S & I BANGKOK NEWSLETTER NO.82 2001.6.25 発行責任者 井口 雅文 発 行 S & I International Bangkok Office TEL +66-2-261-6449、6466 FAX/TEL +66-2-261-6419、6379 Address : Oriflame Asoke Tower 23rd Floor, 253 Sukhumvit Soi 21 (Soi Asoke) Bangkok 10110, Thailand E-Mail : [email protected] (注:mx1 の「1」は数字です。) [email protected] S&IWebsite: http://www.s-i-asia.com CopyRight (C) S & I International Bangkok Office Co., Ltd. 社内用・社外用を問わず無断複製(電子的複製を含む)を禁ずる ~事務所より~ 配信が遅れましたことをお詫び申し上げます。 (7 月、8 月のタイ祝祭日及び弊所休暇のお知らせ) 7月は 5、6 日が休暇となります。8 月は休暇はありません。 (7 月は弊所の海外出張者が多くご不便をお掛けするかもしれませんので宜しくお願いしま す。) 弊所スタッフ弁護士 2 名が 2 週間ほど松下技術情報サービスにて実務研修を行います。また、 弊所日本人スタッフ 1 名が東京の弁理士事務所にて 2 週間実務研修を行います。 (事務所人員を大幅に異動致しました) 今年に入って、特許登録などの中間及び最終手続きが進み出し始め、弊所も中間手続き増加に 伴い、大幅に技術分野を専門に持つ人材を導入することとなりました。また、日本語を理解で きる人員も日本人の清水を含め 3 名となっております。今後とも宜しくお願い申し上げます。 1 現在、以下の陣容になっております。 Punnapat Luengthartthong(Lek), 弁護士、弁理士、訴訟、商標出願調査 Thaweepool Srihong(Pae),弁護士、弁理士、特許出願 Waraporn Boonrak(Som),総務、ニュース編集 Korakot Kiatdamrongkul(Kot), 特許、意匠出願 Nisachon Rojsattarat(Ni), 弁護士、商標出願調査 Radeemada Mungkarndee(Naw), 特許情報、調査分析(専門:化学)、外国出願 Sutaporn Leelawanawal(Jaaey),商標情報、受け付け Sunisa Sakwattanapakdee(Saa), 秘書(日本語可) Natsiri Chinowan(Nat),特許情報、調査分析(専門:化学) Chai Prempunpong(Chai),特許情報、調査分析(専門:機械) Worapong Hirunyapaisarnsakul(Max),特許情報、調査分析(専門:生化学) Sukanya Kampom(Wen), 会計士 Suta Hiranyasthiti (Kai),タイピング Hiroko Shimizu,翻訳、マーケティング、顧客対応 以上、合計 14 名 これらの所員のうち事務方を除く全員が既にタイ政府での弁理士研修を終了しております。 (新会社TQA設立のお知らせ) 6 月 8 日に弊所隣に国際規格研究所との合弁で新会社TQAを設立し、日本品質保証機構から の受託によりISO審査登録事業を展開することとなりました。7 月 20 日に設立記念講演及び パーティをヒルトンホテルにて行いますので、ご関心がありましたら是非ご一報ください。 (ホームページ更新のお知らせ) 2 弊社ホームページを 6 月 25 日付け(アップロードは 28 日予定)で更新しました。今回は、ニ ュース(英語版及び日本語版)http://www.s-i-asia.com/news-JPN.htm、裁判関係データ、出 願関係統計データhttp://www.s-i-asia.com/statis.htmを更新しました。ご高覧ください。また、 特許法、商標法等の法律訳文につき英訳を用意しました。ご活用下さい。以前より、お知らし ておりますが、一部のファイル(英文法律、知的財産裁判所統計、ニュースアーカイブなど) にパスワードセキュリティをかけました。もし、ご入用でしたらユーザー登録して戴き、ご利 用下さるようお願い致します。登録は無料で、顧客管理をさせて戴きます。 (弊所事務所移転について:再送)新規委任状を作成される場合、ご注意下さい。 