日本臨床心理身体運動学会第 18 回大会 ワークショップのご案内

日本臨床心理身体運動学会第 18 回大会
ワークショップのご案内
1.日
時
2015 年 12 月 12 日(土)9:30~ 12:00
2.会
場
大阪府立大学
中百舌鳥(なかもず)キャンパス
B3 棟
3.ワークショップの内容・講師
●ワークショップA
「症状や出来事、流れの創造的な読み」事例募集
岸本
寛史(高槻赤十字病院)
事例検討において、雑談に終始していて、本題がなかなか語られていない、というようなことが
言われることが時にある。しかし、見方を変えると、一見雑談と思われることがらにも語り手の心
性は反映されており、雑談として聞くか、本人の気持ちがそこに響いていると受け止めて聞くかに
より、その後の展開が変わってくるように思う。
当日は、症状や出来事、心理療法の流れの創造的な読みについて 30 分程度概説した後、事例検討
を行いたい。参加者の中から事例を募りたい。なお、事例発表の時間としては 45 分程度を想定し
ています。
※事例希望者は、学会参加申込み用紙にその旨をご記入ください。
●ワークショップB
「物語をとおして創造的に生きる
-『影との戦い
ゲド戦記Ⅰ』-」
古谷 学(常葉大学)
私たちは「物語」を創造している。しかしながら意外とそのことに気がついていない人もいるの
ではないだろうか。物語の重要性は、臨床心理学領域において故河合隼雄先生が遺されただけでは
なく、古来の文化における営みの中でも周知のことと考える。
世の中には古今東西を問わず、あまたの物語(活字・映像等すべての表現)が存在する。私たち
が自らの物語を創造する際に、さまざまな物語に自身の物語を重ね合わせ、ある時は何らかのヒン
トを得たり、ある時は活かし、ある時は救われたり、またある時は痛い目にあったりすることがあ
る。筆者は、自身の物語をより創造的に生きるためには、さまざまな物語を体験的に捉え、自身の
物語として生きることが重要であると考えている。
本ワークショップでは、Ursula K.Le Guin の『ゲド戦記』を取り上げ、物語を体験的に捉え、
自身の物語に活かす試みを行ってみたい。多少のネタバレはあるかもしれないが、本著を読んでい
ても、読んでいなくても構わない参加形態を考えている。
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ことばは沈黙に
光は闇に
生は死の中にこそあるものなれ
飛翔せるタカの
虚空にこそ輝ける如くに
―『エアの創造』―(
『影との戦い ゲド戦記Ⅰ』冒頭より)
●ワークショップC
「生きた実践研究を作る」
森岡
正芳(神戸大学)
医療看護、心理臨床などの領域や、障害当事者及び家族支援などの対人援助の領域で研究を志す
には多くのジレンマがある。現場では複雑な要因がからみ、研究上の要請からくる諸要因をコント
ロールし、統制群を設定するのは困難なことが多い。綿密な比較検討も倫理上の制約がからんでく
る。さまざまな質的研究法が実践者から注目を浴びるのも、以上のような事情からくるであろう。
ここで、ナラティヴ(物語;語り;ストーリー)の視点を実践研究に活かしたい。病院では医療
専門職と患者家族、施設では施設職員と利用者、心理療法ではセラピストとクライエントなど、そ
れぞれの現場では互いにストーリーを生み出している。専門職の側は当事者の状態についての判断
とこれからの見通しについて、面談のその場で仮説的にストーリーを作る。当事者も自分の病や障
害、心理的な不調について、あれが原因か、これが悪かったのかと仮説的なストーリーをもちなが
ら、専門家を訪ねるだろう。互いのストーリーは、現場において出会う。そこで生まれてくる豊か
な産出物を、できれば研究において活かしたい。そして病や障害を生きられた経験として、当事者
の生活、人生に位置づくよう役立てたい。このワークショップではこのような目的に寄与できるよ
う、参加者各自の実践場面をふりかえり、語り合い、それを通して生きた記述の仕方を探る。
【参考文献】森岡正芳・大山泰宏編『臨床心理職のための「研究論文の教室」―研究論文の読み方・
書き方ガイド(臨床心理学増刊第 6 号)
』金剛出版
●ワークショップD
「心理臨床学の未来」
廣瀬
幸市(愛知教育大学)
現代的趣向を凝らした心理臨床学では、心理臨床実践に関しては、例えば医療・保健領域では、
DSM に準じた臨床心理的判断が求められ、心理教育、認知行動療法、あるいはケースワーク的援
助が求められることが多いだろう。学校・教育領域では、特別支援教育や心理教育・予防教育が優
先され、コーディネーション・コンサルテーションを旨とするネットワーク作りとチームワーク作
りを最重要に求められているだろう。そして、心理臨床研究に関しては、臨床心理事例研究と異な
る臨床実践研究を推奨している。
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このように、臨床心理士という新しい資格を定着させてきた先人の社会運動は、四半世紀を経た
現在では、一時期のブームによるいったんの安定化を通り過ぎて、今や他の資格に脅かされる社会
的状況に見舞われている。我々は現在の趨勢にこのまま付き従っていけばいいのだろうか?
