透析チューブ/日本語

使用説明書
FastGeneTM 透析チューブ
ver.201410版
研究用
通常の透析手順
1.【mL/cm】の値を参考にして、必要な透析チューブの長さを計算します。試料容量の増加/減少に対応出来る様に、少なくとも10%長く余裕
を持たせます。更に、両端のチュービングクランプ用に各2 ∼ 4cm(合計4 ∼ 8cm)の長さを追加してカットします。
2. 蒸留水に15 ∼ 20分間透析チューブを浸し、きれいな蒸留水で十分にすすぎます。
3. 透析チューブの一端をクランプし、開放端から試料を注入します。透析チューブのもう一方の端をクランプし、透析液(通常、蒸留水)の中に
この透析チューブを浸漬します。
4. 透析が完了したら透析液から透析チューブを取り出し、一端のクランプを外して試料を取り出します。
実際のMWCO(分画分子量)の選定方法について
一般的には、次の基準で膜を選定します。
① 試料中の目的溶質分子を膜内に保持したい場合 ⇒ 目的溶質分子量の半分以下のMWCOを持つ膜を選定します。
② 膜を通して試料中の目的溶質分子を透過させたい場合 ⇒ 目的溶質分子量の倍以上のMWCOを持つ膜を選定します。
透析時間について
撹拌しながらだと、低分子量の塩では3時間以内で透析液と平衡化されます。粘性の高い試料では、平衡化の時間が長くなります。必要に応じ
て新しい透析液に交換します。通常は、二度の透析液の交換で十分です。温度、フィルタ勾配、濃度を含む多くの要因により、三度の交換が必
要な場合もあります。
高感度アッセイ向けの膜の前処理方法(重金属フリーの前処理済みウェットタイプ(DM P7)では、この操作は必要ありません。)
微量の硫黄や重金属が実験に影響する場合には、以下に述べる方法で膜の抽出処理を行なう必要があります。
1. 溶液の調製
a. 2%重炭酸ナトリウム/1mM
成分
NaHCO 3
0.5M EDTA
イオン交換水
EDTA溶液(抽出液)
1L溶液換算
20 g
2.0mL
1Lへ
b. 50%エタノール/1mM EDTA溶液(保存液)
成分
1L溶液換算
95% エタノール
500mL
0.5M EDTA
2.0mL
イオン交換水
500mL
2.
3.
4.
5.
6.
最終濃度
2%
1mM
最終濃度
50%
1mM
手袋を着用して、必要な長さに透析チューブをカットします。
2Lガラスビーカーの中に1Lの2% NaHCO 3/1mM EDTA溶液(抽出液)を入れ、この中に透析チューブを完全に浸漬します。
この溶液中で透析チューブを10分間煮沸します。
イオン交換水中で、透析チューブを徹底的にリンスします。
イオン交換水の入った2Lのガラスビーカー中で、透析チューブを10分間煮沸後使用します。
処理済み透析チューブの保存方法
7. イオン交換水を廃棄します。
8. 透析チューブを完全に水没させるのに十分量の50%エタノール/1mM EDTA溶液(保存液)を加えます。
9. 透析チューブは、4℃の50%エタノール/ 1mM EDTA溶液中で保存することができます。
10. 透析チューブの使用前にイオン交換水で洗浄します。
保存方法について
残った膜は、暖房の吹き出し口や直射日光を避けた涼しい場所で、元のポリ袋か気密容器に入れて保管してください。前処理済みウェットタイ
プ(DM P7)は、4℃で保管してください。
膜の滅菌方法について
滅菌は、初期浸漬した調整後に行うことが可能です。 透析チューブは、決して完全乾燥させてはなりません。 オートクレーブ、ガンマ線照射、
エチレンオキサイドガス(EOG)を用いた滅菌方法が承認されています。
FastGeneTM 透析チューブ 使用説明書
透析操作について
透析とは、膜の片側の高濃度エリアから反対側の低濃度エリアへの、半透膜を通しての溶質の拡散操作です。ある分子は透過させ、他の分子の
