【別紙‐1】 第 64 期 事 業 報 自 平成 27 年 4月 1日 至 平成 28 年 3月 31日 告 経 営 理 念 公共放送を支えるNHKグループの一員として みなさまの信頼にこたえ、 テレビ美術の伝統を通し多様な創意を発揮して、 心豊かな社会の実現と文化の創造に貢献します。 * 平成 27-29 年度NHKアート中期経営計画 ~放送の新時代に向けての挑戦~ 【基本方針】 放送の新たな時代に向け、「美術魂」を発揮して映像美術をリードし、 新規事業、新規サービスにも挑戦し開発します。 【重点事項】 ① 新たな時代の美術サービスを創造します。 ② 総合力を活かした新規事業の開発を推進します。 ③ 社内機構の改革を一層進め、経営基盤を強化します。 ④ プロモーション力を向上し、NHKアートのデザイン力をアピールします。 目 次 Ⅰ.会社の現況に関する事項 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3 1.事業の経過及び成果 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥3 2.対処すべき課題 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥8 3.設備投資等の状況 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥10 4.資金調達の状況 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥10 5.事業譲渡・吸収分割又は新設分割の状況 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥10 6.事業譲受の状況 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥10 7.他の会社の株式その他の持分又は新株予約権等の取得の状況 ‥‥10 8.吸収合併又は吸収分割による他の会社の事業に関する 権利義務の継承の状況 ‥‥10 9.財産及び損益の状況の推移 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥11 10.主要な事業内容‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥11 11.主要な事業所等‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥12 12.従業員の状況‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥12 13.重要な親会社及び子会社の状況‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥12 14.主要な借入先 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13 Ⅱ.会社の株式に関する事項 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13 Ⅲ.会社の役員に関する事項 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥15 Ⅳ.業務の適正を確保するための体制等の整備に関する事項 ‥‥‥‥‥‥‥‥17 -1- Ⅰ.会社の現況に関する事項 1.事業の経過及び成果 (1)事業活動の概況 放送と通信の融合、超高精細映像の時代を迎え、NHKが公共放送から「公共メ ディア」へと進化を図るなか、NHKアートは平成 27 年度から 29 年度に至る新たな 中期経営計画を定めました。新たな中期経営計画では、今後 3 年間を 2020 年に開 催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて放送が大きく変化する時代ととらえ、 4K8Kの超高精細映像に対応した番組美術業務の開発や、データジャーナリズム への対応、リアルセットからCG・バーチャルといった電子映像まで全てを最適な組 み合わせにより効率的に業務を推進する「総合美術プロデューサー」の育成など、 放送の新たな時代に向けた取り組みを掲げました。 中期経営計画の初年度にあたる平成 27 年度は、番組美術センターとデザインセ ンターを統合して「総合美術センター」とし、リアルな番組美術からデジタル技術を駆 使した映像表現まで一貫して担う組織を発足させました。 