2000 年 8 月 1 日付けで Address : Oriflame Asoke Tower 17th Floor, 253 Sukhumvit Soi 21 (Soi Asoke) Bangkok 10110, Thailand から、下記住所に移転致しました。同一ビルでの移動です。電話、ファックス番号に変更はあ りません。 Address : Oriflame Asoke Tower 23rd Floor, 253 Sukhumvit Soi 21 (Soi Asoke) Bangkok 10110, Thailand ~編集者より~ バンコクから北西へ車で約 1 時間の所にチャオプラヤ河畔のよく行く水上レストランがある。 最初に訪れたのは確か 93 年だったろうか。当時はボロボロの造りで、客もまばらだった。今 は立派な雨よけの折りたたみ式電動シェイドが備え付けられていて、雨天時でも野外料理が楽 しめる。なにせメニューも英語とタイ語の併記、さらにボーイもウェイトレスも立派な制服を 着用している。以前の給仕は、皆学生服でサービスも素朴なものだった。客層は全てタイ人の 中産階級で、観光客は今も昔も全く来ない。 タイ料理の美味さにつられて頻繁にこのレストランに通ううちに気づくことがある。それは、 土日に沢山のタイ人家庭が家族パーティをこのレストランで催すことである。老齢のおじいさ んやおばあさんを車で連れてきて、車椅子に乗せてテーブルに着かせる。子供や孫はそこらじ ゅうを走り回る。タイ料理とアルコールでパーティは盛り上がる、しかも、決して大声を出し て悪態をつくことはない。 私は実にすばらしい光景だといつも感心している。日本のファミリーレストランでこのような 光景に出会ったことはない。大家族全員で食卓に着き、ワイワイと大皿を囲む。車椅子の老人 はにこやかに子供たちの元気な様子を眺めている。決して高価なメニューではないし、それほ ど沢山注文もしない。「一人一品」とか「持ち込み禁止です」なんて規則は全くない。実に自由 3 である。そこには団欒の雰囲気があり、川べりで夕日を眺めながらくつろぐ家族の姿がある。 タイは、他のアジア地域と同様に実に家族関係を大切にする。私の事務所スタッフでも同じで ある。時々、実に家族関係が湿っぽいため閉口することがある。例えば、去年、事務所の引越 しを行った時のことである。 引越しと言っても同じビルでの階数の移動である。 「ゆっくり引 越ししても一週間程度だから少しずつ荷物を持って行こう。」と私はスタッフに提案した。が、 暫くして、あるタイ人女性スタッフは、「母親は私が荷物を持つことを心配している。健康に悪 い。」と反対し始めたのである。「あなたが思っているのか。」「いや、母親です。祖母も言って います。」とまぁこのような調子で、一人反対し始めるとゾロゾロと「私もそう思う」とタイ人 全員反対となってしまった。この一悶着は結局私と日本人スタッフが率先して引越し作業を行 うこととなったが、タイ人スタッフ全員もどういうわけか手伝ったのである。この彼らの行動 は、私の命令に従属したというわけではない。この場合は彼らの行動原理は、彼らが困ってい る人を見て「かわいそうに思い」手伝ったのである。タイでは標語として「手伝いましょう。 チュエイハイ」という事を小さい頃から学校教育で叩き込まれているのである。この事件を通 じて、実によく会話に親、兄弟が出て来るのが分かった。その家族関係の湿っぽさが仕事環境 の中で現れると、「何故自分で決められないのか。君達は未だに子供か。 」「私の事務所に学生は 要らない。仕事師(プロフェッショナル)だけが必要だ。 」と、さすがの私もキレてしまうので ある。だが、この湿っぽさが余りにも無くなってしまった日本の一般家庭を思うと何となくこ のタイの家庭雰囲気は既に失った懐かしいものを感じ取ることができるのである。 最近は、何故か私の事務所に求職にくるタイ人が多い。毎月2、3通は必ず履歴書が送られて くる。突然、事務所に現れて秘書の制止を振り切るツワモノも居る。 学生もいれば現役審査 官も居る。就職希望となると書類選考よりも全員面接を必ず時間を割いて行う。面接の中で「ど んな仕事をしたいですか。」という記述する項目がある。既に百人を越える面接経験から言うと、 一番多い回答が、「家族を幸福にできる仕事をしたいです。」である。会社ウケを狙って狡猾な 若者が書いているのではない。二十歳前後の若者が、個人中心的な人生よりも家族中心的な人 生を選択するのがタイ流あるいは華僑流の考え方なのかと感心すること暫しである。パラサイ トシングルと言っても現象面はタイも日本も良く似ているが、根底が随分と違うように思えて くる。 今年の3月頃、国際協力事業団のIT人材育成に関する調査を受託した。2 ヶ月間で約 800 社 のIT関連組織を調査した。