。
能力を上げるには、ノズルの形状、取付け位置、
(2) HA の製造と貯蔵
個数、放出流量、放出圧力、排煙状態、これら
窒素発生装置と空気を利用して HA を製造する。
を基にした、流体力学や換気工学を動員する必要
がある。そのための実験施設も必要である。
製造能力と貯蔵量は、互いに補完し合う。窒素発
十分な検討により最適化は可能であろうが、HA
生器が大量に各地に設置され、それらがネットワ
- 163 -
消研輯報 58
を無駄なく、短時間で、確実に機能させなければ
10. 終わりに
ならない所には、HA 泡消火システムを提案する
(図 5)。泡として HA を供給すれば、既存空気と
究極の消火は、結局は、水と空気であったと言
の置換も容易で、無駄なく確実に救命消火が出来
えよう。ここにようやく、クリーンな未来型自動救命
る。泡の中身が窒素などの不活性ガスのみだと、
消火が完成する。建物の中は低酸素空気(HA)で、
窒息死してしまう。
外は水で。次は、危険物や山火事や広域災害に
(2) 製造、貯蔵、供給システムの実現性
対する体制を強化する事になる。
置換速度と置換効率、地域最大建築物容量か
今ある事実の積み上げだけで、実務的な検討
ら各地域における必要最小限の HA 量は算出され
は何一つ成されてないが、HAISIS は人類の安全
る。製造能力と貯蔵容量のバランスで、HA 発生
安心を、今以上に高めるきっかけを秘めている。
装置の設置量と、貯蔵庫の総容量は決まる。研究
「ミネルヴァのフクロウは黄昏時に飛び立つ」(ヘー
段階で有効性が確認されれば、いよいよ実用化と
ゲル)。ミネルヴァはギリシャ神話の知恵の女神、
いう事になる。消防法の性能規定化の動きが実現
フクロウはその使者。黄昏時とは、1 つの時代を
性を押し上げるが、初期費用は膨大なものとなろ
規定していた制度や仕組みなどが役割を終えた時
う。予算を気にしない国家プロジェクトとして、モ
のこと。その時に知恵の女神の使者は飛立ち、時
デル施設や特殊施設等での採用、実用化検討が
代を前に進める。フクロウの尻尾を皆で捕まえるよ
望まれる。誰でもが負担少なく使える様、運営や
うなら夜明けは来ない。HAISIS は、フクロウとし
課金方法等のビジネスモデルを組み上げた後、最
て飛び立つことが出来るだろうか。
終的には、国民的同意の下、公共工事として本シ
ステム自体、国家的事業化が必要だろう。
泡
原
料
タ
ン
ク
HA/泡
HA
図5
応用例 2[HA-FOAM]
- 164 -
消研輯報 58
平成 16 年度奨励賞(機器の開発・改良)
「組立式救命発射装置」
多野藤岡広域市町村圏振興整備組合消防本部
中村
今井
仁
隆夫
た。また、スタンドパイプの口径が 65 ㎜であるた
1. 考案理由
当消防 本部 でも救命 索発 射銃は装備されてい
め発射体として使用するペットボトルが限定されて
るが、救助隊のみであり、分署管内で発生した救
しまう。
助事案により救命索発射銃が必要となった場合、
以上のような問題があったため重量、組み立て
救命 索 発 射 銃を装 備している本署 救 助 隊の到 着
やすさを考え試行錯誤の結果、添付写真に示すと
までに 1 時間以上かかることがあります。それまで
おり 350?のペットボトルが装填可能な口径 70 ㎜の
の間、要救助者に拡声器などを使用して力づけ程
アルミパイプを使用する構造となりました。
度しかできないのが現状であります。
当初利用可能と考えたのは、消防車に積載して
仮にボールや砂袋にリードロープを結着し全力
いる器具の中から次の装備品であります。
で投げたとしても水平距離 30m、垂直距離 15m
(1) 空気ボンベ・・発射エネルギーとしての圧縮
程度が限界であります。
空気
そこで、現在消防車に積載してある装備品を利
(2) 短ホース・・圧縮空気の圧力タンクとして利用
用し、最低限の機材追加で水平距離 50m 以上、
(3) 2 ハンドルの分水器・・発射用のトリガー(引き
垂直距離 20m 以上、リードロープを飛ばせてラン
金)として利用
ニングコストがかからない方法はないかと考え、開
(4) 媒介金具・・使用するホースと分水器の接続
発に取り組み、考案いたしました。
適宜使用
(5) 差込キャップ雄・・圧縮空気をホースに充填
2. 構想・外観
する際に使用
基本的には、地下式消火栓用スタンドパイプま
たはアルミパイプを銃身、分水器をトリガー、空気
3. 考察
ボンベの圧縮空気を消防ホースに充填して発射エ
(1) 分水器、媒介金具、差込キャップ雄は既製品
ネルギーとしてリードロープを結 着したペットボト
のため、使用する圧力的にも安全上、特に問題は
ルを発射体として使用する構造である。
ないと考えます。
(2) 分水器は 2 レバー式のもの又はスットップバ
開発当初は地下式消火栓用スタンドパイプを使
用しましたが、積載されているスタンドパイプは真
ルブを使用します。1 レバー式の分水器は構造上、
鍮製のため重く、またパイプ雄側内部に段差があ
一操作で確実に全開させることができないので、
るためパイプと分水器の接続を雌雌の異径媒介金
使用には適しません。所属配備の消防車に積載し
具を接続する必要があったり、50 ㎜ホース用の分
ている分水器は口径 50 ㎜用の分水器であるため
水 器 を使 用 したため媒 介 金 具 を多 用 する必 要 が
実験ではこれを使用しました。
あり、複雑化するので組み立てにくいのが難点でし
(3) 短ホースは、パイプ内を発射体が高速で通過
- 165 -
消研輯報 58
できるだけの空気量が必要なだけなので 3m から
ス加工機でフレア加工し、アルミパイプに溶接しま
5m 程度あれば十分です。実験では口径 65 ㎜、
す。アルミパイプの側面にはスライド調節可能なハ
長さは 3m 程度の短ホースを使用しました。口径
ンドルを溶接しました。
50 ㎜・65 ㎜いずれのホースにしても耐圧的には問
(2) 短 ホースの雌 金 具 部 分 に結 合 する圧 縮 空 気
題は無いと考えます。欠点とすると、使用済みの
充填口となる差込キャップ雄金具の加工します。
ホースを切断して作成したものであるため、唯一安
既製品の差込キャップの雄金具を利用し、ボール
全の保証ができない部品であります。新品のホー
盤で穴を開け、タップを立て圧縮空気用のボール
スに空気を充填した場合、20m の直線空地が必要
コックを付けた後オスチャックを付けます。ボール
となり実用的ではないと考えます。
コックは、レギュレーターの圧力ゲージ保護目的
で設置したもので空気充填後ボールコックを閉め、
4. 購入・加工が必要となる部品
アルミパイプ(銃身)・・・350ml のペットボトル
分水器全開時にゲージが動かないようにするため
のものです。(写真参照)
装填可能な口径 70 ㎜、全長 800 ㎜のアルミパイ
プに分水器との接続金具に合わせたホース金具を
加工状況
溶接したもの(地下式消火栓用スタンドパイプでも
発射体と口径が合えば使用可能)
エアーホース・・・耐圧 1.5MP/c ㎡以上のもの
を使用。
エアチャック、ボールコック・・・減圧装置と差込
キャップ雄の接続に使用。
ペットボトル・・・発射体として使用。
リードロープ・・・必要に応じた牽引力に耐えら
(3) 発射体は、落下地点の安全と、必要に応じて
れ軽量なもの。
浮力を付けたいため清涼飲料水の 350ml ペットボ
減圧装置(レギュレーター)・・・空気ボンベの圧
トルを使用します。ペットボトルは口径 70 ㎜のアル
力を使用圧まで減圧すため使用。
ミパイプにちょうどいい大きさです。また、きつ過ぎ
緩すぎも発射のロスとなってしまいます。
使用資器材
(4) リードロープは、ブラインドひも、ポリプロピレ
ンロープ、救命索発射銃用リードロープの 3 種類
を比較しました。ブラインドひもは軽量なため 2 割
ほど遠くへ飛びましたが、発射時にブラインドひも
自体が絡まり易いという難点がありました。強度と
引き易さを考えると救命索発射銃付属リードロー
プの方が適材と考えますが、たやすく入手でき、
絡みにくいポリプロピレンロープも有効です。ホー
ムセンターなどで販売されており購入時の円形そ
のままの状 態 で内 側から引 き出して使い捨てとし
5. 加工が必要となる部品
て使用します。実験ではポリプロピレンロープを使
(1) 銃身として口径 70 ㎜、全長 800 ㎜アルミパイ
用しました。
プを使用します。50 ㎜の雌金具の先端を油圧プレ
(5) リードロープと発射体の結着は、ブラインドひ
- 166 -
消研輯報 58
もを使用し、キャップのねじ部分を利用して確実に
り、より遠方へ発射できることがわかりました。
結着し,ペットボトルの底を下側して銃身 に挿入し
(2) 8L 空気ボンベで、7 回から 10 回の発射が可能
使用しました。(写真参照)
です。
(3) 発射体として使用するペットボトルは、水の量
6. 組立
を半分程度にすれば飛距離は短くなりますが、浮
(1) アルミパイプの雌金具部分と分水器の雄金具
力が得られるので、溺水者に対し発射した際、浮
部分を結合します。
環目印にもなります。
(2) 分 水 器 の雌 金 具 部 分 に媒 介 金 具 を結 合 し短
(4) 分水器のハンドルを回す速さにより 3 割程度、
ホースを結合します。
飛距離の増減がありますが方向性は抜群です。
(3) 短ホースの雌金 具と差込キャップ雄を結合し
(5) リードロープは前方正面に置かないと、左右に
エアーホースを結合します。
曲がり着地方向がずれます。
(4) エアーホース、レギュレーター、空気ボンベを
8. その他
接続し完成となります。
(5) 必要に応じて適宜媒介金具を配置し使用しま
製作実験後、この装置について警察に照会した
す。(写真参照)
ところ、
「金属製の発射体を使用した場合には銃砲
刀剣類所持等取締法、第 1 章総則(定義)第 2 条
第 1 項に触れるおそれがありますが、樹脂製発射
7. 実験結果
アルミパイプの方にはハンドルを付けたので
体を使用している限りは問題ない。ただし、部品
0.5MP/c ㎡程度までなら手持ちでも発射可能であ
の破 裂 や発 射 体 の落 下 により負 傷 者 が出 た場 合
ります。また実験用に発射台を作成し 25 度と 35
には業務上過失傷害となる場合があるので注意し
度の角度で発射を実施しました。到達距離は別表
てください。」との回答を頂いていますので発射体
参照。
は樹脂製に限定することとします。
(1) 発射角度は 20 度から 30 度程度が効率的であ
実験結果 1
角度
充填圧力
自作アルミパイプ実験結果
0.3MP/c ㎡
0.5MP/c ㎡
0.8MP/c ㎡
70m
79m
102m
85m
100m
100m
90m
95m
95m
70m
95m
95m
25 度
30 度
35 度
72m
40 度
0.7MP/c ㎡
リードロープなし
170m
リードロープなしペットボトルフッ素コート後
実験結果 2
角度
充填圧力
35 度
1.0MP/c ㎡
0.5MP/c ㎡
170m
地下式消火栓用スタンドパイプ実験結果
0.3MP/c ㎡
0.5MP/c ㎡
0.7MP/c ㎡
30m
55m
65m
- 167 -
消研輯報 58
差込キャップ雄の加工。中心に穴をあけボール
銃身となるアルミパイプの加工。50 ㎜ホースの
コックを付け、オスチャックを付ける。
メス金具を使用しホースが結合されていた部分を
油圧プレス機でフレア加工しアルミパイプに溶接。
差込キャップ雄、エアーホース、レギュレーター、
空気ボンベを接続する。
アルミパイプの側面にレールを溶接する。このレー
ル内をハンドルが自在に動くようにしてある。黒い
棒がハンドルである、ハンドルの先端にはネジが取
り付けてありレールの中にナットを入れネジを締め
付けることによりハンドルが自由な位置に固定でき
る。
器材を結合するとこのような状態になります。
分水器にアルミパイプと媒介金具(50 ㎜雄:65 ㎜
雌)を結合し 65 ㎜の短ホースを結合する。
発射時は分 水器のレバーを一瞬で全開 させ発
市販のポリプロピレンひもの先にブラインド用ひ
射する。
もで結着しペットボトルのキャップ部分を使い結着
する。ペットボトルの水量は必要に応じて増減する。
- 168 -
消研輯報 58
ペットボトルは底から入れる。キャップ側から入
れるとリードロープが抵抗となってしまい。飛距離
が出 ないばかりか発 射 時 にロープが擦 れて強 度
が落ちてしまいます。
発射時の様子
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消研輯報 58
平成 16 年度奨励賞(論文)
「消防広報におけるカードゲームの活用について」
茅ヶ崎市消防本部
三町
永則
(2) 『手軽さ』について
1. はじめに
私は昨年、現場出動する隔日勤務から事務仕事
次に、『手軽さ』について、説明しましょう。
の多い毎日勤務へと異動してきました。そしてそこ
人間は忘れる生き物です。もちろん、好奇心を
で私は、災害を未然に防ぐという予防業務の大切
くすぐってやれば(楽しければ)長い期間記憶する
さを改めて実感するようになりました。その実感を
こともできます。しかし、個人差はありますが最終
消防広報に役立てようと思ったのが、今回論文を
的には、そのほとんどは忘れ去られていってしまい
書くきっかけとなりました。
ます。つまり、人間がこのようにできている以上、
忘れてしまうのは仕方のないことなのです。では、
2. 消防広報について
こういった人間の性質と上手に付き合っていくには、
消防広報の"広報"とは、その名のとおり広く報せ
どうすればよいのでしょうか。
るというのが本来の意味です。それでは、それを
最も有効な方法は、反復することだと思います。
実現させるためには一体どうすれば良いのでしょ
子供が掛け算の九九を身につけるときのように、忘
うか。
れては学び、学んでは忘れ、そしてまた学ぶとい
結論から先に言います。"広報"のために必要な
うように何度も反復しなければ、身についてはいき
要素として、私が導き出した答えは二つです。一
ません。そのためにも、いつでもどこでも反復がで
つは『楽しさ』、そしてもう一つは『手軽さ』です。
きるよう、消防広報は『手軽』でなければならな
(1) 『楽しさ』について
いと私は考えます。
それではまず、『楽しさ』について、説明しまし
ここまでの話をまとめると、消防広報に必要なも
ょう。
のは『楽しさ』と『手軽さ』だということが、理解
ここで、高 校 時代の恩 師 の言葉を紹 介 します。
していただけると思います。
『学は楽なり』、この言葉の意味は、"学ぶことは
また消防広報は、生死に直結する内容を広報す
楽しいこと、また楽しくなければ学べない"という意
るのだから、その場限りの一過性のものであっても、
味です。要するに恩師は、車のハンドルにアソビが
なりません。そのためにもやはり、
『楽しさ』と『手
あるように、勉強にもアソビという発想が必要だと
軽さ』を兼ね備え、"まずは『楽しい』から学ぶ、
いうことを伝えたかったのだと思います。子供が、
また、忘れても『手軽』で『楽しい』から再び学
楽しかった出来事をいつまでも覚えているように、
ぶ"という良い循環の輪が、自然とできるようになら
消防広報も『楽しい』ものでなければ、すぐに記
なければ、本当の意味での広報にはなっていきま
憶から消えていってしまいます。それでは、広報と
せん。
しての役割は果たせないのではないでしょうか。
今回私は、その両方を兼ね備えているものとし
そのためにも、消防広報は『楽しい』ものでなけ
て、カードゲームを消防広報に使うことを提案いた
ればならないと私は考えます。
します。以下に私が考案したカードゲームの概要
- 170 -
消研輯報 58
及び活用方法を紹介していきます。
ているのだから、その常識をルールの中に盛り込も
うということです。そうすれば、初めて遊ぶ人でも、
3. カードゲームの概要について
ルールを早く理解できるようになるからです。
カードゲームというのは、そのルールの分かりや
このカードゲームにおける、共通意識というのは"
すさが『手軽さ』に繋がっていきます。そのため、
火災が発生すれば、消火する"という当たり前のこ
ゲームのルールが複 雑 になっていけばいくほど、
とです。つまり、それをカードで説明すれば、火災
『手軽さ』という要素はどんどん減っていきます。
カードが出てなければ(火災が発生していなけれ
反対にルールが簡単であれば、誰でも遊べるとい
ば)、消火器カード及び消防隊カードは出せない
う『手軽さ』の要素は増えていきます。しかし簡単
(消火できない)、火災カードが出たら(火災が発生
すぎれば、そのゲームの『楽しさ』は、一概には
したら)消 火 器 カード及 び消 防 隊 カードを出 せる
言えませんが、減っていくでしょう。
(消火できる)ということになります。
つまり、分かりやすさ(『手軽さ』)と『楽しさ』
また、消火器には"安全ピンをぬく"、"ノズルを
という、矛盾してしまいそうな要素を絶妙に調整す
火にむける"、"レバーをにぎる"という使い方の順
ることが、そのカードゲームの成功の鍵を握ってい
番がある(消火器カードは、①②③の順番でなけ
るといっても過言ではありません。そしてそれは、
れば出せない)ということや、消火器で消火しても
カードゲームを使った消防広報が広報としての目
消火できないこともある(③の消火器カードの後に、
的を果たせるかどうかという重要な部分でもありま
延焼カードを出せる)ということや、延焼してしまっ
す。
たら消防隊しか消せない(延焼カードの後には、延
(1) ゲームの内容について
焼 カードか消 防 隊 カードしか出 せない)ということ
をゲームのルールとして定めています。
それでは、カードゲームの内容を簡単に紹介し
カードゲームの詳細については、実際、カード
ます。
ゲームに添付する説明書(図 1 及び図 2)を作成し
このカードゲームの目的は、消火器の扱い方を
ましたので、そちらを参照していただければ、より
広報することです。
ゲームに使用するカードは、全部で 54 枚、2~6
理解を深めることができると思います。
人で遊ぶことができます。その 54 枚のうち半分の
ちなみに、このカードゲームの"消火器 ing"とい
27 枚は、火災のカード(裏面が赤色)、残りの 27
う名称は、"消火器を使っている(~ing)"という英語
枚が消火のカード(裏面が青色)に分かれています。
の現在進行形と、"消火王(キング)"という 2 つの意
また、火災のカードは火災カードと延焼カードに、
味を掛け合わせて名付けました。
消火のカードは消火器カードと消防隊カードに分
かれています。
4. 消防広報としての活用方法について
このカードゲームを消防広報としてより有効に活
大まかなゲームの内容としては、
『それぞれに配
られるカードを、ルールに従って出していき、一番
用するための方法を次のとおり提案いたします。
早くなくした人が勝つ』という、とてもシンプルなゲ
(1) 広報用特別ルールの活用について
このカードゲームは、消火器の扱い方を広報す
ームです。
(2) ゲームのルールについて
次にルールについてですが、今回、分かりやす
るためのものなので、消火器カードを出すときには
呼称するという特別ルールを追加して活用します。
さ(『手軽さ』)ということを念頭において考えたので
つまり、①のカードを出すときには「安全ピンをぬ
すが、その際、少し工夫をしてみました。その工
く!」、②のカードを出すときには「ノズルを火にむ
夫とは、多くの人が常識という名の共通意識を持っ
ける!」、③のカードを出すときには「レバーをにぎ
- 171 -
消研輯報 58
油類が燃える油火災、電気類が原因で起こる電気
る!」と呼称します。
もちろん、ゲームの『楽しさ』を増すために"呼
火災の 3 種類に分けることができます。この消火器
称し忘れたら、カードを 2 枚取る"ということにしま
には、3 種類全ての火災が表示されています。つ
まり、全ての火災に使用することができるということ
す。
を意味しています。」
声 を出 すことにより消 火 器 の取り扱 いが印 象に
残るため、記憶に深く刻むことができます。また、
ゲームのルールに盛り込むため、楽しみながら、
「例えば、とても身近な消火手段として"水"があり
ますが、"水"は油類と混じらない、電気を良く通す
という性質を持っています。そのため、油火災では
学習することができます。
燃焼面を拡大させる、また電気火災では感電する
(2) インターネットからの印刷による活用について
という危険性があるため、油火災及び電気火災を
カードゲームを『手軽』に遊ぶためには、カード
消火するときに"水"は使用しません。」
ゲームが『手軽』に手に入らなければなりません。
「話を消火器に戻します。それでは、皆さんはこ
そこで、今回考案したカードゲームをパソコンのイ
の消 火 器 を取 り扱 うことができますか?(消 火 器 の
ンターネットから印刷できるようにします。ホームペ
取扱説明図を指して)消火器の取り扱いには 3 つ
ージ等に、カードゲーム印刷用原紙及び取扱い説
のポイントがあります。(実演しながら)それは、"安
明書を掲載し、それぞれのパソコンから印刷できる
全ピンをぬく"、"ノズルを火にむける"、"レバーを
ようにするのです。
にぎる"の 3 つです。さらに付け加えるとすれば、
また、カードを名刺サイズに設定し、名刺作成
火事だ!と大きな声で叫んで、周囲に火事を知らせ
用の印刷用 紙を使って印刷できるように設定して
てあげてください。それでは、もう一度最初からや
ってみます。(何度か実演する)」
おきます。その用紙には名刺を切り取るミシン線が
「それでは、カードゲームの説明に入りたいと思い
ついていますので、印刷後、手間をかけずに名刺
ます。まず始めにゲームの大まかな内容を紹介し
サイズのカードを作成することができます。(写真 1
ます。このゲームは"火災を消火していきながら、
参照)
配られたカードを順番に出していき、一番早く全て
さらに、作成したカードを名刺サイズ用のラミネ
のカードがなくなった人の勝ち"というゲームで
ートフィルムでラミネート処理すれば、カードゲー
す。」
ムの見栄えも良くなり、遊びやすくなります。(写真
「次に、このカードの説明をします。(説明する度
2 参照)
にカードを示しながら)カードには裏面が赤色の火
このように、インターネット及び名刺作成用の印
災のカードと、裏面が青色の消火のカードの 2 種
刷用紙を活用すれば、『手軽』にカードゲームで
類が、半分ずつあります。(図 3 及び図 4 を展示す
遊ぶことが可能になります。
る)ちなみに、火災のカードは火災カードと延焼カ
(3) 消防広報の教材としての活用について
ードに、消火のカードは消火器カードと消防隊カ
ードにそれぞれ分かれています。」
消防広報の際に、カードゲームを教材として活
「それでは、それぞれのカードの説明をします。
用します。その際の例文を次に紹介します。
火災カードは、白色の普通火災、黄色の油火災、
「今日はこのカードゲームで遊びながら、消火器
青色の電気火災の 3 種類に分かれています。火災
の取り扱いについて学びます。」
カードは、同じ火災種別、つまり同じ色のカードで
「カードゲームの説明をする前に、まずは消火器
なければ出すことはできません。つまり、普通火災
について説明します。さっそくですが皆さんは、火
カードが出してあれば、普通火災カードしか出せ
災を大まかに分けるといくつに分けられると思いま
ないということです。また、火災カードが出された
すか?(消火器の火災種別表示を指して)ここを見て
ら火災が発生したということですので、消火しまし
ください。火災は、紙や木材等が燃える普通火災、
ょう。」
- 172 -
消研輯報 58
「消火器カードは、①安全ピンをぬく・②ノズルを
「また、今回一番になった人には、今遊んでいる
火にむける・③レバーをにぎるの 3 種類に分かれ
カードゲームを差し上げます。是非、自宅等で遊
ていて、それぞれにリターンマークの矢印がついた
んで、消防の広報をして頂きますよう、よろしくお
カードがあります。リターンマークのついたカード
願いします。」
は、出すと順番が逆回りになります。また、消火器
カードは①→②→③の順番でしか出せません。さ
このように、カードの説明をしながら、また実際
らに、③のカードが出されたら、つまり火災が消火
にカードで遊んでもらいながら、消火器の取り扱い
されたら、次の順番の人はそれまでに出ていた火
を習得していくことができます。
災カードの枚 数分のカードを取らなければなりま
せん。」
「ただし、③のカードの後でも延焼カードを出せ
ば、消火器での消火失敗ということになり、次の順
番の人に延焼カードの枚数 も含めたカードを取ら
せることが出来ます。また、次の順番の人も、延
焼カードか、消防隊カードを出すことができるなら
5. おわりに
私は、小さいころからカードゲームが大好きでし
た。それは、生身の人間と頭を使いながら対戦で
きるからです。そうやって遊んだ経験というのは今
振り返ると、とても良い経験だったと思います。
ば、その次の順番の人に、火災カード及び延焼カ
よく最近の子供たちは、テレビゲームばかりして
ードの合 計枚 数分のカードを取らせることが出 来
いると批判されます。確かにテレビゲームが"相手"
ます。」
となって一人で遊んでばかりいるのは私も賛成で
「また、消防隊カードは火災をすぐさま消火してし
きません。しかし、テレビゲームを生身の人間と対
まうので、次の順番の人は必ず、それまでに出て
戦するための"道具"として遊ぶことは、問題ないと
いる火災カード及び延焼カードの合計枚数分のカ
私は思います。もちろん、そればかりしているとい
ードを取らなければなりません。消防隊カードは火
うのは好ましくありませんが、テレビゲームを対戦
災が消火されていなければ、つまり③のカードの
するための"道具"として遊んでいるような子供なら
後以外ならば、いつでも出すことが出来ます。」
ば、対戦できる他の"道具"をどんどん見つけて自
「くどくど説明してもピンと来ないと思いますので、
分の世界を広げていくと信じています。なぜなら、
全てのカードを一緒にしてよく切り、一人 5 枚ずつ
私の甥や姪が実際そうだからです。
配り、残りを中央に積んでください。順番が来ても
出 すカードがなければ、 ここからカードを取 りま
す。」
「言い忘れましたが、誰かのカードが全てなくなっ
た時点でゲームは終了です。その時点で持ってい
るカードを、火災カードと消火器カードは 1 枚につ
子供たちが、そういった"道具"の一つとして、今
回考案したこのカードゲームを使ってくれれば、本
望です。またそれが、私が誇りを持って仕事をして
いる消防の広報に役立つのであれば、これ以上の
幸せはありません。
き 1 点、延焼カード及び消防隊カードは 1 枚につ
き 5 点として計算し、その合計点がそれぞれの負
け点となります。」
(しばらくして)「それでは、だいぶ慣れてきたよう
ですので、消火器の①のカードを出すときには『安
全ピンをぬく!』、②のカードを出すときには『ノズ
ルを火にむける!』、③のカードを出すときには『レ
バーをにぎる!』と大きな声で呼称しましょう。もし、
呼称し忘れたら、その人はカードを 2 枚取ることに
します。」
- 173 -
消研輯報 58
図1
カードゲームに添付する説明書その 1
1. ゲームの内容
火災を消火していきながら、配られたカードを順番に出していきます。
一番早くカードをなくした人が勝ちになります。
2. カードの説明
カードは、裏面が赤色の火災のカード(火災カード及び延焼カード)と、裏面が青色の消火のカード(消
火器カード及び消防隊カード)の 2 種類に 27 枚ずつ分かれます。
(1) 火災カード(21 枚)
火災カードには、普通火災(白色)・油火災(黄色)・電気火
災(青色)の 3 種類があります。火災カードは、同じ火災種
別(同じ色)のカードの後でなければ出せません。
(2) 消火器カード(24 枚)
消火器カードは、①安全ピンをぬく・②ノズルを火にむけ
る・③レバーをにぎるの 3 種類に分かれています。消火器
カードは、火災カードの後でなければ(※火災が発生してな
ければ)出せません。しかも、①→②→③の順番でしか出
せません。
さらに、③のカードが出されたら(※火災が消火されたら)、
次 の順 番 の人 はそれまでに出 ていた火 災 カードの枚 数 分
のカードを取ります。
また、消火器カードには、カードを出した後、順番が逆回り
になるリターンカードが 9 枚あります。
※ 2 人で遊ぶ場合、リターンカードは続けてカードを出す
ことができるカードとして使います。
(3) 延焼カード(6 枚)
③の消火器カードが出されても、延焼カードを出せば、次の順番の人がそれま
でに出た火災カードと延焼カードの合計枚数分のカードを取ることになります。
ただし、次の順番の人も延焼カードか、消防隊カードがあればその次の順番の
人にそれまでに出た火災カードと延焼カードの合計枚数分のカードを取らせるこ
とができます。
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消研輯報 58
図2
カードゲームに添付する説明書その 2
(4) 消防隊カード(3 枚)
③の消火器カードを除く全てのカードの後に、出すことができます。このカードが
出されたら、完全に消火されますので、次の順番の人は必ずそれまでに出ていた
火災カードと延焼カードの枚数分のカードを取ります。
3. ゲームの進め方
(1) ゲームの準備
火災のカードも消火のカードも全て一緒にして、それぞれに 5 枚ずつカードを配ります。カードを配り
終えたら、残りのカードを中央付近に裏返して積んでおきます。
(2) ゲームの進め方
『カードの説明』を参考にカードを出していき、誰かが火災カードと延焼カードの合計枚数分のカー
ドを取ることになれば、(③の消火器カードか、延焼カードを出され、次の順番の人がカードを出せな
い場合と、消防隊カードを出された場合)それまでに出されたカードは全て流します。
カードを取ることになった人の、次の順番の人は、また火災カードから出しはじめます。
ゲームの進め方については、カードの説明を簡単に図示したカードが 2 枚ついていますので、よろし
ければ参考にしてください。
(3) ゲームの終了
誰かのカードが全てなくなれば、ゲーム終了です。
その時点で、それぞれが持っているカードを、火災カードと消火器カードは 1 枚につき 1 点、
延焼カードと消防隊カードは 1 枚につき 5 点として計算し、その合計点がそれぞれの負け
点となります。
4. 遊ぶときのお願い
消火器カードを出すときには、
「安全ピンをぬく!」
・
「ノズルを火にむける!」
・
「レバーをにぎる!」、
と呼称することにして、消火器の扱い方を遊びながら覚えましょう!
