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ここ - 飯田永久

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フランツ ・ ペーター ・ シューベルト Franz Peter Schubert
1797年1月-1828年11月。31歳で没。オーストリアの作曲家。各
分野に名曲を残したが、とりわけドイツ歌曲において功績が大
きく、「歌曲の王」と呼ばれる。
J.L.ヴィルヘルム ・ ミュラー Johann Ludwig Wilhelm Müller
1794年10月-1827年10月。32歳で没。ドイツの詩人。
シューベルトの歌曲集「美しき水車小屋の娘」と「冬の旅」の詩の
作者として知られる。
♪連作歌曲集「冬の旅」について♪
「冬の旅」はシューベルトが1827年に作曲した歌曲集である。彼はその数年
前に体調を崩し、経済的に困窮、性格も暗くなり、次第に死について考える
ようになった。とりわけ尊敬するベートーヴェンの死は彼に大きな打撃を与
えたといわれる。
彼がミュラーの詩集「冬の旅」と出会ったのはこの頃で、この詩集の「絶望の
中で生きなければならない若者」の姿に、シューベルトは自分を投影したと
思われる。「冬の旅」が、全曲を通して「疎外感」「絶望と悲しみ」「失われてし
まったものへの憧れ」に満ちており、唯一の慰めである「死」を求めながらも
旅を続ける若者の姿を描いているのは、こうした事情による。
しかし、「冬の旅」を雪と氷に閉ざされた暗く寒い冬景色としてだけとらえる
のでは、この曲集の真の魅力に触れたとはいえない。「冬の旅」の厚い氷の
下には熱い涙と燃える心がたぎりかえっているからである。どの曲にも「恋
の情熱」が脈々と波打ち、泡立ち流れている。まさに、友人たちから「われら
の恋愛歌人」と呼ばれていたシューベルトの面目躍如たるものがある。
■バリトン : 飯田永久
アマチュアの歌好き。合唱歴50年。 趣味でラテン、カンツォーネ、オペラ等のソ
ロ活動も嗜む。 長年「冬の旅」に取り組み、畑儀文、奥村泰憲、木村善明の諸氏
らから指導を受ける。現在、倉敷市合唱連盟理事長、JFEみずしま混声合唱団団
長。岡山県立大客員教授、岡山大大学院非常勤講師。専門は起業論、技術経
営。博士(学術)。
■ピ ア ノ : 吉川早苗
作陽音楽大学(現くらしき作陽大学)卒業。ピアノを谷田尚子、丹代茂、早原澄子、
宮沢晴子、山村アンヌの諸氏に、 「冬の旅」伴奏法を奥村泰憲氏に師事。 全日本
ピアノ指導者協会指導会員。 音楽塾「SONARE」主宰。「Musik Freundin」共宰。女
声合唱団「コールローゼ」代表。合唱団「玄」事務局。倉敷市文化連盟常任理事。
Winterreise
(Exzerpt)
Liederzyklus von Franz P. Schubert
シューベルト 歌曲集「冬の旅」
(抜粋)
Gedichte von J.L.Wilhelm Müller
ヴィルヘルム ・ ミュラー 詩
2015年11月14日(土)19時開演
倉敷物語館 多目的ホール
Baritone:飯田永久 Klavier:吉川早苗
演奏曲紹介
第 1 曲 Gute Nacht(おやすみ)
冬の夜、失恋した若者は、恋人の住んでいる町から去っていく。若者は恋人
とすごした春の回想にふけるが、今は冷たい雪に覆われた冬。若者は自分
がただのよそ者であると感じ、あてもない旅に出ようとする。恋人の家の扉
に「おやすみ」と書き残して。「冬の旅」全曲の序曲であり、この曲全体に貫
かれている歩行のリズムが印象的である。
第 2曲
Die Wetterfahne(風見)
恋人の家の風見鶏が音を立てている。これに恋人の嘲笑が重なり、全ての
破局の原因は恋人の不実に満ちた裏切りにあったことに、今更ながら気付
く。風と心の激しい揺れを描写する、荒々しいオクターヴの伴奏が印象的。
第 5 曲 Der Lindenbaum(菩提樹)
菩提樹の前を通り過ぎる。かつて若者はこの木陰でいつも甘い思い出にふ
けっていた。枝の不気味なざわつきが、若者を誘う。場所を離れ何時間経っ
ても、まだざわつきが耳から離れない。三連符の伴奏が、菩提樹のざわめ
きを巧みに表現している。
第 6 曲 Wasserflut(あふれる涙)
自分の涙が雪に落ち、その雪と涙が小川に流れて行けば、自分の想いと共
に、恋人の家まで届いてゆくだろうと歌う。
第 9 曲 Irrlicht(鬼火)
鬼火に誘われ若者は歩いて行こうとする。喜びも悲しみも、鬼火のようには
かないものだと思う。すべては鬼火の戯れだ!