私の事務所はIT調査は本業ではないが、むしろ興味深々で調査 を行ってみた。その中でIT関連職業の仕事をする目的なる項目を作って調査を実施した。フ ィリピンと同様な調査を行ったため、結果を比較する上で、この項目は関心を呼んだ。 私に とっては非常に興味深い結果となった。「仕事の重要要素」は、決して「給料」ではなく、「職 務の達成感」、「キャリアの上昇」、「職場仲間との関係」とか「上司との関係」というのが上位 4 を占めた。「給与」というのは上位 10 位にも入らなかった。給料とか雇用契約だけで仕事をす るという異常な程ドライに割り切る現代日本人社会の仕事観を見るにつけ、タイやフィリピン では未だに健全な仕事観が生きていると結論付けた。むしろ、今の日本のフリーター増加現象 はドライ過ぎる職場での人間関係の一種の反動なのかもしれない。前回この稿で職業倫理を取 り上げ、未だにタイの職業人は未熟だと結論付けたが、今回は、仕事観は思ったよりも健全で あるという結論となった。 ~シンガポールでの国内特許出願はさらに増加しそうである~ シンガポール政府知的財産局の統計によると、年毎にシンガポール居住者の特許出願が増加し ている。昨年は 546 件となり、1999 年の 374 件に比較し 33%増加となっている。特許制度が できた 1995 年には 145 件だったが、それ以来増加し続けている。国内出願に加えて 7204 件 もの海外からの出願がある。これも 1997 年以来、増加し続けている。政府手数料は現在登録 までで 4420 ドルで、特許弁護士費用はこれよりも高い。特許出願基金が国立科学技術委員会 に設立され、これも知的財産局が管理している。この基金は出願人に 50%まで、最大 3 万ドル の補助が与えられ、一人の出願人に対して2発明までである。(2001 年 5 月 23 日、シンガポ ールストレイトタイムズ紙) ~シンガポールの映画入場料が引き上げられるが、海賊版も氾濫する結果となるだろう~ 映画入場料が再び引き上げられる。今回は 50 セント上昇する。これは海賊版撲滅キャンペー ンからみて賢い動きなのだろうか。消費者は今 3 つの価格カルテルによって縛られている。石 油カルテル、公共輸送カルテル、映画カルテルである。これらは固定給の生活者を直撃する。 消費者物価指数もまた影響を与える。石油や公共輸送、映画への需要は非弾力的であるため価 格上昇は即膨大な利益となる。週末の二人で見る映画は 17 ドル、だが海賊版を家族で見る映 画は 10 ドルである。このことは、何故海賊版ビジネスが繁盛するかを如実に物語っている。 (2001 年 6 月 1 日、シンガポールストレイトタイムズ紙) ~マレーシアのジョホールで海賊版ビジネスが多数摘発されている~ 海賊版VCDやCDを販売している店は連日の捜索でジョホールから締め出されようとしてい る。マレーの新聞によると、今年 4 月だけで 46 回の捜索が行われ 17201 点のVCDと 686 点 のCD-ROMが押収され金額にして 4 万シンガポールドルに及んだ。今年の 1 月から 4 月の 累計では 161 回の捜索で、1972 年通商法、1946 年価格規制法、1997 年著作権法により 55473 点のVCDと 2668 点のCD-ROM総額 28 万リンギの摘発を行った。また、今年 5 月に開始 した Save Our Local Music キャンペーンで 6 店の販売店を著作権法違反で摘発した。(2001 5 年 5 月 12 日、シンガポールストレイトタイムズ紙) ~マレーシアの海賊版VCDはドアからドアへ宅配される~ マレーシアの新聞によると、海賊版VCDは今や警察から逃れるために宅配となっていると報 じている。これは、真正商品を取り扱う店との競争を妨げる結果となっていると、Hamdan Andan 氏(Federation of Malaysian Consumers Association, FOMCA)が語っている。彼に よると政府は税金を使って芸術家の権利を保護している、その一方で市民は海賊商品を買い続 けているとしている。マレーシアでの海賊商品の急増は娯楽への没頭と、巨大な利益が原因で ある。海賊VCDの生産者は巨大な利益をものにしているため当局について心配していない。 さらに、若者の娯楽への傾注はさらに強い娯楽商品へと欲求を加速させる結果となり、これが 海賊商品生産の背景にある。この問題を解決するために消費者は真正商品を尊重する教育が必 要であると同氏は語っている。マレーシアでの音楽海賊版はCDやカセットの 60%以上が海賊 版であると算出されている。この国は急速に東南アジアの海賊版センターとなってきており、 香港やマカオからシンジケートが流入してきている。