№51 自宅を建築する目的で不動産会社から土地を購入しました。建築

軟弱地盤の基礎はどうする?
平成27年1月9日発行
軟弱地盤に普通の基礎で家を建てると、どうなるでしょうか。
まず、地盤の不同沈下により基礎に亀裂が入ったり、ひどい時は
基礎が壊れ、家が傾いたり、原因不明の雨漏り、モルタル壁の亀
裂など、平常時でも家が傷みます。
また、地震の際には地盤に亀裂・沈下・崩れなどが生じて基礎
を壊し家屋に被害をおよぼします。
そのため、軟弱地盤では地盤の不同沈下に耐えられよう基礎選
VOL.121
びは慎重にしなければなりません。
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米本
米本
文子
博
よねもと不動産
軟弱地盤、地盤沈下地帯、盛土した敷地、液状化現象を生じや
すい土地ではベタ基礎を採用します。家屋全体の重量が基礎全面
に平均してかかるため、不同沈下しにくく、たとえ地震で地盤が
破壊されても家屋に害が及びにくくなります。ただしベタ基礎は
地面に接している面積が広いので、荷重が広範囲に伝わり、軟弱
層が厚いときには沈下が却って大きくなることがあります。
№51 自宅を建築する目的で不動産会社から土地を購入しました。建築会社と打ち合わせ
をしたところ、建ぺい率の関係で、この土地の広さでは希望する建物が建てられないこ
とがわかりました。これでは土地を買った意味がないので契約を解除したいと思います
が可能でしょうか?
宅地を購入しようとする際、その物件に他人の権利が
付着していたり、法律上の制限が課せられていた場合に
は、使用収益できない、あるいは予定していた建物が建
たない等、契約の目的を達することができないおそれが
あります。
しかし、一般の人には、こういった権利関係や法令上
の制限について知識や調査能力もないのが通常です。
そこで、宅地建物取引業法は宅建業者が売主となった
り、売買・賃貸借等の媒介(仲介)を行う場合は、契約
成立までの間に取引の相手方に、物件に関する事項や取
引条件など一定の重要事項を説明することを義務付けて
います。
ご質問の建ぺい率については、法令上の制限として重
要事項説明の対象となっていますので、あなたが宅建業
者に建物の建築計画について予め伝えておれば、宅建業
者は建ぺい率や容積率についての規制の存在を説明する
だけでなく、その規制があったらどうなるか、というこ
とまで説明しなければなりません。
なぜなら、一般の消費者が建ぺい率・容積率について
通り一遍の説明を受けたからといって、建築可能な建物
を判断するのは困難と考えているからです。
そこで、宅建業者としては、当該建ぺい率・容積率の
もとで、買主の希望している建物が建築可能か否かにつ
いて説明すべきこととなります。
また、買主の建物計画が具体的に決まっていないよう
な場合でも、おおよそ、どの程度の規模の建物が建築可
能かという程度の説明はすべきでしょう。
今回の場合、あなたが売主である宅建業者に対してど
こまで建築計画を伝えていたのか、また、宅建業者はど
の程度の説明をあなたにしたのか、この二点がポイント
です。
もし、あなたが建築計画を宅建業者に伝えていたなら
宅建業者に説明義務違反が認められるでしょう。
そして説明義務違反により、契約の主たる目的が達成
できない場合は、あなたには契約解除が認められます。
なお、売主が宅建業者でなかった場合には、宅地建物
取引業法上の重要事項説明義務はありません。よって、
契約解は認められません。
シリーズ・わたしの営業体験
シリーズ・わたしの営業体験 №4その1
その1
「どうでした?」 その日の成績を聞いてみました。他人の成
績なんてどうでもよいと思うも、やはり気になります。
おせちと森進一
おせちと森進一
編 集 後記
責任者も大喜びで、その日、彼は特別に早帰りを許された
とのこと。
それを聞いて思わず「阿保か」と思いました。
これなら奴等に勝てるぞ・・・・・。
次号に続く
ノルマの5件すら果たすことができず意気消沈して会社に
戻ると、同期の他の二人は、涼しい顔で帰り支度をしている
ではありませんか。
同情というより、見下げられている気がしました。
絶対に追い抜いてやるから!