総合美術センターでは4K・8Kの超高精細画面に対応した美術業務の調 査・研究をはじめ、CG等の電子映像製作に向けたノウハウの蓄積などに取り 組むとともに、「総合美術プロデューサー」の育成に向けた取り組みをスター トしました。さらにビッグデータの可視化・デザイン化などデータジャーナリ ズムへの貢献や国際放送の充実に対応した体制整備・強化を図りました。 自主事業においては、新たなイベント事業の開発・獲得に取り組むと共に ホール運営事業では目標としてきた新たなホール業務の受注も果たしました。 一方、経営の透明性確保・内部統制の推進に向けて以下の 3 点を重点事項 として取り組んでまいりました。 ①内部監査室の設置によるモニタリング機能の充実 ②経理システム改修によるIT統制の強化と迅速で的確な経営情報の提供 ③社員教育の充実や研修制度改革など人材育成策の展開による マネージメント力やイノベーション力の向上 まず、内部監査体制の強化に向けて、内部監査規程を制定し内部監査室を 社長直属の独立した機関としてNHKアートの内部監査がスタートしました。 さらに、経理システムSMAPの改修によるIT統制機能強化や総務・人事系 業務でのG-SMaRT化による経営の効率性の推進に取り組みました。 -2- また、NHKアートの将来を支える人材育成を進めるために研修制度改革に着手 し、平成 27 年度は会社の経営幹部層である部長・担当部長のマネージメント力 強化、下請法をはじめとする法令遵守に向けて外部講師による研修を実施しました。 今後も番組美術・映像美術をリードする人材育成に取り組んでまいります。 NHKとの取引においても、委託業務の「見える化」を推進し、一部は平成 28 年度 の契約に反映させました。 NHKアートの社会貢献活動では、東日本大震災の被災者を元気づけようと始め た“アートキャラバン”が、5 回目を迎え、津波被害を受けた仙台市若林区を訪問しま した。これまでで最も多い約 500 人の方の参加があり、NHK仙台放送局長も訪れ NHKアートが被災地で慰問活動に取り組んでいることを高く評価いただきました。 一方、「Nアートの森をつくろう!」を合言葉にした植樹活動は、山中湖に近い 山林で2回実施し、およそ 100 人が参加し約 360 本の苗木を植えました。 また東日本大震災で被災した文化財の修復作業に取り組み、津波の被害に あった岩手県陸前高田市の高田歌舞伎のかつら18点の修復作業が完了し、 全国各地で展示されています。 (2)事業活動の内容 〔総合美術センター〕 番組美術センターとデザインセンターを統合して発足した総合美術センターは、 「リアルからデジタルまで一貫して担う総合美術会社」というNHKアートの経営目標 を具現化する組織として誕生し、その第一歩として番組美術部とデジタルデザイン 部が協力し、「総合美術プロデューサー」の育成に向けた取り組みを始めました。 大河ドラマ「花燃ゆ」は幕末から明治まで大きく変化する日本の姿が背景となって いるため、セットは松下村塾から鹿鳴館まで、衣装は大名のお姫様から明治時代の 貴婦人までと多様に変化させながらその時代の情景を描いてまいりました。 平成 28 年 1 月に放送が始まった「真田丸」は、戦国武将の中でもとりわけ人気の 高い「真田信繁(幸村)」が主人公であり、その時代の建築様式に則った太い柱を 準備するなど、戦国武将の館を表現するとともに、真田軍が徳川軍を翻弄した有名 な上田城の戦いを詳細に再現しました。 平成 27 年度上期の連続テレビ小説「まれ」では、舞台となった輪島塗の塗師屋 や横浜のパティスリーなどを細部に至るまで表現し、主役や脇役陣の活躍を番組 美術の面から支えました。平成 28 年度上期の「とと姉ちゃん」では、浜松ロケや 木場のセットなど大掛かりなものも多く、安全に十分配慮しながら作業を進めて います。 -3- 恒例の「第 66 回NHK紅白歌合戦」では、LEDスクリーンを組み込んだ大掛 かりなセットに加え、舞台転換も多く、安全に配慮しながら制作に取り組みました。 リアルセットとCGが融合した舞台セットは、出演者、観客、視聴者に大変好評 でした。 平成 28 年 3 月から放送が始まった大河ファンタジー「精霊の守り人」 では、4K撮影にふさわしい重厚なセット作りが高く評価されました。 撮影が進む第 2 シーズンでも、引き続き4K撮影にふさわしい美術製作に 取り組んでまいります。平成 28 年の正月時代劇「吉原裏同心」でも4K 撮影に対応した時代劇の番組美術業務に取り組み高い評価をいただき ました。 