透過を阻止するため、膜は半透過性です。この操作は、高分子から低分子量の分子を分離するために以前から使用されてきました。この比較
的単純な操作は、いくつかの理由で好ましく効果的です。
• 幅広い試料容量に対応可能
• 穏やかな分離条件
• 高額でない膜と器具
一般的な透析のアプリケーションでは、チューブ(管)状の膜を使用し、膜の内側に「試料」を入れ、膜の外側に「透析液」を接触させます。平
衡状態が達成されるまで操作を続けます。孔径よりも大きな分子は試料側に留まり、一方、孔径より小さな分子は全て、膜の両側で平衡になる
様に拡散されます。
透過可能分子が大幅に希釈される事で残りの試料溶液中での濃度が低減される様に、通常は、非常に大容量の透析液を使用します。
一般的に透析操作は、完了までに数時間を必要とします。
透析膜は、分画分子量(MWCO)で定格付けられます。MWCOは、異なる分子量のいくつかの溶質に対する透過性の程度を試験する事によ
り決定されます。MWCOは、17時間の透析試験で90%以上保持される溶質で最小の分子量と定義されます。MWCOは、ガイドとして使用さ
れるもので、あらゆる種類の溶質に対する絶対的な性能予測として使用されるものではございません。透析膜のMWCO値は、目的とする溶質
の損失を防げる範囲内で最大の透析速度が得られる様に、出来るだけ高く選定されるべきです。
耐薬品適合性
再生セルロースは、有機溶媒に対して優れた耐薬品性を有しています。耐薬品適合性は、さまざまな要因によって影響を受けます。このため、実
際に透析を開始する前に予備試験を行うことで、使用したい液体との適合性を確認することをお勧めします。
分類: ○ ‒ 耐性あり
△ ‒ 耐性に限界あり(膨張または収縮が発生する可能性があります)
× ‒ 耐性なし
(接触時間:20℃で24時間)
有機溶媒耐性
耐酸性
耐塩基性
アセトニトリル
○
n-ヘキサン
○
25%酢酸
○
1N水酸化アンモニウム
△
ベンゼンベンジルアルコール
○
イソブチルアルコール
○
96%酢酸
○
25%水酸化アンモニウム
△
n-ブタノール
○
イソプロピルアルコール
○
25%塩酸
×
32%水酸化カリウム
△
n-酢酸ブチル
○
イソプロピルアセテート
○
37%塩酸
×
32%水酸化ナトリウム
△
四塩化炭素
○
98%メタノール
○
25%フッ酸
△
1N水酸化ナトリウム
△
セロソルブ
○
酢酸メチル
○
50%フッ酸
×
クロロホルム
○
メチレンクロライド
○
25%硝酸
×
シクロヘキサン
○
メチルエチルケトン/MEK
○
65%硝酸
×
耐水溶液性
シクロヘキサノン
○
メチルイソブチルケトン
○
25%過塩素酸
△
20%フッ化アンモニウム
△
ジエチルエーテル
○
モノクロロベンゼン
○
25%リン酸
△
過硫酸アンモニウム
○
ジエチルアセトアミド
△
ニトロベンゼン
○
85%リン酸
△
25%塩化第二鉄
○
ジメチルホルムアミド
○
n-ペンタン
○
25%硫酸
△
30%ホルムアルデヒド
△
パークロロエチレン
○
98%硫酸
×
35%過酸化水素溶液
△
25%トリクロロ酢酸
○
5%次亜塩素酸ナトリウム
○
ジメチルスルホキシド/DMSO ○
ジオキサン
○
ピリジン
○
98%エタノール
○
テトラヒドロフラン
○
酢酸エチル
○
トルエン
○
エチレングリコール
○
トリクロロエタン
○
ガソリン
○
トリクロロエチレン
○
グリセロール
○
キシレン
○
n-ヘプタン
○
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2014年10月現在のものです。製品は改良のため予告なく変更する場合があります。10P1410