富士フイルム 「ヒト型セラミド※1 を配合した保湿に優れる機能性化粧品」 平成 26 年度全国発明表彰において「発明賞」を受賞 -ヒト型セラミドを 20 ナノメートルで高濃度分散し、角層浸透性と肌のバリア機能※2 の回復力を高める― 平成 26 年 7 月 9 日 富士フイルム株式会社(社長:中嶋 成博)は、(社)発明協会(会長:庄山悦彦)の平成 26 年度全国発明表彰にお いて、「ヒト型セラミドを配合した保湿に優れる機能性化粧品」に関し、発明者 4 名が「発明賞」を受賞しました。本発明 は、ヒト型セラミドを 20 ナノメートルで高濃度分散したヒト型ナノセラミドの開発により、セラミドの角層浸透性と、肌のバ リア機能の回復力を高めることを可能にしたものです。全国発明表彰において、化粧品に関する発明の受賞は今回 が初めて※3 となります。当社はこの技術を、機能性化粧品「アスタリフト ジェリー アクアリスタ」に使用して実用化して います。 全国発明表彰は、我が国の科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的に、独創性に富む優れた発明等 を表彰する制度です※4。発明賞は、「科学技術的に秀でた進歩性」を有し、かつ顕著な実施効果をあげている発明等 を表彰対象とするもので、本受賞は当社の「ヒト型セラミド配合した保湿に優れる機能性化粧品」に関する発明が、我 が国の科学技術の振興、産業経済の発展に大きく貢献したと評価されたことを示すものです。 表彰式は常陸宮殿下同妃殿下ご臨席のもと、7 月 8 日(火)にホテルオークラにて行われました。 〔発明賞 受賞者〕 田代 朋子 森 久容 中村 善貞 芹澤 慎一郎 富士フイルム株式会社 R&D 統括本部 医薬品・ヘルスケア研究所 研究員 富士フイルム株式会社 R&D 統括本部 医薬品・ヘルスケア研究所 研究員 富士フイルム株式会社 R&D 統括本部 技術戦略部 統括マネージャー 元 富士フイルム株式会社 R&D 統括本部 医薬品・ヘルスケア研究所 研究員 「ヒト型セラミドを 20 ナノメートルで高濃度分散したヒト型ナノセラミド」 を実用化した機能性化粧品「アスタリフト ジェリーアクアリスタ」 ※1 ヒトの角層細胞間脂質を構成するセラミドと同一の化学構造、かつ光学異性体(分子を構成する元素の配列が同じであるが、結合の 向きが異なるため、立体的な形が違うもの)であるもの。 ※2 角層への体外からの異物の侵入を阻止し、体外への水分透過蒸散を抑制する効果。 ※3 2014 年 7 月 9 日 当社調べ ※4 発明協会の奨励事業に対する皇室の深いご理解のもと、大正 14 年(1925 年)の恩賜金拝受を記念して制定された歴史ある賞です。 〔発明の背景〕 皮膚の最外層にある「角層」は、体外からの角層への異物の侵入を阻止し、体外への水分透過蒸散を抑制するバ リア機能を担っています。このバリア機能は紫外線や加齢によって低下し、その低下が肌の乾燥だけでなく、シミやし わといった様々な肌トラブルの原因となっています。 「ヒト型セラミド」は、角層の細胞間脂質を構成する成分であり、ラメラ構造※5 を形成することで、肌のバリア機能を実 現しています。加齢によりバリア機能が低下した肌ではセラミドが減少していることが知られており、肌本来の角層状 態に戻し、バリア機能を維持するためにはセラミドを積極的に補うことが重要です。しかし、「ヒト型セラミド」は溶液中で 結晶化しやすいため、従来は多量のオイルにセラミド分子を溶解し、乳化剤を用いて分散する方法がとられていまし た。そのため、化粧品へ高濃度配合することが困難でした。 〔発明の内容〕 独自の乳化分散技術を用いることで、「ヒト型セラミド」を溶解・分散するためのオイルや乳化剤を使用せず、平均粒 径 20 ナノメートルで、「ヒト型セラミド」を高濃度分散することに成功しました(図1)。この結果、従来のセラミド分散液に 対して、角層浸透性が約 9 倍に向上しました(図 2)。また、肌のバリア機能が迅速に回復し、保湿に寄与していること を確認しました(図 3)。 ※5 「セラミドを主とする脂質」と「水」とが層状に重なり合った構造のこと。 図1.ヒト型セラミド分散液(左)とヒト型ナノセラミド(右)の透明性比較(①) および、透過型電子顕微鏡写真(②)と模式図(③) 従来の ヒト型セラミド分散液 ヒト型ナノセラミド ① 従来のヒト型セラミド分散液(左)は 粒子径が大きく、白濁しているのに 対し、ヒト型ナノセラミド(右)は、平均 粒子径20ナノメートルで安定的に 分散されているため、透明な液に なっている。 分散液の 透明性 ② 従来のヒト型セラミド分散液(左)では 粒子サイズが大きく、ヒト型ナノセラミ ド(右)では粒子サイズが小さくなって いる。 透過型電子 顕微鏡写真 ③ 従来のヒト型セラミド分散液(左)は、 セラミド分子の溶解・分散に多量の オイルや乳化剤を用いるため、高濃 度分散が困難。 ヒト型ナノセラミド(右)は、オイルや乳 化剤を用いず分散できるため、高濃 度分散が可能。 模式化した イメージ図 図2.角層へのセラミド浸透量 図3.水分蒸散量の変化 従来品を1とした 相対的な浸透量 肌バリア(水分保持力)回復力 TEWL減少量(g/h/㎡) 10.0 2.50 8.0 2.00 6.0 約9倍 ヒト型ナノセラミド ヒト型ナノセラミド (NAO FOCUS 技術) 1.50 4.0 1.00 2.0 0.50 0.0 0.00 従来の従来の ヒト型セラミド分散液 肌 バ 従来の ヒト型セラミド分散液 ヒト型ナノセラミド ■実験方法 (1)対象 :20歳以上、59歳以下の健常成人5名 (2)試験方法:2種類のヒト型セラミド液を、上腕内側に7日間、 各々同量塗布し、浸透量を測定。 0 リア ( 水 分 保 持 力) 回 復 力 2 脱脂後日数 4 6 ■実験方法 (1)対象 :20歳以上、59歳以下の健常成人14名 (2)試験方法:アセトンエーテル混液で脱脂した皮膚に、2種類のヒト型セラミド液 を各々総量塗布し、バリア機能の回復を水分蒸散量(TEWL)測定に より追跡した。 本件に関するお問い合わせは、下記にお願いいたします。 <報道関係> 富士フイルム株式会社 コーポレートコミュニケーション部 TEL 03-6271-2000
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