金環日食以外にも今年見られる珍しい天文現象 楽しみな天文現象が目白押しの 2012 年 巷では、今月 21 日の金環日食が話題になっています。日ごろは天文観測にあまり興味 がないという人でも、次回見られるのは何十年後と聞かされると、ついつい一目観てみたく なってしまうものです。 実は、2012 年は、金環日食以外にも珍しい天文現象が国内で観測できるまれな年だそう です。以下に、その概略をまとめてみました。(参照資料(図及び説明):国立天文台 HP) 金環日食 (5 月 21 日) まず、2012 年 5 月 21 日(月)には、九州、四国、近畿、中部、関東地方の各部という広範 囲にわたって金環日食が見られます。2009 年 7 月 22 日の皆既日食との違いは、金環食は、 月が地球から遠くにあるために太陽全体を覆い隠すことができず、太陽がリング状に残って 見えるところです。東京での食の最大(96.9%が隠れます。)となる時間は午前 7 時 34 分 31 秒で、当日の過去晴天率は 63.3%と、その前後の日の約 40%と比べ高いので期待がもて そうです。 太陽(日食)の観察にあたっては、それに伴う危険がありますので、十分に注意してくださ い。詳しくは、日食の概要や観察方法が一般向けに解説されている、『国立天文台 金環日 食の情報: http://naojcamp.mtk.nao.ac.jp/phenomena/20120521/ 』 等をご活用ください。 国内で金環食が見られるのは、1987 年 9 月 23 日の沖縄以来 25 年ぶりで、次回は 18 年後の 2030 年 6 月 1 日に北海道で見られるとのことです。 (図) 皆既日食と金環日食の違い -1- 金星日面経過 (6 月 6 日) 続いて、6 月 6 日(水)には、金星の日面経過が全国で見られます。これは、太陽-金星 -地球がほぼ1直線状となり、金星が黒い点となって太陽の前を横切っていく現象をいい、 太陽面通過と呼ぶこともあります。現象としては、金星版の金環日食といってもよく、日食の 観察と同様、太陽光を直接見ることのないよう、安全な方法で観察してください。 この現象は、金星の軌道面と地球の軌道面の交点付近で両者がそろう必要があり、8 年、 121.5 年、8 年、105.5 年という周期でくりかえすという、なかなか見ることのできないものです。 前回は、8 年前の 2004 年 6 月 8 日でしたが、次回は、105.5 年後の 2117 年 12 月 11 日ま でなく、日食と違い国内に限った話ではないので、相当長生きをしない限りは今回がラスト チャンスとなるわけです。 (図)日面経過の仕組みと、日面経過の様子 次ページにつづく ⇒⇒⇒ -2- 金星食 (8 月 14 日) また、8 月 14 日(火)の未明には、石垣島などを除く、ほぼ全国で金星食(あるいは月によ る金星の掩蔽(えんぺい))と呼ばれる現象が見られます。これは、月が金星の前を横切っ て金星を隠してしまう現象です。 一般に惑星食は日食と同様に見られる範囲が狭く、また、現象が起きるのが夜間とは限 らないこともあり、好条件で見られることはそれほど多くありません。 しかし今回は、太陽や月を除けばもっとも明るく輝く金星が隠れる様子を日本の多くの地域 で最初から最後まで全過程を見られるという絶好のチャンスであり、加えて、ペルセウス座 流星群の極大も近いので、一晩に両方のイベントを楽しめるかもしれないとのことです。 太陽の観察とは違い、特に道具がなくても安全に観察できますので、興味のある方はお 休みをとって、大空のロマンをゆっくり観察されるのも一興ではないでしょうか。 (図)金星食の仕組みと、金星食の様子 -3-
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