ニュース報道では、9 月に茨城県などを襲った平成 27 年関東・東北豪雨に よる大規模水害や、10 月パリで発生したIS(イスラミックステート)による同時テロ 事件など、内外の事件・災害報道に全力で取り組み、速報からその後の特集番組 まで高品質な番組美術によりNHKの報道を支えました。 NHKニュースでは平成 27 年度にはビッグデータを解析する番組が始まり、 本格的なデータジャーナリズムへの取り組みがスタートするとともに、ネットと連動 したニュースの発信が始まりましたが、NHKアートでも報道部を中心にデータの 可視化を進めるなど、新たな報道の取り組みを映像の面から支えてまいりました。 また平成 28 年度の番組改定に合わせて、6年ぶりにニュースセンターのセット が大幅に入れ替えとなりましたが、綿密な工程管理により滞りなく作業が終了 しました。新年度のニュース番組のタイトル及びセットは、デザインセンター長賞 を受賞いたしました。 NHK スペシャル「原発メルトダウン 危機の 88 時間」では、原発災害 の現地司令室となった免振重要棟を壁の色を含めて忠実に再現したほか、 「私を襲った津波~その時 何が起きたのか~」では、スーパーコンピュー ター「京」による津波シミュレーションの可視化に取り組みました。 シミュレーションデータを CG で扱えるデータに変換するプログラムの 開発からスタートし、東松島市野蒜小学校の体育館が津波に襲われる様子 を CG で作成し、取材時に当時の状況をタブレットでリアルに見ることが できるアプリを開発するなど、新たな取材方法につながる取り組みに貢献 しました。 こうした新たな業務に取り組む一方で、既存の業務の改革も推進しました。 大道具美術では、セットの運搬・保管業務で初めてプロポーザルコンペを実施し、 業務の透明化と効率的な推進に取り組みました。 -4- 平成 27 年度は、番組美術業務が様々な賞を受賞しました。 モノクロフィルムのカラー化に取り組んだ平成 26 年度に放送の「カラーでよみが える東京~不死鳥都市の 100 年~」と 27 年度放送のNHKスペシャル「カラーでみ る太平洋戦争~3 年 8 ヶ月・日本人の記録~」 が、第 63 回菊池寛賞を受賞しました。 さらに、NHKスペシャル「生命大躍進」のCG映像が、優秀なデジタルコンテン ツ作品に贈られる「VFX-JAPAN アワード 2016」で最優秀賞(テレビ番組部 門)を獲得したのに続き、「JPPA AWORDS 2016」映像技術VFX部門グラ ンプリを受賞、番組もワールド・メディア・フェスティバル(ドイツ)ドキュ メンタリー部門・調査・科学カテゴリー金賞を受賞しました。 また、NHKスペシャル「新島誕生 西之島」が、科学技術映像祭文部科学 大臣賞を受賞しました。 デジタル技術を使った新たな映像表現を追求している電子映像開発プロ ジェクトでは、平成 27 年度も様々な技術開発に挑戦しました。 平成 27 年 5 月に東京で開催されたINPUT世界公共放送会議では、 フロアに映し出された花びらが、人が足を踏み入れるたびに波紋のように 広がっていく展示などインタラクティブなデジタル映像表現が高く評価 されました。 また、平成 27 年 7 月に実施した第 5 回アートキャラバンでは、タブレット を使ってデザインした花火を、大型のスクリーンに映し出す「デジタル花火」 を実施し好評でした。 平成 27 年 11 月に神戸で行われた「SIGGRAPH Asia2015 」では、 招待講演として 8K の CG をリアルタイムで動かすという展示発表を 行いました。 -5- 〔事業推進センター〕 自主事業部門である事業推進センターでは、前年度に実施したような大型の イベントがありませんでした。このため、文化事業開発部は新規業務の開拓に 積極的に取り組みました。 一方でホール運営事業部では、休館となっていたホールが再開されるなど、 順調に業務に取り組むことができました。 文化事業開発部は、平成 26 年度の大型イベント(「宇宙博」等)に替わる様々 なイベント展示に挑戦した一年でした。平成27年度は「さいしんビジネスフェア」 を獲得したほか、5 月に開催された「INPUT(世界公共放送会議)」では会場設営・ 展示をデジタルデザイン部とともに実施しました。 また、NHK エンタープライズが徳島県阿波市で開催した「新感覚『4K』プロジェク ションマッピング~青のシンフォニー」では、デジタルデザイン部がプロジェクション マッピング用の4K映像を作成し、舞台および会場の設計施工を文化事業開発部が 担当しました。 美しいプロジェクションマッピングの舞台は、主催者や来場者から大きな反響を いただき大成功となりました。 