また、呼称し忘れた人はカードを 2 枚取ることにすれば、ゲームも楽しくなります。
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消研輯報 58
図3
カードゲームの説明時に展示する資料その 1
図4
カードゲームの説明時に展示する資料その 2
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消研輯報 58
写真 1
写真 2
名刺印刷用紙に印刷したカード
ラミネート処理しているカード
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消研輯報 58
6
消防研究所シンポジウム
第 4 回消防研究所シンポジウム
し行われた。シンポジウムの主要な参加者の集合
- 消防隊員用防護服に関する国際シンポジウム-
写真を写真 1 に示す。国外から招待した講演者は、
米国、カナダ、英国、オーストラリア、ドイツ、フ
ランス、スウェーデン、フィンランド、スイス、アイ
ルランド、オーストリア、中国、韓国など 13 カ国
1. はじめに
平成 17 年 3 月 9 日~11 日の 3 日間、消防研
究所本館 3 階大会議室にて、第 4 回消防研究所
21 名、国内から招待した講演者は 6 名の合計 27
名である。
シンポジウムが開催された。本シンポジウムは今回
講演の他に、消防研究所施設見学、関連企業
が 4 回目になり、「消防隊員用防護服に関する国
による展示会、技術ツアーなども同時に開催され
際 シ ン ポ ジ ウ ム (International Symposium on
た。プログラム詳細を表 1 に示す。主催は消防研
Protective clothing for Firefighting Activity)」と
究所であり、総務省消防庁、全国消防長会、日
題して、消防隊員用防護服に係わる各国及び国際
本防炎協会、日本火災学会、日本人間工学会、
基準の状況、消防隊員用防護服に対する要求、
日本生理人類学会、日本産業衛生学会、日本生
消防隊員用防護服の素材を含めた研究・開発状
気象学会の後援が得られた。
況等についての講演、討論が行われた(写真 1)。
近年、多種多様な災害、例えば、苫小牧タンク
火災、RDF 火災、放射性施設の火災、中越地震
災害、テロ災害などが発生している。これら火災
2. シンポジウムの概要
本シンポジウムは、第 1 日目、第 2 日目には約
や災害時の消火活動や救助活動で消防隊員の身
を守るのが防護装備である。しかし、これら防護装
二百数十名が、第 3 日目には約百数十名が参加
写真 1
シンポジウム参加者の集合写真(消防研究所本館研究紹介コーナーにて)
- 178 -
消研輯報 58
セッション 1~セッション 7 までの講演について簡
備は、消防隊員にとってまだまだ不十分である。
例えば、ヒートストレス(熱中症)などが消防活動の
単に紹介する(写真 3)。
訓練中などで起きている。このような現状に鑑みて、
4.1 セッション 1 での講演
国内外の専門家を集めて諸外国の防護服の実情、
このセッションは、
「消防隊員用保護具が及ぼす
基準や規格の制定状況、防護服素材の開発状況
影響、消防隊員用防火服の人間工学的性質」に
などの情報を共有することにより高性能 な防護服
ついてであり、2 件の講演がなされた。
の開発に資すること、消防用防護服の安全性の強
1 件 目 は 、 ス ウ ェ ー デ ン 、 Lund Technical
化、高機能化及び円滑な国際流通に貢献すること
University の Holmer 教授より「消防活動におけ
が本シンポジウムの目的である。
る新陳代謝と呼吸の必要 性- 保護具 がおよぼす
第 1 日目は、室﨑益輝消防研究所理事長より
影響- 」と題して講演があり、消防隊員に対して
開会の挨拶があり、基調講演、セッション 1~セッ
模擬消防訓練を実施し、この実験結果とこれに関
ション 3 での講演が続き、その後、ウェルカムパ
連 する文 献 調 査 とから消 防 隊 員 の短 時 間 の肉 体
ーティが開催された。第 2 日目は、第 1 日目に続
労働について 2 つの分類と関連した呼吸器パラメ
きセッション 4~セッション 6 での講演、展示会、
ータ値の提案がなされた。
消防研究所施設見学があり、その後、懇親会が
2 件目は、英国、Loughborough University
催された。第 3 日目は、午前にセッション 7 での
の Havenith 教授より「消防服の人間工学的特性
講演があり、その後、消防研究所の長澤純一理事
- 人を対象としたテストの使用評価- 」と題して講
より閉会の挨拶があり第 4 回シンポジウムを終えた。
演がなされ、生理学的負担に対する人体実験、耐
なお、午後は希望者のみを対象とした技術ツアー
熱、人間工学的デザイン、雨や湿気を防ぐための
(消防博物館)が行われた。
保護、衣服の視認性などが示された。これらの性
能についても消防服の性能評価においては必要で
3. 基調講演
あることが明らかにされた。
栃原 裕九 州大学 大学 院教授より
4.2 セッション 2 での講演
「防護服着用時の生理的負担- 消
このセッションは、
「 空気層、水分、
防防護服着用作業時の不快感を軽
減させる研究の必要性- 」と題して
透湿防水層が防火服に及ぼす影
基調講演が行われた(写真 2)。
響」についてであり、4 件の講演が
なされた。
同講演では、消防隊員の安全を
1 件目は、米国、NCS University
守るための防火服は耐熱性、耐炎
性及び耐水性だけでなく、防火服を
写真 2
の Barker 教授が講演することにな
消防隊員が着用した際、身体の代
栃原九州大学大学院教授に
っていたが都合で来られなくなり、
謝による蓄熱に、外界からの暑熱が
よる基調講演
共同研究者の Deaton 氏より「単層
防護服の空気層が熱防護性能へ及
加わり、過度の生理負担が伴うこと
が消防隊員による人工気候室実験により示された。
ぼす影響」と題して講演がなされた。防火服の空
また、これら実験結果や消防隊員を対象としたアン
気層とサーマルマネキン試験結果との関係が示さ
ケート調 査 から消 防 隊 員 の熱 ストレスを軽 減 する
れ、耐熱繊維の収縮による空気層の変化が論じら
ための更なる研究の必要性が明らかにされた。
れた。また、最適な空気層の予測に数値モデルが
4. その他の講演
用いられた。
- 179 -
消研輯報 58
2 件目は、カナダ、Alberta University の Crown
快適性と身体的な特性」と題して講演がなされた。
教授より「衣服の熱伝達への水分の影響- 性能基
消防用防護布地の繊維、糸、織物構造が快適性
準との関係- 」と題して講演があり、原野火災時
能 にどのように影 響を与 えているかを調 べた結 果
の種 々 な状 況 下 での防 火 服 に対 する熱 と水 分 の
の報告がなされた。
4 件目は製品安全評価センターの村山博士より
移動のメカニズムやその試験手順の開発と性能評
価の関係が報告された。
「消防服の高温ストレス対策」と題して講演がなさ
3 件目は、米国、IPP Inc.の Stull 氏から「消防
れた。消防隊員防護装備のヒートストレスを抑制す
隊員用防護服の断熱におよぼす水分の影響」と題
る有効な手段が提案され、ヒートストレスの程度を
して講演があり、文献、産業研究の調査を通して、
評価する方法が示された。そして、ヒートストレス
水分を含んだ衣服の性能に影響するいくつかの要
に対 処 する種 々 の方 法 を比 較 検 討 した結 果 が報
因が示された。
告された。
4 件目は、消防研究所の篠原博士より「透湿防
4.4 セッション 4 での講演
水 層 が消 防 隊 員 用 防 火 服 の熱 性 能 へ及 ぼす影
響」と題して講演があり、消防隊員用防火服生地
このセッションは、
「消防隊員用防護装備の開発、
を用いた放射熱実験と数値計算により透湿防水層、
性能、その他」についてであり、4 件の講演がな
空気層などの中間層が多層の防火服の熱的性能
された。
1 件目は、ドイツ、ALWIT GmbH の Assmann
に与える影響についての結果の報告がなされた。
氏より「近接消防活動のためにアルミニウム処理を
4.3 セッション 3 での講演
ほどこした個人用保護具の性能と限界」と題して
このセッションは、「消防隊用防火服の快適性、
講演がなされた。アルミニュームコーティングされ
耐熱性及びそれらの評価」についてであり、4 件
た防 護 服 の火 災 などへの適 用 性 について報 告が
の講演がなされた。
なされた。
1 件目は、文化女子大学の田村教授より「可動
2 件目は、帝人テクノプロダクツの石丸氏より
発汗サーマルマネキンを用いた、消防隊員用防護
「消防服の開発」と題して講演がなされた。帝人
服の快適性と機能性の評価」と題して講演がなさ
グループが開発した 3 種類のアラミド繊維の特徴
れた。発汗サーマルマネキンによる消防服の顕熱・
を生かし、それらを組み合わせた高性能な防護服
潜熱抵抗評価の有効性、並びにス
キンモデルによる素材の熱・水分移
動性評価の有効性が示された。
2 件目は、オーストラリア、
Wollongong University の Taylor
助教授より「高温環境で作業する際、
個 人 用 保 護 具 によって負 担 を課 せ
られる生理学的課題」と題して講演
がなされた。消防隊員が防護装備
を着 用 した際 の身 体 への生 理 的 な
影響や課題について報告された。
写真 3
3 件目は、韓国、Pusan National
University の An 助教授から「消防保護用布地の
会場風景
の開発をしており、その性能の評価はサーマルマ
- 180 -
消研輯報 58
ネキンなどで評価していることなどが報告された。
についてであり、4 件の講演がなされた。
3 件目は、スイス、デュポン社の Bader 博士か
1 件目は、オーストラリア、SAMFS の Smith 氏
ら「ヨーロッパの消防隊員用服- 傾向と技術革新
より「消防隊員用個人保護装備の基準」と題して
- 」と題して講演がなされた。ヨーロッパの多くの
講演がなされた。消防隊員用個人保護装備の規
国で採用している消防服にはデュポン社が開発し
格、その歴史、他の基準や自国の規格などについ
たアラミド繊維が使用されており、熱防護性能のみ
て論じ、個人用保護装備は消防隊員の安全の最
ではなく機械的性能、化学的性能、快適性能、
後の砦であると報告がなされた。
2 件目は、英国、Fire & Industrial (PPE) Ltd.
運動性能などいろいろな性能が要求されるように
の Matthews 氏より「ISO 規格化のプロセス- 業
なっていることなどが報告された。
4 件目は東京消防庁消防科学研究所の安居院
界の技術開発の支えとなっているか?
障害となっ
氏より「消防活動モデルを用いた防火衣のフィー
ているか?- 」と題して講演がなされた。ISO の規
ルド試験」と題して講演がなされた。実際に消防
格化の遅れや ISO のあるべき姿などについて論じ、
隊 員 が防 火 衣 を着 用 してモデル化 された消 防 活
他の EN 規格、NFPA 規格との共存や ISO 規格
動を行った場合の身体的変化、快適性、機能性に
の将来像について報告がなされた。
3 件 目 は 、 ア イ ル ラ ン ド 、 G.D. Protective
関する蒸れや動きやすさ等について報告がなされ
た。
Clothing and Equipment Ltd.の Feldman 氏から
「消防士の労働環境とその個人用防護具」と題し
4.5 セッション 5 での講演
このセッションは、
「消防隊用防火服のサーマル
て講演がなされた。消防隊員用個人防護装備は
安全の最後の砦となるように作成されているが、実
マネキン試験、その他」についてであり、2 件の講
際にはそのような使われ方は少ない。したがって、
演がなされた。
リスク評価により防護装備の必要条件を明確にし、
1 件目は、カナダ、Alberta University の Dale
教授より「消防活動で使われる服全体を試験する
それに従った防護装備を作成する必要があること
が報告された。
ためのフラッシュ・ファイヤー・シミュレーターの設
4 件目はカナダ、CIFFC の Poulin 氏より「国内
計」と題して講演がなされた。サーマルマネキン
および国際的な森林火災用個人保護具の規格の
試験におけるプロパンの保管、供給システム、燃
重要性についての消費者の見方」と題して講演が
焼装置の安全性を含めた、防護装備全体試験の
なされた。原野火災用個人防護装備の規格につい
問題点や新しいサーマルマネキンステムを製作す
て論じ、これら個人防護装備の最終ゴールは負傷
る上での問題点を考察し、予備の検定試験の結果
のリスクを最小限にすることであるとの報告がなさ
と予測された数値との比較が提示された。
れた。
2 件目は、スイス、EMPA の Rossi 博士より「消
防隊員用防護服の熱的快適性と耐熱性の評価」と
4.7 セッション 7 での講演
このセッションは、
「海外の防火服の規制、基準、
題して講演がなされた。異なる消防隊員用防護服
の生理学的な快適性能や運動性能と熱防護性に
現状、その他」についてであり、6 件の講演がな
ついて、サーマルマネキン、発汗マネキンを使用し
された。
1 件目は、フランス、ICB の Valentin 氏より「フ
て評価した結果などが報告された。
ランスの消防隊員用防火服の要求事項」と題して
4.6 セッション 6 での講演
このセッションは、「国際基準、ISO 規格など」
講演がなされた。フランスは欧州の中の 1 つの国
であるため、欧州規格に従わなくてはならなく、消
- 181 -
消研輯報 58
防隊員用防護装備もその例に漏れない。しかし、
乾杯の音頭があり、しばらく歓談した後に、講演者
現 在の規 格 は早 急に規 格 化されたために不 備が
代 表 として基 調 講 演 を行 った栃 原 九 州 大 学 大 学
あることなどが報告された。
院教授、カナダアルバータ大学の Dale 教授より
2 件目は、フィンランド、FHIO の Mäkinen 氏よ
挨拶がなされた。また、しばらく歓談の後、(財)
り「フィンランドの消防隊員用防火服の現状と今後
日本 防炎 協 会の小 川理 事より中締めの挨拶があ
の動向」と題して講演がなされた。フィンランドに
り大変和やかな雰囲気の内に閉会となった。
おける消防隊員用防護装備の現状や今後の動向
5.2 懇親会
などが報告された。
3 件目は、中国、上海消防研究所の Ma 氏から
「中国の消防隊員用防護服の基準と装備」と題し
第 2 日目の終わりに吉祥寺第一ホテルにて開催
された。
て講演がなされた。中国の消防士の個人用保護服
山田基盤研究部長の司会で始まり、室﨑理事長
や関連製品の基準を体系的に示し、異なる作業状
より歓迎の挨拶、東尾総務省消防庁次長の挨拶、
況で着用される各種防護服 の性能や検 査基準に
木下日本防炎協会理事長より挨拶及び乾杯の音
ついての報告がなされた。
頭があり、しばらく歓談した後に、講演者代表とし
4 件目は消防研究所の箭内氏より「日本の消防
て、文化女子大学の田村教授、スエーデンルンド
隊員用防火服の性能基準とサーマルマネキンによ
技術大学の Holmer 教授、カナダアルバータ大学
る消防隊員用防火服の耐炎性能」と題して講演が
の Dale 教授、南オーストラリア消防局の Smith 氏
なされた。日本における消防隊員用防護服の規格
より挨拶がなされた。また、しばらく歓談の後、長
や日本の主要な防火服のサーマルマネキンによる
澤理事より中締めの挨拶があり大変和やかな雰囲
耐炎性能についての報告がなされた。
気の内に閉会となった。
5 件目は、英国、BTTG の Sorensen 氏から「消
防士の防護服の欧州規格- 先導的試験評価機関
6. 展示会、消防研究所施設見学
の経験- 」と題して講演がなされた。個人防護装
第 2 日目の午後に、展示会と消防研究所施設
備の審査、認証検定機関の立場から、試験の再
見学が同時に開催された。展示会は、防火服関
現性などの問題点についての報告がなされた。
係、消防装備、試験機メーカーなど合計 9 社の協
6 件 目 は オ ー ス ト リ ア 、 Österr. Tex-
力の下に消防研究所情報管理棟大会議室にて行
til-Forschungsinstitut の Mayrhofer 氏より
「種々
われた。消防研究所施設見学は、3 班に別れ、
な作業のための消防隊員用防護服の欧州規格の
展示会場、サーマルマネキン施設、大規模実験施
使用」と題して講演がなされた。消防隊員は各種
設、Fire Cube、ロボットの研究などが公開され、
リスクにさらされるために、そのリスクを評価し、評
見学が行われた。
価 した結 果 の分 類 は欧 州 規 格 に示 される必 要が
7. 技術ツアー
あることが報告された。
東京消防庁のご協力の下に 3 日目の午後に消
5. ウェルカムパーティ、懇親会
防博物館の見学がなされた。消防博物館は、四
5.1 ウェルカムパーティ
谷消防署の隣に位置し、地下 1 階から 5 階(2 階を
1 日目の講演終了後、消防研究所情報管理棟
除く)まであり、江戸時代の消防の始まりから現代
の近代消防時代までの歴史が分かり易く展示され、
大会議室にて開催された。
山田實基盤研究部長の司会で始まり、室﨑理事
また、地下には消防自動車の展示があり大変見応
長より歓迎の挨拶、松原研究統括官より挨拶及び
えがあり、見学者、特に外国の方達は大変興味を
- 182 -
消研輯報 58
持たれたようである。
本シンポジウムの講演、司会を引き受けて頂い
た方々、会議運営に協力して頂いた方々に感謝申
8. 終わりに
し上げます。また、技術ツアーにおいては、東京
本シンポジウムにより、諸外国での動向について
消防庁消防博物館のご協力を頂きました。ここに
お互いに情報を共有することができ、新しい素材の
記して感謝申し上げます。
開発、産業の発展に少しでも寄与することができ
たと信じている。高性能な消防用防護服が実用化
文献
され消 防 隊 員 の安 全 性 向 上 に少 しでも寄 与 でき
1) National Research Institute and Fire and
れば、これほど嬉しいことはない。また、国際化
Disaster : "Proceedings of Fourth NRIFD
が進む中、外国の技術者、研究者と協力しながら
Symposium
更なる高性能な防護服の開発や国際規格への貢
Protective Clothing for Firefighting Activities
献などを進めることができればと願っている。
-", March 9-11, 2005
-International
Symposium
9. 謝辞
表1
プログラム
3 月 9 日(水)
主催者挨拶
消防研究所理事長
室﨑益輝
基調講演
防護服着用時の生理的負担- 消防防護服着用作業時の不快感を軽減させる研究の必要性-
九州大学大学院教授
セッション 1
(1)
栃原
裕
消防隊員用保護具が及ぼす影響、消防隊員用防火服の人間工学的性質
新陳代謝と呼吸の必要性- 保護具がおよぼす影響-
Ingvar Holmer(スウェーデン、Lund Technical University)
(2)
消防服の人間工学的特性- 人を対象としたテストの使用評価-
George Havenith(英国、Loughborough University)
セッション 2
(1)
空気層、水分、透湿防水層が防火服に及ぼす影響
単層防護服の空気層が熱防護性能へ及ぼす影響
Roger Barker(米国、NCS University)
(2)
衣服の熱伝達への水分の影響- 性能基準との関係-
Elizabeth Crown(カナダ、Alberta University)
(3)
消防隊員用防護服の断熱におよぼす水分の影響
Jeffrey O. Stull(米国、IPP Inc.)
(4)
透湿防水層が消防隊員用防火服の熱性能へ及ぼす影響
篠原雅彦(日本、消防研究所)
- 183 -
on
消研輯報 58
セッション 3
(1)
消防隊用防火服の快適性、耐熱性及びそれらの評価
可動発汗サーマルマネキンを用いた、消防隊員用防護服の快適性と機能性の評価
田村照子(日本、文化女子大)
(2)
高温環境で作業する際、個人用保護具によって負担を課せられる生理学的課題
Nigel A.S. Taylor(オーストラリア、Wollongong University)
(3)
消防保護用布地の快適性と身体的な特性
Seung Kook An(韓国、Pusan National University)
(4)
消防服の高温ストレス対策
村山
雅己(日本、製品安全評価センター)
3 月 10 日(木)
セッション 4
(1)
消防隊員用防護装備の開発、性能、その他
近接消防活動のためにアルミニウム処理をほどこした個人用保護具の性能と限界
Siegfried Assmann(ドイツ、ALWIT GmbH)
(2)
消防服の開発
石丸
(3)
裕美(日本、帝人テクノプロダクト)
ヨーロッパの消防隊員用服- 傾向と技術革新-
Yves Bader(スイス、デュポン)
(4)
消防活動モデルを用いた防火衣のフィールド試験
安居院
セッション 5
(1)
克巳(日本、消防科学研究所)
消防隊用防火服のサーマルマネキン試験、その他
フラッシュ・ファイヤー・シミュレーターのデザイン
Douglas Dale(カナダ、Alberta University)
(2)
消防隊員用防護服の熱的快適性と耐熱性の評価
René Rossi(スイス、EMPA)
セッション 6
(1)
国際基準、ISO 規格など
消防隊員用個人保護装備の基準
Mick Smith(オーストラリア、SAMFS)
(2)
ISO 規格化のプロセス- 業界の技術開発の支えとなっているか?