今こそ、いったん立ち止まり、自分が心理臨床学をどのように考えて、心理臨床実践を行ってい
ったらよいのか、そして、現在その兆候が顕在化しつつある将来の問題点について、どのように臨
んでいくのがよいのか?考える必要があるのではないだろうか?
当日は、このような問題を考えていける視点をレクチャーしながら、我々が置かれている現状理
解を進めていき、自分で考えられるための準備を施していきたい。そこから、与えられている枠内
で、参加者と一緒に未踏の領野に進んでみたい、と考えている。
●ワークショップE
「心理臨床における「死者の声」-ヒルマンの言葉を手がかりに-」
名取 琢自(京都文教大学)
ジェイムズ・ヒルマンのエラノス講義をもとにした論文「エディプス再考」(1987 年)、ヒルマン
最後の書であるソヌ・シャムダサーニとの対話録「死者の嘆き声」(邦題・「ユング『赤の書』の心
理学-死者の嘆き声を聴く-」)(2013 年/邦訳 2015 年)は 28 年の歳月を隔てているものの、根本
的なテーマは共通し、響き合っている。
本ワークショップでは、これら2つのテキストを題材として、日々の生活や心理臨床の場面にお
いて「死者」がどのように立ち会っているのか、そして、その声に耳を傾けるにはどうすればよい
のかを考えてみたい。
(イメージしたことをスケッチして話し合う時間も設ける予定です。)
4.受講資格
次の1)~3)のいずれかに該当する者
1)本学会会員
2)心理臨床に携わる者
3)競技現場もしくは教育現場において、指導に携わる者または心理臨床に関心がある者
で、大会の事務局が承認する者。
5.受講料
本学会会員
: 6,000 円(当日:7,000 円)
学会員以外の方 : 【 一 般 】7,000 円(当日:8,000 円)
【大学院生】3,000 円(当日:4,000 円)
【学部生】 1,500 円(当日:2,000 円)
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6.申し込み方法
同封の「大会申込書」のワークショップ参加希望欄にて希望するコース(A~E)を選択し、申し
込んでください。2015 年 9 月 30 日(水)までに大会申込書による申込と参加費の入金を済ませてく
ださい(申込書の到着と参加費の入金の時点で参加申込手続完了となります)
。
なお、希望人数等の都合により、第 1 希望に添えない場合があります。その場合は、事前に事務局
よりご連絡いたします。
入金先は、以下のとおりです。
ゆうちょ銀行
口座記号番号 : 00990-8-166228
加入者名
: 臨床心理身体運動学会第 18 回大会事務局
他金融機関からの振込をされる方は
【店名】〇九九(読み ゼロキユウキユウ)店 【預金種目】当座
【口座番号】0166228 【加入者名】臨床心理身体運動学会第 18 回大会事務局
※2015 年(平成 27 年)9 月 30 日(水)までにご入金ください。なお、入金された費用
につきましては返金できませんので、あらかじめご承知おきください。
7.ワークショップに関する連絡先(大会事務局)
大阪府堺市中区学園町 1-1
大阪府立大学人間社会学部心理臨床センター内
日本臨床心理身体運動学会第 18 回大会事務局
FAX:072-254-9168
E-mail:[email protected]
※問い合わせや連絡は、なるべく E メールでお願いします。
※電話での問い合わせには応じられませんので、あらかじめご了承ください。
〒599-8531
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