一般社団法人兵庫県宅地建物取引業協会 平 成 2 7 年 度 事 業 報 告 書 平成27年4月 1日から 平成28年3月31日まで 昨年の我が国経済は、安倍内閣が推進する経済政策により経済再生と財政健全化の双方 が進められ緩やかな回復基調が続きました。しかし、中国経済の減速など海外経済の変調 による為替相場及び株式市場の乱高下が国内経済に悪影響を及ぼしかねず、景気の先行き に懸念が広がりつつあります。アベノミクスの成否が正念場を迎えるなか、足元の混乱に 浮足立つことなく、構造改革や人口減少への対策など成長につながる政策を推し進め、将 来への見通しを明確に示し、先行きの不透明感を払拭することが強く求められます。 不動産業界においては、住宅着工件数は前年を上まわったものの、地価動向は都市圏と 地方圏との二極化が継続しており、全体としては依然厳しい状況のまま推移しました。 一方、空家の増加が、社会的な問題として注目を集める中、協会では全宅連等と連携し、 税制改正及び土地住宅政策に関する提言活動を行い、その結果、空家の譲渡所得に関する 特別控除措置が新たに創設され、空家対策の一環として一つの成果を得ることができまし た。今後も不動産業界に係わる諸問題への解決に向け、要望活動を重ねて参ります。 また、会員への支援事業として、兵庫宅建株式会社と連携し、損害保険総代理店事業の 更なる利用促進を図るとともに、提携事業の展開等会員サービスの提供に取り組みました。 協会組織の基盤強化を図るため、引き続き開業支援セミナーを開催するとともに各種P R活動を行い、新規入会者の獲得に努め成果を上げることができました。昨年4月から新 物件登録システム「たっけんクラウド」を全国に先駆けて導入し、会員に対する不動産流 通業務の利便性の向上に貢献しました。 本年1月、近畿レインズにおいて、囲い込み防止を目的とする「ステータス管理」機能 が導入されたことにともない、利用に向けての会員への周知を図り、健全で円滑な不動産 取引の遂行に努めました。また、地域に寄りそう生活パートナーをスローガンとする全宅 連が策定した「ハトマークグループビジョン」の推進に協力するとともに、イベント参加 等の各種広報活動を通じて、協会PR及びハトマークの啓蒙に取り組みました。 昨年は、不動産業界にとって「宅地建物取引士」元年という記念すべき年となりました。 この記念すべき慶事をお祝いするため、全会員に記念品を配付するとともに、「倫理規程」 を制定し、業界全体の社会的地位の向上と社会的信頼の確保並びに会員及び宅地建物取引 士の品位の保持と資質の向上を図りました。 以下、平成27年度事業計画に基づく重点項目、一般項目を次のとおり実施いたしまし た。 〔重点項目〕 1.会員支援事業の推進 (1) 兵庫宅建㈱を活用した会員支援業務 兵庫宅建㈱事業の利用促進に努め、会員のビジネスチャンスの拡大を図った。 また、新入会員には、新規免許取得者研修会において、同社の設立目的、事業内容 等を説明した。 現在、実施している主な事業は次のとおり。 ① 富士火災海上保険㈱の総代理店事業 ② りそな銀行との提携による「兵庫宅建提携住宅ローン」の取扱事業 ③ 宅建ファミリー共済協力事業 ④ 引越し業者の紹介事業 ⑤ 家賃保証会社の斡旋・紹介事業 他6事業 (2) 研修会の開催 宅地建物取引業者及び従業者を対象とした宅地建物取引業法第64条の6に基づ く本部主催並びに支部主催研修会(宅建業者研修会)を保証協会との共催で開催し、 専門知識の向上に努めた。あわせて、日頃の会員業務に関連するテーマを取り扱った 会員業務支援研修会並びに不動産コンサルティング業務研修会を開催し、会員のスキ ルアップを図った。 (3) 近畿レインズ、ハトマークサイトの利用促進 近畿レインズにおいて本年1月から運用を開始した、囲い込み防止を目的とする「ス テータス管理」機能について、広報、FAX通信等を通じて会員に周知した。 