障害となっているか?-
David Matthews(英国、Fire & Industrial (PPE) Ltd.)
(3)
消防士の労働環境とその個人用防護具
Alec Feldman(アイルランド、G.D. Protective Clothing and Equipment Ltd.)
(4)
国内および国際的な森林火災用個人保護具の規格の重要性についての消費者の見方
Serge Poulin(カナダ、CIFFC)
エキシビション、消防研究所施設見学
- 184 -
消研輯報 58
3 月 11 日(金)
セッション 7(海外の防火服の規制、基準、現状、その他)
(1)
フランスの消防隊員用防火服の要求事項
Noëlle Valentin(フランス、ICB)
(2)
フィンランドの消防隊員用防火服の現状と今後の動向
Helena Mäkinen(フィンランド、FIOH)
(3)
中国の消防隊員用防護服の基準と装備
Jiao-Jiao Ma(中国、上海消防研究所)
(4)
日本の消防隊員用防火服の性能基準とサーマルマネキンによる消防隊員用防火服の耐
炎性能
箭内英治(消防研究所)
(5)
消防士の防護服の欧州規格- 先導的試験評価機関の経験-
Neil Sorensen(英国、BTTG)
(6)
種々な作業のための消防隊員用防護服の欧州規格の使用
Hans-Joachim Mayrhofer(オーストリア、Österr. Textil-Forschungsinstitut)
閉会のあいさつ
消防研究所理事
技術ツアー(消防博物館)
- 185 -
長澤純一
消研輯報 58
7
研究懇話会
研究懇話会は、消防研究所における研究の活性化、研究の効率的推進、研究員の資質の向上等を図る
ため、研究成果や事故等の調査結果に関する報告、また海外事情の報告などの発表、講演または話題の
提供により、意見の交換、討論、質疑応答を行う場として設けられている。
会は毎月(2 月と 8 月を除く)一度開催されており、加えて、海外からの招へい研究者による発表など理
事長が必要と認めた場合には臨時に開催されている。
●平成 16 年 4 月 9 日
日本では消防機関にあたる、救急業務の実施機関
地下埋設の RC 製防火水槽の長期劣化に関する
や、救急件数の増加に対応するための指令台での
研究(第 1 報)
トリアージ(緊急通報の内容により重症度緊急度を
浩
選別)や救急隊の効率的な運用等に関しては、現
防火水槽は水道施設の被害の影響を受けず、
在までほとんど調査されていない。調査は、米国
地震時の消防水利として重要である。しかし、地
のサンフランシスコ市、ニューヨーク市を拠点に、
震による防火水槽の被害は日本海中部地震(1983
その都 市 中 心 部と郊 外 の救 急 実 施 機 関 を対 象と
年)、1995 年兵庫県南部地震等で発生しており、
した。また、米国中西部のソルトレイクシティにあり、
とくに昭和 20 年代以前に設置されたものに漏水に
緊急通報対応システムの開発を行っている全米緊
至る被害が多く発生する傾向が認められている。
急 指 令 協 会 (National Academies Emergency
吉原
Dispatch)の調査も行った。
東京都区内及び大阪市内の設置後相当年経過
した現場打ち RC 製防火水槽計 10 箇所からコンク
調査項目
リートコアを採取し、圧縮強度試験及び中性化深
・救急業務の実施主体組織
さ試験を実施した。その結果、次のことが分かっ
・救急車の有料システム
た。
・緊急通報対応システム
(1) 圧縮強度は大きなばらつきがあり、防火水槽
・重症度緊急度に応じた救急車の出場システム
の強度の基準 24N/mm 2 を下回るものがある。
・救急需要に応じた救急車配備システム
(2) 中性化の進行は少なく、問題となる事例はな
かった。
加 圧 防 排 煙 システムによる消 防 活 動 拠 点 の煙 熱
検討例が少なく、さらに多くの事例について検討
環境に関する客観的検証法確立のための実験研
する必要がある。
究
阿部伸之、山田常圭
消防用設備等の性能規定化に伴い、設備の仕
米国における救急業務調査の報告
久保田勝明、金田節夫
様書的な規定に対して、それと同等以上の性能が
米国における救急業務の概要と、多くの救急指
あるか否かを客観的な方法によって検証する必要
令台で使用されている緊急通報対応システムの調
がある。その性能の一つである消防活動支援性能
査を行った。過去に、米国の救急業務に関する調
では、安全かつ円滑に消防隊員が消火・救助探
査はいくつか行われてきたが、それらは救急救命
索活動を行うことができることを要求事項とし、消
士の処置範囲の拡大と関連した救急隊員の資格
防総プロ検討会では、設備として加圧防煙システ
や、訓練時間等の調査が中心であった。従って、
ム、用途として物販店舗を対象とした客観的検証
- 186 -
消研輯報 58
法(ルート B)の確立を目指している。本報告では、
●平成 16 年 5 月 14 日
加圧防煙システムによる消防活動拠点の熱環境に
Collaborative Research Project on Fire Safety
関するルート B の確立のために必要な、以下の 3
on Textile Materials under TJTTP
点について調べた。①消防隊員による扉の開放力、
Sireerat Charuchinda
②加圧給気風量の算定に必要な種々の扉開放角
1. Collaborative research project background
度に対する流量係数、③現在の建築基準法に適合
2. Fire brigade in Thailand
した排煙ファンの耐熱性、である。結果として、①
3. Fire safety research center of Chulalongkorn
消防活動拠点を加圧した場合、扉開放力 120~
University
200N であれば拠点内部にいる消防隊員が容易に
4. My recent research work(in Japan and/or in
扉開放できる、②扉開放度と流量係数の関係は天
Thailand)
井高さに依存しないが、同じ扉開放度でも扉開放
方向により流量係数は異なる、③排煙ファン流入
窒素富化空気による消火実験
空気温度 600℃の場合では 3 時間連続運転可能
備概要と酸素濃度保持実験
である、ことを確認した。
その 1
尾川義雄、廖
実験設
赤虹、佐宗祐子
鶴田
俊、他 9 名
窒素富化空気を用いた防火・消火技術の性能
ナトリウム燃焼残渣の着火と粉末消火剤による安
データを得ることを目的に、約 80m3 の実験区画を
定化機構(その 1)
俊
用いて窒素富化空気の注入実験を実施した。その
窒素で消火したナトリウムの燃焼残渣は、室温
1 では実験設備概要と酸素濃度保持実験について
廖
赤虹、鶴田
のべた。
に冷却しても空気に暴露すると再び着火・燃焼す
ることがある。燃焼残渣の着火機構を解明し、大
気中で安全に処理できる方法を検討するために、
窒素富化空気による消火実験
ナトリウムの燃焼残渣に金属火災消火用の粉末消
ブ火災とヘプタン火災への適用
火剤をかけて、安定化効果と安定化処理前後の燃
佐宗祐子、廖
焼残渣の組成を調べ、燃焼残渣の着火と安定化
その 2
木材クリ
赤虹、尾川義雄
鶴田
俊、他 9 名
窒素富化空気を用いた防火・消火技術の性能
機構を検討した。その結果、以下のことがわかっ
た。
データを得ることを目的に、約 80m3 の実験区画を
(1) 通 常 に保 管 されている粉 末 消 火 剤 のナトレッ
用いて窒素富化空気による消火実験を実施した。
クス-M およびナトレックス-L は、窒素ガスで消火
その 2 では木材クリブ火災とヘプタン火災に窒素
したナトリウムの燃焼 残 渣を安定 化する効 果があ
富 化 空 気を適 用し燃 焼 性 状 の違 いの観 察 につい
る。
て述べた。
(2) 上 記 の粉 末 消 火 剤 によるナトリウムの燃 焼 残
渣への着火抑制作用は、主に粉末消火剤に含ま
電話転送機能を有する火災通知装置の開発
れる少量の水分によるものである。
河関大祐、田村裕之、高梨健一
(3) 粉末消火剤により安定化される前後の燃焼残
火災の発生を最初に別居の家族などに知らせ、
渣に含まれる過酸化ナトリウムの含有量の変化は
そこから消防機関や近隣協力者に連絡を行うこと
認められないため、過酸化ナトリウムとナトリウムと
のできる電話転送機能付き火災通知装置の概要。
の共存は、燃焼残渣着火の第一の要因ではない。
平成 15 年(2003 年)十勝沖地震による石油タンク
- 187 -
消研輯報 58
部 分 は地 下 水 による深 部 からの熱 の移 流 がない
被害
廣川幹浩、山田
實、西
部分と考えられる。
晴樹
健
・冷却が遅い部分の温度は、地下深部への冷却
平成 15 年(2003 年)9 月 26 日 4 時 50 分ころ、
の浸透に伴って下がるが、早い部分に比較して遅
座間信作、畑山
十勝地方南東沖を震源とする M8.0(気象庁)の地
い。地下水流による熱の移流の効果と考えられる。
震が発生した。この地震により、北海道内の多数
以上のことから崩壊面からわき出す地下水につい
の石油タンクが損傷を受け、深刻な社会問題を引
て、赤外画像装置を用いて遠隔的に観測できる可
起した。なかでも、苫小牧市において、浮き屋根
能性が示されたと考えている。
式石油タンクでリング火災および全面火災が発生
したことは記憶に新しい。本報告では、この地震で
ISO/TC94/SC14 及び関連 WG 国際会議の出張
発生したスロッシングによる石油タンクの被害を中
報告
心に述べた。
箭内英治
5 月末から 6 月はじめにかけて、オーストラリア
消火実験に用いたウォーターミストのノズル特性
アデレードにて開催された、消防用個人防護装備
その 3
に関する ISO 国際会議の内容についての報告。
天井の有無が放水パターンと散水密度
分布に与える影響
竹元昭夫、金田節夫
インタラクティブ機能を有 する火 災擬 似 体験シス
ノズルから放水されたウォーターミストはノズル
テム構成と適用事例
が天井に直付けされているか、天井から離れた室
山田常圭、阿部伸之、飯田明彦(東京消防庁)
内空間に固定されているかによって、放水特性が
山田
茂、須賀昌昭、鈴木
修(フジタ)
変わってくる。ここでは、小型仮設天井の有無によ
過去の火災事例、各種燃焼性状のデータべー
って放水特性がどのように変わるかについて散水
スや煙流動シミュレーション等の既開発 の技術を
密度分布と放水パターンから調べたので報告した。
IT 技術で用い統合化し防火安全技術の向上に資
するための技術的手法について検討してきた。そ
●平成 16 年 7 月 9 日
の一環として消防研究所では燃焼データベースの
崩 壊 面 から湧 出 する地 下 水 の赤 外 画 像 による遠
構築を行った。またバーチャルリアリティー(VR)技
隔観測
術と火災予測シミュレーション技術を組み合わせ、
新井場公徳
避難者の視点から防火安全対策効果等を確認で
斜面崩壊後の救助活動の安全性を向上させる
きるシステムを開発中である。平成 15 年度では
ために役立つ情報を得る目的で、崩壊面と湧出地
煙・熱を映像と連動して制御可能なシステムを開
下水の温度差に着目し、赤外画像装置によって崩
発し報告したが、当該システムでは過去の火災事
壊 地 から流 出 する地 下 水 の状 況 を遠 隔 で観 測 す
例の一部を予め定められたシナリオで時系列的に
ることを試みた。自然斜面崩壊実験において観測
再現するにとどまった。VR 火災擬似体験システム
を実施したところ、以下の結果を得た。
を防火安全教育、消防活動訓練あるいは避難行
・崩壊は地表
動の研究等の目的に供する上では、自由な視点移
・大気の温度より地下の温度が高い時間帯に発生
動ができることと、例えば扉を開けると煙層の降下
したため、崩壊直後には高温の崩壊面が露出した。
も早くなるといった、行動と現象の相互作用(インタ
・露出した崩壊面は空気により冷却されるが、面
ラクティブ)が不可欠であると考えている。こうした
内で冷却が早い部分と遅い部分がみられた。早い
観点から将来の実用化に向け、VR システムに改
- 188 -
消研輯報 58
良を加えたのでそのシステム構成について紹介し
ヨーロッパの救急業務
た。
久保田勝明
本調査では、ヨーロッパ(フランス、ドイツ、オラ
ンダ)における救急業務の概要と、現在当グループ
火災調査結果- 苫小牧出光
晴樹
で研究を行っている重症度緊急度に応じた救急隊
平成 15 年 9 月 26 日 4 時 50 分頃発生した十勝
の出場体制に関して、既に導入されているヨーロッ
沖地震(M8.0)により、苫小牧市に存する出光興産
パでの、詳細な指令方法や救急隊の運用方法に
㈱北海道製油所では、屋外タンク貯蔵所(30006)
関して調査を行った。その結果、日本との相違点
のリング火災が発生した。さらに、その 2 日後には、
として以下の点がある事が分かった。
別 の屋 外 タンク貯 蔵 所 (30063)のタンク全 面 火 災
・実施機関は消防機関以外が多い
が発生し、全国レベルの緊急消防援助隊の出動、
・消防が担当する救急業務は、救助を主体
泡原液の調達等を実施する大災害となった。消防
・費用を社会保険から支出
庁では、2 件目の火災が発生した 28 日に消防庁
・救急業務機関が緊急性の低い患者搬送も実施
長官の火災原因調査を実施することとし、消防研
・救急車の待機場所を、消防署や救急車待機場
究所にも調査要請があったものである。現地調査
所以外にも設定
のほか消防研究所で行った調査結果を取りまとめ
・指令台でトリアージする独自のマニュアルを使用
西
た結果を発表した。
平成 15 年(2003 年)十勝沖地震の際に発生した溶
火災調査結果- ブリヂストン栃木工場火災概要
融亜鉛鍍金工場の火災についてー溶融亜鉛鍍金
槽のスロッシングに関する考察ー
高橋厚裕
平成 15 年 9 月 8 日に栃木県黒磯市の株式会社
鈴木恵子
ブリヂストン栃木工場で発生した火災の概要と、原
十勝沖地震で発生した 4 件の火災のうち、2 件
は有名な石油タンク火災であり、残りの 2 件は溶
因調査に関する報告。
融亜鉛鍍金工場で溶融亜鉛が流出し、周囲の可
ナトリウム燃焼残渣の着火と粉末消火剤による安
燃物に着火して発生した火災であった。同様の事
定化機構-その 2:燃焼残渣の表面観察と発熱観測
例として、阪神・淡路大震災と平成 16 年東海道
及び着火挙動の分析
沖地震の際、大阪府内の同一の亜鉛鍍金工場で
廖
赤虹、鶴田
発生した火災がある。
俊
ナトリウム燃焼残渣の着火機構を解明するため
十勝沖地震の現地調査の結果、石油タンクと同
に、安定化される前後の燃焼残渣に対して、電子
様に亜鉛鍍金 槽でもスロッシングが発生していた
顕微鏡による燃焼残渣の表面観察、高分解能の赤
可能性が推測されたため、検討を行い、次のこと
外線カメラによる温度変化の観測および着火時の
を指摘した。
挙動に対する観察などを行った。それらの結果から、
・溶融亜鉛鍍金槽は一般に長手方向に長い羊羹
燃焼残渣の室温における着火は、蓄熱により融点
型の直方体であり、槽が大規模であるほど、スロ
以上に温まったナトリウムの自己着火と、温度の上
ッシング周期が長い。
昇に誘 発 されたナトリウムと過 酸 化ナトリウムとの
・火災が発生した工場の溶融亜鉛鍍金槽のスロッ
反応によるものであることがわかった。
シング周期と、工場付近の十勝沖地震の地震動の
速度応答スペクトルのピークとがほぼ一致した。
●平成 16 年 9 月 10 日
・関係者への周知と槽周囲の可燃物の除去、就
- 189 -
消研輯報 58
が平均で 1m つよく、分布的には同じとはいえなか
業者の安全確保のための対策が必要である。
った。これらより、火災発生には実効湿度が影響
地域特性を考慮したやや長周期帯域のスペクトル
し、拡大には相対湿度、風速が影響するといえ、
の設定に関する動向
従来いわれていることを裏付ける結果となった。
座間信作
2003 年十勝沖地震による石油タンク被害の甚
●平成 16 年 12 月 10 日
大さに鑑み、石油タンクのスロッシングに影響を及
林野火災の空中消火に関する過去のデータの解
ぼすやや長周期地震動のスペクトルレベルの見直
析と数値解析
しが行われてきている。本報告では、その設定に
佐藤晃由
関する最近の動向を紹介した。
近年の山林の荒廃などにより、火災の発生危険
度と大規模火災の可能性が増大していることから、
最近の火災調査事例(速報)美浜原発・甘木ブリヂ
火災による被害を防ぐ方策を調べるため、本研究
ストン・丸亀造船所
では航空機による延焼抑止方策を調べた。山火事
火災原因調査室
を抑制する際、わが国の山林の傾斜は急峻で消防
平成 16 年 8 月 9 日に福井県三方郡美浜町にあ
活動に難があるため、従来からヘリコプターによる
る関西電力㈱美浜原子力発電所で発生した火災、
空中消火が行われてきたが、ヘリコプターによる
平成 16 年 8 月 20 日、福岡県甘木市にある株式
投下水量は限られていることから、ここでは、火の
会社ブリヂストン甘木工場で発生した火災、平成
粉の着火による火災拡大を防ぐため、取水が短時
16 年 8 月 26 日、香川県丸亀市にある今治造船株
間で行え、かつ一度に多量の水を投下できる飛行
式会 社 丸亀 工場で発生した火災それぞれについ
艇による延焼抑止方策をシミュレーションにより調
て、火災調査の報告がなされた。
べた。一般に山林では送電線や崖地樹木などによ
り低空での飛行は危険であるため、高空からの水
●平成 16 年 10 月 8 日
投下の方が安全ではあるが、高速かつ高空から投
林野火災発生、拡大と気象要素の関係についての
下された水は霧状に拡散しロスが多い。従って、
統計的分析
飛行艇による最適な飛行高度と飛行速度を調べる
寒河江幸平
ため、過去の空中消火実験のデータを解析すると
林 野 火 災 と気 象 要 素 の関 係は従 来 いろいろ言
ともに、シミュレーションにより空中での落下水の
われている。実効湿度が発生に最も影響する等で
拡散パターンを調べた。その結果、実際の航空機
ある。そこで火災データ、気象データより各都道
からの投下パターンに類似しているが、落下水の
府県別、年別にいくつかの気象要素の中で、最も
分裂パターンや霧状になって失われる散水分布の
火災発生に影響する要素を求めた。ほとんどの都
パターンなどになお課題があることがわかった。さ
道府県で実効湿度が選ばれた。島根県、新潟県
らに本件の将来のアプリケーションについて調べた。
は例外的であった。また焼損面積 20ha 以上の規
模の大きい林野火災について、火災全般との気象
スウェーデン出張について
要素の違いを分析した。実効湿度は大規模火災の
鈴木
方が平均で約 3%低かったが分布的には違うとは
健
可燃物を貯蔵するサイロ内で火災が発生すると、
言い切れない。相対湿度については大規模火災の
2003 年 8 月の三重ごみ固形燃料発電所の RDF
方が平均で 9%低く、分布的には同じであるとはい
サイロ火災の事例が示すように、対応が困難にな
えなかった。平均風速については大規模火災の方
ることがある。
- 190 -
消研輯報 58
また、国内で入手できるサイロ火災の消火活動
2004 年 9 月 5 日に紀伊半島南東沖で Mj6.9 と
に関する情報も少ない。サイロ火災に関する内外
Mj7.4 の地震が発生し、大阪湾岸、伊勢湾岸、東
の事例を調査したところ、2003 年 2 月にスウェー
京 湾 岸 に立 地 する石 油 タンクではスロッシングの
デンで、廃棄物再生燃料を貯蔵するサイロで火災
発生が確認された。これらの地震は、その発生位
が発生していた。
置からして、想定東南海地震発生時の石油タンク
2004 年 10 月に、その火災の報告をまとめたス
の耐震安全性を評価する上で大いに参考とすべき
ウェーデン国立試験研究所の火災部門、および、
ものである。大阪湾岸の堺・高石では、スロッシ
そこと共同研究を行っている Vaxjo 大学バイオエ
ング一次固有周期(Ts)が 6 秒付近の石油タンクで
ネルギー技術部門を訪問し、情報交換を行った。
液面上昇が大きく、その値は 1.5m 前後に達して
おり、なかには最大液面上昇量 2.25m と報告され
ているものがある。また、伊勢湾岸、震源から遠く
地震動シミュレーションに海は考慮すべきか?