また、NHKグループ以外の業務として、「地域伝統芸能全国大会 秋田大会」や 「地方銀行フードセレクション 2015」などの業務に取り組んだほか、平成 28 年 10 月に開館する「佐賀バルーンミュージアム」の展示設計・施工などを行いました。 さらに、新規業務の獲得を積極的に推進した結果、今年 4 月からトルコで行われて いる「アンタルヤ世界園芸博覧会 ジャパンパビリオン」の展示運営、平成 29 年の 「第 8 回世界盆栽大会 in さいたま」、福岡市こども科学未来館の展示事業などを獲 得しました。 大河ドラマ「真田丸」関連の展示にも取り組み、今年 3 月に開館した和歌山県 九度山町の「九度山・真田ミュージアム」の展示装飾に NHK プラネット近畿総支社と ともに取り組みました。 このほか「真田丸」関連では、長野県上田市で展示装飾を行ったほか、長野市 松代や群馬県沼田市での展示にも取り組んでいます。 一方、平成 26 年度に日本科学未来館で実施した展示「トイレ?行っトイ レ!?ぼくらのウンチと地球のみらい」が、DSA日本空間デザイン 2015 優秀賞を受賞し、平成 27 年度は各地で巡回展を実施しました。 さらに、建築デザインと文化事業開発部が企画・デザイン・設計に取り組んだ 「新川千本桜沿川地区」が「都市景観大賞」を受賞しました。 -6- ホール運営事業部では、神奈川県民ホールが工事終了に伴い業務が再開した ほか、渋谷のヒカリエでは映像技術業務に加えて音響・照明業務が新たに加わり ました。 さらに、平成 28 年 4 月開館の東広島芸術文化ホールくららの運営業務を JTB コミュ ニケーションデザイン・日本管財とともに取り組んでいます。 また、ホール運営事業部では契約外業務の獲得にも力を入れ、サントリーホール のデジタルサイネージ業務、川口市の「川口産品フェア」の企画・運営を行った他、 上野・御徒町・湯島の町おこしイベント「YOUフェス」のイベント事業に取り組み、 デジタルデザイン部の協力により湯島天神のプロジェクションマッピングを実施して 大勢の人に楽しんでいただきました。 平成 28 年 3 月 30 日から工事休館に入った武蔵野市民会館では、東京文化 会館や神奈川県民ホールで培った実績を活かして、休館中の機材の引越し・管理 ・整備業務を契約外業務として受注することができました。 部門別の売上高は以下のとおりです。 (単位:千円) 第 63 期 第 64 期 (平成 27 年 3 月期) (平成 28 年 3 月期) 金 額 金 額 構成比 構成比 増 減 金 額 増減率 総合美術センター 11,979,056 77.2% 12,438,554 77.5% 459,498 3.8% 事業推進センター 3,547,265 22.8% 3,601,730 22.5% 54,465 1.5% 15,526,321 100.0% 16,040,284 100.0% 513,963 3.3% 合 計 (3)損益の状況 当期の売上高は前期(26 年度)に比べ 5 億 1,396 万円増の 160 億 4,028 万円 でした。営業利益は、G-SMaRTの総務・労務・人事系業務の利用開始や 内部監査関連の経費増などにより一般管理費が増加した結果、前期に比べ 1,696 万円増の 9 億 3,360 万円となりました。これに営業外損益を加減した 経常利益は 565 万円増の 10 億 705 万円でした。法人税等を差し引いた 当期純利益は 4,403 万円増の 6 億 5,395 万円で、前期に比べ「増収増益」と なりました。 -7- 2.対処すべき課題 (1)新たな中期経営計画の達成 平成 27 年度から 3 ヵ年にわたる新たな中期経営計画を策定し、「放送の新たな 時代に向けて」映像美術をリードし、新規事業、新規サービスへの挑戦を目標に 掲げました。急速に実用化が進む4K8Kの超高精細映像や国際放送強化に向け た体制の整備、データジャーナリズムへの対応、そして、リアルなセット製作から CG・バーチャルなどのデジタル映像まで、番組美術を総合的にプロデュースする 人材の育成を進めています。 平成 28 年 8 月からは4K8Kの超高精彩映像による実験放送が開始され、 2020 年の東京オリンピック・パラリンピックでは8Kによる実用化放送が予定されて います。当社でも超高精細映像向けのセット製作やCG映像製作を推進する体制 づくりや設備投資を促進してまいります。 平成 27 年度に発足した総合美術センターを中心に、新たな放送の時代に対応した 業務や人材育成への取り組みを進めています。 (2)自主事業部門の充実・強化 NHKアートで長年にわたり取り組んできた自主事業については、高い品質、 安全管理に向けた取り組みにより、グループ内外から高い信頼を得ております。 こうした信頼に今後も応えていくために、品質管理、安全管理、コスト管理に 取り組みながら、充実強化してまいります。 また、NHKグループ各社との連携を一段と緊密にして、NHKグループに貢献 できる自主事業に取り組んでまいります。 (3)内部統制・内部監査機能の充実 当社は、適正な業務推進に向けて社内規定等の整備に努めてまいりました。 こうした中、昨年発生したNHK関連会社による不祥事により、NHK関連会社の 経営の透明性、取引の透明性が強く求められるようになりました。 当社では、昨年の組織改正で内部監査室を社長直属の独立した機関と位置 づけ、内部監査規程を整備するなど、社内の内部監査に取り組んでいます。 -8- また、経営の透明性確保に向けた内部統制を一層推進し、研修によるコンプラ イアンス意識の醸成、システムによる統制確保などを通して、社内の内部統制・ 内部監査機能の強化を図ります。 (4)次代に向けた人材育成 4K8Kの超高精細映像や放送と通信の融合など、放送に関わる新たなニーズ が次々と生まれており、美術業務全体を俯瞰できる人材が求められています。 一方、NHKグループの一員として内部統制の強化など会社のマネージメント 機能の充実も求められており、そうした人材の育成も求められています。 現在の研修制度を抜本的に見直し、各階層別に研修を実施するとともに、 人材育成のロードマップや各部門におけるキャリアパスも明確にしてまいります。 平成27年度は、マネージャー層の能力開発を目的に外部の企業に委託し、 部長・担当部長クラスに対するマネージメント研修を実施しました。 部長・担当部長が各組織を率いていくためには、どのようなマネージメント能力が 必要なのか、認識させることができました。平成28年度も、様々な階層に応じた マネージメント能力を身につけるための研修を実施する予定です。 番組美術を担う唯一のNHKグループ会社として、また、番組美術業界をリード する企業として、NHKアートが生き残っていくための優れた人材を育成してまいり ます。 (5)経営基盤の強化 当社は平成 17 年以降、経営基盤の強化を進めてまいりました。経営の安定性 を示す自己資本比率は 26 年度末で 51.7%となり、前の中期経営計画で目標と してきた 50%を越えることができました。平成 27 年度末は 55.0%となり、さらなる 経営の安定性を確保することができました。 今後も財政・経営基盤の一層の強化をはかってまいります。 自己資本比率の推移 自己資本比率 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 25 年度 26 年度 27 年度 23.7 31.4 35.2 39.1 37.8 43.6 49.3 51.7 55.0 (%) -9- 3.設備投資等の状況 該当事項はありません。 4.資金調達の状況 該当事項はありません。 5.事業譲渡・吸収分割又は新設分割の状況 該当事項はありません。 6.事業譲受の状況 該当事項はありません。 7.他の会社の株式その他の持分又は新株予約権等の取得の状況 該当事項はありません。 8.吸収合併又は吸収分割による他の会社の事業に関する権利義務の 継承の状況 - 10 - 該当事項はありません。 9.財産及び損益の状況の推移 (単位:千円) 第 61 期 第 62 期 第 63 期 第 64 期 (平成 25 年 3 月期) (平成 26 年 3 月期) (平成 27 年 3 月期) (平成 28 年 3 月期) 高 15,166,168 15,311,549 15,526,321 16,040,284 営 業 利 益 986,591 869,081 916,635 933,600 経 常 利 益 1,058,022 933,176 1,001,400 1,007,052 当期純利益 668,848 573,367 609,917 653,950 区 分 売 上 1 株 当 たり 当期純利益 1,672 円 12 銭 1,479 円 65 銭 1,573 円 98 銭 1,687 円 61 銭 総 資 産 7,492,386 7,219,260 7,784,002 8,262,635 純 資 産 3,270,390 3,557,620 4,027,262 4,540,938 10.