サッカー U-12 年代における指導の研究 -11 人制から8 人制サッカーへ

サッカー U-12 年代における指導の研究
-11 人制から 8 人制サッカーへの移行について-
森 佳祐 (競技スポーツ学科 コーチングコース)
指導教員 松田 保
キーワード : 少年サッカー ・ 8 人制 ・ Players First
1. 緒言
よりボールタッチ回数が増すというデータからも
サッカーにおいて U-12 という年代はゴールデ
よりアプローチしやすい環境であるといえる。ま
ンエイジと呼ばれ、U-12 年代に携わる指導者はチ
た、ペナルティーボックス内への進入、ゴール前
ーム作りより個の育成を重視するべきである。こ
の攻防、シュートシーンを引き出しやすいことか
れまでに日本サッカー協会では U-12 年代では 11
ら日本サッカー最大の課題に逆算し、改善できる
人制サッカーではなく 8 人制サッカーを推奨して
試合形式であると考えられる。また、攻守におい
きており、実際の現場でも小学校低学年を中心に
て全員で動き、関わり続けることができる距離で
8 人制で練習試合、大会が行われることが多くな
あることが 8 人制サッカーのストロングポイント
ってきたが 2010 年 4 月に日本サッカー協会は
である。近代サッカーにおいて確かな技術に付け
1997 年から続く全日本少年サッカー大会を、2010
加え、ハードワークが攻守においてできることが
年第34 回を最後に2011 年第35 回開催から8 人制
必要不可欠であり、その点においても 8 人制サッ
に変更することを決定した。全日本少年サッカー
カーはより世界スタンダードにアプローチしやす
大会といえばジュニア年代で最も権威ある大会で
い試合形式であるといえる。また、11 人制サッカ
あり、その影響力は大きく、これまで 11 人制が主
ーに比べ 8 人制サッカーはより「判断」へのアプ
流であった少年サッカーが高学年であっても今後
ローチ場面が多くなると考えられる。
は 8 人制が主流となっていくものであると考えら
4.まとめ
れる。
そこで本研究では、
少年サッカーが 11 人制から
以上のことから U-12 年代における 8 人制サッ
カーの導入は、世界スタンダードからの逆算を考
8 人制に移行していくのに伴っての現場の指導者
え、世界のトップ 10 を目指す日本サッカーにと
の意見を調査し、少年サッカーのゲーム自体がど
っての育成のテーマである「クリエイティブでた
のように変化していくのか、どのようなところに
くましい選手の育成に」繋がるものである。
メリットがあり、またデメリットがあるのかなど
しかし、アンケート調査でも 8 人制サッカー移
を、日本サッカー協会が 8 人制サッカーを推奨す
行についての現場指導者の意見は「反対」が多数
る理由を踏まえて検証することを目的とする。
であったように、今後、日本サッカー協会と現場
2. 研究方法
指導者をはじめ、ジュニア年代の指導に携わる全
①文献調査にて、日本サッカー協会が U-12 年
ての人々の理解を深め、関係をより密なものにし
代に適したゲーム形式として 8 制サッカーを
なければ、8 人制サッカーを推奨する理由が最大
推奨する意義を調査する。
限に生かされずアンケート調査の回答にもみられ
②アンケート調査にて、8 人制サッカーへの移
たデメリットの部分ばかりが浮き彫りとなる可能
行についての現場の指導者の意見、考えを調
性があり、第一に考えるべきである「Players
査する。
First」が守られないことに繋がりかねない。
3.結果・考察
8 人制サッカーはゲームで生きるテックニック
の習得、ゲームを学ぶという面において 11 人制
5.参考文献
・ 財団法人日本サッカー協会
(http://www.jfa.or.jp/)