健
離れた東京湾岸でもスロッシングの発生が確認さ
地 震 動 被 害 の予 測 を目 的 として近 年 盛 んに行
れており、四日市では最大液面上昇量は 0.1m 前
われている地震動シミュレーションでは、計算対象
後、なかには 0.3m というものがあった。東京湾岸
となる空間領域に海が存在していても、それを考
の市原では、大きな液面上昇は Ts が 10 ないし
慮しないことが殆ど全てと言ってよい。本研究では、
11 秒付近の石油タンクに集中して発生しており、
海考慮の必要性の有無を検討するため。地震波動
報告されている最大液面上昇量のなかでは
場の数値計算により、海が地震動に及ぼす影響を
0.37m という値が最大である。堺市の K-NET 堺
理論的に評価した。海の影響は、境界要素法を用
観測点、市原市の K-NET 姉崎観測点における
いて、海を考慮した単純な地下構造モデルと海を
Mj7.4 の地震の際の強震波形記録から計算した速
考慮しないモデルに対して 2 次元面内波動場の地
度応答スペクトルは、長周期成分が卓越し、それ
動速度波形を計算し、それらを比較することにより
ぞれ周期 6 秒付近、12 秒付近にピークを持つ。こ
評価した。検討対象とした海の深さは、最も浅い
のことは、両地域における最大液面上昇量の Ts
もので 25m、最も深いもので 800m とした。この結
軸上の分布と調和的である。なお、重要な地震で
果、海水の存在は特に長周期地震動の主要成分
ありながら、波形収録が途中で終わってしまってお
となる表面波である Rayleigh 波部分に大きな影
り長周期地震動の全容が把握できない地点が
響を及ぼし、その影響は深い海ではより長周期の
多々見受けられるなど、石油タンクの耐震安全性
成分まで及ぶようになること、多くの地震動シミュ
検討にとっては地動加速度計による観測システム
レーションで行ってしまっている海の堆積層へのは、
は必ずしも十分ではないという問題が改めて浮き
特に上下動成分に大きな悪影響を及ぼす恐れが
彫りとなった。
畑山
あることなどがわかった。これらは、地震動シミュ
レーションにおける海考慮 の必要性を強く示唆す
●平成 17 年 1 月 14 日
るものであるが、この点についての最終的な結論を
高層ビルにおけるエレベータ避難の有効性に関す
得るには、3 次元地下構造における波動場の検討
る研 究(Study on Feasibility of Evacuation by
が必要である。
Elevators in a High-rise Building
関澤
2004 年 9 月 5 日紀伊半島南東沖の地震による石
油タンクのスロッシングと長周期地震動
畑山
健、座間信作
愛
建物火災時に、在館者は、通常、エレベータで
はなく階段で避難することとされている。しかしな
がら、過去の多くの火災において、エレベータを用
- 191 -
消研輯報 58
いて避難を行ったケースが少なからずあるのも事
た。
実である。また、日本では高齢者の割合が近年急
(1) 地上階開口部が 1 箇所の場合、地上階開口
速に増加しつつある一方で、障害者等の歩行困難
部からの流入空気量は、地下階数によらず地上階
な人々の一般ビル利用(アクセシビリティ)も改善さ
の階段室内の温度によって定まる。
れてきていることに伴って、火災時等の避難の際に
(2) 地上階の階段室内の温度は、地下階数が深く
階段を使用することが困難となる人々が今後増え
なるに従い壁面への失熱により低くなり、地上階開
ていくことが予想される。
口部からの流入空気量は少なくなった。
このような状況を踏まえて、本研究では、エレベ
ータによる避難時間を計算するモデルを開発し、
佐倉市木材チップ火災とその原因
避 難 時 のエレベータ利 用 の実 現 可 能 性 と課 題 に
古積
博、岩田雄策、桃田道彦
関する検討のためにケーススタディを実施した。そ
最近、大量の木材チップが放置され、火災にな
の結果、もし仮にエレベータ利用者を災害弱者の
る例が目立つ。その一つである佐倉市の火災現場
ような少数の特定の乗客に限定するとすれば、こ
を訪れ、試料を採取し、以下の実験を行って火災
れらの災害弱 者にとって避難にエレベータを用い
原因を究明した。DTA-TG を行ったが、100℃以
ることは有効であることがわかった。しかしながら、
下で含水分の蒸発があり、200℃以上で炭化、発
大勢の一般の人々にとっては、多くのケースにおい
火現象が観測された。本結果だけでは、木材の
て階段による避難の方がむしろ早くて有効である。
発火現象が十分に説明出来ない。そこで、MS80
また、このことは、災害弱者らのエレベータ利用避
熱量計を使って、水分蒸発を抑えながら、200℃ま
難を有効とするために、また、エレベータ利用避難
での発熱状況を調べた。40~70℃でわずかな発熱
者を少数に限定する上でも必要なことである。
を検知した。一度、測定した試料を再度測定する
とこの発熱が見られない。また、水分添加で発熱
地下施設の火災特性に及ぼす深さの影響に関す
が促進されることから、この発熱は、発酵によるも
る実験研究―地下階数による流入空気量の違い
のと推定した。
松島早苗、渡部勇市
この微少発熱が、火災に至るかどうか SIT によ
地下施設の多くは、地上階に複数の出入り口が
って確認した。本試験は、試料を断熱状態におい
あるが、火災発生時には防火扉等により出入り口
て、微少の発熱のために、試料の温度が上昇(発
の 1 箇所が開口部となる場合も考えられる。開口
熱・発火)するかどうかを調べるもので、その結果、
部が 1 箇所の場合には、これに通じる階段室内に
以下の結論を得た。
おいて、空気の流入と熱気流の流出が同時に行わ
・40℃以下では、発熱発火は起こらない。
れ複雑な流れとなり、燃焼に関連する流入空気量
・40~70℃前後で、発酵による発熱があり、断熱
については不明な点も多い。
状態が良いと発火にまで結びつく可能性がある。
本研究では、地下施設の深さによる地上階から
・70~90℃では、発酵菌が死滅するため発熱発火
階段室への流入空気量の違いを調べるため、地上
しにくいが、条件によっては発火する。
1 階、地下 2 階層の階段を有する地下模型の火災
・90℃以上では、木材の低温発火が見られる。
実験および地上 1 階、地下 3 階層の階段を有する
地下模型の火災実験を行い、地上階、出火階開
インドボパール事故発生 20 周年国際会議出席に
口部が 1 箇所の地下施設の地下階数による流入
ついて
空気量について調べた。
古積
博
平成 16 年 12 月 1-3 日、インド・カンプール
その結果、本実験条件では以下のことがわかっ
- 192 -
消研輯報 58
(Kanpur)において Bhopal 事故 20 年メモリアルの
い。この透湿防水層は表地と断熱層にくらべて薄
国際会議が開かれたので、出席した(発表、聴講)。
いが、耐熱性能にかなり影響を及ぼしていることを
本会議には、25 カ国から約 150 人が参加し、合
実験と数値計算で示した。垂直に設置した布地に
計 85 件の発表が行われたが、Bhopal 事故及び
ヒーターからの放射 3.6kW/㎡を与え、その時の
化学工業のプロセス安全にテーマを限定した割に
布地の裏面の温度変化を調べた。その結果、布
は、比較的規模の大きな会議といえる。
地間に空気層がない場合では、透湿防水層がある
Bhopal 事故:1984 年 12 月、インド・Bhopal の
と断熱層の裏面温度は、透湿防水層がない場合に
インド・ユニオンカーバイトの工場で起きたメチル
比べて 13 度低くなった。各布地間に 5mm の空気
イソシアネート(MIC)の漏洩事故で、2500 人(数万
層を設けた場合、透湿防水層があると断熱層の裏
人との報 告 もある)以 上 の死 者 を出した化 学 工 業
面温度は、透湿層がない場合に比べて 17 度低く
の歴 史 の中 でも最 悪 のものである。 事 故 後 、 米
なった。また、空気層を設けた場合、透湿防水層
国・ユニオンカーバイトは、倒産し、事業の一部
があると、透湿防水層がない場合に比べて表地の
は Dow が継続している。
裏面温度が高くなることが分かった。本研究では、
本事故の背景として、職員の急激な削減、訓練
布 地 の吸 収 係 数 と反 射 率 を推 定 する方 法 につい
不足といった点が指摘されたが、まさに日本の最
ても提案した。
近の危険物災害の増加が企業のリストラが原因の
一つといわれていることに対応する。また、本事故
東京における 1994 年東南海地震および 1946 年
の後、化学工業に対する規制が非常に厳しくなり、
南海地震の記録
世界の化学会社は、これまでよりも多くの経費負担
座間新作
をせざるをえなくなったが、このことも、まさに、国
発生が迫っているとされている南海トラフ沿いの
内の事故の多発に伴い規制強化がなされているこ
巨大地震によるやや長周期地震動の強さのレベル
とに対応している。
を知る拠り所となる、1944 年東南海地震、1946
年 南 海 地 震 の東 京(大 手 町)で得られた地 震 記 録
●平成 17 年 3 月 18 日
を解析した。その結果、最大変位は約 20cm 程度、
消防用防護服の透湿防水層が熱性能に及ぼす影
平滑化された加速度フーリエ振幅は周期 8-9 秒で
響
100gal・sec 程度であった。仮に同じ震源過程で、
篠原雅彦、箭内英治
想定される東海地震の位置でこれらの地震が起こ
消防用防火服には防水性を持たせるため、表地
ったとすると、200gal・sec 程度となり、スロッシン
グに係る地震動の新基準と同程度となる。
と断熱層の間に透湿防水層を入れているものが多
- 193 -
消研輯報 58
8
火災原因調査基礎講座
第1回
日
時:平成 16 年 5 月 26~27 日
会
場:消防研究所
参加者:174 名
プログラム:
火災調査概論
消防研究所
坂巻
保則
訓話
東京消防庁
佐々尾
現場調査技術
東京消防庁
久保田幸雄
調査書類作成要領
横浜市消防局
星野
秀夫
事例研究
消防研究所
吉野
薫
滋
第2回
日
時:平成 16 年 7 月 22~23 日
会
場:名古屋国際会議場
参加者:143 名
プログラム:
火災調査概論
消防研究所
坂巻
保則
訓話
名古屋市消防局
川島
徹雄
現場調査技術
名古屋市消防局
中山
道夫
調査書類作成要領
名古屋市消防局
稲垣
真也
事例研究
消防研究所
高橋
厚裕
第3回
日
時:平成 16 年 9 月 16~17 日
会
場:大阪市阿倍野防災センター
参加者:150 名
プログラム:㎡
火災調査概論
消防研究所
坂巻
保則
訓話
大阪市消防局
石井
孝義
現場調査技術
大阪市消防局
﨑田
時博
調査書類作成要領
神戸市消防局
上村
雄二
事例研究
消防研究所
間宮
浩之
- 194 -
消研輯報 58
第4回
日
時:平成 17 年 2 月 2~3 日
会
場:福岡市民防災センター
参加者:129 名
プログラム:
火災調査概論
消防研究所
坂巻
保則
訓話
福岡市消防局
下川
純一
現場調査技術
北九州市消防局
池田
直幸
調査書類作成要領
福岡市消防局
楢橋
健男
事例研究
消防研究所
下杉
伸一
- 195 -
消研輯報 58
Ⅲ
関 連 業 務
1
研究交流
(1)派遣
ア.国際研究集会等出席
派遣者名
箭内英治
李 新蕊
岩田雄策
佐宗裕子
鈴木 健
鶴田 俊
座間信作
期
間
派遣先
国際研究集会の名称等
16.5.29
~16. 6.6
16.5.30
~16. 6. 5
オーストラリア
ISO/TC94/SC14 及び関連 WG
依頼出張
チェコ
11th International Symposium Loss
運営費交付金
16.7.24
~16. 7.30
16.7.24
~16. 8. 1
16.7.25
~16. 8. 8
米国
第 30 回国際燃焼シンポジウム
米国
第 30 回国際燃焼シンポジウム
米国
2004 ASME Pressure Vessels and
カナダ
Piping Conference, 13th World
Prevention and Safety Promotion
Conference on Earthquake
Engineering
畑山
健
天野久徳
佐藤晃由
高梨健一
16. 7.31
~16. 8. 9
カナダ
16. 8. 9
~16. 8.16
米国
16. 8.28
~16. 9. 5
スペイン
16. 8.31
~16. 9. 5
スペイン
13th World Conference on
Earthquake Engineering
The Seventh International Conference
on Motion and Vibration Control
Database and Expert System
Applications 2004
The IASTED Conference on
Communication Systems and
Networks
16. 8.31
~16. 9. 5
英国
16. 8.31
~16. 9. 5
英国
松原美之
河関大祐
16. 9.14
~16. 9.16
ドイツ
AUBE04(火災感知国際会議 2004)
室﨑益輝
関沢 愛
16.10.12
~16.10.18
米国
International FORUM on Fire
傅
16.10.24
~16.10.29
中国
16.10.25
~16.10.29
米国
田村裕之
関沢
愛
智敏
岩田雄策
経費負担方法
3rd International Symposium on
Human Behaviour in Fire
3rd International Symposium on
Human Behaviour in Fire
Research
2004 International Symposium Safety
Science and Technology
Mary Kay O'Conner Process Safety
Center Annual Symposium
- 196 -
消研輯報 58
派遣者名
期
間
派遣先
国際研究集会の名称等
経費負担方法
16.11.12
~16.11.21
米国
赤虹
16.11.19
~16.11.25
中国
中国科学技術協会 2004 年学術年会
古積 博
李 新蕊
16.11.29
~16.12. 5
インド
ボパール 20 周年記念国際会議
山田常圭
17.2.17
~17.2.19
韓国
韓国慶北大学からの招へいによる
佐藤晃由
廖
2004 ASME International Mechanical
運営費交付金
Engineering Congress
依頼出張
イ.調査・共同研究等
派遣者名
後藤田浩
期
間
16.4.21
派遣先
米国
~17. 3.26
廖 赤虹
16. 6. 1
目
的
等
米国標準技術研究所
建築火災研究所との共同研究
中国
~16. 6. 9
中国科学技術大学、福建広播電子大学、福州大学での招
待講演。中国火災科学国家重点実験室訪問。福州市の廃
棄物処理施設の調査。
久保田勝明
16. 6.26
フランス
~16. 7.11
ドイツ
欧州における救急システムの調査
オランダ
天野久徳
佐宗祐子
16. 7.21
英国
~16. 7.28
フランス
16. 7.31
米国
~16. 8. 2
新井場公徳
16. 8. 4
NBC テロ対策ロボットの開発現状及び関連技術の調査
プリンストン大学機械・航空宇宙工学科との研究打ち合わ
せ
中国
貯水池地すべりにおける変位計測及び地下水調査
韓国
日韓共同研究打ち合わせ会議及び VR コンテンツ作成の
~16. 8.13
山田常圭
16. 9. 8
阿部伸之
~16. 9.11
鄭 炳表
16. 9. 8
ための素材収集
韓国
~16. 9.15
韓国地下鉄車両内装材の燃焼性状に関わる技術情報収
集。日韓共同研究打ち合わせ会議及び VR コンテンツ作成
のための素材収集
河関大祐
16.9.7
ドイツ
ISO TC21/SC3 ドイツ会議
スウェーデン
RDF に関連した災害に関する海外事情の調査
米国
地下鉄ホームにおけるN B C テロ災害偵察ロボット製作進
~16.9.11
鈴木 健
16.10.13
~16.10.20
天野久徳
16.12. 3
~16.12.10
竹元昭夫
16.12. 8
~16.12.12
捗状況等視察調査
米国
ネバダ大学付属のファイヤー科学アカデミーにおいて実施
されるタンク火災消火実験の調査
- 197 -
消研輯報 58
派遣者名
鄭 炳表
期
間
16.12.19
派遣先
韓国
~16.12.22
吉原 浩
尾川義雄
目
的
等
日韓共同研究の打ち合わせ会議及び地下鉄火災の関係
機関である大邱消防本部、地下鉄公社のヒアリング。
17.1.29
タイ
~17.2.3
スリランカ
17.3.16
オーストラリア
~17.3.26
スマトラ沖大地震及びインド洋津波被害政府調査団
ニューキャッスル大学を訪問して、廃棄物処理施設の火災
安全およびリサイクル燃料の安全な利用に関する情報交
換
関沢 愛
17. 3.29
~17. 4. 4
スペイン
マドリッド市の高層建物火災に関する現地調査(国土総合
政策研究所、建築研究所等との共同調査)
- 198 -
消研輯報 58
(2)受け入れ
ア. 実務研修員
研修員名(国籍、所属等)
高橋厚弘 (川口市消防局)
吉野
薫 (横浜市消防局)
下杉伸一 (川崎市消防局)
間宮浩之 (さいたま市消防局)
期
間
15.4.1
~17. 3.31
研
修
部
局
火災原因調査室
研修担当官
火災原因調査室長
16.4.1
~18. 3.31
横溝敏宏 (千葉市消防局)
イ. 研究生
研修員名(国籍、所属等)
鈴木隆司 (東京消防庁)
期
間
16.4.1
~18. 3.31
研
究
課
題
消防防災におけるロボット活用に
関する研究
指導担当官
消防機械研究
グループ長
ウ. 客員研究員
研修員名(国籍、所属等)
シリラット チャルンチンダ
(タイ、チェラロンコン大学)
高
黎静 (千葉科学大学)
期
間
16.3.8
~16.5.29
16.4.1
~18.3.31
研
究
課
題
Investigation of the echanism
of flame retardancy on textile
materials
廃棄物の貯蔵・取扱における火
災安全に関する研究
受入研究 G
特殊火災研究
G
第三プロ G
エ.JSPS 外国人特別研究員
研修員名(国籍、所属等)
胡
哲新
期
間
16.4.1
~18.3.31
研
究
課
題
アジア地 域 に適 した地 震 災 害 軽
減 のための防 災 訓 練 プログラム
の開発
受入研究 G
防災研究 G
オ.JSPS 特別研究員
研修員名(国籍、所属等)
後藤田浩
期
間
16.4.1
~19.3.31
研
究
課
題
流体力学的な変動を考慮した消
火剤の火炎抑制機構に関する研
究
受入研究 G
消火研究 G
カ.招へい外国人研究者(JSPS)
研修員名(国籍、所属等)
GARO, Jean-Pierre
(フランス、 フランス国 立 科 学 技術 センタ
期
間
17.2.6
~17.2.19
研
究
課
題
石 油 のボイルオーバーに関 する
研究
ー)
- 199 -
受入研究 G
物質安全研究 G
消研輯報 58
キ.招へい外国人研究者(その他)
研修員名(国籍、所属等)
Ingvar Holmer (スウェーデン、Lund
Technical University)
George Havenith
期
間
17. 3. 9
~17. 3. 11
目
的
第四回消防研究所シンポジウム
「消防隊員用防護服に関する国
際シンポジウム」出席
(英国、Loughborough University)
Anthoney Shawn Deaton
(米国、T-PACC, NC State University)
Elizabeth Crown
(カナダ、Alberta University)
Jeffrey O. Stull (米国、IPP Inc.)
Nigel A.S. Taylor (オーストラリア、
Wollongong University)
Seung Kook An
(韓国、Pusan National University)
Siegfried Assmann
(ドイツ、ALWIT GmbH)
Yves Bader (スイス、デュポン)
Douglas Dale
(カナダ、Alberta University)
René Rossi (スイス、EMPA)
Mick Smith (オーストラリア、SAMFS)
David Matthews
(英国、Fire & Industrial (PPE) Ltd.)
Alec Feldman ( ア イ ル ラ ン ド 、 G.D.
Protective Clothing and Equipment Ltd.)
Serge Poulin (カナダ、CIFFC)
Noëlle Valentin (フランス、ICB)
Helena Mäkinen (フィンランド、FIOH)
Jiao-Jiao Ma (中国、上海消防研究所)
Neil Sorensen (英国、BTTG)
Hans-Joachim Mayrhofer (オースト
リア、Österr. Textil-Forschungsinstitut)
- 200 -
受入研究 G
火災研究 G
消研輯報 58
(3)共同研究
ア. 国際学術交流
機
関
名
国
Building and Fire Research Laboratory, NIST
名
実施期間
米国
(標準技術研究所 建築火災研究所)
Health and Safety Laboratory, HSE
英国
(安全健康庁爆発火災研究所)
中国科学技術大学火災科学研究所
中国
Dept. of Safety Engineering of the Pukyong National University
韓国
(プキョン国立大学)
Nanjing University of Science and Technology (南京理工大学)
中国
中国人民武装警察付属学院
中国
E.N.S.M.A.-Universté de Poitiers (ポアチエ大学)
フランス
Urban Safety and Security Research Institute of the University of
韓国
Seoul (ソウル市立大学校地震・防災研究所)
14.1.1
~19. 1.15
Texas Engineering Experiment Station, Texas A&M Univ
米国
16.1.26
~21.1.25
Samcheok National University
韓国
16.3.15
~21.3.14
イ. 国内の大学等との連携
機関名
契約日
15.4.1
東京工業大学
ウ. 調査・共同研究等
共同研究課題名
水/空気混合噴霧の消火性能に関する
共同研究相手先
三菱重工業株式会社
研究
バーチャルリアリティ(VR)技術を用いた
株式会社フジタ技術センター
担当研究室
特殊火災研究 G
13. 7. 1
消火研究 G
~17. 3.31
第五プロ G
13. 7. 1
~18. 6.30
防火安全技術に関する研究
閉鎖型スプリンクラーヘッドの感熱体の
実施期間
日本消防検定協会
経年挙動に関する基礎的研究に関する
基盤研究部長
14. 5. 1
消防機械研究 G
~18. 3.31
火災研究 G
14. 7. 1
研究
消防用防護服の総合的な性能評価手
日本防炎協会
~17. 3.31
法に関する研究
消防用防護服の総合的な性能評価手
東京消防庁
火災研究 G
14.10. 1
~17. 3.31
法及び総合的に優れた防火衣の開発に
関する研究
- 201 -
消研輯報 58
共同研究課題名
共同研究相手先
担当研究室
実施期間
一般住宅における初期火災時の燃焼特
東京ガス株式会社
火災研究 G
14.10. 1
性に関する研究
ホーチキ株式会社
上席研究官
~18. 3.31
長距離無線 LAN と PHS を用いたネット
独立行政法人通信総合研究
防災研究 G
14.11. 1
ワーク対応型消防無線システムに関す
所(現独立行政法人情報通信研究
感知通報研究 G
~17. 3.31
る研究
機構)
火災時における臭い警報システムに関
株式会社ピクセン
感知通報研究 G
14.11. 1
~17. 3.31
する研究
Technical examination of the fire
慶北大学建築工学科
上席研究官
15. 7. 1
prevention and safety in an
洪元和教授(韓国)
建築防火研究 G
~17. 3.31
火災研究 G
underground fire
(地下鉄の火災安全性に関する研究)
AE 法による石油タンク底部の腐食劣化
旭エンジニアリング株式会社
消防機械研究 G
~18. 3.31
評価に関する研究
AE 法による石油タンク底部の腐食劣化
株式会社レーザック
消防機械研究 G
15. 7. 1
~18. 3.31
評価に関する研究
AE 法による石油タンク底部の腐食劣化
15. 7. 1
石川島検査計測株式会社
消防機械研究 G
15. 7. 1
~18. 3.31
評価に関する研究
AE 法による石油タンク底部の腐食劣化
電気通信大学電気通信学部
評価に関する研究
知能機械工学科
消防機械研究 G
15. 7. 1
~18. 3.31
本間恭二教授
AE 法による石油タンク底部の腐食劣化
日本フィジカルアコースティ
評価に関する研究
クス株式会社
室内環境データの収集と火災感知のた
新コスモス電機株式会社
消防機械研究 G
15. 7. 1
~18. 3.31
感知通報研究 G
15. 7. 1
~18. 3.31
めの統計分析に関する研究
大規模閉鎖空間における消防活動に関
横浜市消防局消防訓練セン
特殊火災研究 G
15. 7.25
する研究
ター
消火研究 G
~18. 3.31
窒素富化空気を用いた防火技術の開発
株式会社モリタ
消火研究 G
15.10. 1
特殊火災研究 G
~18. 3.31
特殊火災研究 G
15.10.31
と評価に関する研究
ナトリウム燃焼挙動に関する研究(Ⅳ)
核燃料サイクル開発機構
~17. 3.31
災害弱者を含む広域住民への火災/
株式会社鷹山
感知通報研究 G
15.11. 1
~17. 3.31
避難に関する情報伝達手法の開発
多様な火災に対応するための消火手法
東京大学大学院工学系研究
特殊火災研究 G
15.12. 1
に関する研究
科機械工学専攻
消火研究 G
~17. 3.31
消防機械研究 G
15.12. 1
松本洋一郎教授
AE 法による石油タンク底部の腐食劣化
三菱化学株式会社
~18. 3.31
評価に関する研究
- 202 -
消研輯報 58
共同研究課題名
共同研究相手先
原子力施設における救助活動支援ロボ
神戸大学工学部機械工学科
ット完成度向上のための研究
大須賀公一教授
救急活動記録データの分析(救急要請
仙台市消防局
担当研究室
消防機械研究 G
実施期間
16. 4.26
~18. 3.31
救急研究 G
16. 1
~17. 3
を行っている市民ニーズの把握、救急
件数の増加要因分析など)他
震災時の救助活動を想定したガレキ掘
株式会社テムザック
消防機械研究 G
16. 4. 1
~17. 3.31
削可能な大型ロボット開発可能性に関
する研究
救急業務シミュレーションに関する研究
富士通エフ・アイ・ピー株式
救急研究 G
16. 4. 1
~17. 3.31
会社
LabVIEW による火炎計測システムの構
米国標準技術研究所建築火
築に関する研究
災研究所
ガレキ内移動型探索ロボットに必要とな
岐阜県生産情報技術研究所
消火研究G
16. 4
~17. 3
消防機械研究 G
16. 5.10
~17. 3.31
る要素技術に関する研究
特殊消防用設備等の性能に関する評価
財団法人日本消防設備安全
プロジェクト研究部長
16. 5.11
手法の開発と標準化に関する研究
センター
建築防火研究 G
~20. 3.31
実火災加熱条件下における防火ガラス
国立大学法人東京大学
特殊火災研究 G
16. 6. 1
部材の消防用ホース放水時の挙動に関
佐々木毅総長
消火研究 G
~18. 3.31
する研究
日本電気硝子株式会社
斜面崩壊現場の二次崩壊危険度予測
独立行政法人防災科学技術
防災研究G
16. 6.15
手法に関する研究
