水ガラスについて 三興コロイド化学 HP より 2011年4月7日 橋田 ●水ガラスとは 水ガラスとは、珪酸ナトリウムまたは珪酸ソーダと呼ばれており、単一の化合物ではなく、SiO2(無 水珪酸)とNa2O(酸化ソーダ)がいろいろな比率で混合している液体である。 分子式はNa2O・nSiO2 で表され、このnはモル比と呼ばれ、Na2OとSiO2 の混合比率を表している。 水ガラスは日本工業規格(JIS K1408)では表1、2のようになっている。 ただし、現在使われている注入材料は必ずしもこのJISに従った水ガラスを使用しているわけでは ない。多くの注入材料は3号を使用しているが、3号よりもモル比の高いものも多く使用されている。 表1 JIS K1408に示すけい酸ナトリウムの種類 メタけい酸ナトリウム 項目/種類 1号 2号 3号 1種 外観 比重(15℃ B'e) 水あめ状の無色ないし 白色粉末 わずかに着色した液体 または粒状 2種 白色結晶 - 54以上 40以上 - - 二酸化けい素(SiO2)% 35 ~ 38 34 ~ 36 28 ~ 30 27.5 ~ 29 19 ~ 22 酸化ナトリウム(Na2O)% 17 ~ 19 14 ~ 15 9 ~ 10 28.5 ~ 30 20 ~ 22 鉄(Fe)% 0.03以下 0.03以下 0.02以下 - - 0.2以下 0.2以下 0.2以下 - - 水不溶分% 表2 珪酸ソーダの種類 種類 結晶性 化学名 分子式 モル比 オルト珪酸ソーダ Tetra Sodium(mono)Silicate 2Na2O・SiO2・xH2O 0.5 メタ珪酸ソーダ Di Sodium(mono)Silicate Na2O・SiO2・xH2O 1 珪酸ソーダ1号 Di Sodium Di Silicate Na2O・2SiO2aq 2 珪酸ソーダ2号 Tetra Sodium Penta Silicate 2Na2O・5SiO2aq 2.5 珪酸ソーダ3号 Di Sodium Tri Silicate Na2O・3SiO2aq 3 特殊珪酸ソーダ - Na2O・nSiO2aq 1.7 ~ 4 珪 酸 ソーダ 珪 酸 ソーダ 溶 液 (注)分子式のうしろにある aq はラテン語の略で溶液を示す。 ●水ガラスの製造と用途 1) 水ガラスの製造 水ガラスは現在多くは乾式方で製造されており、その工程は図1に示すとおりである。 図1.乾式法による製造工程システム 水ガラスの溶融工程は下記のように炭酸ソーダと硅砂を反応させてカレットと言う氷砂糖の ような形をした半製品カレットを作る。 Na2CO3 + nSiO2 → Na2O・nSio2 + CO2↑ (炭酸ソーダ) (硅砂) (珪酸ソーダ) (炭酸ガス) さらに溶解工程はそれを液状にし、所定のモル比に調整して出荷するものであり、多くのメ ーカーはこの工程のみである。 2) 水ガラスの用途 水ガラスは図2に示すように大変幅広い分野で利用されている。 この中でも、特に水道水の処理緩和や石けん・合成洗剤など、生活の身近で、しかも手に 触れたり、口に入れたりするものにも利用されており、また紙パルプや繊維などでも使用され ている安全性の高い材料である。 図2.水ガラスの用途 引用書籍 「正しい薬液注入工法 本質のわかる本」(2002年初版) (社)日本グラウト協会 ●モルとは 「質量数 12 の炭素の 12g中に含まれる原子の数(アボガドロ定数)と同数の単位粒子(原子、 分子、遊離基、イオン、電子)を含む系の物質量を 1 モル(mol)と定義する」 『理化学辞典』 (岩波書店)より 言い換えれば、物質の粒子(分子、原子、イオンなど)が6×1023(アボガドロ定数)個集まっ た量を1モルといいます. 1モルの分子や原子の質量はその分子の分子量または原子の原子量にg(グラム)をつけた 値で、たとえば、二酸化炭素CO2 分子の場合は44gです.
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