昨年4月から導入した新物件登録システム「たっけんクラウド」の利用促進のため、 ポータルサイトと連携し、導入キャンペーンを展開するとともに、本部主催研修会・ 本部パソコン教室において研修課目として採り上げ会員に周知説明した。あわせて、 同システムの利便性の向上を図るため、多角的な機能の追加について検討を進めた。 昨年12月「たっけんクラウド」の視察を目的とした東京都不動産協同組合の来訪に 対して、導入経緯並びにシステムの概要等について説明した。 (4) 契約書等各種書式の利用 協会ホームページ上に、全宅連及び兵庫宅建版契約書等各種書式を掲載し、会員の 利用に供した。 (5) 広報、FAX通信等により改正法令等の迅速、的確な伝達 会員業務に関連する関係法令等を広報、FAX通信、ホームページ等に掲載し、的 確な情報伝達に努めた。また、昨年5月に全面施行された「空家対策の推進に関する特 別措置法」及び具体的指針を示したガイドライン並びに8月から開始されたITを活用 した重要事項説明に係る社会実験の実施について、ホームページ等を通じて会員に周 知した。今後も引き続き動向を注視しながら情報収集に努めていく。 (6) ホームページの作成支援 消費者が不動産情報を収集する方法として、インターネットを利用する傾向にある 中、自社ホームページの必要性が一段と高まっていることから、会員が手軽にホーム ページを作成できるツールの開発を協会ホームページの会員検索機能と連動して検討 を進めた。あわせて、支部ホームページの作成支援についても平行して協議した。 (7) 「不動産キャリアパーソン」の受講募集 全宅連の通信教育資格制度「不動産キャリアパーソン」の受講募集に協力するため、 広報、FAX通信、ホームページへのPR記事の掲載並びに本部主催研修会における パンフレットの配布等を行い、会員の実務知識の習得に努めた。 (8) ハトマーク支援機構実施事業の周知 全宅連が、会員業務支援策の一環として設立した「一般財団法人ハトマーク支援機 構」が実施する事業内容を掲載した情報誌「ハトマークフェロー」を全会員に配布し た。 (9) 「全宅住宅ローン」、「兵庫ろうきん・宅建ローン」の利用促進 広報、FAX通信等を通じて、両融資制度のPRに協力し、利用促進を図った。 (10) (一社)全国賃貸不動産管理業協会への入会促進 協会内に設置した全宅管理兵庫支部とともに、一層の入会促進を図り、あわせて新 規免許取得者研修会、本部主催研修会等において全宅管理に関する資料を配布した。 また、同協会が推進する事業内容の理解を深める機会として、賃貸管理業に関する 研修会を開催した。 (11) 兵庫既存住宅活性協議会との連携 兵庫既存住宅活性協議会に役員を派遣するとともに、同協議会が主催する既存住宅 アドバイザー講習会の開催に協力した。 (12) 「宅地建物取引士」記念事業の実施 昨年4月1日より、改正業法が施行され、 「宅地建物取引士」への名称変更の実現を 記念して、全会員に記念品(朱肉・捺印マット)を配付するとともに、定時総会後の 懇親会において鏡開きを行った。 (13) ハトマークグループビジョンの周知 全宅連が推進する会員の将来の方向性を示した「ハトマークグループビジョン」の 周知に協力するため、地域社会に貢献することを明記した店頭掲示用ハトマークグル ープポスターを全会員に配布した。 2.協会組織の基盤整備、強化 (1) 入会促進策の実施 前年度に引続き、オリジナル業者票及び免許申請書を無償で提供するとともに、起 業希望者を対象に開業支援セミナーを開催し、入会促進に努めた。さらに、各支部に も入会促進事業への取組みを要請した。また、神戸市営地下鉄「三宮駅改札口」に開 業支援セミナー開催のPR看板を掲出し、告知を行った。 ◎ 会員の状況は次のとおり(3月末現在) 26年度 正会員 期首会員数 準会員 27年度 合 計 正会員 準会員 合 計 4,345 357 4,702 4,326 348 4,674 新規入会 142 20 162 135 18 153 死亡相続 3 0 3 7 0 7 退 会 者 数 164 29 193 149 18 167 期末会員数 4,326 348 4,674 4,319 348 4,667 期中の増減 ▲19 ▲9 ▲28 ▲7 0 ▲7 入会者数 団体別会員数と増減 年度 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H8~H27 兵庫宅建 5902 5853 5766 5735 5656 5467 5239 5099 5073 4977 4904 4863 4746 4682 4613 4482 4407 4345 4326 4319 兵宅増減 全日兵庫 全日増減 -49 -87 -31 -79 -189 -228 -140 -26 -96 -73 -41 -117 -64 -69 -131 -75 -62 -19 -7 -1583 495 536 549 597 622 635 653 689 734 771 797 821 818 806 823 836 846 858 870 878 41 13 48 25 13 18 36 45 37 26 24 -3 -12 17 13 10 12 12 8 383 (2) 一般社団法人として、適正な会務の運営 定款等諸規則及び関係法令に従い、一般社団法人として適正な会務運営に努めた。 財政面においては、財政状況を逐次把握し、合理的な予算執行に努めた。また、平 成26年度公益目的支出計画実施報告書を作成し、定時総会に報告の後、兵庫県に提 出した。 (3) 会費の口座振替制度の推進 会費の口座振替制度が円滑に実施されるよう支部及び保証協会と連携し、会費納付 率の向上を図るとともに、新たに会費納付規程を作成した。また、保証協会の弁済業 務保証金分担金の返還請求権に質権設定を行い、未収会費回収に努めた。 (4) 金融資産運用 金融情勢を踏まえ、協会が保有する金融資産の安全な運用に努めた。 (5) 本部・支部会員情報システムの円滑な運用 本部・支部会員情報システムを円滑に活用し、会員情報の更新等事務処理の効率化及 び本部・支部事務局の機能強化を図った。昨年10月から導入されたマイナンバー制度 に対応するため、本部・支部事務局研修会を開催し、事務手続きの流れ並びに注意事 項等について確認した。 3.一般消費者向け事業の推進 (1) 協会及びハトマーク並びにハトマークサイトのPR ホームページ、配布物、各種広告媒体を活用して、協会会員のシンボルマークであ るハトマーク及び一般消費者に物件情報を無料で提供するハトマークサイトのPRに 努めた。さらに、ハトマークを浸透させ消費者の認知度向上を図るため、 「六甲ミーツ・ アート芸術散歩2015」、 「カンパイKOBE2015」、高校駅伝大会に協賛し、協 会及びハトマークを周知した。また、協会が作製した「夏季・冬季休暇用ポスター」、 全宅連が作製した「新ハトマークバッジ」を広報に同封し、全会員に配付した。 (2) ホームページの充実 協会ホームページへのアクセス数が増加するよう適宜更新し、内容の充実に努めた。 不動産関連情報など速報性の高い情報を発信するとともに、入会案内、CM動画、 広報のバックナンバー、不動産無料相談、会員検索等を随時更新しながら最新の情報 を提供した。 (3) 不動産無料相談の実施 一般消費者に対する不動産無料相談を兵庫県不動産会館及び各支部において実施し た。 (4) こども110番の店事業の展開 社会貢献活動の一環として、協会独自の防犯活動事業である「こども110番の店」 に取り組み、随時、協力会員の募集等を行った。 4.