研究所
震災時の救助活動を想定したガレキ掘
京都大学大学院工学研究科
削可能な大型ロボットの実用化を考慮
機械工学選考
した操縦システムに関する研究
横小路泰義助教授
石油タンク火災の消火に適した泡消火
第一化成産業株式会社
剤に関する研究
深田工業株式会社
地下空間の安全性評価のための火災モ
慶北大学校工科大学
上席研究官
16. 7. 1
デル構築に関する調査研究
建築学部
プロジェクト研究部長
~18. 6.30
洪 元和準教授(韓国)
第五プロ G
NEC 三栄株式会社
特殊火災研究 G
16. 9. 1
消火研究 G
~17. 3.31
防災研究G
16. 4. 1
赤外カメラによる消防・防災に関する研
~17. 3.31
究
科学研究費補助金基盤研究 B(2)「巨大
東京大学地震研究所ほか
消防機械研究 G
16. 7. 1
~18. 3.31
消火研究 G
16. 7. 1
~18. 3.31
~18. 3.31
地震によるやや長周期地震動の生成機
構解明と石油タンク・免震建物等耐震性
能評価」
防災無線アドホック通信
独立行政法人情報通信研究
第一プロ G
17. 3.24
~18. 3.31
機構
国立大学法人電気通信大学
- 203 -
消研輯報 58
2
所外講師派遣及び所外委員会等参加状況
(1) 所外講師派遣状況
ア.大学教授等
派遣先機関
講
東京大学大学院
工学系研究科
東京工業大学大学院
総合理工学研究科
義
題
目
氏
名
消防防災科学技術寄付講座
関沢
愛
人間環境システム専攻人間環境評価講座
山田 常圭
イ.大学非常勤講師
派遣先機関
講
義
題
目
氏
名
長岡技術科学大学
ロボット工学
天野 久徳
長岡技術科学大学
燃焼火災安全特論
鈴木
名古屋工業大学
防火論
山田 常圭
千葉大学工学部
燃焼学
鶴田
俊
氏
名
関沢
愛
関沢
愛
関沢
愛
関沢
愛
健
ウ.その他講義
年月日
16. 6. 3
派
遣
先
機
関
人と防災未来センター
講
義
題
目
市街地火災の実態と消防対応力に関
する課題
16. 6.10
兵庫県危険物安全協会
火災安全対策におけるヒューマンフ
ァクター
16. 9.17
東京理科大学
火災における人的要因と安全対策-
人間の心理
行動と避難シミュレーション-
16. 9.30
消防科学総合センター
地震時における同時多発火災の問題
と消防に期待される役割
16.10.19
日本防災士機構
防災講習会
室﨑益輝
16.10.20
消防大学校予防科第 76 期
講義
室﨑益輝
16.10.20
日本火災学会第 43 回火災科学セ
RDF 火災について
鶴田
消火に必要なウォーターミスト濃度
尾川義雄
独立行政法人石油天然ガス・金属
平成 15 年十勝沖地震におけるタンク
西
鉱物資源機構
火災について
16.10.26
市町村アカデミー
講義
室﨑益輝
16.10.28
独立行政法人石油天然ガス・金属
平成 15 年十勝沖地震における石油タ
西
鉱物資源機構
ンク浮き屋根の被害とその対策につ
俊
ミナー
16.10.20
日本火災学会第 43 回火災科学セ
ミナー
16.10.21
いて
- 204 -
晴樹
晴樹
消研輯報 58
年月日
派
遣
先
機
関
講
義
題
目
氏
名
16.10.30
福井地区消防本部防災講演会
住宅火災の実態と防火安全対策
関沢
愛
16.10.31
福井地区消防本部
(防災講演会における講師)
関沢
愛
沼津市消防本部
実験協力
坂巻保則、
(静電電位測定)
間宮浩之
産業災害、化学災害の防止対策
鶴田
~16.11.1
16.10.7
16.10.7
大阪市消防局
俊
-産業火災の事例から-
16.11.1
高知市
高知市講演会
室﨑益輝
16.11.1
消防大学校予防科第 76 期
新しい消火設備
竹元昭夫
16.11.12
化学工学会鹿島コンビナート講習
危険物施設・プラントなどでの事故原
松原美之
会
因としての静電気
16.11.12
消防大学校予防科第 76 期
避難対策
山田常圭
16.11.12
日本学術会議
学術会議シンポジウム
室﨑益輝
16.11.17
安全工学協会第 26 回安全工学セ
漏洩予防対策
山田
日本建築学会近畿支部耐震構造研
十勝沖地震での長周期地震動と石油
座間信作
究部会シンポジウム「大阪平野を
タンク被害
實
ミナー
16.11.17
襲う長周期地震動」
16.11.19
防災科学技術研究所
国際会議
室﨑益輝
16.11.2
建築防災協会
講演
室﨑益輝
16.11.24
国立大学法人静岡大学情報学部
地域防災・災害復旧に関するシンポジ
高梨健一
ウム
16.11.26
消防大学校予防科第 76 期
燃焼理論
鶴田
16.11.30
自治大学校
講義
室﨑益輝
16.11.30
消防大学校予防科第 76 期
消防用設備等の設置基準の 性能規定
関沢
俊
愛
化について
16.11.30
大阪府石油コンビナート等特別防
長周期地震動と石油タンク対策
座間信作
災区域連絡協議会
16.11.4
消防大学校幹部研修科第 38 期
地震現象(地震現象と予知)
畑山
16.11.9
消防大学校火災調査科第 8 期
講義
室﨑益輝
16.11.9
消防大学校火災調査科第 8 期
火災の性状 I(建物火災)
山田常圭
16.12. 1
横浜国立大学大学院工学研究員公
地震による危険物施設の損傷事例
山田
学校支援
坂巻保則、
健
實
開講座
16.12.14
長野県消防学校
下杉伸一
16.12.15
東京消防庁消防学校第 7 期予防実
危険物災害と保安対策
務特別研修
- 205 -
古積
博
消研輯報 58
年月日
16.12.17
派
遣
先
機
関
日本非破壊検査協会
講
義
題
目
地震とタンクの安全-十勝沖地震と
氏
名
座間信作
苫小牧石油タンクの被害-
16.12.21
16.12.21
東海大学医学部付属病院診療部救
救急業務高度化データネットワーク
久保田勝明
命救急科
検討委員会
東京消防庁消防学校第 8 期予防実
危険物災害と保安対策
古積
博
務特別研修
16.3.17
自治大学校
第2部課程講義講師
室﨑益輝
16.3.4
市町村アカデミー
講義
室﨑益輝
16.3.7
東京理科大学 21 世紀 COE プログ
第 2 回国際ンシンポジウム
室﨑益輝
ラム
16.4.8
消防大学校幹部研修科第 37 期
地震現象(地震現象と予知)
畑山
16.5.12
人と防災未来センター
災害対策専門研修マネジメントコー
室﨑益輝
健
ス
16.5.14
大阪NHK放送協会
大阪NHK放送協会勉強会
室﨑益輝
16.5.17
消防大学校本科
講義
室﨑益輝
16.5.21
徳島県建築士事務所協会
徳島減災フォーラム
室﨑益輝
16.5.27
消防大学校上級幹部科
講義
室﨑益輝
16.6.10
自治大学校
第2部課程講義
室﨑益輝
16.6.17
大阪府危険物安全協会
多発する産業事故災害の概要と教訓
山田
實
-危険物施設の事故を中心に-
16.6.2
新日本石油精製株式会社
2003 年十勝沖地震による石油タンク
西
の被害と長周期地震動について
畑山
晴樹、
健
16.6.22
消防大学校危機管理セミナー
講義
室﨑益輝
16.6.24
消防大学校火災調査科
講義
室﨑益輝
16.6.24
全国消防協会東北地区支部予防・
2003 年十勝沖地震による石油タンク
畑山
広報講習会
の被害と長周期地震動
神戸大学COE
第 2 回国際シンポジウム
16.6.3
室﨑益輝
「Urban Safety and its Future」
~16.617
16.6.4
健
消防大学校幹部本科第 64 期
地震のメカニズム
畑山
健
(地震の発生原理と予知)
16.6.8
人と防災未来センター
災害対策専門研修マネジメントコー
室﨑益輝
ス
16.6.8
全国建設研修センター平成 16 年
消防法の運用
鈴木和男
度建築指導科研修
16.7.1
消防大学校警防科第 75 期
燃焼と消火の理論
鶴田
16.7.1
人と防災未来センター
災害対策トップフォーラム
室﨑益輝
16.7.21
日本原子力学会
軽水炉における水素火災について
鈴木
16.7.27
国土交通大学
講義
室﨑益輝
- 206 -
俊
健
消研輯報 58
年月日
16.7.5
派
遣
先
機
関
危険物保安技術協会
講
義
題
目
石油タンクのスロッシングに係るや
氏
名
座間信作
や長周期地震動の地域特性
16.7.6
総合安全工学研究所
石油タンクのスロッシングに係るや
座間信作
や長周期地震動の地域特性
16.7.6
奈良県消防学校火災原因調査科
火災調査概論
坂巻保則
16.7.9
自治大学校
第3部課程講義
室﨑益輝
16.8.19
北海道
市町村防災対策強化シンポジウム
室﨑益輝
16.8.20
日本建築学会
大会・記念シンポジウム「ささえるー
室﨑益輝
まちの安全」
16.8.24
東京消防庁
防災シンポジウム
室﨑益輝
16.8.25
姫路市
防災関係者研修会
室﨑益輝
16.8.6
静岡県プロジェクト「TOUKAI-0」 パネリスト
鈴木恵子
推進トップセミナー
16.9.13
JICA
研修会
室﨑益輝
16.9.15
安全工学協会第 26 回安全工学セ
可燃性液体・ガスの火災・爆発危険性
鶴田
防災講演会
室﨑益輝
俊
ミナー
16.9.15
東京大学消防防災科学技術寄付講
座
16.9.21
熊本県立大学
講義
室﨑益輝
16.9.7
自治大学校
第1部課程講義
室﨑益輝
17. 2. 8
消防大学校予防科第 77 期
消防用設備等の設置基準の 性能規定
関沢
愛
化について
17.1.11
地震工学会
首都圏防災シンポジウム
室﨑益輝
17.1.12
東京安全衛生教育センター安全衛
静電気演習
松原美之
生専門講座
17.1.12
兵庫県
創造的復興フォーラム
室﨑益輝
17.1.13
司法書士会
シンポジウム
室﨑益輝
17.1.14
兵庫県立舞子高校
講義
室﨑益輝
17.1.17
茨城県防災安全地方研修会
住民と自治体による震災対策
鈴木恵子
17.1.25
消防大学校予防科
講義
室﨑益輝
17.1.25
千葉市消防局火災調査研究発表
講義
坂巻保則
会、火災原因調査検討会
横溝敏宏
17.1.26
日本火災学会
火災学会シンポジウム
室﨑益輝
17.1.26
危険物保安技術協会新技術等情報
やや長周期地震動のスペクトル特性
座間信作
セミナー
から見た地域区分の見直し
救急振興財団第 13 回全国救急隊
新潟中越地震において
久保田勝明
講義
坂巻保則
17.1.28
員シンポジウム
17.2.15
沼津市消防本部防災講演会
- 207 -
消研輯報 58
年月日
派
遣
先
機
関
講
義
題
目
氏
名
17.2.18
横浜市
講義
室﨑益輝
17.2.23
消防大学校予防科第 77 期
燃焼理論
鶴田
17.2.28
自治大学校
講義
室﨑益輝
17.2.3
日本建築学会
学会講演
室﨑益輝
17.2.8
三鷹市
三鷹市議員研修
室﨑益輝
17.2.8
名古屋市消防局火災調査研究発表
講義
坂巻保則
平成 15 年十勝沖地震に際して発生し
西
俊
会
17.2.9
日本高圧力技術協会
晴樹
たタンク火災の火災原因調査結果概
要
17.2.22
沼津市消防本部
実験協力(静電電位測定)
~17.2.23
坂巻保則、
下杉伸一
17.3.3
消防大学校予防科第 77 期
避難対策
山田常圭
17.3.4
危険物保安技術協会危険物事故事
大型物販店舗の生ごみ処理室で発生
吉野
例セミナー
した爆発火災について
17.3.4
消防大学校予防科第 77 期
新しい消火設備
竹元昭夫
16.7.21
日本原子力学会熱流動部会「原子
酸化物を持つナトリウムの燃焼挙動
廖 赤虹
発電機冷却用水素ガスによる火災
鈴木 健
薫
力施設における火災燃焼研究の最
先端」講演会
16.7.21
日本原子力学会熱流動部会「原子
力施設における火災燃焼研究の最
鶴田 俊
先端」講演会
原子力安全技術センター
原子力災害時における消防活動、原子
山田常圭
力施設の事故事例と消防機関の活動
原子力安全技術センター
原子力災害時における消防活動、原子
力施設の事故事例と消防機関の活動、
机上演習:緊急時における放射線被ば
くの防護
- 208 -
鶴田
俊
消研輯報 58
(2)所外委員会、研究会への参加状況
団体等名
委員会等名
役職名
消防庁
災害対策施策研究会
委員
消防庁
自主防災組織教育指導者に対する教育のあり
委員
方に関する調査研究委員会
消防庁
石油コンビナート防災体制検討会
委員
消防庁
避難・消火困難な物品販売店舗における防火
委員
安全対策検討会
消防庁
防火対象物の総合防火安全評価基準のあり方
委員
検討会
消防庁消防大学校
消防大学校における教育訓練等に関する検討
委員
会
内閣府
国連主催防災会議準備委員会
委員
国土交通省
国土審議会近畿圏・中部圏整備分科会
委員
東京都総務局
東京都震災復興検討会議
委員
全国石油商業組合連合会
地震等大規模災害対応型給油所検討委員会
委員
阪神・淡路大震災記念協会
人と防災未来センター
上級研究
員
中央防災会議
東南海・南海地震等に関する専門調査会
委員
中央防災会議
中山間地域地震対策委員会
委員
兵庫県
復興 10 年委員会検証企画小委員会
委員
兵庫県
震災記念協会研究会
委員
兵庫県
兵庫県震災検証委員会
委員
大阪府
まちづくり研究会
委員
大阪府
国民保護検討委員会
委員
神戸市
防災会議
委員
岐阜県岩本町
まちづくり懇談会
委員
京都大学
巨大災害研究センター災害情報システム研究
委員
領域助教授選考会
神戸大学
博士学位論文審査委員会
委員
兵庫県立舞子高校
運営協議会
委員
消防科学総合センター
防災まちづくり大賞委員会
委員
危険物保安技術協会
危険物事故防止対策論文審査委員会
委員
防災科学研究所
外部評価委員会
委員
建築研究所
研究評価委員会
委員
日本火災学会
理事会
理事
日本火災学会
受託事業実行委員会
委員
日本建築学会
学術推進委員会
委員
日本建築学会
防火小委員会
委員
- 209 -
氏
名
室﨑益輝
消研輯報 58
団体等名
委員会等名
役職名
消防庁予防課
放火火災防止対策検討会
委員
人事院事務総局人材局
国家公務員採用試験
人物試験
氏
名
長澤純一
官
消防科学総合センター
災害伝承情報データベース整備検討委員会
委員
消防科学総合センター
平成 16 年度防災まちづくり大賞選定委員会
委員
消防庁救急救助課
検知・探査型災害対策用ロボットの実用化検討
委員
会
消防庁特殊災害室
石油コンビナート等防災体制検討会大容量泡
委員
放射システム等検討部会
消防庁予防課
消火器・防炎物品リサイクル推進委員会
委員
文部科学省科学技術政策研
客員研究
究所
員
東京地方裁判所
専門委員
日本消防検定協会
消防機器等評価委員会
委員
日本消防設備安全センター
消防活動が困難な地下空間等における活動支
副委員長
援情報システムの開発検討会
日本消防設備安全センター
消防救急無線の広域化・共同化の推進検討懇
委員
談会
日本消防設備安全センター
消防指令業務の広域・共同運用に関する分科
座長
会
日本消防設備安全センター
消防設備システム評価委員会
委員
日本消防設備安全センター
性能評価委員会
委員
危険物保安技術協会
危険物に適合した泡消火薬剤の検証方法の確
委員長
立に資する調査検討委員会
危険物保安技術協会
大容量泡放射泡の性能に関するワーキンググ
委員
ループ
危険物保安技術協会
平成 16 年度教育用ビデオ製作委員会
委員
全国危険物安全協会
産業事故事例集編集委員会
委員
全 国 危 険 物 安 全 協 会
判定委員会
委員長
運営委員会
委員
安全工学協会
理事会
理事
日本高圧力技術協会
備蓄基地の新消火システム(I-S 型)調査委員会
委員
日本資源協会
「研究資源の有効活用に関する調査」委員会
委員
F&AISO 審査登録センター
全国危険物安全協会企業防
災対策支援センター
静電気学会
AUBE:04
理事
運営委員会
委員
Journal of Electrostatics
編集委員
- 210 -
松原美之
消研輯報 58
団体等名
委員会等名
役職名
消防庁
消防審議会
幹事
消防庁予防課
予防業務専門委員会のあり方検討会
委員
国土交通省住宅局
建築基準適合判定資格者検定委員会
委員
全国危険物安全協会
危険性評価方法検討委員会
委員
危険物保安技術協会
危険物施設の点検基準のあり方に係る検討会
委員長
消防試験研究センター
消防設備士試験委員会
委員
消防庁救急救助課
高規格救急自動車標準仕様検討委員会
委員長
消防庁消防課
消防力の整備指針に関する調査検討会幹事会
幹事
消防庁予防課
避難・消火困難な物品販売店舗における防火
委員
氏
名
鈴木和男
関沢 愛
安全対策検討会
内閣府
中央防災会議「災害教訓の継承に関する専門
専門委員
調査会」
損害保険料率算出機構
災害科学研究会
委員
都市居住評価センター
避難・耐火性能評価委員会
委員
日本消防検定協会
初期拡大抑制性能のあり方検討作業部会
部会員
日本消防検定協会
避難安全支援性能のあり方検討作業部会
部会員
日本消防検定協会
防火対象物の総合防火安全評価基準のあり方
委員
検討会
日本消防設備安全センター
消防活動支援性能のあり方検討作業部会
部会員
日本防炎協会
防炎品普及方策検討委員会
委員
特定非営利活動法人リアルタ
平成 16 年度分野別リアルタイム地震情報利活
委員
イム地震情報利用協議会
用の調査・研究- 大型施設対応 WG
日本火災学会
火災誌編集委員会
委員
日本火災学会
火災時の避難行動専門委員会
主査
日本火災学会
刊行委員会
副委員長
日本建築学会
エレベータ避難特別研究委員会避難計画 WG
委員
日本建築学会
奨励賞選考委員会
委員
日本建築学会
都市防火小委員会
幹事
日本建築学会
防火委員会
委員
国際火災安全科学学会
Fire Safety Journal 誌編集委員会
委員
国際火災安全科学学会
理事会
理事
米国防火協会(NFPA)
Fire Technology 誌編集委員会
委員
防火技術者協会(SFPE)
理事会
委員
消防庁危険物保安室
屋外タンク貯蔵所の維持管理基準に関する調
委員
査検討会
消防庁危険物保安室
危険物保安に関する技術基準の性能規定導
委員
入・推進に係る調査検討会
日本消防検定協会
消防用機器等の安全に関する検討会
- 211 -
委員
山田 實
消研輯報 58
団体等名
危険物保安技術協会
委員会等名
バイオマス燃料供給施設の安全性に関する調
役職名
委員
氏
名
山田 實
査検討委員会
危険物保安技術協会
屋外に設置されている危険物施設の健全性評
主査
価に関するワーキンググループ
危険物保安技術協会
危険物関連設備等性能評価委員会
委員
危険物保安技術協会
危険物関連設備等性能評価専門委員会
委員
危険物保安技術協会
危険物施設に係る新技術等の活用に関する懇
座長
話会
日本高圧力技術協会
平成 16 年度備蓄タンクの供用適性評価基準と
主査
リスクマネジメント技術に関する調査・研究委員
会分科会
エンジニアリング振興協会
高度メンテナンスのあり方検討委員会
委員
日本防炎協会
次世代防火服研究会
委員
日本保安用品協会
防護服ー熱と炎からの防護に係わる JIS 制定原
委員
箭内英治
案作成委員会
ISO/TC92/SC1,3 分科会
幹事
日本火災学会
企画委員会
委員
日本防炎協会
消防用防護服性能評価手法研究会
委員
篠原雅彦
消防庁危険物保安室
危険物等事故防止対策情報連絡会
会員
鶴田 俊
消防庁危険物保安室
新規危険性物質情報連絡分科会
会員
消防庁特殊災害室
原子力施設等における除染等消防活動検討会
委員
原子力安全基盤機構
PSA 検討会・外的事象 PSA 分科会
委員
原子力安全技術センター
平成 16 年度原子力防災研修事業教材作成ワ
委員
建築・住宅関係国際交流協議
会
ーキンググループ
原子力安全技術センター
平成 16 年度原子力防災研修部会
委員
日本自動車研究所
自動車用固体高分子形燃料電池システム普及
委員
基盤整備事業安全評価ワーキング
日本消防設備安全センター
防火安全機器等専門委員会
委員
鈴木 健
消防庁危険物保安室
危険物保安に関する技術基準の性能規定導
委員
古積 博
入・推進に係る調査検討会
京都市消防局
ファインケミカル工場安全対策検討委員会
委員
中央労働災害防止協会
物理的危険性評価のためのタスクフォース
委員
安全工学協会
平成 16 年度安全工学協会企画委員会
委員
国民生活センター
商品テスト分析・評価委員会
委員
全国危険物安全協会
危険性評価方法検討部会第 2 部会
委員
高圧ガス保安協会
DME 燃料の安全性を確保する技術開発委員
委員
会
- 212 -
岩田雄策
消研輯報 58
団体等名
委員会等名
役職名
東京消防庁
東京消防庁救急業務懇話会専門分科会
委員
日本消防設備安全センター
二次製品防火水槽等認定委員会
委員
危険物保安技術協会
大型化学消防車等評価委員会
委員長
危険物保安技術協会
浮屋根式タンク全面火災の防災活動に関する
委員
氏
名
吉原 浩
調査検討委員会
日本消防検定協会
消防活動用機器等の安全に関する基準の検討
委員
廣川幹浩
会消防用車両作業部会
日本消防設備安全センター
消防活動用機器等の安全に関する基準の検討
委員
会装備資機材部作業部会
危険物保安技術協会
移動タンク貯蔵所のタンク構造(防波板及び間
委員
仕切板を含む)の性能規定化ワーキンググルー
プ
危険物保安技術協会
移動タンク貯蔵所のタンク構造(防波板及び間
委員
仕切板を含む)の性能規定化ワーキンググルー
プ
日本消防ポンプ協会
はしご車の昇降装置の安全性向上検討委員会
委員
消防庁危険物保安室
危険物保安に関する技術基準の性能規定導
委員
西 晴樹
入・推進に係る調査検討会
消防庁消防課
警防活動に係る各種情報の共有化を検討する
委員
ワーキング・グループ
危険物保安技術協会
屋内貯蔵所及び屋外貯蔵所の性能規定化ワー
委員
キンググループ
危険物保安技術協会
給油取扱所の性能規定化ワーキンググループ
委員
消防科学総合センター
北海道石油コンビナート等特別防災区域災害
委員
想定策定検討会
全国危険物安全協会
危険性評価方法検討部会第 1 部会
委員
安全工学協会
第 37 回安全工学研究発表会実行委員会
委員
安全工学協会
平成 16 年、17 年度安全工学協会編集委員会
委員
日本高圧力技術協会
平成 16 年度備蓄タンクの供用適性評価基準と
幹事
リスクマネジメント技術に関する調査・研究委員
会
消防庁特殊災害室
石油コンビナート等防災体制検討会大容量泡
委員
放射システム等検討部会
消防庁特殊災害室
石油コンビナート等防災体制検討会大容量泡
委員
放射システム性能等検討部会
消防庁予防課
燃料電池自動車の地下駐車場等における防火
委員
安全対策検討会
日本消防検定協会
消火栓等操作性評価委員会
- 213 -
委員
竹元昭夫
消研輯報 58
団体等名
委員会等名
役職名
日本消防設備安全センター
消防設備システム第 1 専門委員会(大阪)
委員
日本消防設備安全センター
消防設備システム第 1 専門委員会(東京)
委員
日本消防設備安全センター
性能評価第 1 専門委員会(特殊消防用設備等
委員
氏
名
竹元昭夫
全般)
日本消防設備安全センター
性能評価第 2 専門委員会(ガス系消火設備)
委員
危険物保安技術協会
タイヤ・RDF に係る消火のあり方検討会
委員
危険物保安技術協会
大容量泡放射砲の放射性能に関するワーキン
委員
ググループ
日本検定協会
危険物保安技術協会
危険物保安技術協会
消防庁特殊災害室
消防庁特殊災害室
消防用ホース・結合金具規格研究委員会
危険物に適合した泡消火薬剤の検証方法の確
立に資する調査検討委員会
大容量泡放射砲の放射性能に関するワーキン
ググループ
石油コンビナート等防災体制検討会大容量泡
放射システム等検討部会
石油コンビナート等防災体制検討会大容量泡
委員
内藤浩由
委員
委員
委員
沖山博通
委員
放射システム性能等検討部会
危険物保安技術協会
危険物保安技術協会
大容量泡放射泡の性能に関するワーキンググ
ループ
大容量泡放射砲の放射性能に関するワーキン
委員
委員
ググループ
男女共同参画学協会連絡会
男女共同参画学協会連絡会運営委員会
運営委員
日本火災学会
日本火災学会学術委員会
委員
日本火災学会
日本火災学会学術委員会火災時の有毒ガス調
査専門委員会
委員
日本火災学会
日本火災学会総務委員会
委員
日本火災学会
日本火災学会総務委員会国際対応専門委員会
主査
日本火災学会
日本火災学会日韓火災研究協力事業推進委員
会
委員
日本火災学会
日本火災学会理事会
理事
日本燃焼学会
日本燃焼学会理事会
理事
消防庁消防大学校
消防教科書編集委員会作業部会
会員
日本消防設備安全センター
ガス系消火設備等評価第 1 専門委員会
委員
日本消防設備安全センター
ガス系消火設備等評価第 2 専門委員会
委員
危険物保安技術協会
タイヤ・RDF に係る消火のあり方検討会
委員
JEA 誘導灯認定委員会
JEA 誘導灯認定委員会
委員
高速道路調査会
トンネル研究委員会
委員
日本消防検定協会
特定避難機器評価委員会
委員
- 214 -
佐宗祐子
尾川義雄
渡部勇市
消研輯報 58
団体等名
委員会等名
役職名
氏
名
日本消防設備安全センター
消防防災用設備機器性能評定委員会
委員
渡部勇市
消防庁防火安全室
劇場等避難訓練マニュアル検討会
委員
阿部伸之
日本消防設備安全センター
防火材等専門委員会
委員
松島早苗
消防科学総合センター
防災・危機管理 e- カレッジ開発協力者会議
開発協力
鈴木恵子
者
日本火災学会
普及委員会
委員
日本火災学会
地震火災専門
委員
日本建築学会
エレベータ避難特別研究委員会避難計画 WG
委員
日本建築学会
関東支部防火専門研究委員
委員
消防庁
検知・探査型災害対策用ロボットの実用化検討
オブザー
会
バ
レスキューロボットコンテスト
レスキューロボットコンテスト実行委員会(第 5
委員
実行委員会
期)
レスキューロボットコンテスト
2005 年度レスキューロボットコンテスト組織委
組織委員会
員会
ロボット X レスキュー幹事会
ロボット X レスキュー幹事会
委員
原子力安全技術センター
平成 16 年度緊急時対策総合支援システム調査
委員
天野久徳
幹事
遠隔モニタリング技術ワーキンググループ
岐阜県
デジタル空路研究会
アドバイ
ザー
日本原子力研究所
原子炉安全研究委員会
専門委員
計測自動制御学会
第 5 回計測自動制御学会システムインテグレー
委員
ション部門講演会プログラム委員会
IEEE
Robotics
and
Automation Society
IEEE International Workshop on Safty,
menber
Security and Rescue Robotics Program
Committee
ISO/TC21/SC3 分科会
ISO/TC21/SC3/WG2,WG6,WG7 及び WG9
委員
作業部会
日本消防検定協会
火災報知設備規格検討委員会
委員
日本消防検定協会
特定警報機器評価委員会
委員
日本消防設備安全センター
火災通報のあり方検討幹事会
委員
日本消防設備安全センター
警報設備等専門委員会委員
委員
日本消防設備安全センター
旅館・ホテルの火災時等における視聴覚障害者
委員
への情報伝達手段のあり方検討会委員会
特定非営利活動法人リアルタ
平成 16 年度分野別リアルタイム地震情報利活
イム地震情報利用協議会
用の調査・研究家庭内制御対応ワーキンググ
ループ
- 215 -
委員
河関大祐
消研輯報 58
団体等名
委員会等名
役職名
特定非営利活動法人リアルタ
平成 16 年度分野別リアルタイム地震情報利活
イム地震情報利用協議会
用の調査・研究緊急地震速報伝達方法(人向
委員
氏
名
河関大祐
け)検討ワーキンググループ
日本火災学会
日本火災学会学術委員会
副委員長
日本火災学会
日本火災学会理事会
理事
日本消防設備安全センター
消防活動が困難な地下空間等における活動支
委員
高梨健一
援情報システムの開発検討会
日本内燃力発電設備協会
自家発電設備認証委員会
委員
特定非営利活動法人リアルタ
平成 16 年度分野別リアルタイム地震情報利活
委員
イム地震情報利用協議会
用の調査・研究データ伝送ワーキンググループ
日本火災学会
Web 小委員会委員
委員
消防庁危険物保安室
危険物保安に関する技術基準の性能規程導
委員
入・推進に係る調査検討会
防災科学技術研究所
危機管理対応情報共有技術による減災対策研