主要な事業内容 事 業 主要な製品・業務内容 ○NHK放送番組の美術制作・デザイン ○道具類の調達 総合美術センター 事業推進センター ○グラフィックス・バーチャルセットの企画・制作 ○3次元 CG 映像・VFX・バーチャル映像等の制作 ○グラフィクスの企画・制作 ○Web デザイン ○デジタル映像演出手法の開発およびシステム開発 ○展示・催事の企画・制作、設計施工、および運営 ○文化施設・博覧会等の建築設計、設計監理 ○ホールの舞台機構・音響・照明操作運用 - 11 - 11.主要な事業所等 名 称 本 社 所在地 東京都渋谷区 総合美術センター 東京都渋谷区 事業推進センター 東京都渋谷区 12.従業員の状況 従業員数 前期末比増減数 249 名 1 名減 (注)従業員数は就業人数であり、臨時従業員数は含まれておりません。 13.重要な親会社及び子会社の状況 (1)親会社の状況 当社の親会社は日本放送協会であり、当社の株式の 65.4%にあたる 25 万 3,400 株を保有しております。 当社は、親会社の美術制作業務を実施しております。 (2)子会社の状況 該当事項はありません。 (3)親会社等との取引について (ⅰ)当該取引をするにあたり当社の利益を害さないように留意した事項 親会社である日本放送協会との取引は、基本契約に基づき 行われています。 当該取引の必要性および取引条件が第三者との通常の取引と - 12 - 著しく相違しないこと等に留意し、合理的な判断に基づき、公正かつ 適正に決定しております。 (ⅱ)当該取引が当社の利益を害さないかどうかについての取締役会の 判断及びその理由 当社は、親会社からの独立性確保の観点も踏まえ、監査法人等から 当社経営に対する適切な意見を得ながら、取締役会において 多面的な議論を経たうえで、当該取引の実施の可否を決定して おります。 事業運営に関しては、取締役会を中心とした当社独自の意思決定に 基づき業務執行をしており、NHKグループ会社として相互の立場を 尊重しつつ経営の独立性を確保しながら、適切に経営及び 事業活動を行っております。 なお、特別な利害関係にある取締役は当該取引の議決に 参加しておりません。 14.主要な借入先 該当事項はありません。 Ⅱ.会社の株式に関する事項 1.発行可能株式総数 800,000株 2.発 行 済 株 式 総 数 387,500株 3.株主数 10社 - 13 - 4.株主の状況 株 主 送 協 名 持 株 数 持株比率 253,400 株 65.4% ㈱NHKエンタープライズ 32,000 株 8.2% ㈱NHKビジネスクリエイト 27,000 株 7.0% ㈱NHK出版 16,900 株 4.4% ㈱NHKグローバルメディアサービス 15,000 株 3.9% ㈱NHKエデュケーショナル 14,800 株 3.8% ㈱NHKメディアテクノロジー 10,000 株 2.6% ㈱NHKアイテック 8,400 株 2.2% ㈱NHKプロモーション 6,000 株 1.5% ㈱NHK文化センター 4,000 株 1.0% 日 本 放 会 - 14 - Ⅲ.会社の役員に関する事項 1.取締役及び監査役の氏名等 平成28年3月31日現在 他の法人の代表状況 地 位 氏 名 担 当 等又は重要な兼職の 状況 代表取締役 軽部 淳 (医)放友クリニック 評 議 員 常務取締役 加藤 忠男 イベント事業担当 事業推進センター長 建設業経営業務管理責任者 一級建築士事務所長 常務取締役 國重 静司 デジタルデザイン担当 ホール運営事業担当 取 締 役 北村 哲 経営企画室長 ㈱アート・クリエイティ ブ・パートナーズ 監査役(非常勤) 取 締 役 福田 淳一 番組美術担当 危機管理担当 総合美術センター長 取 締 役 志村 文男 番組美術担当 ㈱アート・クリエイティ 総合美術センター副センター長 ブ・パートナーズ 取締役(非常勤) 取 締 役 荒木 裕志 日本放送協会 (非常勤) 取 締 役 報道局長 若泉 久朗 日本放送協会 (非常勤) 取 締 役 制作局長 大路 幹生 ㈱NHK エンタープライズ (非常勤) 監 査 役 取締役 三浦 晴治 日本放送協会 (非常勤) 関連事業局専任部長 - 15 - (注)当期中の異動は次のとおりです。 (1)就任 平成 27 年 6 月 24 日付で若泉 久朗が取締役(非常勤)に、三浦 晴治が 監査役(非常勤)に就任いたしました。 (2)退任 平成 27 年 4 月 24 日付で安齋 尚志が取締役(非常勤)を退任しました。 平成 27 年 6 月 24 日付で田中 剛志が監査役(非常勤)を退任しました。 平成 28 年 4 月 24 日付で荒木 裕志が取締役(非常勤)を退任しました。 