要望、陳情活動の実施 例年同様、兵庫県不動産政治連盟と連携し、業界としての要望事項を取りまとめ、自 由民主党兵庫県支部連合会を通じて、政府、兵庫県、神戸市の三者に対する要望書を提 出した。また、兵庫県議会自民党議員団主催の意見交換会に出席し、兵庫県に対する要 望事項の内容について意見交換した。なお、平成28年度税制改正における要望活動に ついては、空家の有効活用・流動化のための措置を強く求めた結果、空家に関する特別 控除措置が新たに創設された。また、一億総活躍社会の実現に向けた三世代同居に関す る特例措置の創設並びに各種税制特例措置の延長等、業界からの要望がおおむね実現さ れた。今後消費税10%への引き上げの動向も注視しながら全宅連と連携して引き続き 各種要望活動を続けていく。 5.関係機関への対応 (1) 国土交通省、兵庫県、県下各自治体、各外郭団体との連携強化及び受託業務の推進 既存の各種受託業務を所管委員会を通じて推進するとともに、関連する各種会議に 担当役職員が出席した。新たに、関西広域連合、同広域連合傘下の各府県及び宅建協 会との間で「大規模災害時における民間賃貸住宅の被災者への提供等に関する協定」 が8月17日付けで締結された。 また、空家問題については、地域との連動が必要不可欠であることから、各自治体 との空家バンクに関する協定を猪名川町、加古川市、姫路市、福崎町とそれぞれ締結 し、あわせて神戸市と空家活用相談業務に係る委託契約を締結した。 (2) 公的組織への協会役員の登用 前年度に引続き、兵庫県住宅審議会、神戸市都市計画審議会、神戸市すまい審議会 等の委員に協会役員が就任した。支部においても、関係市の審議会委員等に支部役員 が就任した。 (3) (公財)ひょうご産業活性化センターが実施する企業誘致活動に対して、広報に案 内チラシを同封して、会員に周知する等物件登録の促進に協力した。 (4) 兵庫県及び関係団体等からの受託業務の円滑な推進 免許申請調査業務、宅地建物取引士証交付事務、宅地建物取引士資格試験事務など 兵庫県及び関係団体からの諸受託業務に関して適正に対応した。宅地建物取引士法定 講習については、講習指定団体として円滑な運営に努めた。また、昨年12月に開催 された全日兵庫県本部主催の法定講習会に対して、講習業務が円滑に行われるよう協力 した。 (5) 法務局、近畿財務局、税務署、警察等との連携 近畿財務局からの要請を受け、国有財産の一般競争入札について、ホームページを 通じて情報提供を行った。KissFM と兵庫県警察が共同で実施した「詐欺撲滅キャンペ ーン」に協賛し、振り込め詐欺防止活動に協力した。 (6) (公社)兵庫県不動産鑑定士協会との共同事業として、 「兵庫県不動産市況DI調査」 を2回にわたり取り組み、不動産取引動向を有機的に検証するための情報源の提供に 努めた。 (7) 社会奉仕活動、環境整備活動 ① 昨年8月「災害救援ボランティアセミナー」を開催し、災害時に備え、登録者の 増強に努めた。 ② サンテレビ主催の東日本大震災被災地への桜植樹を目的としたイベントに参加 するとともに、チャリティー募金に協力した。 ③ 神戸市主催の「道路美化デー」に参加し、JR三ノ宮~JR元町間で、ごみ拾い・ はりがみ撤去等の美化活動を行った。 ④ 兵庫県が実施する児童虐待防止推進運動に協賛し、ポスターの配布並びに新聞広 告の掲載を通じて、同運動の啓蒙に協力した。 ⑤ 社会福祉活動の一環として昨年5月の定時総会にて神戸新聞厚生事業団に対し、 本部及び支部で集められた募金50万円を贈呈した。 (8) (公社)近畿地区不動産公正取引協議会との連携 消費者保護と公正な競争の確保等を図るため、 (公社)近畿地区不動産公正取引協議 会と連携を取りながら、不動産広告の適正化に努めた。
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