北極海航路活用戦略セミナー in 苫小牧 ~北極海航路活用による欧州と北海道間の新たな相互関係創出の可能性の検討~ 北極海航路利活用戦略 ~試論:北極海航路の拠点を目指して 大塚夏彦 <北極海航路活用戦略研究プロジェクトチーム> (北日本港湾コンサルタント 企画部) 1 1:北極海航路の利用状況 ×1000 1,400 トランジット貨物量 LNG 燃料(ディーゼル・重 油等) 軽油 1,200 1,000 800 2014年の貨物船 運航状況 ジェット燃料 600 ナフサ系 400 ガスコンデンセート 200 鉄鉱石 0 2010 7,000 2011 2012 2013 2014 1000 6,000 NSR全貨物量 の推移 4,000 3,000 800 トランジット貨物の輸送先 600 400 200 0 19201930194019501960197019801990200020102020 General cargo LNG naphtha fish diesel fuel gascondensate coal gas fuel Poland DPRK Malaysia Taiwan France Germany Singapore Denmark Thai Holland Finland 1,000 Russia 2,000 Korea Japan 0 China 5,000 Cargo volume 貨物量(103 ton) (×1000ton) iron ore jet fuel 2 2:アジア海域の運航状況は? ロシア沿海州方面は宗谷海峡通過 韓国方面は宗谷海峡・津軽海峡双方を利用。 中国も韓国と同様だが、津軽海峡の比率が高 まる。 2014年 2013年 3 3:北極海航路の荷動き~2014年 4 4:これからの北極海航路トランジット貨物 アイスランド ナルビク イギリス キルケネス ムルマンスク アダク 北極開発サイト イエテボリ カムチャツカ サンクトペテルブルグ ウスチルガ、タリン 北極開発サイト ウラジオストク 韓国 中国 5:北極海航路のこれからの貨物は? • ドライバルク ムルマンスクやキルケネス産の鉄鉱石、ムルマンスク産石炭・北米の石炭 ~国際市場の動向に大きく影響される。~ • LNG ヤマル半島産LNGは北極海航路にて欧州(冬)・アジア(夏)に輸送される。 ~定常的な国際貨物輸送が出現。~ • 石油燃料製品 ジェット燃料・ナフサなど、石油製品需要によって可能性。輸送コストは有利。 • 水産品 カムチャツカからの水産品の欧州ロシア向けコンテナ輸送が検討されている。北海道 からの輸出入がこれに乗るかどうか→苫小牧→ナホトカ→カムチャツカ→ムルマンス ク? • 完成車 PCCの挙動はバルクとコンテナの中間。欧州からアジアに直行する場合は北極海航 路が有利。 • コンテナ 欧州・アジア間のコンテナ輸送の一部を担うかどうか?→中国は大きな関心 日本;自動車部品のようにODが限定され、時間コストが高い品目に適用性。 通年運航ではなく、季節運航でのシナリオが成立するかどうか。また、季節貨物に特 6 化した輸送シナリオが成立するかどうか。 6:時間軸と商業運航の拡大プロセス バルク貨物 試験運航 夏期スポット運航 INSROP, 外国船1991,1997,2009 2010~本格化, 鉄鉱石,コンデンセート・ ナフサ,石炭、水産品 冬期スポット運航 海氷減退 運航期間拡大 Muemansk~ Dudinka間運航中 (コンテナ,バルク) LNG 通年定期運航 コンテナ貨物 試験運航 2010 上海→Dudinka 2013 上海→Rotterdam 夏期スポット/定期運航 専用船 往復貨物が集まるか? 定時性,経済競争力 運航期間拡大 温度・結露・換気 定時性,経済競争力 通年定期運航? 7 7:シナリオが重要 利点を有効活用: • 距離短縮・輸送日数短縮・燃料削減・排出削減。 • 荷主・船社・港湾協働で新規貨物需要の掘り起し。 • 燃料価格上昇すると、北極海航路優位性が高まる。 欠点を極力回避: • 夏期運航回数拡大→ 高緯度に中継港 • 通年の貨物確保と冬期の合理的運航で通年コスト削減 • 定時性確保→余裕ある輸送計画、一般海域区間での 調整 • 東アジア及び国内地域連携で合理的なネットワーク化 欠点の克服 • ロシア関係機関との安定的協働関係 • 航海数拡大で定常的な水路維持と航行速度の安定化 • 海氷予測技術・氷海航行技術開発で合理的で安全な 運航を実現 • 燃料消費・航行性能の向上 • 下位のアイスクラス船での安全航海 : 8 8: コンテナは工夫と条件緩和が必要 定時性 海氷中での航行能力、運航計画。 夏期・冬期混合輸送 冬期はスエズルートに就航(コスト高)、夏期と合わせて通年 コスト削減できるか? 通年輸送 冬期の北極海航路運航は、氷海航行性能向上かつ砕氷船 サポート下でも、輸送日数・コスト増大? 