Irrlichtは直訳すると「狂った火」。
第 11 曲 Frühlingstraum(春の夢)
美しい花に彩られた春の夢を見る。しかし楽しげな春の夢は、雄鶏の鳴き声
で遮断される。目が覚め、冷たい現実に引き戻される。 「冬の旅」では「菩
提樹」に次いで有名な曲である。
*** 休憩 ***
第 13 曲 Die Post(郵便馬車)
町の通りから、郵便馬車のラッパが聞こえてくる。恋人からの手紙など届く
はずがないのに、なぜ心が興奮するのだ?と自問する。8分の6拍子で流れ
る付点音符が、郵便馬車のホルンの音を巧みに描写している。しかし、内省
的な自問自答の部分では、この描写は使われない。シューベルトの心理描
写の巧みさが表れている。
第 15 曲 Die Krähe(からす)
不気味なからすが町からついて来る。もう僕の死は遠くないだろう、いっそ
忠実に墓までついて来い、と歌う。
一貫した三連符の伴奏が、カラスが円を描いて飛ぶさまを描写する。
第 20 曲 Der Wegweiser(道しるべ)
町への道しるべを見つけるが、それを避け人の通らない道を行こうとする。
休まず、安らぎを求めて歩き続ける。 歩行のリズムが神秘的に刻まれる。
最後に出てくる「誰も帰ってきたことのない道」は、墓場へ通じる道であり、
それが次の「旅籠」を導き出している。
第 21 曲 Das Wirtshaus(旅籠)
曲集中、最も美しい曲の一つ。若者は墓場にたどり着く。永遠の安息として
の死を願うがその安息をも拒絶され、死ねない。それならただ先へ進むしか
なく、仕方なく歩き続ける。誠実な旅の杖を携えて。シューベルトが死に抱い
ていた感情が表れており、死への憧れが音楽化されている。
第 22 曲 Mut(勇気)
「心が僕になげくことなど感じはしない。なげきなんてばかのすることだ。陽
気に、風雨にめげず外へ出よう。神がこの地上にいないなら、僕ら自身が神
になるんだ!」 最後の力を振り絞り、生きる勇気を出そうとする。繰り返さ
れる転調は、壊れかけた心の叫びのむなしさを表し、短調と長調が効果的
に交錯する。
第 24 曲 Der Leiermann(辻音楽師)
村はずれで老いた辻音楽師と出会う。ライアーを凍える指で懸命に回して
いる。聴く者もなく、銭入れの皿も空のままだ。周りに構わず、ただできるこ
とを続けている。若者は自分と同じ境遇の孤独な人間と出会い、わずかな
希望を見出す。「老人よ、一緒に行こうか。僕の歌に合わせてライアーを回
してくれるか?」という問いで全曲を閉じる。
とつとつと、多くを語らないことによって、実は多くを語る音楽である。
D.F.ディースカウは、「この虚無的表現は他の作曲家にはできない究極的
な音楽表現である。これに類似する音楽は、日本の能楽以外にはないので
はないか」と述べている。
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