2.当該事業年度に係る会社役員の報酬額は次のとおりです。 区 分 報 酬 等 支給対象者 取 締 役 54 百万円 6名 監 査 役 -百万円 0名 54 百万円 6名 合 計 (注1)上記のほか、使用人兼務取締役の使用人分給与が 32 百万円あります。 - 16 - Ⅳ.業務の適正を確保するための体制等の整備に関する事項 1.取締役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合するこ とを確保するための体制 (1)当社は取締役、社員を含めた行動規範として、「NHKアート倫理・行動憲章と 行動指針」を定め(平成 16 年 10 月 26 日制定、平成 20 年 12 月 25 日一部改 定)、これらの遵守を図っております。 また、コンプライアンスを確保するため社内に経営企画室担当役員を委員長と する「コンプライアンス推進委員会」を設置し、全社的に法令遵守が確保される 体制をとっております 役職員のコンプライアンスの徹底を図るため、「コンプライアンス通報制度規 程」「内部・外部通報窓口」などを社内に効果的に周知し、適宜、法令等の遵 守状況をモニタリングしております。 (2)取締役会については、「取締役会規則」が定められ、その適切な運営を確保し、 定例で開催するほか、必要に応じて随時開催し、取締役間の意思疎通を図る とともに相互に業務執行を監督し、法令・定款違反行為を未然に防止しており ます。 万一、取締役が他の取締役の法令・定款違反行為を発見した場合は直ちに 監査役および取締役会に報告するなどして、その徹底を図っております。 (3)同様に、社長、常勤役員および社長が指名する使用人で構成する経営会議に ついては「経営会議規則」を遵守し、職務執行の法令・定款への適合を確保 しております。 また、監査役は、監査役監査規程(平成 27 年 6 月 24 日制定)に従い、取締役 の職務執行、経営機能に対する監督強化を図っております。 (4)コンプライアンス関連の研修、社内イントラネット等による啓発、社員総会などに よる意識づけに努め、全社的な法令遵守の一層の推進を図るとともに、取締役 の職務執行の透明性を確保しております。 (5)内部監査規程(平成 27 年 3 月 24 日制定)を定め、内部統制の状況を検証し 適正な業務運営を推進しております。 - 17 - 2.取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制 (1) 「文書管理規程」の整備によって、資料等の扱いを明文化し、 取締役の 職務の執行に係る情報の保存および管理に適正を期することとしております。 (2) 「株主総会議事録」「取締役会議事録」「経営会議議事録」については、 「文書管理規程」に基づいて適切かつ確実に保存・保管し、 「経営会議議事録」につきましては、取締役および監査役が常に閲覧可能 な状態に置いてあります。 3.損失の危険の管理に関する規程その他の体制 (1)当社は、当社の業務に係るリスクとして、投資的リスク、下請法等法令違反に つながるリスク、企業機密への不正アクセス・漏洩等情報セキュリティ的リスク などを認識し、与信管理規程、債権管理規程を整備するとともに、 取引先登録にあたっての信用調査を実施し、経理事務処理要領はじめ 対応マニュアル等を整備しております。 また、公共放送グループの一員として、公金の扱いについては特に厳正を 期しており、万が一にも社会的な指弾を受けることのないよう注意を払って おります。 (2)リスク管理統括責任者を代表取締役社長とし、リスク管理体制の整備・運用に あたります。 (3)危機管理と予防的管理についての体制を充実させ、研修等を含め、 損失の危険の管理について全社的な認識向上を図っております。 4.取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制 (1)職務分掌に関する諸規程を定め、取締役及び各部門の所管と権限を明確にし 経営に関する意思決定及び職務執行を効率的かつ適正に行っております。 (2)重要な意思決定については、常勤取締役等による役員会などにより多面的に 検討し、慎重に決定する仕組みを設けるとともに、取締役会付議事項を定め 必要に応じ取締役会で議論することとしております。 (3)中期事業計画およびそれを受けた年度事業計画を策定し、事業ごとの目標値 - 18 - を設定し、業績を把握し、適宜見直しを行ってまいります。 (4)さらに効率的に職務を執行するために、内部統制との関係を考慮しつつ、案件 に応じた職務権限の委譲を検討することといたしております。 