委員
究運営委員会
消防科学総合センター
宮城県石油コンビナート等災害想定調査検討
委員
会
消防科学総合センター
北海道石油コンビナート等特別防災区域災害
委員
想定策定検討会
日本消防設備安全センター
緊急地震速報の消防防災分野での活用に関す
委員
る検討懇談会
高圧ガス保安協会
高圧ガス設備等耐震対策に係る地震動分科会
委員
日本気象協会首都圏支社
次世代震度情報ネットワークに関する検討委員
委員
会
日本高圧力技術協会
平成 16 年度備蓄タンクの供用適性評価基準と
幹事
リスクマネジメント技術に関する調査・研究委員
会
日本建築学会
容器構造ワーキンググループ東海地震等巨大
委員
災害への対応特別調査委員会建築構造物小委
員会
土木学会
地震工学委員会震度計の設置促進と震度デー
委員
タの利用高度化に関する研究小委員会
土木学会
土木学会「巨大地震災害への対応検討」特別
委員会「耐震診断および耐震対策」部会
委員
タン
ク WG
日本地震工学会
強震動データの共有化及び活用法に関する研
究委員会
- 216 -
委員
座間信作
消研輯報 58
団体等名
三菱総合研究所
委員会等名
三重県石油コンビナート等防災アセスメント調
役職名
氏
名
委員
座間信作
委員
畑山 健
査委員会
日本建築学会
強震観測小委員会次世代システム検討ワーキ
ンググループ
日本建築学会
長周期地震動による被害予測ワーキンググル
委員
ープ
日本建築学会
東海地震等巨大災害への対応特別調査委員会
委員
地震動小委員会
土木学会
巨大地震災害への対応検討特別委員会地震動
委員
部会
日本地震学会
日本地震学会強震動委員会
委員
消防科学総合センター
林野火災の有効な低減方策検討会
委員
日本地すべり学会
日本地すべり学会編集出版部学会誌編集
委員
三菱総合研究所
打上事故時の想定と防災体制の評価のための
委員
新井場公徳
検討会
東海大学医学部専門医療学
救急業務高度化データネットワーク検討委員会
委員
久保田勝明
日本消防検定協会
特定消防ポンプ評価委員会
委員
金田節夫
日本消防設備安全センター
高規格救急自動車標準仕様検討委員会
委員
日本消防設備安全センター
消防用設備等認定委員会
委員
日本消防設備安全センター
水系消火設備等専門委員会
委員
ISO/TC92/SC4 分科会
幹事
高松市
高松丸亀町商店街道路内建築物検討委員会
委員
東京消防庁
地下駅舎において避難口明示物及び避難方向
副委員
系救命救急医学
建築・住宅関係国際交流協議
会
明示物の基準のあり方検討委員会
東京地方裁判所
日本消防検定協会
専門委員
防火対象物の総合防火安全評価基準のあり方
検討会
委員
日本消防設備安全センター
消防活動支援性能のあり方検討作業部会
部会員
日本消防設備安全センター
高輝度蓄光式避難誘導標識等規格検討委員会
委員
日本消防設備安全センター
消防設備システム第一専門委員会
委員
日本建築センター
防災性能審査委員会
委員
日本火災学会
地震火災専門員会
委員
日本建築学会
煙・避難安全小委員会
委員
日本建築学会
防火委員会
委員
- 217 -
山田常圭
消研輯報 58
団体等名
消防科学総合センター
委員会等名
平成 16 年度火災原因調査教育用視聴覚教材
役職名
委員
(ビデオ)製作委員会
消防科学総合センター
防災・危機管理 e- カレッジ開発協力者会議
開発協力
者
- 218 -
氏
名
坂巻保則
消研輯報 58
3
災害調査等
(1)災害調査
派遣期間
H16.4.22
鹿島石油㈱
災害及び調査の概要
派
鹿島製油所
茨城県
長谷川和俊
鹿島郡
高橋厚裕、下杉伸一
第1 重油脱硫装置原料予熱加熱炉内から出火配
遣
先
管から漏れた重油等が加熱炉の炎により着火
H16.8.11
町立いわし博物館爆発火災
被派遣職員
間宮浩之
千葉県
耐火造 3/0 延べ 3,649 ㎡のうち博物館部分(平屋) 九十九里町
間宮浩之、横溝敏宏
鈴木 健
の約4 6 5 ㎡半壊地中から湧き出た天然ガスに何
らかの火源により爆発1 名が死亡1 名重傷
H16.8.10
関西電力㈱
福井県
坂巻保則
~H16.8.11
美浜原子力発電所3 号機タービン建屋
美浜町
鶴田 俊
福岡県
高橋厚裕、下杉伸一
甘木市
鈴木 健、篠原雅彦
香川県
吉野 薫、間宮浩之
加圧水型軽水炉の二次系復水配管から蒸気が漏
れ付近の作業員5 名が死亡、他に6 名が負傷
H.16.8.21
㈱ブリジストン甘木工場
~H16.8.22
延べ 188,300 ㎡のうち 800 ㎡及び2 階電気室一部
バンバリー工場
焼損精錬機内から出火
H16.8.27
今治造船㈱
~H16.8.28
建造中の貨物船舶(76,000t)6 番ホールド(船倉) 丸亀市
丸亀工場
と7 番ホールドの隔壁下部から出火塗装作業員2
名が死亡、他に傷者2 名
H16.10.7
ガソリンスタンド
静岡県
松原美之
車両に燃料を給油中出火給油口内部の燃料改善
沼津市
坂巻保則、間宮浩之
装置に帯電した静電気と推察される
H16.10.27
新潟県中越地震関連火災
新潟県中越
坂巻保則、間宮浩之
~H16.10.30
9 件(長岡6 、小千谷2 、十日町1 )
長岡市消防
横溝敏宏、高橋厚裕
H16.11.24
電気配線・ガス爆発・線香ストーブ等が出火要因
本部・小千谷
吉野 薫、下杉伸一
~H16.11.26
になっている
地域消防本
鈴木恵子、篠原雅彦
部・十日町地
域消防本部
H.16.11.27
日本コンセプト(株)神戸支店
兵庫県
間宮浩之
~H16.11.28
非危険物積載の国際コンテナ(実容量 23,000L )
神戸市
岩田雄策
に積載されたp -t ブチへノール(110℃)約 12,000
(ポートアイラ
が漏洩し作業員1 名が負傷
ンド内)
- 219 -
消研輯報 58
派遣期間
災害及び調査の概要
派
遣
先
被派遣職員
H16.12.14
㈱ドン・キホーテ浦和花月店
埼玉県
坂巻保則、高橋厚裕
~継続中
調査中であるが、商品棚から出火したものと推定さ
さいたま市
下杉伸一、間宮浩之
れる。死者3 名、傷者8 名他の店でも火災が発生
横溝敏宏
している。
山田常圭、箭内英治
篠原雅彦、阿部伸之
H16.12.26
㈱ドン・キホーテ環八世田谷店
東京都
坂巻保則、高橋厚裕
調査中
世田谷区
吉野 薫
死傷者なし
山田常圭、箭内英治
H16.2.11
天然温泉ひかりの湯掘削現場
東京都
坂巻保則、高橋厚裕
温泉掘削作業中に噴出した天然ガスに引火したも
北区
鶴田 俊、尾川義雄
マツダ㈱宇品第一工場
広島県
松原美之
配管内の塗料をシンナーで洗浄中に出火
広島市
坂巻保則、下杉伸一
㈱べんり工房
広島県
坂巻保則
野積みした木材チップ 15,000 うち 600 焼損
安佐北区
H17.3.16
日本大昭和板紙東北(株)
秋田県
坂巻保則、横溝敏宏
~H17.3.19
PS 焼却炉発電設備カットタイヤビン
秋田市
鶴田 俊
H17.3.22
カットタイヤサイロ内のタイヤ 180t が焼損鎮火まで
~H17.3.23
1 1 日かかった。
H17.3.23
九州石油㈱
大分県
横溝敏宏
~H17.3.24
浮き屋根式スロップタンク(25,000KL)の浮き屋根
大分市
山田 實、西
の。
H17.2.23
耐火造 3/0 建 24,824 ㎡延べ 45,534 ㎡のうち 9,234
㎡焼損
H17.2.22
大分製油所
が沈没その後火災発生
晴樹
佐宗裕子、尾川義雄
(2)鑑定
年
月
鑑定依頼先
鑑
定
の
概
要
鑑定者
16.11
下田海上保安部
鉄ブロック(滑車)
山田 實
16.11
仙台市消防局
重油間接脱硫装置群火災原因調査
17.1
横浜市消防局
危険物性状試験
西 晴樹
山田 實
古積 博
- 220 -
消研輯報 58
4
受賞・学位
(1)受賞
受賞者名
受賞年月
賞
の
種
別
受
賞
内
容
山田常圭
16.5.20
平成 16 年 度日 本火災
学会
燃 焼 及 び煙 性 状 に関 する一 連 の研 究 と避 難
安全対策への適用
田村裕之
16.5.20
平成 16 年 度日 本火災
学会内田奨励
火災科学の発展に寄与する研究
長谷川和俊
16.5.27
産 業 化 学 機 械 と安 全 部
門の部門賞
日本機 械学 会から原 子力 施設 の火 災 爆発事
故原因究明に係わる業績
山田實
16.5.27
日本高圧力技術協会貢
献賞
多 年 にわたる日 本 高 圧 力 技 術 協 会 への多 大
な貢献
(2)学位
氏
名
授与年月日
16.9.30
細川直史
種
別
授与大学
博士(工学)
茨城大学
論
文
名
自己組織化マップによるリモートセンシング
画像データの分類手法とその防災分野への
適用に関する研究
(3)名誉教授等
氏
古積
廖
名
機
博
赤虹
関
名
種
南京理工大学
客員教授
Fujian R&TV Univ.
客員教授
5
別
工業所有権
(1)特許
ア.特許出願
種別
特許願
番
号
特願 2004-145360
発明の名称
車両用火災防止設備、車両、車両の防
火方法および消火方法
- 221 -
発明者
松本洋一郎、廖 赤虹
佐宗祐子、尾川義雄
鶴田 俊、鈴木 健
消研輯報 58
6
視察・見学
(1)国内
日 付
訪
問
者
人 数
H16.4.9
福岡県商工部新産業・技術振興課
3名
4.14
消防大学校幹部研修科第 37 期学生
60 名
4.20
消防庁消防課長、救急救助課長他
3名
5.6
消防大学校本科第 64 期学生
46 名
5.14
総務省消防庁新規採用事務官・技官
9名
5.21
東北大学大学院(学生)
1名
5.26
消防庁防災課災害対策官
1名
5.28
消防大学校上級幹部科第 68 期学生
60 名
6.10
国分寺市高木町防災部会員
30 名
6.11
総合科学技術会議阿部議員、内閣府審議官、参事官
3名
6.14
会計検査院
5名
6.21
東京大学教養学部ヒューマンテクノロジー
9名
6.23
防衛庁第 4 研究室
7名
6.24
山梨県消防学校初級幹部科
26 名
6.28
消費科学連合会
5名
6.29
埼玉県消防学校予防査察課程学生
66 名
6.30
電気学会誌編集委員会
5名
7.8
消防庁研修生
53 名
7.14
成田市消防本部
4名
7.15
(株)豊美
2名
7.21
陸上自衛隊小平学校学生
35 名
7.28
消防大学校火災調査
48 名
8.9
東京都教職員研修センター
8名
8.20
インターンシップ(東大)
2名
9.2
新潟県消防学校第 78 期初任科
72 名
9.3
青山監査法人
5名
9.6
埼玉県消防協会秩父支部会員(消防団正副団長)
27 名
9.9
福井県消防学校
27 名
9.13
消防大学校団長科
28 名
9.16
岐阜県平田町立平田中学校
5名
9.17
長野県伊那市消防団
13 名
10.1
毎日放送
10 名
10.1
沖縄県消防学校初任科
4名
10.6
(財)建材試験センター
3名
- 222 -
消研輯報 58
日 付
訪
問
者
人 数
10.7
消防大学校予防科 76 期
60 名
10.7
NHK
1名
10.14
(財)千葉県消防協会
10.14
尾三消防本部東郷消防署
1名
10.19
消防大学校幹部研修科 38 期
60 名
10.25
東京消防庁
55 名
10.28
(財)大阪市町村振興協会
8名
11.16
陸上自衛隊化学学校 教育部
4名
11.17
静岡県富士市消防団
45 名
11.17
国分寺市民防災推進委員会
36 名
11.18
君津市防火安全協会
24 名
11.18
愛媛県今治市議員視察研修
14 名
11.19
神奈川県消防協会高座支部
18 名
11.24
三鷹市大沢原町の会
15 名
12.3
芝浦工業大学大学院
3名
12.14
消防大学校火災調査科第 8 期
50 名
12.15
日野高校
4名
NEC メディアプロダクツ㈱
2名
1.17
消防大学校予防科 77 期
62 名
1.19
埼玉県本庄市消防団
16 名
1.28
東京工業大学大学院総合理工学研究科メカノマイクロ工学専攻(学生)
22 名
2.7
三重県警科学捜査研究所
1名
2.10
テレコムスタッフ
1名
2.15
広島市消防局
3名
2.15
鳥取県議会事務局
4名
2.18
京葉臨海南部地区石油コンビナート等特別防災区域協議会
22 名
2.23
(社)日本防錆技術協会
19 名
3.7
消防大学校警防科第 76 期
30 名
3.25
むつ小川原石油備蓄六ヶ所事業所
2名
H17.1.13
27 名
安房支部
1294 名
- 223 -
消研輯報 58
(2)海外
日 付
訪
問
者
人 数
韓国サムチョク大学
4名
7.14
張 智強氏他
3名
7.22
韓国火災保険協会理事長
3名
10.5
ソウル市立大学都市安全研究所
8名
10.13
消防庁平成 16 年度集団研修「火災予防技術」コース
10 名
10.25
国際協力機構「大都市地震災害軽減のための総合戦略」コース
12 名
11.5
韓国消防防災庁防災研究所所長他
4名
韓国消防防災庁長官他
9名
16.4.9
17.1.25
53 名
- 224 -
消研輯報 58
付
1
録
研究体制
(1) 組織
理事長
理
事
監
事
消防の科学技術に関する研究、調査および試験に関する事務を総括整
理すること。
研究統括官
事務局長
上席研究官
総
務
極めて高度な研究課題について、研究、調査および試験を行うこと。
課
課 長 補 佐
課の事務の処理について課長を助けること。
主
幹
課の庶務ならびに各係および専門官等の事務を調整すること。
専
門
官
課の特定の事務を処理すること。
総
務
係
文書処理、服務その他人事、連絡調整ならびに他の部および係に
属さないものに関すること。
会
計
係
予算および決算ならびに会計に関すること。
管
理
係
財産および物品の管理ならびに警備等に関すること。
- 225 -
消研輯報 58
研究企画部
研究、調査及び試験の企画、立案および総合調整等に関すること。
企 画 調 整 官
研究企画部の事務を調整すること。
開発支援専門官
機 器の試 作 等に関する専 門 的な事 項に関する事務 を行うこ
と。
基盤研究部
研究、調査及び試験の企画、立案および総合調整等に関すること。
火 災 研 究 グ ル ー プ
物質の燃焼機構および火災時の発生ガス等に関する
こと。
特殊火災研究グループ
原子 力火 災 その他特 殊な要因による火災等に関する
こと。
物質安全研究グループ
各種危険物およびこれらに類するものの危険性評価等
に関すること。
施設安全研究グループ
危険物施設の安全確保のための技術等に関すること。
消 火 研 究 グ ル ー プ
消火、消火剤、消火設備等に関すること。
建築防火研究グループ
建築物の火災ならびに延焼特性および火災時の避難
等に関すること。
消防機械研究グループ
消防用機械、器具および車両ならびに航空消防等特
殊消防の技術等に関すること。
感知通報研究グループ
火災の感知および通報ならびにこれらの情報処理等に
関すること。
防 災 研 究 グ ル ー プ
地震および自然災害時の消防防災技術に関すること。
救 急 研 究 グ ル ー プ
消防の救急技術および救助用資機材に関すること。
主
幹
研
究
官
特に高度の研究課題について、研究、調査および試験
を行うこと。
主
任
研
究
官
特定の研究課題について、研究、調査および試験を
行うこと。
プロジェクト研究部
強い社会的要請等を有する研究、調査および試験を行うこと。
第一~第五プロジェクト
プロジェクトに係る研究、調査および試験を行うこと。
- 226 -
消研輯報 58
主
幹
研
火災原因調査室
調
整
究
プロジェクトの企画、調整等を行うこと。
官
火災原因調査及び支援に関すること。
官
火災調査に係る事務を調整すること。
室 長 補 佐
室長を助けること。
専門調査員
火災原因調査に係る専門的な事務を行うこと。
主任調査員
火災原因調査に係る事務を行うこと。
(2) 常勤役職員数
平成 16 年度末の常勤役職員数は 48 名である。
(3) 役職員(係長・主任研究官以上の者
H17.3.31 現在)
役員
理
事
理
長
室
﨑
益
輝
事
長
澤
純
一
監
事(非常勤)
大
井
久
幸
監
事(非常勤)
亀
井
浅
道
研究統括官
松
原
美
之
事務局長
鈴
木
和
男
上席研究官
関
沢
上席研究官
佐
藤
晃
由
事務局
愛
総務課
課
長
岸
野
誠
一
主
幹
早
川
和
一
専 門 官
木
村
由喜夫
総 務 係 長
飯
野
育
子
- 227 -
消研輯報 58
会 計 係 長
古
川
広
紀
管 理 係 長
松
島
秋
雄
研究企画部
部
長
研究統括官事務取扱
企画調整官
渡
邉
研究調整係長
畑
山
開発支援係長
新井場
明
宏
健(併任)
公
徳(併任)
山
田
火災研究グループ長
箭
内
特殊火災研究グループ長
鶴
田
俊
物質安全研究グループ長
古
積
博
施設安全研究グループ長
吉
原
浩
消火研究グループ長
竹
元
昭
夫
建築防火研究グループ長
渡
部
勇
市
消防機械研究グループ長
天
野
久
徳
感知通報研究グループ長
河
関
大
祐
防災研究グループ長
座
間
信
作
救急研究グループ長
金
田
節
夫
主 幹 研 究 官
佐
宗
祐
子
主 任 研 究 官
鈴
木
〃
岩
田
雄
策
〃
寒河江
幸
平
〃
西
晴
樹
〃
尾
川
義
雄
〃
松
島
早
苗
〃
鈴
木
恵
子
〃
細
川
直
史
〃
畑
山
〃
新井場
公
徳
山
田
常
圭
第一プロジェクトリーダー
座
間
信
作(併任)
第二プロジェクトリーダー
古
積
博(併任)
第三プロジェクトリーダー
鶴
田
俊(併任)
第四プロジェクトリーダー
山
田
實(併任)
基盤研究部
部
長
實
英
治
健
健
プロジェクト研究部
部
長
- 228 -
消研輯報 58
第五プロジェクトリーダー
山
田
常
圭(併任)
火災原因調査室
室
長
事務局長事務取扱
室長補佐
坂
巻
保
則
(4) 人事異動
平成 16 年 4 月 1 日付
氏名
松
原
美
新
之
旧
研究統括官・研究企画部長事務取扱
研究企画部長 併任 火災原因調査室調
整官
鈴
木
山
田
山
田
和
常
男
事務局長・火災原因調査室長事務取扱
事務局長
實
基盤研究部長 併任 プロジェクト研究部
プロジェクト研 究 部 長 併 任 基 盤 研 究 部
第四プロジェクトリーダー
消防機械研究グループ長
プロジェクト研究部長・プロジェクト研究
上席研究官 併任 プロジェクト研究部第
部第五プロジェクトリーダー事務取扱
五プロジェクトリーダー 併任 火災原因
圭
調査室専門調査員
岸
野
誠
一
総務課長
消防庁長官付(危険物保安技術協会総
務課長)
座
間
信
作
基 盤 研 究 部 防 災 研 究 グループ長 併 任
基盤研究部長・基盤研究部防災研究グ
プロジェクト研究部第一プロジェクトリー
ループ長 事 務 取 扱 併 任 プロジェクト研
ダー
究部第一プロジェクトリーダー 併任 火
災原因調査室専門調査員
佐
藤
晃
由
上席研究官
プロジェクト研究部第四プロジェクトリー
ダー 併任 上席研究官
天
野
畑
山
久
徳
基盤研究部消防機械研究グループ長
基盤研究部主任研究官
健
基盤研究部主任研究官 併任研究企画
基盤研究部主任研究官 併任研究企画
部研究調整係長 併任 火災原因調査室
部研究調整係長
専門調査員
菊
地
芳
和
消防庁に出向(防災課主幹 併任 防災
総務課主幹・総務課総務係長事務取扱
情報室主幹 併任 震災等応急室主幹
併任 特殊災害室主幹)
早
川
和
一
総務課主幹
消防庁総務課主査(公営企業金融公庫
企画課主幹)
木
村
由喜夫
専門官・総務課会計係長事務取扱
総務課会計係長
飯
野
育
子
総務課総務係長
総務課主査
新井場
公
徳
基盤研究部 併任 研究企画部開発支援
基盤研究部
- 229 -
消研輯報 58
係長
高
梨
健
一
基盤研究部 併任 火災原因調査室専門
基盤研究部
調査員
上
田
久保田
眞砂子
研究企画部主任
研究企画部
勝
基盤研究部 併任 火災原因調査室専門
基盤研究部
明
調査員
篠
原
雅
彦
基盤研究部 併任 火災原因調査室専門
基盤研究部
調査員
廣
川
幹
浩
基盤研究部 併任 火災原因調査室専門
基盤研究部
調査員
内
藤
浩
由
基盤研究部 併任 火災原因調査室専門
調査員
下
杉
伸
一
火災原因調査室主任調査員
川崎市消防局消防司令補
間
宮
浩
之
火災原因調査室主任調査員
さいたま市消防局消防士長
横
溝
敏
宏
火災原因調査室主任調査員
千葉市消防局消防士長
鈴
木
隆
司
研究生
東京消防庁消防士
平成 16 年 6 月 1 日付
氏名
那
波
英
新
文
旧
基盤研究部主任研究官 併任 総務課
基盤研究部主任研究官
平成 16 年 10 月 1 日付
氏名
西
晴
樹
新
旧
基盤研究部主任研究官 併任火災原因
基盤研究部主任研究官 併任 火災原因
調査室専門調査員 併任 研究企画部
調査室専門調査員
鈴
木
恵
子
基盤研究部 併任 研究企画部
基盤研究部
冨
永
啓
治
消防庁に出向(総務省自治財政局公営
総務課
企業課地域企業経営企画室)
大
矢
直
総務課
採用(総務省)
平成 16 年 11 月 1 日付
氏名
木
村
新
由喜夫
旧
総務課専門官
総務課専門官・総務課会計係長事務取
扱
古
川
広
紀
総務課会計係長
消防庁総務課総務係長
大
嶋
文
彦
研究企画部主査(研究統括官付特命担
消防庁防災課特殊災害室原子力災害係
当)
長
消防庁に出向(総務省自治行政局行政
総務課
長谷川
大
輔
- 230 -
消研輯報 58
課管理審査専門官付総務係長)
平成 17 年 1 月 1 日付
氏名
鈴
木
恵
新
子
旧
基盤研究部主任研究官 併任 研究企画
基盤研究部 併任 研究企画部
部
尾
川
義
雄
基 盤 研 究 部 主 任 研 究 官 併 任 プロジェ
基盤研究部 併任 プロジェクト研究部
クト研究部
新井場
公
徳
基 盤 研 究 部 主 任 研 究 官 併 任 プロジェ
基 盤 研 究 部 併 任 プロジェクト研 究 部
クト研 究 部 併 任 研 究 企 画 部 開 発 支 援
併任 研究企画部開発支援係長
係長
平成 17 年 1 月 31 日付
氏名
那
波
英
新
文
旧
辞職
基盤研究部主任研究官 併任 総務課
平成 17 年 3 月 31 日付
氏名
大
嶋
高
橋
吉
野
文
厚
新
旧
消防庁に出向(神戸市消防局警防部救
研究企画部主査(研究統括官付特命担
急救助課主幹へ)
当)
裕
(川口市消防本部)
火災原因調査室主任調査員
薫
(横浜市消防局)
火災原因調査室主任調査員
彦
(5) 委員会
ア.消防研究所研究評価委員会
(目的)
消防研究所が行う研究等を総合的観点から検討し、消防研究所が社会的ニーズに沿った消防防災に係る
基礎的または応用的研究及び開発研究等を効率的に推進するため、消防研究所及びその研究課題等につ
いて評価を行う。
(構成員)
吉
村
秀
委
犬
伏
由利子
消費科学連合会副会長
〃
浦
野
義
早稲田大学大学院教授
〃
大
内
田鶴子
江戸川大学助教授
〃
木
挽
孝
紀
全国消防長会事務総長
〃
菅
原
進
一
東京理科大学大学院教授
員
實
NPO 法人環境防災総合政策研究機構(CeMI)副理事長
委員長
頼
- 231 -
消研輯報 58
〃
田
村
昌
三
(独)産業技術総合研究所 RCES
〃
内
藤
裕
史
つくば大学名誉教授
〃
西
浦
英
次
(社)日本損害保険協会専務理事
〃
関
口
昌
男
(社)全国消防機器協会会長
イ.消防防災機器の開発等及び消防防災科学論文に関する表彰選考委員会
(目的)
消防科学・技術の高度化と消防防災活動の活性化に資するため、消防防災機器の改良・開発及び消防
防災科学に関する論文について、応募作品から消防庁長官表彰作品を選考する。
(構成員)
委員長
上
原
陽
一
横浜国立大学名誉教授
委
秋
本
敏
文
日本消防協会理事長
〃
小
林
茂
昭
日本消防設備安全センター常務理事
〃
白
谷
祐
二
全国消防長会会長
〃
蝶
野
光
消防庁審議官
〃
長
澤
一
消防研究所理事
〃
橋
本
巨
東海大学教授
〃
本
間
二
電気通信大学教授
員
純
恭
- 232 -
消研輯報 58
2
会
計
(1) 決算報告書(平成 16 年 4 月 1 日~平成 17 年 3 月 31 日)
(単位:円)
区 分
年度計画予算額 決 算 金 額 差 額
備 考
A
B
A-B
1,080,920,000
1,080,920,000
0
収入
運営費交付金
(内災害復旧経費)
(46,100,000)
(46,100,000)( 0)
運営費交付金債務当年度配分額
120,000,000
62,055,496
57,944,504
施設費補助金
479,495,957
479,495,957
0
80,000,000
117,421,717
▲ 37,421,717
寄附金収入
0
780,640
▲ 780,640
その他収入
14,752,000
16,532,670
▲ 1,780,670
1,775,167,957
1,757,206,480
17,961,477
501,459,000
499,207,470
2,251,530
88,258,000
80,318,612
7,939,388
579,855,000
528,806,694
51,048,306
経常研究費
73,426,000
65,271,867
8,154,133
特別研究費
305,867,000
281,693,792
24,173,208
成果普及等業務経費
185,562,000
169,291,089
16,270,911
国際会議費
15,000,000
12,549,946
2,450,054
災害復旧関係費
46,100,000
38,339,049
7,760,951
479,495,957
479,495,957
0
80,000,000
117,421,717
▲ 37,421,717
0
780,640
▲ 780,640
0
146,381,698
▲ 146,381,698
1,775,167,957
1,890,751,837
▲ 115,583,880
受託収入
計
・期首運営費交付金債務につき、当年度収益化を行った
ことによる。
・大規模災害等に伴い、受託研究が増加したことによる
・予算額に、施設貸付収入等を計上していないことによ
る。
支出
人件費
一般管理費
業務経費
借入金償還
受託経費
寄附金支出
臨時損失
計
- 233 -
・大規模災害に伴い、受託研究が増加したことによる
・13、14、15年度消費税を修正申告等をしたことによる
消研輯報 58
(2) 損益計算書(平成 16 年 4 月 1 日~平成 17 年 3 月 31 日)
(単位:円)
科 目
金 額
Ⅰ経常費用
1研究業務費
人件費
489,811,354
業務委託費
79,581,678
賃借料
4,791,904
減価償却費
185,070,080
保守・修繕費
68,756,626
水道光熱費
29,550,666
旅費交通費
37,693,779
消耗備品費
178,655,133
諸謝金
1,207,860
支払手数料
1,404,630
その他業務経費
42,842,079
1,119,365,789
2一般管理費
人件費
88,197,144
賃借料
1,526,532
減価償却費
1,877,813
保守・修繕費
45,031,063
水道光熱費
2,100,891
旅費交通費
1,936,983
消耗備品費
6,798,291
諸謝金
7,994,280
支払手数料
1,178,495
保険料
15,057,660
その他管理経費
8,194,652
179,893,804
経常費用合計
1,299,259,593
Ⅱ経常収益
1運営費交付金収益
995,910,597
2受託収入
政府受託研究収入
100,874,717
その他受託収入
16,547,000
117,421,717
3財産賃貸収入
15,310,000
4補助金等収益
10,940,561
5資産見返負債戻入
資産見返運営費交付金戻入
96,882,480
資産見返寄付金戻入
809,352
資産見返物品受贈額戻入
82,195,057
179,886,889
780,640
780,640
6寄付金収益
その他寄付金収益
7財務収益
受取利息
7,282
8雑益
7,282
2,654,024
経常収益合計
1,322,911,710
経常利益
23,652,117
Ⅲ臨時損失
固定資産除却損
795,141
