英米文学入門 ワークシート 07 コメント(抄) No: Name: 1. ワーズワースは、 「自然は書物より良い教師である」と述べたように、 「自然」 との直接的な関わりのなかに真実を見た詩人である。一方、Composed upon Westminster Bridge では「都市」について描写されている。この点を踏まえ、 ワーズワースがこの詩で何をどのように表現しようとしたのかについて考察 し、できるだけ具体的な詩句を引用してあなたの考えを書きなさい。 ̶以下、コメントー ・都市の中の自然の美しさを伝えようとしている。 ウェストミンスター橋、家々、船、塔、ドーム、劇場、 寺院 などの人工物(無機物)と自然(太陽の光、テムズ川の流れ、人間も含めた自然界の命)との調和 が、感動的に美しいのだと伝えようとしている。 ・All bright and glittering in the smokeless air から都市の中が活き活きとしている様子を感じた。 普段の何気ない風景が本当は輝きに満ちているということを表しているのだと思う。 ・都市とすると自然との距離感を感じるが、All bright and glittering in the smokeless air の部分を 見ると自然的な都市が想像される。 ・Dull would he be of soul who could pass by A sight so touching in its majesty から、都市とい うと人でごちゃごちゃしていて建物もどこか無機質な感じに思ってしまうが、そういった中にこそ本当の 美しさがある。日常の中の美しさみたいなものを表現したかったのではないかと思った。 ・Dull would he be of soul who could pass by・・・なにげない日常の一コマの中に美しさ、豊かさを みつけることができる。でも心のにぶいもの、都市の忙しさにおわれるように生きているとそういった日 常にあるものにすら気がつかなくなる。私はこんなにも美しい世界をしっているのに、なんともったいな いことをしているのか!ということを言いたいのだと思う。この詩を読んで「ふーん、そうなの」でおわ る人はまちがいなく心がにぶっている人なのだろう。 ・自然との関わりを重視するも、たまに見る非自然物の中にも、自然が持ち得ない美しさを持っていると 感じたのではなかろうか。Ne er saw I, never felt, a calm so deep! が特にそうである。また、ただ 非自然物の美しさを述べるだけでなく、The river glideth at his own sweet will とあるように、自然 と人工物の共生もうたっているように思う。2つのものが生み出す美しさを表現しようとしたのではない だろうか。 ・The beauty of the morning; silent, bare / ships, towers, domes, theatres, and temples lie / Open into the fields, and to the sky の描写から、都市にも満ちる自然の光の美しさを表していると感 じる。最後の all that mighty heart is lying still は人間は自然に敵わないといいたいのか、これから 力強く活動し始めるだろう人間に期待を寄せているのか。どちらだろうか。 ・all that mighty heart is lying still では、人を含めたすべての物に宿る魂のようなものを表現し、 それらを感じ取ろうとしているのではないだろうか。 ・都市は必ず自然の上(自然の中)に建てられるものであり、都市の下に隠れてしまっているように見え る自然の力や神秘が朝の光の中に現われて来ている所をとらえたのではないかと思った。朝で、まだ都市 が目覚めてなくて、また、自然の力が少しは見えているものの、その大部分はまだ眠っているということ を「家々は眠っている様だ(→都市がまだ目覚めていない)、あらゆる力強い心は眠っている(→自然の力 の大部分もまた眠ったままになっている)ようだ」と表現しているのだと思った。 ・地球上ですばらしいこの景色、というよりはむしろその都市のなかで生きる人々の幸福感を出したかっ たのではないか。Open into the fields, and to the sky とすみ渡るようなまさに後半に出てくる、Never did sum more beautifully steep / In his first splendor, valley, rock, or hill. のみずみずしいほ どまで気持ちいい太陽がもたらす美しさがよく表れている。 ・its majesty(=都市の威厳)は、都市の本来の姿、つまり河や谷や丘そのままの姿を指していると考え た。この詩では、人々の営みによって its majesty は覆いかくされている。それをかいま見れるのは朝、 すべてが眠っているときだけである。人々が暮らす都市は、本来持っていたはずの自然のすばらしさを失 ってしまったものだと指摘しているのではないか。 ・人々が眠っている早朝は都市も自然と同じ、静寂さ、美しさをまとっているのだ、と伝えているように 感じた。 ・太陽や青空のような、神が創造した自然こそが最も美しく、人間にふさわしいものであるということを 表現したかったのだと考える。