5.会社並びにその親会社および子会社から成る企業集団における 業務の適正を確保するための体制 (1)当社の親会社にあたるNHKの子会社等の事業が適切に行われることを目的と して、「関連団体運営基準」により、事業運営およびこれに対するNHKの指導・ 監督等に関する基本的事項が定められており、当社もこれに該当しております。 (2)NHKは、「関連団体運営基準」に関する事項およびNHKが指定する事項に つきまして、監査法人等に委嘱して関連団体の業務運営状況調査を実施し、 監査法人等の報告に基づき、関連団体に対し必要な指導・監督を行っており 当社もこれに該当しております。 (3)NHKの監査委員会が当社に対し営業の報告を求め、または業務および 財産の状況を調査する場合には、当社は、適切な対応を行います。 (4)NHKは、全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、不偏不党の立場を守っ て、放送による言論と表現の自由を確保し、豊かで、良い放送を行うことを目的と した法人です。 また、放送法により、NHKに対する公共的規制は、国民の代表である国会を 中心として行われ、毎年度の予算・事業計画は国会の承認を必要としています。 NHKには、経営方針その他その業務の運営に関する重要事項を決定する 権限と責任を有する経営委員会が設置され、会長等による業務の執行と 監督の機能が明確に分離され、適正なガバナンスが確保されており、 業務の実施にあたっては、「NHK倫理・行動憲章」の策定、 「通報・相談窓口」の整備などにより、適正が確保されていると理解して おります。 NHKによるグループガバナンスの執行状況は、経営委員会に報告されます。 6.監査役がその補助すべき使用人を置くことを求めた場合に おける当該使用人に関する体制と当該使用人の取締役からの 独立性に関する事項 - 19 - 監査役の職務を補助する部門を経営企画室とします。 監査役より監査業務に必要な命令を受けた使用人は、その命令に関して、 取締役、計画総務部長等の指揮命令をうけません。 上記に関して監査役監査規程等により定めております。 7.取締役および使用人が監査役に報告をするための体制その他 の監査役への報告に関する体制および監査役の監査が実効的に 行われることを確保するための体制 (1)取締役または使用人は、法定の事項に加え、当社および当社グループに 重大な影響を及ぼす事項の内容を、監査役にそのつど報告するものとして おります。 (2)監査役は、いつでも必要に応じて、取締役および使用人に対して報告を 求めることができます。 (3)前2項に関して、監査役監査規程等に定めております。 Ⅳ―2. 業務の適正を確保するための体制の運用状況の概要 取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制、 その他会社の業務の適正を確保するための体制の運用状況の概要は以下の とおりとなっております。 (ⅰ)内部統制システムに関する取り組み 当社は、取締役会において決定した会社法第 362 条第 4 項第 6 号に 定める会社の業務の適正を図るための体制の整備に関する基本方針に 基づき、当社の内部統制システムの整備・運用について評価を実施し、 基本方針に基づき内部統制システムが適切に整備運用されている ことを確認しております。 (ⅱ)コンプライアンスに関する取り組み コンプライアンスに係る教育は「コンプライアンス推進委員会」における - 20 - 会議体での説明や、役員・社員および階層や役割に応じた基本的事項の 再確認や社内研修を実施することにより、法令および定款の遵守ならびに コンプライアンス意識の向上に努めております。 (ⅲ)リスク管理に関する取り組み 危機管理規程に基づき、当社の企業経営に重大な影響を与えるリスクの 選定と必要な対策について必要な検討を行っております。 (ⅳ)業務執行の適正性や効率性の向上に関する取り組み 業務執行に関わる重要案件については、経営会議規則に基づき、 取締役会へ上程する前段階として、経営会議に付議し、そこでの議論を 経て決定しております。 (ⅴ)内部監査に関する取り組み 当社の内部監査部門による当社各部門への内部監査を実施して おります。 (ⅵ)監査役への情報提供の取り組み 当社では、内部監査部門と監査役が連携を密にして相互の信頼関係を 深める観点から定期的に意見交換を実施しております。 - 21 -
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