消費税及び地方消費税返納額等
146,381,698
147,176,839
Ⅳ当期純損失
-123,524,722
Ⅴ当期総損失
-123,524,722
- 234 -
消研輯報 58
(3) 貸借対照表(平成 17 年 3 月 31 日)
(単位:円)
科 目
金 額
資産の部
Ⅰ流動資産
現金及び預金
515,326,968
たな卸資産
227,101
前払費用
2,112,091
未収金
53,186,203
その他流動資産
156,610
流動資産合計
571,008,973
Ⅱ固定資産
1有形固定資産
建物
減価償却累計額
7,238,662,957
1,363,425,582
構築物
209,917,892
減価償却累計額
66,443,467
機械及び装置
143,474,425
252,575,669
減価償却累計額
198,482,515
車両運搬具
24,721,947
減価償却累計額
13,103,145
工具器具備品
54,093,154
11,618,802
800,248,876
減価償却累計額
473,959,387
土地
5,875,237,375
326,289,489
8,293,396,024
有形固定資産合計
14,704,109,269
2無形固定資産
ソフトウェア
171,160,097
電話加入権
1,390,480
無形固定資産合計
172,550,577
3投資その他の資産
災害補償互助会預託金
515,000
投資その他の資産合計
515,000
固定資産合計
14,877,174,846
資産合計
15,448,183,819
- 235 -
消研輯報 58
(単位:円)
科 目
金 額
負債の部
Ⅰ流動負債
運営費交付金債務
148,632,807
未払金
212,653,942
預り金
637,051
流動負債合計
361,923,800
Ⅱ固定負債
資産見返負債
資産見返運営費交付金
414,370,921
資産見返寄付金
4,686,552
資産見返物品受贈額
146,099,400
565,156,873
固定負債合計
565,156,873
負債合計
927,080,673
資本の部
Ⅰ資本金
政府出資金
15,268,927,137
資本金合計
15,268,927,137
Ⅱ資本剰余金
資本剰余金
440,833,766
損益外減価償却累計額(△)
△ 1,428,817,336
資本剰余金合計
△ 987,983,570
Ⅲ利益剰余金
積立金
363,684,301
当期未処理損失
( うち当期総損失
△ 123,524,722
△ 123,524,722 )
利益剰余金合計
240,159,579
資本合計
14,521,103,146
負債資本合計
15,448,183,819
- 236 -
消研輯報 58
(4) キャッシュ・フロー計算書(平成 16 年 4 月 1 日~平成 17 年 3 月 31 日)
(単位:円)
金 額
科 目
Ⅰ業務活動によるキャッシュ・フロー
原材料、商品又はサービスの購入による支出
人件費支出
その他の業務支出
科学研究費補助金等預り金支出
運営費交付金収入
受託収入
寄付金収入
財産賃貸収入
科学研究費補助金等預り金収入
その他雑収入
小計
利息の受取額
業務活動によるキャッシュ・フロー
△ 442,327,596
△ 590,687,759
△ 71,972,319
△ 12,000,007
1,080,920,000
227,705,000
780,640
22,845,000
12,000,007
3,338,474
230,601,440
7,901
230,609,341
Ⅱ投資活動によるキャッシュ・フロー
有形固定資産の取得による支出
無形固定資産の取得による支出
投資活動によるキャッシュ・フロー
△ 148,479,965
△ 56,441,150
△ 204,921,115
Ⅲ財務活動によるキャッシュ・フロー
無利子借入れによる収入
財務活動によるキャッシュ・フロー
91,730,957
91,730,957
Ⅳ資金増加額
117,419,183
Ⅴ資金期首残高
397,907,785
Ⅵ資金期末残高
515,326,968
- 237 -
消研輯報 58
(5) 行政サービス実施コスト計算書(平成 16 年 4 月 1 日~平成 17 年 3 月 31 日)
(単位:円)
科 目
金 額
Ⅰ業務費用
1,310,262,769
損益計算書上の費用
研究業務費
1,119,365,789
一般管理費
179,893,804
固定資産除却損
消費税及び地方消費税返納額等
795,141
146,381,698
1,446,436,432
(控除)
受託研究収入
△ 117,421,717
財産賃貸収入
△ 15,310,000
寄付金収益
財務収益
雑益
△ 780,640
△ 7,282
△ 2,654,024
△ 136,173,663
Ⅱ損益外減価償却等相当額
369,649,166
損益外減価償却相当額
359,268,098
損益外固定資産除却相当額
10,381,068
Ⅲ引当外退職手当増加見積額
24,392,159
Ⅳ機会費用
194,091,878
政府出資等の機会費用
187,855,674
無利子による融資取引の機会費用
6,236,204
Ⅴ(控除)法人税等及び国庫納付額
消費税及び地方消費税返納額等
△ 146,381,698
△ 146,381,698
Ⅵ行政サービス実施コスト
1,752,014,274
- 238 -
消研輯報 58
(6) 損失の処理に関する書類
(単位:円)
科 目
金 額
Ⅰ当期未処理損失
123,524,722
当期総損失
123,524,722
Ⅱ損失処理額
積立金取崩額
123,524,722
123,524,722
(7) 重要な会計方針
1.運営費交付金収益の計上基準
業務のための支出額を限度として収益化する費用進行基準を採用しております。
2.減価償却の会計処理方法
(1)有形固定資産
定額法を採用しております。
なお、主な耐用年数は以下のとおりであります。
建物 15~50年
機械装置 5~ 8年
工具器具備品 2~14年
また、特定の償却資産(独立行政法人会計基準第86)の減価償却相当額については、損益外
減価償却累計額として資本剰余金から控除して表示しております。
(2)無形固定資産
定額法を採用しております。
なお、法人内利用のソフトウェアについては、法人内における利用可能期間(5年)に基づいてお
ります。
3.退職手当に係る引当金及び見積額の計上方法
役員及び職員の退職手当については財源措置がなされるため、退職手当に係る引当金は計上
しておりません。
また、行政サービス実施コスト計算書における引当外退職手当増加見積額は、自己都合退職
金要支給額の当期増加額に基づき計上しております。
4.たな卸資産の評価基準及び評価方法
貯蔵品は、最終仕入原価法を採用しております。
5.行政サービス実施コスト計算書における機会費用の計上方法
政府出資等の機会費用及び無利子による融資取引の機会費用の計算に使用した利率
国債利回り等を参考にしております。
6.消費税等の会計処理
消費税等の会計処理は、税込方式によっております。
- 239 -
消研輯報 58
注記事項
(貸借対照表関係)
退職手当の見積額(平成17年3月31日) 505,545,856 円
(キャッシュ・フロー計算書関係)
(1)資金の期末残高の貸借対照表科目別の内訳
現金及び預金勘定 515,326,968 円
資金期末残高 515,326,968 円
(2)重要な非資金取引
① 補助金による長期借入金の返済による額
施設整備費資金貸付金償還時補助金
479,495,957 円
② 現物寄附による資産の取得
工具器具備品
構築物
総計
4,494,000 円
1,001,904 円
5,495,904 円
(行政サービス実施コスト計算書関係)
行政サービス実施コスト計算書における政府出資等の機会費用及び無利子による融資取引の
機会費用は、1.32%で計算しております。
(その他独立行政法人の状況を適切に開示するために必要な会計情報)
当法人は、当中期目標期間終了後において、廃止されることが平成16年12月24日付「今後の行
政改革の方針」にて閣議決定されました。
重要な債務負担行為
該当事項はありません。
重要な後発事象
該当事項はありません。
- 240 -
消研輯報 58
(8) 附属明細書
1. 固定資産の取得及び処分並びに減価償却費(「第8 6
特定の償却資産の減価に係る会計処理」によ
る損益外減価償却相当額も含む。)の明細
(単位:円)
減価償却累計額
資産の種類
期
首
残 高当 期 増 加 額当 期 減 少 額期
末
残 高
差引当期末残高
摘 要
当 期 償 却 額
建 物
構築物
有形固定資産
(償却費損益内)
有形固定資産
(償却費損益外)
非 償 却 資 産
有形固定資産
合
計
機械及び装置
31,998,225
0
33,119,546
916,461
678,077
32,203,085
0
1,001,904
0
1,001,904
135,252
135,252
866,652
252,575,669
0
0
252,575,669
198,482,515
20,885,431
54,093,154
車両運搬具
16,956,149
8,630,256
864,458
24,721,947
13,103,145
3,291,866
11,618,802
工具器具備品
756,520,367
50,815,484
7,086,975
800,248,876
473,959,387
104,100,432
326,289,489
計
1,027,173,506
92,445,869
7,951,433
1,111,667,942
686,596,760
129,091,058
425,071,182
建 物
7,219,378,874
0
13,835,463
7,205,543,411
1,362,509,121
342,937,430
5,843,034,290
構築物
208,915,988
0
0
208,915,988
66,308,215
16,330,668
142,607,773
計
7,428,294,862
0
13,835,463
7,414,459,399
1,428,817,336
359,268,098
5,985,642,063
土 地
8,293,396,024
0
0
8,293,396,024
0
0
8,293,396,024
計
8,293,396,024
0
0
8,293,396,024
0
0
8,293,396,024
建 物
7,220,500,195
31,998,225
13,835,463
7,238,662,957
1,363,425,582
343,615,507
5,875,237,375
構築物
208,915,988
1,001,904
0
209,917,892
66,443,467
16,465,920
143,474,425
機械及び装置
252,575,669
0
0
252,575,669
198,482,515
20,885,431
54,093,154
車両運搬具
16,956,149
8,630,256
864,458
24,721,947
13,103,145
3,291,866
11,618,802
工具器具備品
756,520,367
50,815,484
7,086,975
800,248,876
473,959,387
104,100,432
326,289,489
土 地
8,293,396,024
0
0
8,293,396,024
0
0
8,293,396,024
計
16,748,864,392
92,445,869
21,786,896
16,819,523,365
2,115,414,096
488,359,156
14,704,109,269
323,153,399
56,441,150
0
379,594,549
208,434,452
57,856,835
171,160,097
ソフトウェア
無形固定資産
1,121,321
電話加入権
計
投 資 そ の 他 の 災害補償互助会預託金
資
産
計
1,390,480
0
0
1,390,480
0
0
1,390,480
324,543,879
56,441,150
0
380,985,029
208,434,452
57,856,835
172,550,577
515,000
0
0
515,000
0
0
515,000
515,000
0
0
515,000
0
0
515,000
2. たな卸資産の明細
(単位:円)
当期増加額
種類
期首残高
当期購入・製
造 ・ 振 替
当期減少額
期末残高
その他
払出・振替
その他
(貯蔵品)
切手
115,190
73,000
0
84,500
0
103,690
高速回数券
107,348
214,200
0
198,137
0
123,411
合計
222,538
287,200
0
282,637
0
227,101
- 241 -
摘要
消研輯報 58
3. 有価証券の明細
当事業年度は有価証券を有していないため、記載を省略しております。
4. 長期貸付金の明細
当法人は、長期貸付を行っていないため記載を省略しております。
5. 長期借入金及び債券の明細
①長期借入金の明細
(単位:円)
区分
期首残高
当期増加
当期減少
期末残高
平均利率(%)
施設整備資金
無利子借入金
387,765,000
91,730,957
479,495,957
0
-
合計
387,765,000
91,730,957
479,495,957
0
-
返済期限
摘要
注)長期借入金は、日本電信電話株式会社の株式の売却収入の活用による社会資本整備の促進に関する特別措置法による
国からの施設整備資金貸付金であり、無利子貸付によるものであります。
なお、平成17年3月29日に独立行政法人消防研究所施設整備資金無利子貸付償還時補助金479,495,957円の交付を
受け、貸付金と補助金を相殺することで、貸付金の償還を行ったところであります。
②債券の明細
当法人は、債券の発行を行っていないため記載を省略しております。
6. 引当金の明細
当法人は、引当金を計上していないため記載を省略しております。
7. 法令に基づく引当金等の明細
当法人は、法令に基づく引当金等を計上していないため記載を省略しております。
8. 保証債務の明細
当法人は、債務の保証業務を行っていないため記載を省略しております。
- 242 -
消研輯報 58
9. 資本金及び資本剰余金の明細
(単位:円)
区分
期首残高
当期増加額
当期減少額
期末残高
摘要
政府出資金
15,268,927,137
0
0
15,268,927,137
計
15,268,927,137
0
0
15,268,927,137
1,237,600
0
0
667,880
0
0
0
468,555,396
0
△ 15,791,647
△ 13,835,463
0
△ 13,886,167
454,719,933
計
損益外減価償却
累
計
額 △ 1,073,003,633 △ 359,268,098
0
資本金
資本剰余金
無償譲与
運営費交付金
施設整備資金無利子
貸付金償還金補助金
資本剰余金
損益外固定資産
除 却 相 当 額
△ 1,086,889,800
差引計
1,237,600 電話加入権
災害補償互助会預託金、
667,880 電話加入権
468,555,396
△ 29,627,110 建物
440,833,766
△ 3,454,395 △ 1,428,817,336
95,451,835
△ 3,454,395
△ 987,983,570
10. 積立金等の明細及び目的積立金の取崩しの明細
①積立金の明細
(単位:円)
区分
期首残高
通則法第44条
第1項積立金
当期増加額
357,299,579
当期減少額
6,384,722
期末残高
0
摘要
363,684,301
②目的積立金の取崩しの明細
当事業年度は目的積立金の取崩しがないため、記載を省略しております。
11. 運営費交付金債務及び運営費交付金収益の明細
①運営費交付金債務の明細
(単位:円)
交付年度
期首残高
当期振替額
交
付
金
当 期 交 付 額 運
営
費 資 産 見 返
資本剰余金
交 付 金 収 益 運 営 費交 付金
期末残高
小計
平成13年度
76,826,383
0
61,572,277
0
0
61,572,277
15,254,106
平成14年度
113,428,938
0
0
0
0
0
113,428,938
平成15年度
10,403,330
0
483,219
0
0
483,219
9,920,111
1,080,920,000
933,855,101
137,035,247
0
1,070,890,348
10,029,652
1,080,920,000
995,910,597
137,035,247
0
1,132,945,844
148,632,807
平成16年度
合計
200,658,651
②運営費交付金収益の明細
業務等の区分を行っていないため、記載を省略しております。
- 243 -
消研輯報 58
12. 国等からの財源措置の明細
補助金等の明細
左の会計処理内訳
区分
当期交付額
建設仮勘定
補助金等
資産見返
補助金等
資本剰余金
摘 要
長期預り
補助金等
独立行政法人消防研究所施設整備
資金無利子貸付金償還時補助金
479,495,957
0
0
468,555,396
注) 「収益計上」欄には、施設整備時に必要とされた既存施設の撤去費用に充てた金額を計上しております。
収益計上
0
10,940,561
13. 役員及び職員の給与の明細
(単位:円、人)
報酬又は給与
退職手当
区分
支給額
支給人員
支給額
支給人員
役員
35,161,833
2
0
1
非常勤役員
4,078,898
2
0
0
職員
398,630,029
47
7,102,200
1
非常勤職員
56,731,469
35
0
0
合計
494,602,229
86
7,102,200
2
注1)支給人員数は、平均人員数
注2)役員報酬基準の概要
理事長 991,000円 理事 906,000円を月額として支給しております。
非常勤役員の報酬は、37,900円を日額として支給しております。
その他諸手当については、「消防研究所役員報酬規程」に基づき支給しております。
注3)職員給与基準の概要
職員の給与は俸給及び諸手当としております。
俸給は一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)及び人事院規則を
準用し、当研究所職員給与規程に基づき支給しております。
注4)役員退職手当基準の概要 研究開発等を事業目的としている特殊法人の退職手当規程を準用し、当研究所役員
退職手当規程に基づいております。
注5)損益計算書人件費の計上額には、上記の他、以下のものを含んでおります。
法定福利費 派遣職員に対する費用 46,941,299 円
29,362,770 円
なお、中期計画における予算上の人件費には、上記の非常勤職員に対する給与支給額及び派遣職員に対する費用を含めて
おりません。
14. セグメント情報
(平成 16 年 4 月 1 日~平成 17 年 3 月 31 日)
当法人は、単一セグメントによって事業を行っているため記載を省略しております。
- 244 -
消研輯報 58
3
施設設備
(1) 土地、建物の現況
平成 17 年 3 月 31 日現在の土地及び建物の現況は、下記の通りである。
ア.土
地
異動年月日
昭 23(当初)
面積(㎡)
77,530
異
動
事
国有財産一時使用:当時北多摩郡三鷹町新川 700
25.11. 3
三鷹市制施行により三鷹市新川 700 となる。
32. 7.11
関東財務局より所管換え
34. 1.31
△ 867
公務員宿舎へ用途変更
34. 6.17
△ 19,647
消防大学校へ整理替え
35. 1.16
△ 402
公務員宿舎へ用途変更
35. 8.31
△ 947
〃
38.12.14
1,607
39. 2. 6
△ 8,780
公務員宿舎より用途変更
日本消防検定協会へ出資のため大蔵省へ引継ぎ
住居表示変更により三鷹市中原三丁目 14 番 1 号となる。
40. 4. 1
40. 7. 9
△ 1,005
公務員宿舎へ用途変更
41. 8.18
△ 1,156
〃
48.11. 2
△ 453
消防大学校へ整理替え
61.10.29
△ 167
三鷹市道路拡張工事のため大蔵省へ引継ぎ
63. 1.14
△ 100
調布市道路拡張工事のため大蔵省へ引継ぎ
平 9. 2.21
△ 3,715
三鷹市・調布市道路拡張工事及び公務員宿舎への用途変更のため大
蔵省へ引継ぎ
12. 4.21
計
由
184
土地登記のため構内測量(42,082 ㎡)
12. 5. 1
三鷹市側土地登記(15,225 ㎡)
13. 3.16
調布市側土地登記(26,857 ㎡)
42,082
- 245 -
消研輯報 58
イ.建
建
物
物
等
名
称
本
燃
焼
実
車
非
験
庫
破
壊
検
査
構
造
面
積(㎡)
床面積(㎡)
備
考
平成 13 年 2 月竣工
館
RC-3
1,421.86
3,968.11
棟
RC-2
301.60
507.58
〃
〃
棟
S-1
297.97
248.78
〃
〃
棟
RC-1
77.65
77.65
平成 13 年 3 月竣工
自
転
車
置
場
S-1
18.51
18.51
〃
〃
廃
棄
物
置
場
RC-1
52.50
52.50
〃
〃
1,251.87
2,503.00
総 合 消 火 研 究 棟
RC-4-1
平成 8 年 3 月竣工
S-1
物 質 安 全 研 究 棟
RC-2-1
663.62
1,515.34
建 築 防 火 研 究 棟
RC-3
718.55
1,742.22
〃
〃
情
報
管
理
棟
RC-2
488.33
772.11
〃
〃
機
械
研
究
棟
RC-3
643.35
1,143.33
〃
〃
〃
〃
〃
〃
S-1
守
衛
室
RC-1
101.63
83.07
79.40
79.40
575.57
575.57
10.50
10.50
昭和 29 年 3 月竣工
1,284.30
2,128.30
昭和 56 年 3 月竣工
危
険
物
倉
庫
CB-1
防
災
実
験
棟
S-1
ボ
ン
ベ
庫
CB-1
大 規 模 火 災 実 験 棟
SRC-2
東
庫
W-2
46.86
67.27
棟
RC-3
759.18
2,087.61
昭和 59 年 11 月竣工
フ ァ ン ル ー ム ( 1 )
RC-1
18.00
18.00
昭和 57 年 10 月竣工
フ ァ ン ル ー ム ( 2 )
RC-1
42.00
42.00
平成 3 年 8 月竣工
ガ
RC-1
20.00
20.00
平成 8 年 3 月竣工
8,904.25
17,709.85
材
倉
料
ス
研
バ
究
ナ
ー
合
室
計
- 246 -
平成 8 年 3 月竣工
消研輯報 58
(2) 主な研究施設の概要
施
設
本
名
概
館
要
管理部門の他、研究紹介コーナー、図書室、情報機器室等を有する研究開発業
務の管理中枢機能を持っている施設
情 報 管 理 棟
約 100 名を収容できる大会議室、小会議室(2 室)を有する施設
機 械 研 究 棟
消防ポンプ、ノズル、ホース等の流体機器に関する研究および防災技術等に関す
る研究のための施設
材 料 研 究 棟
危険物施設や消防用資機材の強度を研究するための施設(試作工場を有する。)
防 災 実 験 棟
起震機により地震時の地盤、構造物の挙動を把握する研究を行うための施設
建築防火研究棟
火災の感知、初期消火、煙の流動、避難誘導など建物火災に関する研究を行う
施設
大規模火災実験棟
石油タンク等の火災実験を行うための施設(主実験場は面積 576 ㎡、高さ 20m、
排煙処理設備を備えている。)
物質安全研究棟
危険物、防炎材料などの各種化学物質の安全性についての研究および防火服の
耐熱性能に関する研究を行うための施設
総合消火研究棟
火災・消火に関する基礎、応用研究および各種規模の模型による火災や消火実験
を行う施設(主実験場は面積 625 ㎡、高さ 22m、排煙処理設備を備えている。)
燃 焼 実 験 棟
輻射発生装置、熱風発生装置およびリングバーナ等の実験装置を用い消防機器お
よび消防装備の耐熱性能、動作特性に関する研究および小規模火災実験を行い、
可燃物の燃焼特性について調べる施設
非 破 壊 検 査 棟
X 線透過画像記録装置により化学電池や化学物質廃棄物等の異常反応に起因す
る火災発生メカニズムを非破壊検査にて解析するための施設
(3) 主な研究設備・機器の整備状況
ア.平成 16 年度に整備された主な設備・機器
なし
イ.その他の主な設備・機器
(欧州式・北米式の耐熱防護性能評価装置により測定可能)
○
火炎防護服評価装置
○
高速型X 線C T 検査装置
○
回線コントロ- ラ- 間接続ソフトウェア(相互接続回線コントローラーのソフトであり、被害情報及び
(化学物質等を非破壊検査にて解析可能)
災害時の防災資源情報等を総合的に把握が可能)
○
延焼予測システム(広域応援システムを利用して、現場の消防職員が簡易に延焼シミュレーションを
行い、事前に問題点の抽出やその解決を図ることが可能)
○
仮想現実災害体験シミュレーターシステム(火災等の災害が発生した建物内の状況を仮想現実空
間で再現し、擬似的な体験が可能)
- 247 -
消研輯報 58
(4) 図書
ア.蔵書数
10,432 冊
単行本
製本雑誌等
9,127 冊
イ.平成 16 年度に購入した単行本冊数
128 冊
ウ.定期購入刊行物
和
誌
51 誌
洋
誌
46 誌
エ.定期購読の外国雑誌
雑誌名
発行国
雑誌名
発行国
Brandschutz
Journal of Atmospheric Sciences
Bulletin of Seismological of America
Journal of Chemical Physics
Combustion and Flame
Journal of Electrostatics
Corrosion
Journal of Fire Sciences
Disasters
Journal of Fluid Mechanics
Engineering Fracture Mechanics
Journal
Emergency Medical Service
Engineering
Fire
Journal of Hazardous Materials
Fire and Materials
Journal
Fire Engineering
Geoenvirenmental Engineering
Fire Protection Association
Journal of Physical Chemistry
Fire Safety Journal
Journal
Fire Safety Engineering
Physics
Fire Technology
Journal of Research of NIST
Fire and Rescue
Journal of Loss Prevention in the
Geotechnique
Process Industries
Hydrocarbon Processing
Loss Prevention Bulletin
I&EC Research
Measurement
International Journal of Fracture
Technology
Journal of Applied Fire Sciences
NFPA Journal
Journal of Applied Meteorology
Proceeding of IEEE
Journal of Applied Physics
- 248 -
of
of
of
Fire
Protection
Geotechical
Physics
D,
Science
and
Applied
and
消研輯報 58
雑誌名
発行国
雑誌名
発行国
Proceedings. Matehmatical, Physical
Trans. ASME JE. Journal of Applied
and Engineering Sciences
Mechanics
Quarterly
Journal
of
Royal
Trans.