あえて教会やドームなど人工物の名前を挙げることで、自然物と対比させ ている。 ・この時代、素晴らしい文明社会が都市にはじまり、その様子を自然にたとえているように感じた。まだ はじまったばかりなので朝で表現し、最後のまだ眠っているというところで、今後これから活動しはじめ る=さらに発展していくということなのかなと思った。 2. ジョン・キーツの When I Have Fears That I May Cease To Be は、短命で あった詩人キーツが、自らの才能、創作意欲と、思いを寄せる女性をモチーフ に綴った詩である。 (a)この詩では、そのようなモチーフが、効果的に表現されていると思うか。で きるだけ具体的な詩句を引用してあなたの考えを書きなさい。 ̶以下、コメントー ・gleaned, books, garners / teeming brain, charactery, grain の言葉を置き代える巧みさと、一段と ばしで行の頭の語が、When ‒ Before ‒ When ‒ And ‒ And ‒ Never ‒Of ときれいにまとまっていること、 「女性」などストレートな言葉を一切使わないのに、豊かな表現で伝えたいことを的確に表せることがす ごいなと思いました。 ・すごく読みづらい文で、自分自身への自信(才能)は teeming brain など直球でかかれているのに対し、 女性に関しては、まわりくどい具体的でない表現ばかりで上手く表現されているとは思えなかった。 ・女性を symbols of a high romance と表し、そのすばらしさを描くことを trace their shadows と表し ているのだろうか。想いをとげると直接書かず、また trace するにしても symbols 自体ではなく、その shadows である。自分は想いをとげることすら、それどころかその影をなぞることすらできず死ぬのでは ないかとつづることで、筆者の不安や切迫感がよく伝わってくる詩だと思う。 ・才能、創作意欲を rich garners や the magic hand 現されていると思う。思いをよせる女性にかんしても といった比喩を用いることでより印象的に表 fair creature of an hour と表されている。こ のような非科学的な比喩を用いることで、やりきれずに死んでしまうかもしれないという感情をより豊か に表現していると思う。 ・rich garners, the full ‒ripened grain など、女性を思わせる語句をところどころに使うことで自然 と相手への気持ちを表現しているように思う。 ・fair creature of an hour という表現に、女性に対する本能的な愛情を感じた。 ・--on the shore / of the wide world I stand alone, and think / Till love and fame to nothingness do sink. という表現から、まだ実らぬ恋(思いを寄せる女性への)が効果的に表現されていると思う。alone, do sink という単語から、まだ想いが通じていないことが伺えるように思える。 ・何度も本に情報を書いてしまう前に、と言っていて、自分の知性と情熱を充分に出しきることができな くなってしまうという憂いを感じる。Of the wide world I stand alone・・・少し悲しい。 ・段落を分けずに詩が書かれているが、脚韻は ABAB CDCD EFEF GG の構造で作られている。 (あってますか?) 【←あっています。以前授業でも少し触れた「ソネット」の形式ですね】ABAB CDCD EFEF いずれも自らの 才能と自らの生、思いを寄せる女性と自らの生、創作意欲が対比のように表現されていると感じた。 ・自然と情愛、感情が混ってしまって、モチーフがとても効果的に表現されているとは私には思えなかっ たが、後半の補足のような感情を中心とした詩のおかげで、効果が出たと思った。 ・ a high romance や creature of an hour という単語が、ジョン・キーツにとってその女性がいか に輝いていて、遠くて、本当に好きなんだなあと感じさせると思いました。男性でこんな乙女な言葉が書 けるなんて素敵だなあ 。 ・自分の寿命では足りないくらいの強い想いが女性に対して持っているのはすごいことだなと・・・。 ・ラスト2行が印象的だ。半分あきらめた様な未練があるような(詩に表している時点で未練があるのだ ろうが)比喩を使い何度も同じ内容をくり返していた。 (b)キーツは何を、怖れて(Have Fears)いるのだろうか。できるだけ具体的な 詩句を引用してあなたの考えを書きなさい。 ̶以下、コメントー ・自分の書きたいことが頭の中につまっているのにそれを表現する前に自分が死んでしまうのではないか という恐怖。逆にうらやましいと思った。 ・the magic hand of chance. 自然の不可思議さのことで、それに対して自分が生きて消化する量が少な いという怖れ。人の小ささをあらわしているかと思った。
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