一か月が過ぎた頃です。その日、同期の一人は10件の
新規を午後3時までに獲得したそうです。
「絶対稼いでやる!」 その意気込みで会社を飛び出しま
したが、甘くはありません。朝9時から夕方5時まで足を棒の
ようにして歩きましたが、初日の獲得件数は僅か3件でした。
初日こそ、惨憺たる成績だった同期の二人は、センスが良
いのか、このところ順調に成績を上げています。
同期入社の他の二人は、見るからに営業センスがありそう
です。負けてはおられません。
この調子では前の会社の給料と変わりません。休日も飛び
込みをすることにしました。
もっとも一日五件獲得できなかったとしても固定給はあるの
ですが、それではこの会社に来た意味がありません。
それから一週間。慣れてきたのか5件のノルマはなんとかク
リアーできるようになりましたが、未だ歩合はゼロです。
迷わず、新規開拓を選びましたが、一日に五件の新規開
拓が最低ノルマで、それを超えると歩合が付くシステムです。
あとの一人も私より悪い一件。少しは気が楽になりました。
責任者は「みんな初日はこんなもんだよ。きょうの分は明日取
り戻せばいいさ」と慰めて(?)くれます。
その会社は、得意先回りは固定給ですが、新規開拓の飛
び込み営業は頑張れば頑張った分稼ぐことができる給与体
系です。
「いやぁ、あかんかったねぇ~。ゼロだよゼロ。ハハハ・・・」
笑えるその根性に驚きました。
三十才前半の頃のことです。当時、勤めていた会社の給料
では将来に夢が持てないため、もっと稼げる会社に転職する
ことにしました。
「米本さん、無理しないほうがいいのじゃない?」
十二月 三十一 日。普 段は スタン
ドの洗車 機で済 ますと ころ ですが
きょうは 久しぶ りの手 洗い 洗車。
ワックス 掛けも 終わり 、気 のせい
か車が輝 いてい るよう です 。
一息入 れに台 所へ行 くと 、なに
やらいい 匂いが ・・・ そう 、おせ
ち料理の 匂いで す。う ま煮 、田作
り、煮豆 ・・・ 素朴な 料理 ばかり
ですが我 が家は 昔から 手作 り。
台所に 立つ妻 の後ろ 姿を 見てい
ると、ふ と亡く なった 母の ことを
思い出し ました 。
年末の 三日間 、それ こそ 朝から
晩までお せちつ くりに 励む 母。つ
くる量も 半端で ありま せん 。
どうせ 食べき れない のだ から控
えればい いと思 うので すが 言えば
怒られる のが関 の山。
父は「 弁当に おせち を入 れるの
は止めて くれ」 と母に 泣き つきま
すが、母 のもっ たいな いの 一言で
父の負け 。
その母 も、た った一 度だ けです
が、おせ ちを作 らなか った 年があ
ります。
今から 四十六 年前、 私が 十九才
の学生の 時でし た。十 二月 初旬、
一人で病 院に行 くのは 怖い と母は
私に付い てくる よう頼 みま す。
おそら く検査 になる から と国立
病院に行 きまし たが、 検査 どころ
か、その 場で手 術を言 い渡 されま
した。
結果は最悪 でした 。末期 のガン
です。開 腹はし たもの の、 手の施
しようが ないほ どガン が大 きく、
結局なに もせず お腹を 閉じ た、と
医師から 告げら れ茫然 とな りまし
た。
油にま みれた 作業着 で急 遽駆け
付けた父 は人目 もはば から ず泣き
だしまし た。父 の涙を 見た のはこ
のときが 初めて です。
そこへ 看護婦 さんが 来ま した。
「一人は 付き添 って下 さい ね」
あまりに 事務的 な言い 方に 父は苛
立ったの か「私 が付き ます から」
と、普段 の父か らは想 像も できな
い強い口 調で言 い放ち ます 。
付添い は二十 四時間 体制 です。
父は会社 に事情 を話し 、母 の看病
に専念し てくれ ました 。
私も時 間を見 つけて は看 病に行
きました が、あ れだけ 夫婦 仲が悪
かったの に母は 父の方 が良 いと言
います。
十二月 三十一 日。い つも なら母
はおせち つくり に励ん でい る頃で
す。しか し今は 鼻にチ ュー ブが入
れられ、 ベッド で横た わっ ていま
す。それ なのに 、母は 「悪 いねぇ
今年はお せちが なくて 」と 謝りま
す。
これ以 上母と 一緒に いる と本当
のことを 言って しまい そう です。
父に後 のこと をお願 いし て病室
を出まし た。
待合室 では紅 白歌合 戦の 歌声が
流れてい ます。 森進一 のせ つない
歌声は、 私をさ らに悲 しく させま
す。寒空 のなか 、バス を待 ってい
ると空に は星が 輝いて いま す。堰
を切った ように 大粒の 涙が こぼれ
出しまし た。
あれか ら四十 六年。 あの ときの
森進一の 「花と 蝶」を 聞く たびに
当時のこ とが思 い起こ され ます。
大晦日 の夜、 妻の手 作り のおせ
ちを仏壇 にお供 えし、 仏様 に元気
に正月を 迎えら れたこ とを 感謝し
た次第で す。