ASME
Meteorological Society
Manufacturing
Seismological Research Letters
Engineering
Textile Research Journal
VFDB Zeitchrift
Trans. ASME JC. Journal of Heat
Transfer
- 249 -
Journal
Science
of
and
消研輯報 58
4
年
表
(1) 昭和 23 年~平成 16 年度略年表
年月日
23. 3. 7
事
項
国家消防庁の内局として消防研究所設立、初代所長に小林辰男就任、定員 87 人、書記室、
技術課、査察課の 1 室 2 課を置く。
25. 2
消防研究所報告創刊
26. 8. 1
書記室を庶務課に改める。
27. 8. 1
行政機構改革により、消防研究所は国家消防本部の附属機関となる。
8.18
28. 5
検定課(技術課検定係の昇格)を置き、4 課制となる。
消研輯報創刊
11.11
第 1 回全国消防技術者会議開催、以後毎年秋期に開催
~12
31. 5. 1
2 代所長に鈴木茂哉就任
34. 4.20
消防組織法改正、消防研究所組織規則制定により、所掌業務の明確化、機構改正により、
業務の一部及び技官 7 人を国家消防本部に移す。
5.11
35. 7. 1
技術課の各係を研究室に改め、7 研究室とする。
自治省設置、消防庁はその外局となり、消防研究所は消防庁の附属機関となる。(自治庁
設置法、消防組織法の一部改正)
36. 3.27
4. 1
R.I 実験棟竣工
技術課を研究部に改め、9 研究室とする。
37.10. 1
3 代所長に中田金市就任
38. 4.20
研究部を 2 研究部(10 研究室)とし、査察課を廃止。(組織規則改正)
12.31
検定課を廃止し(検定業務を日本消防検定協会に移す。)2 部 1 課制となる。(組織規則改正)
定員 17 人減
40. 5.20
総合消火実験棟竣工
42. 3.20
本館庁舎竣工
42. 8
消防研究所年報創刊
43. 3. 7
消防研究所創立 20 周年、「消防研究所 20 年史」刊行
4.25
44. 3.20
7.22
排煙救命実験棟及び爆発実験棟竣工
水力及び機械実験棟竣工
研究部を 3 研究部(12 研究室)とし、特別研究員を設ける。(組織規則、同規定の改正)
46. 4.16
消防研究所一般公開、以後毎年春期に公開
46.10. 1
4 代所長に熊野陽平就任
48. 4. 1
組織規則の一部改正により、各研究部の研究室について改廃、再編成を行う。
51. 5.10
組織規則の一部改正により、1 室新設し、13 研究室となる。
53. 3. 7
消防研究所創立 30 周年、「消防研究所 30 年史」刊行
- 250 -
消研輯報 58
54.10. 1
各部に主任研究官を設置。(消防庁訓令の改正)
55. 5.21
5 代所長に矢筈野義郎就任
57. 4. 6
組織規則等の一部改正により研究企画官を設置し、第三研究部の研究室の一部について再
編成を行う。(特別研究員を廃止、特殊機材研究室を地震防災研究室へ改編)
58. 5. 1
6 代所長に渡辺彰夫就任
59. 7. 1
消防庁の施設等機関となる。
11. 7
排煙処理装置付消火実験棟竣工
61. 5.16
7 代所長に山鹿修蔵就任
63. 3. 7
消防研究所創立 40 周年、「最近 10 年のあゆみ」刊行
元.11. 6
8 代所長に長谷川壽夫就任
3. 8.20
材料実験棟竣工
4. 7. 1
9 代所長に佐々木弘明就任
7. 1. 1
10 代所長に次郎丸誠男就任
8. 3.29
情報管理棟、機械研究棟、建築防火研究棟、物質安全研究棟及び総合消火研究棟竣工
10. 3. 7
消防研究所創立 50 周年、「消防研究所 50 年史」刊行
10. 4. 1
11 代所長に亀井浅道就任
13. 1. 6
総務省設置により、総務省消防庁の施設等機関となる
13. 2. 9
本館、燃焼実験棟、車庫棟竣工
13. 3.30
非破壊検査棟竣工
13. 4. 1
独立行政法人消防研究所法施行により、独立行政法人消防研究所となる。1 課 3 部。
14. 4. 1
初代理事長に平野敏右就任
15. 2. 1
研究企画部に火災原因調査室を設置。
15. 4. 1
上席研究官を設置。(組織規定の一部改正)
15. 4. 1
1 課 3 部 1 室となる。(組織規定の一部改正)
- 251 -
消研輯報 58
5
平成 16 年度刊行物
消防研究所で行った研究成果の一部は、
「消防研究所報告」あるいは「消防研究所研究資料」として刊
行し、国内・国外の学会、研究機関、都道府県、消防学校、全国の消防本部等に配布しております。研
究の詳細についてのご希望やご意見等がございましたら、消防研究所までご連絡下さい。
(1) 消防研究所報告
備が遅れている地域への適用を目的に、数値標高
モデル(DEM)に基づく地形分類手法を提案した後、
ア.通巻 98 号(2004 年 9 月)
ソウル市を対象都市として選び、提案手法に基づ
く地形分類を行った。また、既存のボーリングデー
【論文】
タの N 値と深さを関数として用いることで S 波速度
1. 地下建物 における火災時の地下深さによる地
を求め、S 波速度と DEM に基づく地形分類結果と
上階からの流入空気量の違い
の対応関係を求めた。それに基づき、地形ごとの
- 地下開口部が
1 箇所の場合- (平成 16 年 8 月 19 日受理)
増幅度を推定し、空間的に詳細な地盤データを得
松島早苗、渡部勇市
た。地震被害想定に必要な基盤データの整備が
地 下 建 物 の深 さによる地 上 階 からの流 入 空 気
遅れている地域においても、本研究で提案した手
量の違いを調べるため、地上階開口部が 1 箇所の
法を適用することで、地形分類や地盤の増幅度の
地下 2 階建物と地下 3 階建物の 2/5 縮尺の地下
推定が可能であることが確認できた。
模型を用いて、出火階を最下階とした火災実験を
行った。地上階開口部からの流入空気量を測定し、
3. 油火炎に対するウォーターミストの局所放水に
地 下 階 数 による地 上 階 からの流 入 空 気 量 の違 い
よる消火効果(平成 16 年 8 月 27 日受理)
について比較検討した。
竹元昭夫、金田節夫
10 畳(約 16 ㎡)程度の小規模な閉空間の消
その結果、本実験条件では以下のことがわかっ
た。
火実験では、燃焼物の種類によってはウォーター
(1) 地上階開口部が 1 箇所の場合、地上階開口
ミストの室内への充満による消火が期待できる。し
部からの流入空気量は、地下階数によらず地上階
かし、室内にミストが充満しづらい比較的広い空間
の階段室内の温度によって定まる。
では、複数のウォーターミストノズルを同時放水し
(2) 地上階の階段室内の温度は、地下階数が深く
て、火源をミストで覆うようにして消火する必要が
なるに従い壁面への失熱により低くなり、地上階開
ある。
そこで、工場等を想定した中規模閉空間におい
口部からの流入空気量は少なくなった。
て、製造ラインの油だめからの出火を想定した火炎
2. ソウル市 の地 震 被 害 想 定 システムに関 する研
に対して、等間隔に設置した 4 個のノズルから同
- その 1、DEM に基づく地形分類及び地盤
時放水して、火炎を覆うようにしてウォーターミスト
究
増幅度の推定- (平成 16 年 8 月 23 日受理)
鄭
畑山
炳表、座間信作、細川直史
健、尹
明悟、宋
を放出した場合の消火効果を調べた。また、ウォ
ーターミストの放水に伴う室内の O 2 等のガス濃度
及び圧力変化についても調べた。その結果、以下
哲鎬
のことが判った。
地 震 被 害 想 定 に必 要 とされる基 盤 データの整
- 252 -
消研輯報 58
1) 機械油に対しては放水量を増やすと消火時間
篠原雅彦、箭内英治、山田常圭
は短くなり、消火に要する総放水量も少なくなるこ
飯田明彦、畑野
崇
とから水損防止にも効果があることが判った。
10. 平成 15 年(2003 年)十勝沖地震の際発生した
2) 機械油を 1 分以内に消火できる条件は放水圧
溶融亜鉛鍍金工場火災について
力 10MPa の時、20L 型ノズルでの取付間隔は
金槽のスロッシングに関する一考察-
- 溶融亜鉛鍍
1.6m で、12L 型ノズルでの取付間隔は 1.2m であ
鈴木恵子
11. RDF の加熱実験について
った。
3) n-ヘプタンのような引火点の低い液体可燃物で
鈴木
俊、廖
赤虹
は 12L 型ノズルの取付間隔が 1.2m でも消火でき
尾川義雄、佐宗祐子、高
黎静
健、鶴田
なかった。n-ヘプタンに対しては放水量が少なかっ
【研究紹介】
たためと思われる。
12. 第 6 回世界災害情報ネットワーク年次会議参
4) 引火点の高い油の方 が消火し易いことが判っ
加報告
た。
鶴田
5) 今回実施した容積の閉空間では、ウォーターミ
俊
13. 米国における救急システムの調査
ストの放水中であっても、O 2 、CO 2 、CO 濃度は人
久保田勝明
体に影響を与えるような値にはならなかった。
【解説】
6) 火炎を覆ったウォーターミストの蒸発に伴う室
14. 2003 年カリフォルニア州南部林野火災調査概
内の圧力上昇は 45Pa 以下と小さく、建物への大
要
きな影響は無かった。
佐藤晃由、吉野
薫、篠原雅彦
イ.通巻 99 号(2005 年 3 月)
【技術報告】
4. 三 重 県 多 度 町 RDF 発 電 所 爆 発 火 災 事 故 調
【論文】
査・消火活動支援報告
鶴田
俊、尾川義雄
1. RDF の熱発火に関する数値模擬計算(平成 17
年 1 月 17 日受理)
5. トンネル火災における縦流換気時のトンネル断
面形状による熱気流性状の違い
鶴田
- 数値シミュレ
俊
RDF の熱的特性をもとに RDF 層の温度を数値
ーションによる熱気流解析-
渡部勇市
模擬計算により求めた。計算には、二次元のモデ
6. 合 成 色 素 製 造 工 場 火 災の概 要 及 び合 成 色 素
ルを用い、得られた温度分布を表示した。熱暴走
の危険性評価
が起こると温度分布が平坦な領域が形成された。
岩田雄策、傅
智敏、古積
温度勾配がないとして温度上昇速度を求め、数値
博
7. 地震被害情報の共有と活用への 1 つの試み
真、細川直史
化 学 反 応 速 度 が大 きく変 化 する初 期 温 度 の高 い
愛、高梨健一、渡邉洋己
領域では熱伝導による数値計算の制限に加え、化
座間信作、遠藤
関沢
模擬計算結果と比較した。熱暴走が起きた場合、
8. 石油タンクのスロッシングの減衰定数
座間信作、西
山田
学反応速度変化による制限を考慮しながら計算す
る必要がある。
晴樹、廣川幹浩
實、畑山
健
9. ルームカロリーメーターによる地下鉄車両の座
2. 模擬スロッシングによる実タンク内部浮き屋根
席燃焼実験
の変位とひずみの減衰特性に関する検討(平成
- 253 -
消研輯報 58
17 年 2 月 4 日受理)
遠藤
廣川幹浩、山田
西
明悟、宋
哲鎬
9. マルチハザード対応型 防災情報システムの構
實、座間信作
晴樹、遠藤
真、尹
真
築
容量 1600kl の固定屋根付内部浮き屋根式石油
- 災害時の意思決定支援情報のあり方と創
出手法について-
タンクを用いて、微小波高におけるスロッシング実
胡
哲新、座間信作、遠藤
真
験を行い、シングルデッキ型の浮き屋根の挙動に
【解説】
ついて検討を行った。その結果、スロッシング時の
10. 平成 16 年(2004 年)新潟県中越地震の際発生
浮き屋根は、周方向には余弦関数上に、半径方
した火災について
向には直線上に変位分布することを確認した。また、
鈴木恵子、篠原雅彦、坂巻保則
本タンクの浮き屋根の変位の減衰定数は 0.03 で
間宮浩之、横溝敏宏、高橋厚弘
あり、計測結果から求めた減衰固有周期は、自由
吉野
液面における 1 次の固有周期より若干短い。一方、
11. バイオディーゼル燃料の動向について
浮き屋根外周のチューブシールのウレタンを外し
たタンク側板と浮き屋根との摩擦が小さい状態に
薫、下杉伸一、山田常圭
星野
崇、岩田雄策、古積
博
【所外発表論文】
おいては、浮き屋根の変位の減衰定数は 0.02 で
あり、減衰固有周期は、自由液面における 1 次の
固有周期と概ね一致した。また、浮き屋根に生じ
(2) 消防研究所研究資料
るひずみは、浮き屋根の変位の減衰に従った減衰
ア.消防研究所研究資料第 64 号(2004 年 6 月)
特性を有する可能性があることを指摘した。
消防用防火服の快適性能、機能性能の評価に関
する研究報告書
【技術報告】
3. 東京における 1944 年東南海地震および 1946
箭内英治、篠原雅彦、畑野
崇
本報告書は平成 14 年 4 月から平成 17 年 3 月
年南海地震の記録
までの 3 年間、独立行政法人消防研究所で実施し
座間信作
4. 新潟県中越地震による防火水槽の被害
ている重点研究「消防用防火服の総合的な性能
浩
評価手法に関する研究」の二年度の「消防用防
5. 林野火災発生、拡大と気象要素の関係につい
火服の快適性能、機能性能に関する研究」につい
ての統計的分析
ての成果をまとめたものである。
吉原
6. ノンアスピレートノズル放射実験
寒河江幸平
2002 年 5 月 7 日、京浜島不燃ごみ処理センタ
- 各泡消火
ーで火災が発生し、消防活動に従事した消防隊員
が濃煙と熱気に包まれ 1 名が死亡、4 名が負傷し
剤に対する放射特性-
内藤浩由、竹元昭夫
た。死亡した隊員は全身熱傷を負っており、他の
古積
博、岩田雄策
4 名の隊員もかなりの熱傷を負った。また、同年
7. 2004 年 9 月 5 日紀伊半島沖の地震による石油
11 月 18 日、別府市南立石マンション火災でフラッ
タンクのスロッシングと長周期地震動
シュオーバーが発生し、消火活動中の消防隊員 1
健、座間信作
名が死亡、3 名が負傷したが、これもまた、犠牲
8. ソウル市 の地 震 被 害 想 定 システムに関 する研
者となった 4 名はかなりの熱傷を負った。これらの
畑山
究
- その 2.システムの構築-
鄭
火災活動において、消防隊員が着用していた防火
服が、どの程度の耐熱性能を有するのかは、意外
炳表、座間信作、細川直史
- 254 -
消研輯報 58
に知られていない。
施した「AE 法による石油タンクの底部の腐食劣化
評価に関する共同研究」における、平成 15 年度
一方、消防隊員用防火服の性能開発は初めは
如何に耐熱性能を与えるかが主目的であったが、
の成果をまとめたものである。
訓 練 などの活 動 時 に不 快 感 を訴 える消 防 隊 員 は
快適性能、機能性能に関して強く要望することから、
ウ.消防研究所研究資料第 66 号(2005 年 3 月)
現在は快適性能、機能性能と耐熱性能の相反す
地下鉄火災における駅構内の煙流動シミュレーシ
る性能をいかに両立させるかが課題となっている。
ョンに関する研究報告書
快適性能、機能性能の評価は ISO などの国際会
渡部勇市
議で議論され始めたところであるが、世界的に認
2003 年 2 月に韓国大邱市にある中央路地下駅
められた評価方法はないのが現状である。このよ
構内で地下鉄火災により大量の煙が発生し、192
うな現状に鑑みて、消防研究所では2 年ほど前か
名もの多数の乗客が死亡した。煙により乗客の避
ら「消防用防護服の総合的な評価手法に関する研
難、消防隊員による救助活動が困難を極めた。多
究」を立ち上げ、耐熱性能のみでなく、快適性能、
数の死亡者が発生した原因は、車両の延焼拡大、
機能性能を含めた評価手法を確立し、日本の実情
約 4 分後の下り電車の中央路駅への停車及び車
に合った消防用防火服の性能基準値の提案を最
両扉閉鎖等の運行管理上の問題もあるが、煙の大
終目的とした研究を進めてきた。
量発生による乗客の逃げ遅れも大きな要因として
あげることができる。
イ.消防研究所研究資料第 65 号(2004 年 6 月)
地下駅構内等は、閉鎖空間に近く一旦火災が
AE 法による石油タンク底部の腐食劣化評価に関
発生すると大量の煙が地下空間内に充満し、避難
する共同研究
及び消防活動の障害になりやすい。基本的には、
- 平成 15 年度共同研究報告書-
車両の不燃化が先に対策として実行され、煙発生
晴樹
量を少なくすることが先決である。しかし、今後も
廣川幹浩、真家敦子
放火、テロ等による車両火災で煙発生等が考えら
山田
實、西
AE(Acoustic Emission)法を利用した石油タン
れるので排煙対策を考えておくことが重要である。
ク底板等の腐食劣化評価について、過去に消防研
火 源 規 模 が大 きくなった場 合 の深 層 地 下 駅 舎
究所研究資料第 52 号「AE 法による石油タンク底
内 の有 効な排 煙 対 策 に関 する研 究 がまだ十 分に
部の腐食モニタリング技術に関する共同研究報告
なされていない。本研究は、韓国大邱市にある中
書」(平成 13 年 8 月)および消防研究所研究資
央路地下駅構内の場合について CFD による火災
料第 55 号「AE 法による工水タンク底部の腐食お
の数値シミュレーションを行い、有効な煙制御方法
よび漏洩のモニタリング技術に関する共同研究報
について検討したものである。排煙条件は、自然
告書」
(平成 14 年 3 月)でも報告しているが、そ
換気状況下、プラットホームの機械排煙及びトン
の後、いくつかの組織でも AE 法を用いた腐食モ
ネル中間換気塔排気の 3 種類である。また、自然
ニタリングが実施されている。これまでに石油タン
換気状況下、プラットホームの機械排煙について
クの底板の腐食評価を目的とした AE 試験は、
は、階段出入り口の防煙壁の有、無による防煙効
60 基以上実施されていると思われる。しかし、AE
果の違いを調べた。なお、数値シミュレーションは、
波の発生メカニズムや位置評定精度などについて
火災の発熱速度、発煙速度を仮定し、電車による
はまだ十 分 な研 究 成 果 が得 られていないのが現
ピストン効果はないものとして単純化し CFD によ
状である。
る煙流動の数値シミュレーションを行ったものであ
る。
本報告書は、これらの問題を解明するために実
- 255 -
消研輯報 58
本報告書は、平成 15 年 3 月までの 2 年間、独
受けている傷病者を、当該医療機関の要請に基づ
立行政法人消防研究所で実施した「深層地下駅
き他の医療機関へ搬送することである。原則的に
舎 火 災 の数 値 シミュレーションによる煙 流 動 に関
転院搬送業務は医療機関の管理の下で実施すべ
する研究」についての数値シミュレーション結果を
きものであり、昭和 49 年 12 月 13 日消防安第 131
中心にまとめたものである。
号、広島県総務部長あて消防庁安全救急課長回
答 に示 された一 定 の要 件 が満 たされない場 合 に
エ.消防研究所研究資料第 67 号(2005 年 3 月)
救急対応の実情に関する調査報告書
- 救急対
しかし、救急医療システムの中で転院搬送シス
応に関するアンケート調査結果-
金田節夫、関沢
は、消防機関の業務とはならないものと考えられる。
テムが完備されていない現状では、傷病者の救命
愛、吉原
浩
効率の向上を図るために救急業務として行わざる
わが国の救急出場件数は、過去 7 年間で毎年
を得ないこともある。そこで、転院搬送の増加抑制
約 6% という増加傾向が続いている。一方、救急
対策等に資するため、全国の消防機関に対し転院
隊数の増加はこれに伴わない状況にあり、都市部
搬送をはじめ、救急対応に関する調査を行った。
を中心として救急要請への対応に時間を要する事
ここでは、得られた結果の一次集計分を報告す
態も見受けられる。
るものである。
平成 14 年における全国の救急自動車による救
(3) その他の刊行物
急出場件数中の医療機関間における転院搬送割
合は 9.1% で事故種別では急病、交通事故、一般
負傷に次ぐ件数であった。
ア.検知・探査災害対策用ロボットの性能試験お
よび評価に関する報告書(2004 年 6 月)
転院搬送とは、既に医療機関に収容され治療を
- 256 -
消研輯報 58
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消 研 輯 報
第 58 号
平成 18 年 3 月発行
編 集 者 兼
発 行 者
独立行政法人 消防研究所
東京都三鷹市中原 3 丁目 14-1
電話 0422-44-8331(代表)
http://www.fri.go.jp/