政府によると Optical Disc Act により、 2004 年までに海賊版が減少すると言っている。 (2001 年 5 月 23 日シンガポールストレイトタ イムズ紙) ~マレーシアで音楽家への支払いを減らすために海賊版氾濫を口実に使っている~ マレーシアの新聞によると、マレーシアの多くの芸術家はレコード会社による販売数字が少な いことに疑問を持っている。レコード会社が音楽家を欺くために数字を低くし、少ないロイア リティとするように工夫しているとしている。同氏はレコード会社はむしろ海賊版を無くすよ うに積極的な役割を担うべきだと主張している。(2001 年 5 月 23 日シンガポールストレイト タイムズ紙) ~タイで摘発された不正商品が去年は一昨年の倍となった~ 著作権侵害事件は昨年には一昨年の倍、2927 件、360 万点が押収された。これは、1999 年の 1517 件、120 万点のほぼ倍となっている。今年に入り、1 月から 4 月までに侵害事件は 1194 件、67.6 万点が押収されており、押収品は人気の高いブランド品、ハンドバッグ、衣類、CD、 カセット、おもちゃが含まれている。Suvarn Valaisathien 商務省副大臣は政府はタイ経済シ ステムを損なう知的財産侵害にさらに厳しく取り締まると語り、これらの侵害に対処するため に二つの政策を掲げている。一つは知的財産権を侵害されている企業に対し、真正商品の価格 を下げるように要請することであり、第二は、知的財産裁判所が警察に対し捜査令状を夜でも 発行できるようにすることである。現在、警察は昼にしか捜査できない状態である。今年の侵 6 害事件数は昨年を恐らく上回ると見ており、警察は現在 1000 件を捜査している。と Ekkarat Meepreecha,経済警察局長が語っている。(2001 年5月 12 日、バンコクポスト) ~タイで真正ソフトが価格を下げ始めている~ 特にゲームソフトの真正商品がタイで 350 から 550 バーツで販売され始めている。これはコピ ー商品が 120 バーツと比較しても結構お買い得である。これらの真正商品はタイのプログラマ ーがタイ語バージョンとして開発したもの。これらの動きは例えば Sims, Simcity 3000 や Black & White などの人気の高いソフトで既にタイバージョンで実現されそうである。 (2001 年 5 月 22 日タイネーション紙) ~タイ政府に著作権問題を解決してほしいと要請~ Thai Magnetic Tape & Record Association と RS Promotion(1992)はタクシン首相に対し て著作権侵害商品が大きな国家問題となっているという手紙を提出した。事態は深刻で、麻薬、 ギャンブル、子供売春、違法就労と同程度であると書かれてある。カセットやCDはバンコク だ け の 問 題 で は な く 、 田 舎 の 市 場 に は 不 正 商 品 が 山 積 み の 状 態 と な っ て い る 。 RS Promotion(1992)の著作権マネージャーSutthisak Prasatkarukarn 氏は、「海賊版取締りは、 政府や警察の重要な政策となっている。」と語っている。海賊版販売店は確実に増加している。 かつては Pratunam 付近の市内であったのが、今は Sri Nakarin, Rangsit, Bang Khae と地域 が広がってきている。また、商品はピサヌロークやスコタイ、チェンマイ、ブリラム、スリン と地方でも見られるようになった。 (2001 年 5 月 29 日、タイネーション紙) ~タイの海賊版率が減少した~ BSAによると、タイのソフトウェア海賊版率は 2%下がり、79%となったと発表した。昨年 の損害額は 8220 万ドルから 5300 万ドルに下がったことになる。BSA副代表 Huey Tan 氏に よると、この減少は公的部門と私的部門とが協調してソフト海賊と戦った成果であると言って いる。同氏はBSAは引き続きタイ政府、ビジネス関係、一般大衆に対し教育と取り締まりの 組 み 合 わ せ で 地 元 団 体 ( Association of Thai Computer Industry, Association of Thai Software Industry)とともに行動するつもりであるとしている。率が下がったものの、依然タ イはアジア太平洋地域での上位 5 位に入っている。(2001 年 6 月 6 日、バンコクポスト) 7
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