寄港地 途中寄港地ないDestination shippingで貨物量に限界。 往復の貨物 寄港地少ない状況下で往復の貨物確保が課題。 ハブ・フィーダー アイスクラス・コンテナ船 海氷の減少 (これ自体は気象リスク) 北極海航路運航数を増やすには、緯度の高いところにハブ を設け、そこから通常船でフィーダー輸送。フィーダーのネッ トワークと輸送コストが課題。 アイスクラス・コンテナ船は数が少ない。新造投資にはリスク 定時性向上、各種リスクの減少 北極海航路運航期間の拡大→ 通年コストの減少 下位のアイスクラス船運航 → 船体償却費減少 9 9:北海道の可能性・戦略は? • 欧州産鉄鉱石を室蘭に輸送、帰り荷は欧州向け特殊鋼材等。 • 水産製品の欧州ロシア(サクトペテルブルグ、モスクワ等)輸出、ノル ウェー・ロシア産水産品等の輸入。 冷凍船(カムチャツカ~)、コンテナ(ウラジオ~カムチャツカ~ムルマンスク) • サハリン・北極圏産LNG(ハンメルフェスト・ヤマル)のターミナル。 • 天然資源開発の支援港 • 中国~北極海航路~欧州航路の寄港地となり、我が国港湾 ~欧州間ルートのハブ機能(韓国と協働)。 • 氷海航行技術の教育・訓練及び技術研究フィールド • 北極海航路就航船支援基地;クルーチェンジ、補給、修理等 • 北極海の研究調査支援基地 10 10: コンテナ? • 中国はコンテナNSR輸送にかなり期待している. • 基幹航路のコンテナ船大型化→ リードタイム拡大(航行速度の低減、荷役時間増加、寄港 数制限、フィーダーの増加) • 時間コスト、リードタイム短縮を要する貨物に特化する? →TSRとの競合か • ロシアはカムチャツカに拠点港を計画、はじめは水産品を 主体。これに国内向けコンテナ貨物を想定。 日本ではなくアジアを軸に可能性を考える。 中国主体のルートに日本・韓国が相乗りの構図 上海~釜山~北海道(日本)~NSR~ 11 11: “カムチャツカ~ムルマンスク“ コンテナルート計画 取扱量70万TEU/年のコンテナターミナルを 計画。浚渫工事に着手。 中国が建設協力に関する覚書 まずはムルマンスク間の水産品輸送から想 定? 連邦漁業局,ムルマンスク州,ロシア鉄道, Rosatomflot,水産関連企業が,ムルマンスク~カ ムチャツカ間の輸送シナリオの検討に着手. 12 12:中・露による北極海航路輸送への連携 ムルマンスク ティクシ • 北海道産の高品質水産 品の市場展開機会 • 苫小牧~~~ウラジオストク~ カムチャツカ→ムルマンスク • 輸入にも. ペベク <先行する可能性のあるプロジェクト> ロシアによるムルマンスク~カムチャツカ 間輸送 中国による欧州間コンテナ輸送 カムチャツカ 安定的な貨物量確保に は,韓国・日本の貨物の 取り込みが重要 ウラジオストク 上海 釜山 13 13: 北海道の戦略は? コンセプト創造とイベント展開 • 北の拠点化をボトムアップで進める。 • アイデア、コンセプトの創造、および広報 • 革新的研究 中韓と競合するのか? • 中・韓~欧州ルートに入り込む。 • 北海道発着貨物の開拓、マーケットの開拓 中・韓のできないことを強化 • 高価値の水産品輸出;カムチャツカ経由ロシア 向 • 中韓よりも北で求められる機能とサービス(地理 的優位性を生かす)。 中・韓の利用と連携 • 欧州・ロシア向け自動車部品輸送など 北の拠点 • 北極及び寒冷環境の利用・研究拠点へ • 操船訓練拠点へ • 北のエネルギー拠点へ 14 14: 様々な利用方法を考えなければ・・・ • 代替ルート利用事例が出た; →2015年8月、アイスランドから鯨肉がNSR経由で輸送さ れる.沿岸国の反発から給油拒否,航行中の妨害懸念. • 北極海の資源開発物資の輸送拠点; →ラプテフ海・東シベリア海・チュクチ海 • 中韓発着ルート上で寄港する動機を! →貨物,サービス • 中韓と協働してリスク分散,貨物拡大,新 規の企画 15 15: さらに掘り下げて検討を • 釜山はなぜ水産物のハブになれた? ◆ 強力な国際物流機能を背景に,北米の水産 品など品種・数量揃う. ◆ 中国・日本市場に近接,国際水産市場インフラ の整備. • ハブ港は地勢的な優位性が必須. ◆ 北海道の地勢的な特徴を再認識しよう. • エネルギー基地の可能性は? ◆ 冷涼な気候はLNGに有利だが・・・.中国はLNG備蓄進める. • 足元を見直しつつ,アイデアさがし~ 16 ご清聴,ありがとうございます. Iron ore LNG Frozen fish Rizhao Hammerfe st St. Petersburg Murmansk PetropavlovskKamchatsky Tomakomai Tobata Itaqui 17
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